JP4627932B2 - 電圧降圧回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、民生用の携帯電話に使用するCMOSロジックのための電圧降圧回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の民生用の携帯電話に使用するCMOSロジックのための電圧降圧回路については、特開平09−198151号公報に開示されており、図4は従来の電圧降圧回路を示したものである。1はCMOS負荷回路であり、出力端子2に接続される。3は電源接続端子、4はスタンバイ制御端子、5は信号発生回路、6はオペアンプ、7は参照電圧発生回路、8はバイアス電圧発生回路、MOS1およびMOS4はPch−MOSトランジスタ、R1,R2,R3は抵抗、C1はコンデンサである。
【0003】
このように構成された従来例は、アクティブ時は、スタンバイ制御端子4と信号発生回路5から発生された電圧によって、バイアス電圧発生回路8と参照電圧発生回路7とオペアンプ6に電流が流れるため、出力端子2には、参照電圧発生回路7の電圧(VREF)より、(1)式に示したような、抵抗R2とR3で昇圧された電圧Voが発生する。
Vo=VREF×(R2+R3)/R3 ・・・(1)
一方、スタンバイ時は、スタンバイ制御端子4と信号発生回路5から発生された電圧によって、バイアス電圧発生回路8と参照電圧発生回路7とオペアンプ6には電流が流れず、また、Pch−MOSトランジスタMOS4がオンになるため、出力端子2には、(2)式に示したような、電源電圧VDDが抵抗R1とR2とR3によって分圧された電圧Voが発生する。
Vo=VDD×(R1+R2+R3)/(R2+R3)・・・(2)
ただし、MOS4のオン抵抗はゼロであると仮定する。
【0004】
図5に示したように、スタンバイ制御電圧が0Vの時スタンバイ状態、スタンバイ制御電圧がVDD(5V)の時アクティブ状態であるとすると、出力電圧はどちらの状態であっても3Vが得られる。電源電圧VDD(5V)から降圧された出力電圧(3V)は、CMOS負荷回路1の電源電圧となるため、スタンバイ時でもCMOS負荷回路のデータ保持動作を確保したまま、CMOS負荷回路の消費電力を下げることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電圧降圧回路では、アクティブ状態からスタンバイ状態に切り替わる瞬間に、CMOS負荷回路1が電圧降圧回路よりも遅れてスタンバイ状態になった場合、電圧降圧回路がスタンバイ状態なのにCMOS負荷電流がPch−MOSトランジスタMOS4と抵抗R1に一瞬流れてしまい、その期間だけ、図5のように、出力電圧が3Vより下がる。出力電圧が0V付近まで下がると、CMOS負荷回路のデータ保持動作が確保できなくなってしまい、データがリセットされてしまう可能性がでてくる。
【0006】
また、上記理由より、抵抗R1,R2およびR3はあまり大きな抵抗値にできないため、スタンバイ時に電圧降圧回路に流れる電流は数μAから数10μAといった値となってしまう。
【0007】
本発明は、上記従来の2つの問題点を同時に解決するものであり、アクティブ状態からスタンバイ状態、あるいは、スタンバイ状態からアクティブ状態に切り替わる瞬間でも、CMOS負荷回路のデータ保持動作を確保しつつ、CMOS負荷回路の消費電流も下げ、またスタンバイ時に電圧降圧回路に流れる電流も1μA以下にすることのできる電圧降圧回路を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の電圧降圧回路においては、スタンバイ時に導通するダイオードを電源接続端子と出力端子間に挿入し、また、出力端子と接地間に抵抗を挿入する。このため、スタンバイ状態への切り替わりの瞬間にCMOS負荷回路に負荷電流が流れたとしても、その電流はダイオードに流れるので、出力電圧の変動は僅かであり、CMOS負荷回路のデータ保持動作を確保することができる。
【0009】
また、スタンバイ時にオフになるNch−MOSトランジスタを用いて、スタンバイ状態でのオペアンプ回路の電流を流れなくしているため、出力端子と接地間に挿入している抵抗を高抵抗値にすれば、スタンバイ時は、その高抵抗にだけ電流が流れるので、消費電力を大幅に抑えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の電圧降圧回路は、CMOS負荷回路が接続される出力端子と電源接続端子との間に接続され、スタンバイ時のみ導通するダイオードとPch−MOSトランジスタからなる並列回路と、前記出力端子と接地との間に接続され、前記ダイオードに定常電流を流すための第1の抵抗と第2の抵抗,第3の抵抗およびスタンバイ時にオフになるNch−MOSトランジスタの直列回路からなる並列回路と、スタンバイ制御端子から印加される電圧により電源電圧あるいは0Vを発生する信号発生回路と、前記信号発生回路により制御され、出力端が前記Pch−MOSトランジスタのゲートに接続されるとともに、一方の入力端が前記第2の抵抗と第3の抵抗の接続点に接続され、前記Pch−MOSトランジスタを制御して出力電圧を発生させるオペアンプと、前記オペアンプの他方の入力端に接続され、参照電圧を発生する参照電圧発生回路と、前記オペアンプおよび参照電圧発生回路の定電流値を決めるバイアス電圧発生回路と、 前記オペアンプの出力端と前記Pch−MOSトランジスタのドレインとの間に接続され前記オペアンプの位相を補償するためのコンデンサとを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
この構成によると、スタンバイ時に導通するダイオードを電源接続端子と出力端子との間に挿入し、また、出力端子と接地間に抵抗を挿入しているため、スタンバイ状態への切り替わりの瞬間にCMOS負荷回路に負荷電流が流れたとしても、その電流はダイオードに流れるので、出力電圧の変動は僅かであり、CMOS負荷回路のデータ保持動作を確保することができるという作用を有する。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の電圧降圧回路は、請求項1の構成において、
第1の抵抗が、高抵抗値を有することを特徴とするものである。
【0013】
この構成によると、前記作用に加えて、スタンバイ時にオフになるNch−MOSトランジスタを用いて、スタンバイ状態でのオペアンプ回路の電流を流れなくしており、さらに、出力端子と接地間に挿入している抵抗を高抵抗値としているので、前記作用に加えて、スタンバイ時は、その高抵抗だけに電流が流れるため、消費電力を大幅に抑えることができるという作用を有する。
【0014】
以下、発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態における電圧降圧回路のブロック図である。なお、図4の従来例と同一構成要素には同一の符号を付してある。従来例と異なる部分は、CMOS負荷回路1が接続される出力端子2と電源接続端子3との間に、スタンバイ時のみ導通するダイオードDi1とPch−MOSトランジスタMOS1からなる並列回路が接続され、また出力端子2と接地との間に、ダイオードDi1に定常電流を流すための第1の抵抗R1と、第2の抵抗R2,第3の抵抗R3およびスタンバイ時にオフになるNch−MOSトランジスタMOS2の直列回路からなる並列回路が接続されていることである。
【0015】
また、図2は、図1の具体的回路を示したものである。図2において、Di1はスタンバイ時に電源電圧VDD(2.8V)から出力電圧2.1Vを作るダイオード、R1はDi1に定常電流を流しておくための抵抗で、高抵抗値を有する。R2はアクティブ時にオペアンプの参照電圧から出力電圧を得るために昇圧する抵抗、R3はオペアンプの出力部の電流を流す抵抗、R4はオペアンプの位相補償のための抵抗、C1はオペアンプの位相補償のためのコンデンサ、MOS2はスタンバイ時にオフになるNch−MOSトランジスタ、R5,R6はオペアンプを構成する抵抗、Tr1,Tr2はオペアンプを構成するPNPトランジスタ、Tr3,Tr4はオペアンプを構成するNPNトランジスタ、I1はオペアンプに定電流を流す定電流源、MOS3はスタンバイ時にMOS1をオフにするためのPch−MOSトランジスタ、I2はオペアンプの参照電圧を作る定電流源、R7はオペアンプの参照電圧を作る抵抗である。この実施の形態では、アクティブ状態では、電源電圧VDD(2.8V)から、出力電圧として、CMOS負荷回路1の電源電圧(2.5V)を作成している。
【0016】
次に、本実施の形態における電圧降圧回路の動作を説明する。まず、回路がアクティブ状態の場合、定電流源I1とI2に定電流が流れるため、抵抗R7に参照電圧VREF(2.0V)が発生する。MOS2がオン、MOS3がオフになっているため、オペアンプが動作して、抵抗R2とR3間はVREFと同電位の2.0Vとなる。出力電圧(Vo)は、MOS2のオン抵抗をゼロと近似すると、(3)式のようになる。
Figure 0004627932
また、スタンバイ状態の場合、定電流源I1とI2に電流が流れず、MOS2がオフ、MOS3がオンになるため、オペアンプが動作していない状態となる。MOS1のゲート電圧はVDD(2.8V)となり、MOS1もオフになるため、出力電圧(Vo)はダイオードと抵抗(R1)で決まり、(4)式のようになる。
Figure 0004627932
アクティブ時のVoとスタンバイ時のVoは0.4V程度異なるが、出力電圧はCMOS負荷回路1の電源電圧になるため、出力電圧が2.1V程度であれば、CMOS負荷回路内のデータは保持されリセットされることはない。
【0017】
アクティブ状態からスタンバイ状態に切り替わる瞬間に、CMOS負荷回路1が電圧降圧回路よりも遅れてスタンバイ状態になった場合、電圧降圧回路がスタンバイ状態なのにCMOS負荷電流は流れるが、本実施の形態における電圧降圧回路ではダイオードDi1に流れるため、図3のように、出力電圧の変動は0.1V程度であり、過渡的にも出力電圧はゼロ付近にまで落ちることがない。従って、切り替わりの瞬間でも、CMOS負荷回路内のデータは保持されリセットされることはない。
【0018】
また、ダイオードDi1に定常的に流す電流は、ごく僅かでもダイオードは導通するので、本実施の形態では、抵抗R1を2500kΩとしている。R1を高抵抗にできるため、図3のように、アクティブ時は約100μA流れている電圧降圧回路においても、スタンバイ時は消費電流を1μA以下にすることができる。
【0019】
このように、本実施の形態によれば、スタンバイ時でもCMOS負荷回路のデータ保持動作を確保しつつ、低消費電力化を実現している。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の電圧降圧回路によれば、スタンバイ時に導通するダイオードを電源接続端子と出力端子間に挿入し、また、出力端子と接地間に抵抗を挿入しているため、スタンバイ状態への切り替わりの瞬間にCMOS負荷回路に負荷電流が流れたとしても、その電流はダイオードに流れるので、出力電圧の変動は僅かであり、CMOS負荷回路の低消費電力化を図りつつ、CMOS負荷回路のデータ保持動作を確保することができる。
【0021】
また、本発明の請求項2に記載の電圧降圧回路によれば、スタンバイ時にオフになるNch−MOSトランジスタを用いて、スタンバイ状態でのオペアンプ回路の電流を流れなくしているため、出力端子と接地間に挿入している抵抗を高抵抗値とすれば、スタンバイ時は、その高抵抗にだけ電流が流れるので、電圧降圧回路自体の消費電力も大幅に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における電圧降圧回路のブロック図
【図2】図1の詳細回路図
【図3】本発明一実施の形態における電圧降圧回路の動作波形図
【図4】従来の電圧降圧回路のブロック図
【図5】従来の電圧降圧回路の動作波形図
【符号の説明】
1 CMOS負荷回路
2 出力端子
3 電源接続端子
4 スタンバイ制御端子
5 信号発生回路
6 オペアンプ
7 参照電圧発生回路
8 バイアス電圧発生回路
Di1 ダイオード
MOS1 Pch−MOSトランジスタ
MOS2 Nch−MOSトランジスタ
R1,R2,R3 抵抗
C1 コンデンサ

Claims (2)

  1. CMOS負荷回路が接続される出力端子と電源接続端子との間に接続され、スタンバイ時のみ導通するダイオードとPch−MOSトランジスタからなる並列回路と、
    前記出力端子と接地との間に接続され、前記ダイオードに定常電流を流すための第1の抵抗と第2の抵抗,第3の抵抗およびスタンバイ時にオフになるNch−MOSトランジスタの直列回路からなる並列回路と、
    スタンバイ制御端子から印加される電圧により電源電圧あるいは0Vを発生する信号発生回路と
    前記信号発生回路により制御され、出力端が前記Pch−MOSトランジスタのゲートに接続されるとともに、一方の入力端が前記第2の抵抗と第3の抵抗の接続点に接続され、前記Pch−MOSトランジスタを制御して出力電圧を発生させるオペアンプと
    前記オペアンプの他方の入力端に接続され、参照電圧を発生する参照電圧発生回路と
    前記オペアンプおよび前記参照電圧発生回路の定電流値を決めるバイアス電圧発生回路と
    前記オペアンプの出力端と前記Pch−MOSトランジスタのドレインとの間に接続され前記オペアンプの位相を補償するためのコンデンサと、
    を備えていることを特徴とする電圧降圧回路。
  2. 前記第1の抵抗は、高抵抗値を有することを特徴とする請求項1記載の電圧降圧回路。
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