以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では入力端子及び出力端子がそれぞれ2個1組となっている2極用の場合を例に挙げて説明するが、本発明は2極に限らず単極や3極の場合にも適用可能である。
(実施形態1)
本実施形態は、図1に示すように、電源に接続される1組の入力端子1と、それぞれ負荷に接続される2組の出力端子2と、入力端子1と両出力端子2との間に設けられ異常な電流が流れたときに入力端子1と出力端子2との間の電気的接続を遮断する回路遮断部3と、出力端子2の組毎にそれぞれ入力端子1と出力端子2との間に設けられ入力された電気信号に応じて入力端子1と出力端子2との間の電路を開閉する2個のリレー部4とを備える。
また、大きく分けると、図2及び図3に示すように、入力端子1と1組の出力端子2とを保持した器体5に回路遮断部3と一方のリレー部4とが収納されてなるメインブロックMBと、1組の出力端子2を保持した増設器体5’に一方のリレー部4が収納されてなる増設ブロックSBとからなる。
次に、図4〜図8を参照し、メインブロックMBの構成について詳しく説明する。以下、上下左右は図5を基準とし、図5における紙面手前側(図4における左下方向)を前方と呼ぶ。
器体5は、前面が開口したケース51と、例えばねじ止めによってケース51の前側に結合してケース51を閉塞するカバー52と、ケース51とカバー52との間で入力端子1間を仕切る入力側仕切り53と、ケース51とカバー52との間で出力端子2間を仕切る出力側仕切り54とを備える。入力側仕切り53は器体5の右端部に位置し、出力側仕切り54は器体5の左端部に位置する。
器体5の右面には、主幹ブレーカ(図示せず)を介して電源に接続された導電バー(図示せず)が挿入される前後に開放された溝5aが3個、上下に並べて設けられており、入力端子1は、上端の溝5aの内側と下端の溝5aの内側とにそれぞれ設けられている。各入力端子1は、溝5aに挿入された導電バーを両端間に弾性的に挟持するΩ字形状の金属板を備えるいわゆるプラグイン端子である。
器体5の左面の上端部には、負荷に接続された電線(図示せず)が挿入される電線挿入穴5bが設けられている。出力端子2は、例えば金属のような導電材料からなり電線挿入穴5bに挿入された電線に接触導通する端子板21と、例えば金属のような弾性材料からなり電線挿入穴5bに挿入された電線を端子板21との間に鎖錠する鎖錠ばね22とを備えるいわゆる周知の速結端子である。また、出力端子2は、鎖錠ばね22の鎖錠を解除するための解除部材23を有する。解除部材23は、前後に貫設された貫通穴23aを有し、出力側仕切り54を前後に貫通して器体5内面に枢支される軸(図示せず)が貫通穴23aに挿通されることにより器体5に対して左右に回動可能に枢支されている。器体5の上面の左端部には解除穴5cが上下に貫設されており、解除部材23の上端部は解除穴5cを通じて器体5外に突出している。解除部材23の下端部は鎖錠ばね22に近接しており、解除部材23の上端部を操作して解除部材23を反時計回りに回動させることにより、鎖錠ばね22を弾性変形させて鎖錠を解除させることができる。
回路遮断部3は、ハンドル31と、リンク32と、レバー33と、駆動体34と、引外し部材35とを備える。ハンドル31と、駆動体34と、引外し部材35とは、それぞれ前後に突設された円柱形状の軸突起31a,34a,35aを有し、各軸突起31a,34a,35aがケース51とカバー52とに設けられた凹部にそれぞれ枢支されることにより、器体5に対して左右に回動可能となっている。
器体5の上面にはハンドル挿通穴5dが上下に貫設されており、ハンドル31の一部はハンドル挿通穴5dを通じて器体5の上方へ突出している。リンク32はコ字形状の部材であって、一端部がハンドル31の下端部に連結されてハンドル31に対して左右に回動可能となっている。リンク32の他端部はレバー33の中央部に連結されており、レバー33はリンク32に対し左右に回動可能となっている。
駆動体34は、回路遮断部3による電路の遮断がされていないオン状態では上端部がレバー33の左端部に係止されることにより時計回りの回動を禁止されている。駆動体34の下端部の右面とこれに対向する器体5の内面との間には、圧縮コイルばねからなり駆動体34を器体5に対して時計回りに付勢する開極ばね34bが設けられている。
また、駆動体34の前後両面には左右に開放された凹部34cが設けられている。回路遮断部3は、右端部が駆動体34の凹部34cに収納され左端部の下面に可動接点30aが設けられた可動接触子36と、駆動体34の凹部34c内において可動接触子36の下側に設けられた圧縮コイルばねからなり可動接触子36を駆動体34に対して反時計回りに付勢する接圧ばね36bとを、駆動体34の前後両側に1組ずつ備える。
引外し部材35は、一端が器体5の上向きの内面に弾接し他端が引外し部材35の右面に弾接したねじりコイルばねからなる復帰ばね35bにより反時計回りに付勢されており、回路遮断部3による電路の遮断がされていない状態では上端部がレバー33の右端部に係止されることにより反時計回りの回動を禁止されている。
また、器体5内において、出力側仕切り54の前後両側には、それぞれ導電材料からなる導電板61が保持されており、導電板61には、駆動体34の回動に伴って可動接点30aが離接する固定接点30bが設けられている。
さらに、回路遮断部3は、器体5に対して固定された固定側磁性体37aと、固定側磁性体37aの左側近傍において左右に変位可能に支持され固定側磁性体37aに短絡電流が流れたときに発生する磁束により固定側磁性体37aに対して電磁吸引される可動側磁性体37bとを有する短絡検出部37と、上端部が器体5に対して固定され過電流が流れたときに下端部を左側へ変位させるように曲がるバイメタルからなる過電流検出部38とを各極に対して1組ずつ有する。固定側磁性体37a、過電流検出部38は、それぞれ入力端子1、可動接触子36に、例えば編組線62を介して電気的に接続されており、固定側磁性体37aと、過電流検出部38とは、入力端子1と可動接触子36との間に直列に接続されている。つまり、可動接点30aは、可動接触子36と固定側磁性体37aと過電流検出部38とを介して入力端子1に電気的に接続されているのであり、可動接点30aが請求項における入力側接点である。
また、入力側仕切り53の前面には円柱形状の軸突起53aが突設されており、回路遮断部3は、貫通穴39aが前後に貫設されて軸突起53aが貫通穴39aに挿通されることにより器体5に対し左右に回動可能に枢支された動作レバー39を備える。引外し部材35と動作レバー39とは、それぞれ上端部が一方ずつの固定側磁性体37aの右側に位置し、下端部が一方ずつの過電流検出部38の下端部の左側に位置しており、固定側磁性体37aに短絡電流が流れたときと、過電流検出部38に過電流が流れたときとには、いずれの場合にも時計回りに回動するようになっている。さらに、動作レバー39の上端部は、リンク39bを介して引外し部材35の上端部に連結されている。これにより、動作レバー39が時計回りに回動したときには、引外し部材35が連動し復帰ばね35bのばね力に抗して時計回りに回動する。また、器体5において各短絡検出部37の上側にはそれぞれ貫通穴5e,5fが設けられており、これらの貫通穴5e,5fは器体5の上部に装着されるパネル55により覆われる。
回路遮断部3の動作を説明する。各可動接点30aがそれぞれ固定接点30bに接触導通しているオン状態では、図5に示すように、引外し部材35は上端部がレバー33の右端部に係止されることにより反時計回りの回動を禁止され、駆動体34は左上端部がレバー33の左端部に係止されることにより時計回りの回動を禁止されており、オン状態は開極ばね34b及び復帰ばね35bのばね力により維持されている。また、リンク32は左側へ倒れ、ハンドル31は右側へ倒れている。
このオン状態から、ハンドル31を左側へ倒すように反時計回りに回動させると、図6に示すように、リンク32は右側へ倒れるように反転し、開極ばね34bのばね力により駆動体34及び各可動接触子36がそれぞれ時計回りに回動して各可動接点30aがそれぞれ固定接点30bから離れるオフ状態に移行する。同時に、レバー33が駆動体34に押し上げられ、引外し部材35は復帰ばね35bのばね力により反時計回りに回動する。逆に、上記オフ状態から、ハンドル31を右側へ倒すように時計回りに回動させると、上記とは逆の動作により、回路遮断部3は再度オン状態となる。ここで、ハンドル31において、オン状態で上を向く面には「ON」の表示が付され、オフ状態で上を向く面には「OFF」の表示が付されている。
また、オン状態において、回路遮断部3のいずれかの可動接点30a及び固定接点30bに異常電流が流れ、短絡検出部37と過電流検出部38とのいずれかにより引外し部材35が時計回りに回動すると、図7に示すように引外し部材35がレバー33から離れることにより、駆動体34が開極ばね34bのばね力によりレバー33及び可動接触子36とともに時計回りに回動し、各可動接点30aはそれぞれ固定接点30bから離れ、ハンドル31は復帰ばね(図示せず)のばね力により直立姿勢をとる強制開極状態に移行する。回路遮断部3を強制開極状態から復帰させるには、短絡検出部37及び過電流検出部38が復帰してから、まずハンドル31を左側に倒すリセット操作を行う。すると、レバー33はリンク32により引外し部材35の上側に引き上げられて回路遮断部3はオフ状態に移行する。その後、ハンドル31を右側へ倒せば、回路遮断部3をオン状態に復帰させることができる。
次に、リレー部4について説明する。リレー部4は、電磁石装置41を備える。ここで、ケース51の前面には、器体5内の空間を上下に仕切る絶縁隔壁51aが突設されていて、回路遮断部3は絶縁隔壁51aの上側に配置され、リレー部4の電磁石装置41は絶縁隔壁51aの下側に配置されている。電磁石装置41は、軸方向を左右方向に向けて器体5内に固定された筒状のコイル枠41aと、コイル枠41aに巻回されたコイル41bと、コイル枠41aに挿通されたプランジャ41cと、磁性体からなりコイル41bの上下にそれぞれ配置された2個の内ヨーク41dと、磁性体からなり前後両側と左側とが開口したコ字形状であってコイル枠41a及び内ヨーク41dの外側に位置する外ヨーク41eと、各内ヨーク41dと外ヨーク41eとの間にそれぞれ介装され内ヨーク41dと外ヨーク41eとを異極化する2個の永久磁石41fとを備える。プランジャ41cは、内ヨーク41d及び外ヨーク41eを挟んで左右に対向しそれぞれ左右にスライド可能な2個の接極子(図示せず)に連結されており、コイル41bへの通電方向に応じて左右いずれかが吸引される接極子に連動して、コイル枠41aの左右への突出寸法を変化させるように左右にスライドする。
また、リレー部4は、前後に突設された軸突起42aを有して各軸突起42aがそれぞれ器体5の内面に枢支されることにより器体5に対して左右に回動可能とされたリレー駆動体42を備える。リレー駆動体42は、下端部がプランジャ41cの左端部に連結されており、プランジャ41cのスライド移動に連動して左右に回動する。
リレー駆動体42の前後両面にはそれぞれ上下に開放された凹部42bが設けられており、各凹部42bには、それぞれ金属のような導電材料からなり上端部の右面に可動接点40aが設けられた可動接触子43の下端部が保持されている。可動接触子43は、編組線62を介して出力端子2の端子板21に電気的に接続されている。また、可動接触子43の右面と対向する凹部42bの内面との間には、それぞれ圧縮コイルばねからなり可動接触子43をリレー駆動体42に対して時計回りに付勢する接圧ばね43bが設けられている。
回路遮断部3の固定接点30bが設けられた導電板61には、リレー駆動体42の回動に伴って可動接点40aが離接する固定接点40bが設けられ、回路遮断部3の固定接点30bとリレー部4の固定接点40bとは導電板61を介して互いに電気的に接続されている。つまり、回路遮断部3の固定接点30bは導電板61とリレー部4とを介して出力端子2に電気的に接続されているのであり、固定接点30bが請求項における出力側端子である。また、導電板61には、導電板61において固定接点30b,40bが設けられた部位同士を連結する部位と回路遮断部3の固定接点30bとの間に介在する絶縁体61aが装着されている。さらに、導電板61においてリレー部4の固定接点40bの上側には、導電板61の前後両側と右側とに位置するコ字形状の鉄板61bが装着されており、リレー部4の可動接触子43において鉄板61bの左端面に対向する位置には、例えば鉄からなる磁性体43cが装着されている。
また、前後に突設された円柱形状の軸突起44aを有する表示体44が、器体5の内面に設けられた凹部に軸突起44aを枢支されることにより、器体5の左上端部において回動可能に保持され、器体5に設けられた表示穴5gから一部を露出させている。表示体44は、下端部がリレー駆動体42の上端部に連結されており、リレー駆動体42に連動して回動する。
さらに、リレー駆動体42の左側と電磁石装置41の右側とには、それぞれプリント配線板45,46が、厚さ方向を左右方向に向けて配置されている。左側のプリント配線板45においてプランジャ41cの右端面に対向する位置と、右側のプリント配線板46においてリレー駆動体42の左面に対向する位置とには、それぞれ切替スイッチ45a,46aが実装されている。各切替スイッチ45a,46aはそれぞれ操作部が押操作される度に接点を切換えるものであって、プランジャ41cのスライド移動に伴ってリレー駆動体42又はプランジャ41cによって操作部が押操作される位置及び向きで配置されている。また、3個1組のねじ端子からなる信号入力端子47が、左側のプリント配線板45に実装されるとともに器体5の左側に露出している。コイル41bと、各プリント配線板45,46とは、リード線63を介して互いに電気的に接続されている。
各信号入力端子47は、それぞれ切替スイッチ45a,46aを介して電磁石装置41のコイル41bに電気的に接続されている。プリント配線板45,46には、切替スイッチ45a,46aの接点状態に応じてコイル41bへの通電方向が変化し、且つ、信号入力端子47に入力される電気信号と切替スイッチ45a,46aの接点状態との関係に応じてコイル41bへの通電と通電停止とが切り替えられるように回路が構成されている。
リレー部4の動作を説明する。信号入力端子47に入力された電気信号により、コイル41bへの通電が開始されると、プランジャ41cがコイル41bへの通電方向に応じて左右何れかにスライドする。すると、リレー駆動体42がプランジャ41cに連動して可動接触子43とともに回動することにより、図5〜図7に示すように各可動接点40aがそれぞれ固定接点40bに接触導通したオン状態と、図8に示すように各可動接点40aがそれぞれ固定接点40bから離れたオフ状態とが切り替えられる。
そして、リレー部4のオン状態とオフ状態とが切り替わる際に、リレー駆動体42又はプランジャ41cの一方が切替スイッチ45a,46aの一方から離れるとともに、リレー駆動体42又はプランジャ41cの他方が切替スイッチ45a,46aの他方を押操作することにより、切替スイッチ45a,46aの接点状態が切り替わる。すると、信号入力端子47に入力されていた電気信号と切替スイッチ45a,46aの接点状態との関係が変化することにより、コイル41bへの通電が停止される。コイル41bへの通電が停止された後は、プランジャ41cの位置は永久磁石41fにより保持(ラッチ)される。
また、リレー部4のオン状態とオフ状態とが切り替わる際、リレー駆動体42の揺動に伴って表示体44が回動する。表示体44において、オン状態のときに上向きになる面には「ON」の表示が付され、オフ状態のときに上向きになる面には「OFF」の表示が付されている。
次に、本発明の特徴である増設ブロックSBについて説明する。各導電板61には、図9及び図10に示すように、それぞれ導電材料からなる端子板64が、例えば編組線62を介して電気的に接続されている。図11に示すように、器体5の前面には、それぞれ端子板64を引き出すための2個の貫通穴52aが前後に貫設されている。増設器体5’は、短絡検出部37の上側の貫通穴5e,5f及びこれらを閉塞するパネル55、回路遮断部3のハンドル31を露出させるハンドル挿通穴5d、並びに、端子板64を引き出すための貫通穴52aがいずれも設けられていない点と、図12及び図13に示すように端子板64を導入するための貫通穴51bが後面に設けられている点とを除いて、器体5と共通の構造を有する。増設器体5’において、器体5と共通する部分には同じ符号を付して説明を省略する。また、増設器体5’には、1組の出力端子2とが設けられるとともに、器体5と同様のリレー部4が収納されている。このリレー部4の固定接点40bは、メインブロックMBから導入されて増設器体5’内に保持される端子板64に設けられている。すなわち、増設ブロックSBのリレー部4の固定接点40bは、編組線62と端子板61とを介してメインブロックMBの回路遮断部3の固定接点30bに電気的に接続されている。以上により、増設ブロックSBの出力端子2は、メインブロックMBのリレー部4に対して独立して動作する増設ブロックSBのリレー部4と、メインブロックMBの回路遮断部3とを介して、メインブロックMBの入力端子1に接続されている。
上記構成によれば、メインブロックMBと増設ブロックSBとにそれぞれリレー部4が設けられていることにより、各出力端子2に接続された負荷を個別に制御することができる。すなわち、遠隔制御の要否や行われる遠隔制御の種別が互いに異なる2個の負荷を、負荷の種別毎に別々の出力端子2を用いることにより同時に接続することができる。従って、従来例のように負荷の種別毎に個別に回路遮断器を用意する必要がある場合に比べ、給電設備全体としてのコストが低減される。また、各導電板61にそれぞれ2個以上の端子板64を接続し、増設器体5’を2個以上設ければ、さらに多くの種類の負荷に対応することができる。
ここで、リレー部4によるオンオフを必要としない負荷を増設ブロックSBの出力端子2に接続する場合、図14に示すように増設ブロックSBにリレー部4を設けない構成をとってもよい。この場合、図15に示すように導電板61には例えば編組線62を介して出力端子2の端子板21を接続し、この出力端子2のみを増設器体5’に保持させる。また、増設器体5’において、表示穴5gや信号入力端子47を挿通するための穴は不要となる。この構成では、増設ブロックSBのリレー部4が不要となることにより製造コストが低減される。
(実施形態2)
本実施形態は、概略構成に関しては図1に示した実施形態1と共通である。すなわち、電源(図示せず)に接続される入力端子1と、それぞれ負荷(図示せず)に接続される2組の出力端子2と、入力端子1といずれかの出力端子2との間に過電流が流れたときに入力端子1と出力端子2との間の電路を遮断する回路遮断部3と、各出力端子2に対して1個ずつ設けられ対応する出力端子2と入力端子1との間の電路を外部から入力された電気信号に応じて開閉するリレー部4とを備える。また、入力端子1と1組の出力端子2とが設けられるとともに回路遮断部3と1個のリレー部4とを収納した器体5を有するメインブロックMBと、1組の出力端子2が設けられるとともに1個のリレー部4を収納した増設器体5’を有する増設ブロックSBとを備える。
本実施形態は、器体5及び増設器体5’の形状や、回路遮断部3及びリレー部4の構成が実施形態1とは異なる。以下、図16〜図19を参照して詳細に説明する。また、以下では、上下左右は図16(b)を基準とし、図16(a)における下上方向を前後方向と呼ぶ。
器体5の前面において、左右方向の中央部には、右側を左側よりも後方へ窪ませる段5hが設けられている。増設器体5’の前後方向の寸法は段5hの前後方向の寸法と略同じとしてあり、増設器体5’は段5hの右側に配置されている。また、増設器体5’の左右方向の寸法は、器体5における段5hよりも右側の部位の左右方向の寸法よりも小さくしてある。以上により、増設器体5’は、器体5の前面において段5hの右側に形成された凹部に収納される形となるから、本実施形態は全体として実施形態1よりもコンパクトとなっている。
入力端子1及び出力端子2の構成、並びに、入力端子1や出力端子2の付近における器体5及び増設器体5’の構造は、入力側仕切り53が設けられていない点を除けば実施形態1のものと略共通であるので、対応する構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、本実施形態の回路遮断部3及びリレー部4について、主に図17を参照して説明する。
まず、回路遮断部3について説明する。回路遮断部3は、ハンドル71と、連結体72と、可動接触子73と、ラッチ板74と、駆動体75と、過電流検出部76とを備える。ハンドル71は、例えば前後に突設された軸突起が器体5の内面に枢支されることにより器体5に対して左右に回動可能となっている。また、ハンドル71の一部は、器体5の上面に設けられたハンドル挿通穴5dを通じて器体5の外側に突出しており、ハンドル71が器体5に当接することによりハンドル71の回動範囲は制限されている。さらに、ハンドル71には、一端が器体5に連結されたねじりコイルばねからなりハンドル71を器体5に対して時計回りに付勢する復帰ばね71b(図18(a)参照)が連結されている。
連結体72は、一端がハンドル71の下端部に連結され他端が可動接触子73の中央に連結されたねじりコイルばねからなる接圧ばね72aと、略台形の金属板からなり接圧ばね72aの両端がそれぞれ挿通されたガイド板72bとからなる。接圧ばね72aにおいて、可動接触子73に連結された端部は、器体5の内面にガイドされて上下にスライド可能となっている。また、ガイド板72bにおいて、接圧ばね72aの可動接触子73に連結される端部が挿通される貫通穴は、ガイド板72bの底辺に沿った方向に長い長穴となっている。
可動接触子73は、例えば金属のような導電材料からなり、右端部の下面に可動接点30aが設けられ、編組線62を介して過電流検出部76の下端部に電気的に接続されている。また、器体5には、それぞれ可動接点30aが離接可能な位置に固定接点30bを保持する2個の端子板65が保持されている。
過電流検出部76はバイメタルからなり、器体5内に支持された導電板66に上端部が連結されることにより、長手方向を上下方向に向けて保持されるとともに、導電板66を介して一方の入力端子1に電気的に接続されている。他方の入力端子1は、別の導電板66を介して、板ばねからなり右端部の下面に可動接点30aが設けられた可動接触ばね77に電気的に接続されている。
ラッチ板74は、例えば金属板からなり、下端部が板ばね74bを介して過電流検出部76に連結されている。
駆動体75は、器体5の内面にガイドされて上下にスライド可能とされている。駆動体75の前後両面にはそれぞれ左右に開放された凹部75aが設けられており、後面の凹部75aには可動接触子73が挿通され、前面の凹部75aには可動接触ばね77が挿通されている。また、駆動体75の下面と器体5の上向きの内面との間には、圧縮コイルばねからなり駆動体75を器体5に対して上方へ付勢する開極ばね75bが設けられている。
回路遮断部3の動作を説明する。図17に示すように各可動接点30aがそれぞれ固定接点30bに接触導通したオン状態では、ハンドル71は可動範囲の限界まで反時計回りに回動している。この状態では接圧ばね72aのばね力の向きは略上下方向となっているが、接圧ばね72aにおいてハンドル71に連結された上端はハンドル71の回転軸よりも右側に位置してハンドル71により移動を禁止されているため、接圧ばね72aのばね力は可動接触子73に対して下向きに作用する。さらに、ラッチ板74の右面には係止突起74aが突設されており、この係止突起74aに可動接触子73の左端部が係止されることにより、可動接触子73の反時計回りの回動は禁止されている。以上により、可動接触子73は可動接点30aを固定接点30bに接触導通させる位置に保持されている。また、駆動体75は、可動接触子73を介して接圧ばね72aのばね力を受け、開極ばね75b及び可動接触ばね77をそれぞれ弾性変形させて可動接触ばね77に設けられた可動接点30aを固定接点30bに接触導通させている。
次に、ハンドル71が時計回りに回動操作され、接圧ばね72aにおいてハンドル71に連結された上端がハンドル71の回転軸よりも左側に至ると、接圧ばね72aのばね力はハンドル71を時計回りに回動させる方向に作用し始める。すると、可動接触子73に対して下向きに作用していた力が弱まり、駆動体75は開極ばね75b及び可動接触ばね77のばね力により上方に変位する。これに伴って可動接触子73は上方へ変位し、可動接触ばね77は復帰することにより、回路遮断部3は図18(a)に示すように各可動接点30aがそれぞれ固定接点30bから離れたオフ状態へと移行する。このオフ状態からハンドル71を反時計回りに回動操作すると、上記と逆の動作により回路遮断部3は再びオン状態へ戻る。
また、オン状態において、過電流検出部76に過電流が流れると、過電流検出部76は下端部を左方へ変位させるように変形する。これに伴ってラッチ板74が左方へ変位し、可動接触子73に対する係止突起74aの係止が解除される。すると、駆動体75は、開極ばね75b及び可動接触ばね77のばね力により、可動接触子73を反時計回りに回動させながら上方に変位する。この結果、回路遮断部3は図18(b)に示すように各可動接点30aがそれぞれ固定接点30bから離れた強制開極状態へと移行する。このとき、ハンドル71は復帰ばね71bのばね力により時計回りに回動している。
回路遮断部3を強制開極状態から復帰させるには、過電流検出部76が動作前の状態に復帰した後、一旦ハンドル71を更に時計回りに回動させるリセット操作を行う。すると、可動接触子73が上方へ変位して可動接触子73の左端部が再び係止突起74aに係止され、回路遮断部3はオフ状態に移行する。その後、ハンドル71を反時計回りに回動操作すれば、回路遮断部3をオン状態に復帰させることができる。
次に、リレー部4について説明する。リレー部4は、電磁石装置81と、磁性体からなり電磁石装置81に駆動されて電磁石装置81に対し左端部を上下に変位させる方向に回動可能なように電磁石装置81に連結された接極子82と、接極子82の左端部に連結され器体5又は増設器体5’の内面にガイドされて上下にスライド可能な駆動体83と、それぞれ板ばねからなり右端部が出力端子2の端子板21に電気的に接続され左端部の下面に可動接点40aが設けられた2個の可動接触子84と、可動接点40aが離接する固定接点40bとを備える。
駆動体83には、それぞれ左右に開放された2個の凹部83aが設けられており、各可動接触子84はそれぞれ凹部83aに挿通されることにより駆動体83に連動する。また、リレー部4は、例えばねじ端子からなり外部からの電気信号が入力される信号入力端子85と、信号入力端子85が実装されるとともに電磁石装置81のコイルの両端に電気的に接続されたプリント配線板86とを備える。また、プリント配線板86には、信号入力端子85に入力された電気信号に応じて電磁石装置81を駆動する駆動回路が実装されている。すなわち、接極子82が電磁石装置81に吸引されて左端部を上方へ変位させる状態と、接極子82が電磁石装置81に吸引されず駆動体83を介して可動接触子84のばね力を受けて左端部を下方へ変位させる状態とが、信号入力端子85に入力される電気信号に応じて切り替わるようになっている。電磁石装置81及び駆動回路は周知の技術で実現可能であるので、詳細な説明は省略する。
リレー部4の動作を説明する。接極子82が電磁石装置81に吸引されていない状態は、すなわち各可動接触子84がそれぞれ自身の弾性力により可動接点40aを固定接点40bに接触導通させているオン状態である。このオン状態では、接極子82は、駆動体83を介して可動接触子84のばね力を受け、左端部を電磁石装置81から下側へ離している。
オン状態において、接極子82が電磁石装置81に吸引されると、接極子82は時計回りに回動し、可動接触子84のばね力に抗して駆動体83を上方へ変位させる。すると、各可動接触子84はそれぞれ駆動体83に連動して弾性変形し、リレー部4は各可動接点40aがそれぞれ固定接点40bから離れたオフ状態に移行する。また、オフ状態において、接極子82に対する電磁石装置81の吸引力が失われると、リレー部4は可動接触子84のばね力によりオン状態に復帰する。
ここで、メインブロックMBのリレー部4の固定接点40bは、回路遮断部3の固定接点30bと共通の端子板65に設けられている。また、端子板65には段5hの右面から突出する端子部65aが設けられており、増設ブロックSBのリレー部4の固定接点40bは、増設器体5’の左面から突出して端子部65aに接続される端子部67aを有する端子板67に設けられている。メインブロックMBの端子部65aにはねじ穴(図示せず)が設けられ、図19(a)(b)に示すように増設ブロックSBの端子部67aには上下方向と左方向とに開放された切り欠き67bが設けられており、上記ねじ穴に螺合したねじ65bを上記切り欠き67bに導入してねじ65bを締め付けることにより、端子部65a,67a同士を互いに連結することができる。
増設ブロックSBの端子部67aの突出寸法と増設器体5’の左右方向の寸法との合計は、段5hの右側における器体5の左右方向の寸法と略同じとしてある。従って、端子部65a,67a同士が連結された状態では、図16(a)に示すように器体5と増設器体5’との右端面同士は互いに略面一となる。これにより、本実施形態を上方から見ると略矩形状となるから、上方から見て矩形以外の形状とする場合に比べて見栄えが改善される。また、分電盤などの取付面(図示せず)に下面を向けて取り付ける場合に、隙間のない配設が容易となる。
上記構成によれば、実施形態1と同様の効果に加え、端子部65a,67aを設けたことにより、メインブロックMBに対して増設ブロックSBを容易に着脱可能となる。また、メインブロックMBに増設ブロックSBを取り付ける代わりに端子部65aを送り端子として用いることもできる。
なお、図20(a)(b)に示すように、器体5にはリレー部4や出力端子2を設けずに入力端子1及び回路遮断部3のみを設け、各リレー部4及び出力端子2を個別に増設器体5’に設けてもよい。すなわち、この場合、メインブロックMBは請求項における回路遮断ブロックであり、増設ブロックSBは請求項におけるリレーブロックであり、器体5及び増設器体5’はそれぞれ請求項における遮断部器体及びリレー器体であり、メインブロックMBの端子部65aは請求項における接続端子であり、増設ブロックSBの端子部67aは請求項における被接続端子である。この構成を採用すれば、いずれかのリレー部4に故障が発生したときには増設ブロックSBを交換するだけで容易に対応することができる。また、図20(a)(b)の例では、一方の端子部65aを扁平なバー形状とするとともに、他方の端子部67aを、バー形状の端子部65aを厚さ方向の両側から弾性的に挟持するΩ字形状のいわゆるプラグイン端子としている。これにより、ねじ65bの締め付けが不要となり、増設ブロックSBの着脱が容易となっている。さらに、各端子部65a,67aは極毎に異なる上下位置に配置されており、ライン側はニュートラル側よりも上に配置されている。また、同じ極の端子部65a,67aが保持される上下位置は、メインブロックMBと増設ブロックSBとで共通としてある。これにより、メインブロックMBの端子部65aを特に分岐などさせるなど複雑な形状とすることなく、前後方向の寸法を大きくしただけで複数組の端子部67aを接続可能としている。
また、実施形態1及び本実施形態において、メインブロックMBと増設ブロックSBとの一方又は両方に出力端子2やリレー部4を複数組設けてもよい。