JP2005104516A - 耐水性易分離複合紙容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐水性に優れ、容易に紙容器とプラスチック容器に分離が可能な耐水性易分離複合紙容器を提供すること。
【解決手段】外側の紙容器(10)と内側のプラスチック容器(20)が一体化されてなる複合紙容器(1)において、外側の紙容器は樹脂含浸紙から成り、内側のプラスチック容器と嵌合(13)により接合している。そして樹脂含浸紙を構成する含浸樹脂はイソシアネート系樹脂である。また、複合紙容器の紙化率は50%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、飲料、食品あるいは衣料用洗剤、柔軟剤、シャンプーなどのトイレタリー用品を収納する、外側の紙容器と内側のプラスチック容器が一体化されてなる複合紙容器に関し、特には、耐水性があり、紙容器とプラスチック成形容器が簡単に分離可能な耐水性易分離複合紙容器に関する。
近年、環境問題が深刻化し、容器類ならびに包装材料の易廃棄性が必要とされ、易焼却性、リサイクル性、またはリサイクル材料使用の需要が高まっている。そこでプラスチック製の容器の外側を紙で被覆した複合容器が提案されている。また、プラスチック使用量を大幅に低減した複合容器や、廃棄時には紙とプラスチックの分別が可能な複合容器が種々提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
上記先行技術文献を示す。
特開2001−72042号公報 特公平06−88351号公報 実開平3−23014号公報 しかしこれらの発明は、いずれも紙とプラスチック容器との接着が強固で紙とプラスチック容器との分別に手間がかかったり、紙に耐水性がないため使用上での制限を受けたりするという問題がある。
本発明は、外側の紙容器と内側のプラスチック容器が一体化されてなる複合紙容器に関する以上のような問題を解決するためになされたもので、耐水性に優れ、容易に紙容器とプラスチック容器に分離が可能な、耐水性易分離複合紙容器を提供することを課題とする。
本発明の請求項1の発明は、外側の紙容器と内側のプラスチック成形容器が一体化されてなる複合紙容器において、前記外側の紙容器は樹脂含浸紙から成り、内側のプラスチック成形容器と嵌合により接合していることを特徴とする、耐水性易分離複合紙容器である。
このように請求項1記載の発明によれば、外側の紙容器は樹脂含浸紙から成り、内側のプラスチック成形容器と嵌合により接合しているので、耐水性を有するとともに、紙とプラスチック成形容器とは嵌合をはずすことにより容易に分離させることができる。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記樹脂含浸紙を構成する含浸樹脂は、イソシアネート系樹脂であることを特徴とする、耐水性易分離複合紙容器である。
このように請求項2記載の発明によれば、樹脂含浸紙を構成する含浸樹脂がイソシアネート樹脂系であるので、耐水性はもとより耐熱水性にも優れている。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記構成から成る複合紙容器の紙化率が50%以上であることを特徴とする、耐水性易分離複合紙容器である。
このように請求項3記載の発明によれば、複合紙容器の紙化率が50%以上であるので、本発明の耐水性易分離複合紙容器はプラッスチックの使用量を極力減らした紙容器といえる。
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の発明において、前記紙容器には、エンボス模様が施されていることを特徴とする、耐水性易分離複合紙容器である。
このように請求項4記載の発明によれば、紙容器には、エンボス模様が施されているので、手指等で複合紙容器の胴部分を握持した際、手指と触れる胴部分の表面積が少なくなり、熱の伝導性が緩和され断熱効果がある。
上記のように、本発明の複合紙容器は、外側容器に耐水性含浸紙を用いることにより容器の強度を向上させるばかりでなく、接着剤等を使用しないことにより,容易に廃棄出来、紙とプラスチックを別々に分別することもできる。
嵌合により紙とプラスチックもろとも耐熱、耐熱水用殺菌等も可能であり、紙とプラスチックを別々に殺菌し、後で紙容器とプラスチック容器を嵌合させることも可能である。紙を多く使用することにより、容器の剛性を増すことができ、プラスチックの減量化が可能である。従来の紙スリーブ、紙箱+プラスチック容器からも減容化することもできる。
水周り品、トイレタリー品についても長期間紙容器として剛性を保持することができる。内容物保護に関しても、プラスチック容器同等でシール性等の充填適性も良好である。紙として印刷適性もあり、意匠性にも優れる。
本発明の耐水性易分離複合紙容器を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の耐水性易分離複合紙容器は、例えば、図1に示すように、外側の紙容器(10)と内側のプラスチック容器(20)が一体化されてなる複合紙容器において、前記外側の紙容器は樹脂含浸紙から成り、内側のプラスチック容器と嵌合(13)により接合しているものである。
紙容器(10)に使用する含浸紙は、100%バージンパルプを使用した紙から、古紙を含んだコートボール、片面にクレイコート加工されたものなど様々な種類の原紙を用いることが可能である。
これらの原紙に抄紙段階あるいは抄紙後の二次加工として外添により、剛性、耐水性、耐熱水性を付与できる樹脂を含浸したものである。そして坪量は、200g/m2 〜600g/m2 の範囲で目的に応じて適宜選択をすれば良い。
原紙に含浸する樹脂は、原紙の乾燥温度および耐水性、湿潤強度を付与できるものとして、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、でんぷん等が、また、湿潤時紙力増強剤としては尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、でんぷん、ポリアミドアミン、そのエピクロルヒドリン変性体、さらには各種ラテックス、例えば、天然ゴムラテックス、SBR、NBR、ポリクロロプレン等の合成ゴムラテックス、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンもしくはこれらの共重合体の樹脂ラテックスなどが用いられる。
耐熱水性まで付与できる樹脂としては、シラン系樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂のほかに、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂なども要求される耐熱水温度により選択使用することが可能である。
内側のプラスチック容器(20)に使用する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂あるいはそれらの混合物やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、そしてポリアクリロニトリル樹脂などブロー成形が可能な樹脂であれば何れをも選択することができる。本発明は複合容器の内側プラスチック容器によるものではない。
すなわち、原紙に剛性、耐水性、耐熱水性を付与することによって、外側容器の乾燥時の剛性、湿潤時および熱水湿潤時の剛性を高めることをはかる。これにより複合紙容器の容器強度を大幅に向上でき、複合紙容器が濡れた場合においても外側紙容器の強度低下を大幅に低減させることにより十分な容器強度を確保し、耐水性および耐熱水性を有する複合紙容器を得る。
つぎに樹脂含浸紙の樹脂の含浸方法について記述する。すなわち、外側の紙容器(10)に使用する含浸紙は、抄紙段階で樹脂が原紙に内添された紙、あるいは、抄紙された後に樹脂が外添された紙を使用する。
含浸紙を抄紙工程において含浸すなわち内添することにより、原紙の厚み方向全体にわたり均等に前述の樹脂を配することができる。また抄紙段階で樹脂を含浸することで、複合紙容器として所望する原紙の機能レベルに応じて、含浸紙の密度や厚み、内添する樹脂量など任意に決定することができる。
そして、抄紙後の二次加工として剛性、耐水性、耐熱水性を付与できる樹脂を含浸するものである。この外添による含浸方法としては、繊維構造物を含浸剤に浸し過剰量の含浸剤を一時的に付与できるディッピング法や、好ましくは、含浸剤を一定量だけ塗工または含浸させるグラビアコーティング法やロールコーティング法などがあり、原紙繊維構造物の表裏から含浸剤を含浸させることも可能である。
さらに2ユニット以上あるグラビア含浸方法では、はじめに原紙内部に含浸させる含浸剤を片面もしくは両面より施し、原紙内部にまで含浸剤を浸透させる。その後の最後のユニットで原紙の表面にコーティング被膜層の形成等が可能となる。そこで得られた含浸紙は、例えば、含浸紙の内部全体にわたり湿潤紙力増強剤などが含浸され高い湿潤強度を有し、含浸紙表層には撥水剤等を配することにより高い撥水効果を有することができる。すなわち、原紙に含浸剤を供給できる方法であれば、使用される原紙や含浸剤の種類にもよるが、それらに応じて、いずれかの方法を任意に選択することができる。さらにはこれらの加工は二次加工的に行われるため、抄紙工程に比較すると少量の加工が安価に行うことができる。
含浸剤として原紙に含浸させる樹脂は、イソシアネート系樹脂を用いることが、耐水性、耐熱水性を向上させ、好ましい。このイソシアネート系樹脂は紙に含浸することにより紙の湿潤強度が向上するもので、このイソシアネート含浸紙は、イソシアネートと紙中の水分により形成される尿素化合物は極めて高い耐熱性、耐水性、耐熱水性を有するものであり、吸水性も著しく低減できる。
外側の紙容器としてイソシアネート樹脂含浸紙を用いることにより、複合紙容器が乾燥状態のみならず、湿潤状態にあっても、保形性、座屈強度などが極めて優れる。また、ボ
イル殺菌やレトルト殺菌工程においても、イソシアネート樹脂含浸紙を外側容器として用いた複合容器であれば、それらの熱水条件下においても極めて高い保形性を示し、耐熱水性を有するものである。
含浸するイソシアネート系樹脂としては、ポリイソシアネート化合物としてこれまでに知られている各種のもの、例えば、フェニレンジイソシアネート(PDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4’ジイソシアネートジフェニルメタン(MDI)、等の芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族脂肪族ジイソシアネート、水添TDI、水添XDI、水添MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂肪族、若しくは脂環状ジイソシアネートおよびこれらの誘導体であるポリオール付加物、ビュレット体、3量体である3官能以上のポリイソシアネート、リジントリイソシアネート(LTI)等の3官能イソシアネートのほか、イソシアネートを含む各種のオリゴマー、ポリマーを使用することができる。
これらの中で、この含浸紙を用いた複合紙容器を食品用途に使用する場合には、XDIまたはIPDIのいずれかを用いることが衛生上に関しても好ましい。
外側の紙容器(10)は、トレー形状、カップ形状ほか様々な形状をとることが可能である。トレーは通常の4コーナー貼り容器等、カップも様々な形状をとることが可能である。また、耐水性、耐熱水性まで付与させるならば、紙の端面や貼り合わせ部のない、絞り成形形状等が好ましく用いることもできる。
また、外側の紙容器(10)にあらかじめエンボス模様(図示せず)を施しておくことにより、断熱効果が期待でき、保温機能を付与することもできる。
以上の複合紙容器に関して、紙の坪量で剛性を確保するとともに、内層のプラスチック容器の重量を減量させることが可能である。具体的には、紙:(紙中の樹脂含浸量+プラスチック容器重量)=1:1とすることも可能である。これにより、紙容器としての易廃棄性が増す。
外側の紙容器(10)に内側のプラスチック容器(20)を嵌合させる方法の一例について詳述する。
主要部分(例えば、側面の4隅)に孔(12)を開けた樹脂含浸紙から成るトレー状紙容器ブランク(11)を組み立て、外側の紙容器(10)を形成させる。
プラスチックシートを紙容器(10)の上に被せて加熱、軟化させ、このプラスチックシートを中から真空で引いてプラスチック容器に成形して紙容器に密着させる。その際、紙容器には孔(12)が穿設されているので、プラスチックシートは孔から中に入り嵌合状態(13)となって、紙容器とプラスチック容器とは接合する(図1参照)。
外側の紙容器(10)をトレー状容器とする場合、フランジは設けても設けなくても良い。設けることにより強度は向上する。
このようにして作製した複合紙容器(1)は、外側の紙容器(10)と内側のプラスチック容器(20)とを接着剤等を使用せずに、嵌合手段によって接合しているので、紙容器とプラスチック容器とは嵌合を外すことにより容易に分離させることができる。
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
〈実施例1〉
紙容器を構成する樹脂含浸紙のベースとなる紙として坪量が310g/m2 のカップ原
紙を準備した。
樹脂含浸紙を作製するに必要な含浸液として、イソシアネート系樹脂であるイソホロンジイソシアネート樹脂の20%酢酸エチル溶液を調整した。
この含浸液をグラビアコーティング法でカップ原紙に含浸させ、樹脂含浸紙を作製した(樹脂含浸量は7g/m2 (固型分)であった)。
作製した樹脂含浸紙を(寸法;110mm×90mm×深さ35mm)のトレー状に成形し、実施例1の紙容器とした。なお、この紙容器の底面の4隅には嵌合用の孔(12)が穿設されている。
プラスチック容器を構成するプラスチックシートとして、ポリプロピレン樹脂/エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂/ポリプロピレン樹脂の3層構成からなる厚さ400μmの多層シートを準備した。
このプラスチックシートを別に作製した紙容器の上に被せて加熱、軟化させ、このプラスチックシートを中から真空で引いてプラスチック容器に成形して紙容器に密着させる。その際、紙容器には孔(12)が穿設されているので、プラスチックシートは孔から中に入り嵌合状態となって、紙容器とプラスチック容器とが接合した、深さ;35mm、間口;110mm×90mmのトレー状容器である実施例1の複合紙容器(1)とした。
〈実施例2〉
イソシアネート樹脂系含浸液を使用せずに、坪量;310g/m2 のカップ原紙を使用して外容器(孔は穿設されていない)を作製した以外は、実施例1と同じ材料、方法で実施例2の複合紙容器を作製した(詳細は省略、従来の実施例に相当する)。
このようにして作製した実施例2種類の複合紙容器について、外側の紙容器と内側のプラスチック容器の分離性、レトルト処理後の外観形状、高温多湿下での容器強度を下記の方法によりチェック、観察した。その結果を表1に示す。
容器の分離性 ‥ 複合紙容器から外側の紙容器を手で剥がした際の分離状態を
目視観察
○ : 紙とプラスチックが容易に分離する
× : 紙剥けしてプラスチック容器の紙が残る
外観の形状 ‥ 複合紙容器に水を充填して蓋材で開口部を密封後、121°
C、30分の条件でレトルト処理し、その外観を目視観察
○ : 外観不良なし
× : 紙が形状を保てない
容器の強度 ‥ 複合紙容器に粉末洗剤を充填し蓋材で密封後、35°C、7
0%R.H.の条件下で1か月間放置し、その容器強度を目
視観察
○ : 問題なく容器としての強度あり
× : 紙の強度がなく、トレーとしての形状を保てない
このように、樹脂含浸紙からなる外側の紙容器が内側のプラスチック容器と嵌合により接合している実施例1の複合紙容器は、容易に紙容器とプラスチック容器に分離が可能であるとともに、耐水性にも優れていることが判る。
本発明の耐水性易分離複合紙容器の一実施例を示す、模式断面説明図である。 本発明の耐水性易分離複合紙容器に使用する外側の紙容器を展開したブランクの一実施例を示す、平面説明図である。
符号の説明
1‥‥複合紙容器
10‥‥紙容器
11‥‥ブランクシート
12‥‥孔
13‥‥嵌合部分
20‥‥プラスチック容器

Claims (4)

  1. 外側の紙容器と内側のプラスチック容器が一体化されてなる複合紙容器において、前記外側の紙容器は樹脂含浸紙から成り、内側のプラスチック容器と嵌合により接合していることを特徴とする、耐水性易分離複合紙容器。
  2. 前記樹脂含浸紙を構成する含浸樹脂は、イソシアネート系樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の耐水性易分離複合紙容器。
  3. 前記構成から成る複合紙容器の紙化率が50%以上であることを特徴とする、請求項1又は2記載の耐水性易分離複合紙容器。
  4. 前記紙容器には、エンボス模様が施されていることを特徴とする、請求項1、2又は3記載の耐水性易分離複合紙容器。
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