JP4638165B2 - 枚葉紙を処理する機械 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の前提項に記載の、空気圧を作用させられる排紙胴を含む、枚葉紙を排紙する排紙装置を備える、枚葉紙を処理する機械に関する。

吹き付け空気が排紙胴に作用させられるこのような機械が特許文献１に開示されている。排紙胴にこのように正圧を作用させることによって、枚葉紙の印刷インキが胴を汚すのを阻止する薄いエアクッションが枚葉紙と胴の外周面の間に形成される。しかし、排紙胴によって搬送される枚葉紙の印刷インキが、排紙胴に隣接する機械部分を汚すのを、正圧を作用させることによって防ぐことはできない。
独国特許出願公開第１５６１０４３号明細書

したがって、本発明の目的は、枚葉紙を、隣接する機械部分を高い信頼性で汚さずに排紙胴によって排紙胴を通過させて搬送する、枚葉紙を処理する機械を提供することにある。

この目的は、請求項１の特徴を備える機械によって達成される。

空気圧が作用させられる排紙胴を含む、枚葉紙を排紙する排紙装置を備える、枚葉紙を処理する、本発明による機械は、排紙胴に真空が作用させられることを特徴とする。

本発明の機械では、問題を解消するのに、排紙胴に負圧を作用させることによって、従来技術（特許文献１）とは全く逆の方向に進んでいる。枚葉紙を吹き出し空気のエアクッションによって排紙胴に対して間隔をおいて保持する代わりに、枚葉紙を排紙胴の吸引空気によって一時的に排紙胴に接触するように保持するのが、隣接する機械部分に生じる汚れからの保護に非常に有効であることが分かった。

従属請求項に記載した、有利な他の態様について以下に個々に簡単に説明する。

枚葉紙と排紙胴を、真空を作用させることによって接触させる結果として枚葉紙の印刷画像が汚れることから枚葉紙を保護するのに関して有利な他の態様において、排紙胴は枚葉紙を支持するディスクを含んでいる。枚葉紙は、枚葉紙の幅に亘って見て、ディスクが薄いため、全枚葉紙幅に亘ることなく局所的にのみ支持用のこのディスクによって支持される。複数のディスクは、枚葉紙幅の方向に見て、ディスクによって決められる接触位置が、印刷画像が形成されない、各枚葉紙の長さ方向に延びる通路内に位置するように順に配置することができる。薄いことがディスクにとって重要であり、各ディスクが、円形に相当する完全な円か、代わりに単に円弧状か、あるいは各ディスクが、１つの部材から作製されているか、複数の部分から組み立てられているかはあまり重要ではない。真空を作用させることと、排紙胴のディスクの協働によって、枚葉紙は、その必要な搬送経路上で長さ方向に変動しないように保持され、排紙胴も、排紙胴に隣接する機械部分も枚葉紙の印刷インキによって汚されないようにすることができる。したがって、排紙胴は、印刷された枚葉紙を両側部で搬送するのに特に良く適している。

他の態様において、各ディスクは、枚葉紙を保持する吸引空気溝を含んでいる。枚葉紙を排紙胴に保持する真空を各ディスクに隣接する胴部分に作用させることも考えられるが、吸引空気溝によってディスク自身に真空を作用させるのが、機能的および構造的な見地から有利である。吸引空気溝は各ディスクの外周面に出口を有していてよく、これらの出口は、ディスクの周方向に延びる列を形成していてよい。

しかし、この態様からはそれて、単一の吸引空気溝のみと、ディスクの外周面にディスクの周方向に延び、枚葉紙に向かって開き、底部が吸引空気溝に向かって開いた吸引空気切り欠きをディスク毎に備えることも考えられる。

見当違いの空気が排紙胴において吸引されるのを回避する見地から有利な他の態様では、吸引空気溝の開口と吸引接続部が、吸引空気溝に周期的に真空を作用させる回転弁を協働して構成している。回転弁は、各吸引空気溝が、ディスクが完全に１回転する間に真空に少なくとも１度接続され、その後、真空から再び切り離されるように構成されている。同様に、少なくとも２つであり、正確に２つであるのが好ましいディスクを、真空を全てのディスクの吸引空気溝に周期的に導く共通の回転弁に付属させることも考えられるが、各ディスクを異なる単一の回転弁に、これらの回転弁が互いに並行して動作するように付属させるのが様々な観点で有利である。

他の態様によれば、胴−胴間隙のくさび状出口のところに位置する、排紙胴の、真空が作用する角度領域が単一の回転弁または各回転弁によって形成されている。すなわち、回転弁は、くさび状出口に調整された、排紙胴またはそのディスクによる吸引作用が、胴−胴間隙から既に離れた枚葉紙部分に及ぼされ、胴−胴間隙からまだ離れていない枚葉紙部分には及ぼされないように構成されている。吸引空気溝は、胴−胴間隙の、くさび状出口の反対側に位置するくさび状入口の領域において、回転弁によって真空が作用しない状態に保たれ、その結果、枚葉紙は、吸引空気溝の回転時、早くとも胴−胴間隙において吸引空気溝によって吸い寄せられる。

他の態様によれば、排紙胴に隣接する枚葉紙案内装置が、真空が作用する角度領域内まで延びていることが意図される。この枚葉紙案内装置は、排紙胴の真空の作用によって汚れないように保護すべき、排紙胴に直ぐに隣接している機械部分である。回転弁または各回転弁は、排紙胴と枚葉紙案内装置の間を通り抜けて搬送される枚葉紙に排紙胴の吸引空気を周期的に作用させる。枚葉紙案内装置は、空気ノズル、特に、排紙胴の真空を対向する側から支援する吹き付け空気ノズルを備える、空気圧によって動作する枚葉紙案内装置であるのが好ましい。枚葉紙案内装置は、例えば、吹き付け空気箱または空気吹き付け管構造として構成することができる。

単一の各枚葉紙の枚葉紙長さを胴−胴間隙の前と後で同時に空気圧によって安定させる点で有利な他の態様では、胴−胴間隙は圧胴と共に排紙胴によって形成され、枚葉紙に圧胴に向かって空気を吹き付ける空気吹き付け装置が圧胴に隣接して配置されている。空気吹き付け装置の吹き付け空気は枚葉紙に向けられ、枚葉紙は、この吹き付け空気によって圧胴の外周面上にしっかりと押し付けられる。排紙胴の、真空が作用する角度領域と空気吹き付け装置は、枚葉紙の後半分が空気吹き付け装置によってまだ圧胴に保持され、一方、枚葉紙の前半分が、動作している吸引空気溝によって既に排紙胴に保持されるように、枚葉紙の搬送路に沿って続いて配置されている。

他の態様に対応して、空気吹き付け装置は、圧胴によって形成された印刷間隙と胴−胴間隙の間で圧胴に隣接して配置されることが意図される。すなわち、空気吹き付け装置は、枚葉紙の移動方向に見て、印刷間隙の後に配置され、胴−胴間隙の前に配置されている。圧胴は、オフセット印刷用に、または代わりに全面にラッカを塗布するために備えられたゴムブランケット胴と共に、または、スポット状にラッカを塗布するためのフレキソ版を支持する版胴と共に印刷間隙を形成していてよい。

他の態様によれば、ディスクの少なくとも１つが、他のディスクに対して枚葉紙の幅方向に、すなわち枚葉紙の搬送方向に対して横方向にスライド可能に支持されている。ディスクは他のディスクに対して様々な間隔に選択的に調節可能に支持されるのが好ましい。この調節は、ディスクのスライド領域内で、スライド可能なディスクと他のディスクの間を任意の各間隔に調節できるように無段階式に実行可能であるのが好ましい。ディスクがその調節に応じて固定される、選択される各間隔は、枚葉紙のサイズ（枚葉紙幅）、または枚葉紙の、既に選択された、印刷画像が形成されない通路の位置に依存させることができる。

他の態様によれば、排紙胴は、チェーン搬送装置の循環経路の内側に配置され、すなわち支持されている。それとともに、排紙胴は、チェーン搬送装置のチェーンが排紙胴の周りを回って循環するように配置されるのが普通である。

本発明の機械は両面印刷機（Perfektor-Druckmaschine）として構成されるのが好ましい。このような両面印刷機において、各枚葉紙は、単一の印刷動作時に枚葉紙両面に印刷を実行される。上述の、汚れを防ぐ方策（真空の作用、ディスク）は、このように両面に印刷された枚葉紙と結びつけた時に完全に効果を発揮する。排紙胴とは反対を向いた枚葉紙面上の印刷画像が、真空の作用によって、この枚葉紙面が枚葉紙案内装置と接触するのが防がれるので汚れるのを防がれ、同時に、排紙胴を向いた枚葉紙面上のもう一方の印刷画像が、排紙胴を向いたこの枚葉紙面が、印刷されていない領域、すなわち印刷画像の外側のみでディスクによって支持されるので、ディスクによって汚れるのを防がれる。

以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。

枚葉紙１を処理する機械２が図１から３に示されている。この機械２は枚葉紙印刷機、特に両面印刷機であり、枚葉紙表面の印刷用の印刷ユニット３．１と、枚葉紙裏面の印刷用の印刷ユニット３．２を含んでいる。印刷ユニット３．２は、圧胴４とゴムブランケット胴２７を含んでおり、圧胴４とゴムブランケット胴２７の両方の胴は協働して印刷間隙２４を形成している。さらに、機械２は、チェーン搬送装置６といわゆる排紙胴７を備える排紙装置５を含んでいる。チェーン搬送装置６は排紙胴７の周りを回って循環し、枚葉紙１はチェーン搬送装置６によってパイル８上に載せられる。チェーン搬送装置６は、循環経路２６に沿って移動するくわえづめ９と、くわえづめ９を支持し、循環経路２６を形成しているチェーン１０を有している。枚葉紙１は受渡し点において圧胴４によってくわえづめ９に順々に受け渡される。この受渡し点は、圧胴４と共に排紙胴７によって形成される胴−胴間隙２３であり、図１のように、枚葉紙搬送方向が右から左とすれば、排紙胴７の第１象限に位置している。

排紙胴７はいわゆるスケルトン胴（Skelett-Torommel）であり、回転する軸２５上に互いに距離をおいて設けられた、枚葉紙１を支持する複数のディスク１１を有している。両方のディスク１１の各々は、個々に、そして両方のディスク１１のうちの他方に対して軸２５に沿ってスライド可能に支持されている。両方のディスク１１をスライドさせることによって、互いの間を選択的に狭くしたり広くしたりすることができ、両方のディスク１１の各々を各印刷ジョブでの枚葉紙サイズに合わせて、ディスク１１が、枚葉紙１の、印刷画像が形成されない側縁のところだけで枚葉紙１に接触するように位置調節することができる。軸２５は、チェーン歯と噛み合う、チェーン搬送装置６のチェーンホイール１２が取付けられたいわゆるチェーンホイール軸として働く。ディスク１１は、くわえづめブリッジとして構成されたくわえづめ９がその循環時に中に隠れる、直径上の空き空間１３を有している。チェーン搬送装置６の循環速度と排紙胴７またはディスク１１の回転速度は同期させられている。さらに、対応するディスク１１を軸２５の、サイズに合った各軸位置に固定し、例えば、クランプによって留める固定装置１４が各ディスク１１に付属している。ディスク１１の外径は実質的に各チェーンホイール１２と圧胴４に相当している。

内部に空気圧が作用させられる排紙胴７はいわゆる真空胴であり、ディスク１１内に設けられた吸引空気溝１５を有している。吸引空気溝１５は実質的に半径に沿って延びており、各ディスク１１の外周面に達している。吸引空気溝１５の出口１６は、排紙胴７の周方向に延び、実質的に、最大の枚葉紙サイズの枚葉紙全長にわたって延びる列状に配置されている。各吸引空気溝１５は、半径方向孔と、軸２５に平行に延び、半径方向孔と交わっている横孔から構成されている。吸引空気溝１５の、内部側の端部は、各開口１７を有する横孔を構成している。

吸引空気溝１５のこれらの開口１７は、各ディスク１１の回転時に、ディスク１１と共に回転しない固定された吸引空気接続部１８と周期的に協働する。吸引空気接続部１８は円弧状の溝であり、吸引空気接続部１８に接続された（図には示していない）真空源によって発生する負圧下に持続的に置かれている。吸引空気接続部１８は開口１７に向かって開いており、開口１７は、ディスク１１が軸２５の幾何学的な軸線を中心として回転する時に、真空が作用させられている吸引空気接続部１８によって順次覆われ、吸引空気が吸引空気溝１５から吸引空気接続部１８に導かれる。開口１７によって形成される円弧状の各列は、周方向に見て、吸引空気接続部１８の円弧の長さよりも長いことが分かり、その結果、常に、各列の吸引空気溝１５の一部のみが吸引接続部１８に接続され、この列の全ての吸引空気溝１５が吸引接続部１８に同時に接続されることはない。すなわち、吸引空気溝１５は吸引接続部１８と共に、排紙胴７が、最初に実質的に受渡し点において始まり、排紙胴７の第４象限においてやっと終わる角度領域α内においてのみ外部に空気圧の作用を及ぼすように配置された回転弁１９を構成している。この角度領域αは胴−胴間隙２３のくさび状出口２２の直ぐ近くに位置している。出口１６は、回転弁１９の配置に基づいて、角度領域α内のみで枚葉紙１を吸い寄せるように働く。チェーン搬送装置６へと搬送される枚葉紙１が、角度領域α内において、真空が作用させられている出口１６によって排紙胴７に吸い寄せられて、回転しているディスク１１と接触し、排紙胴７の、湾曲した端部部分の下方において、角度領域α内まで延びる枚葉紙案内装置２０に間隔をおいて保持されることが特に重要である。

湾曲して排紙胴７の周囲に部分的に延びる枚葉紙案内装置２０は、吹き付けノズルが備えられた案内板を含んでいる。吹き付け空気流が圧胴４の、実質的に第２象限内で圧胴４に向けられた空気吹き付け装置２１が、枚葉紙１を圧胴４に保持する働きをしている。

印刷ユニット３．１において印刷されたインキが枚葉紙１から移されて枚葉紙案内装置２０を汚す、枚葉紙１の、特に重要な搬送時期が図２に示されている。この搬送時期において、枚葉紙前端部は、排紙胴７を通過するくわえづめ９によって把持されており、枚葉紙後端部は印刷ユニット３．２の印刷間隙２４（図１参照）から既に離されている。

適切な対策をしなければ、枚葉紙１が角度領域αにおいて排紙胴７から剥がれ、枚葉紙案内装置２０に当接し、それによって汚れを生じさせる場合がある、被印刷体の輪を形成する虞がある。

これを阻止する、本出願人が試験して成功した対策が次のように働く。すなわち、受渡し点（胴−胴間隙２３）の後で働く吸引空気溝１５と、この受渡し点の前に配置された空気吹き付け装置２１は、枚葉紙１が圧胴４と排紙胴７の外周線に正確に沿い、この重要な搬送時期の間、実質的にＳ字状に湾曲して延びた状態を保ち、それによって、枚葉紙１が被印刷体の、問題を生じるような波を形成するのが抑制されるように協働する。この試験において、空気吹き付け装置２１単独の働きでは、枚葉紙１１をその必要な移動経路に維持し、角度領域α内で枚葉紙案内装置２０に対して間隔を維持するのに完全には十分ではないことが分かった。

しかし、所定の用途において、排紙胴７単独で、すなわち空気吹き付け装置２１によって支援することなしに、排紙胴７の真空に十分な働きをさせるのは不可能ではない。

しかし、受渡し点に対して反対側の両側に配置された空気圧装置（前に配置された空気吹き付け装置２１、後に配置された、真空式の排紙胴７の角度領域α）を組み合わせるのが特に有効であることが分かった。

枚葉紙排紙装置を備える印刷機の全体図である。 枚葉紙排紙装置の排紙胴の横断面図である。 排紙胴の、３次元的な図である。

符号の説明

２ 機械
３．１，３．２ 印刷ユニット
４ 圧胴
５ 排紙胴
６ チェーン搬送装置
７ 排紙胴
８ パイル
９ くわえづめ
１０ チェーン
１１ ディスク
１２ チェーンホイール
１３ 空き空間
１４ 固定装置
１５ 吸引空気溝
１６ 出口
１７ 開口
１８ 吸引空気接続部
１９ 回転弁
２０ 枚葉紙案内装置
２１ 空気吹き付け装置
２２ くさび状出口
２３ 胴−胴間隙
２４ 印刷間隙
２５ 軸
２６ 循環経路
２７ ゴムブランケット胴

Claims (7)

1. 空気圧が作用させられる排紙胴（７）を含む、枚葉紙（１）を排紙する排紙装置（５）を備える、枚葉紙を処理する機械において、
   前記排紙胴（７）は、前記枚葉紙（１）を支持するディスク（１１）を含んでおり、
   前記ディスク（１１）は、枚葉紙（１）を保持する吸引空気溝（１５）を含んでおり、
   前記吸引空気溝（１５）の開口（１７）と吸引空気接続部（１８）が協働して、前記吸引空気溝（１５）に周期的に真空を作用させる回転弁（１９）を構成しており、
   胴−胴間隙（２３）のくさび状出口（２２）のところに位置する、前記排紙胴（７）の、真空が作用する角度領域（α）が、前記回転弁（１９）によって形成されており、
   前記排紙胴（７）に真空が作用させられる機械。
2. 前記排紙胴（７）に隣接する枚葉紙案内装置（２０）が前記角度領域（α）内まで延びている、請求項１に記載の機械。
3. 前記胴−胴間隙（２３）は、圧胴（４）と共に前記排紙胴（７）によって形成されており、前記枚葉紙（１）に前記圧胴（４）に向かって空気を吹き付ける空気吹き付け装置（２１）が前記圧胴（４）に隣接して配置されている、請求項１または２に記載の機械。
4. 前記空気吹き付け装置（２１）は、前記圧胴（４）によって形成される印刷間隙（２４）と前記胴−胴間隙（２３）の間で前記圧胴（４）に隣接して配置されている、請求項３に記載の機械。
5. 前記ディスク（１１）の少なくとも１つが他の前記ディスク（１１）に対して前記枚葉紙（１）の幅方向にスライド可能に支持されている、請求項１から４のいずれか１項に記載の機械。
6. 前記排紙胴（７）はチェーン搬送装置（６）の循環経路（２６）の内側に配置されている、請求項１から５のいずれか１項に記載の機械。
7. 両面印刷機である、請求項１から６のいずれか１項に記載の機械。

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