JP2002255807A - 抗菌剤 - Google Patents

抗菌剤

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JP2002255807A
JP2002255807A JP2001053573A JP2001053573A JP2002255807A JP 2002255807 A JP2002255807 A JP 2002255807A JP 2001053573 A JP2001053573 A JP 2001053573A JP 2001053573 A JP2001053573 A JP 2001053573A JP 2002255807 A JP2002255807 A JP 2002255807A
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antibacterial agent
ester
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skin
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JP2001053573A
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English (en)
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Chika Misumi
千夏 三角
Noboru Yamamoto
昇 山本
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Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium s
p.)に対して優れた殺菌及び静菌作用を有する抗菌剤、
並びに該抗菌剤を有する皮膚外用剤及び防臭剤を提供す
る。 【解決手段】クエン酸エステル、またはクエン酸エステ
ルと炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エステルと
を有効成分として含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コリネバクテリウ
ム属菌(Corynebacterium sp.)に対して効力を有する
抗菌剤、特に腋臭発生の原因菌であるいわゆる腋臭菌に
対して優れた殺菌ないし静菌効果を発揮する抗菌剤に関
する。さらに本発明は、上記抗菌剤を含有する腋臭症に
有用な皮膚外用剤、並びに腋臭の発生を防止するのに用
いられる防腋臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】発汗に伴う不快臭は、本来は無臭かつ無
菌である汗が皮表の微生物によって分解されることによ
って生じることが知られており、これに皮表や汗中のア
ンモニアが加わるとさらに特有の臭気となる。とりわけ
体臭の中でも鼻をつくような独特な臭いである腋臭は、
腋窩部のアポクリン汗腺から分泌されるアポクリン汗が
皮表に存在するコリネバクテリウム属菌やブドウ球菌に
よって分解されることによって発生する。そこで、体臭
の発生を抑制するために従来より発汗防止剤、制汗収斂
剤、抗生物質または抗菌剤などが使用されている。しか
しながら、発汗防止剤や制汗収斂剤は汗の分泌量の多い
人には余り効果がなく、特にヒドロキシ塩化アルミニウ
ム(アルミニウム塩化水和物)のようなアルミニウム塩
からなる制汗収斂剤はそのタンパク質変性作用のため皮
膚への刺激性が強いという問題がある。また、塩化ベン
ゼトニウムや塩化ベンザルコニウムなどの抗菌剤や抗生
物質は効果は高いものの、体臭の原因となる微生物だけ
でなく皮膚微生物叢を形成する微生物までも殺菌若しく
は静菌してしまうため、健全な皮膚微生物叢形成による
皮膚本来の自浄作用を損なってしまという危険性を有し
ている。そこで、不快な体臭を防止する方法を開発する
ためには、長期間使用しても健全な皮膚微生物叢には極
力悪影響を与えず、不快臭を発生する原因のもととなる
菌を選択的に殺菌もしくは静菌する作用を有する抗菌剤
を見出すことが必要となる。
【0003】また、黄色ブドウ球菌等の化膿菌を殺菌ま
たは静菌処理する方法としても従来は抗生物質や抗菌剤
などが使用されており、上記と同様の問題がある。
【0004】ところで、クエン酸トリエチルは、従来よ
りプラスチック食品包装材料やエナメルの無毒性可塑剤
として化粧品や食品などの分野で広く使用されている化
合物であるが、また当該化合物には汗臭などの体臭を脱
臭する作用があることが知られている(特開昭55-2676
号公報、特表平9-506599号公報)。しかしながら、これ
らの公報によると、クエン酸トリエチルはそれ自体抗菌
性のない化合物であり、その脱臭作用はpHの低下によ
って汗を分解するエステラーゼの活性が阻害されること
によることが記載されている。
【0005】一方、ショ糖脂肪酸エステルは、耐熱性芽
胞菌に対して静菌作用があることが知られており、この
ため従来より食品や化粧品分野において防腐剤や保存剤
として用いられている非イオン性界面活性剤である。具
体的には、特開平10-70971号公報によると、ショ糖脂肪
酸エステルは Bacillus coagulansB.circulansB.ce
reusB.licheniformisB.stearothermophilusB.sub
tilisB.polymyxaClostridium sporogenesC.perfr
ingensC.bifementansC.butyricumC.boturinum
C.pasteurianumC.thermaceticumC.thermosacharoly
ticumC.thermohydrosulfricum、及びDesulfotomaculu
m nigrificans 等の耐熱性芽胞菌に対して抗菌作用があ
り、これらの微生物による食品の変敗を有意に防止する
ことができることが記載されており、また特開平1-311
014号公報によると、ショ糖脂肪酸エステルは Propioni
bacterium acnesPropionibacterium avidamなどのプ
ロピオニバクテリウム属に属する皮膚常在菌に対して抗
菌作用があり、ニキビの悪化や皮膚炎症の防止に有用で
あることが記載されている。
【0006】前述するようにクエン酸トリエチルの防臭
性(防体臭性)並びにショ糖脂肪酸エステルの抗菌性は
従来より公知であるが、クエン酸トリエチルがコリネバ
クテリウム属菌(Corynebacterium sp.)といった特定
の微生物に対して優れた殺菌作用を示すこと、並びにこ
れら両者を併用することによって表皮ブドウ球菌(Stap
hylococcus epidermidis)や黄色ブドウ球菌(Staphylo
coccus aureus)に対して優れた静菌作用を示すことに
ついては知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は抗菌剤を提供
することを目的とする。より詳細には、本発明はコリネ
バクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)、特に体臭
の中でも特に不快な臭いである腋臭の発生原因菌である
いわゆる腋臭菌に対して優れた殺菌効果を発揮する抗菌
剤を提供することを目的とする。また、本発明はバクテ
リウム属菌(Corynebacterium sp.)に対して優れた殺
菌効果を発揮するとともに、表皮ブドウ球菌(Staphylo
coccus epidermidis)や黄色ブドウ球菌(Staphylococc
us aureus)に対して優れた静菌作用を示す抗菌剤を提
供することを目的とする。さらに本発明は、腋臭菌の増
殖に起因する腋臭の発生を防止する目的で、また表皮ブ
ドウ球菌の増殖並びに分解によって生じる汗臭の発生を
防止する目的で使用される皮膚外用剤並びに体臭(腋
臭、汗臭)の防臭剤を提供することを目的とする。さら
にまた本発明は、上記作用に基づいて腋臭を防止する防
腋臭剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するための鋭意検討を重ねていたところ、クエン
酸エステルがコリネバクテリウム属菌(Corynebacteriu
m sp.)に対して優れた殺菌作用を示すことを見出し、
さらにかかるクエン酸エステルと炭素数8〜22を有す
る脂肪酸のショ糖エステルとを併用することによって、
クエン酸エステルの上記コリネバクテリウム属菌に対す
る殺菌作用が妨げられることなくその静菌作用が増強さ
れ、さらに表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermid
is)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対
しても優れた静菌作用を発揮することを見出した。また
本発明者らは、当該クエン酸エステルとショ糖脂肪酸エ
ステルを含有する抗菌性組成物によれば、特に腋臭の原
因菌となるコリネバクテリウム属菌を殺菌除去し、表皮
ブドウ球菌の増殖を阻止することによって、腋臭や汗臭
の発生を有意に抑制することができることを確認した。
本発明は、かかる知見に基づいて開発されたものであ
る。
【0009】すなわち、本発明は下記に掲げる抗菌剤で
ある: (1)クエン酸エステルを有効成分とする抗菌剤。 (2)コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium s
p.)に対して抗菌作用を有する(1)記載の抗菌剤。 (3)コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium s
p.)が腋臭の原因菌である(2)記載の抗菌剤。 (4)更に炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エス
テルを含有する(1)乃至(3)のいずれかに記載の抗
菌剤。 (5)皮膚に対して用いられる(1)乃至(4)のいず
れかに記載の抗菌剤。
【0010】さらに本発明は上記抗菌剤を有効成分とし
て含有する下記(6)または(7)に掲げる製剤であ
る: (6)皮膚外用剤、特に上記(3)の抗菌性組成物を含
有する皮膚外用剤は腋臭防止用(腋臭症用)皮膚外用剤
として有用である。 (7)体臭防止剤(防汗臭剤、防腋臭剤)。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の抗菌剤はクエン酸エステ
ルを有効成分とすることを特徴とする。なお、本発明に
おいては、上記クエン酸エステルに代えて、または上記
クエン酸エステルと組み合わせて、アセチルクエン酸エ
ステルを用いることもできる。
【0012】本発明で用いられるクエン酸エステルまた
はアセチルクエン酸エステルには、クエン酸またはアセ
チルクエン酸のカルボキシル基の少なくとも1つがエス
テル化している、モノエステル体、ジエステル体及びト
リエステル体のいずれもが包含される。好ましくはジエ
ステル体またはトリエステル体であり、より好ましくは
トリエステル体である。本発明のクエン酸エステルまた
はアセチルクエン酸エステルには、クエン酸またはアセ
チルクエン酸と炭素数1〜20の直鎖状若しくは分枝状
のアルコールとの反応によって得られるエステルが包含
される。好ましくは炭素数2〜6の直鎖状若しくは分枝
状のアルコールとの反応によって得られるエステルであ
り、より好ましくは炭素数2〜4の直鎖状若しくは分枝
状のアルコールとの反応によって得られるエステルであ
る。
【0013】例えばエステル化反応に使用されるアルコ
ールとしては、具体的にはメタノール、エタノール、1-
プロパノール、2-プロパノール、2,2-ジメチル-1-プロ
パノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン-1,3-
ジオール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロ
パノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノ
ール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブタノー
ル、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノー
ル、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノー
ル、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノー
ル、4-ヘプタノール、オクタノール、イソセチルアルコ
ール、2-エチルヘキシルアルコール、2-オクチルドデシ
ルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ト
リメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、グ
リセリン、エリスリトール、ソルビトール、シクロヘキ
サノール、トコフェロール、トコトリエノール等を挙げ
ることができる。
【0014】本発明で用いられるクエン酸エステルとし
ては、具体的にはクエン酸モノメチルエステル、クエン
酸モノエチルエステル、クエン酸モノプロピルエステ
ル、クエン酸モノイソプロピルエステル、クエン酸モノ
−n−ブチルエステル、クエン酸モノ−t−ブチルエス
テル、クエン酸モノペンチルエステル、クエン酸モノア
ミルエステル、クエン酸モノヘキシルエステル、クエン
酸モノヘプチルエステル、クエン酸モノオクチルエステ
ル、クエン酸モノイソセチルエステル、クエン酸モノシ
クロヘキシルエステル、クエン酸モノグリセリンエステ
ル、クエン酸モノベンジルエステル、クエン酸モノフェ
ネチルエステル;クエン酸ジメチルエステル、クエン酸
ジエチルエステル、クエン酸ジプロピルエステル、クエ
ン酸ジイソプロピルエステル、クエン酸ジ−n−ブチル
エステル、クエン酸ジ−t−ブチルエステル、クエン酸
ジペンチルエステル、クエン酸ジアミルエステル、クエ
ン酸ジヘキシルエステル、クエン酸ジヘプチルエステ
ル、クエン酸ジオクチルエステル、クエン酸ジイソセチ
ルエステル、クエン酸ジシクロヘキシルエステル、クエ
ン酸ジグリセリンエステル、クエン酸ジベンジルエステ
ル、クエン酸ジフェネチルエステル;クエン酸トリメチ
ルエステル、クエン酸トリエチルエステル、クエン酸ト
リプロピルエステル、クエン酸トリイソプロピルエステ
ル、クエン酸トリ−n−ブチルエステル、クエン酸トリ
−t−ブチルエステル、クエン酸トリペンチルエステ
ル、クエン酸トリアミルエステル、クエン酸トリヘキシ
ルエステル、クエン酸トリヘプチルエステル、クエン酸
トリオクチルエステル、クエン酸トリイソセチルエステ
ル、クエン酸トリシクロヘキシルエステル、クエン酸ト
リグリセリンエステル、クエン酸トリベンジルエステ
ル、クエン酸トリフェネチルエステル等を例示すること
ができる。好ましくはクエン酸トリエチルエステル、ク
エン酸トリプロピルエステル、クエン酸トリブチルエス
テル、クエン酸トリシクロヘキシルエステルであり、よ
り好ましくはクエン酸トリエチルエステルである。
【0015】なお、本発明で用いられるアセチルクエン
酸エステルとしては、上記のクエン酸をアセチルクエン
酸に置換してなる各種のエステル体を例示することがで
きる。好ましくはアセチルクエン酸トリエチルエステ
ル、アセチルクエン酸トリプロピルエステル、アセチル
クエン酸トリブチルエステル、アセチルクエン酸トリシ
クロヘキシルエステルであり、より好ましくはアセチル
クエン酸トリエチルエステルである。
【0016】本発明の抗菌剤は、このようなクエン酸エ
ステルまたはアセチルクエン酸エステルを含有すること
によりコリネバクテリウム属菌(Corynebacterium s
p.)に対して優れた殺菌作用を示すことを特徴とする。
ここでコリネバクテリウム属菌(Corynebacterium s
p.)としては、当該属の範疇にあるグラム陽性桿菌であ
れば特に制限されないが、好ましくは腋臭発生の原因と
なる菌(以下、本発明において腋臭菌ともいう。)であ
り、このような腋臭菌としては例えば Corynebacterium
minutissimumCorynebacterium xerosis、または Cor
ynebacterium tenuis 等が知られている。中でも好まし
くは Corynebacterium minutissimum である。
【0017】なお、本発明の抗菌剤はクエン酸エステル
またはアセチルクエン酸エステルのいずれか少なくとも
1種からなるものであってもよいし、また一部にクエン
酸エステルまたはアセチルクエン酸エステルを含有する
ものであってもよい。後者の場合、抗菌剤中に含まれる
クエン酸エステルまたはアセチルクエン酸エステルの含
有量は、当該クエン酸エステルまたはアセチルクエン酸
エステルの作用に基づいてコリネバクテリウム属菌(Co
rynebacterium sp.)を殺菌できる量であればよい。特
に制限されないが、具体的には抗菌剤中に少なくとも
0.0001重量%、好ましくは少なくとも0.06重量
%の割合でクエン酸エステルまたはアセチルクエン酸エ
ステルを含んでいることが望ましい。
【0018】本発明の抗菌剤は、かかるコリネバクテリ
ウム属菌(Corynebacterium sp.)に対する殺菌作用を
妨げないことを限度として、他の成分を配合することも
できる。かかる他の成分としては、例えばショ糖脂肪酸
エステルを挙げることができる。
【0019】本発明で用いられるショ糖脂肪酸エステル
は、炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エステルで
ある。ここで脂肪酸は、炭素数8〜22,好ましくは1
2〜18の飽和または不飽和の脂肪酸を挙げることがで
きる。具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラ
キン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸を挙げるこ
とができる。好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸及びステアリン酸であり、より好ましくはパ
ルミチン酸及びステアリン酸である。なお、本発明で使
用するショ糖脂肪酸エステルは、上記脂肪酸の1種から
なるものであってもまた2種以上を任意に混合して含有
するものであってもよい。
【0020】また、本発明で使用するショ糖脂肪酸エス
テルは、ショ糖のモノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘ
キサ、ヘプタまたはオクタの脂肪酸エステルであること
ができ、これら2種以上の混合物であってもよい。好ま
しくはエステル組成100%あたりモノエステルが50
%以上の割合で含まれていることが望ましく、その割合
は70%以上、特に75%以上であることがより好まし
い。またそのHLBとしては、通常9〜20の範囲を挙
げることができる。好ましくは11〜20、より好まし
くは15〜20である。
【0021】クエン酸エステル若しくはアセチルクエン
酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルを含有する本発明
の抗菌剤は、コリネバクテリウム属菌(Corynebacteriu
m sp.)、とくに上記腋臭菌に対して優れた殺菌作用並
びに静菌作用を示すことを特徴とする。その殺菌作用
は、クエン酸エステル若しくはアセチルクエン酸エステ
ルとショ糖脂肪酸エステルとから抗菌剤を調製した場
合、最小殺菌濃度(MBC)として100〜3000p
pm、好ましくは200〜1500ppmとして示すこ
とができる。またその静菌作用はクエン酸エステル若し
くはアセチルクエン酸エステルとショ糖脂肪酸エステル
とから抗菌性組成物を調製した場合、最小発育阻止濃度
(MIC)として5〜500ppm、好ましくは10〜
150ppmとして示すことができる。本発明の抗菌剤
中に含まれるクエン酸エステル若しくはアセチルクエン
酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとの割合は、上記の
殺菌作用並びに静菌作用を保有するように適宜調整設定
することができ、特に制限されることなく、通常クエン
酸エステル若しくはアセチルクエン酸エステル:ショ糖
脂肪酸エステル=1:99〜99:1の範囲から選択す
ることができる。
【0022】さらにクエン酸エステル若しくはアセチル
クエン酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルを含有する
本発明の抗菌剤は、また表皮ブドウ球菌(Staphylococc
us epidermidis)ならびに黄色ブドウ球菌(Staphyloco
ccus aureus)に対して優れた静菌作用を示すことを特
徴とする。その表皮ブドウ球菌に対する静菌作用はクエ
ン酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとから抗菌剤を調
製した場合、最小発育阻止濃度(MIC)として100
〜40000ppm、好ましくは200〜20000p
pmとして、黄色ブドウ球菌に対する静菌作用はクエン
酸エステル若しくはアセチルクエン酸エステルとショ糖
脂肪酸エステルとから抗菌剤を調製した場合、最小発育
阻止濃度(MIC)として50〜4000ppm、好ま
しくは100〜2000ppmとして示すことができ
る。
【0023】本発明の抗菌剤は、本発明の効果を妨げな
いことを限度として上記クエン酸エステル若しくはアセ
チルクエン酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル以外の
成分として他の抗菌成分を含有することもできる。かか
る抗菌成分としては、具体的にはパラオキシ安息香酸ブ
チルやパラオキシ安息香酸プロピル等のパラベン類、ト
リクロサン、トリクロロカルバニリド、塩化ベンザルコ
ニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、塩酸クロ
ルヘキシジン、ジヒドロファルネソール、イソプロピル
メチルフェノール、チモールなどを例示することができ
る。
【0024】本発明の抗菌剤(クエン酸エステル若しく
はアセチルクエン酸エステル単独、またはクエン酸エス
テル若しくはアセチルクエン酸エステルとショ糖脂肪酸
エステルとの併用)は、コリネバクテリウム属菌(Cory
nebacterium sp.)に対して優れた抗菌作用(殺菌、静
菌作用)を有することから、抗菌成分として皮膚外用剤
に配合して用いることができる。特に本発明の抗菌剤は
腋臭菌に対して優れた殺菌作用を発揮することから、腋
臭菌用の抗菌成分として皮膚外用剤に配合することによ
って腋臭防止用(腋臭症用)の皮膚外用剤を調製するこ
とができる。この場合、本発明の抗菌剤の皮膚外用剤へ
の配合割合としては、有効成分であるクエン酸エステル
若しくはアセチルクエン酸エステル、または該エステル
とショ糖脂肪酸エステルがコリネバクテリウム属菌に対
して抗菌効果を発揮する量であればよく、この範囲にお
いて特に制限されないが、具体的には皮膚外用剤中にク
エン酸エステル若しくはアセチルクエン酸エステルが8
0〜100000ppm、好ましくは500〜5000
0ppm、より好ましくは1000〜10000ppm
の範囲で含まれることが望ましい。またクエン酸エステ
ル若しくはアセチルクエン酸エステルとショ糖脂肪酸エ
ステルとを併用する場合は、皮膚外用剤中にクエン酸エ
ステル若しくはアセチルクエン酸エステルが0.1〜1
0000ppm、好ましくは10〜5000ppm、シ
ョ糖脂肪酸エステルが0.1〜10000ppm、好ま
しくは20〜5000ppmの割合で含まれていること
が好ましい。
【0025】またクエン酸エステル若しくはアセチルク
エン酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとを含有する本
発明の抗菌剤は、その表皮ブドウ球菌に対する優れた静
菌作用から皮膚外用剤の抗菌剤として有用であり、特に
表皮ブドウ球菌増殖による汗臭の発生を防止する作用か
ら汗臭防止用皮膚外用剤として調製することができる。
この場合、本発明の抗菌剤の皮膚外用剤への配合割合と
しては、有効成分であるクエン酸エステル若しくはアセ
チルクエン酸エステルとショ糖脂肪酸エステルが表皮ブ
ドウ球菌に対して静菌効果を発揮する量であればよく、
この範囲において特に制限されないが、具体的には皮膚
外用剤中にクエン酸エステル若しくはアセチルクエン酸
エステルが60〜100000ppm、好ましくは40
00〜50000ppm、ショ糖脂肪酸エステルが25
0〜100000ppm、好ましくは2500〜100
00ppmの範囲で含まれることが望ましい。
【0026】さらにクエン酸トリエチル若しくはアセチ
ルクエン酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとを含有す
る本発明の抗菌剤は、その黄色ブドウ球菌に対する静菌
作用から皮膚外用剤の抗菌剤として有用であり、化膿防
止用皮膚外用剤として調製される。この場合、本発明の
抗菌剤の皮膚外用剤への配合割合としては、有効成分で
あるクエン酸トリエチル若しくはアセチルクエン酸エス
テルとショ糖脂肪酸エステルが黄色ブドウ球菌に対して
静菌効果を発揮する量であればよく、この範囲において
特に制限されないが、具体的には皮膚外用剤中にクエン
酸エステル若しくはアセチルクエン酸エステルが0.1
〜100000ppm、好ましくは1000〜5000
0ppm、ショ糖脂肪酸エステルが0.1〜10000
0ppm、好ましくは2500〜50000ppmの範
囲で含まれることが望ましい。
【0027】本発明は、かくして調製される皮膚外用剤
をも提供するものである。当該皮膚外用剤は、腋臭や汗
臭等の体臭を防止する目的または化膿を防止する目的
で、医薬品、医薬部外品及び化粧料(香粧品)等の分野
において広く用いることができる。その形態も特に制限
されることなく、クリーム、軟膏、ローション、スプレ
ー、エアゾール、乳液、フォーム、洗浄料、並びに上記
抗菌剤をシート状基材に含浸させたシート剤、貼付剤ま
たはパップ剤、ロールオン剤等の使用形態に合わせて液
状、半固形状、気泡状及び固形状に適宜調製される。
【0028】当該皮膚外用剤は、クエン酸エステル若し
くはアセチルクエン酸エステル、またはクエン酸エステ
ル若しくはアセチルクエン酸エステルとショ糖脂肪酸エ
ステルを成分とする上記抗菌剤に加えて、各種形態に応
じて、通常外用剤に使用される担体並びに防腐剤、安定
剤、保存剤、沈殿防止剤、pH調整剤、香料、界面活性
剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活
性剤)、着色剤、清澄剤、粘度調整剤、殺菌抗菌剤、精
油、収斂剤等の各種添加剤を配合することができる。か
かる担体並びに添加剤としては、人体に安全なものが好
ましく、より好ましくは皮膚等に対して刺激性のないも
のである。
【0029】担体としては、例えば液状形態の場合は、
水(例えばイオン交換水)、アルコール(例えばエタノ
ール)、並びに水溶性溶剤(例えばプロピレングリコー
ルやグリセリン等)などを、また固体形態の場合は各種
のゲル化剤(例えば、カラギーナンやアルギン酸ナトリ
ウム等の海藻多糖類;グアーガムやタマリンドシードガ
ム等の種子多糖類;アラビアガムやトラガントガムなど
の植物樹液多糖類;キサンタンガムやジェランガム等の
発酵多糖類;ゼラチン等の蛋白質;カルボキシメチルセ
ルロース等のセルロース誘導体等);シリカやタルクな
どの無機材を挙げることができる。
【0030】防腐剤としては、安息香酸、ソルビン酸、
プロピオン酸、デヒドロ酢酸、サルチル酸、エデト酸及
びそれらの塩;亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウ
ム、ピロ亜硫酸ナトリウム等の無機塩類;ペクチン抽出
物などの植物由来成分などを例示することができる。
【0031】沈殿防止剤としては、二酸化ケイ素、ステ
アリン酸マグネシウム等の微粒子粉体、ポリオキシエチ
レン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
ステアレート等の界面活性剤及びキサンタンガム、ポリ
エチレングリコール等のゲル化剤等を例示することがで
きる。
【0032】pH調整剤としては、クエン酸、フマル
酸、DL-リンゴ酸並びにその塩類;炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸カリウムなどの炭酸塩類;リン酸、リン酸二水
素ナトリウム等のリン酸塩などを例示することができ
る。
【0033】前述する各種の成分は単に一例を記載した
に過ぎず、本発明はこれらの成分に何ら限定されること
はない。すなわち本発明の皮膚外用剤には、他の添加成
分も含めて、通常外用剤の成分として使用される各種の
成分が使用できる。
【0034】本発明の抗菌剤は、汗や皮脂分泌物を分解
することによって不快臭源を生じるコリネバクテリウム
属菌を殺菌する作用を有するため腋臭の発生の防止に有
用である。また特にクエン酸エステル若しくはアセチル
クエン酸エステルとショ糖脂肪酸エステルを含有する抗
菌剤は、上記作用に加えて皮膚常在菌である表皮ブドウ
球菌(Staphylococcus epidermidis)の生育を阻止する
作用(静菌作用)を有するので、腋臭や汗臭等の体臭の
発生の防止に有用である。
【0035】また、本発明の抗菌剤は、化膿菌である黄
色ブドウ球菌の生育を阻止する静菌作用にも優れている
ので、傷口等の化膿防止に有用である。さらに本発明の
抗菌性組成物は、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌に対
して静菌的に作用するだけで殺菌作用はないので、該常
在菌によって形成される健全な皮膚微生物叢に悪影響を
与えず、皮膚本来の自浄機能やバリア機能を損なわない
皮膚に優しい皮膚用の抗菌成分として有用である。
【0036】本発明の皮膚外用剤は、コリネバクテリウ
ム属菌、特に腋臭の発生の原因となる腋臭菌に対する殺
菌作用ならびに表皮ブドウ球菌に対する静菌作用に基づ
いて、腋臭や汗臭の発生を防止する効果に優れている。
従って、当該皮膚外用剤は、別の観点から腋臭や汗臭の
発生を抑制するために使用される防臭剤(防体臭剤)、
特に防腋臭剤として位置づけることもできる。
【0037】さらに本発明の抗菌剤は、上記皮膚外用剤
の形態に調製することによってコリネバクテリウム属
菌、表皮ブドウ球菌または黄色ブドウ球菌が存在する皮
膚(皮表)に直接塗布する使用態様のほか、スプレーや
エアゾールなどの形態や洗濯仕上げ剤やコーティング剤
などの形態に調製することによってこれらの菌が付着し
た(または付着する可能性のある)下着やシャツ等の衣
類に噴霧、浸漬またはコーティングする使用態様で用い
ることができる。
【0038】本発明の抗菌剤を、後者のいわゆる衣類用
の防臭剤(防体臭剤、防腋臭剤)として使用する場合、
当該防臭剤に配合する抗菌剤の割合としては、ショ糖脂
肪酸エステルの量として250〜100000ppm、
好ましくは2500〜10000ppm、クエン酸エス
テル若しくはアセチルクエン酸エステルの量として60
〜100000ppm、より好ましくは4000〜50
000ppmの範囲を挙げることができる。
【0039】また本発明の防臭剤(防体臭剤、防腋臭
剤)には、本発明の効果を妨げないことを限度として、
上記その他の抗菌成分に加えて、衣類用のスプレー剤や
エアゾール剤等に配合される公知の防腐剤、保存剤、安
定剤、沈殿防止剤、pH調整剤、香料、界面活性剤(ア
ニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性
剤)、清澄剤、粘度調整剤、殺菌抗菌剤等の各種添加剤
を配合することができる。かかる担体並びに添加剤とし
ては、人体に安全なものが好ましく、より好ましくは皮
膚等に対して刺激性のないものである。
【0040】
【実施例】以下、実験例及び実施例により本発明をより
詳細に説明する。ただし、本発明はかかる実験例等によ
って何ら制限されるものではない。なお、特に言及しな
いかぎり、以下に示す%は重量%を意味するものとす
る。実験例1 各種菌に対する殺菌作用(MBC) クエン酸トリエチル単独、並びに表1に示す割合(重量
比)で混合したショ糖脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数
12〜18)とクエン酸トリエチルとの混合物を試験用
の抗菌性組成物として用いて、各種の菌(腋臭菌[Coryn
ebacterium minutissimum](IFO15361)、黄色ブドウ球
菌[Staphylococcus aureus](IFO13276)、表皮ブドウ
球菌[Staphylococcus epidermidis](ATCC12228))に
対する最小殺菌濃度(MBC)を求めた。なお、対照実
験として各ショ糖脂肪酸エステル単独についても、同様
にして各菌に対する最小殺菌濃度を測定し、クエン酸エ
ステルとの併用による効果を評価した。
【0041】
【表1】
【0042】具体的には、倍数希釈法により、表1記載
の割合で混合したショ糖脂肪酸エステルとクエン酸トリ
エチルを配合した Mueller Hinton Broth 液体培地(DIF
CO製)に、上記各細菌を接種して35℃で24時間培養
し、次いで得られた菌液をSCD寒天培地(Soybean-Ca
sein Digest Agar、日本製薬(株))に接種し再度37
℃で24時間培養して、その菌の生育状況から、菌が生
育しない抗菌性組成物の最低濃度(最小殺菌濃度、MB
C)を求めた。腋臭菌(Corynebacterium minutissimu
m)に対する結果を図1に示す。なお、図中、クエン酸
トリエチル単独を用いた実験の結果は「TEC単独」
と、各ショ糖脂肪酸エステル単独を用いた対照実験の結
果は脂肪酸の炭素数に合わせて「C14単独」または「C18
単独」と記載する。
【0043】図1からわかるように、クエン酸トリエチ
ルは腋臭菌(Corynebacterium minutissimum)に対して
優れた殺菌作用があり、さらにショ糖脂肪酸エステルと
併用することによってその殺菌作用が妨げられずまた増
強することが認められた。このことから、クエン酸エス
テルはそれ単独またはショ糖脂肪酸エステルとの併用
で、コリネバクテリウム属菌に対する殺菌剤(抗菌剤)
として有用であり、該コリネバクテリウム属菌の増殖に
よる不快臭(腋臭)の発生防止に有用であると考えられ
た。それに対して、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus a
ureus)及び表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermi
dis)に対してはクエン酸トリエチル、各ショ糖脂肪酸
エステル、並びにこれらの混合物(No.1〜12)はいずれ
も殺菌作用がなく、これらの最小殺菌濃度(MBC)は
いずれも10000ppm以上であった(結果示さず)。
【0044】実験例2 各種菌に対する静菌作用(MI
C) 実験例1と同様にクエン酸トリエチル単独、並びに表1
に示す割合(重量比)で混合したショ糖脂肪酸エステル
(脂肪酸の炭素数12〜18)とクエン酸トリエチルと
の混合物を試験用の抗菌性組成物として用いて、各種の
菌(腋臭菌[Corynebacterium minutissimum](IFO1536
1)、黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus](IFO132
76)、表皮ブドウ球菌[Staphylococcus epidermidis]
(ATCC12228))に対する最小発育阻止濃度(MIC)
を求めた。
【0045】具体的には、倍数希釈法により、クエン酸
トリエチル単独または表1記載の割合で混合したショ糖
脂肪酸エステルとクエン酸トリエチルを配合した Muell
er Hinton Broth 液体培地(DIFCO製)に、上記各細菌
を接種して35℃で24時間培養し、菌液の濁度(630n
m)がコントロール培地(菌体を入れずに同様に培養し
た培地)の濁度を超えない抗菌性組成物の最低濃度(最
小発育阻害濃度、MIC)を求めた。なお、対照実験と
して各ショ糖脂肪酸エステル単独についても、同様にし
て各菌に対する最小発育阻害濃度を測定し、クエン酸エ
ステルとの併用による効果を評価した。
【0046】腋臭菌(Corynebacterium minutissimum
に対する結果を図2に、黄色ブドウ球菌(Staphylococc
us aureus)に対する結果を図3に、表皮ブドウ球菌(S
taphylococcus epidermidis)に対する結果を図4にそ
れぞれ示す。なお、各図中、クエン酸トリエチル単独を
用いた実験の結果は「TEC単独」と、各ショ糖脂肪酸
エステル単独を用いた対照実験の結果は脂肪酸の炭素数
に合わせて「C12単独」、「C14単独」、「C16単独」ま
たは「C18単独」と記載する。
【0047】図2に示すようにクエン酸トリエチルは腋
臭菌(Corynebacterium minutissimum)に対して少量で
優れた静菌作用があり、その作用はショ糖脂肪酸エステ
ルの併用によって妨げられず、組み合わせによっては作
用が増強するケースも見られた。また図3及び図4に示
すように、クエン酸トリエチルはそれ単独では黄色ブド
ウ球菌及び表皮ブドウ球菌に対して静菌作用を示さなか
ったが、クエン酸トリエチルにショ糖脂肪酸エステルを
併用することによって、これらの菌に対する生育阻止作
用が相乗的に増強して優れた静菌作用を示した。
【0048】以上の実験例1及び2の結果を総合して考
えるに、クエン酸エステルはそれ単独で、低濃度で腋臭
菌等のコリネバクテリウム属菌に対する殺菌力及び静菌
力に優れており、コリネバクテリウム属菌、特に腋臭菌
用の抗菌剤として、また腋臭症用の皮膚外用剤として、
さらに腋臭防止剤(防腋臭剤)として有用であると考え
られる。さらに、クエン酸エステルをショ糖脂肪酸エス
テルと併用して使用することによって、汗臭の原因とな
る表皮ブドウ球菌に対して優れた静菌作用を発揮するた
め、その増殖を有意に抑制して汗臭発生の防止に有用で
ある(防臭剤(防汗臭剤)等)。またクエン酸エステル
とショ糖脂肪酸エステルとの併用によって黄色ブドウ球
菌の増殖を有意に抑制できるので傷口の化膿防止にも有
用であると考えられる。
【0049】しかも、かかるクエン酸エステルとショ糖
脂肪酸エステルを含む抗菌性組成物は表皮ブドウ球菌に
対しては高濃度にしても殺菌効果を発揮しないため、皮
膚微生物叢を破壊せず皮膚本来の自浄機能やバリア機能
を維持することができる。
【0050】ところで、アトピー性皮膚炎患者の皮疹部
には黄色ブドウ球菌が高い確率で検出され、またその存
在菌数も多いことが知られており、その除菌が必要とさ
れるが、一方でアトピー性皮膚炎患者においては健全な
皮膚微生物叢の維持形成を促すことによって皮膚を正常
化することも有用であると考えられる。本発明の抗菌性
組成物は、前述するように皮膚微生物叢を損なわずに黄
色ブドウ球菌に対して選択的に作用することから、アト
ピー性皮膚炎患者のための皮膚外用剤としても有用であ
る。
【0051】実験例3 防臭力試験 ボランティア12名に温度40℃、湿度75%の環境下
で運動をしてもらってかいた汗を採取した。これらの汗
を2等分して、一方は20μmのフィルターで濾過して
「汗のろ液」とし、他方は濾過しないで「汗そのもの」
とした。前者の「汗のろ液」はさらに2等分して一方に
は腋臭菌(Corynebacterium minutissimum)を(汗ろ液
C. minutissimum)、他方には表皮ブドウ球菌(Staph
ylococcus epidermidis)を(汗ろ液+S. epidermidi
s)配合した。さらにこれらの菌を外添した各ろ液につ
いて、それぞれ「抗菌剤入り」(クエン酸トリエチル25
0ppm+ショ糖パルミチン酸エステル1000ppm)(試験体
1、2)のものと「抗菌剤なし」(試験体3,4)のも
のを作成して、37℃で1晩振盪培養した。
【0052】一方、後者の「汗そのもの」は、さらに4
等分してそのままのもの(汗そのもの+抗菌剤なし;試
験体5)、クエン酸トリエチル250ppmとショ糖パルミチ
ン酸エステル1000ppmを添加したもの(汗そのもの+併
用抗菌剤入り;試験体6)、クエン酸トリエチル1000pp
mを単独で添加したもの(汗そのもの+抗菌剤(TEC)
入り;試験体7)、ショ糖パルミチン酸エステル1000pp
mを単独で添加したもの(汗そのもの+抗菌剤(ショ糖パ
ルミチン酸エステル)入り;試験体8)をそれぞれ作成
して、上記と同様にして37℃で1晩振盪培養した。培
養後、臭いの専門パネラー11名によって各培養液の臭
いを嗅いでもらって、各抗菌剤の防臭効果を評価した。
結果を図5に示す。
【0053】この結果から、クエン酸エステル単独で汗
の分解によって生じる不快臭が軽減できること、その軽
減効果(防臭効果)はクエン酸エステルとショ糖脂肪酸
エステルとの併用によって増強し、腋臭菌や表皮ブドウ
球菌の増殖及び分解によって生じる不快臭や汗に含まれ
る各種の菌の増殖及び分解によって生じる不快臭を有意
に防臭することができることがわかった。
【0054】 実施例1 クリーム ショ糖パルミチン酸エステル 5.0% (サーフホープSE COSME C-1616、三菱化学フーズ) クエン酸トリエチル 5.0% ステアリン酸 13.2% モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0% プロピレングリコール 24.0% グリセリン 6.0% 水酸化ナトリウム 0.6% 精製水 44.2% 合 計 100.0%。
【0055】 実施例2 ローション スクアレン 2.0% グリセリルモノステアレイト 1.2% ステアリン酸 0.8% セタノール 0.4% ショ糖パルミチン酸エステル(C−1616) 5.0% (サーフホープSE COSME C-1616、三菱化学フーズ) クエン酸トリエチル 5.0% 1,3-ブチレングリコール 3.0% トリエタノールアミン 0.2% 精製水 82.4% 合 計 100.0%。
【0056】 実施例3 エアゾールスプレー ショ糖ラウリン酸エステル 5.0% (サーフホープSE COSME C-1616、三菱化学フーズ) クエン酸トリエチル 5.0% ミリスチン酸イソプロピル 0.2% エタノール 74.5% イソプロパノール 20.0% 合 計 100.0% 上記液層成分を混合しエアゾール原液とした。このエア
ゾール原液と噴射剤として用いる液化石油ガスとを3:
7(重量比)の割合で混合して容器に充填し、エアゾー
ルスプレーを調製した。
【0057】
【発明の効果】本発明の抗菌剤は、コリネバクテリウム
属菌に対して優れた殺菌及び静菌作用を有する。特にク
エン酸トリエチルとショ糖脂肪酸エステルを含有する本
発明の抗菌剤は、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌を殺
菌することなくその生育を阻止する作用を有するため、
皮膚に直接塗布しても該皮膚常在菌による皮膚バリア機
能性を損なうことなく腋臭並びに汗臭の発生を防止する
ことができる。このため、本発明の抗菌剤は皮膚に優し
い腋臭防止用(腋臭症用)の皮膚外用剤の抗菌成分とし
て、防臭剤(防体臭剤、防腋臭剤)の抗菌成分として有
用である、さらにクエン酸トリエチルとショ糖脂肪酸エ
ステルを含有する抗菌剤は、化膿菌である黄色ブドウ球
菌の生育を阻止する作用を有するため、傷口等の損傷部
の化膿防止用の抗菌剤または皮膚外用剤の抗菌成分とし
て有用である。
【0058】本発明の皮膚外用剤及び防腋臭剤は、上記
抗菌剤を抗菌成分として含有するため、コリネバクテリ
ウム属菌に対する選択的な抗菌(殺菌・静菌)作用並び
に表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌に対する静菌作用に
優れ、かつ皮膚に優しい製剤である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗菌剤の腋臭菌(Corynebacterium mi
nutissimum)に対する殺菌効果(最小殺菌濃度、MB
C)を示す図である(実験例1)。
【図2】本発明の抗菌剤の腋臭菌(Corynebacterium mi
nutissimum)に対する静菌効果(最小発育阻害濃度、M
IC)を示す図である(実験例2)。
【図3】本発明の抗菌剤の黄色ブドウ球菌(Staphyloco
ccus aureus)に対する静菌効果(最小発育阻害濃度、
MIC)を示す図である(実験例2)。
【図4】本発明の抗菌剤の表皮ブドウ球菌(Staphyloco
ccus epidermidis)に対する静菌効果(最小発育阻害濃
度、MIC)を示す図である(実験例2)。
【図5】本発明の抗菌剤の防臭効果を示す図である(実
験例3)。図中、試験体1は「汗ろ液+C. minutissimu
m」の系に抗菌剤「クエン酸トリエチル250ppm+ショ糖
パルミチン酸エステル1000ppm」を添加したもの、試験
体2は「汗ろ液+S. epidermidis」の系に抗菌剤「クエ
ン酸トリエチル250ppm+ショ糖パルミチン酸エステル10
00ppm」を添加したもの、試験体3は「汗ろ液+C. minu
tissimum」の系に抗菌剤未添加のもの、試験体4は「汗
ろ液+S. epidermidis」の系に抗菌剤未添加のもの、試
験体5は「汗そのもの」の系に抗菌剤未添加のもの、試
験体6は「汗そのもの」の系に抗菌剤「クエン酸トリエ
チル250ppmとショ糖パルミチン酸エステル1000ppm」を
添加したもの、試験体7は「汗そのもの」の系に抗菌剤
「クエン酸トリエチル250ppm」を添加したもの、試験体
8は「汗そのもの」の系に抗菌剤「パルミチン酸エステ
ル1000ppm」を添加したものの結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/04 A61P 31/04 Fターム(参考) 4C083 AB032 AC022 AC072 AC102 AC122 AC242 AC352 AC371 AC372 AC422 AC442 AC542 AD221 AD222 CC04 CC05 CC17 DD08 DD23 DD27 DD31 EE18 4C086 AA01 AA02 EA03 MA01 MA02 MA04 MA09 NA14 ZA89 ZA90 ZB35 4C206 AA01 AA02 DB27 DB43 MA01 MA02 MA04 MA28 NA14 ZA89 ZA90 ZB35 4H011 AA02 BA01 BB06 BC03 DA21 DB05 DD06 DE16

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クエン酸エステルを有効成分とする抗菌
    剤。
  2. 【請求項2】コリネバクテリウム属菌(Corynebacteriu
    m sp.)に対して抗菌作用を有する請求項1記載の抗菌
    剤。
  3. 【請求項3】コリネバクテリウム属菌(Corynebacteriu
    m sp.)が腋臭の原因菌である請求項2記載の抗菌剤。
  4. 【請求項4】更に炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ
    糖エステルを含有する請求項1乃至3のいずれかに記載
    の抗菌剤。
  5. 【請求項5】皮膚に対して用いられる請求項1乃至4の
    いずれかに記載の抗菌剤。
  6. 【請求項6】請求項1乃至4のいずれかに記載の抗菌剤
    を含有する皮膚外用剤。
  7. 【請求項7】請求項1乃至4のいずれかに記載の抗菌剤
    を含有する防腋臭剤。
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