JP3560512B2 - 電源回路とそれに用いる定電圧回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、負荷に供給する電源を安定化し出力トランジスタを介して供給する定電圧回路と、定電圧回路に負荷をバックアップするためのバックアップ用電池とを備えた電源回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電源回路の一例を図1に示す。
例えばLi−イオン電池等の電源1と、電源1がオン時に、RAM等のバックアップされる負荷3に供給する電源を安定化する定電圧回路(Voltage Regulator、以下、VRと略記する)5と、電源1がオフ時に、負荷3をバックアップするためのバックアップ用電池7と、電源1がオフ時に、バックアップ用電池7からVR5を通して電源1側へ電流が逆流するのを防ぐダイオード9から構成されている。
【0003】
VR5は、電源1が接続される入力端子(Vbat)11、基準電圧部(Vref)13、オペアンプ(OPAMP)15、PチャネルMOSトランジスタからなる出力トランジスタ(DRV)17、出力端子(Vout)19及び帰還抵抗R1,R2を備えている。
オペアンプ15では、出力端子が出力トランジスタ17のゲート電極に接続され、反転入力端子に基準電圧部13から基準電圧Vrefが印加され、非反転入力端子に出力電圧Voutを抵抗R1とR2で分圧した電圧が印加され、オペアンプ15により、出力電圧Voutが抵抗R1とR2により分圧された電圧が基準電圧Vrefに等しくなるように制御される。
出力端子19は、ダイオード9を介して、負荷3に接続され、ダイオード9、負荷3間には、バックアップ用電池7が接続されている。バックアップ用電池7は、電源1がオフしたとき、又は電源1の電圧が降下したときに負荷3に電源を供給する。ダイオード9はバックアップ用電池7から電源1側に電流が逆流しない向きに設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電流の逆流を防止する手段としてダイオードを用いた場合、ダイオードでVRの出力電圧Voutの電圧降下が生じる。ダイオードでの電圧降下は約0.7Vと大きく、負荷で必要な電圧Vbkを確保するためには、VRの出力電圧VoutをVbk+0.7Vに設定しなければならず、その結果VRの最低動作電圧を低くできないという問題があった。さらに、ダイオードとしてツェナーダイオードを用いた場合には、10μA程度の大きな逆流電流が流れ、その逆流電流は高温では30μA程度になる。
そこで本発明は、バックアップ用電池を備えた電源回路とそこで用いるVRであって、逆流電流を防止し、かつVRの最低動作電圧を低くすることができる電源回路を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、負荷に供給する電源を安定化し出力トランジスタを介して供給するVR(定電圧回路)であって、電源に接続される入力端子と、前記負荷及び前記負荷をバックアップするためのバックアップ用電池に接続される出力端子と、前記入力端子の電圧と前記出力端子の電圧とを比較する比較回路と、前記入力端子と前記比較回路との間及び前記出力端子と前記比較回路との間に接続され、前記入力端子の電圧が前記出力端子の電圧よりも低くなったときに前記比較回路が一方の極性信号を出力するように調整された分圧抵抗と、トランジスタからなり、前記比較回路の出力が前記一方の極性信号のときは前記出力トランジスタのバックバイアスを前記出力端子の電圧にし、前記比較回路の出力が他方の極性信号のときは前記出力トランジスタのバックバイアスを前記入力端子の電圧にするようにバックバイアス用の接続を切り替える切替え回路と、を備え、かつ、これら各部が1チップ上に形成されているものである。
本発明の電源回路は、本発明の1チッブVRと、その出力端子に接続されたバックアップ用電池とを備えたものである。
【0006】
電源が十分な電圧を供給することができる場合、負荷への電源の供給はVRを介して行なわれる。VRの入力電圧がバックアップ用電池電圧より高いとき、比較回路は、切替え回路を制御して、出力トランジスタのバックバイアスを電源電圧にする。VRの入力電圧がバックアップ用電池電圧より低いときは、比較回路は、切替え回路を制御して、出力トランジスタのバックバイアスをバックアップ用電池電圧にする。このとき、出力トランジスタはオフになっており、さらに、出力トランジスタの電源側の端子(ドレイン)と基板との間にはPN接合によってバックアップ用電池から電源側とは逆向きのダイオードが形成されているので、逆流防止用ダイオードを別途設けなくても、バックアップ用電池から電源側への電流の逆流を抑制することができる。また、逆流防止用ダイオードを別途設けないことから、そのダイオードによる電圧降下を考慮する必要がなくなり、VRの最低動作電圧を低くすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
比較回路は、入力電圧側に接続された第1の分圧抵抗による分圧電圧と、バックアップ用電池側に接続された第2の分圧抵抗による分圧電圧とを比較するものであって、比較回路がオフセットを持っている場合にも、入力電圧がバックアップ用電池電圧に等しいところで出力が反転するように、第1の分圧抵抗の分圧比と第2の分圧抵抗の分圧比が調節されていることが好ましい。
その結果、比較回路の差動入力トランジスタにオフセットが存在する場合でも、比較回路を確実に動作させることができる。
【0008】
【実施例】
図2は、実施例を示す回路図である。
電源1からの電源を負荷3に安定して供給すべく、VR21が備えられている。電源1は、VR21に設けられた入力端子(bat)23に接続され、入力端子23は、PチャネルMOSトランジスタからなる出力トランジスタ(DRV)25を介して、出力端子(Vout)27に接続されている。出力端子27は負荷3に接続されており、出力端子27、負荷3間には、バックアップ用電池7が接続されている。バックアップ用電池7としては、ボタン電池等の一次電池や、二次電池、スーパーキャパシタ等を用いることができる。
【0009】
VR21には、オペアンプ(OPAMP)29が備えられており、オペアンプ29の出力端子は、出力トランジスタ25のゲート電極に接続されている。オペアンプ29の反転入力端子には基準電圧部(Vref)31から基準電圧Vrefが印加され、非反転入力端子には出力トランジスタ25の出力電圧Voutを帰還抵抗R1とR2で分圧した電圧が印加される。帰還抵抗R2のグラウンド側の端子とグラウンド間には、非動作時の貫通電流を遮断するために、NチャネルMOSトランジスタからなるバイアススイッチ33が介在している。
【0010】
出力トランジスタ25の基板には、PチャネルMOSトランジスタからなるバックバイアス切替えスイッチ35,37が接続されている。切替えスイッチ35は出力トランジスタ25の基板を電源1側に接続し、切替えスイッチ37は出力トランジスタ25の基板をバックアップ用電池7側に接続するためのものである。
VR21には、コンパレータ(比較回路、COMP)39も備えられており、コンパレータ39の一方の入力端子には入力端子23側(電源1側)に接続された分圧抵抗R3,R4による分圧電圧が印加され、他方の入力端子には出力端子27側(バックアップ用電池7側)に接続された分圧抵抗R5,R6による分圧電圧が印加される。コンパレータ39の出力端子は、オペアンプ29、バイアススイッチ33及び切替えスイッチ37、並びにインバータ41を介して切替えスイッチ35に接続されており、入力電圧とバックアップ用電池電圧との大小により、これらの各部のオン・オフを制御するようになっている。
オペアンプ29、基準電圧部31及びコンパレータ39の電源は電源1から供給されている。
この実施例において、破線で囲まれたVR21は1チップ上に形成されている。
本発明を構成する切替え回路は、切替えスイッチ35,37及びインバータ41により構成される。
【0011】
次に、この実施例の動作を説明する。
電源1により、VR21を介して、負荷3に電源を供給する通常状態では、入力端子23側の入力電圧Vbatは出力端子27側の出力電圧Vout以上であり、コンパレータ39から”H”(ハイレベル)が出力され、オペアンプ29、バイアススイッチ33及び切り替えスイッチ35がオンになり、切替えスイッチ37がオフになる。これにより出力トランジスタ25のバックバイアスは入力電圧Vbatになる。この状態では、出力電圧Voutはオペアンプ29により一定電圧に制御される。
【0012】
入力電圧がオフしたとき、又は電源1の電圧がバックアップ用電池7の電圧より低下したとき、コンパレータ39の出力は”L”(ローレベル)になり、オペアンプ29、バイアススイッチ33及び切替えスイッチ35がオフになり、切替えスイッチ37がオンになる。これにより、出力トランジスタ25はオフになるとともに、出力トランジスタ25のバックバイアスはバックアップ用電池7の電圧になり、出力トランジスタ25の電源1側の端子(ドレイン)と基板との間のPN接合によるバックアップ用電池7から電源1側とは逆向きのダイオードによって、バックアップ用電池7から出力端子27を通して逆流する電流は、分圧抵抗R5,R6を流れる電流のみになる。分圧抵抗R5,R6として高抵抗のものを用いることにより、分圧抵抗R5,R6にはほとんど電流が流れないようにすることができる。
このように、ダイオードを用いないで逆流電流を防止することができるので、VR21の最低動作電圧を低くすることができる。
【0013】
また、コンパレータ39の電源は電源1を用いているのでバックアップ用電池7の電力を消費することはない。
また、コンパレータ39がオフセットを持つ場合には、分圧抵抗R3,R4及びR5,R6の分圧比に差を持たせて調節し、入力電圧がバックアップ用電池電圧より低くなったときにはコンパレータ39が”L”を必ず出力するようにしておく。
また、従来技術でダイオードをVRに含めて1チップで構成する場合には、出力電流を確保するためにダイオードが大きな面積を必要とするのでチップ面積が大きくなるが、本発明によれば、出力トランジスタ以外に大きな電流を流す素子を必要としないので、チップ面積の増加を抑制して電源回路を構成することができる。
また、実施例では出力トランジスタとしてPチャネルMOSトランジスタを用いているが、NチャネルMOSトランジスタやバイポーラトランジスタを用いることもできる。
【0014】
【発明の効果】
本発明の定電圧回路及び電源回路では、VRの入力電圧とバックアップ用電池電圧とを比較する比較回路と、出力トランジスタのバックバイアスを入力電圧側の電源電圧又はバックアップ用電池電圧に切り替える機能を備えた切替え回路と、を備え、切替え回路は、比較回路の出力に基づいて、入力電圧がバックアップ用電池電圧より高いときは出力トランジスタのバックバイアスを電源電圧にし、入力電圧がバックアップ用電池電圧より低いときは出力トランジスタのバックバイアスをバックアップ用電池電圧にするようにしたので、逆流電流を防止し、さらにダイオードを用いないので、VRの最低動作電圧を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電源回路の一例を示す回路図である。
【図2】一実施例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 電源
3 負荷
7 バックアップ用電池
21 定電圧回路(VR)
23 入力端子
25 出力トランジスタ
27 出力端子
29 オペアンプ
31 基準電圧部
33 バイアススイッチ
35,37 バックバイアス切替えスイッチ
39 コンパレータ
41 インバータ
R1,R2 帰還抵抗
R3,R4,R5,R6 分圧抵抗
Claims (2)
- 負荷に供給する電源を安定化し出力トランジスタを介して供給する定電圧回路において、
電源に接続される入力端子と、
前記負荷及び前記負荷をバックアップするためのバックアップ用電池に接続される出力端子と、
前記入力端子の電圧と前記出力端子の電圧とを比較する比較回路と、
前記入力端子と前記比較回路との間及び前記出力端子と前記比較回路との間に接続され、前記入力端子の電圧が前記出力端子の電圧よりも低くなったときに前記比較回路が一方の極性信号を出力するように調整された分圧抵抗と、
トランジスタからなり、前記比較回路の出力が前記一方の極性信号のときは前記出力トランジスタのバックバイアスを前記出力端子の電圧にし、前記比較回路の出力が他方の極性信号のときは前記出力トランジスタのバックバイアスを前記入力端子の電圧にするようにバックバイアス用の接続を切り替える切替え回路と、を備え、
かつ、これら各部が1チップ上に形成されていることを特徴とする定電圧回路。 - 前記定電圧回路と、その出力端子に接続されたバックアップ用電池とを備えた電源回路。
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