JP4636687B2 - 経口及び皮膚投与形用被覆剤及び結合剤 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、アクリレート(メタクリレート)コポリマー、可塑剤及び乳化剤から成る、経口及び皮膚投与形用被覆剤及び結合剤に関する。
【0002】
技術の水準
薬剤被覆においてアクリレート(メタクリレート)コポリマーを使用することは数十年来公知である。第三アミノ基を有するモノマー残基を含むアクリレート(メタクリレートコポリマーは、例えば胃液中で溶解して迅速な作用物質の遊離を可能にする味覚遮断性薬剤被覆用に適当である。該ポリマーは有機溶液の形で極めて良好に加工することができる。しかし有機溶剤は、多数の欠点、例えば同溶剤は環境を汚染し、毒性がありかつ引火し易いという欠点を有する。したがってすでに久しい以前から有機溶剤を水性分散液と代えるか又は全く溶剤を加えずに加工を可能にする(例えば溶融液での加工)努力がなされている。
【0003】
米国特許第4705695号明細書には、第三アミノ基を有する水溶性アクリレート(メタクリレート)コポリマー及び結合剤としての水に不溶な中性ポリマーを含有する水性被覆剤で製薬的製剤を被覆する方法が記載されている。例えば同分量のメチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレートから成るアクリレート(メタクリレート)コポリマーの溶解性は、0.25mm未満の粒度を有する粉末状で酸を同時に加えつつ水中で撹拌することによって実現される。結合剤(Binder)としては例えばメチルメタクリレート及びエチルアクリレート(70:30)から成る不溶のコポリマーを使用する。被覆溶液の製造は比較的費用がかかる。被覆は酸を含有するために不十分な味覚を有する。相応の被膜は人工胃液中でも水中でも2分未満で溶解する。
【0004】
ヨーロッパ特許第181515号明細書には、水性被覆剤分散液の製造方法及びこのものを薬剤の被覆のために使用することが記載されている。このためには第四アンモニウム基を有しかつ水中で膨潤するが、溶解しないアクリレート(メタクリレート)コポリマーを使用する。該コポリマーは例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート及び2−トリメチルアンモニウムメチルメタクリレート塩化物(60:30:10)から構成されていてよい。同コポリマーは好ましくは200μm未満の粒度範囲の微粉砕粉末の形で使用する。20〜50μm未満の粒度が使用可能であるが、ダストを生じやすい傾向のためにあまり有利ではない。粉末は水中で高められた温度で比較的長い撹拌後に溶解する。可塑剤の添加によって分散が促進される。乳化剤の添加は不要であると記載されている。
【0005】
ヨーロッパ特許出願公開第0727205号明細書には、熱可塑的に加工できる、投与形用被覆剤及び結合剤が記載されている。同明細書にはまた第三アミノ基を有するモノマー残基を有するアクリレート(メタクリレート)コポリマーを非相溶性溶剤(Fliessmittel)、例えばグリセロールモノステアレートを加えて溶剤なしに加工して溶融可能な薬剤製剤を形成することが記載されている。
【0006】
課題及び解決
第四アミノ基を有するモノマー残基を有するアクリレート(メタクリレート)コポリマーと異なり、従来、第三アミノ基を有するモノマー残基を有するアクリレート(メタクリレート)コポリマーを酸を加えることなく安定な水溶液又は分散液に変えることは不可能であった。さらに概して噴霧性製剤を得るためには大抵中性のアクリレート(メタクリレート)コポリマーのような他の添加物が必要である。
【0007】
また冒頭に引用した米国特許第4705695号明細書による被覆は、該被覆は複雑に製造しなければならず、比較的苦い味覚を有しかつ比較的費用をかけなければ製造できないという欠点も有する。このような製剤は純水中ですでに急速に溶解するので味覚遮断性被覆としては不適当である。
【0008】
本発明の課題は、第三アミノ基を有しかつ簡単な乾式又は水による継続加工を許すアクリレート(メタクリレート)コポリマーを含有する製剤及び投与形用被覆剤及び結合剤を製造する方法を提供することであると考えられた。この場合該製剤は特に味覚遮断性被覆を製造するために適することが要求され、したがって水中では人工胃液中より小さい溶解度を有することが望まれる。水性製剤は、特に噴霧塗布の場合には良好に加工できるべきである。また該製剤は乾式加工のためにも適しており、それによりヨーロッパ特許出願公開第0727205号明細書による溶融できる薬剤製剤を得る他の代替法を提供することが要求される。
【0009】
意外にも前記課題は、(a)アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合されたC〜C−エステル及び官能第三アンモニウム基を有する他のアクリレート(メタクリレート)モノマーから成るコポリマー35〜98質量%及び
(b)可塑剤1〜50質量%ならびに
(c)少なくとも14のHLB値を有する乳化剤1〜15質量%
から成る経口又は皮膚投与形用被覆剤及び結合剤の製造の場合、成分(a)、(b)及び(c)を、水を加えるか又は加えずに、場合により製薬的作用物質及び他の常用の添加物を加えて相互に混合し、溶融、注型、塗布又は噴霧によって該被覆剤及び結合剤を製造する方法において、コポリマー(a)を1〜40μmの平均粒度を有する粉末の形で使用することを特徴とする、経口又は皮膚投与形用被覆剤及び結合剤の製造方法によって解決されることが判明した。
【0010】
前記配合物の意外に良好な加工性は、コポリマー(a)を非常に小さい粒度を有する粉末状で提供することに基づいており、予想することはできなかった。この粉末状のコポリマー(a)は新規であり、同様に特許請求される。さらに本発明は、立てた課題を解決するためには、成分(a)、(b)及び(c)が限定された割合で存在しなければならない、という認識に基づいている。製造方法の間に成分相互の相互作用に対する有利な効果が惹起されると考えられる。したがって本発明による被覆剤及び結合剤も製造方法によって特性づけられている。
【0011】
有利な効果はまた水又は溶剤の使用なしにも達成されるので、前記成分もまた乾燥状で加工することができる。この際成分(a)及び(b)及び(c)が熱の作用によって有利に相互に凝集すると考えられる。
【0012】
粉末から製造できる層又は被覆は水中では不溶であるか又は難溶である。被膜化した層は口の中性環境では不透過性のままであるが、人工胃液中では急速に溶解し、被包した又は埋包した(eingebetten)作用物質を所望のように極めて迅速に遊離する。
【0013】
発明の実施
成分(a)
コポリマー(a)は大体において又は完全にアクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合されたC〜C−エステル及び官能第三アンモニウム基を有する他のアクリレート (メタクリレート)モノマーから成る。
【0014】
官能第三アンモニウム基を有する適当なモノマーは米国特許第4705695号明細書第3欄、第64行〜第4欄、第33行に記載されている。特にジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノベンジルアクリレート、ジメチルアミノベンジルメタクリレート、(3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルアクリレート、ジメチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルメタクリレート、(3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルアクリレート及びジメチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルメタクリレートを挙げることができる。特にジメチルアミノエチルメタクリレートが好ましい。
【0015】
コモノマー中の第三アンモニウム基を有するモノマーの含量は有利には30〜70質量%、特に40〜60質量%である。アクリル酸又はメタクリル酸のC〜C−エステルの分量は70〜30質量%である。メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートを挙げることができる。
【0016】
成分(a)に相当する、第三アミノ基を有するアクリレート(メタクリレート)コポリマーは、例えばメチルメタクリレート20〜30質量%、ブチルメタクリレート20〜30質量%及びジメチルアミノエチルメタクリレート60〜40質量%から形成されている。該配合物における成分(a)の分量は35〜98質量%、特に60〜90質量%である。
【0017】
コポリマー(a)は自体公知のようにしてラジカル的な塊状−、溶液−、パール−又は懸濁重合によって得られる。該コポリマーは適当な粉砕−、乾燥−又は噴霧工程によって加工する前に本発明の粒度分布にもたらさなければならない。粉末を製造するための適当な装置は当業者には周知であり、例えばエアジエットミル、デイスクミル、ファンミル (Faechermuehlen)である。場合によっては適当な篩分け工程を挿入してもよい。工業的大量生産のための適当なミルは例えば約6バールの超過圧で操作される逆ジェットミル(Gegenstrahlmuehle)(Multi Nr.4200)である。
【0018】
粉末の平均粒度は次ぎのようにして特定することができる:
−粉砕物をわずかの画分に簡単に分けるためのエアージェット篩分けによる。この方法はこの測定範囲に関しては次ぎのいずれかよりも若干不正確である。しかし質量(質量分布)に対して粒子の少なくとも70%、好ましくは90%は1〜40μmの本発明の粒度範囲に存在すべきである。
【0019】
−十分に適当な測定方法は粒度分布を測定するためのレーザー回折である。市販の装置は空気中での測定(Malvern社 S3.01 Partikelsizer)又は好ましくは液状媒体での測定(LOT社,Galai CIS1)を許す。液体中での測定の前提は、ポリマーがその中で溶解しないか又は粒子が測定の間に他の状態に変化しないことである。適当な媒体は、例えば著しく希釈された(約0.02%)水性のポリソルベート(Polysorbat)80溶液である。平均粒径は1〜40μm、好ましくは5〜35μm、特に10〜20μmでなければならない。
【0020】
成分(b)
可塑剤は種類(親油性又は親水性)及び加える量に応じてポリマ−層の機能性に影響を及ぼす。可塑剤はポリマーとの物理的相互作用によってガラス転移温度の低下を達成し、加える量に依存して被膜化(Verfilmung)を促進する。適当な物質は一般に100〜20,000の分子量を有しかつ分子中に1個以上の親水性基、例えばヒドロキシル−、エステル−又はアミノ基を有する。
【0021】
適当な可塑剤の例は、クエン酸アルキルエステル、グリセリンエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、ジブチルセバケート及びポリエチレングリコール200〜12,000である。好ましい可塑剤は、トリエチルシトレート(TEC)、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)及びジブチルセバケート(DBS)である。さらに一般には室温で液状のエステル、例えばシトレート、フタレート、セバケート又はひまし油も挙げることができる。好ましくはクエン酸−及びセバシン酸エステルを使用する。
【0022】
該配合物への可塑剤(b)の添加は、公知法で、直接、水溶液中で又は混合物の熱的前処理後に行うことができる。また可塑剤の混合物も使用することができる。
【0023】
該配合物における成分(b)の分量は1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%である。
【0024】
成分(c)
乳化剤又は界面活性剤はリオ二極性(lyobipolarem Charakter)を有する界面活性物質である、つまりこれれの分子中には非極性親液性及び極性親水性の中心が存在しなければならない(P.H.List,Arzneiformenlehre,Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH Stuttgart,1982,Kap.6.2.)。分子構造によりイオノゲン及び非イオノゲン乳化剤の間に区別がある。
【0025】
HLB値は、1950年にグリフィン(Griffin)によって導入された、非イオン界面活性剤の親水性又は親油性の尺度である。この値はマルスツアル(Marszall)のフェノール滴定法によって実験的に測定することができる;参照:“Parfuemerie,Kosmetik”、Band60、1979、444〜448頁;他の参照文献−Roempp、Chemie−Lexikon、第8版、1983、1750頁。さらに例えば米国特許第4795643号明細書(Seth)を参照されたい。
【0026】
HLB値(親水性/親油性平衡)は非イオン乳化剤の場合にのみ正確に測定することができる。陰イオン乳化剤の場合にはこの値は計算により求めることができるが、実際には常に14を超えるか又ははるかに超える。
【0027】
14を超えるHLB値を有する乳化剤とは、本発明によれば少なくとも14のHLB範囲を有する親水性の非イオン乳化剤及び14を超える計算によるHLB値を有する、同様に親水性の陰イオン乳化剤及びそれらの塩を意味する。14未満のHLB値を有する乳化剤、例えばグリセロールモノステアレートも同様に付加的に含有されていてもよいが、少なくとも14のHLB値を有する乳化剤(c)と代えることはできない。
【0028】
適当な乳化剤(c)は、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びセチルステアリル硫酸ナトリウム、サッカロースステアレート及びポリソルベート(Polysorbat)80である。乳化剤(c)は1〜15質量%、好ましくは5〜10質量%の量で含有されている。もちろん乳化剤混合物の使用も可能である。
【0029】
該配合物への乳化剤(c)の添加は公知法で、直接に、水溶液で又は混合物の熱的前処理後に行うことができる。
【0030】
乳化剤は種類及び添加量に応じてポリマー層の機能性に影響を与えることができる。
【0031】
他の添加物
本発明の配合物には、一般に被覆剤及び結合剤を得る加工の際には常用の添加物を加える。
【0032】
薬剤被覆又は被覆加工での常用添加物の使用量及び使用は当業者に周知である。常用の添加物は、例えば離型剤、顔料、安定剤、酸化防止剤、孔形成剤(Porenbildner)、浸透促進剤、艶出剤、芳香物質又は調味料であってよい。それらは加工助剤として働き、安全で再生可能な製造方法ならびに良好な長期貯蔵安定性を保証し又は投与形において付加的な有利な特性を獲得する。それらは加工前にポリマー調剤に加えられ、被覆の透過性に影響を及ぼしうるので、これは場合により付加的調節パラメータとして利用することができる。
【0033】
離型剤:
離型剤は一般に親油性を有しかつ一般に噴霧懸濁液に加える。離型剤は被覆化(Befilmung)の間に核(Kerne)の凝集を防止する。好ましくはタルク、Mg−又はCa−ステアレート、粉砕ケイ酸、カオリン又は3〜8のHLB値を有する非イオン乳化剤を使用する。本発明の被覆剤及び結合剤中の離型剤の通常の使用量はコポリマー(a)に対して0.5〜100質量%である。
【0034】
特に有利な実施態様では離型剤の添加は濃厚な形で最終層として行う。この塗布は粉末として又は固形分5〜30%を有する水性懸濁液から噴霧によって行う。必要量はポリマー層に混入する場合よりも少なく、投与形の質量に対して0.1〜2%である。
【0035】
顔料:
可溶性の着色剤の形では滅多にしか添加を行わない。一般には酸化アルミニウム−又は酸化鉄顔料を分散させる。白色顔料としては二酸化チタンを用いる。本発明の被覆剤及び結合剤中の顔料の通常の使用量はポリマー混合物に対して20〜60質量%である。しかし顔料の結合力が高いためにまた100質量%までの量も使用することができる。
【0036】
特に有利な実施態様では、直接濃厚な形で最終層として使用する。塗布は粉末として又は固形分5〜30質量%を有する水性懸濁液から噴霧によって行う。必要量はポリマー層中に混入する場合よりも少なく、投与形の質量に対して0.1〜2%である。
【0037】
すべての使用した物質は原則としてもちろん毒物学的に危険がなく、患者に対する危険なしに薬剤中で使用することができる。
【0038】
製造方法
成分(a)、(b)及び(c)を、水を加えるか又は加えずに、場合により製薬的作用物質及び他の常用の添加物を加えて相互に混合し、溶融、注型、塗布又は噴霧によって該被覆剤及び結合剤を製造する。この場合被覆剤及び結合剤の被膜化(Verfilmung)は投与形における機能的効果の前提である。
【0039】
被覆化は、塗布方法に関係なくエネルギーの供給によって行う。これは対流(熱)、放射(赤外線又はマイクロ波)又は伝導(Leitung)により行う。塗布に当たって懸濁剤として使用する水はこの際蒸発し、場合によっては真空を適用して蒸発を加速することもできる。被膜化のために必要な温度は使用した成分の組合わせに依存している。
【0040】
本発明の配合物を結合剤の製造のために使用する:
結合剤としての使用は、例えば粉末状作用物質又はそれらの混合物を同時に添加しつつ作用物質を含まない核(ノンパレル(Nonpareilles))上に水性ポリマー懸濁液を噴霧することによって行う。もう一つの実施態様は水性ポリマー懸濁液をその中に溶解した又は懸濁した作用物質と一緒に噴霧することである。
【0041】
本発明の配合物を被覆剤の製造のために使用する:
被覆のための支持体はカプセル、錠剤、顆粒、ペレット、規則的又は不規則的な形の結晶である。顆粒、ペレット又は結晶の大きさは0.01〜2.5mmであり、錠剤の大きさは2.5〜30.0mmである。カプセルはゼラチン、デンプン又はセルロース誘導体から成る。
【0042】
前記支持体は一般に95質量%までの生物学的活性物質(作用物質)及び99.9質量%までの他の製薬的助剤を含有している。通常の製造法は直接的加圧成形、乾燥−、湿潤−又は焼結顆粒の加圧成形、押出し及び次ぎの円形化、湿式又は乾式造粒又は直接的ペレット成形(例えば円板上での)又は作用物質を含まない球(ノンパレル)又は作用物質を含む粒子上での粉末の結合(粉末積層(Powder layering))である。
【0043】
該支持体は作用物質の他に他の製薬的助剤:結合剤、例えばセルロース及びそれらの誘導体、ポリビニルピロリドン(PVP)、保湿剤、分解促進剤、滑剤、崩壊剤、アクリレート(メタクリレート)、デンプン及びそれらの誘導体、糖可溶化剤等を含有することができる。
【0044】
特に、作用物質の遊離に影響を与える核の分解時間が重要である。今日、Ph.Eur.による分解試験において5分未満又は10分未満の短い分解時間が求められている。これに対して長い分解時間は問題がある、それというのも補助的な被覆が作用物質の遊離をさらに遅延させ、治療効果に疑いを生じさせることもありうるからである。今日30分の分解時間が限界値として考えられている。試験は水及び人工胃液(0.1N HCl)中で行う。第三アミノ基を有するポリマーの機能に関しては核の分解又は作用物質の遊離に対するpHの影響が重要である。水中での分解時間が人工胃液におけるよりも少なくとも2倍長い場合に、十分な機能性が生じる。
【0045】
使用した核は均質であるか又は層状構造を有する。表面に彫刻(Gravuren)が設けられている場合には、これらを被覆によってできるだけ覆うべきであるが、ほとんど充填してはならない。本発明により使用されるポリマー粉末の層厚は著しく変化し、加工法又は添加物の量に依存している。層厚は1〜100μm、好ましくは10〜50μmである。これは通常の錠剤の上では0.5〜5質量%のポリマー塗布量に相当する。被覆された微小粒子は、K.Lehmann et al.,Drugs made in Germany 37,2,53〜60(1994)及びT.E.Beckert et al,International Journal of Pharmaceutics 143,(1996),13〜23により、ポリマーの機能に著しい影響を与えることなく加圧成形して分解性錠剤にすることができる。
【0046】
最終投与形における被膜化したポリマー層の機能は種々であってよい:
・湿気、ガス、光等による有害な環境作用の防止
・嗅覚−又は味覚の遮断
・色による特徴づけ
・機械的安定化
・非相溶性内容物質の分離
・粘膜における付着の回避
・時間的に遅延された作用物質の遊離
・pH調節による作用物質遊離
水性分散液中のポリマー混合物の低い粘度は30%までの高い固形分の場合にも有利である、それというのも錠剤の表面上の彫刻(Gravuren)は後から詳細に形成されるからである。錠剤分解に対する影響が同時に小さい場合には、本発明のポリマー混合物の良好な保護−及び遮断作用が特に有利である。すでに1質量%の小さいポリマー塗布量の場合にも30秒よりも大きい味覚遮断が達成される。メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)E100)による厚い被覆は味覚被覆を改善するが、0.1N HCl中での分解時間を延長しない。同様に高い顔料分を有する被覆のよる着色核の信頼できる被覆も有利である。特別の実施態様は作用物質を含有する核上の被覆中に第二の作用物質を埋包することである。
【0047】
本発明の配合物を支持体上で塗布する:
本発明の配合物は、粉末状で、溶融物として又は水性懸濁液で注型、塗布又は噴霧塗布によって適用することができる。この場合水は主としてビヒクルとして使用して、薄い被覆を球状核上に例えば噴霧によって均一に塗布する。また被覆のためにははけ塗り(Streichverfahren)も使用する。使用される方法は主として選択された支持体に従う。乾燥粉末ははけ塗り又は噴霧によって塗布し、場合によってはまた静電力のし用下でも行う。この場合実施に関しては、均一の閉じた層が生じることが重要である。
【0048】
従来の技術水準による塗布方法は、例えばBauer,Lehmann,Osterwald,Rothgang,“Ueberzogene Arzneiformen” Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH Stuttgart,Kap7,165〜196頁を参照されたい。適用にとって重要な特性、要求される試験及び明細書は薬局方に列挙されている。詳細は慣用の教科書から得ることができる。例えば次ぎの通り:
・ Voigt, R. (1984): Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie; Verlag Chemie Weinheim-Beerfield Beach/Florida-Basel
・ Sucker, H., Fuchs, P., Speiser, P. :Pharmazeutische Technologie, Georg Thieme Verlag Stuttgart (1991), 特に15及び16章、626〜642頁
・ Gennaro, A., R.(編者), Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton Pennsylvania (1985), 88章、1567〜1573頁
・ List, P. H. (1982): Arzneiformenlehre, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH, Stuttgart
本発明の被覆剤及び結合剤は経皮的治療系の成分として使用することができる。代表的な場合にはこれは製薬的作用物質を含有する硬膏であり、この作用物質は遊離後に局所的に作用するか又は皮膚を通って血管に吸収され、体内に分配され、そこで全身的に作用する。
【0049】
皮膚及び経皮治療系はしばしば多層構造を有し、組織的構造により次ぎのように区別される:
・レザバー(Reservoir)系
・マトリックス系
・接着在中薬剤(Drug−in−Adhesiv)系
・多ラミネート(Multi−Laminate)系
薬物はこれらの系の1種以上の層中に埋包されいて、皮膚上に固定された後調節的に放出されて、所望の効果を発揮する。
【0050】
次ぎの作用物質(又はそれらの塩)はすでに市販製剤中に含まれているか又は開発中である:
ニコチン、グリセロールトリニトレート、スコポラミン、クロニジン、フェンタニル、エストラジオール、テストステロン、オキシブチニン、ジクロフェナック(Diclophenac)、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジルチアゼム(Diltiazem)、プロプラノロール、アルブテロール、アルプラゾラム、アメトカイン、アテノロール、ベンゾポルフィリン、ブプレノルフィン、カルシトニン、ジトラノール、ジフェンシプロン(Diphencypron)、分散ペプチド、エプタゾシン(Eptazocine)、エチニルエストラジオール、メトトレキセート、ナロキソン及びトレチニオン。
【0051】
特別な実施態様では、付着防止性支持体を被覆し、本発明の被覆剤及び結合剤を被膜化する。次ぎに得られた被膜を支持体から分離し、それを自由な形で積層、圧延又は被覆のために使用する。必要な付着は加熱、接着によって達成する。この際安定化のために付加的に圧力を加えてもよい。
【0052】
生物学的活性市物質
本発明の思想で使用される薬物は、人間又は動物の身体の表面又は身体中で使用されるように特定されており、
1.疾患、長期の病気(Leiden)、身体障害又は病的苦痛を治療し、鎮静化し、予防し又は認識する。
【0053】
2.身体の性質、状態又は機能又は精神的状態を認識する。
【0054】
3.人間又は動物の身体から産生された作用物質又は体液を交換する。
【0055】
4.病原菌、寄生虫又は異質な物質を防御し、除去し又は無害にする又は
5.身体の性質、状態又は機能又は精神的状態に影響を及ぼす。
【0056】
慣用の薬物は参考書類、例えばローテンリスト(Roten Liste)又はメルクインデックス(Merk Index)から知ることができる。本発明では、所望の治療効果を上記の定義の意味で満足させかつ十分な熱的安定性を有するすべての作用物質を使用することができる。
【0057】
重要な例(群及び単一物質)は全部を挙げないが次ぎの通りである:
鎮痛薬、抗アレルギー薬、抗不整脈薬、抗生物質、化学療法薬、糖尿病薬、解毒薬、抗てんかん薬、抗高血圧薬、抗低血圧薬、抗凝固薬、抗カビ薬、消炎薬、ベータレセプターブロッカー、カルシウム拮抗薬及びACE−抑制薬、気管支渙散薬(Broncholytika)/抗喘息薬、コリン作用薬、コルチコイド(内部)、皮膚薬、利尿薬、酵素抑制薬、酵素製剤及び輸送タンパク質、去痰薬、老人病薬、痛風薬、インフルエンザ薬、ホルモン及びそれらの抑制物質、催眠薬/鎮痛薬、強心薬、脂質降下薬、
副甲状腺ホルモン/カルシウム代謝調節剤、向精神薬(Psychopharmaka),性ホルモン及びそれらの抑制物質、鎮痙薬、交感神経遮断薬、交感神経作用薬、ビタミン、傷治療薬、細胞成長抑止薬。
【0058】
作用物質遅延用の好ましい作用物質は次ぎの通りである:
ニフェジピン、ジルチアゼム、テオフィリン、ジクロフェナクナトリウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、アンブロクソール、テルブタリン、ビンカミン、プロプラノロール、ペントキシフィリン、コデイン(Kodein)、モルフィン、エテイレフリン、カルバマゼピン又はそれらの製薬的に使用される塩。
【0059】
適用形:
記載した投与形は原則として経口投与によって直接使用することができる。本発明により製造した顆粒、ペレット又は粒子はゼラチンカプセル、小嚢(サッシェイ(Sachet))又は計量装置を有する適当な多用量容器中に詰めることができる。服用は固体の形で又は液体中に懸濁して行う。加圧成形によって、場合により他の補助物質を加えた後、服用後に分解しかつ大抵被覆された下部単位(Untereinheiten)を放出する錠剤が得られる。また坐薬又は腟投与系を製造するためには、凝集物をポリエチレングリコール又は脂質中に埋包することも考えられる。被覆した錠剤はブリスター又は多用量容器中に包装し、服用直前に患者が取出す。
【0060】

例で使用した錠剤の配合及び生薬データは次ぎの表に記載してある:
【0061】
【表1】
Figure 0004636687
【0062】
使用したすべての助剤は製薬的特性を有している。
【0063】
若干の例で使用したグリセロールモノステアレート(GMS)の水性懸濁液の製造は、相応の量の水の中でGMSを懸濁し、60℃に加熱し、同配合物を室温に冷却し、強力ミキサー(例えばUltra Turrax)で均質化することによって行う。
【0064】
メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)E100)から成る粉末を、押出した顆粒を種々のエアージェットミル(本発明の粒度)又はデイスクミル(本発明によらない粒度)で粉砕することによって製造した。
【0065】
粒度の測定は粒度計S3.01(Malvern Instruments社)又はGalai CIS1(LOT社)で行った。
【0066】
例1〜3は本発明による被覆剤及び結合剤を粉末又はペーストとして直接塗布することを記載する。
【0067】
例4〜17には水性懸濁液から成る配合−及び実施変形を記載してある。
【0068】
例18〜20は本発明によらない実施態様(比較例)を記載している。
【0069】
1.親水性可塑剤及び非イオン乳化剤を含む遮断層の製造
メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)E100)3.5gを乳鉢でポリエチレングリコール1200 5g及びサッカロースステアレート1.5gと一緒に混合する。得られた粉末をテフロンシート上に均一に塗布し、乾燥室で100℃で約15時間にわたって被膜化する。脱イオン水中に溶けない、つながりのある透明な被膜が形成される。このものは例えば転写法で平面状支持体上に移すか又は自由被膜として立方体の核を被包するために使用される。この際個々の層は相互に接着されるか又は溶接されうる。
【0070】
2.親水性可塑剤及び非イオン乳化剤を含む遮断層の製造
メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒度10μm)10.0gを、乳鉢でTEC5g及びポリソルベート(Polysorbat)80 1.5gと混合する。この乳白色の高粘性ペーストをテフロン化したガラス板上に塗布し、例1と同様にして被膜化する。透明な粘性被膜が形成されるが、このものは脱イオン水中で不溶であり、例1と同様に使用することができる。
【0071】
3.親油性可塑剤及び非イオン乳化剤を含む遮断層の製造
セバシン酸ジブチル5g、サッカロースステアレート1.5g及びメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒度10μm)5gを、乳鉢で混合する。この乳白色の高粘性ペーストをテフロン化したガラス板上に塗布し、例1と同様にして被膜化する。透明な粘性被膜が形成されるが、このものは脱イオン水中で不溶であり、例1と同様に使用することができる。
【0072】
4.非イオン乳化剤及び親水性可塑剤を含む無色の遮断被覆
ビーカーで水274g、33.3%ポリソルベート80溶液18g及びクエン酸トリエチル9gを、羽根付撹拌機(Fluegelruehrer)を用いて混合する。次ぎに撹拌下でメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒径15.3μm)60gを徐々に加え、90分さらに撹拌する。
【0073】
次ぎにこの混合物にグリセロールモノステアレートの6%懸濁液20gを加え、Ultra Turraxを用いてもう一回回転数3500/分で10分均質化する。
【0074】
得られた噴霧懸濁液を糖衣丸製造がま(Dragierkessel)( 25cm、回転数約40/分)でスプレーガン(噴霧圧力0.8バール)を用いてプラシーボ錠剤1500g上に噴霧する。生成物温度を予熱空気の導入によって25〜40℃に保ち、使用した水を蒸発させる。ポリマー塗布量は4mg/cmである。噴霧時間は60分である。最後にはステアリン酸マグネシウム3gを散布し、一晩中RTで乾燥する。錠剤は平滑で光沢のある表面を有し、脱イオン水及び人工胃液中でのPh.Eurによる分解試験では次ぎの値を示す:
【0075】
【表2】
Figure 0004636687
【0076】
5.イオン乳化剤及び親油性可塑剤を含む無色の遮断被覆
メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒径13.3μm)30.0g、ラウリル硫酸ナトリウム3.0g及び脱イオン水150gをビーカーに入れ、セバシン酸ジブチル6gと混合し、1.5時間撹拌する。次ぎにこの懸濁液にタルク20g及び脱イオン化水80gを加え、さらに10分撹拌する。得られた噴霧懸濁液を例4で記載したようにプラシーボ錠剤上に噴霧する。全ポリマー塗布量は2mg/cmである。噴霧時間は71分である。次ぎに室温で一晩中乾燥する。錠剤は光沢のある均一な被覆を示し、脱イオン化水及び人工胃液中でのPh.Eur分解試験では次ぎの値を示す:
【0077】
【表3】
Figure 0004636687
【0078】
6.イオン乳化剤及び親油性可塑剤を含む無色の遮断被覆
メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー123.0gを、ラウリル硫酸ナトリウム4.5g及び脱イオン水600gと一緒にガラス製反応器中に入れ、回転数600/分を有する円板式溶解機(Disolverscheibe)を用いて真空720mバール下で撹拌し、45℃に加熱し、この温度で1.5時間撹拌する。次ぎにセバシン酸ジブチル18.0gを徐々に加え、60分以内に撹拌しつつ20℃に冷却する。次いでさらにラウリル酸ナトリウム4.5gを加え、合わせて5時間になるまで継続撹拌する。この分散液183gをビーカーでタルク30g及び脱イオン水40gと混合し、約20分撹拌する。得られた噴霧懸濁液を例4で記載したようにしてプラシーボ錠剤上に塗布する。全ポリマー塗布量は2mg/cmである。噴霧時間は46分である。次ぎに室温で一晩中乾燥する。錠剤は均一で、光沢のある被覆を有し、脱イオン水及び人工胃液中でのPh.Eur分解試験では次ぎの値を示す:
【0079】
【表4】
Figure 0004636687
【0080】
7.イオン乳化剤と親油性可塑剤を含む無色の遮断被覆
ガラス製反応器で、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー及びグリセロールモノステアレート(70/30)の押出されかつ粉砕された混合物(平均粒度4.5μm)131.8g、ラウリル硫酸ナトリウム7.3g及びセバシン酸ジブチル10.94gを、脱イオン化水600g中で円板式溶解機を用いて回転数400/分で720mバールの真空下で30℃で5時間分散した。得られた噴霧懸濁液を例4で記載したようにしてプラシーボ錠剤上に塗布する。ポリマー塗布量は2mg/cmである。噴霧時間は84分である。同錠剤を室温で一晩中乾燥する。錠剤は均一で、光沢のある被覆を有し、脱イオン水及び人工胃液中でのPh.Eurの分解試験では次ぎの値を示す:
【0081】
【表5】
Figure 0004636687
【0082】
8.イオン性乳化剤と親油性可塑剤を含み、最終被覆を有する無色の遮断被覆
ビーカーでナトリウム−セチルステアリルスルフェート(Lanett E)6gを脱イオン水288g中に70℃で溶かす。次いでメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒径15.3μm)60g及びセバシン酸ジブチル6gを徐々に加える。次ぎに前記温度で加熱可能の磁気撹拌機で1時間撹拌を続け、約50℃に冷却し、さらにセバシン酸ジブチル3gを加え、室温に冷却する。この混合物中でタルク30gを分散する。得られた噴霧懸濁液を例4で記載したようにしてプラシーボ錠剤上に塗布する。ポリマー塗布量は4mg/cmである。噴霧時間は62分である。次いで18.7%水性タルク懸濁液40gを5分以内に噴霧する。同錠剤を乾燥機で40℃で2.5時間乾燥する。錠剤は均一で、光沢のある被覆を有し、脱イオン水及び人工胃液中でのPh.Eur分解試験では次ぎの値を示す:
【0083】
【表6】
Figure 0004636687
【0084】
9.イオン乳化剤及び親油性可塑剤を含む有色遮断被覆
ビーカーで脱イオン水370g、ラウリル硫酸ナトリウム4.2g、セバシン酸ジブチル9gを3分間混合し、撹拌下にメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒径15.3μm)60gを徐々に加え、室温で3.5時間撹拌する。この懸濁液に20%タルク懸濁液100gを加え、均一に混合する。
【0085】
得られた噴霧懸濁液を例4に記載したようにしてプラシーボ錠剤上に塗布する。ポリマー塗布量は4mg/cmである。噴霧時間は95分である。次ぎに顔料懸濁液(ポリソルベート80 0.2%、タルク14.9%、ステアリン酸マグネシウム2.1%、二酸化チタン6.4%、キノリンイエロー6.4%、ポリエチレングリコール6000 2.1%及び水67.9%から成る)55gを15分以内に噴霧する。同錠剤を室温で一晩中乾燥する。錠剤は均一で、光沢のある被覆を有する。同錠剤は脱イオン水及び人工胃液中でのPh.Eur分解試験では次ぎの値を示す:
【0086】
【表7】
Figure 0004636687
【0087】
10.非イオン乳化剤及び親水性可塑剤を含む有色遮断被覆
ビーカーで脱イオン水333.5g、ポリソルベート80の33.3%溶液12.6g及びクエン酸トリエチル9gを羽根付撹拌機で予備混合し、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒径15.3μm)60gを徐々に撹拌導入し、室温で1.5時間撹拌する。次ぎに10%タルク懸濁液50gを加え、Ultra Turraxを用いて3000/分で10分間均質化し、磁気撹拌機で消泡懸濁液2〜3滴を加えた。
【0088】
得られた噴霧懸濁液を例4で記載したようにしてプラシーボ錠剤上に塗布する。ポリマー塗布量は4mg/cmである。噴霧時間は70分である。次ぎに顔料懸濁液(例9による)55gを15分以内に噴霧する。同錠剤の半分を室温で一晩中乾燥し、他の半分を40℃で乾燥器で6時間乾燥する。これらの錠剤は均一で、光沢のある被覆を有する。同錠剤は脱イオン水及び人工胃液中でのPh.Eurの分解試験では次ぎの値を示す:
【0089】
【表8】
Figure 0004636687
【0090】
11.非イオン乳化剤及び親水性可塑剤を含む有色遮断被覆
ビーカーで脱イオン水175g、ポリソルベート80の33.3%溶液18g及びクエン酸トリエチル9gを室温で混合する。次ぎにメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒径15.3μm)60gを徐々に加え、一晩中撹拌する。次ぎに3%グリセロールモノステアレート懸濁液40gを加え、Ultra Turraxを用いて回転数3000/分で10分間均質化し、水で希釈して400gとなし、消泡懸濁液2滴を加える。
【0091】
得られた噴霧懸濁液を例4で記載したようにしてプラシーボ錠剤上に塗布する。ポリマー塗布量は4mg/cmである。噴霧時間は56分である。この塗布後に3%GMS懸濁液25gを5分以内に噴霧する。有色被覆を得るためにさらに、顔料懸濁液(ポリエチレングリコール6000 0.2%、GMS2.4%,二酸化チタン2.4%、キノリンイエロー2.4%及び水92.6%から成る)35gを8分以内に塗布する。同錠剤の半分を室温で一晩中乾燥し、他の半分を乾燥器で40℃で6時間乾燥する。これらの錠剤は光沢のある、均一に着色された被覆を有する。同錠剤は脱イオン水及び人工胃液中でのPh.Eur分解試験では次ぎの値を示す:
【0092】
【表9】
Figure 0004636687
【0093】
12.赤外線による引続く被膜化による粉末被覆
ビーカーで脱イオン水85.0g、ポリソルベート80の33.3%溶液9g、ATBC6gを混合し、その中でメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒径15.3μm)30gを懸濁し、1時間撹拌する。
【0094】
得られたポリマー分散液をドクターを用いてガラス板上に500μmの厚さの層で塗布し、赤外線ランプの下で80℃で5分間被膜化する。光沢のある透明な被膜が生じるが、これは水中に溶けない。
【0095】
13.赤外線による引続く被膜化による粉末被覆
ビーカーで脱イオン水81.5g、ポリソルベート80の33.3%水溶液9g、TEC4.5gを混合し、その中でメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒径15.3μm)30gを懸濁し、1時間撹拌する。得られたポリマー分散液を例12と同様にして被覆し、被膜化する。水中に溶けない透明な被膜が得られる。
【0096】
14.マイクロ波による引続く被膜化による粉末被覆
例12によるポリマー懸濁液をそこに記載したようにして塗布し、マイクロ波結合装置(Microwellen−Kombinationsgeraet)NE−972−973(Panasonic社)で360Wで12分間被覆化する。光沢のある透明な被膜が生じるが、これは水中で溶解しない。
【0097】
15.マイクロ波による引続く被膜化による粉末被覆
例13によるポリマー懸濁液をそこに記載したようにして塗布し、例14と同様にしてで被覆化する。光沢のある柔軟で透明な被膜が生じるが、これは水中で溶解しない。
【0098】
16.味覚遮断性被覆
例4で記載した実験を硫酸キニジン錠剤を用いて反復する。感覚試験により苦い味覚を遮蔽するために次ぎの時間がかかった:
【0099】
【表10】
Figure 0004636687
【0100】
17.湿気に対する遮断被覆
コロイドミルMZ50(Fryma社)で、脱イオン水1540g、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るコポリマー(平均粒径15.3μm)400.0g、ラウリル硫酸ナトリウム20.0g及びセバシン酸ジブチル40.0gを1.5時間分散する。
【0101】
この懸濁液388.0g中でタルク34.0g及び脱イオン水433.0gを分散し、さらに10分撹拌する。得られた噴霧懸濁液を例4で記載したようにしてメチレンブルー錠剤上に塗布する。全ポリマー塗布量は4mg/cmである。噴霧時間は110分である。次ぎに乾燥器で40℃で4時間乾燥する。これらの錠剤は光沢のある均一な被覆を有し、脱イオン水及び人工胃液中でのPh.Eur分解試験では表に記載した値を示す。さらに試験液が皮膜被覆を通って錠剤核中に浸透する時間を、青色の着色が現れることによって調べた。
【0102】
【表11】
Figure 0004636687
【0103】
18.本発明によらない粒度を有する遮断被覆
例4で記載した実験をメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレート(25:25:50の割合)から成るより粗大なコポリマー(平均粒度42μm)を用いて反復する。噴霧塗布はダスト形成がひどいために不規則になった。被覆は不均一であり、粗い不規則な表面を有していた。
【0104】
19.可塑剤を加えない遮断被覆
例4で記載した実験をTECを加えることなく繰返した。噴霧塗布はダスト形成がひどいために不規則な形成となった。被覆は不均一であり、粗い不規則な表面を有していた。20.界面活性剤を加えない遮断被覆
例4で記載した実験をポリソルベート 80の溶液を加えることなく繰返しす。噴霧塗布はダスト形成がひどいために不規則になった。被覆は不均一であり、粗い不規則な表面を有していた。

Claims (7)

  1. (a)メチルメタクリレート20〜30質量%、ブチルメタクリレート20〜30質量%及びジメチルアミノエチルメタクリレート60〜40質量%から成るラジカル重合されたコポリマー35〜98質量%及び
    (b)可塑剤1〜50質量%ならびに
    (c)少なくとも14のHLB値を有する乳化剤1〜15質量%
    から成る経口又は皮膚投与形用被覆剤及び結合剤の製造の場合、成分(a)、(b)及び(c)を、水を加えるか又は加えずに、場合により製薬的作用物質及び他の常用の添加物を加えて相互に混合し、溶融、注型、塗布又は噴霧によって該被覆剤又は結合剤を製造する方法において、コポリマー(a)を1〜40μmの平均粒度を有する粉末の形で使用することを特徴とする、経口又は皮膚投与形用被覆剤又は結合剤の製造方法。
  2. 離型剤を被覆剤又は結合剤上に濃厚な形で最終層として施す、請求項1記載の方法。
  3. 顔料を被覆剤又は結合剤上に濃厚な形で最終層として施す、請求項1記載の方法。
  4. 請求項1記載の方法により製造された被覆剤又は結合剤。
  5. 請求項4記載の被覆剤又は結合剤の、作用物質を含有する製薬組成物の味覚遮断性被覆としての使用。
  6. 請求項4記載の被覆剤又は結合剤の、作用物質を含有する製薬組成物の湿気遮断性被覆としての使用。
  7. 請求項4記載の被覆剤又は結合剤の、経皮治療系の成分としての使用。
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