従来、例えば特許文献1に示されるようなラッチング形のリモコンリレーが提供されている。
このリモコンリレーは、一巻線型のコイルを有しこのコイルへの通電方向に応じてプランジャが進退する有極電磁石と、プランジャの進退動作に応じて接点部のオン/オフを切り替える開閉機構部とを備えている。
図9(a)〜(c)は開閉機構部の要部を示す。この開閉機構部は、プランジャ(図示せず)の進退に応じて可動接触子40を揺動させることで、可動接触子40に固着された可動接点41を固定接点51に接触又は開離させる連動レバー32と、接圧ばね35とを備えている。
連動レバー32は絶縁性の合成樹脂成形品からなり、プランジャの先端部に取り付けた軸ピン(図示せず)が、本体部32aの軸孔32bに挿入されることによって、プランジャの先端部に回転自在に連結されている。また連動レバー32は、有極電磁石のコイル枠(図示せず)に保持された軸ピン(図示せず)を、本体部32aの中間部に設けられた軸孔32eに挿入させることによって、コイル枠に回転自在に支持されている。したがって、コイルへの通電方向に応じて、プランジャが図9(b)中の左右方向に進退すると、連動レバー32は軸孔32eに挿入された軸ピンを中心として揺動するのである。
図9(b)に示すように連動レバー32の本体部32aの左側には可動接触子40が配置されており、本体部32aには、可動接触子40との対向面が開口する略コ型のばね受け部38が設けられている。ばね受け部38は、コイルばねからなる接圧ばね35の一端部を保持する。接圧ばね35の他端は、本体部32aとばね受け部38との間に挿入される可動接触子40に接触する。
可動接触子40は長尺の板金からなり、長手方向の一端部(下端部)には可動接点41が固着され、他端側(上端側)には編組銅線よりなる可撓電線42の一端が固着されている。可動接触子40の上端部は前側に折り曲げられ、この折曲部40aに設けられた切欠溝40bに可撓電線42は差し込まれる。可撓電線42は、可動接触子40との固着部位から上側に導かれて、切欠溝40bに挿入された後、下側に曲げ返され、その先端はケース10内に固定された端子板(図示せず)に固着されている。
また、可動接触子40の長手方向の中間部には、接圧ばね35のばね座となる突部(図示せず)が設けられ、この突部よりも下方には、連動レバー32の位置決め突起32cが挿入される貫通孔40cが設けられている。
連動レバー32には、位置決め突起32cの側方に、表面が湾曲して可動接触子40が当接する支点突起32dが設けられており、この支点突起32dに可動接触子40が当接するようになっている。
而して、本体部32aとばね受け部38の間に可動接触子40を配置し、位置決め突起32cを貫通孔40cに挿入し、ばね受け部38に一端が保持された接圧ばね35の他端を可動接触子40に保持させることで、可動接触子40が連動レバー32に保持される。
ここで、コイルへの通電に応じてプランジャが図9(b)中の左側へ移動すると、連動レバー32が軸孔32eを中心として図9(b)中の時計回りに回転し、可動接点41が固定接点51に接触する。可動接触子40は支点突起32dに当接しており、接圧ばね35によって支点突起32dを中心として右回りに回転する力が付与されているから、可動接点41の固定接点51に対する接触圧が接圧ばね35によって得られることになる。
一方、コイルへの通電方向が切り替えられてプランジャが図9(b)中の右側へ移動すると、連動レバー32が軸孔32eを中心として図9(b)中の反時計回りに回転し、可動接点41が固定接点51から開離する。
本発明の技術思想を、遠隔監視制御システムに用いられるラッチング形のリモコンリレーに適用した実施形態について図1〜図8に基づいて説明する。尚、以下の説明では特に断りがないかぎり、図3に示す向きにおいて上下左右の方向を規定する。
図2はリモコンリレー1の分解斜視図であり、このリモコンリレー1のケース10は、分電盤協約寸法として規格化されている1個モジュール寸法(単位寸法)に設定されている。このケース10は、幅方向の一面が開口した略箱状の合成樹脂成形品からなるボディ11と、ボディ11の開口を覆う合成樹脂成形品からなるカバー12とで構成される。ボディ11およびカバー12にはそれぞれ複数の組立孔13,14が形成されている。これらの組立孔13,14にカバー12側からかしめピン15を挿入し、ボディ11におけるカバー12とは反対側の側面に突出するかしめピン15の先端部をかしめることによって、ボディ11とカバー12とが結合される。
図2及び図3に示すように、ケース10の内部には、コイルへの通電に応じてプランジャが進退(前進又は後進)する有極電磁石20(電磁石装置)と、プランジャの進退動作に応じて接点部のオン/オフを切り替える開閉機構部70が収納されている。
図1及び図2に示すように、有極電磁石20は、コイル25と、コイル枠26と、プランジャ27と、接極子28a,28bと、レシジュアルプレート29と、ヨーク30と、永久磁石23,23と、補助ヨーク24,24とを主要な構成として備える。
ヨーク30は、全体として四角筒状をなし、プランジャ27の進退方向(図3の左右方向)において2分割された2個の分割ヨーク31A,31Bで構成される。2個の分割ヨーク31A,31Bは磁性材料により同一の形状に形成されており、矩形板状の中央片31aと、中央片31aの両側縁から一方向にそれぞれ突出する脚片31b,31bとで、略コ形に形成されている。各分割ヨーク31A,31Bの中央片31aには、プランジャ27の前端側又は後端側が挿入される挿入孔31cが設けられている。2個の分割ヨーク31A,31Bは、プランジャ27の進退方向に並べて、脚片31bの先端面同士が所定のギャップを介して対向するように配置され、全体として四角筒状をなしている。両分割ヨーク31A,31Bの脚片31b,31bの内側面には、永久磁石23の一方の磁極が、2個の分割ヨーク31A,31Bに跨るように当接している。この永久磁石23の他方の磁極には、磁性材料により略板状に形成された補助ヨーク24の一面が接触している。
2個の補助ヨーク24は、コイル枠26に巻かれたコイル25を、上下両側から囲むように配置されている。コイル枠26は絶縁材料により形成され、コイル25が巻かれる筒状の巻胴部26aと、巻胴部26aの軸方向両端部に設けられた板状の鍔部26bと、両鍔部26bの上下方向に沿う両側縁から巻胴部26aと反対側に突出する板状の側部26cとを備える。巻胴部26aの筒内には、磁性材料により形成されたプランジャ27が、コイル枠26の軸方向において進退自在に挿入されている。プランジャ27の両端部は中央部に比べて幅が狭くなっており、磁性材料から矩形板状に形成された接極子28a,28bの嵌合孔にプランジャ27の左右方向の端部をそれぞれ圧入することで、プランジャ27の両端部に接極子28a,28bがかしめ固定される。接極子28aは、プランジャ27の前進時に左側の分割ヨーク31Aの中央片31aに当接することによって、プランジャ27の前方(図3の左側)への移動範囲を規制する。この時、他方の接極子28bが補助ヨーク24と接触することで、接極子28a−ヨーク30−永久磁石23−補助ヨーク24−接極子28b−プランジャ27の経路で閉磁路が形成されるので、プランジャ27はその位置で保持される。また接極子28bは、プランジャ27の後進時に右側の分割ヨーク31Bの中央片31aに当接することによって、プランジャ27の後方(図3の右側)への移動範囲を規制する。この時、他方の接極子28aは補助ヨーク24の左端部に微少なギャップを介して対向し、接極子28b−ヨーク30−永久磁石23−補助ヨーク24−接極子28a−プランジャ27の経路で閉磁路が形成されるので、プランジャ27はその位置で保持される。
ここで、コイル25は1巻線型であって、コイル25への通電方向に応じてプランジャ27が前進又は後進する。そして、接極子28a又は28bがヨーク30に当接する位置までプランジャ27が前進又は後進すると、コイル25への通電が停止されても、永久磁石23の磁力によってプランジャ27が停止位置で保持されるのである。
この有極電磁石20は、図2及び図3に示すように、ボディ11におけるカバー12との対向面に突設された仕切片11a,11bの間に配置される。有極電磁石20と仕切片11bとの間には、板ばねよりなる緩衝ばね16が取り付けられており、有極電磁石20は仕切片11aに押し付けられた状態で収納されている。したがって、緩衝ばね16で有極電磁石20が位置決めされるとともに、プランジャ27の進退に伴う振動が緩衝ばね16によって緩和されることになる。
次に、有極電磁石20が備えるプランジャ27の前進動作又は後進動作に応じて、後述する接点部r1のオン/オフを切り替える開閉機構部70について説明する。
開閉機構部70は、プランジャ27の進退に応じて接点部r1のオン/オフを切り替えるものであり、プランジャ27の進退に応じて回転する連動レバー32と、接点部r1に接圧を与える接圧ばね35を備える。
連動レバー32は絶縁性の合成樹脂成形品からなり、プランジャ27の先端部(図3中の左端部)に取り付けた軸ピン33が軸孔(図示せず)に挿入されることによって、プランジャ27の先端部に回転自在に連結されている。また連動レバー32は、コイル枠26に設けた一対の支持片26dに通された軸ピン34を、中間部に設けられた軸孔(図示せず)に通すことで、コイル枠26に回転自在に支持されている。軸ピン33,34は互いに平行であって、プランジャ27が前進又は後進することによって、連動レバー32が軸ピン34を中心に揺動するのである。
図1(b)及び図3に示すように、連動レバー32の本体部32aの左側には可動接触子40が配置されている。可動接触子40は連動レバー32に保持され、連動レバー32の回転動作に応じて、連動レバー32とともに回転する。可動接触子40は長尺の板金からなり、長手方向の一端側(下端側)には可動接点41が固着され、他端側(上端側)には編組銅線よりなる可撓電線42の一端が固着されている。可動接触子40の上端部は前側に折り曲げられ、この折曲部40aに設けられた切欠溝40bに可撓電線42の中間部が差し込まれている。
可撓電線42は、可動接触子40との固着部位から上側に導かれて切欠溝40bに挿入された後、下側に曲げ返されて、その先端はケース10内の下側位置に固定された端子板43に固着されている。この端子板43には座金付きの端子ねじ44が取り付けられており、端子ねじ44はケース10の外部に露出している。ここで、可撓電線42は、連動レバー32及び可動接触子40の揺動動作を妨げないように、連動レバー32及び可動接触子40とケース10の内面との間に通されている。尚、本実施形態では切欠溝40bがボディ11側に開口しているので、可撓電線42は、切欠溝40bに挿通された部位からカバー12側に曲げ返されて、連動レバー32及び可動接触子40とカバー12の内面との間に通されている。そして、図1に示すように、ケース10(本実施形態ではカバー12)の内面には、下側に曲げ返された可撓電線42に当接して、可撓電線42から可動接触子40に加わる張力を低減させるリブ12aが前後方向に沿って形成されている。
また連動レバー32の本体部32aには、可動接触子40との対向面が開口する略コ型のばね受け部38が一体に設けられている。このばね受け部38はコイルばねからなる接圧ばね35の一端側を保持し、接圧ばね35の他端側は、本体部32aとばね受け部38との間に挿入される可動接触子40に接触する。可動接触子40の長手方向の中間部には、接圧ばね35のばね座となる突部(図示せず)が設けられ、この突部よりも下方には、連動レバー32の位置決め突起32cが挿入される貫通孔40cが設けられている。また、連動レバー32には、位置決め突起32cの側方に、表面が湾曲して可動接触子40が当接する支点突起32dが設けられ、この支点突起32dに可動接触子40が当接するようになっている。
また連動レバー32の上端には、ケース10に開口する表示窓10aに臨む表示片36が一体に設けられている。プランジャ27の進退動作に応じて連動レバー32が回転すると、表示窓10aから露出する表示片36の部位が変化する。接点部r1のオン時に表示窓10aから露出する表示片36の部位には例えば「ON」などの文字が表記され、接点部r1のオフ時に表示窓10aから露出する表示片36の部位には例えば「OFF」などの文字が表記されている。さらに、表示片36において「ON」、「OFF」の文字の間であって、表示窓10aから常時露出している部位には、操作溝36aが形成されている。而して、ドライバの先端部などの工具を表示窓10aに挿入して操作溝36aに係合させることによって、ケース10の外部から連動レバー32を手動で揺動させることができ、連動レバー32の手動操作に応じて接点部r1を開閉できるようにしてある。
可動接点41に対向する固定接点51は、ボディ11に取り付けられた固定端子板50の一端部に固着され、可動接触子40の回転に応じて可動接点41と接触又は開離する。固定端子板50の他端部はケース10の外部に露出しており、この露出部位には座金付きの端子ねじ52が取り付けられている。ここにおいて、可動接点41と固定接点51とで接点部r1が構成され、本実施形態のリモコンリレー1は1極の接点部r1を備えている。尚、端子板43と固定端子板50はケース10の幅方向に並べて収納されており、両者の間には絶縁性の合成樹脂からなる隔壁18が取り付けられ、端子板43と固定端子板50の間の絶縁を確保している。
ところで、上述した有極電磁石20のコイル25は1巻線型であるので、プランジャ27を進退させるには、コイル25への通電方向を反転させる必要がある。したがって、図7(b)に示すように、コイル25には2種類の給電経路を択一的に選択する切替接点r2が接続され、かつ切替接点r2により選択された各給電経路にはそれぞれ逆流阻止要素としてのダイオードD1,D2が接続されている。ダイオードD1,D2における切替接点r2と反対側の端子は共通に接続されている。ダイオードD1,D2は各給電経路を通過する電流が互いに逆向きになる関係に接続され、一方の給電経路で切替接点r2→コイル25の向きに電流が流れるとすれば、他方の給電経路ではコイル25→切替接点r2の向きに電流を流すようになっている。また、一方のダイオードD2のアノードと切替接点r2の共通接点との間にはコンデンサCと抵抗Rとの直列回路であるリセット用の微分回路が接続される。この回路構成により、有極電磁石20のコイル25への通電方向が切り替えられることによって、可動接点41と固定接点51とからなる接点部r1を開閉することができる。
上述のようにコイル25への通電方向が切替接点r2により選択されるから、コイル25への通電時にプランジャ27の進退の位置が逆転するような通電方向が選択されるように切替接点r2をプランジャ27の進退に応じて切り換える必要がある。すなわち、プランジャ27の進退と切替接点r2とを連動させる必要がある。そこで、このリモコンリレー1では、連動レバー32に接点操作片37が設けられ、この接点操作片37によって切替接点r2の切替操作を行っている。
切替接点r2及びその切替回路を有する切替回路ブロック60は、有極電磁石20の上面に載置される樹脂成形品の基台61に、切替接点r2や、切替接点r2の切替回路が形成された接点基板(図示せず)を保持させている。基台61には、2枚の固定接点板63a,63bと、各固定接点板63a,63bにそれぞれ対向する可動接点板64a,64bとが取り付けられている。この基台61の周部には切欠61aが設けられ、コイル枠26から上方に突設されたリブ26fを切欠61aに係合させた状態で、両者を熱着することによって、基台61がコイル枠26に固定される。可動接点板64a,64bは、略コ形の接点支持板64の両脚片にそれぞれ設けられ、対応する固定接点板63a,63bに対して接触する向きのばね力を有している。ここで、連動レバー32の接点操作片37は可動接点板64a,64bの間に挿入されている。そして、連動レバー32がプランジャ27の進退に伴って揺動すると、連動レバー32の前進位置及び後進位置では、何れか一方の可動接点板64a,64bが接点操作片37に押されて、固定接点板63a,63bから離れ、通電方向が切り替えられるのである。
また基台61には一対のコイル端子板65が取り付けられ、各コイル端子板65には座金付きの端子ねじ66が設けられている。したがって、コイル端子板65を通して入力される外部信号を受けてコイル25に通電すると、通電方向に応じてプランジャ27が進退するのである。
次に、このリモコンリレー1の動作を説明する。まず、プランジャ27が前方(図3中の左側)へ突出する向きにコイル25が通電されると、プランジャ27の突出に伴って連動レバー32が軸ピン33を中心として図3中の時計回りに回転し、可動接点41が固定接点51に接触する。ここで、可動接触子40は支点突起32dに当接しており、接圧ばね35によって支点突起32dを中心として右回りに回転させる力が付与されているから、可動接点41の固定接点51に対する接触圧が接圧ばね35によって得られることになる。また、連動レバー32の回転に伴い、可動接点板64bが接点操作片37に押されることによって、可動接点板64bが固定接点板63bから離れた状態となる。この時、コイル25への通電方向としてプランジャ27を後進させる向きのみが許可された状態になるため、コイル25への通電が停止されるが、永久磁石23の磁力によって、接点部r1の閉極状態が維持される。
一方、コイル25への通電方向を反転させると、プランジャ27が後進、つまり図3中の右側に移動して、連動レバー32が軸ピン33を中心に図3中の反時計回りに回転するから、可動接点41が固定接点51から離れて接点部r1が開極する。また、連動レバー32の回転に伴い、可動接点板64aが接点操作片37に押されることによって、可動接点板64aが固定接点板63aから離れた状態となる。この時、コイル25への通電方向としてプランジャ27を前進させる向きのみが許可された状態となるため、コイル25への通電が停止されるが、永久磁石23の磁力によって、接点部r1の開極状態が維持される。
上述のように、本実施形態のリモコンリレー1は、コイル25への通電に応じてプランジャ27が進退する有極電磁石20と、プランジャ27の進退に応じて回転する連動レバー32を備えている。この連動レバー32には、可動接点41を具備する可動接触子40が保持され、可動接触子40はプランジャ27の進退動作に応じて連動レバー32とともに回転し、連動レバー32の回転に応じて可動接点41が固定接点51と接触又は開離する。この可動接触子40には可撓電線42の一端側が固着され、可撓電線42の他端側は定位置に固定された端子板43に固着される。そして、本実施形態のリモコンリレー1では、可撓電線42の張力による可動接触子40の傾きを抑制する傾き抑制手段としてリブ12a(突起)がカバー12の内面に設けられている。
これにより、可撓電線42の張力によって可動接触子40の上部がカバー40側に引っ張られたとしても、リブ12aが可撓電線42と当接して、可撓電線42を押さえることによって、可撓電線42から可動接触子40に加わる張力を低減することができる。したがって、可撓電線42の張力による可動接触子40の傾きを低減でき、可動接触子40に設けた可動接点41と固定接点51との接触位置が安定するから、接圧が安定する。また接点バウンスが起こりにくくなるから、可動接点41及び固定接点51の消耗に偏りができにくくなって、開閉寿命の低下を抑制できる。尚、本実施形態では可撓電線42の中間部が、可動接触子40の切欠溝40bに通された後、下側に曲げ返されており、切欠溝40bはカバー12側に開口しているので、リブ12aはカバー12に設けられている。したがって、可撓電線42を通す切欠溝40bがカバー12側に開口している場合は、ボディ11側に傾き抑制手段としての突起が設けられればよい。すなわち、ケース10の内面において可撓電線42が曲げ返された側に突起を設けておけば、この突起が可撓電線42と当接して、可撓電線42に加わる張力を低減することができる。
ところで、上述の実施形態では傾き抑制手段としての突起がケース10の内面に設けられているが、ケース10の内面以外に傾き抑制手段を設けてもよい。例えば、図5に示すように、可撓電線42に当接することで、可撓電線42から可動接触子40に加わる張力を低減するリブ32fが連動レバー32と一体に設けられてもよい。傾き抑制手段としてのリブ32f(突起)は、連動レバー32の本体部32aの右側縁に設けられ、略L字形に形成されて、その先端部は前方に突出する。而して、可動接触子40の切欠溝40bに中間部を通され、下側に曲げ返された可撓電線42は連動レバー32と一体に設けられたリブ32fに当接し、リブ32fによって可撓電線42から可動接触子40に加わる張力が低減される。
これにより、可撓電線42の張力によって可動接触子40の上部がカバー40側に引っ張られたとしても、リブ32fが可撓電線42と当接して、可撓電線42を押さえることによって、可動接触子40に加わる張力を低減することができる。したがって、可撓電線42の張力による可動接触子40の傾きを抑制することができ、可動接触子40に設けた可動接点41と固定接点51との接触位置が安定するから、接圧が安定する。また接点バウンスが起こりにくくなるから、可動接点41及び固定接点51の消耗に偏りができにくくなって、開閉寿命の低下を抑制できる。
また上述のリモコンリレー1では、傾き抑制手段が可撓電線42に当接することで、可撓電線42から可動接触子40に加わる張力を低減しているが、傾き抑制手段としての突起が可動接触子40に当接することで、可動接触子40の傾きを直接抑制してもよい。すなわち、図6(a)(b)に示すように、ボディ11の内面には、可動接触子40の下端側の部位に当接するリブ11cが前後方向に沿って設けられている。
これにより、可撓電線42の張力を受けて、可撓電線42を曲げ返した方向に可動接触子40の上部が引っ張られたとしても、可動接触子40の下端側の部位にリブ11cが当接することで、可動接触子40の傾きを抑制することができる。したがって、可動接触子40に設けた可動接点41と固定接点51との接触位置が安定するから、接圧が安定し、また接点バウンスが起こりにくくなるから、可動接点41及び固定接点51の消耗に偏りができにくくなって、開閉寿命の低下を抑制できる。さらに、可撓電線42にリブ12aやリブ32fを当接させる場合は可撓電線42がこすれて摩耗する可能性があるが、図6の形態ではリブ11cを可動接触子40に当接させているので、可撓電線42がこすれて摩耗することはない。
次に、上述のリモコンリレー1が使用される遠隔監視制御システムについて図7(a)及び図8を参照して説明する。
図7(a)は遠隔監視制御システムの概略的なシステム構成図である。本システムでは、2線式の伝送線L1に、伝送ユニット100と、操作スイッチSW1,SW2の状態を監視する操作用端末器101と、上述のリモコンリレー1により照明器具のような負荷104への給電を制御する制御用端末器102とが接続されている。ここで、図7(a)中の103はリレー駆動用の電源トランスである。尚、図7(a)のシステム構成図では、操作用端末器101および制御用端末器102が1台ずつしか接続されていないが、各端末器101,102の台数はシステムの規模に応じて適宜変更が可能である。
この遠隔監視制御システムでは、伝送ユニット100から図8(a)に示すような形式を有した伝送信号Vsを送出することにより、各端末器101,102との間でデータの授受を行う。伝送信号Vsは、スタートパルスST、信号のモードを示すモードデータMD、アドレスデータAD、負荷104の制御内容を示す制御データCD、エラー訂正符号CS、各端末器101,102から返送信号を返送するための返送待機期間WTからなる。この伝送信号Vsは複極性(±24V)の時分割多重信号であり、パルス幅変調によってデータが伝送される。
各端末器101,102では、2線式の伝送線L1を介して受信された伝送信号VsのアドレスデータADに含まれるアドレスが、予め設定された自己のアドレスと一致したときに、その伝送信号Vsの制御データCDを取り込む。また各端末器101,102は、受信した伝送信号Vsが自機宛ての場合、伝送信号Vsの返送待機期間WTに同期して返送信号を電流モード信号(伝送線L1の線間を適当な低インピーダンスを介して短絡して送出される信号)として返送する。
操作用端末器101では、監視対象の操作スイッチSW1,SW2が操作されると、通常時に伝送されてくる伝送信号Vs(図8(b)参照)のスタートパルスSTに同期して、図8(c)に示すように割り込み信号Viを電流モードにより送出する。
つまり伝送ユニット100は、信号送信手段と、割り込み処理手段とを備え、信号送信手段により、モードデータMDをポーリングモードとして常時監視する対象の端末器或いはダミーのアドレスデータADを持つ伝送信号Vsを常時送出する。また、ポーリングモードにおいて割り込み信号Viが受信されると、伝送ユニット100の割り込み処理手段はグループアドレスを持つ伝送信号Vsを順次送信し、割り込み信号Viを送信した操作用端末器101を検出する。尚、グループアドレスとは、操作用端末器101をグループ単位で識別するために用いられるアドレスである。
割り込み信号Viを送出した操作用端末器101は、自己が属するグループアドレスのアクセス時に自己のアドレスを返送待機期間WTに返送信号として返送する。この返送信号を受信した伝送ユニット100では、送られてきたアドレスデータをもとに割り込み信号Viを発生した操作用端末器101を特定する。割り込みをかけた端末器が特定されると、伝送ユニット100は、この操作用端末器101をアクセスする伝送信号Vsを送出し、当該操作用端末器101から返送待機期間WTに操作スイッチSW1…の操作データを監視データとして返送させる。
伝送ユニット100では、一連の割り込み処理を経て監視データを受信すると、当該操作用端末器101と予め対応付けられた制御用端末器102への制御データCDを監視データに基づいて作成する。そして、伝送ユニット100は、作成した制御データCDを、当該制御用端末器102のアドレスデータADとともに伝送信号Vsにより時分割多重伝送する。この伝送信号Vsによりアクセスされた制御用端末器102は、制御データCDの制御内容に応じたリモコンリレー1を制御駆動して、そのリレー接点により負荷104への電源供給をオン/オフする。
このように遠隔監視制御システムでは操作用端末器101の操作スイッチSW1…の操作に応じて、対応する制御用端末器102によりリモコンリレー1を介して負荷104への電源供給をオン/オフすることができるのである。
このリモコンリレーにおいて、傾き抑制手段は、ケースの内面に設けられ、可動接触子に当接することによって、この可動接触子の傾きを抑制する突出部からなることも好ましい。