JP5595972B2 - 芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法及びその水分散体組成物 - Google Patents

芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法及びその水分散体組成物 Download PDF

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Description

本発明は、各種接着剤、粘着テープ、塗料、タイヤ・ゴム加工品、印刷・インキ用樹脂、紙、繊維、カーペット、道路舗装材などの各種製品、用途分野において、接着剤基剤、粘着付与剤、塗料添加剤、バインダー樹脂、樹脂改質剤、表面改質剤、サイズ性付与剤、疎水化剤、表面保護剤、増量剤等として、また、建材、電化製品、自動車、橋梁、モーター、発電機、エンジン等の振動や騒音が問題となる分野において必要とされる制振性付与剤として使用される芳香族オリゴマーの水分散体の製造方法及びその製造方法により得られる水分散体組成物に関する。
従来より、各種接着剤、粘着テープ、塗料、タイヤ・ゴム加工品、印刷・インキ用樹脂、紙、繊維、カーペット、道路舗装材などの各種製品、用途分野において、接着剤基剤、粘着付与剤、塗料添加剤、バインダー樹脂、樹脂改質剤、表面改質剤、サイズ性付与剤、疎水化剤、表面保護剤、増量剤等として、クマロン樹脂や石油樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂等が幅広い用途分野で使用されている。各樹脂はこれらの用途に使用される際には、通常有機溶剤に溶解させた樹脂溶液として、またはホットメルト形式で使用に供されてきた。
しかし、このような使用方法は、有機溶剤による健康被害、環境汚染、揮発性有機化合物(VOC)の放出、火災発生の危険性、排ガス処理、残存溶剤の処理、熱エネルギーの消費、ホットメルト設備への投資等のみならず、作業者の安全衛生、消防法、環境関係法規、並びに、工程における経済性などにおいて、種々の問題を包含している。
これに対し、各樹脂の、耐水性、粘接着性付与、耐熱性、耐ブロッキング性、相溶性の点で優れるという特徴を生かすために、近年、これらの樹脂を水系化する取り組みがなされている。
特許文献1及び2には、粘着付与樹脂の炭化水素溶剤溶液を出発原料として、水並びに乳化剤の存在下で混合、乳化した後、溶媒を除去して粘着付与樹脂の水分散組成物を得る方法が記載されているが、有機溶剤の含有による作業環境悪化や健康被害等の安全衛生上の問題があり、また、火災発生の危険性、排ガス処理、VOC削減問題などの課題も解決されていない。
特許文献3には、有機溶剤を使用せずに水性樹脂エマルションを得る旨が記載されているが、電気ヒーターの過熱によって一旦高温で乳化させる必要があり、それによる作業環境悪化等の安全衛生上の問題があり、また、火災発生の危険性等の課題も解決されていない。さらに、固体から液体への相変化を伴う製造工程であることから、乳化剤や分散剤の選択が難しく、安定性確保の点でも課題を残している。
特開2007−77285号公報 特開2005−290169号公報 特開平11−209477号公報
本発明の芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、2環又は3環の芳香族化合物と、フェノール及びアルキルフェノールからなる群から選択された少なくとも1種のフェノール類と、ホルムアルデヒドとの縮合物であり、軟化点が50〜180℃である芳香族オリゴマーを界面活性剤の存在下で、湿式粉砕・分散法にて分散させる工程を含む製造方法とする。
本発明の芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、常温で固形である芳香族オリゴマーを界面活性剤の存在下で、湿式粉砕・分散法にて分散させる工程を含む製造方法とする。
なお、本発明でいう「湿式粉砕・分散法」とは、芳香族オリゴマーを水媒体中で機械的手段により粉砕及び撹拌することによって分散体を得る方法を指すものとする。また、ここでいう「分散体」とは水媒体中に固体細粒が浮遊している状態のものを指し、水媒体中に液体細粒が浮遊している「乳化体」や「エマルション」とは区別されるものとする。
本発明の芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法においては、上記界面活性剤として、下記一般式(I)で表される界面活性剤(a)及び/又は下記一般式(II)で表される界面活性剤(b)を好適に用いることができる。
Figure 0005595972
但し、上記一般式(I)において、Rは炭素数8〜22のアルキル基、炭素数8〜22のアルケニル基、及び下記一般式(III)〜(V)のいずれかで表される芳香族誘導体残基からなる群から選択された1種又は2種以上を示し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、pはアルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0〜30の数を示し、Xは下記一般式(VI)〜(VIII)のいずれかで表されるアニオン性基を表し、一般式(VI)〜(VIII)におけるMは、水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム、アルカノールアミン類のいずれかを表し、上記一般式(II)において、Rは炭素数8〜15のアルキル基を示し、炭素数8〜15のアルケニル基、及び下記一般式(III)〜(V)のいずれかで表される芳香族誘導体残基からなる群から選択された1種又は2種以上を示し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、qはアルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0〜200の数を示す。
Figure 0005595972
Figure 0005595972
上記界面活性剤としては、あるいは、下記一般式(IX)で表されるカチオン性界面活性剤(IX)を好適に用いることもできる。
Figure 0005595972
但し、一般式(IX)において、R、R、R及びRのうち、1個又は2個の基は炭素数10〜20の長鎖アルキル基または長鎖ヒドロキシアルキル基を示し、その残余は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基または合計付加モル数が10以上のポリオキシエチレン基を示し、Yはハロゲン原子または炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示す。
上記界面活性剤としては、一般式(I)で表される界面活性剤(a)と下記一般式(II)で表される界面活性剤(b)と共に下記一般式(X)で表される界面活性剤(c)をさらに用いることもできる。
Figure 0005595972
但し、一般式(X)において、Rは、炭素数10〜15の1級又は2級のアルキル基、炭素数10〜15の1級また2級のアルケニル基、炭素数が10〜18である1級又2級のヒドロキシアルキル基、アルキルベンゼン残基、ジアルキルコハク酸エステル残基からなる群から選択された1種又は2種以上を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム、又はアルカノールアミン類を示す。
上記芳香族オリゴマーとしては、2環又は3環の芳香族化合物と、フェノール及びアルキルフェノールからなる群から選択された少なくとも1種のフェノール類と、ホルムアルデヒドとの縮合物であり、重量平均分子量が500〜2000であり、軟化点が50〜180℃であるものを使用することができる。
本発明の芳香族オリゴマーの水分散体組成物は、上記本発明の製造方法のいずれかにより得られたものとする。
本発明は、常温で固形である芳香族オリゴマー、特に2環又は3環の芳香族化合物と、フェノール及びアルキルフェノールからなる群から選択された少なくとも1種のフェノール類と、ホルムアルデヒドとの縮合物である芳香族オリゴマーに好適に適用でき、その水分散体は、機械的安定性、化学的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性、配合安定性、制振性等に優れたものとなる。また、溶剤を使用せずにその水分散体を得ることができるため、消防法上の制約がなく、作業者の安全衛生や環境配慮、作業環境整備や排気ガス処理等に関わるコストの削減が可能であるといった商業生産上での利点も有している。
特に、カチオン性界面活性剤を用いて調製した水分散体は、カチオン性を有する他の水分散体組成物やO/W型エマルションと混合した場合においても凝集物生成や増粘が生じることがなく、芳香族オリゴマーの応用範囲を更に広げられる点で工業的な利用価値が極めて大きい。
また、本発明の製造方法は、芳香族オリゴマーの上記した特性を有する水分散体を容易に且つ経済的に調製できる点で、工業的利用価値も極めて高い。また、有機溶剤を使用しないため、耐熱接着強度の低下の問題がなく、残存臭気が少なく、また、作業者の安全性、設備の火気・引火対策、商品取り扱い上消防法などの制約がないといった点でも利用価値が高い。
本発明により、常温で固形である芳香族オリゴマーを用いて水分散体組成物を得るための条件について、以下に群述する。
1.芳香族オリゴマー
本発明に使用できる常温で固形である芳香族オリゴマーは、特に限定されるものではないが、例としては2環又は3環の芳香族化合物と、フェノール及びアルキルフェノールからなる群から選択された少なくとも1種のフェノール類と、ホルムアルデヒドとの縮合物であり、重量平均分子量が500〜2000であり、軟化点が50〜180℃であるものを挙げることができる。上記2環又は3環の芳香族化合物の好ましい例としては、ナフタレン、モノメチルナフタレン、ジメチルナフタレン、アントラセン等が挙げられ、アルキルフェノールの好ましい例としては、クレゾール、キシレノール、t−ブチルフェノール等の炭素数1〜6の低級アルキル基を有するアルキルフェノールが挙げられる。このような芳香族オリゴマーの水分散体は、種々の用途に使用可能であるが、中でも制振性付与剤として有用である。
2.界面活性剤、その他の配合成分
(1)使用可能な界面活性剤
本発明では芳香族オリゴマーを湿式粉砕・分散装置を用いて水中に分散する目的で、種々の界面活性剤を適宜使用できる。
使用できる界面活性剤を例示すると、非イオン性界面活性剤の具体的な例としては、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジル化フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンパラクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物、アルキルグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
また、アニオン性界面活性剤の具体的な例としては、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、第2級アルカンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、更に、高級アルコールリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸石けん、不均化ロジン石けん、ロート油等が挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤の具体的な例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、脂肪酸ジメチルアミノプロピルアミド・脂肪酸中和物、高級アミン塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられる。
さらに、両性界面活性剤の具体的な例としては、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸、ジアルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
また、高分子界面活性剤の具体的な例としては、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、スチレン・マレイン酸コポリマーアンモニウム塩、スチレン・マレイン酸ハーフエステルコポリマーアンモニウム塩、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、ポリアルキレンポリアミンアルキレンオキシド付加物、ポリアルキレンポリイミンアルキレンオキシド付加物、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(部分けん化型)、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリメチルビニルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン第四級アンモニウム、カルボキシビニルポリマー、アルキルビニルエーテル・マレイン酸交互共重合体(塩)、酢酸ビニル・マレイン酸共重合体(塩)、ジイソブチレン・マレイン酸交互共重合体(塩)、アルキルビニルエーテル・マレイン酸ジエチル交互共重合体(塩)、オクタデセン−酢酸ビニル共重合体、マレイン化ポリブテン、マレイン化ポリブタジエン、テロマー型界面活性剤、ポリアリル型カチオンオリゴソープ、カチオン化セルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
これらの界面活性剤の使用量は、所望する水分散体が湿式粉砕・分散工程で得られる範囲で適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、通常は芳香族オリゴマー100重量部に対して0.1〜200重量部の範囲である。
但し、水分散体の樹脂含有量の増量や、得られた水分散体の機械的安定性、化学的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性、配合安定性などをさらに向上させることを指向する場合には、以下に述べる特定の界面活性剤を用いることが好ましい。これらを用いた場合、非イオン性、アニオン性、在或いはカチオン性の公知の樹脂水分散体、樹脂エマルション、ラテックス、また、ワックス類、油脂類、鉱油類などのO/W型エマルション、また、有機顔料水分散体、無機顔料水分散体、染料水分散体の他、各種フィラー類の水分散体などと容易に混合することができ、その際に凝集物の生成がなく、増粘や不均一といった不具合も生じることがなく、芳香族オリゴマーの応用範囲を更に広げられる点で工業的な利用価値は極めて大きい。
(2)界面活性剤(a)及び界面活性剤(b)
本発明では、下記界面活性剤(a)又は界面活性剤(b)を好適に使用することができ、両者を併用した場合、樹脂含有量(固形分量)の増量、水分散体の分散安定性等のより一層の向上が可能となる。
Figure 0005595972
界面活性剤(a)は、一般式(I)で表され、指揮中のRは炭素数8〜22のアルキル基、炭素数8〜22のアルケニル基、又は下記一般式(III)〜(V)のいずれかで表される芳香族誘導体残基を示し、或いはこれらのうちの2種類以上であってもよい。
Figure 0005595972
前記界面活性剤(b)は一般式(II)で表され、式中のRは炭素数8〜15のアルキル基、炭素数8〜15のアルケニル基、又は上記一般式(III)〜(V)のいずれかで表される芳香族誘導体残基を示し、或いはこれらのうちの2種以上であってもよい。中でも、分岐型の炭素数8〜11のアルキル基であることが好ましい。
一般式(I)及び一般式(II)におけるAO及びAOは、それぞれ炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示す。本発明で好適に使用できるオキシアルキレン基はオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基であり、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、又は1,2−ブチレオキサイド(BO)から公知の重合方法によって得ることができる。このときオキシアルキレン鎖、−(AO)p−、−(AO)q−は、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの単独重合鎖であってもよく、ランダム重合鎖であってもよく、ブロック重合鎖であってもよく、また、これらの組み合わせであってもよい。また、オキシアルキレン鎖、−(AO)p−、−(AO)q−において、p及びqはそれぞれアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、pは0〜30であり、好ましくは5〜20である。qは0〜200であり、好ましくは10〜100である。
一般式(I)におけるXは、下記一般式(VI)〜(VIII)のいずれかで表されるアニオン性基を示し、一般式(VI)〜(VIII)のMは、水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム、又はアルカノールアミン類を表す。
Figure 0005595972
一般式(I)で示される界面活性剤において、上記の通り、Rは炭素数8〜22のアルキル基、炭素数8〜22のアルケニル基、或いは上記一般式(III)〜(V)で表される芳香族誘導体残基からなるが、Rがアルキル基及び/又はアルケニル基の場合には公知の高級アルコールが使用でき、その原料アルコールは合成由来であっても天然由来であってもよく、高級アルコールの炭素数は単一であっても、異なる炭素数のアルコールの混合物であってもよい。また、その化学構造は単一組成であっても複数の異性体からなる混合物であってもよい。また、2種以上の高級アルコールを配合して使用することも可能である。具体例としては、プロピレン或いはブテン、又はその混合物から誘導される高級オレフィンを経てオキソ法によって製造されるイソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、ネオドール23、25、45(商品名、シェルケミカルズ社製)、SAFOL23(商品名、サソール社製)、EXXAL7、EXXAL8N、EXXAL9、EXXAL10、EXXAL11及びEXXAL13(商品名、エクソンケミカル社製)も好適に使用できる高級アルコールの一例である。更に天然由来のオクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール(1−ドデカノール)、ミリスチルアルコール(1−テトラデカノール)、セチルアルコール(1−ヘキサデカノール)、ステアリルアルコール(1−オクタデカノール)、オレイルアルコール(cis−9−オクタデセン−1−オール)なども使用できる高級アルコールの一例である。また、2−アルキル−1−アルカノール型の化学構造をもつゲルベアルコール(Guerbet Alcohol)類なども好適に使用できる高級アルコールの一例であり、2−エチル−1−ヘキサノール、2−プロピル−1−ヘキサノール、2−ブチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘプタノール、2−エチル−1−オクタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−ペンチル−1−ノナノールの他、イソステアリルアルコールや3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、ノルマルパラフィン由来の第2級アルコールであるソフタノール(商品名、株式会社日本触媒製)などがある。
一般式(I)で示される界面活性剤において、Rが芳香族誘導体残基である場合、一般式(III)はスチレン化フェノール残基であり、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノールの単体或いはその混合物が使用できる。また、一般式(IV)はベンジル化フェノール残基であり、モノベンジル化フェノール、ジベンジル化フェノール、トリベンジル化フェノールの単体或いはその混合物に由来する。また、一般式(V)はp−クミルフェノール残基であり、p−クミルフェノールが使用できる。
一般式(II)で示される界面活性剤において、Rは炭素数8〜15のアルキル基を示すが、より好ましくは、分岐型の炭素数8〜11のアルキル基である。高級アルコールの炭素数は単一であっても、異なる炭素数のアルコールの混合物であってもよい。また、その化学構造は単一組成であっても複数の異性体からなる混合物であってもよい。また、2種以上の高級アルコールを配合して使用することも可能である。具体例としては、プロピレン或いはブテン、又はその混合物から誘導される高級オレフィンを経てオキソ法によって製造されるイソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、ネオドール23、25、45(製品名、シェルケミカルズ社製)、SAFOL23(商品名、サソール社製)、EXXAL7、EXXAL8N、EXXAL9、EXXAL10、EXXAL11及びEXXAL13(商品名、エクソンケミカル社製)も好適に使用できる高級アルコールの一例である。更に天然由来のオクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール(1−ドデカノール)、ミリスチルアルコール(1−テトラデカノール)なども使用できる高級アルコールの一例である。また、2−アルキル−1−アルカノール型の化学構造をもつゲルベアルコール(Guerbet Alcohol)類なども好適に使用できる高級アルコールの一例であり、2−エチル−1−ヘキサノール、2−プロピル−1−ヘキサノール、2−ブチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘプタノール、2−エチル−1−オクタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−ペンチル−1−ノナノールの他、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、ノルマルパラフィン由来の第2級アルコールであるソフタノール(商品名、株式会社日本触媒製)などがある。
本発明の目的を達成する為に、これら界面活性剤(a)及び(b)の使用量は、所望する水分散体が湿式粉砕・分散工程で得られる範囲で選択すればよく、特に限定されるものではないが、芳香族オリゴマー重量に対して0.1〜200重量%であるのが好ましく、より好ましくは1〜20重量%の範囲である。界面活性剤量がこれより少ない場合、充分な分散効果が得られ難く、芳香族オリゴマーの湿式粉砕において所望の粒子径まで微細化するのが困難となったり、所望の粒子径まで微細化するのに要する工程時間が長くなったり、所望の粒子径まで微細化できた場合でもその安定性に劣ったり、或いは水分散体中の樹脂含量の増量、即ち、高濃度化ができないといった問題が生じる場合がある。一方、界面活性剤量が好ましい添加量の範囲より多い場合、水分散体の泡立ちによる工程トラブル、塗工工程における泡トラブル、更に塗膜の耐水性低下、粘接着力の低下、耐熱性の低下、塗膜の透明性、仕上がり外観の悪化などの点で問題を生じる傾向がある。界面活性剤(a)と界面活性剤(b)との重量配合比は、特に限定されないが、好ましくは重量配合比で10:90〜90:10、より好ましくは70:30〜90:10である。
(3)カチオン性界面活性剤
本発明では、カチオン性界面活性剤を用いて常温で固形の芳香族オリゴマーの水分散体を調製することができる。所定のカチオン性界面活性剤を用いて調製した該水分散体は、機械的安定性、化学的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性、配合安定性などが良好であるのに加えて、非イオン性或いはカチオン性の公知の樹脂水分散体、樹脂エマルション、ラテックス、また、ワックス類、油脂類、鉱油類などのO/W型エマルション、また、有機顔料水分散体、無機顔料水分散体、染料水分散体の他、各種フィラー類の水分散体などと容易に混合することができ、その際に凝集物の生成がなく、増粘や不均一といった不具合も生じることがなく、芳香族オリゴマーの応用範囲を更に広げられる点で工業的な利用価値は極めて大きい。
本発明に使用できるカチオン性界面活性剤は、下記一般式(IX)で示され、一般式(IX)において、R、R、R及びRのうち、1個又は2個の基は炭素数10〜20の長鎖アルキル基または長鎖ヒドロキシアルキル基であることを特徴とし、その残余の基は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基または合計付加モル数が10以下のポリオキシエチレン基を示し、Yはハロゲン原子または炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示す。いずれの基も、それぞれ挙げられた中から選択された2種以上であってもよい。
Figure 0005595972
好適に使用できるカチオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩、パルミチルジメチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
カチオン性界面活性剤の使用量も、所望する水分散体が得られる範囲で選択すればよく、特に限定されるものではないが、芳香族オリゴマー100重量部に対して0.1〜200重量部であるのが好ましく、より好ましくは1〜20重量部の範囲である。
(4)界面活性剤(c)
本発明では、上記界面活性剤(a)及び界面活性剤(b)と共に、特定の界面活性剤(c)を用いることにより、常温で固形の芳香族オリゴマーに由来する本発明の水分散体の特性と機械的安定性、化学的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性、配合安定性など、分散安定性を更に向上させることができる。界面活性剤(c)の添加のタイミングは、湿式粉砕・分散工程の前でも後でもよい。
界面活性剤(c)は下記一般式(X)で示され、式中のRは、炭素数10〜15の1級又は2級のアルキル基、炭素数10〜15の1級又は2級のアルケニル基、炭素数が10〜18である1級または2級のヒドロキシアルキル基、アルキルベンゼン残基、或いは下記一般式(XI)に示されるジアルキルコハク酸エステル残基を示し、式(XI)中のRは炭素数4〜10の1級のアルキル基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム、又はアルカノールアミン類を示し、これらR及びMは、それぞれ列挙したうちから選択された2種以上であってもよい。
Figure 0005595972
Figure 0005595972
一般式(X)で示される界面活性剤において、好適に使用できる界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、第2級アルカンスルホン酸ナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどである。
界面活性剤(c)を配合する場合の配合量は、特に限定されないが、芳香族オリゴマー100重量部に対し0.01〜10重量部であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
(5)その他の配合成分
なお、得られた芳香族オリゴマー水分散体に対して、湿式粉砕・分散工程中、或いは該水分散体の機械的安定性、化学的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性、配合安定性など、分散安定性を更に向上させる目的で、公知の界面活性剤及び/又は公知の保護コロイド剤を水分散体に後添加することができる。
使用できる界面活性剤は前記の通りであり、保護コロイド剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム(ザンタンガム)、アラビアガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、自己乳化型ポリエステル化合物、水溶性ポリエステル、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリアクリル酸塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、可溶性でんぷん、カルボキシメチルでんぷん、カチオン化でんぷん等などを挙げることができる。
また、本発明で得られた芳香族オリゴマー水分散体に対して、その特性と安定性を阻害しない範囲において、公知の消泡剤や防腐剤、造膜助剤、レベリング剤、pH調整剤、増量剤等の助剤類を加えることができる。
3.芳香族オリゴマー水分散体の製造方法
本発明に使用できる湿式粉砕・分散装置としては、公知の方式の装置が利用でき、具体的には高圧流体衝突ミル、高速回転スリットミル、媒体撹拌ミル、ロールミル、リング状粉砕媒体ミル、高速旋回薄膜ミル、振動ミル(シェイカー型)などが使用できる。商業生産においてはスケールアップの容易さや連続式生産への適用性、設備の維持管理の容易さなど、生産効率の点で媒体撹拌ミルが好適であり、媒体撹拌ミルには、アトライター型、ボールミル型、ビーズミル型などがあり、より具体的にはアトライター(商品名、日本コークス工業株式会社製)、ダイノミル(商品名、株式会社シンマルエンタープライゼス製)、ビスコミル(商品名、アイメックス株式会社製)、サンドグラインダー(商品名、アイメックス株式会社製)、コロイドミル(商品名、特殊機化工業株式会社製)、パールミル(商品名、アシザワファインテック株式会社製)等が挙げられる。
また、使用可能な媒体(メディア)としては、ガラスビーズ、低アルカリガラスビーズ、無アルカリガラスビーズ、セラミックスビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ、鉄ビーズ等が挙げられる。本発明では比較的安価で取り扱いが容易な点から、ガラスビーズ、低アルカリガラスビーズや無アルカリガラスビーズが好適に使用できる。また、メディア由来による汚染が極めて少ない点やビーズ硬度や高比重などに由来して粉砕効率が良好な点から、ジルコニアビーズも好適に使用できるメディアの一例である。また、メディアの分離方法は、スクリーンタイプ、ギャップセパレータータイプ、遠心分離タイプ、遠心分離・スクリーン併用タイプなどがあるが、これら公知の方法を適宜選択できる。
また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、水、界面活性剤、芳香族オリゴマー、その他助剤類の仕込み順序については特に限定されるものではないが、界面活性剤を水に添加する第一工程と、芳香族オリゴマーを前記界面活性剤溶液に添加する第二工程とを有し、更に各種助剤などを添加する第三工程を有するのが好ましい。
第一工程において、湿式粉砕・分散工程中で系の安定性を低下させない範囲であれば、水分散体の処理特性や他の水分散体との混合特性、並びに塗膜形成性を良好にせしめることを目的として、水以外の水溶性溶剤を意図的、或いは、非意図的に混在させることができ、その水性溶媒種は特に限定されるものではない。
また、第二工程において、芳香族オリゴマーを界面活性剤溶液に投入する際の条件については特に限定されるものではないが、湿式粉砕・分散工程中に処理液の液温が上昇することから、仕込み時の液温は30℃以下であることが望ましい。また、工程中において湿式粉砕・分散装置の運転中、並びに水分散体の調整工程、並びに貯蔵・充填工程で、除熱操作或いは冷却操作を行うことは本発明においても好適であり、処理中の芳香族オリゴマー水分散体の温度は5〜50℃であることが好ましく、10〜30℃であることがより好ましい。
本発明において得られる芳香族オリゴマー水分散体の芳香族オリゴマー樹脂固形分は1〜60重量%の範囲内にあるのが好ましい。また、本発明における芳香族オリゴマー水分散体の平均粒子径は0.1〜20μmの範囲内にあることが好ましく、0.1〜5μmにあるのがより好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において芳香族オリゴマーとしては、日塗化学(株)製、ニットレジンA−046(ナフタレン−オルトクレゾール−パラホルムアルデヒド縮重合物、軟化点80℃、重量平均分子量550)を用いた。また、特に記載しない限り、「部」又は「%」とあるのは「重量部」または「重量%」であるものとする。
1.芳香族オリゴマーの水分散体(樹脂固形分30%)の調製
<1>水分散体の調製
下記表1に示す配合処方に従って、各配合成分を仕込んだ後、実施例及び比較例の処方液100mLを混合撹拌し、これと同容積の直径1.0mmのガラスビーズを添加した後、これをアイメックス(株)製サンドグラインダーに充填し、湿式粉砕・分散処理を行った。この処理後、80メッシュのろ布によりガラスビーズを分離して、芳香族オリゴマーの水分散体を得た。
<2>水分散体の評価
得られた水分散体につき、以下の方法で、平均粒子径の測定、分散安定性及び相溶性の評価を行った。結果を表1に示す。
[1]平均粒子径
湿式粉砕・分散直後の芳香族オリゴマー水分散体の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製 SALD−2200)で測定した。粒子径分布については、以下の基準で評価した。
[2]分散安定性
得られた水分散体を透明の容器に移して、容器内の分散体の分散性について、分散処理一日後の分散体の状態を目視にて観察することにより、以下の基準で評価した。
◎:均一な分散体である。
○:表面がわずかに離水しているが、振れば元に戻る。
△:二層分離している。
×:凝集している。
Figure 0005595972
表1に示された結果から、芳香族オリゴマー分約30重量%条件下では、界面活性剤を用いて湿式粉砕・分散を行うことにより、湿式粉砕・分散後一日経過時も均一な芳香族オリゴマー分散体を得ることができたことが分かる(実施例1−1〜1−10)。一方、界面活性剤を用いずに湿式粉砕・分散を行った場合は、湿式粉砕・分散の終了直後でも樹脂が分離しており、均一な芳香族オリゴマー水分散体は得られなかった(比較例1−1〜1−3)。
2.芳香族オリゴマーの水分散体(芳香族オリゴマー樹脂固形分50%)の調製
<1>水分散体の調製
下記表2に示す配合処方に従って、各配合成分を仕込んだ後、実施例及び比較例の処方液3Lを混合撹拌した。この混合物をビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、横型湿式分散機ダイノーミル、容量1.4L)を用いて、送液速度750mL/分、ディスク周速度8m/秒、及び0.5mmジルコニアビーズを50体積%充填した条件で2時間分散して、芳香族オリゴマーの水分散体を調製した。
<2>水分散体の評価
得られた水分散体につき、以下の方法で、平均粒子径の測定、分散安定性及び相溶性の評価を行った。結果を表2に示す。
[1]平均粒子径
湿式粉砕・分散直後の芳香族オリゴマー水分散体の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製 SALD−2200)で測定した。粒子径分布については、以下の基準で評価した。
S:正規分布に近く、シャープになっている。
B:正規分布ではなく、ブロードになっている。
[2]分散安定性
(1)分散直後
分散処理直後の水分散体の状態を目視にて観察することにより、以下の基準で評価した。
◎:低粘度で均一な分散体である。
○:均一だが増粘していて、高粘度の分散体である。
×:凝集して、固体化している。
(2)微分散化一週間後及び一ヶ月後
得られた水分散体を透明の容器に移して、容器内の分散体の分散性について、分散処理一週間後、及び一ヶ月後の分散体の状態を目視にて観察することにより、以下の基準で評価した。
◎:均一な分散体である。
○:表面がわずかに離水しているが、振れば元に戻る。
△:二層分離している。
×:凝集している。
[3]相溶性
湿式粉砕・分散直後の芳香族オリゴマー水分散体50gを、アクリル樹脂エマルション(中央理化工業株式会社製 商品名リカボンドAP−80、アニオン性)50gに混合させたときの状態を目視にて観察することにより、以下の基準で評価した。
○:均一な水分散体をなしている。
×:凝集している。
[4]凍結安定性
湿式粉砕・分散直後に得られた芳香族オリゴマー水分散体100gを透明容器に移して、−5℃にて24時間保管後、25℃にて6時間放置した。これを1サイクルとして3サイクル行い、各サイクル後の状態を目視にて観察することにより、以下の基準で評価した。
◎:3サイクル後も増粘していない。
○:2サイクル後は増粘していないが、3サイクル後で増粘している。
△:1サイクル後で増粘している。
×:1サイクル後で流動性がなく、固体化している。
[5]成膜後の透明性
湿式粉砕・分散直後に得られた芳香族オリゴマー水分散体をアプリケーター(大佑機材株式会社製)にて乾燥後の膜厚が120μm程度となるように塗布し、次いで120℃の循風乾燥機中で5分間乾燥させた状態を目視にて観察することにより、以下の基準で評価した。
○:塗膜が透明である。
×:塗膜が不透明である。
Figure 0005595972
表2に示されたように、本発明では芳香族オリゴマー樹脂固形分50重量%の水分散体が調製可能であり、湿式粉砕・分散工程終了直後はいずれも均一な芳香族オリゴマー分散体が得られた。その中で、実施例2−1〜実施例2−12のものは、湿式粉砕・分散一週間後も安定性が良好であった。また、いずれの実施例も、アクリル樹脂エマルション(中央理化工業株式会社製 商品名リカボンドAP−80、アニオン性)との相溶性も良好であった。一方、界面活性剤を使用しなかった比較例2−1では、湿式粉砕・分散直後においても均一な芳香族オリゴマー水分散体は得られなかった。
3.カチオン性界面活性剤を用いた芳香族オリゴマーの水分散体(芳香族オリゴマー樹脂固形分50%)の調製
<1>水分散体の調製
下記表3に示す配合処方に従って、実施例及び比較例及び参考例の処方液100mLを混合撹拌し、これと同じ容積の直径1.0mmのガラスビーズを添加した後、これをサンドグラインダー(商品名、アイメックス株式会社製)に充填し、湿式粉砕・分散処理を行った。この処理後、80メッシュのろ布によりガラスビーズと芳香族オリゴマーの水分散体とを分離した。
<2>水分散体の評価
得られた水分散体につき、以下の方法で、平均粒子径の測定、分散安定性及び相溶性の評価を行った。結果を表2に示す。
[1]平均粒子径
湿式粉砕・分散直後の芳香族オリゴマー水分散体の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製 SALD−2200)で測定した。粒子径分布については、以下の基準で評価した。
S:正規分布に近く、シャープになっている。
B:正規分布ではなく、ブロードになっている。
[2]分散安定性
(1)分散直後
分散処理直後の水分散体の状態を目視にて観察することにより、以下の基準で評価した。
◎:低粘度で均一な分散体である。
○:均一だが増粘していて、高粘度の分散体である。
×:凝集して、固体化している。
(2)微分散化一週間後及び一ヶ月後
得られた水分散体を透明の容器に移して、容器内の分散体の分散性について、分散処理一週間後、及び一ヶ月後の分散体の状態を目視にて観察することにより、以下の基準で評価した。
◎:均一な分散体である。
○:表面がわずかに離水しているが、振れば元に戻る。
△:二層分離している。
×:凝集している。
[3]相溶性
湿式粉砕・分散直後の芳香族オリゴマー水分散体50gを、フッ素系撥水剤 TUCGUARD CG−2800(商品名、TIANJIN DAI-ICHI FINE CHEMICALS CO.,LTD 製)50gに混合させたときの状態を目視にて観察することにより、以下の基準で評価した。
○:均一な水分散体をなしている。
×:凝集している。
Figure 0005595972
表3に示したように、実施例3−1〜実施例3−11は所定のカチオン性界面活性剤を用いたことにより、芳香族オリゴマーの水分散体が調製可能であり、さらに湿式粉砕・分散後一週間経過時もこれらの芳香族オリゴマー水分散体は安定性が良好であることが確認できた。また、カチオン性を有するフッ素系撥水剤 TUCGUARD CG−2800(商品名、TIANJIN DAI-ICHI FINE CHEMICALS CO.,LTD 製)との相溶性も良好であることが確認できた。

Claims (6)

  1. 2環又は3環の芳香族化合物と、フェノール及びアルキルフェノールからなる群から選択された少なくとも1種のフェノール類と、ホルムアルデヒドとの縮合物であり、軟化点が50〜180℃である芳香族オリゴマーを界面活性剤の存在下で、湿式粉砕・分散法にて分散させる工程を含むことを特徴とする、芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法。
  2. 前記界面活性剤として、下記一般式(I)で表される界面活性剤(a)及び/又は下記一般式(II)で表される界面活性剤(b)を用いることを特徴とする、請求項1に記載の芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法。
    Figure 0005595972
    但し、上記一般式(I)において、Rは炭素数8〜22のアルキル基、炭素数8〜22のアルケニル基、及び下記一般式(III)〜(V)のいずれかで表される芳香族誘導体残基からなる群から選択された1種又は2種以上を示し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、pはアルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0〜30の数を示し、Xは下記一般式(VI)〜(VIII)のいずれかで表されるアニオン性基を表し、一般式(VI)〜(VIII)におけるMは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム、アルカノールアミン類のいずれかを表し、
    上記一般式(II)において、Rは炭素数8〜15のアルキル基、炭素数8〜15のアルケニル基、及び下記一般式(III)〜(V)のいずれかで表される芳香族誘導体残基からなる群から選択された1種又は2種以上を示し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、qはアルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0〜200の数を示す。
    Figure 0005595972
    Figure 0005595972
  3. 前記界面活性剤として下記一般式(IX)で表されるカチオン性界面活性剤(IX)を用いることを特徴とする、請求項1に記載の芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法。
    Figure 0005595972
    但し、一般式(IX)において、R、R、R及びRのうち、1個又は2個の基は炭素数10〜20の長鎖アルキル基または長鎖ヒドロキシアルキル基を示し、その残余は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基または合計付加モル数が10以上のポリオキシエチレン基を示し、Yはハロゲン原子または炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示す。
  4. 前記界面活性剤として下記一般式(X)で表される界面活性剤(c)をさらに用いることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法。
    Figure 0005595972
    但し、一般式(X)において、Rは炭素数10〜15の1級又は2級のアルキル基、炭素数10〜15の1級また2級のアルケニル基、炭素数が10〜18である1級又2級のヒドロキシアルキル基、アルキルベンゼン残基、ジアルキルコハク酸エステル残基からなる群から選択された1種又は2種以上を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム、又はアルカノールアミン類を示す。
  5. 前記芳香族オリゴマーが、重量平均分子量が500〜2000であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項の記載の芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項の記載の芳香族オリゴマーの水分散体組成物の製造方法により得られた芳香族オリゴマーの水分散体組成物。
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