JP4229413B2 - 炭素繊維製造用合成繊維処理剤及び炭素繊維製造用合成繊維の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は炭素繊維製造用合成繊維処理剤(以下、単に処理剤という)及び炭素繊維製造用合成繊維の処理方法(以下、単に処理方法という)に関する。ピッチ繊維やアクリル繊維から炭素繊維を製造する場合、高品質の炭素繊維を低コストで製造するため、耐炎化工程では耐炎化繊維相互の融着防止を図ることが要求され、また炭素化工程では焼成炉内汚染物質の発生防止を図ることが要求される。本発明はかかる要求に応える処理剤及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、潤滑剤としてシリコーンを含有しない処理剤も知られているが、かかる処理剤には、耐炎化工程において耐炎化繊維相互の融着を充分に防止できないという重大な欠陥がある。そこで近年では一般に、潤滑剤としてシリコーンを含有する処理剤が使用されている。これには、1)ジメチルポリオルガノシロキサンやフェニルメチルポリオルガノシロキサンを含有する例(特公昭51−12739)、2)ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンやエポキシ変性ポリオルガノシロキサンを含有する例(特開昭52−148227)、3)アミノ変性ポリオルガノシロキサンを含有する例(特公昭64−508、特公昭52−24136、特開昭60−99011)等がある。ところが、かかる処理剤には、耐炎化工程において耐炎化繊維相互の融着を防止できるものの、耐炎化工程後の炭素化工程において、処理剤の分解による酸化珪素や窒化珪素等の焼成炉内汚染物質が生成し、堆積するため、焼成炉内の清掃を頻繁に行なう必要があり、生産性を著しく低下させるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来の処理剤では、ピッチ繊維やアクリル繊維から炭素繊維を製造する場合に、耐炎化工程での耐炎化繊維相互の融着防止と炭素化工程での焼成炉内汚染物質の発生防止とを同時に且つ充分に図ることができない点である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、上記の課題を解決するべく研究した結果、潤滑剤として特定のポリオルガノシロキサン誘導体を含有する処理剤が正しく好適であることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、潤滑剤と乳化剤とを含有する処理剤において、潤滑剤として下記の式1又式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上を含有して成ることを特徴とする処理剤及びこの処理剤を用いる処理方法に係る。
【0006】
【式1】
【0007】
【式2】
【0008】
式1、式2において、
R1〜R18:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフロロアルキル基又はフェニル基
A1,A6:炭素数2〜4のアルケニル基
A2〜A5,A7,A8:炭素数1〜4のアルキレン基
B1〜B4:炭素数1〜14の2価の炭化水素基、炭素数2〜10の脂肪族2塩基酸のすべてのカルボキシル基から水素を除いた残基、炭素数8〜12の芳香族2塩基酸のすべてのカルボキシル基から水素を除いた残基、炭素数2〜4のアルカンジオールのすべてのヒドロキシル基から水素を除いた残基、炭素数3〜6のアルカントリオールのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、オキシ基、チオ基、イミノ基、ウレイレン基又はカルバモイル基
X1,X2:−A9−(NH−A10)v−NH2で示されるアミノ変性基
(但し、A9,A10;炭素数2〜5のアルキレン基、v;0又は1)
T1,T2:水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフロロアルキル基又はフェニル基
p,q,s,t:1〜150の整数
r,u:1〜10の整数
m,n:1〜30の整数
【0009】
本発明の処理剤は、潤滑剤と乳化剤とを含有するものであり、該潤滑剤として式1で示されるポリオルガノシロキサン誘導体及び式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上を含有するものである。
【0010】
式1で示されるポリオルガノシロキサン誘導体は、nで括られた繰り返し単位とこれにその両末端を封鎖する形で連結した二つの末端有機基とで構成されている。またnで括られた繰り返し単位は、pで括られた繰り返し単位とqで括られた繰り返し単位とrで括られた繰り返し単位とで構成されている。
【0011】
式1において、末端有機基中のA1,A6は、ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数2〜4のアルケニル基であるが、なかでもアリル基が好ましい。
【0012】
式1において、末端有機基中のR1,R2,R8,R9は、1)メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、2)γ―トリフロロプロピル基、β、γ―ペンタフロロプロピル基等の部分フッ素置換アルキル基の外に、ヘプタフロロプロピル基、ペンタフロロエチル基等の全フッ素置換アルキル基のような炭素数1〜4のフロロアルキル基、3)フェニル基であるが、なかでもメチル基が好ましい。
【0013】
式1において、末端有機基中のA2,A5は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基であるが、なかでもプロピレン基が好ましい。
【0014】
式1において、末端有機基中のB1,B3は、1)炭素数1〜14の2価の炭化水素基、2)炭素数2〜10の脂肪族2塩基酸のすべてのカルボキシル基から水素を除いた残基、3)炭素数8〜12の芳香族2塩基酸のすべてのカルボキシル基から水素を除いた残基、4)炭素数2〜4のアルカンジオールのすべてのヒドロキシル基から水素を除いた残基、5)炭素数3〜6のアルカントリオールのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、6)オキシ基、7)チオ基、8)イミノ基、9)ウレイレン基、10)カルバモイル基である。
【0015】
前記炭素数1〜14の2価の炭化水素基としては、a)メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等の炭素数1〜14の2価の脂肪族飽和炭化水素基、b)ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、トリデセニレン基等の炭素数1〜14の2価の脂肪族不飽和炭化水素基、c)フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基、d)プロピルフェニレン基、オクチルフェニレン基等の炭素数7〜14の置換芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0016】
前記炭素数2〜10の脂肪族2塩基酸のすべてのカルボキシル基から水素を除いた残基には、その原料となる該脂肪族2塩基酸として、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
【0017】
前記炭素数8〜12の芳香族2塩基酸のすべてのカルボキシル基から水素を除いた残基には、その原料となる該芳香族2塩基酸として、フタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
【0018】
前記炭素数2〜4のアルカンジオールのすべてのヒドロキシル基から水素を除いた残基には、その原料となる該アルカンジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2−メチルプロピレングリコール等が挙げられる。
【0019】
前記炭素数3〜6のアルカントリオールのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基には、その原料となる該アルカントリオールとして、グリセリン、トリメチロールプロパン、2−ヒドロキシブチレングリコール、3−ヒドロキシペンタメチレングリコール等が挙げられる。
【0020】
以上例示した末端有機基中のB1,B3としては、なかでも炭素数4〜10の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6のアルカントリオールのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、オキシ基又はイミノ基が好ましく、炭素数3〜6のアルカントリオールのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基がより好ましい。
【0021】
式1において、nで括られた繰り返し単位を構成するpで括られた繰り返し単位中のR3,R4は、前記のR1,R2,R8,R9と同様である。またpで括られた繰り返し単位中のA3,A4は、前記のA2,A5と同様である。更にpで括られた繰り返し単位中のB2は、前記のB1,B3と同様である。かかるpで括られた繰り返し単位の繰り返し数は、1〜150の整数とするが、5〜20の整数とするのが好ましい。
【0022】
式1において、nで括られた繰り返し単位を構成するqで括られた繰り返し単位中のR5,R6は、前記のR1,R2,R8,R9と同様である。qで括られた繰り返し単位の繰り返し数は、1〜150の整数とするが、5〜50の整数とするのが好ましい。
【0023】
式1において、nで括られた繰り返し単位を構成するrで括られた繰り返し単位中のX1は、−A9−(NH−A10)v−NH2(但し、A9,A10は炭素数2〜5のアルキレン基、vは0又は1)で示されるアミノ変性基である。かかるアミノ変性基には、1)v=0の場合に該当するアルキル基の炭素数が2〜5のアミノアルキル基、2)v=1の場合に該当するアルキル基の炭素数が2〜5のアミノアルキルアミノアルキル基が包含される。上記1)の具体例としては、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基等が挙げられるが、2−アミノプロピル基が好ましい。また上記2)の具体例としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル基等が挙げられるが、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基が好ましい。またrで括られた繰り返し単位中のR7は、前記のR1,R2,R8,R9と同様である。かかるrで括られた繰り返し単位の繰り返し数は、1〜10の整数とするが、1〜5の整数とするのが好ましい。
【0024】
式1において、以上説明したpで括られた繰り返し単位とqで括られた繰り返し単位とrで括られた繰り返し単位とで構成されるnで括られた繰り返し単位の繰り返し数は、1〜30の整数とするが、1〜10の整数とするのが好ましい。
【0025】
式1で示されるポリオルガノシロキサン誘導体は、公知の合成方法を組み合わせることにより合成できる。これには例えば、1)相当するα、ω−ジハイドロジェンポリオルガノシロキサンとジアリル化合物とを、クロル白金酸を触媒として加熱下に反応させ、引き続き、アルカリ触媒の存在下にα、ω−ジヒドロキシアミノ変性ポリオルガノシロキサンを反応させる方法、2)相当するα、ω−ジハイドロジェンポリオルガノシロキサンとジアリル化合物とを、クロル白金酸を触媒として加熱下に反応させ、引き続き、アルカリ触媒の存在下にアミノ変性環状ポリオルガノシロキサンを反応させる方法、3)相当するα−ハイドロジェンポリオルガノシロキサンとジアリル化合物とを、クロル白金酸を触媒として加熱下に反応させ、引き続き、アルカリ触媒の存在下にα、ω−ジヒドロキシアミノ変性ポリオルガノシロキサンとポリオルガノシロキサンとを反応させる方法等が挙げられる。
【0026】
式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体は、mで括られた繰り返し単位とこれにその両末端を封鎖する形で連結した二つの末端有機基とで構成されている。またmで括られた繰り返し単位は、sで括られた繰り返し単位とtで括られた繰り返し単位とuで括られた繰り返し単位とで構成されている。
【0027】
式2において、末端有機基中のT1,T2は、1)水素、2)メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、3)γ―トリフロロプロピル基、β、γ―ペンタフロロプロピル基等の部分フッ素置換アルキル基の外に、ヘプタフロロプロピル基、ペンタフロロエチル基等の全フッ素置換アルキル基のような炭素数1〜4のフロロアルキル基、4)フェニル基であるが、なかでもメチル基が好ましい。また末端有機基中のR10,R11,R17,R18は、式1について前記したR1,R2,R8,R9と同様である。
【0028】
式2において、mで括られた繰り返し単位を構成するsで括られた繰り返し単位中のR12,R13は、式1について前記したR1,R2,R8,R9と同様である。またsで括られた繰り返し単位中のA7,A8は、式1について前記したA2,A5と同様である。更にsで括られた繰り返し単位中のB4は、式1について前記したB1,B3と同様である。かかるsで括られた繰り返し単位の繰り返し数は、1〜150の整数とするが、5〜20の整数とするのが好ましい。
【0029】
式2において、mで括られた繰り返し単位を構成するtで括られた繰り返し単位中のR14,R15は、式1について前記したR1,R2,R8,R9と同様である。かかるtで括られた繰り返し単位の繰り返し数は、1〜150の整数とするが、5〜50の整数とするのが好ましい。
【0030】
式2において、mで括られた繰り返し単位を構成するuで括られた繰り返し単位中のX2は、式1について前記したX1と同様である。またuで括られた繰り返し単位中のR16は、式1について前記したR1,R2,R8,R9と同様である。かかるuで括られた繰り返し単位の繰り返し数は、1〜10の整数とするが、1〜5の整数とするのが好ましい。
【0031】
式2において、以上説明したsで括られた繰り返し単位とtで括られた繰り返し単位とuで括られた繰り返し単位とで構成されるmで括られた繰り返し単位の繰り返し数は、1〜30の整数とするが、1〜10の整数とするのが好ましい。
【0032】
式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体は、公知の合成方法を組み合わせることにより合成できる。これには例えば、1)相当するα、ω−ジハイドロジェンポリオルガノシロキサンとジアリル化合物とを、クロル白金酸を触媒として加熱下に反応させ、次いでその反応物のヒドロシリル基に環状ポリオルガノシロキサンを反応させ、更にアルカリ触媒の存在下にアミノ変性環状ポリオルガノシロキサンを反応させる方法、2)相当するα、ω−ジハイドロジェンポリオルガノシロキサンとジアリル化合物とを、クロル白金酸を触媒として加熱下に反応させ、次いでその反応物のアリル基にα−ハイドロジェンポリオルガノシロキサンを反応させ、更にアルカリ触媒の存在下にアミノ変性環状ポリオルガノシロキサンを反応させる方法等が挙げられる。
【0033】
本発明は以上説明した式1又は式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体の含有割合を特に制限するものではないが、処理剤中、30〜95重量%とするのが好ましく、50〜85重量%とするのがより好ましい。
【0034】
本発明の処理剤は、潤滑剤として、式1又は式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体を含有するものであるが、更に主鎖がすべてシロキサン単位の繰り返しで構成され、側鎖にポリオキシアルキレン変性基を有する数平均分子量1000〜30000のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンを含有するものが好ましい。かかるポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンとしては、1)ポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン、2)ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン変性ポリオルガノシロキサン等が挙げられるが、なかでもポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサンが好ましく、数平均分子量2000〜15000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサンがより好ましい。そしてかかるポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンの含有割合は、処理剤中、3〜25重量%とするのが好ましく、5〜20重量%とするのがより好ましい。
【0035】
本発明の処理剤は、以上説明した潤滑剤の外に、乳化剤を含有するものである。本発明はかかる乳化剤の種類を特に制限するものではないが、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族アルコールのポリオキシアルキレングリコールエーテル、脂肪族アミンのポリオキシアルキレングリコールエーテル、アルキル置換フェノールのポリオキシアルキレングリコールエーテル及び多価アルコール部分脂肪酸エステル等が挙げられる。乳化剤は本発明の処理剤からその水性液を調製する場合に所望の乳化性若しくは分散性が得られるようにするもので、その種類、例えば上記のような非イオン性界面活性剤を用いる場合には、オキシアルキレン単位の繰り返し数、オキシアルキレン単位の種類及びオキシアルキレン単位の繰り返しの形態をこの観点で適宜選択する。かかる界面活性剤の処理剤中における含有割合は、通常5〜40重量%とする。
【0036】
以上、本発明の処理剤について説明したが、該処理剤が式1又は式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上と、前記したポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンと、前記した乳化剤とから成るものである場合、該ポリオルガノシロキサン誘導体を50〜85重量%、該ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンを5〜20重量%及び該界面活性剤を5〜35重量%(合計100重量%)の割合で含有するものが好ましい。
【0037】
本発明の処理方法では、本発明の処理剤を炭素繊維製造用合成繊維に対し0.2〜1.5重量%となるよう、好ましくは0.3〜1.2重量%となるよう付着させる。かかる付着方法としては、浸漬給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、スプレー給油法等の公知の方法が挙げられるが、浸漬給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法が好ましい。
【0038】
本発明の処理剤を炭素繊維製造用合成繊維に付着させるに当たり、該処理剤はその水性液、通常は水性エマルジョンとして用いるのが好ましい。処理剤の炭素繊維製造用合成繊維への付着に際しては、合目的的に他の成分、例えば、抗酸化剤、防腐剤、防錆剤等を併用することができるが、その使用量は可及的に少量とするのが好ましい。
【0039】
本発明の処理剤及び処理方法は炭素繊維製造用のピッチ繊維或はアクリル繊維に適用できるが、アクリル繊維に適用する場合により効果が高い。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明に係る処理剤及び処理方法の実施形態としては、次の1)〜14)が挙げられる。
1)下記の潤滑剤(M−1)85重量%、及び下記の乳化剤(N−1)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−1)。そしてこの処理剤(P−1)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−1)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(M−1):式1で示されるポリオルガノシロキサン誘導体であって、式1中のA1,A6がアリル基、B1〜B3がトリメチロールプロパンのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、A2〜A5がプロピレン基、R1〜R9がメチル基、X1がN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、pが8、qが15、rが1、nが7である場合のポリオルガノシロキサン誘導体。
乳化剤(N−1):ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテル
【0041】
2)下記の潤滑剤(M−2)85重量%、及び下記の乳化剤(N−2)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−2)。そしてこの処理剤(P−2)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−2)として1.2重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(M−2):式1で示されるポリオルガノシロキサン誘導体であって、式1中のA1,A6がアリル基、B1〜B3がグリセリンのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、A2〜A5がプロピレン基、R1〜R9がメチル基、X1が3−アミノプロピル基、pが20、qが48、rが1、nが3である場合のポリオルガノシロキサン誘導体。
乳化剤(N−2):ポリオキシエチレン(6モル)ノニルフェニルエーテル
【0042】
3)下記の潤滑剤(M−3)85重量%、及び下記の乳化剤(N−3)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−3)。そしてこの処理剤(P−3)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−3)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(M−3):式1で示されるポリオルガノシロキサン誘導体であって、式1中のA1,A6がアリル基、B1〜B3がオキシ基、A2〜A5がプロピレン基、R1〜R9がメチル基、X1がN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、pが20、qが2、rが1、nが7である場合のポリオルガノシロキサン誘導体。
乳化剤(N−3):ポリオキシエチレン(25モル)硬化ヒマシ油
【0043】
4)下記の潤滑剤(M−4)85重量%、及び前記の乳化剤(N−1)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−4)。そしてこの処理剤(P−4)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−4)として1.2重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(M−4):式1で示されるポリオルガノシロキサン誘導体であって、式1中のA1,A6がアリル基、B1〜B3がトリメチロールプロパンのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、A2〜A5がプロピレン基、R1〜R9がメチル基、X1がN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、pが25、qが2、rが1、nが7である場合のポリオルガノシロキサン誘導体。
【0044】
5)前記の潤滑剤(M−1)85重量%、下記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−1)5重量%、及び前記の乳化剤(N−1)10重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−5)。そしてこの処理剤(P−5)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−5)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−1):主鎖がすべてシロキサン単位の繰り返しで構成され、側鎖にポリオキシエチレン変性基を有する数平均分子量3000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
【0045】
6)前記の潤滑剤(M−2)70重量%、下記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−2)10重量%、及び前記の乳化剤(N−2)20重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−6)。そしてこの処理剤(P−6)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−6)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−2):主鎖がすべてシロキサン単位の繰り返しで構成され、側鎖にポリオキシエチレン変性基を有する数平均分子量15000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
【0046】
7)前記の潤滑剤(M−3)75重量%、下記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−3)10重量%、及び前記の乳化剤(N−1)15重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−7)。そしてこの処理剤(P−7)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−7)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−3):主鎖がすべてシロキサン単位の繰り返しで構成され、側鎖にポリオキシエチレン変性基を有する数平均分子量25000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
【0047】
8)前記の潤滑剤(M−4)70重量%、前記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−1)5重量%、及び前記の乳化剤(N−1)25重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−8)。そしてこの処理剤(P−8)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−8)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
【0048】
9)下記の潤滑剤(D−1)80重量%、及び前記の乳化剤(N−1)20重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−17)。そしてこの処理剤(P−17)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−17)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(D−1):式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体であって、式2中のT1,T2がメチル基、B4がトリメチロールプロパンのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、A7,A8がプロピレン基、R10〜R18がメチル基、X2がN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、sが8、tが15、uが1、mが7である場合のポリオルガノシロキサン誘導体。
【0049】
10)下記の潤滑剤(D−2)80重量%、及び前記の乳化剤(N−2)20重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−18)。そしてこの処理剤(P−18)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−18)として1.2重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(D−2):式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体であって、式2中のT1,T2がメチル基、B4がグリセリンのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、A7,A8がプロピレン基、R10〜R18がメチル基、X2が3−アミノプロピル基、sが20、tが48、uが1、mが3である場合のポリオルガノシロキサン誘導体。
【0050】
11)下記の潤滑剤(D−3)80重量%、及び前記の乳化剤(N−3)20重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−19)。そしてこの処理剤(P−19)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−19)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(D−3):式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体であって、式2中のT1,T2がメチル基、B4がオキシ基、A7,A8がプロピレン基、R10〜R18がメチル基、X2がN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、sが15、tが2、uが1、mが7である場合のポリオルガノシロキサン誘導体。
【0051】
12)下記の潤滑剤(D−4)80重量%、及び前記の乳化剤(N−1)20重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−20)。そしてこの処理剤(P−20)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−20)として1.2重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(D−4):式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体であって、式2中のT1,T2がメチル基、B4がトリメチロールプロパンのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、A7,A8がプロピレン基、R10〜R18がメチル基、X2がN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、sが20、tが2、uが1、mが7である場合のポリオルガノシロキサン誘導体。
【0052】
13)前記の潤滑剤(D−1)85重量%、前記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−1)5重量%、及び前記の乳化剤(N−1)10重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−21)。そしてこの処理剤(P−21)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−21)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
【0053】
14)前記の潤滑剤(D−2)70重量%、前記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−2)10重量%、及び前記の乳化剤(N−2)20量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−22)。そしてこの処理剤(P−22)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−22)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
【0054】
15)前記の潤滑剤(D−3)75重量%、前記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−3)10重量%、及び前記の乳化剤(N−1)15量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−23)。そしてこの処理剤(P−23)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−23)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
【0055】
16)前記の潤滑剤(D−4)70重量%、前記のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサン(S−1)5重量%、及び前記の乳化剤(N−1)25量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−24)。そしてこの処理剤(P−24)を水性エマルジョンとなし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−24)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
【0056】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は重量部、%は重量%である。
【0057】
【実施例】
試験区分1(式1で示されるポリオルガノシロキサン誘導体の合成)
・ポリオルガノシロキサン誘導体(M−1)の合成
フラスコに数平均分子量750のα、ω−ジハイドロジェンポリジメチルシロキサン413g(0.55モル)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル621g(2.9モル)及び触媒としてヘキサクロロ白金(四)酸六水和物のイソプロピルアルコール5%希釈溶液0.7gを仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら110〜120℃に加温した。同温度で更に3時間反応させた後、触媒として水酸化カリウム0.3g及び数平均分子量640のα、ω−ジヒドロキシ−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル変性ジメチルポリシロキサン64g(0.1モル)を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら130℃に加温した。同温度で更に3時間反応を続けて合成物を得た。得られた合成物を分析したところ、式1において、A1,A6がアリル基、B1〜B3がトリメチロールプロパンのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、A2〜A5がプロピレン基、R1〜R9がメチル基、X1がN−(2−アミノエチル)3−アミノプロピル基、pが8、qが15、rが1、nが7である場合の数平均分子量22000のポリオルガノシロキサン誘導体(M−1)であった。
【0058】
・ポリオルガノシロキサン誘導体(M−2)〜(M−12)及び(m−1)の合成
ポリオルガノシロキサン誘導体(M−1)の合成の場合と同様にして、ポリオルガノシロキサン誘導体(M−2)〜(M−12)及び(m−1)を合成した。以上で合成したポリオルガノシロキサン誘導体の内容を表1及び表2にまとめて示した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表1及び表2において、
A−1:アリル基
A−2:プロピレン基
B−1:トリメチロールプロパンのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基
B−2:グリセリンのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基
B−3:オキシ基
B−4:アジピン酸のすべてのカルボキシル基から水素を除いた残基
B−5:フタル酸のすべてのカルボキシル基から水素を除いた残基
B−6:プロピレングリコールのすべてのヒドロキシル基から水素を除いた残基
B−7:ブチレン基
B−8:チオ基
B−9:イミノ基
B−10:ウレイレン基
B−11:カルバモイル基
R−1:メチル基
R−2:トリフロロメチル基
R−3:フェニル基
X−1:N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基
X−2:3−アミノプロピル基
これらは以下同じ
【0062】
試験区分2(式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体の合成)
・ポリオルガノシロキサン誘導体(D−1)の合成
フラスコに数平均分子量750のα、ω−ジハイドロジェンポリジメチルシロキサン413g(0.55モル)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル621g(2.9モル)及び触媒としてヘキサクロロ白金(四)酸六水和物のイソプロピルアルコール5%希釈溶液0.7gを仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら110〜120℃に加温した。同温度で更に3時間反応させた後、分子量297のオクタメチルシクロテトラシロキサン30g(0.1モル)を仕込み、同温度で更に1時間反応させた。引き続き、触媒として水酸化カリウム0.3gと数平均分子量640のα、ω−ジヒドロキシ−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル変性ジメチルポリシロキサン64g(0.1モル)を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら130℃に加温した。同温度で更に3時間反応を続けて合成物を得た。得られた合成物を分析したところ、式2において、T1,T2がメチル基、B4がトリメチロールプロパンのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、A7,A8がプロピレン基、R10〜R18がメチル基、X2がN−(2−アミノエチル)3−アミノプロピル基、sが8、tが15、uが1、mが7である場合の数平均分子量22000のポリオルガノシロキサン誘導体(D−1)であった。
【0063】
・ポリオルガノシロキサン誘導体(D−2)〜(D−12)及び(d−1)の合成
ポリオルガノシロキサン誘導体(D−1)の合成の場合と同様にして、ポリオルガノシロキサン誘導体(D−2)〜(D−12)及び(d−1)を合成した。以上で合成したポリオルガノシロキサン誘導体の内容を表3及び表4にまとめて示した。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
表4において、
T−1:メチル基
T−2:水素
T−3:トリフロロメチル基
T−4:フェニル基
【0067】
試験区分3(処理剤の調製)
試験区分1で得たポリオルガノシロキサン誘導体(M−1)85部と表5に記載の界面活性剤(N−1)15部とを混合して実施例1の処理剤(P−1)を調製した。同様にして、他の各例の処理剤を調製した。これらの内容を表5及び表6にまとめて示した。
【0068】
試験区分4(炭素繊維製造用アクリルフィラメントへの処理剤の付着及び評価)
・炭素繊維製造用アクリルフィラメントへの処理剤の付着
試験区分3で調製した処理剤30部に水70部を加え、ホモジナイザーを用いて水性エマルジョンとした。この水性エマルジョンを常法により製造したアクリルフィラメント(16000デニール/12000フィラメント)に浸漬給油法にて付着させ後、乾熱ローラーを用い、115℃×4秒間乾燥してプレカーサートウとした。このプレカーサートウを240℃の強制循環式オーブン中で60分間耐炎化処理して耐炎化繊維とし、次いでこの耐炎化繊維を窒素雰囲気中300〜1800℃の温度勾配を持つ焼成炉で50分間焼成して炭素繊維とした。
【0069】
・処理剤の付着量の測定
JIS−L1073(合成繊維フィラメント糸試験方法)に準拠し、抽出溶剤としてノルマルヘキサン/エタノール=70/30(容量比)の混合溶剤を用いて、前記プレカーサートウへの処理剤の付着量を測定した。結果を表5及び表6にまとめて示した。
【0070】
・融着防止性の評価
前記耐炎化繊維について任意の10ヶ所から2cm長の短繊維10片を切り出し、試料片とした。この試料片を白紙上で軽く振盪して、その融着状態を肉眼観察した。同様の試験を5回行ない、下記の基準で融着防止性を評価した。
◎:融着なし
○:融着ごく僅かあり
△:融着ややあり
×:融着大
【0071】
・焼成炉内汚染物質の発生防止性の評価
前記耐炎化繊維50kgを炭素繊維とする際の焼成炉内の汚染状態を肉眼観察した。同様の試験を5回行ない、次の基準で評価した。
◎:汚染はなく、工程通過性に問題なし
○:汚染はごく僅かあるが、工程通過性に問題なし
△:汚染が明らかにあり、工程通過性に問題あり
×:汚染が著しく、工程通過性に問題あり
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
表5及び表6において、
評価1:融着防止性
評価2:焼成炉内汚染物質の発生防止性
付着量:アクリルフィラメントに対する処理剤の付着量(%)
ポリオルガノシロキサン誘導体(M−1)〜(M−12),(m−1):試験区分1で合成したポリオルガノシロキサン誘導体
ポリオルガノシロキサン誘導体(D−1)〜(D−12),(d−1):試験区分2で合成したポリオルガノシロキサン誘導体
S−1:主鎖がすべてシロキサン単位の繰り返しで構成され、側鎖にポリオキシエチレン変性基を有する数平均分子量3000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
S−2:主鎖がすべてシロキサン単位の繰り返しで構成され、側鎖にポリオキシエチレン変性基を有する数平均分子量15000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
S−3:主鎖がすべてシロキサン単位の繰り返しで構成され、側鎖にポリオキシエチレン変性基を有する数平均分子量25000のポリオキシエチレン変性ポリオルガノシロキサン
N−1:ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテル
N−2:ポリオキシエチレン(6モル)ノニルフェニルエーテル
N−3:ポリオキシエチレン(25モル)硬化ヒマシ油
C−1:数平均分子量3000のポリジメチルシロキサン
C−2:数平均分子量20000のアミノ変性ポリシロキサン
C−3:数平均分子量30000のエポキシ変性ポリシロキサン
C−4:下記の式3で示される繰り返し単位で構成された数平均分子量15000のポリオルガノシロキサン誘導体
【0075】
【式3】
【0076】
C−5:ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とラウリン酸とのモノエステルに更にアジピン酸を反応させたジエステル/ジエチレントリアミン1モルとステアリン酸2モルとのアミド化合物のエチレンオキサイド10モル付加物=60/40(重量比)の混合物
C−6:アジピン酸1.5モルと硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド20モル付加物1モルとの縮合物にオレイン酸ジエタノールアミド0.8モルを反応させた末端アミド化合物/ジエチレントリアミン1モルとステアリン酸2モルとを反応させたアミド化合物のエチレンオキサイド10モル付加物=70/30(重量比)の混合物
【0077】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、炭素繊維の製造において、耐炎化工程での耐炎化繊維相互の融着防止と炭素化工程での焼成炉内汚染物質の発生防止とを同時に且つ充分に図ることができるという効果がある。
Claims (11)
- 潤滑剤と乳化剤とを含有する炭素繊維製造用合成繊維処理剤において、潤滑剤として下記の式1又式2で示されるポリオルガノシロキサン誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上を含有して成ることを特徴とする炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
【式1】
【式2】
{式1、式2において、
R1〜R18:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフロロアルキル基又はフェニル基
A1,A6:炭素数2〜4のアルケニル基
A2〜A5,A7,A8:炭素数1〜4のアルキレン基
B1〜B4:炭素数1〜14の2価の炭化水素基、炭素数2〜10の脂肪族2塩基酸のすべてのカルボキシル基から水素を除いた残基、炭素数8〜12の芳香族2塩基酸のすべてのカルボキシル基から水素を除いた残基、炭素数2〜4のアルカンジオールのすべてのヒドロキシル基から水素を除いた残基、炭素数3〜6のアルカントリオールのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、オキシ基、チオ基、イミノ基、ウレイレン基又はカルバモイル基
X1,X2:−A9−(NH−A10)v−NH2で示されるアミノ変性基
(但し、A9,A10;炭素数2〜5のアルキレン基、v;0又は1)
T1,T2:水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフロロアルキル基又はフェニル基
p,q,s,t:1〜150の整数
r,u:1〜10の整数
m,n:1〜30の整数} - ポリオルガノシロキサン誘導体が、式1で示されるものであって、式1中のR1〜R9がメチル基、B1〜B3が炭素数4〜10の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6のアルカントリオールのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、オキシ基又はイミノ基、pが5〜20、qが5〜50、rが1〜5、nが1〜10である場合のものである請求項1記載の炭素繊維製造用合成維処理剤。
- ポリオルガノシロキサン誘導体が、式2で示されるものであって、式2中のR10〜R18がメチル基、B4が炭素数4〜10の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6のアルカントリオールのヒドロキシル基のうちで2個のヒドロキシル基から水素を除いた残基、オキシ基又はイミノ基、sが5〜20、tが5〜50、uが1〜5、mが1〜10である場合のものである請求項1記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- ポリオルガノシロキサン誘導体が、式1で示されるものであって、式1中のA1,A6がアリル基、A2〜A5がプロピレン基、X1が−A9−(NH−A10)v−NH2で示されるアミノ変性基であり、且つA9がプロピレン基、A10がエチレン基、vが1である場合のものである請求項1又は2記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- ポリオルガノシロキサン誘導体が、式2で示されるものであって、式2中のA7,A8がプロピレン基、T1,T2がメチル基、X2が−A9−(NH−A10)v−NH2で示されるアミノ変性基であり、且つA9がプロピレン基、A10がエチレン基、vが1である場合のものである請求項1又は3記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- ポリオルガノシロキサン誘導体を30〜95重量%含有する請求項1、2、3、4又は5記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- 更に、主鎖がすべてシロキサン単位の繰り返しで構成され、側鎖にポリオキシアルキレン変性基を有する数平均分子量1000〜30000のポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンを含有する請求項6記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンを3〜25重量%含有する請求項7記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤を、炭素繊維製造用合成繊維に対し0.2〜1.5重量%となるよう付着させることを特徴とする炭素繊維製造用合成繊維の処理方法。
- 炭素繊維製造用合成繊維処理剤をその水性液とした後、炭素繊維製造用合成繊維に付着させる請求項9記載の炭素繊維製造用合成繊維の処理方法。
- 炭素繊維製造用合成繊維がアクリル繊維である請求項9又は10記載の炭素繊維製造用合成繊維の処理方法。
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