JP4624601B2 - 炭素繊維製造用合成繊維処理剤及び炭素繊維製造用合成繊維の処理方法 - Google Patents

炭素繊維製造用合成繊維処理剤及び炭素繊維製造用合成繊維の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は炭素繊維製造用合成繊維処理剤(以下、単に処理剤という)及び炭素繊維製造用合成繊維の処理方法(以下、単に処理方法という)に関する。ピッチ系繊維やアクリル系繊維から炭素繊維を製造する場合、高品質の炭素繊維を低コストで製造するため、その耐炎化工程において耐炎化繊維の集束性の向上と耐炎化繊維相互の融着防止とを同時に図ることが要求される。本発明はかかる要求に応える処理剤及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前記のような処理剤としては、潤滑剤と乳化剤とを含有し、該潤滑剤として各種のシリコーンを用いた処理剤が提案されている。これには例えば、1)ジメチルポリオルガノシロキサンやフェニルメチルポリオルガノシロキサンを用いた例(特公昭51−12739)、2)ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンやエポキシ変性ポリオルガノシロキサンを用いた例(特開昭52−148227)、3)アミノ変性ポリオルガノシロキサンを用いた例(特公昭64−508、特公昭52−24136、特開昭60−99011、特開平2−91224、特開平6−220723、特開平8−209543)等がある。ところが、かかる従来の処理剤には、耐炎化工程において耐炎化繊維の集束性の向上と耐炎化繊維相互の融着防止とを同時に且つ充分に図る上で不充分という問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ピッチ系繊維やアクリル系繊維から炭素繊維を製造するときの耐炎化工程において耐炎化繊維の集束性の向上と耐炎化繊維相互の融着防止とを同時に且つ充分に図ることができる処理剤及び処理方法を提供する処にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、上記の課題を解決するべく研究した結果、潤滑剤と乳化剤とを含有する処理剤において、該潤滑剤として特定のアミノ変性ポリオルガノシロキサンを用いた処理剤が正しく好適であることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、潤滑剤と乳化剤とを含有する処理剤において、潤滑剤として下記の式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンを用いて成ることを特徴とする処理剤に係る。
【0006】
【式1】
Figure 0004624601
【0007】
式1において、
〜R:炭素数1〜4のアルキル基
,A:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基又は下記の式2で示されるアミノ変性基
X:下記の式2で示されるアミノ変性基
p,q:pが1〜1000の整数、qが1〜1000の整数であって、p/qの比が1/1〜9/1を満足する整数
r:1〜50の整数
【0008】
【式2】
Figure 0004624601
【0009】
式2において、
,R:炭素数2〜5のアルキレン基
s:0又は1
【0010】
また本発明は、前記のような本発明の処理剤を、炭素繊維製造用合成繊維に対し0.2〜1.5重量%となるよう付着させることを特徴とする処理方法に係る。
【0011】
本発明の処理剤において、潤滑剤として用いる式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンには、1)アミノ変性基を主鎖の側鎖にのみ有するアミノ変性ポリオルガノシロキサン、2)アミノ変性基を主鎖の側鎖に有すると共に主鎖の末端にも有するアミノ変性ポリオルガノシロキサンがある。いずれのアミノ変性ポリオルガノシロキサンも、主鎖を構成する2価のオルガノシロキサン単位と、末端を構成する1価のオルガノシロキサン単位及び1価のオルガノシリル単位とで構成されている。主鎖を構成する2価のオルガノシロキサン単位は、式1中のpで括られた2価のジアルキルシロキサン単位とqで括られた2価のジフェニルシロキサン単位とrで括られたアミノ変性基を有する2価のオルガノシロキサン単位とで構成されている。上記のような2価のオルガノシロキサン単位の結合位置はそれらが主鎖を構成する限りにおいて特に制限されない。
【0012】
式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンにおいて、主鎖を構成するpで括られた2価のジアルキルシロキサン単位のR,Rとしては、1)メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられるが、なかでもメチル基が好ましい。またpで括られたジアルキルシロキサン単位の数は、1〜1000とするが、20〜500とするのが好ましい。
【0013】
式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンにおいて、主鎖を構成するqで括られたジフェニルシロキサン単位の数は、1〜1000とするが、20〜500とするのが好ましい。
【0014】
式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンにおいて、主鎖を構成するpで括られた2価のジアルキルシロキサン単位の数とqで括られた2価のジフェニルシロキサン単位の数の比は、p/qの比が1/1〜9/1とするが、3/2〜4/1とするのが好ましい。
【0015】
式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンにおいて、主鎖を構成するrで括られた2価のオルガノシロキサン単位のXは、式2で示されるアミノ変性基である。式2で示されるアミノ変性基には、1)sが0の場合のアミノアルキル基、2)sが1の場合のアミノアルキルアミノアルキル基がある。かかるアミノアルキル基としては、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基等が挙げられるが、3−アミノプロピル基が好ましい。またアミノアルキルアミノアルキル基としては、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−4−アミノブチル基等が挙げられるが、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基が好ましい。rで括られた2価のオルガノシロキサン単位のRは、R,Rについて前記したことと同様である。かかるrで括られた2価のオルガノシロキサン単位の数は、1〜50とするが、1〜20とするのが好ましい。
【0016】
式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンにおいて、主鎖の一方の末端を構成する1価のオルガノシロキサン単位のR,Rは、R,Rについて前記したことと同様である。また主鎖の一方の末端を構成する1価のオルガノシロキサン単位のAとしては、1)メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、2)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基、3)水酸基、4)前記した式2で示されるアミノ変性基が挙げられるが、なかでもメチル基が好ましい。
【0017】
式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンにおいて、主鎖の他方の末端を構成する1価のオルガノシリル単位のR,Rは、R,Rについて前記したことと同様である。また主鎖の他方の末端を構成する1価のオルガノシリル単位のAは、Aについて前記したことと同様である。
【0018】
式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンは、公知の合成方法で合成できる。これには例えば、1)環状ジアルキルポリシロキサンと環状ジフェニルポリシロキサンを、アルカリ触媒の存在下に、α、ω−ジヒドロキシアミノ変性ポリオルガノシロキサンと反応させる方法、2)ハイドロジェンポリオルガノシロキサンを、クロル白金酸触媒の存在下に、アリルアミン化合物と反応させる方法等が挙げられる。
【0019】
本発明は、潤滑剤として用いる以上説明した式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンの含有量を特に制限するものではないが、処理剤中、30〜95重量%とするのが好ましく、50〜85重量%とするのがより好ましい。
【0020】
本発明の処理剤は、潤滑剤として用いる以上説明したアミノ変性ポリオルガノシロキサンの外に、乳化剤を含有するものである。本発明はかかる乳化剤の種類を特に制限するものではないが、非イオン性界面活性剤が好ましい。かかる非イオン性界面活性剤としては、多価アルコール脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、多価アルコール部分脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、脂肪族アルコールのポリオキシアルキレン付加物、脂肪族アミンのポリオキシアルキレン付加物、アルキル置換フェノールのポリオキシアルキレン付加物等が挙げられるが、脂肪族アミンのポリオキシアルキレン付加物が好ましい。かかる脂肪族アミンのポリオキシアルキレン付加物としては、炭素数1〜22の脂肪族1級アミンのポリオキシアルキレン付加物、炭素数1〜22の脂肪族2級アミンのポリオキシアルキレン付加物が好ましく、炭素数2〜18の脂肪族1級アミンのポリオキシアルキレン付加物、炭素数2〜18の脂肪族2級アミンのポリオキシアルキレン付加物が更に好ましい。これらの具体例としては、1)α−プロピルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(オキシエチレン単位の数1、以下v=1という)、α−オクチルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=5)、α−ラウリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(v=7,オキシプロピレン単位の数7,以下w=7という)、α−ステアリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(v=10,w=2)、α−オレイルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=5)等の脂肪族アミンのポリオキシアルキレン付加物、2)α−ジブチルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=1)、α−ジオクチルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=5)、α−ジラウリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(v=7,w=7)、α−ステアリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(v=10,w=2)、α−ジオレイルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=5)等の脂肪族2級アミンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。
【0021】
本発明は乳化剤の含有量を特に制限するものではないが、乳化剤として前記したような非イオン性界面活性剤を用いる場合には、その含有量を、処理剤中、2〜40重量%とするのが好ましい。なかでも、非イオン性界面活性剤として前記したような炭素数2〜18の脂肪族アミンのポリオキシアルキレン付加物を用いる場合には、その含有量を、処理剤中、3〜25重量%とするのがより好ましく、5〜15重量%とするのが特に好ましい。
【0022】
本発明の処理剤は、潤滑剤と乳化剤とを含有し、且つ該潤滑剤として式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンを用いて成るものであるが、更にポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンを含有することができる。ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンとしては、主鎖中に或は主鎖の末端にポリオキシアルキレン変性基を有するものを用いることもできるが、主鎖の側鎖にポリオキシアルキレン変性基を有するものを用いるのが好ましく、なかでも数平均分子量1000〜30000のものを用いるのがより好ましい。かかるポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシリキサンとしては、1)ポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン、2)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性ポリオルガノシロキサン等が挙げられるが、なかでもポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサンが好ましく、数平均分子量2000〜15000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサンがより好ましい。以上説明したポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンの含有量は、処理剤中、3〜25重量%とするが、5〜20重量%とするのが好ましい。
【0023】
以上、本発明の処理剤について説明したが、該処理剤が、潤滑剤としての式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンと、乳化剤としての非イオン性界面活性剤と、前記したポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシリキサンとから成るものである場合、該アミノ変性ポリオルガノシロキサンを50〜85重量%、該非イオン性界面活性剤を5〜50重量%及び該ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシリキサンを5〜20重量%(合計100重量%)の割合で含有するものが好ましい。
【0024】
本発明の処理方法では、本発明の処理剤を炭素繊維製造用合成繊維に対し0.2〜1.5重量%となるよう、好ましくは0.3〜1.2重量%となるよう付着させる。かかる付着方法としては、浸漬給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、スプレー給油法等の公知の方法が挙げられるが、浸漬給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法が好ましい。
【0025】
本発明の処理剤を炭素繊維製造用合成繊維に付着させるに当たり、該処理剤はその水性液、通常は水性エマルションとして用いるのが好ましい。処理剤の炭素繊維製造用合成繊維への付着に際しては、合目的的に他の成分、例えば、抗酸化剤、防腐剤、防錆剤等を併用することができるが、その使用量は可及的に少量とするのが好ましい。
【0026】
本発明の処理剤及び処理方法は炭素繊維製造用のピッチ系繊維或はアクリル系繊維に適用できるが、アクリル系繊維に適用する場合により効果が高い。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に係る処理剤及び処理方法の実施形態としては、次の1)〜15)が挙げられる。
1)下記の潤滑剤(M−1)85重量%、及び下記の乳化剤(N−1)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−1)。そしてこの処理剤(T−1)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−1)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(M−1):式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンであって、式1中のA,A,R〜Rがメチル基、XがN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、pが240、qが60、p/qの比が4/1、rが5である場合のアミノ変性ポリオルガノシロキサン。
乳化剤(N−1):ポリオキシエチレン(v=10)ラウリルエーテル
【0028】
2)下記の潤滑剤(M−2)85重量%、及び下記の乳化剤(N−2)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−2)。そしてこの処理剤(T−2)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−2)として1.2重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(M−2):式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンであって、式1中のA,A,R〜Rがメチル基、XがN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、pが420、qが180、p/qの比が7/3、rが10である場合のアミノ変性ポリオルガノシロキサン。
乳化剤(N−2):ポリオキシエチレン(v=6)ノニルフェニルエーテル
【0029】
3)下記の潤滑剤(M−3)85重量%、及び下記の乳化剤(N−3)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−3)。そしてこの処理剤(T−3)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−3)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(M−3):式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンであって、式1中のA,A,R〜Rがメチル基、XがN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、pが60、qが40、p/qの比が3/2、rが1である場合のアミノ変性ポリオルガノシロキサン。
乳化剤(N−3):ポリオキシエチレン(25モル)硬化ヒマシ油
【0030】
4)下記の潤滑剤(M−4)85重量%、及び前記の乳化剤(N−1)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−4)。そしてこの処理剤(T−4)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−4)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(M−4):式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンであって、式1中のA,Aが水酸基、R〜Rがメチル基、Xが3−アミノプロピル基、pが350、qが350、p/qの比が1/1、rが13である場合のアミノ変性ポリオルガノシロキサン。
【0031】
5)下記の潤滑剤(M−5)85重量%、及び前記の乳化剤(N−1)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−5)。そしてこの処理剤(T−5)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−5)として1.2重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(M−5):式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンであって、式1中のA,Aがメトキシ基、R〜Rがメチル基、XがN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、pが270、qが30、p/qの比が9/1、rが12である場合のアミノ変性ポリオルガノシロキサン。
【0032】
6)下記の潤滑剤(M−6)85重量%、及び前記の乳化剤(N−1)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−6)。そしてこの処理剤(T−6)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−6)として1.2重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(M−6):式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンであって、式1中のA,A,Xが3−アミノプロピル基、R〜Rがメチル基、pが90、qが10、p/qの比が9/1、rが3である場合のアミノ変性ポリオルガノシロキサン。
【0033】
7)前記の潤滑剤(M−1)85重量%、及び下記の乳化剤(MX−1)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−7)。そしてこの処理剤(T−7)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−7)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
乳化剤(MX−1):ポリオキシエチレン(v=10)ラウリルエーテル/α−(N−オクチルアミノ)−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=5)=10/5(重量比)の混合物
【0034】
8)前記の潤滑剤(M−2)70重量%、及び下記の乳化剤(MX−2)30重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−8)。そしてこの処理剤(T−8)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−8)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
乳化剤(MX−2):ポリオキシエチレン(v=10)ラウリルエーテル/α−(N−ステアリルアミノ)−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(v=10,w=2)=20/10(重量比)の混合物
【0035】
9)前記の潤滑剤(M−3)50重量%、及び下記の乳化剤(MX−3)50重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−9)。そしてこの処理剤(T−9)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−9)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
乳化剤(MX−3):ポリオキシエチレン(v=10)ラウリルエーテル/α−(N,N−ジオクチルアミノ)−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=5)=35/15(重量比)の混合物
【0036】
10)前記の潤滑剤(M−1)70重量%、下記の乳化剤(MX−4)25重量%、及び下記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−1)5重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−10)。そしてこの処理剤(T−10)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−10)として0.5重量%となるよう付着させる処理方法。
乳化剤(MX−4):ポリオキシエチレン(v=10)ラウリルエーテル/α−(N−オクチルアミノ)−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=5)=15/10(重量比)の混合物
ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−1):主鎖が全てシロキサン単位の繰り返しで構成され、主鎖の側鎖にポリオキシエチレン基を有する数平均分子量3000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
【0037】
11)前記の潤滑剤(M−2)65重量%、前記の乳化剤(MX−4)25重量%、及び下記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−2)10重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−11)。そしてこの処理剤(T−11)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−11)として0.8重量%となるよう付着させる処理方法。
ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−2):主鎖が全てシロキサン単位の繰り返しで構成され、主鎖の側鎖にポリオキシエチレン変性基を有する数平均分子量15000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
【0038】
12)前記の潤滑剤(M−3)60重量%、前記の乳化剤(MX−4)25重量%、及び下記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−3)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−12)。そしてこの処理剤(T−12)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−12)として1.1重量%となるよう付着させる処理方法。
ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−3):主鎖が全てシロキサン単位の繰り返しで構成され、主鎖の側鎖にポリオキシエチレン変性基を有する数平均分子量25000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
【0039】
13)前記の潤滑剤(M−4)55重量%、前記の乳化剤(MX−4)25重量%、及び前記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−3)20重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−13)。そしてこの処理剤(T−13)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−13)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
【0040】
14)前記の潤滑剤(M−5)65重量%、前記の乳化剤(MX−4)25重量%、及び前記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−2)10重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−14)。そしてこの処理剤(T−14)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−14)として0.9重量%となるよう付着させる処理方法。
【0041】
15)前記の潤滑剤(M−6)65重量%、前記の乳化剤(MX−4)25重量%、及び前記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−1)10重量%(合計100重量%)から成る処理剤(T−15)。そしてこの処理剤(T−15)を水性エマルションとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(T−15)として1.1重量%となるよう付着させる処理方法。
【0042】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は重量部、%は重量%である。
【0043】
【実施例】
試験区分1(式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンの合成)
・アミノ変性ポリオルガノシロキサン(M−1)の合成
フラスコに分子量297のオクタメチルシクロテトラシロキサン178g(0.6モル)、分子量796のオクタフェニルシクロテトラシロキサン119g(0.15モル)、数平均分子量640のα、ω−ジヒドロキシ−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル変性ジメチルポリシロキサン8g(0.0125モル)、分子量162のシリコーンダイマー1.6g(0.01モル)及び触媒として水酸化カリウム0.1gを仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃に加温した。同温度で更に4時間反応を続けて合成物を得た。得られた合成物を分析したところ、式1において、A,A,R〜Rがメチル基、XがN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、pが240、qが60、p/qの比が4/1、rが5である場合の数平均分子量30000のアミノ変性ポリオルガノシロキサン(M−1)であった。
【0044】
・アミノ変性ポリオルガノシロキサン(M−2)〜(M−6)及び(m−1)〜(m−5)の合成
アミノ変性ポリオルガノシロキサン(M−1)の合成の場合と同様にして、アミノ変性ポリオルガノシロキサン(M−2)〜(M−6)及び(m−1)〜(m−5)を合成した。以上で合成した各アミノ変性ポリオルガノシロキサンの内容を表1にまとめて示した。
【0045】
【表1】
Figure 0004624601
【0046】
表1において、
S−1:メチル基
S−2:水酸基
S−3:メトキシ基
X−1:N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基
X−2:3−アミノプロピル基
【0047】
試験区分2(処理剤の調製)
・処理剤(T−1)〜(T−15)及び(R−1)〜(R−7)の調製
表1に記載の潤滑剤(M−1)85部と乳化剤(N−1)15部とを混合して実施例1の処理剤(T−1)を調製した。同様にして、他の各例の処理剤を調製した。これらの内容を表2にまとめて示した。
【0048】
試験区分3(炭素繊維製造用アクリルフィラメントへの処理剤の付着及び評価)
・炭素繊維製造用アクリルフィラメントへの処理剤の付着
試験区分2で調製した処理剤30部に水70部を加え、ホモジナイザーを用いて水性エマルションとした。この水性エマルションを常法により製造したアクリルフィラメント(17800デジテックス、16000デニール/12000フィラメント)に浸漬給油法にて付着させ後、乾熱ローラーを用い、115℃×4秒間乾燥してプレカーサートウとした。このプレカーサートウを240℃の強制循環式オーブン中で60分間耐炎化処理して耐炎化繊維とし、次いでこの耐炎化繊維を窒素雰囲気中300〜1800℃の温度勾配を持つ焼成炉で50分間焼成して炭素繊維とした。
【0049】
・処理剤の付着量の測定
JIS−L1073(合成繊維フィラメント糸試験方法)に準拠し、抽出溶剤としてノルマルヘキサン/エタノール=70/30(容量比)の混合溶剤を用いて、前記プレカーサートウへの処理剤の付着量を測定した。結果を表2にまとめて示した。
【0050】
・耐炎化工程での集束性の評価
前記耐炎化繊維50kgを製造した際の集束性の状態を観察した。同様の試験を5回行ない、次の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
◎:集束性は非常に良好であり、工程通過性に問題なし
○:集束性は良好であり、工程通過性に問題なし
△:集束性が不足しており、工程通過性に問題あり
×:集束性が不良であり、工程通過性に問題あり
【0051】
・融着防止性の評価
前記耐炎化繊維について任意の10ヶ所から2cm長の短繊維10片を切り出し、試料片とした。この試料片を白紙上で軽く振盪して、その融着状態を肉眼観察した。同様の試験を5回行ない、下記の基準で融着防止性を評価した。
◎:融着なし
○:融着ごく僅かあり
△:融着ややあり
×:融着大
【0052】
【表2】
Figure 0004624601
【0053】
表2において、
付着量:アクリルフィラメントに対する処理剤の付着量(%)
潤滑剤:表1に記載のアミノ変性ポリオルガノシロキサン(M−1)〜(M−6)及び(m−1)〜(m−5)
N−1:ポリオキシエチレン(v=10)ラウリルエーテル
N−2:ポリオキシエチレン(v=6)ノニルフェニルエーテル
N−3:ポリオキシエチレン(v=25)硬化ヒマシ油
MX−1:ポリオキシエチレン(v=10)ラウリルエーテル/α−(N−オクチルアミノ)−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=5)=10/5(重量比)の混合物
MX−2:ポリオキシエチレン(v=10)ラウリルエーテル/α−(N−ステアリルアミノ)−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(v=10,w=2)=20/10(重量比)の混合物
MX−3:ポリオキシエチレン(v=10)ラウリルエーテル/α−(N,N−ジオクチルアミノ)−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=5)=35/15(重量比)の混合物
MX−4:ポリオキシエチレン(v=10)ラウリルエーテル/α−(N−オクチルアミノ)−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=5)=15/10(重量比)の混合物
S−1:主鎖が全てシロキサン単位の繰り返しで構成され、主鎖の側鎖にポリオキシエチレン基を有する数平均分子量3000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
S−2:主鎖が全てシロキサン単位の繰り返しで構成され、主鎖の側鎖にポリオキシエチレン基を有する数平均分子量15000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
S−3:主鎖が全てシロキサン単位の繰り返しで構成され、主鎖の側鎖にポリオキシエチレン基を有する数平均分子量25000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
Z−1:数平均分子量20000のフェニル変性ポリジメチルシロキサン
Z−2:数平均分子量30000のエポキシ変性ポリジメチルシロキサン
【0054】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、炭素繊維の製造において、耐炎化工程での耐炎化繊維の集束性の向上と耐炎化繊維相互の融着防止とを同時に且つ充分に図ることができるという効果がある。

Claims (10)

  1. 潤滑剤と乳化剤とを含有する炭素繊維製造用合成繊維処理剤において、潤滑剤として下記の式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンを用いて成ることを特徴とする炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
    【式1】
    Figure 0004624601
    {式1において、
    〜R:炭素数1〜4のアルキル基
    ,A:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基又は下記の式2で示されるアミノ変性基
    X:下記の式2で示されるアミノ変性基
    p,q:pが1〜1000の整数、qが1〜1000の整数であって、p/qの比が1/1〜9/1を満足する整数
    r:1〜50の整数
    【式2】
    Figure 0004624601
    (式2において、
    ,R:炭素数2〜5のアルキレン基
    s:0又は1)}
  2. 式1で示されるアミノ変性ポリオルガノシロキサンを30〜95重量%の割合で含有して成る請求項1記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
  3. アミノ変性ポリオルガノシロキサンが、式1中のR〜Rがメチル基、A,Aがメチル基、Xが3−アミノプロピル基又はN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基である場合のものである請求項1又は2記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
  4. 乳化剤として非イオン性界面活性剤を用い、該非イオン性界面活性剤を2〜40重量%の割合で含有して成る請求項1〜3のいずれか一つの項記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
  5. 非イオン性界面活性剤が炭素数2〜18の脂肪族アミンのポリオキシアルキレン付加物であり、これを3〜25重量%の割合で含有して成る請求項4記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
  6. 更にポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンを3〜25重量%の割合で含有して成る請求項1〜5のいずれか一つの項記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
  7. ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンが、主鎖の側鎖にポリオキシアルキレン変性基を有する数平均分子量1000〜30000のものである請求項6記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか一つの項記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤を、炭素繊維製造用合成繊維に対し0.2〜1.5重量%となるよう付着させることを特徴とする炭素繊維製造用合成繊維の処理方法。
  9. 炭素繊維製造用合成繊維処理剤をその水性液とした後、該水性液を炭素繊維製造用合成繊維に付着させる請求項8記載の炭素繊維製造用合成繊維の処理方法。
  10. 炭素繊維製造用合成繊維がアクリル系繊維である請求項8又は9記載の炭素繊維製造用合成繊維の処理方法。
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