JP4617016B2 - 固体可塑剤水分散液およびそれを含有する熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

固体可塑剤水分散液およびそれを含有する熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所謂ディレイドタックラベル用途に用いられる固体可塑剤水分散液、熱可塑性樹脂組成物、感熱性粘着剤、感熱性粘着剤積層体及びその製造方法に関し、更に詳しくは、固体可塑剤の保存安定性が良好な固体可塑剤水分散液及びそれを含有する熱可塑性樹脂組成物と、該熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、常温では粘着性を有さず、加熱によって粘着性を発現する感熱性粘着剤、感熱性粘着剤積層体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、瓶、ペットボトル等の容器に貼付するラベルとして、ラベル基材上に粘着剤を塗工すると同時に容器に貼付するグルーラベルや、ラベル基材上に粘着剤及び剥離紙を順次形成した粘着ラベル等が使用されている。
しかし、グルーラベルは、粘着剤の粘度の管理や粘着剤を塗工する機械の清掃等の手間を要するため、最近ではあまり好まれないのが実状である。また、剥離紙を形成した粘着ラベルは、ラベルから剥がした大量の剥離紙がゴミとして発生するため、その処分に手間を要するとともに、資源の節減の観点からも好ましくない。
【0003】
このような問題を解決するラベルとして、ディレイドタックラベルと称されるものが知られている。ディレイドタックラベルは、常温では非粘着性であるが加熱によって粘着性を発現する感熱性粘着剤の層をラベル基材上に形成したものであり、剥離紙が不要で、しかも加熱するだけで容易に容器に貼付することができるという利点を有している。
ディレイドタックラベルは、通常、ガラス転移温度が0〜30℃程度のバインダー樹脂層に、固体可塑剤の粒子と、必要に応じて粘着付与剤の粒子とを散在させ、加熱によって固体可塑剤を溶融し、これによってバインダー樹脂を可塑化して粘着性を発現させるものである。
固体可塑剤としては、例えばジシクロヘキシルフタレートがよく知られている(特開昭61−9479号公報、特開平7−278521号公報、特開平7−145352号公報、特開平8−333565号公報など)。
【0004】
上述のようなディレイドタックラベルは、最近ではエマルジョン型の感熱性粘着剤を基材の裏面に塗工した後、乾燥のための加熱工程を経て製造されることが多い。その場合の加熱温度は、粘着剤層の形成段階でジシクロヘキシルフタレートが溶融して粘着性が発現してしまわないように、45℃以下の低温であることが必要とされている。
しかし、このような低温の加熱では、加熱乾燥工程に時間を要するため、ディレイドタックラベルの生産性が低下してしまうという問題点がある。また、ディレイドタックラベルでは、剥離紙を使用していないため、重ねたまま、例えば夏場の高温下で長期間保存すると、ジシクロヘキシルフタレートによるバインダー樹脂の可塑化が徐々に起こり、ラベル同士が互いに付着する所謂ブロッキングが起こってしまう。そのため、このようなブロッキングを防止する保冷設備が必要となるという問題点がある。また、従来のディレイドタックラベルでは、接着強度及び透明性が短期間のうちに消失するという問題も有している。
【0005】
特開平8−325535号公報には、耐ブロッキング性を向上させるため、固体可塑剤として、平均粒子径が4μm以下のフタル酸ジシクロヘキシル(ジシクロヘキシルフタレート)と、融点が70℃以上であり平均粒子径が4〜10μmであるN−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミドなどの固体可塑剤とを併用した感熱性粘着シートが開示されている。また、特開平9−67551号公報には、耐ブロッキング性を高めるため、固体可塑剤として25℃で固体のベンゼンジカルボン酸エステルを2種以上用いることが提案されている。さらに、特開平9−169870号公報には、従来の感熱性ディレイドタック型粘着性熱可塑性樹脂組成物の耐ブロッキング性と接着性とのバランスを改良するため、トリベンジルトリメリテートなどの結晶化遅延剤が開示されている。
しかし、これらの固体可塑剤や結晶化遅延剤を用いても、耐ブロッキング性や、接着強度及び透明性の持続性の点で必ずしも十分満足できる結果は得られていない。
【0006】
一方、特開2000−103969号公報などには、接着性が高く、耐ブロッキング性に優れたものにするため、固体可塑剤として、特定のリン化合物を用いた熱可塑性樹脂組成物や感熱性粘着シートが提案されている。
しかし、この固体可塑剤としての特定のリン化合物は、水に対する分散性が悪くて、すなわち保存安定性が悪くて、取扱性や品質管理上の問題があり、結果として、熱可塑性樹脂組成物や感熱性粘着剤などの耐ブロッキング性や接着強度等に悪影響を及ぼすという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、感熱性粘着剤を基材上に塗工して感熱性粘着剤積層体を製造する際、より高い温度で加熱乾燥を行うことができるとともに、高い接着性を長期間持続でき、しかも耐ブロッキング性に優れる熱可塑性樹脂組成物や感熱性粘着剤を提供することにある。本発明の他の目的は、原料として用いる固体可塑剤の保存安定性が良好な固体可塑剤水分散液を提供することと、製品の生産性が高く、接着性の持続性に優れ、しかも長期間保存してもブロッキングが生じない感熱性粘着剤積層体とその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、固体可塑剤として特定のリン化合物を用い、分散剤として特定のアニオン系界面活性剤を選択すると、固体可塑剤の水への分散性を非常に高めることができ、その結果水分散性と保存安定性に優れた固体可塑剤水分散液が得られることを見出し、さらに、熱可塑性樹脂組成物に、上記の固体可塑剤水分散液を用いると、熱可塑性樹脂の可塑化が起こり始める温度を高めることができ、さらに、一旦溶融した固体可塑剤の再結晶化を防止又は遅延することができ、結果として、ラベル貼付などを行う温度では、すなわち加熱時には、十分に粘着性が発現されるだけでなく、発現した後では、高い接着性を長期間保持できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記一般式(1)又は(2)で表される固体リン化合物からなる固体可塑剤(A)と、下記一般式(3)若しくは(4)で表されるポリオキシエチレンポリアラルキルフェニルエーテル硫酸塩又は下記一般式(5)若しくは(6)で表されるポリオキシエチレンポリアラルキルフェニルエーテルリン酸塩からなるアニオン系界面活性剤(B)と、水とを含有する固体可塑剤水分散液であって、固体可塑剤(A)が固形分濃度で少なくとも45重量%含有されることを特徴とする固体可塑剤水分散液が提供される。
【0010】
【化3】
Figure 0004617016
【0011】
(式中、R〜Rはそれぞれ炭化水素基又は複素環式基を示し、Aは2価の炭化水素基又は複素環式基を示し、kは0又は1を示し、mは0〜3の整数を示す。但し、RとRとA(m=1〜3のとき)、RとRとA(m=1〜3のとき)、RとRとR(m=0のとき)、RとRとRは、それぞれ2以上の基が互いに結合してリン原子を含む環を形成していてもよい)
【0012】
【化4】
Figure 0004617016
【0013】
(式中、Rはアラルキル基を示し、Mはアルカリ金属を示し、Rは水素、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示し、mは1〜5の整数を示し、nは10〜20の整数を示す。)
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、アニオン系界面活性剤(B)は、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテル硫酸ナトリウムであることを特徴とする固体可塑剤水分散液が提供される。
【0014】
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明の固体可塑剤水分散液に、熱可塑性樹脂(C)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、さらに、固体可塑剤(D)として、オキシベンゼン誘導体又はフタル酸エステル類から選択される少なくとも1種の化合物を配合してなる熱可塑性樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第3又は4の発明において、固体可塑剤(A)又は(A)+(D)の含有量が、熱可塑性樹脂(C)100重量部に対して30〜1000重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
さらにまた、本発明の第6の発明によれば、第3〜5のいずれかの発明において、さらに、粘着付与剤(E)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第3〜6のいずれかの発明において、熱可塑性樹脂(C)が、水に分散した水性組成物であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0015】
さらに、本発明の第8の発明によれば、第3〜7のいずれかの発明の熱可塑性樹脂組成物を含有することを特徴とする感熱性粘着剤が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明の感熱性粘着剤が、基材の少なくとも一方の面にコーティングされていることを特徴とする感熱性粘着剤積層体が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、感熱性粘着剤積層体が、テープ又はシートであることを特徴とする感熱性粘着剤積層体が提供される。
【0016】
また、本発明の第11の発明によれば、基材の少なくとも一方の面に、第8の発明の感熱性粘着剤をコーティングして粘着剤層を形成することを特徴とする感熱性粘着剤積層体の製造方法が提供される。
【0017】
本発明は、上記した如く、固体可塑剤水分散液やそれを含有する熱可塑性樹脂組成物、及び感熱性粘着剤積層体などに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)第1の発明において、アニオン系界面活性剤(B)は、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテル硫酸カリウムであることを特徴とする固体可塑剤水分散液。
(2)第1の発明において、アニオン系界面活性剤(B)は、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテル硫酸トリエタノールアミンであることを特徴とする固体可塑剤水分散液。
(3)第1の発明において、アニオン系界面活性剤(B)は、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテルリン酸ナトリウムであることを特徴とする固体可塑剤水分散液。
(4)第1の発明において、アニオン系界面活性剤(B)は、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテルリン酸カリウムであることを特徴とする固体可塑剤水分散液。
(5)第1の発明において、アニオン系界面活性剤(B)は、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテルリン酸トリエタノールアミンであることを特徴とする固体可塑剤水分散液。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の固体可塑剤水分散液や熱可塑性樹脂組成物などについて、詳細に説明する。
1.固体可塑剤水分散液(a)
本発明の固体可塑剤水分散液(a)は、特定の固体リン化合物からなる固体可塑剤(A)と、特定のアニオン系界面活性剤(B)と、水とを含有するものであって、該固体リン化合物を固形分濃度で45重量%以上含有することを特徴とするものである。
【0019】
(1)固体可塑剤(A)
本発明の固体可塑剤水分散液に係る固体可塑剤(A)は、下記一般式(1)又は(2)で表される固体リン化合物を用いるものである。
【0020】
【化5】
Figure 0004617016
【0021】
(式中、R〜Rはそれぞれ炭化水素基又は複素環式基を示し、Aは2価の炭化水素基又は複素環式基を示し、kは0又は1を示し、mは0〜3の整数を示す。但し、RとRとA(m=1〜3のとき)、RとRとA(m=1〜3のとき)、RとRとR(m=0のとき)、RとRとRは、それぞれ2以上の基が互いに結合してリン原子を含む環を形成していてもよい)
【0022】
また、前記一般式(1)で表される化合物には、下記一般式(1a)、(1b)及び(1c)で表される化合物が含まれる。
【0023】
【化6】
Figure 0004617016
【0024】
(式中、R、R、R、R、R1a、R3a、R4aは、それぞれ炭化水素基又は複素環式基を示し、Aは、2価の炭化水素基又は複素環式基を示し、kは0又は1を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、R1a、R3a及びR4aは、同時にフェニル基又は4−t−ブチルフェニル基ではない。一般式(1a)におけるRとRとA、RとRとA、一般式(1b)におけるR1aとR3aとR4a、一般式(1c)におけるRとRとRは、それぞれ2以上の基が互いに結合してリン原子を含む環を形成していてもよい。)
【0025】
前記R〜R、R1a、R3a、R4aにおける炭化水素基には、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び脂肪族炭化水素基が含まれる。これらの炭化水素基には、置換基を有していてもよい。
【0026】
前記芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル基などが挙げられ、代表的な例として、フェニル基;2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル基などのハロゲン原子を有するフェニル基;2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−エチルフェニル、4−t−ブチルフェニル基などC1〜4アルキル基を有するフェニル基などが挙げられる。
【0027】
また、前記脂環式炭化水素基には、▲1▼シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などのシクロアルキル基;▲2▼シクロペンテニル、シクロへキセニル基などのシクロアルケニル基;▲3▼ノルボルニル、ビシクロ[4.3.0]ノニル、アダマンチル基などの橋かけ環炭化水素基などが含まれる。脂環式炭化水素基の代表的な例として、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへキセニル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、3−オキソ−1,5,5−トリメチルシクロヘキシル、6−オキソ−2,4,4−トリメチル−1−シクロへキセニル、1,7,7−トリメチルノルボルナン−2−イル基などが挙げられる。
【0028】
前記脂肪族炭化水素基としては、▲1▼メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜12程度のアルキル基;▲2▼ビニル、アリル、1−へキセニル基などの炭素数2〜12程度のアルケニル基;▲3▼エチニル、プロピニル基などの炭素数2〜12程度のアルキニル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基の代表的な例として、ベンジル、2−メチルフェニルメチル、2−フェニルエチル基などのアリール基が結合したアルキル基(アラルキル基)などが挙げられる。
【0029】
前記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素原子などのハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル基などのC1〜4アルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などのアリール基;メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ基などのC1〜4アルコキシ基;フェニルオキシ基などのアリールオキシ基;メトキシカルボニル基などのC1〜4アルコキシカルボニル基;アセチル、ベンゾイル基などのアシル基;アセチルオキシ基などのアシルオキシ基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;カルボキシル基;オキソ基などが例示できる。
【0030】
また、前記R〜R、R1a、R3a、R4aにおける複素環式基には、2−フリル、モルホニル、テトラヒドロピラニル基などの酸素原子含有複素環式基;2−チエニル基などのイオウ原子含有複素環式基;1−ピロリル、2−ピリジル、ピペリジノ、2−キノリル基などの窒素原子含有複素環式基などが含まれる。これらの複素環式基は、置換基を有していてもよい。前記置換基としては、前記炭化水素基において例示した置換基などが挙げられる。
【0031】
前記Aにおける2価の炭化水素基には、2価の芳香族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基及び2価の脂肪族炭化水素基が含まれる。これらの炭化水素基は、酸素原子、イオウ原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基などの連結基を介して又は介することなく2以上結合していてもよく、また置換基を有していてもよい。置換基としては、前記R〜R等における炭化水素基が有していてもよい置換基として例示した基が挙げられる。
【0032】
2価の芳香族炭化水素基として、例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、ビフェニレンなどが挙げられる。2価の脂環式炭化水素基として、シクロヘキシリデン、1,2−シクロペンチレン、1,2−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−シクロへキシレンなどのシクロアルキレン基;2−シクロヘキセン−1,4−ジイル基などのシクロアルケニレン基;アダマンタン−1,3−ジイル基などの2価の橋かけ環式基などが挙げられる。
また、2価の脂肪族炭化水素基には、メチレン、エチレン、トリメチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、テトラメチレン基などの炭素数1〜6程度のアルキレン基;プロペニレン基などの炭素数2〜6程度のアルケニレン基;プロピニレン基などの炭素数2〜6程度のアルキニレン基などが挙げられる。
【0033】
前記Aにおける2価の炭化水素基の代表的な例として、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、1,1−ジフェニルエタン−4′,4″−ジイル、2,2−ジフェニルプロパン−4′,4″−ジイル、2,2−ジフェニルブタン−4′,4″−ジイル、4,4′−ビフェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,5,5−トリメチルシクロヘキサン−1,3−ジイル、6−オキソ−2,4,4−トリメチルシクロヘキサン−1,2−ジイル、−CH−1,4−シクロへキシレン−CH−、1,1−ジシクロヘキシルエタン−4′,4″−ジイル、2,2−ジシクロヘキシルプロパン−4′,4″−ジイル、2,2−ジシクロヘキシルブタン−4′,4″−ジイル、アダマンタン−1,3−ジイル、5,7−ジメチルアダマンタン−1,3−ジイル、トリメチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、テトラメチレン基などが例示できる。
【0034】
前記Aにおける2価の複素環式基には、多価の複素環式アルコール又はフェノール(例えば、イソソルバイド、イソマンナイド、スクロース、ラクトースなどの糖類)から2つのヒドロキシル基を除いた2価の基が含まれる。これらの複素環式基は、酸素原子、イオウ原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基などの連結基を介して又は介することなく2以上結合していてもよく、また置換基を有していてもよい。置換基としては、前記R〜R等における炭化水素基が有していてもよい置換基として例示した基が挙げられる。また、前記2価の炭化水素基と2価の複素環式基とが、前記連結基を介して又は介することなく結合していてもよい。
【0035】
前記一般式(1a)において、R〜Rの少なくとも1つ(特に、R〜Rのすべて)が芳香族炭化水素基であるのが好ましい。また、好ましいAには、1,3−フェニレン基などの少なくとも2価の芳香族炭化水素基部を含む2価の炭化水素基、−CH−1,4−シクロへキシレン−CH−基などの少なくとも2価の脂環式炭化水素基部を含む2価の炭化水素基が含まれる。nは1又は2、特に1であるのが好ましい。
【0036】
一般式(1a)で表されるリン化合物の具体例として、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールビス(ジフェニルホスフェート)(融点:97℃)、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート](融点:95℃)などの二リン酸エステル類などが挙げられる。
【0037】
一般式(1b)で表される好ましい化合物には、R1aとR3aとR4aが何れも芳香族炭化水素基又はアラルキル基である化合物、及びR1aとR3aとR4aのうち2以上の基が互いに結合してリン原子を含む環を形成した環状リン酸エステル類などが含まれる。
【0038】
一般式(1b)で表される化合物(リン酸エステル類)の具体例として、例えば、トリ(4−メチルフェニル)ホスフェート(融点:78℃)などのトリ(メチルフェニル)ホスフェートなどのリン酸トリアリールエステル類、トリベンジルホスフェート(融点:65℃)などのリン酸トリアラルキルエステル類、下記構造式(7)で表される化合物(融点:95〜110℃)などの、リン原子を環の構成原子として含む環状リン酸エステル類などが挙げられる。
【0039】
【化7】
Figure 0004617016
【0040】
前記一般式(1c)において、R〜Rは、何れも芳香族炭化水素基又はアラルキル基であるのが好ましい。一般式(1c)で表される化合物(亜リン酸エステル類)の具体例としては、例えば、トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスファイト(融点:75℃)などの亜リン酸トリアリールエステルなどが挙げられる。
【0041】
前記一般式(2)において、R〜Rは、好ましくは芳香族炭化水素基である。一般式(2)で表される化合物の具体例として、例えば、トリフェニルホスフィン(融点:80℃)、トリ(3−メチルフェニル)ホスフィン(融点:100℃)などのトリアリールホスフィン類が挙げられる。
【0042】
上記リン化合物は、周知或いは公知の方法により得ることができる。例えば、リン酸エステル類は、オキシ塩化リン、アリールジクロロホスフェートなどのジクロロリン酸モノエステル、又はジアリールクロロホスフェートなどのクロロリン酸ジエステルと目的化合物に対応するヒドロキシル基含有化合物(アルコール又はフェノール)とを、必要に応じてピリジンなどの塩基の存在下で反応させることにより得ることができる。なお、リン原子を環の構成原子として含む環状リン酸エステル類は、前記ヒドロキシル基含有化合物として、2価以上、好ましくは3価以上(例えば3又は4価)のヒドロキシル基含有化合物[例えば、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、ペンタエリスリトールなど]を用いることにより製造することができる。
【0043】
(2)アニオン系界面活性剤(B)
本発明の固体可塑剤水分散液に係るアニオン系界面活性剤(B)は、下記一般式(3)若しくは(4)で表されるポリオキシエチレンポリアラルキルフェニルエーテル硫酸塩、又は下記一般式(5)若しくは(6)で表されるポリオキシエチレンポリアラルキルフェニルエーテルリン酸塩を用いるものであり、前記した固体リン化合物からなる固体可塑剤を水に分散させる分散剤として機能するものである。
固体リン化合物からなる固体可塑剤を水に分散させる分散剤としては、種々の化合物を検討した中で、特に特定のアニオン系界面活性剤が、すなわち下記一般式(3)若しくは(4)で表されるポリオキシエチレンポリアラルキルフェニルエーテル硫酸塩、又は下記一般式(5)若しくは(6)で表されるポリオキシエチレンポリアラルキルフェニルエーテルリン酸塩が、固体リン化合物を固形分濃度で45重量%以上の高濃度であっても、良好に水に分散させることができる。
【0044】
【化8】
Figure 0004617016
【0045】
(式中、Rはアラルキル基を示し、Mはアルカリ金属を示し、Rは水素、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示し、mは1〜5の整数を示し、nは10〜20の整数を示す。)
一般式(3)又は(4)で表されるポリオキシエチレンポリアラルキルフェニルエーテル硫酸塩としては、例えば具体的な化合物名で示すと、一般式(3)では、Mがアルカリ金属のナトリウム又はカリウムなどであり、アラルキル基がメチルベンジル基である、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテル硫酸ナトリウムやポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテル硫酸カリウムなどが挙げられ、一般式(4)では、アラルキル基がメチルベンジル基であり、Rがヒドロキシアルキル基のCOH基である、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。特にポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。
また、一般式(5)又は(6)で表されるで表されるポリオキシエチレンポリアラルキルフェニルエーテルリン酸塩としては、例えば具体的な化合物名で示すと、一般式(5)では、Mがアルカリ金属のナトリウム又はカリウムなどであり、アラルキル基がメチルベンジル基である、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテルリン酸ナトリウムやポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテルリン酸カリウムなどが挙げられ、一般式(6)では、アラルキル基がメチルベンジル基であり、Rがヒドロキシアルキル基のCOH基である、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテルリン酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。特にポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテルリン酸ナトリウムが好ましい。
【0046】
本発明の固体可塑剤水分散液に対して、前記の固体リン化合物を固形分濃度で45重量%以上を安定的に分散し含有させるために、固体可塑剤(A)である固体リン化合物100重量部に対してアニオン系界面活性剤(B)を2〜10重量部配合するとよい。
【0047】
特定の固体リン化合物に対して、特定構造のアニオン系界面活性剤が水中で安定的に高い分散性を発揮するメカニズムは、明確ではないが、水中でアニオン系界面活性剤がナトリウムやトリエタノールアミンなどの親水基と、その他のアニオン性の親油基に解離して、特定の固体リン化合物と解離したアニオン性の親油基との会合や結合力が強くて高い分散性を発揮するものと推察している。
【0048】
2.熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、バインダー樹脂としての熱可塑性樹脂(C)と、固体可塑剤とを主成分として配合し、該固体可塑剤として、前記の特定の固体可塑剤(A)水分散液を用いるものであり、また、固体可塑剤として、該固体可塑剤(A)水分散液以外の他の固体可塑剤(D)と併用してもよく、さらに、必要に応じて粘着付与剤(E)を含有するものである。前述したように、バインダー樹脂としての熱可塑性樹脂に、固体可塑剤と、必要に応じて粘着付与剤とを散在させ、加熱によって固体可塑剤を溶融し、これによってバインダー樹脂を可塑化して粘着性を発現させることができる。
【0049】
(1)熱可塑性樹脂(C)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂(C)は、可塑化して粘着性を発現させることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、▲1▼(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ビニルピロリドン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合体などの(メタ)アクリル酸又はそのエステルを単量体として含むアクリル系重合体;▲2▼酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニルを単量体として含む酢酸ビニル系重合体;▲3▼スチレン−ブタジエン共重合体、イソブチレン樹脂、イソブチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン樹脂、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの合成ゴム;▲4▼天然ゴム;▲5▼その他、エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ビニルビロリドン−スチレン共重合体、塩素化プロピレン樹脂、ウレタン樹脂、エチルセルロースなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
好ましい熱可塑性樹脂には、アクリル系重合体[例えば、(メタ)アクリル酸エステルを単量体として含むアクリル系共重合体]、酢酸ビニル系重合体、合成ゴム、天然ゴムなどが挙げられる。アクリル系重合体の中でも、特に、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体(例えば、アクリル酸C2−10アルキルエステル−メタクリル酸C1−4アルキルエステル共重合体)、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(例えば、アクリル酸C2−10アルキルエステル−メタクリル酸C1−4アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体)、アクリル酸エステル−スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(例えば、アクリル酸C2−10アルキルエステル−スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体)等のアクリル酸エステル(例えば、アクリル酸C2−10アルキルエステル)とメタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸C1−4アルキルエステル)又はスチレンとをコモノマーとして含むアクリル系共重合体などが好ましい。
【0051】
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、被着物の種類等を考慮し、感熱性粘着テープ又は感熱性粘着シートなどとした場合の接着性及び耐ブロッキング性を損なわない範囲で適宜選択でき、通常、−10〜70℃程度であり、好ましくは0〜30℃程度である。ガラス転移温度が−10℃未満の場合には、耐ブロッキング性が低下しやすい。一方、ガラス転移温度が高すぎると、接着性が低下しやすくなる。
【0052】
(2)固体可塑剤(A又はAとD)
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、固体可塑剤として、前記した特定のリン化合物を含有する固体可塑剤(A)水分散液を用いることに、最大の特徴がある。また、固体可塑剤として、該固体可塑剤水分散液以外の他の固体可塑剤(D)と併用してもよい。
本発明者らは、ディレイドタックラベルに代表されるディレイドタック粘着性発現機構を考察した結果、用いる固体可塑剤を、上記のようなものにすることにより、粘着性が発現した後、可塑剤が再結晶せず、又は再結晶化が遅延し、その結果、粘着性が粘着性発現時の如く持続することを見出している。
【0053】
本発明において、固体可塑剤(A)水分散液と併用することができる他の固体可塑剤(D)は、オキシベンゼン誘導体又はフタル酸エステル類から選択される少なくとも1種の化合物である。
【0054】
オキシベンゼン誘導体としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール及びこれらの誘導体が挙げられる。この誘導体としては、ベンゼン環がメチル基などの1〜4個のアルキル基で置換されたアルキル置換体、2つのヒドロキシル基のうち少なくとも1つのヒドロキシル基がエーテル化されたモノ又はジエーテル体(例えば、メチルエーテルなどのモノ又はジアルキルエーテル体、フェニルエーテルなどのモノ又はジアリールエーテル体など)、2つのヒドロキシル基のうち少なくとも1つのヒドロキシル基がエステル化されたモノ又はジエステル体(例えば、酢酸エステルなどの脂肪族カルボン酸モノ又はジエステル体、安息香酸エステルなどの芳香族カルボン酸モノ又はジエステル体など)などが挙げられる。前記エーテル体、エステル体において、ベンゼン環はメチル基等のアルキル基などの置換基で置換されていてもよい。
【0055】
好ましいオキシベンゼン誘導体には、▲1▼ベンゼン環がアルキル基で置換されていてもよいハイドロキノン若しくはレゾルシノールと、又は▲2▼ベンゼン環がアルキル基で置換されたカテコールと、▲3▼有機一塩基酸とのジエステル化合物(▲1▼と▲3▼、▲2▼と▲3▼)が挙げられる。
前記アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの炭素数1〜6程度のアルキル基などが挙げられる。なかでも、メチル基などの炭素数1〜4程度のアルキル基が好ましい。ハイドロキノン又はレゾルシノールにおけるベンゼン環上のアルキル基の置換数は0、又は1〜4(好ましくは1〜3、さらに好ましくは2又は3)である。また、カテコールのベンゼン環上のアルキル基の置換数は1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは2又は3である。アルキル基の置換数が複数であるとき、該アルキル基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
▲1▼ベンゼン環がアルキル基で置換されていてもよいハイドロキノン若しくはレゾルシノール、又は▲2▼ベンゼン環がアルキル基で置換されたカテコール成分において、ベンゼン環にはアルキル基以外の置換基が結合していてもよい。このような置換基として、例えば、フッ素、塩素、臭素原子などのハロゲン原子;ヒドロキシル基;メトキシ、エトキシ基などのアルコキシ基(例えば、C1−4アルコキシ基);フェノキシ基などのアリールオキシ基;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基;アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基などのアシル基;カルボキシル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;シアノ基;ニトロ基などが挙げられる。また、前記ベンゼン環には、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、テトラヒドロフラン環などの3〜8員程度の芳香族性又は非芳香族性の炭素環又は複素環が縮合していてもよい。
【0056】
前記▲1▼ベンゼン環がアルキル基で置換されていてもよいハイドロキノン若しくはレゾルシノールとしては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、レゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、2,5−ジメチルレゾルシノール、4,6−ジメチルレゾルシノール、2,4,6−トリメチルレゾルシノールなどが例示できる。また、▲2▼ベンゼン環がアルキル基で置換されたカテコールとしては、例えば、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、トリメチルカテコールなどが挙げられる。
【0057】
前記▲3▼有機一塩基酸には、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式の一塩基酸(カルボン酸、スルホン酸など)が含まれる。これらのなかでも、脂肪族、脂環式又は芳香族モノカルボン酸が好ましい。
前記脂肪族モノカルボン酸として、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸などの炭素数1〜6程度の脂肪族モノカルボン酸(好ましくは炭素数1〜4程度の脂肪族モノカルボン酸、特に酢酸)などが例示できる。また、脂環式モノカルボン酸として、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸などの3〜8員程度のシクロアルカンカルボン酸などが挙げられる。芳香族カルボン酸には、例えば、安息香酸、トルイル酸、ナフトエ酸などの、芳香環にアルキル基(炭素数1〜4程度のアルキル基など)、アルコキシ基(炭素数1〜4程度のアルコキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素原子など)などの置換基を1又は2以上有していてもよい芳香族カルボン酸などが含まれる。
【0058】
前記ジエステル化合物の代表的な化合物として、ハイドロキノンジアセテート(融点:123℃)、トリメチルハイドロキノンジアセテート(融点:109℃)、3,4,5−トリメチルカテコールジアセテート(融点:120℃)などが例示される。
上記ジエステル化合物は、例えば、前記▲1▼又は▲2▼成分と前記▲3▼有機一塩基酸又はその反応性誘導体(例えば、酸ハライド、活性エステル、酸無水物など)とを、必要に応じて酸触媒又は塩基の存在下、公知のエステル化法に準じて反応させることにより得ることができる。
また、3,4,5−トリメチルカテコールと有機一塩基酸とのジエステル化合物は、酸触媒の存在下、2,6,6−トリメチルシクロヘキセ−2−エン−1,4−ジオン(ケトイソホロン)と前記有機一塩基酸に対応するアシル化剤(酸無水物、アシルハライド、エノールエステル類など)とを反応させることにより得ることができる。
【0059】
なお、3,4,5−トリメチルカテコールと有機一塩基酸とのジエステル化合物を、酸、例えば前記プロトン酸や固体酸触媒の存在下、水と反応させることにより、3,4,5−トリメチルカテコールを得ることができる。この場合、水は、通常、ジエステル化合物に対して過剰量用いられる。この加水分解反応における反応温度は、例えば40〜100℃程度である。生成した3,4,5−トリメチルカテコールは、例えば分離精製手段により単離できる。
【0060】
オキシベンゼン誘導体には、例えば、カテコール、カテコールジアセテート、カテコールジベンゾエート、カテコールモノフェニルエーテル、カテコールジフェニルエーテルなども含まれる。
【0061】
オキシベンゼン誘導体の融点は、例えば50〜160℃程度であってもよいが、好ましくは90〜130℃程度である。オキシベンゼン誘導体の融点が低すぎると耐ブロッキング性が低下しやすく、逆に高すぎると溶融するのに時間がかかり、生産性が低下したり、基材が変質したりするおそれがある。オキシベンゼン誘導体は、1種又は2種以上混合して使用できる。
【0062】
一方、フタル酸エステル類としては、従来から用いられてきたディレイドタック用の固体可塑剤であるジシクロヘキシルフタレート(融点61℃)や、フタル酸(テレフタル酸、イソフタル酸)、置換基を有するフタル酸、及びそれらの無水物と、アルコールとのジエステルが挙げられる。耐ブロッキング性の向上のために、融点が70〜160℃のものが好ましく、より好ましくは90〜130℃のものである。ジエステル化合物の融点が70℃未満であると、耐ブロッキング性が低下し易く、一方、160℃を超えると、溶融するのに時間がかかり、生産性が低下したり、基材が変質したりする恐れがある。
【0063】
ジエステルにおけるアルコールとしては、置換基を有するシクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を有するアルコールや、6員炭素環を含む橋かけ環、例えばノルボルナン環、ノルボルネン環、アダマンタン環などを有するアルコールが好ましい。中でも3,3,5−トリメチルシクロヘキサノールが、粘着性の発現温度及び耐ブロッキング性の観点から好ましい。
【0064】
フタル酸エステル類の具体的なものとしては、例えば、下記構造式(8)で示されるビス(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレートなどが挙げられる。
【0065】
【化9】
Figure 0004617016
【0066】
フタル酸エステル類の他の例示としては、例えば、▲1▼フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジナフチル等のフタル酸エステル類;▲2▼イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジベンジル、イソフタル酸ジジシクロヘキシル等のイソフタル酸エステル類;▲3▼テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジジシクロヘキシル等のテレフタル酸エステル類等が挙げられる。
【0067】
本発明において、固体可塑剤(A)水分散液と併用することができる他の固体可塑剤(D)としては、上記のオキシベンゼン誘導体又はフタル酸エステル類から選択される少なくとも1種の化合物であるが、オキシベンゼン誘導体を用いるのがより好ましい。
【0068】
本発明において、固体可塑剤(A)水分散液と、上記のオキシベンゼン誘導体又はフタル酸エステル類から選択される少なくとも1種の化合物である固体可塑剤(D)を併用する場合、その併用割合は、(A)(但し、固形分として)/(D)(重量比)=1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは10/90〜90/10、特に20/80〜80/20(例えば30/70〜70/30)程度である。
【0069】
また、本発明において、固体可塑剤(A、又はAとD)(但し、固形分として)の含有量は、熱可塑性樹脂(C)100重量部に対して、例えば30〜1000重量部、好ましくは100〜1000重量部、さらに好ましくは150〜900重量部、特に200〜800重量部程度である。固体可塑剤の含有量が30重量部より少ないと、加熱時に十分な粘着性が発現しない場合が生じ、また、1000重量部よリ多いと、凝集力が低下し十分な接着強度が発現しないことがある。
【0070】
本発明の感熱性粘着剤組成物は、上記のように特定の固体可塑剤を含有しているので、粘着性を発現する温度が高く、ラベルの貼付温度では溶融して容易に可塑化されるだけでなく、固体可塑剤の再結晶化が遅延され、接着性が長期に亘って持続する。
【0071】
(3)粘着付与剤(E)
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて粘着付与剤(E)を含有してもよい。使用し得る粘着付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン及びそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)、キシレン樹脂等の樹脂類を挙げることができる。これらの粘着付与剤は、2種以上併用してもよい。
【0072】
粘着付与剤(E)の含有量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂(C)と前記固体可塑剤(A、又はAとD)との組合せに応じて適宜選択でき、通常、熱可塑性樹脂(C)100重量部に対して10〜600重量部程度であり、20〜500重量部程度が好ましい。
【0073】
(4)その他添加剤
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記粘着付与剤(E)の他に、特性を損なわない範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、帯電防止剤、ブロッキング防止剤(無機粒子、有機粒子等)を添加してもよい。
【0074】
3.感熱性粘着剤(感熱性粘着剤層)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、基材の少なくとも一方の面に、感熱性粘着剤層を形成(塗工、積層)することにより、感熱性粘着剤積層体である感熱性粘着テープ又は粘着シート等が得られる。すなわち、感熱性粘着剤層は、上記の熱可塑性樹脂(C)、固体可塑剤(A、又はAとD)、及び、更に所望により、粘着付与剤(E)や他の添加剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を、基材上に塗工(コーティング)することにより形成できる。例えば、熱可塑性樹脂が水に分散している水性組成物を塗工したり、熱可塑性樹脂組成物を有機溶剤に溶解させて塗工したり、或いは熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融して塗工することにより感熱性粘着剤層を形成できる。これらの中でも、熱可塑性樹脂が水に分散している水性組成物を塗工する方法が好ましい。
【0075】
熱可塑性樹脂組成物の分散に用いることができる分散剤としては、特に限定されるものではなく、従来よリ公知のアニオン系、ノニオン系分散剤等の何れをも使用することができる。アニオン系分散剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等を挙げることができ、これらの中でもカルボン酸アンモニウム塩が好ましい。ノニオン系分散剤としては、ポリエチレングリコール型のもの、多価アルコール型のものなどを挙げることができる。
【0076】
水性組成物の調製法も、従来より公知の各種の方法を採用することができる。
例えば、調製法として、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分を予め混合した後に水に分散させる方法、熱可塑性樹脂エマルジョン又は粘着付与剤エマルジョンに、固体可塑剤水分散液や併用する固体可塑剤を分散させた後にこれらのエマルジョンを混合する方法、固体可塑剤水分散液や併用する固体可塑剤を水に分散させておき、この分散液に熱可塑性樹脂エマルジョン及び粘着付与剤エマルジョンを混合する方法等が挙げられる。固体可塑剤をエマルジョン又は水に分散させる方法としては、固体可塑剤水分散液を用いる方法、溶融させた固体可塑剤を分散させる方法、固体可塑剤を微粉末にしながら分散させる方法、及び微粉末にした固体可塑剤を分散させる方法等を例示することができる。
【0077】
なお、熱可塑性樹脂エマルジョンは、乳化重合により調製してもよく、また、乳化重合以外の方法により重合体を得た後、必要に応じて添加剤を用いることによりエマルジョン化して調製してもよい。例えば、水溶性の有機溶剤(例えば、イソプロピルアルコールなどのアルコールなど)の存在下で重合した重合体を含む有機溶液に添加剤(例えば、乳化剤、pH調整剤、酸など)を添加した後、水を添加してエマルジョン化し、その後、有機溶剤を除去することにより熱可塑性樹脂エマルジョンを調製することができる。
【0078】
水性組成物中の固体可塑剤の平均粒子径は、好ましくは0.5〜20μm程度であり、さらに好ましくは1〜15μm程度である。平均粒子径が0.5μmよリ小さいと耐ブロッキング性が低下したり、粉砕に時間を要して生産性が低下するおそれがある。平均粒子径が20μmを超えると塗工面がざらつき、ラベルとしたときの品質が低下するおそれがある。
【0079】
熱可塑性樹脂組成物の塗工(コーティング)方法としては、例えばロールコーター、エヤナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビアコーター、シルクスクリーンコーター等を用いた方法を挙げることができる。感熱性粘着剤層は、グラビア印刷機などを用いた印刷により形成することもできる。感熱性粘着剤層の厚みは、例えば4〜20μm、好ましくは5〜15μmである。
【0080】
4.基材
本発明における基材は、特に限定されず、紙、塗工紙、プラスチックシート又はフィルム、ガラス等を挙げることができ、好ましくは透明なプラスチックシート又はフィルムである。
プラスチックシート又はフィルムを構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等)、ポリカーボネート、ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミド6/10、ポリアミド6/12等)、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエステル等が挙げられ、更にこれらの共重合体、ブレンド物、架橋物を用いてもよい。基材は単層であっても、複層であってもよい。
【0081】
5.感熱性粘着剤積層体
本発明において、基材の少なくとも一方の面に、感熱性粘着剤層を形成(塗工、積層)した感熱性粘着剤積層体は、感熱性粘着テープや感熱性粘着シートなどとして用いられる。
本発明の感熱性粘着剤積層体は、固体可塑剤として、特定の固体リン化合物を特定のアニオン系界面活性剤で分散した固体可塑剤分散液を用いることにより、粘着性が発現した後、固体可塑剤が再結晶せず、又は再結晶化が遅延し、その結果、粘着性が粘着性発現時の如く持続する効果を奏する。そのため、感熱性粘着剤積層体は、上記の感熱性粘着テープや感熱性粘着シートのみに限定されずに、被着体に貼付した後にも、長期間に亘り粘着性を保持できるので、粘着テープ、ラベル、保護フィルム、団扇等の用途に用いることができる。
【0082】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、固体可塑剤の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−500)によリ測定し、メジアン径で記載した。
【0083】
[実施例1](固体可塑剤水分散液1の調製)
ディスパー攪拌機装備の容器に、固体可塑剤(A)としてレゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート](融点95℃)100重量部、分散剤としてアニオン系界面活性剤(B)であるポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテル硫酸ナトリウム4.5重量部及びイオン交換水90重量部を混合、攪拌し、次にその液をビーズミルに送液し、平均粒子径が2.2μmになるまで、粉砕、分散することにより、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]の水分散液1(固体可塑剤水分散液1)を得た。
この水分散液1は、マーロン機械安定性試験(条件:25kg、1000回転、15分)による凝集物の発生率が0.4%(水分散液に対し)であった。また、3ヶ月間沈降することなく、保存安定性も良好であった(保存安定性の評価◎)。
【0084】
[参考例1](固体可塑剤水分散液2の調製)
実施例1と同様の装置において、固体可塑剤(D)としてジ(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレート(融点93℃)100重量部、分散剤としてアニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩3.5重量部及びイオン交換水90重量部を混合、攪拌し、次にその液をビーズミルに送液し、平均粒子径が2.5μmになるまで、粉砕、分散することにより、ジ(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレートの水分散液2(固体可塑剤水分散液2)を得た。
この水分散液2は、マーロン機械安定性試験(条件:25kg、1000回転、15分)による凝集物の発生率が0.04%(水分散液に対し)であった。また、3ヶ月間沈降することなく、保存安定性も良好であった(保存安定性の評価◎)。
【0085】
[比較例1](固体可塑剤水分散液3の調製)
ディスパー攪拌機装備の容器に、固体可塑剤(A)としてレゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート](融点95℃)100重量部、分散剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム2.3重量部部及びイオン交換水90重量部を混合、攪拌し、次にその液をビーズミルに送液し、平均粒子径が2.8μmになるまで、粉砕、分散したところ、クリーム状となり、安定なレゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]の水分散液3は、得られなかった(保存安定性の評価×)。よって、以降の感熱性粘着剤の調整、感熱性粘着シートの作製及び性能評価はできなかった。
【0086】
[実施例2](固体可塑剤水分散液4の調製)
ディスパー攪拌機装備の容器に、固体可塑剤(A)としてレゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート](融点95℃)100重量部、分散剤としてアニオン系界面活性剤(B)であるポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテル硫酸トリエタノールアミン4.5重量部及びイオン交換水90重量部を混合、攪拌し、次にその液をビーズミルに送液し、平均粒子径が2.2μmになるまで、粉砕、分散することにより、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]の水分散液4(固体可塑剤水分散液4)を得た。
この水分散液4は、マーロン機械安定性試験(条件:25kg、1000回転、15分)による凝集物の発生率が0.4%(水分散液に対し)であった。また、3ヶ月間沈降することなく、保存安定性も良好であった(保存安定性の評価◎)。
【0087】
[実施例3](固体可塑剤水分散液5の調製)
ディスパー攪拌機装備の容器に固体可塑剤(A)としてレゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート](融点95℃)100重量部、分散剤としてポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテルリン酸トリエタノールアミン2.3部及びイオン交換水90部を混合、攪拌し、次にその液をビーズミルに送液し、平均粒子径が1.6μmになるまで、粉砕、分散することにより、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]の水分散液5(固体可塑剤水分散液5)を得た。
この水分散液5は、マーロン機械安定性試験(条件:25kg、1000回転、15分)による凝集物の発生率は8.5%(水分散液に対し)であり、また、保管1ヶ月以内に沈降がわずかに観察された(保存安定性の評価○)。
【0088】
[実施例4](熱可塑性樹脂組成物/感熱性粘着剤1の調製)
上記で調製した固体可塑剤水分散液1と2とを、固形分重量比で、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]:ジ(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレート=60:40となるように配合した固体可塑剤水分散液中に、熱可塑性樹脂(C)としてのスチレン−ブタジエンブロック共重合体(ガラス転移温度Tg:0℃)の水系エマルジョン、粘着付与剤(E)としての重合ロジンエステル樹脂の水系分散液及び水を加えて、均一になるまで攪拌し、固形分濃度50重量%の熱可塑性樹脂組成物1(感熱性粘着剤1)を得た。このときの配合割合は、固体可塑剤(A+D)100重量部に対して熱可塑性樹脂(C)28重量部、粘着付与剤(E)14重量部であった。
【0089】
(感熱性粘着シート1の作製)
上記で調製した熱可塑性樹脂組成物1(感熱性粘着剤1)を片アート紙の原紙面(裏面)及び表面をコロナ放電処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、単に「PETフィルム」ともいう)に、バーコーターを用いて乾燥後の塗工量が10g/mとなるように塗工し、40℃で2.5分間乾燥させて感熱性粘着シート1を得た。
【0090】
[実施例5](熱可塑性樹脂組成物/感熱性粘着剤2の調製)
上記で調製した直後の固体可塑剤水分散液4と2とを、固形分重量比で、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]:ジ(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレート=60:40となるように配合した固体可塑剤水分散液中に、熱可塑性樹脂(C)としてのスチレン−ブタジエンブロック共重合体(ガラス転移温度Tg:0℃)の水系エマルジョン、粘着付与剤(E)としての重合ロジンエステル樹脂の水系分散液及び水を加えて、均一になるまで攪拌し、固形分濃度50重量%の熱可塑性樹脂組成物2(感熱性粘着剤2)を得た。このときの配合割合は、固体可塑剤(A+D)100重量部に対して熱可塑性樹脂(C)28重量部、粘着付与剤(E)14重量部であった。
【0091】
(感熱性粘着シート2の作製)
上記で調製した熱可塑性樹脂組成物2(感熱性粘着剤2)を片アート紙の原紙面(裏面)及び表面をコロナ放電処理したPETフィルムに、バーコーターを用いて乾燥後の塗工量が10g/mとなるように塗工し、40℃で2.5分間乾燥させて感熱性粘着シート2を得た。
【0092】
[実施例6](熱可塑性樹脂組成物/感熱性粘着剤3の調製)
上記で調製した直後の固体可塑剤水分散液5と2とを、固形分重量比で、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]:ジ(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレート=60:40となるように配合した固体可塑剤水分散液中に、熱可塑性樹脂(C)としてのスチレン−ブタジエンブロック共重合体(ガラス転移温度Tg:0℃)の水系エマルジョン、粘着付与剤(E)としての重合ロジンエステル樹脂の水系分散液及び水を加えて、均一になるまで攪拌し、固形分濃度50重量%の熱可塑性樹脂組成物3(感熱性粘着剤3)を得た。このときの配合割合は、固体可塑剤(A+D)100重量部に対して熱可塑性樹脂(C)28重量部、粘着付与剤(E)14重量部であった。
また、調製した1月後の固体可塑剤水分散液5と2を用いた以外は、上記と同様に、熱可塑性樹脂組成物4(感熱性粘着剤4)を得た。
【0093】
(感熱性粘着シート3、4の作製)
上記で調製した熱可塑性樹脂組成物3、4(感熱性粘着剤3、4)を片アート紙の原紙面(裏面)及び表面をコロナ放電処理したPETフィルムに、バーコーターを用いて乾燥後の塗工量が10g/mとなるように塗工し、40℃で2.5分間乾燥させて感熱性粘着シート3、4を得た。
【0094】
(1)性能評価試験(接着強度)
PETフィルムに塗工して得られた感熱性粘着シート(1〜4)を幅25mm、長さ125mmの大きさに切断して試験片とした。この試験片を140℃で30秒間加熱して粘着性を発現させ、ガラス板[岩城硝子(株)製、Micro S1ide G1ass 白緑磨)上に置き、ゴムロールで2kgの荷重をかけて1往復することにより貼付した。これを23℃、50%RHの雰囲気下に放置し、1時間後、1日後、1週間後に接着強度試験を行った。接着強度試験は、引張リ試験機(オリエンテック社製、テンシロンUCT−5T)を使用して、引張り速度300mm/分、剥離角度180°で接着力を測定した。その結果を表1に示す。
【0095】
(2)性能評価試験(耐ブロッキング性)
片アート紙に塗工して得られた感熱性粘着シート4枚をアート紙の光沢面(表面)と感熱性粘着剤を塗工した面(裏面)とが接するように重ね、5000gf/9cmの荷重をかけて40℃の雰囲気下に24時間放置した後、以下の基準で耐ブロッキング性の評価を行った。その結果を表1に示す。
5:剥離時に抵抗なく剥離した。
4:剥離時に若干音を発しながら剥離した。
3:剥離時に連続的に音を発しながら剥離した。
2:剥離時に紙の繊維が一部粘着層に残った。
1:ブロッキングにより紙が破れた。
【0096】
【表1】
Figure 0004617016
【0097】
表1の結果から、比較例1の固体可塑剤水分散液3は、分散状態がクリーム状となり、安定な水分散液が得られないため、次の感熱性粘着剤の調製等へ進めなかった。それに対し、実施例1〜3の固体可塑剤水分散液は、機械安定性、保存安定性も比較的良好であり、特に、実施例1、2の固体可塑剤水分散液1、4は、良好である。そして、その結果、実施例1〜3の固体可塑剤水分散液と、参考例1の固体可塑剤水分散液とを用いた感熱性粘着シート1〜4は、接着強度が高く、また、耐ブロッキング性に優れていることが判明した。特に、実施例3の固体可塑剤水分散液5を用いた感熱性粘着シートは、固体可塑剤水分散液の調製直後のもの(感熱性粘着シート3)も、固体可塑剤水分散液の調製後1月経過後のもの(感熱性粘着シート4)も、接着強度や耐ブロッキング性が良好であった。
【0098】
【発明の効果】
本発明の固体可塑剤水分散液は、固体可塑剤として特定のリン化合物を用い、分散剤として特定のアニオン系界面活性剤を用いていることにより、特定固体可塑剤の水への分散性を非常に高めることができ、水分散性と保存安定性に優れている。また、この固体可塑剤水分散液を用いた熱可塑性樹脂組成物、及び該熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる感熱性粘着シートなどは、より高い温度で加熱乾燥できると共に、長期間保存してもブロッキングが生じず、しかも長期に亘って、高い接着強度を維持できる。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)又は(2)で表される固体リン化合物からなる固体可塑剤(A)と、下記一般式(3)若しくは(4)で表されるポリオキシエチレンポリアラルキルフェニルエーテル硫酸塩又は下記一般式(5)若しくは(6)で表されるポリオキシエチレンポリアラルキルフェニルエーテルリン酸塩からなるアニオン系界面活性剤(B)と、水とを含有する固体可塑剤水分散液であって、固体可塑剤(A)が固形分濃度で少なくとも45重量%含有されることを特徴とする固体可塑剤水分散液。
    Figure 0004617016
    (式中、R〜Rはそれぞれ炭化水素基又は複素環式基を示し、Aは2価の炭化水素基又は複素環式基を示し、kは0又は1を示し、mは0〜3の整数を示す。但し、RとRとA(m=1〜3のとき)、RとRとA(m=1〜3のとき)、RとRとR(m=0のとき)、RとRとRは、それぞれ2以上の基が互いに結合してリン原子を含む環を形成していてもよい)
    Figure 0004617016
    (式中、Rはアラルキル基を示し、Mはアルカリ金属を示し、Rは水素、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示し、mは1〜5の整数を示し、nは10〜20の整数を示す。)
  2. アニオン系界面活性剤(B)は、ポリオキシエチレントリス(メチルベンジル)フェニルエーテル硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1記載の固体可塑剤水分散液。
  3. 請求項1又は2記載の固体可塑剤水分散液に、熱可塑性樹脂(C)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
  4. さらに、固体可塑剤(D)として、オキシベンゼン誘導体又はフタル酸エステル類から選択される少なくとも1種の化合物を配合してなる請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 固体可塑剤(A)又は(A)+(D)の含有量が、熱可塑性樹脂(C)100重量部に対して30〜1000重量部であることを特徴とする請求項3又は4記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. さらに、粘着付与剤(E)を配合してなる請求項3〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 熱可塑性樹脂(C)が、水に分散した水性組成物であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項3〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有することを特徴とする感熱性粘着剤。
  9. 請求項8記載の感熱性粘着剤が、基材の少なくとも一方の面にコーティングされていることを特徴とする感熱性粘着剤積層体。
  10. 感熱性粘着剤積層体が、テープ又はシートであることを特徴とする請求項9記載の感熱性粘着剤積層体。
  11. 基材の少なくとも一方の面に、請求項8記載の感熱性粘着剤をコーティングして粘着剤層を形成することを特徴とする感熱性粘着剤積層体の製造方法。
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