以下、実施形態に係る端子装置及び開閉器について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(1)概要
本実施形態の開閉器1は、例えば、分電盤に組み込まれる。開閉器1は、図1、図2に示すように、端子装置4と、2つの可動接点21a、21bと、ハンドル11(駆動部)とを備えている。端子装置4は、速結端子を含んでいる。端子装置4は、2つの可動接点21a、21bと一対一で対応する2つの固定接点41a、41b(第1の接点)を備えている。ハンドル11は、各可動接点21a、21b(第2の接点)を、対応する固定接点41a、41bに接した状態と離れた状態とのうちいずれかの状態にする。すなわち、ハンドル11に対して手動操作がされることにより、各可動接点21a、21bが変位して、各可動接点21a、21bが固定接点41a、41bに接する又は固定接点41a、41bから離れる。
図3に示すように、端子装置4は、2つの固定接点41a、41bに加えて、2つの第1の端子部品5a、5bと、2つの第2の端子部品9a、9bと、2つの錠ばね7と、2つの復帰部材42とを備えている。また、端子装置4は、支持部材8と、2つの回転部材6a、6bとを更に備えている。支持部材8の板状の基台81を挟んで両側には、固定接点41a(又は41b)、第1の端子部品5a(又は5b)、第2の端子部品9a(又は9b)、錠ばね7、回転部材6a(又は6b)及び復帰部材42が1つずつ配置されている。以下では、2つの固定接点41a、41bについて、基台81を挟んで両側のうちどちら側の部材であるかを区別しない場合に、それぞれ固定接点41と呼ぶことがある。同様に、2つの第1の端子部品5a、5b、2つの第2の端子部品9a、9b及び2つの回転部材6a、6bについても、それぞれ第1の端子部品5、第2の端子部品9及び回転部材6と呼ぶことがある。以下では、特に断りの無い限り、基台81の両側のうち一方側に配置された固定接点41、第1の端子部品5、第2の端子部品9、錠ばね7、回転部材6及び復帰部材42に着目して説明する。
図4に示すように、端子装置4は、電線400を保持可能に構成されている。電線400は、芯線401と、芯線401を覆う絶縁被覆402とを有している。電線400のうち、第1の端子部品5の後述の電線当接部51と接する先端付近では、絶縁被覆402が除かれて芯線401が露出している。本実施形態の電線400は単心の電線であるが、電線400としてより線を用いてもよい。
第1の端子部品5は、電線400と固定接点41との間の電路として設けられている。第1の端子部品5は、電線400に接する電線当接部51を有している。「当接」とは、接触することである。電線当接部51は、電線400(芯線401)に接することで、電線400に電気的に接続される。また、第1の端子部品5は、固定接点41に結合されている。これにより、第1の端子部品5は、固定接点41に電気的に接続されている。ここで、第1の端子部品5が固定接点41に結合されているとは、第1の端子部品5に固定接点41が取り付けられている場合と、第1の端子部品5と固定接点41とが一体に形成されている場合とを含む。
第2の端子部品9は、錠ばね7を配置するために設けられている。第2の端子部品9は、電線当接部51に対向する対向部91を有している。錠ばね7は、電線当接部51と対向部91との間に配置されている。錠ばね7は、電線当接部51との間に電線400を保持する。これにより、電線400と、第1の端子部品5の電線当接部51とが電気的に接続されるので、電線400は、第1の端子部品5を介して固定接点41に電気的に接続される。
第1の端子部品5は、第2の端子部品9よりも導電率が高い。より詳細には、第1の端子部品5は、第2の端子部品9とは異なる材料により形成されている。第1の端子部品5は、一例として、銅系材料(銅又は銅合金等)により形成されている。第2の端子部品9は、一例として、鉄鋼材料により形成されている。
本実施形態の端子装置4では、第1の端子部品5の導電率と第2の端子部品9の導電率とが同じ場合と比較して、第1の端子部品5を構成する材料(銅系材料)の量(例えば、重量)を低減できる。あるいは、第2の端子部品9を構成する材料(鉄鋼材料)の量(例えば、重量)を低減できる。ここでは、第1の端子部品5を構成する銅系材料の重量の低減を目的として、第2の端子部品9を銅系材料とは異なる材料により形成している。つまり、端子装置4において銅系材料が占める重量を低減させることができる。
また、第1の端子部品5と第2の端子部品9とが単一の部材により代替され第1の端子部品5に相当する部位の導電率と第2の端子部品9に相当する部位の導電率とが同じ場合(特許文献1の構成の場合)を仮定する。この場合と比較しても、端子装置4では、第1の端子部品5又は第2の端子部品9を構成する材料の量(例えば、重量)を低減できる。
端子装置4は、2つの位置決め部98、99(図1参照)を備えている。2つの位置決め部98、99の各々は、第1の端子部品5と接した状態で第1の端子部品5を位置決めする。これにより、第1の端子部品5の電線当接部51と第2の端子部品9の対向部91との間の距離が保たれる。そのため、錠ばね7に力が加わっていない場合に、電線当接部51と対向部91との間に配置された錠ばね7と、電線当接部51との間の距離が保たれる。その結果、電線当接部51と錠ばね7との間に電線400が挿入された場合に、電線400と錠ばね7との接圧を所定範囲内の大きさにすることができる。つまり、電線400と錠ばね7との接圧を管理できる。よって、電線当接部51と電線400との接触不良が生じる可能性及び、電線当接部51と錠ばね7との間から電線400が抜ける可能性を低減できる。また、電線当接部51と錠ばね7との接圧が過剰となり電線400が変形する可能性を低減できる。
(2)開閉器及び端子装置の構成の詳細
(2-1)開閉器
図2、図5に示すように、開閉器1は、端子装置4と、2つの可動接触子22a、22bと、2つの入力端子23a、23bと、器体3と、ハンドル11と、過電流引外し装置12とを備えている。
器体3は、器体3の約半分を構成する第1ボディ30aと、器体3の残りの約半分を構成し第1ボディ30aが結合される第2ボディ30bと、を有している。器体3は、端子装置4と、2つの可動接触子22a、22bと、2つの入力端子23a、23bと、ハンドル11の一部と、過電流引外し装置12とを収容している。
図2に示すように、2つの可動接触子22a、22bの各々は、板状である。可動接点21aは、可動接触子22aに固定されている。可動接点21bは、可動接触子22bに固定されている。可動接点21aは、固定接点41aに対向している。可動接点21bは、固定接点41bに対向している。
以下では、可動接点21aと固定接点41aとが並んでいる方向を前後方向とし、固定接点41aから見て可動接点21a側を前とし、可動接点21aから見て固定接点41a側を後ろとする。可動接点21bは、固定接点41bに対して前に位置している。また、第1ボディ30a(図5参照)と第2ボディ30bとが並んでいる方向を上下方向とし、第2ボディ30bから見て第1ボディ30a側を上とし、第1ボディ30aから見て第2ボディ30b側を下とする。
2つの入力端子23a、23bの各々は、例えば、刃受ばねである。2つの入力端子23a、23bの各々は、弾性力により導電バーを挟むことができる。分電盤のキャビネット内には、導電バーとしての第1、第2、第3の導電バーが前後方向に並んで配置される。2つの入力端子23a、23bはそれぞれ、第1、第3の導電バーを介して外部電源に電気的に接続される。なお、2つの入力端子23a、23bの配置は、図2の態様に限定されない。例えば、2つの入力端子23a、23bは、それぞれ第1、第2の導電バー(又は第2、第3の導電バー)を介して外部電源に電気的に接続される位置に配置されてもよい。入力端子23aは、過電流引外し装置12に電気的に接続されている。過電流引外し装置12は、可動接触子22aに電気的に接続されている。入力端子23bは、可動接触子22bに電気的に接続されている。
ハンドル11と可動接触子22a、22bとは、駆動機構を介して互いに機械的に接続されている。このため、ハンドル11に対して操作がされると、可動接触子22a、22bが駆動され、可動接点21a、21bが前後に動かされる。これにより、可動接点21aは、固定接点41aに接した状態と固定接点41aから離れた状態とのうちいずれかの状態を取り得る。さらに、可動接点21bは、固定接点41bに接した状態と固定接点41bから離れた状態とのうちいずれかの状態を取る。つまり、ハンドル11(駆動部)は、固定接点41a、41b(第1の接点)と可動接点21a、21b(第2の接点)とのうち一方(第2の接点)を、他方(第1の接点)に接した状態と離れた状態とのうちいずれかの状態にする。
また、過電流引外し装置12に過電流が流れると、過電流引外し装置12が動作して、可動接触子22a、22bを前向きに駆動する。過電流引外し装置12は、例えば、電磁式の過電流引外し装置である。過電流引外し装置12には、可動接点21b及び固定接点41bを介して電流が流れる。過電流引外し装置12は、過電流引外し装置12に電流が流れることで発生する電磁気力により、可動接触子22a、22bを前向きに駆動し、可動接点21aを固定接点41aから離れさせ、可動接点21bを固定接点41bから離れさせる。つまり、過電流引外し装置12(駆動部)は、固定接点41a、41b(第1の接点)と可動接点21a、21b(第2の接点)とのうち一方(第2の接点)を、他方(第1の接点)に接した状態と離れた状態とのうちいずれかの状態にする。
(2-2)支持部材
支持部材8は、例えば、樹脂(より詳細には、合成樹脂)を材料として形成されている。支持部材8は、端子装置4の支持部材8以外の構成を保持する。図3に示すように、支持部材8は、板状の基台81を有している。基台81の厚さ方向は、上下方向に沿っている。支持部材8は、基台81の厚さ方向の一方側に、壁部82と、軸部83と、保持突起84と、ストッパ85とを有している。支持部材8は、基台81の厚さ方向の他方側にも、壁部82と、軸部83と、保持突起84と、ストッパ85とを有している。
端子装置4では、2つの固定接点41a、41bと、第1の端子部品5の後述の固定接触子53とを除く構成が鏡映対称である。端子装置4の鏡映面は、基台81の厚さ方向と直交し、かつ、基台81の厚さ方向の中心を通る。以下では、特に断りの無い限り、基台81の厚さ方向の一方側に設けられた壁部82、軸部83、保持突起84及びストッパ85に着目して説明する。
壁部82の形状は、上下方向から見てU字状である。壁部82と基台81とに囲まれた空間に、第2の端子部品9が配置される。軸部83及び保持突起84の形状は、円柱状である。軸部83は、回転部材6を回転可能に保持する。保持突起84は、第2の端子部品9の後述の側片92の挿通孔922に通され、第2の端子部品9に熱かしめにより結合されている。これにより、第2の端子部品9は、支持部材8に固定されている。ストッパ85の形状は、角柱状である。ストッパ85は、回転部材6の回転を規制する。
壁部82、軸部83、保持突起84及びストッパ85は、基台81から基台81の厚さ方向に突出している。壁部82は、基台81の外縁に沿ってU字状に形成されている。壁部82、軸部83及び保持突起84は、基台81の厚さ方向から見て基台81の外縁よりも内側に配置されている。ストッパ85は、基台81の外縁付近に配置されている。
支持部材8は、導入部86を更に有している。導入部86は、基台81の厚さ方向の両側に跨って形成されている。導入部86は、電線400(図4参照)を端子装置4に導入するための2つの差込部33a、33b(図5参照)の一部である。すなわち、図5に示すように、開閉器1は、2つの差込部33a、33bを備えている。差込部33aは、第1ボディ30aの一部と導入部86の一部とを含む。差込部33aは、基台81よりも上側に設けられている。差込部33bは、第2ボディ30bの一部と導入部86の一部とを含む。差込部33bは、基台81よりも下側に設けられている。以下では、2つの差込部33a、33bを区別しない場合に、それぞれ差込部33と称することがある。
各差込部33は、筒状に形成されている。各差込部33には、電線400が差し込まれる。各差込部33に差し込まれた電線400は、第1の端子部品5に電気的に接続される。より詳細には、基台81よりも上側に設けられた差込部33aに差し込まれた電線400は、2つの第1の端子部品5のうち基台81の上側に配置された第1の端子部品5aに電気的に接続される。基台81よりも下側に設けられた差込部33bに差し込まれた電線400は、2つの第1の端子部品5のうち基台81の下側に配置された第1の端子部品5bに電気的に接続される。
差込部33aに差し込まれた電線400は、第1の端子部品5a(図2参照)、固定接点41a、可動接点21a、可動接触子22a、過電流引外し装置12及び入力端子23aを介して、第1の導電バーに電気的に接続される。差込部33bに差し込まれた電線400は、第1の端子部品5b、固定接点41b、可動接点21b、可動接触子22b及び入力端子23bを介して、第3の導電バーに電気的に接続される。
(2-3)第1の端子部品
第1の端子部品5は、銅系材料(銅又は銅合金等)により形成されている。図3に示すように、第1の端子部品5は、電線当接部51と、中間部52と、固定接触子53と、支持片54とを有している。これらは、板状に形成されている。
電線当接部51には、電線400が接する。電線当接部51のうち電線400との接触面には、左右方向に並んだ複数の溝511(図4参照)が設けられている。ここで、導入部86と第1の端子部品5とが並んでいる方向を左右方向とし、導入部86から見て第1の端子部品5側を左とし、第1の端子部品5から見て導入部86側を右とする。
固定接触子53は、固定接点41に結合されている。より詳細には、固定接触子53に形成された孔に固定接点41が通された状態で、固定接点41の一部が潰されることで、固定接触子53と固定接点41とが結合される。つまり、固定接触子53と固定接点41とはかしめにより結合される。
中間部52は、電線当接部51と固定接触子53との間に配置され、電線当接部51と固定接触子53とを連結している。つまり、中間部52は、電線当接部51と固定接点41とを連結している。中間部52の厚さ方向は、電線当接部51の厚さ方向と交差する。中間部52は、後述の側壁部43(図1参照)に含まれている。側壁部43は、電線当接部51と対向部91との間に位置し錠ばね7の少なくとも一部を覆っている。
電線当接部51と固定接触子53との間には、回転部材6の後述の押圧部63を挿入可能な隙間501(図4参照)が設けられている。つまり、電線当接部51と固定接触子53とが直接つながっているのではなく中間部52を介してつながっていることにより、隙間501ができている。
支持片54は、電線当接部51につながっている。支持片54は、支持部材8に設けられた窪み801に挿入されている(図1参照)。これにより、第1の端子部品5が支持部材8に支持されている。
第1の端子部品5は、2つのかしめ突起58、59を更に有している。かしめ突起58は、電線当接部51から突出している。かしめ突起59は、固定接触子53から突出している。第2の端子部品9の後述の位置決め部98は、かしめ突起58が嵌め込まれるU字状に形成されている。第2の端子部品9の後述の位置決め部99は、かしめ突起59が嵌め込まれるU字状に形成されている。2つのかしめ突起58、59は、第2の端子部品9の2つの位置決め部98、99にかしめにより結合される。
第1の端子部品5は、第1嵌合部55を更に有している。「嵌合」とは、嵌め合うことである。第1嵌合部55は、中間部52から突出した突起である。第1嵌合部55は、第2の端子部品9の後述の第2嵌合部95と嵌め合わされる。
基台81の上側の第1の端子部品5aでは、固定接触子53が中間部52から前側へ延びている。そして、第1の端子部品5aの固定接触子53の先端付近に固定接点41aが配置されている。基台81の下側の第1の端子部品5bでは、固定接触子53が中間部52から後ろ側へ延びている。そして、第1の端子部品5bの固定接触子53の先端付近に固定接点41bが配置されている。
(2-4)第2の端子部品
第2の端子部品9は、鉄鋼材料により形成されている。第2の端子部品9は、対向部91と、側片92とを有している。対向部91は、長方形の板状に形成されている。側片92は、(上下方向から見て)平面視L字状の板状に形成されている。言い換えると、側片92は、長方形状の板の1つの角部に切欠き921が設けられた形状に形成されている。この切欠き921に、第1の端子部品5の中間部52が配置される。対向部91の厚さ方向は、側片92の厚さ方向と交差する。より詳細には、側片92は、対向部91の上下方向の一端から対向部91の厚さ方向に沿って突出している。
図1に示すように、第2の端子部品9は、2つの位置決め部98、99を有している。2つの位置決め部98、99は、側片92の一部である。2つの位置決め部98、99の各々は、U字状に形成されている。つまり、位置決め部98は溝981を、位置決め部99は溝991を有している。位置決め部98は、側片92の前端に設けられている。位置決め部99は、側片92の左端に設けられている。
第1の端子部品5の2つのかしめ突起58、59は、第2の端子部品9の2つの位置決め部98、99にかしめにより結合される。これにより、第1の端子部品5が2つの位置決め部98、99に固定される。そのため、第1の端子部品5が第2の端子部品9に対して位置決めされる。つまり、2つの位置決め部98、99は、第1の端子部品5に接した状態で第1の端子部品5を位置決めする。
かしめ突起58と位置決め部98との結合は、例えば、次のように行われる。図6に示すように、位置決め部98の溝981にかしめ突起58が挿入される。次に、かしめ突起58の突出先端(図6の紙面左端)がたがね等の治具により叩かれることで、かしめ突起58が突出方向と交差する方向(左右方向)に引き延ばされる。これにより、かしめ突起58と位置決め部98とが結合される。かしめ突起59と位置決め部99との結合も、かしめ突起58と位置決め部98との結合と同様に行われる。
図1に示すように、第1の端子部品5と第2の端子部品9とは、2つの位置決め部98、99において結合される。つまり、第1の端子部品5は、2つの位置決め部98、99により2箇所で位置決めされる。そのため、位置決め部98、99のうち一方のみが備えられていて第1の端子部品5が1箇所のみで位置決めされる場合と比較して、第1の端子部品5がより安定して第2の端子部品9に対して位置決めされる。
また、位置決め部98は、第2の端子部品9の前後方向の一端(前端)に位置し、位置決め部99は、第2の端子部品9の左右方向の一端(左端)に位置する。このように、2つの位置決め部98、99が、前後方向と左右方向という互いに異なる方向のそれぞれの一端に設けられている。そのため、例えば、2つの位置決め部98、99が両方とも第2の端子部品9の同方向の一端(前端)に設けられている場合と比較して、第1の端子部品5がより安定して第2の端子部品9に対して位置決めされる。
第1の端子部品5の中間部52及び第1嵌合部55と、第2の端子部品9の側片92とは、端子装置4の側壁部43に含まれる。側壁部43は、電線当接部51と対向部91との間に位置し錠ばね7の少なくとも一部を覆っている。すなわち、錠ばね7は、側壁部43と基台81との間に配置されている。側壁部43は、電線当接部51と対向部91とを連結している。
第2の端子部品9は、第2嵌合部95を有している。第2嵌合部95は、側片92に形成された窪みである。第2嵌合部95は、第1の端子部品5の第1嵌合部55と嵌め合わされる。第1嵌合部55及び第2嵌合部95は、互いに嵌め合わされることで、電線当接部51と対向部91とが互いの対向方向(前後方向)に移動することを規制する。つまり、第2の端子部品9に対して第1の端子部品5が前後方向に移動しようとする場合に、第1嵌合部55が第2嵌合部95の内縁に接することで、第1の端子部品5の移動が妨げられる。このように、第1の端子部品5は、2つの位置決め部98、99により位置決めされていることに加えて、第1嵌合部55及び第2嵌合部95により移動が規制されている。
第1嵌合部55及び第2嵌合部95は、電線当接部51と対向部91との間に位置している。より詳細には、第1嵌合部55及び第2嵌合部95は、電線当接部51と対向部91とを連結している側壁部43に形成されている。
第1の端子部品5の構造部分は、第2の端子部品9の構造部分よりも導電率が高い材料で形成されている。ここで、各々の端子部品(第1の端子部品5及び第2の端子部品9)について、「構造部分」とは、端子部品を機械的に構成する主な部分である。より詳細には、「構造部分」とは、例えば、端子部分の全体の体積の90%以上を占める部材を指す。例えば、端子部品が金属板と、金属板の表面に形成され金属板と比較して厚さが小さいめっきとからなる場合、金属板が端子部品の「構造部分」である。
導入部86への電線400の挿入方向(以下、単に「電線400の挿入方向」と称す)は、図7の紙面上下方向である。図7に示すように、第1の端子部品5と第2の端子部品9とが電線400の挿入方向に互いに隣接する領域において、第1の端子部品5の厚さT1は、第2の端子部品9の厚さT2よりも大きい。ここでは、第1の端子部品5と第2の端子部品9とが電線400の挿入方向に互いに隣接する領域は、側壁部43に含まれる領域である。つまり、第1の端子部品5と第2の端子部品9とが電線400の挿入方向に互いに隣接する領域における第1の端子部品5の厚さT1は、中間部52及び第1嵌合部55の厚さである。第1の端子部品5と第2の端子部品9とが電線400の挿入方向に互いに隣接する領域における第2の端子部品9の厚さT2は、側片92の厚さである。一例として、厚さT1は、1.2mmである。一例として、厚さT2は、0.6mmである。
第1の端子部品5と第2の端子部品9とが電線400の挿入方向に互いに隣接する領域において、第2の端子部品9は、第1の端子部品5に対して、電線400に近づく向き(すなわち、基台81側)に突出している。つまり、側片92は、中間部52及び第1嵌合部55に対して、電線400に近づく向きに突出している。言い換えると、側片92のうち電線400に対向する対向面921は、中間部52のうち電線400に対向する対向面521及び第1嵌合部55のうち電線400に対向する対向面551よりも電線400側に位置している。一例として、中間部52及び第1嵌合部55に対する側片92の突出量は、0.1mmである。
電線400が導入部86に通されるとき、電線400は、第2の端子部品9の側片92の側方(図7では紙面右)を通ってから、第1の端子部品5の中間部52及び第1嵌合部55の側方(図7では紙面右)を通る。ここで、上述の通り、第1の端子部品5と第2の端子部品9とが電線400の挿入方向に互いに隣接する領域において、第2の端子部品9は、第1の端子部品5に対して、電線400に近づく向きに突出している。そのため、電線400が第1の端子部品5に引っ掛かる可能性を低減でき、端子装置4への電線400の接続を容易に行える。つまり、第1の端子部品5が第2の端子部品9に対して電線400に近づく向きに突出していると、電線400の先端が第1の端子部品5に引っ掛かる可能性があるが、本実施形態では電線400が第1の端子部品5に引っ掛かる可能性を低減できる。
第1の端子部品5は、第2の端子部品9に対して、電線400が差込部33に差し込まれる向き(図7の紙面上向き)に隣接している。つまり、第1の端子部品5の中間部52及び第1嵌合部55は、第2の端子部品9の側片92の左(図7では紙面上)に位置している。第1の端子部品5と第2の端子部品9とが電線400の挿入方向に互いに隣接する領域において、第2の端子部品9と導入部86との間の、電線400の挿入方向の距離L2は、第1の端子部品5と導入部86との間の、電線400の挿入方向の距離L1よりも短い。距離L1は、電線400の挿入方向における第1嵌合部55と導入部86との間の最短距離である。距離L2は、電線400の挿入方向における側片92と導入部86との間の最短距離である。
(2-5)錠ばね
図4は、器体3(図5参照)の第2ボディ30bから第1ボディ30a(図5参照)を取り外した状態における端子装置4の断面図である。錠ばね7は、例えば、金属により形成されている。錠ばね7は、弾性力により電線400を保持する。錠ばね7は、中央片71と、抜止め片72と、押さえ片73とを有している。中央片71、抜止め片72及び押さえ片73の各々は、板状である。中央片71の厚さ方向は、前後方向に沿っている。抜止め片72は、中央片71の右端から前側へ突出している。押さえ片73は、中央片71の左端から前側へ突出している。抜止め片72の形状は、長方形状の板状である。押さえ片73は、下から見てS字状である。
錠ばね7は、第1の端子部品5の電線当接部51と第2の端子部品9の対向部91との間に配置されている。錠ばね7の抜止め片72及び押さえ片73は、電線当接部51に対向している。
差込部33に電線400が差し込まれるとき、電線400が抜止め片72及び押さえ片73を押して弾性変形させる。また、電線400は、電線当接部51に接する。錠ばね7の押さえ片73は、差込部33に差し込まれた電線400に弾性力(復帰力)を加えて、押さえ片73と電線当接部51との間に電線400を保持する。押さえ片73の弾性力(復帰力)により、電線400と電線当接部51との間の圧力(接圧)が保たれる。
電線400を差込部33から引き抜く場合は、作業者は、後述の操作部65を操作する。操作部65が操作されていない状態で、電線400を差込部33から引き抜こうとする力が電線400に加えられると、抜止め片72の先端は、電線400に食い込むように電線400に作用する。電線400が抜止め片72と電線当接部51との間に挟まれることで、電線400が差込部33から引き抜かれることが抑制される。また、電線400が差込部33から引き抜かれようとする場合に、電線当接部51の複数の溝511の内面は、電線400に対して差込部33から引き抜かれることを妨げる向きの力を加える。
(2-6)回転部材
回転部材6は、差込部33に差し込まれた電線400に押されて動く。また、回転部材6は、表示部68を有している。電線400が差込部33に差し込まれ回転部材6が回転すると、表示部68が器体3(図5参照)の外部に露出する。これにより、回転部材6は、差込部33への電線400の差込み状態を表示する。
回転部材6は、例えば、樹脂(より詳細には、合成樹脂)により形成されている。図4に示すように、回転部材6は、回転本体61と、軸受部62と、押圧部63と、解除突起64と、表示部68とを有している。
回転本体61の形状は、板状である。回転本体61の長手方向は、前後方向に沿っている。回転本体61の厚さ方向は、上下方向に沿っている。軸受部62の形状は、円筒状である。軸受部62は、回転本体61から突出している。軸受部62の軸方向は、上下方向に沿っている。軸受部62の内側には、支持部材8の軸部83が挿入されている。これにより、支持部材8は、回転部材6を保持している。回転部材6は、軸受部62の中心軸を回転軸として、支持部材8に対して回転可能である。
押圧部63は、回転本体61の左端縁のうち後端から、後ろ向きに突出している。
解除突起64の形状は、板状である。解除突起64の厚さ方向は、上下方向に沿っている。解除突起64は、回転本体61の右端縁のうち後端から、後ろ向きに突出している。解除突起64は、第1の端子部品5の支持片54と基台81との間に配置されている。
表示部68は、回転本体61の前端に配置されている。表示部68は、回転本体61とは異なる色を有している。
回転部材6は、操作部65を更に有している。操作部65は、回転本体61の前端から突出している。第1ボディ30a(図5参照)と支持部材8との間と、第2ボディ30bと支持部材8との間にはそれぞれ、開口部31(図5参照)が形成されている。器体3(図5参照)の内部の空間は、これら2つの開口部31を通して器体3の外部につながっている。操作部65は、対応する開口部31を通して器体3の外部に露出している。
(2-7)復帰部材
復帰部材42は、例えば、線ばねである。復帰部材42は、直線状の線材を曲げることによって形成されている。復帰部材42は、回転本体61と一体に形成されている。なお、復帰部材42は、回転本体61とは別に形成されてから回転本体61に取り付けられていてもよい。
(2-8)製造工程
開閉器1の製造工程では、例えば、端子装置4の2つの錠ばね7、2つの回転部材6、2つの復帰部材42、2つの第1の端子部品5及び2つの第2の端子部品9を、支持部材8により保持されるように組み立てる。つまり、端子装置4の支持部材8、2つの錠ばね7、2つの回転部材6、2つの復帰部材42、2つの第1の端子部品5及び2つの第2の端子部品9を、1まとまりの部品として組み立てる。これにより、上記1まとまりの部品を器体3に組み込む作業を容易に自動化できる。
(3)端子装置の動作
差込部33に差し込まれた電線400は、押圧部63を押す。これにより、回転部材6が回転する。すなわち、回転部材6は、軸受部62の中心軸を回転軸として、回転軸を中心に支持部材8に対して回転する。このときの回転部材6の回転の向きは、図4では時計回りである。図4に、このときの回転部材6の回転の向きを矢印410で示す。差込部33に電線400が差し込まれていない場合の回転部材6の位置(図4に示す位置)を、第1の位置と称し、差込部33に電線400が差し込まれた場合の回転部材6の位置を、第2の位置と称す。すなわち、回転部材6は、電線400が差込部33に差し込まれて電線当接部51が電線400に電気的に接続される場合に、電線400に押されて第1の位置から第2の位置へ動く。
回転部材6が第1の位置から第2の位置へ動くとき、復帰部材42は弾性変形する。電線400が押圧部63に接した状態で、錠ばね7が電線当接部51との間に電線400を保持することにより、回転本体61が第2の位置にある状態が保たれる。
操作部65は、錠ばね7を電線400から離れさせるための操作を受け付ける。回転本体61が第2の位置にあるとき、操作部65を右に動かすように操作部65に操作がされると、回転本体61は、第2の位置から第3の位置へと動く。回転本体61が第2の位置から第3の位置へ動くときの回転本体61の回転の向きは、図4では時計回りである。回転本体61が第2の位置から第3の位置へ動くとき、回転本体61の解除突起64は、錠ばね7の抜止め片72を押して、抜止め片72を弾性変形させて電線400から離れさせる。さらに、このとき、押さえ片73は、抜止め片72に押されて電線400から離れる。これにより、電線400は、抜止め片72及び押さえ片73に妨げられることなく差込部33から抜かれることが可能となる。
電線400が差込部33から抜かれ電線当接部51から離れた状態で、操作部65に対する操作が解除されると、錠ばね7の抜止め片72は、回転本体61の解除突起64に弾性力(復帰力)を加えて、回転本体61を第3の位置から第2の位置へ動かす。つまり、回転本体61は、図4において反時計回りに回転する。さらに、回転本体61は、復帰部材42の弾性力(復帰力)により、第2の位置から第1の位置へ動く。つまり、回転本体61は、図4において反時計回りに回転する。回転本体61は、第1の位置においてストッパ85に当たる。また、操作部65は、第1の位置において後述の遮蔽部32に当たる。これにより、回転本体61の反時計回りの回転が規制され、回転本体61は第1の位置で止まる。
端子装置4は、2つ(図4では1つのみを図示)の遮蔽部32を備えている。各遮蔽部32は、器体3(図5参照)と一体に形成されている。2つの遮蔽部32は、2つの回転部材6と一対一で対応している。
2つの回転部材6の各々において、表示部68は、回転本体61が第2の位置にあるときは、対応する遮蔽部32に覆われ、第1の位置にあるときは露出する。したがって、表示部68が見えるか否かを確認することで、回転本体61が第1の位置にあるか第2の位置にあるかを推定できる。
表示部68が遮蔽部32に覆われている場合、作業者は、電線400が差込部33に差し込まれていない又は電線400が差込部33に差し込まれているものの奥(押圧部63)まで届いていないと推定できる。表示部68が露出しており、操作部65に操作がされていない場合、作業者は、電線400が差込部33に差し込まれて奥まで届いていると推定できる。
(変形例1)
次に、実施形態の変形例1に係る端子装置4Kについて、図8、図9を参照して説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例1の端子装置4Kでは、第1の端子部品5Kの形状が、実施形態の第1の端子部品5の形状とは異なる。また、本変形例1の端子装置4Kでは、第2の端子部品9Kの形状が、実施形態の第2の端子部品9の形状とは異なる。
第1の端子部品5Kは、電線当接部51Kと、固定接触子53Kと、支持片54Kとを有している。これらは、一体に形成されている。
電線当接部51Kの形状は、長方形状の板状である。電線当接部51Kには、電線400が接する。固定接触子53Kと支持片54Kとは、電線当接部51Kにつながっている。すなわち、電線当接部51Kの長手方向の第1端において、固定接触子53Kがつながっており、第2端において、支持片54Kがつながっている。固定接触子53Kは、電線当接部51Kに対して屈曲している。固定接触子53Kは、固定接点41に結合されている。固定接触子53Kは、回転部材6の押圧部63を通すための通過孔531を有している。支持片54Kは、支持部材8に設けられた窪み801に挿入されている。これにより、第1の端子部品5Kが支持部材8に支持されている。
第2の端子部品9Kは、対向部91Kと、側片92Kと、位置決め部93Kと、突出片94Kとを有している。これらは、一体に形成されている。
対向部91Kは、長方形の板状に形成されている。側片92Kは、長方形状の板状に形成されている。側片92Kは、対向部91Kの一端から対向部91Kの厚さ方向に沿って突出している。側片92Kは、基台81に対向している。位置決め部93Kの形状は、長方形状の板状である。位置決め部93Kは、側片92Kの一端(前端)から基台81側へ突出している。突出片94Kの形状は、長方形状の板状である。突出片94Kは、側片92Kの一端(左端)から基台81側へ突出している。
第1の端子部品5K及び第2の端子部品9Kの各々は、支持部材8に固定されている。第1の端子部品5Kは、例えば、第1の端子部品5Kの一部を基台81に挿入することで基台81に固定されている。第1の端子部品5Kは、前後方向の移動がある程度可能であるように基台81に固定されている。支持部材8は、保持突起84を2つ有している。2つの保持突起84は、第2の端子部品9の側片92Kの2つの挿通孔922に通され、第2の端子部品9Kに熱かしめにより結合されている。第1の端子部品5Kの電線当接部51Kは、第2の端子部品9Kの位置決め部93Kに接している。ここで、電線当接部51Kの厚さ方向と位置決め部93Kの厚さ方向とが一致しており、電線当接部51Kと位置決め部93Kとは面接触している。位置決め部93Kは、電線当接部51Kの前方に配置されている。
電線400が電線当接部51Kと錠ばね7との間に挿入された場合に、第1の端子部品5Kは、位置決め部93Kと電線400との間に挟まれる。これにより、対向部91Kに対して電線当接部51Kが位置決めされる。つまり、電線当接部51Kと対向部91Kとの間の距離が、位置決め部93Kと対向部91Kとの間の距離により規定される。そのため、電線当接部51Kから電線400に加えられる力が、位置決め部93Kと対向部91Kとの間の距離により規定される。これにより、電線400と錠ばね7との接圧を所定範囲内の大きさにすることができる。つまり、電線400と錠ばね7との接圧を管理できる。
(変形例2)
次に、実施形態の変形例2に係る端子装置4Lについて、図10を参照して説明する。実施形態の変形例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例2の端子装置4Lは、変形例1の位置決め部93Kに相当する位置決め部44が、第2の端子部品9Lとは別に設けられている点で、変形例1の端子装置4Kと相違する。
すなわち、第2の端子部品9Lは、変形例1の対向部91K、側片92K及び突出片94Kに相当する対向部91L、側片92L及び突出片94Lを有している。位置決め部44の形状は、長方形状の板状である。
位置決め部44、第1の端子部品5K及び第2の端子部品9Lの各々は、支持部材8に固定されている。位置決め部44は、例えば、基台81から突出するように設けられている。変形例1と同様に、電線400が電線当接部51Kと錠ばね7との間に挿入された場合に、第1の端子部品5Kは、位置決め部44と電線400との間に挟まれる。これにより、対向部91Lに対して電線当接部51Kが位置決めされる。
本変形例2では、位置決め部44は、基台81とは別部材であるが、位置決め部44は、基台81と一体に形成されていてもよい。
(変形例3)
次に、実施形態の変形例3に係る端子装置4Mについて、図11、図12を参照して説明する。変形例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例3の端子装置4Mでは、第1の端子部品5Mは、かしめ部58Mを有している点で、変形例1の第1の端子部品5Kと相違する。すなわち、第1の端子部品5Mは、変形例1の電線当接部51K、固定接触子53K及び支持片54Kに相当する電線当接部51M、固定接触子53M及び支持片54Mに加えて、かしめ部58Mを有している。
かしめ部58Mは、電線当接部51Mから後方に突出している。かしめ部58Mは、2つの凸部581と、2つの凹部582とを含む。一方の凸部581の外面の一部が、一方の凹部582の内面の一部を構成している。他方の凸部581の外面の一部が、他方の凹部582の内面の一部を構成している。
また、本変形例3の端子装置4Mでは、第2の端子部品9Mは、位置決め部93Kに代えて、位置決め部96Mを有している点で、変形例1の第2の端子部品9Kと相違する。第2の端子部品9Mは、変形例1の対向部91K、側片92K及び突出片94Kに相当する対向部91M、側片92M及び突出片94Mを有している。位置決め部96Mは、側片92Mに含まれている。また、突出片94Mは、側片92Mから基台81側へ突出した部位と、そこから前向きに突出した部位とを有している。
位置決め部96Mは、側片92Mの前端に設けられている。位置決め部96Mは、2つの凸部961と、1つの凹部962とを含む。2つの凸部961の外面の一部が、凹部962の内面の一部を構成している。
かしめ部58Mと位置決め部96Mとは、かしめにより結合されている。これにより、第1の端子部品5Mが位置決め部96M(第2の端子部品9M)に固定されている。つまり、位置決め部96Mは、第1の端子部品5Mに接した状態で第1の端子部品5Mを位置決めする。
かしめ部58Mと位置決め部96Mとの結合は、例えば、次のように行われる。第1の端子部品5Mの2つの凸部581は、第2の端子部品9Mの凹部962に挿入される。また、第1の端子部品5Mの2つの凹部582には、第2の端子部品9Mの2つの凸部961が挿入される。次に、2つの凸部581と2つの凸部961とがそれぞれたがね等の治具により叩かれることで、2つの凸部581と2つの凸部961とがそれぞれ突出方向と交差する方向に引き延ばされる。これにより、2つの凸部581と凹部962の内面との隙間及び2つの凸部961と2つの凹部582の内面との隙間が小さくなるので、かしめ部58Mと位置決め部96Mとが結合された状態となる。
かしめ部58Mと位置決め部96Mとが結合されることにより、第1の端子部品5Mの電線当接部51Mと第2の端子部品9Mの対向部91Mとの間の距離が保たれる。
(実施形態のその他の変形例)
次に、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
開閉器1は、分電盤に組み込まれる装置に限定されない。開閉器1は、分電盤以外の場所で用いられる配線器具に組み込まれてもよい。開閉器1は、例えば、テーブルタップ又はコンセントに組み込まれてもよい。
第1の端子部品5の構造部分の導電率と第2の端子部品9の構造部分の導電率とが同じであって、構造部分以外の部分により第1の端子部品5の導電率が第2の端子部品9の導電率よりも高くされていてもよい。例えば、第1の端子部品5の構造部分と第2の端子部品9の構造部分とが同じ材料により形成されていて、第1の端子部品5と第2の端子部品9とがそれぞれ異なる材料によりめっきが施されていてもよい。すなわち、めっきの材料の差異により、第1の端子部品5の導電率が第2の端子部品9の導電率よりも高くされていてもよい。
また、第1の端子部品5の材料は銅系材料に限定されない。第2の端子部品9の材料は鉄鋼材料に限定されない。第1の端子部品5又は第2の端子部品9の材料として、例えば、銅及び鉄以外の金属材料が用いられてもよいし、第2の端子部品9の材料として、例えば、樹脂等の非金属材料が用いられてもよい。
接点(固定接点41a又は41b)と第1の端子部品5とは、1つの部品からなってもよい。
開閉器1の各構成の個数は、実施形態に示した個数に限定されない。例えば、固定接点41、可動接点21、第1の端子部品5、第2の端子部品9、差込部33、回転部材6、錠ばね7、支持部材8及び復帰部材42の個数は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
第1の端子部品5と第2の端子部品9とは、かしめにより結合されていることに限定されず、溶着又は圧着により結合されていてもよい。
また、第2の端子部品9において、位置決め部98、99(又は93K、44、96M)の個数は、1つ又は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
差込部33は、器体3とは別の部材として端子装置4に備えられていてもよい。
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
第1の態様に係る端子装置4(又は4K、4L、4M)は、接点(固定接点41)と、第1の端子部品5(又は5K、5M)と、第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)と、錠ばね7と、を備える。第1の端子部品5(又は5K、5M)は、電線当接部51(又は51K、51M)を有する。電線当接部51(又は51K、51M)は、電線400に接する。第1の端子部品5(又は5K、5M)は、接点に結合されている。第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)は、対向部91(又は91K、91L、91M)を有する。対向部91(又は91K、91L、91M)は、電線当接部51(又は51K、51M)に対向する。錠ばね7は、電線当接部51(又は51K、51M)と対向部91(又は91K、91L、91M)との間に配置され、電線当接部51(又は51K、51M)との間に電線400を保持する。第1の端子部品5(又は5K、5M)は、第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)よりも導電率が高い。
上記の構成によれば、第1の端子部品5(又は5K、5M)の導電率と第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)の導電率とが同じ場合と比較して、第1の端子部品5(又は5K、5M)を構成する材料の量(例えば、重量)を低減できる。あるいは、第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)を構成する材料の量(例えば、重量)を低減できる。
また、第2の態様に係る端子装置4(又は4K、4M)は、第1の態様において、位置決め部98、99(又は93K、96M)を備える。位置決め部98、99(又は93K、96M)は、第1の端子部品5(又は5K、5M)に接した状態で第1の端子部品5(又は5K、5M)を位置決めする。第2の端子部品9(又は9K、9M)は、位置決め部98、99(又は93K、96M)を有する。
上記の構成によれば、第1の端子部品5(又は5K、5M)が位置決めされるので、電線当接部51(又は51K、51M)と錠ばね7との間に電線400をより安定して保持できる。
また、第3の態様に係る端子装置4Lは、第1の態様において、位置決め部44を備える。位置決め部44は、第1の端子部品5Kに接した状態で第1の端子部品5Kを位置決めする。位置決め部44は、第2の端子部品9Lとは別に設けられている。
上記の構成によれば、第1の端子部品5Kが位置決めされるので、電線当接部51Kと錠ばね7との間に電線400をより安定して保持できる。
また、第4の態様に係る端子装置4(又は4M)では、第2又は3の態様において、第1の端子部品5(又は5M)は、位置決め部98、99(又は96M)に固定されている。
上記の構成によれば、第1の端子部品5(又は5M)がより安定して位置決めされる。
また、第5の態様に係る端子装置4K(又は4L)では、第2~4の態様のいずれか1つにおいて、第1の端子部品5Kは、位置決め部93K(又は44)と電線400との間に挟まれる。
上記の構成によれば、第1の端子部品5Kがより安定して位置決めされる。
また、第6の態様に係る端子装置4は、第2~5の態様のいずれか1つにおいて、位置決め部を複数備える。すなわち、端子装置4は、位置決め部98、99を備える。
上記の構成によれば、位置決め部の個数が1つの場合と比較して、第1の端子部品5がより安定して位置決めされる。
また、第7の態様に係る端子装置4では、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、第1の端子部品5は、第1嵌合部55を有する。第2の端子部品9は、第2嵌合部95を有する。第2嵌合部95は、第1嵌合部55と嵌め合わされる。第1嵌合部55及び第2嵌合部95は、互いに嵌め合わされることで、電線当接部51と対向部91とが互いの対向方向に移動することを規制する。
上記の構成によれば、電線当接部51と対向部91との間の距離が所定の長さに維持されやすいので、電線当接部51と錠ばね7との間に電線400をより安定して保持できる。
また、第8の態様に係る端子装置4では、第7の態様において、第1嵌合部55及び第2嵌合部95は、電線当接部51と対向部91との間に位置する。
上記の構成によれば、第1嵌合部55及び第2嵌合部95が他の箇所に位置する場合と比較して、端子装置4のコンパクト化を図ることができる。
また、第9の態様に係る端子装置4(又は4K、4L、4M)は、第1~8の態様のいずれか1つにおいて、導入部86を更に備える。導入部86は、電線400を通す。第1の端子部品5(又は5K、5M)と第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)とが導入部86への電線400の挿入方向に互いに隣接する領域において、第1の端子部品5(又は5K、5M)の厚さT1は、第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)の厚さT2よりも大きい。
上記の構成によれば、第1の端子部品5(又は5K、5M)の厚さT1がより小さい場合と比較して、第1の端子部品5(又は5K、5M)に電流が流れた場合の発熱量を低減させることができる。
また、第10の態様に係る端子装置4(又は4K、4L、4M)は、第1~9の態様のいずれか1つにおいて、導入部86を更に備える。導入部86は、電線400を通す。第1の端子部品5(又は5K、5M)と第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)とが導入部86への電線400の挿入方向に互いに隣接する領域において、第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)は、第1の端子部品5(又は5K、5M)に対して、電線400に近づく向きに突出している。
上記の構成によれば、電線400が第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)の付近から第1の端子部品5(又は5K、5M)の付近に進入する場合に、電線400の先端が第1の端子部品5(又は5K、5M)に当たって電線400の進入が妨げられる可能性を低減できる。
また、第11の態様に係る端子装置4(又は4K、4L、4M)では、第10の態様において、第1の端子部品5(又は5K、5M)と第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)とが導入部86への電線400の挿入方向に互いに隣接する領域において、第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)と導入部86との間の上記挿入方向の距離L2は、第1の端子部品5(又は5K、5M)と導入部86との間の上記挿入方向の距離L1よりも短い。
上記の構成によれば、電線400が第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)の付近から第1の端子部品5(又は5K、5M)の付近に進入する場合に、電線400の先端が第1の端子部品5(又は5K、5M)に当たって電線400の進入が妨げられる可能性を低減できる。
また、第12の態様に係る端子装置4(又は4K、4L、4M)は、第1~11の態様のいずれか1つにおいて、側壁部43(又は側片92K、92L、92M)を備える。側壁部43(又は側片92K、92L、92M)は、電線当接部51(又は51K、51M)と対向部91(又は91K、91L、91M)との間に位置する。側壁部43(又は側片92K、92L、92M)は、錠ばね7の少なくとも一部を覆う。
上記の構成によれば、錠ばね7の位置ずれを側壁部43(又は側片92K、92L、92M)により規制できる。
また、第13の態様に係る端子装置4では、第12の態様において、第1の端子部品5は、中間部52を有する。中間部52は、電線当接部51と接点(固定接点41)とを連結する。中間部52は、側壁部43に含まれる。
上記の構成によれば、側壁部43が配置されるスペースを、第1の端子部品5の通電経路の一部として利用できるので、当該スペースを有効に利用できる。
また、第14の態様に係る端子装置4(又は4K、4L、4M)では、第1~13の態様のいずれか1つにおいて、第1の端子部品5(又は5K、5M)の構造部分は、第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)の構造部分よりも導電率が高い材料で形成されている。
上記の構成によれば、第1の端子部品5(又は5K、5M)の構造部分と第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)の構造部分とが同じ導電率の場合と比較して、第1の端子部品5(又は5K、5M)の構造部分の材料の量(例えば、重量)を低減できる。あるいは、第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)の構造部分の材料の量(例えば、重量)を低減できる。
第1の態様以外の構成については、端子装置4(又は4K、4L、4M)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
また、第15の態様に係る開閉器1は、第1~14の態様のいずれか1つに係る端子装置4(又は4K、4L、4M)と、接点としての第1の接点(固定接点41a、41b)に接する第2の接点(可動接点21a、21b)と、駆動部(ハンドル11又は過電流引外し装置12)と、を備える。駆動部は、第1の接点と第2の接点とのうち一方を、他方に接した状態と離れた状態とのうちいずれかの状態にする。
上記の構成によれば、第1の端子部品5(又は5K、5M)の導電率と第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)の導電率とが同じ場合と比較して、第1の端子部品5(又は5K、5M)を構成する材料の量(例えば、重量)を低減できる。あるいは、第2の端子部品9(又は9K、9L、9M)を構成する材料の量(例えば、重量)を低減できる。