JP2004300378A - ワックス乳化分散体 - Google Patents

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JP2004300378A JP2003098089A JP2003098089A JP2004300378A JP 2004300378 A JP2004300378 A JP 2004300378A JP 2003098089 A JP2003098089 A JP 2003098089A JP 2003098089 A JP2003098089 A JP 2003098089A JP 2004300378 A JP2004300378 A JP 2004300378A
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善信 中野
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Abstract

【課題】環境への悪影響を抑え、耐水性、経時安定性及び水希釈安定性に優れたワックス乳化分散体を提供することである。
【解決手段】ワックス(a)、モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)、及び水(c)からなることを特徴とするワックス乳化分散体を用いる。(b1)又は(b2)の酸価は20〜200mgKOH/gが好ましい。(a)及び/又は(b1)若しくは(b2)の融点は60〜200℃が好ましい。さらに塩基(d)を含有してなることが好ましい。(d)の含有量は、(a)及び(b1)又は(b2)の合計カルボキシ基1モル当量当たり、0.05〜3モル当量が好ましい。乳化分散粒子の体積平均粒子径は0.01〜50μmが好ましい。(a)及び(b1)又は(b2)の重量に基づいて、(a)の含有量が50〜99重量%、(b1)又は(b2)の含有量が1〜50重量%であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はワックス乳化物に関する。さらに詳しくは擦り傷防止剤、離型剤、潤滑剤又は艶消し剤等として好適なワックス乳化分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ワックス又は合成ワックス等の被乳化成分を水中に乳化分散させたワックス乳化分散体としては、被乳化分散成分を親水性有機溶剤に加熱溶解し、これを親水性有機溶剤を含有する水に分散した後、さらに破砕機で分散して得られた乳化分散体(特許文献1)及び被乳化分散成分を乳化分散剤を用いて水中に乳化分散して得られた乳化分散体(特許文献2〜6)が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−136304号公報
【特許文献2】
特開平3−2112号公報
【特許文献3】
特開平5−220383号公報
【特許文献4】
特開平7−173025号公報
【特許文献5】
特開平11−263914号公報
【特許文献6】
特開2001−235946号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載のワックス乳化分散体は有機溶剤が環境へ悪影響を及ぼすため、有機溶剤を含まないワックス乳化分散体が強く要望されている。一方、特許文献2〜5に記載のワックス乳化分散体はワックス乳化分散体が添加される塗料、インク又は紙コーティングカラーを塗布した塗膜の耐水性が損なわれるという問題がある。なお、耐水性を向上させるために乳化分散剤を使用しないと、ワックス乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性が低くなるという問題がある。すなわち、本発明の目的は、環境への悪影響を抑え、耐水性、経時安定性及び水希釈安定性に優れたワックス乳化分散体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のワックスを使用することにより上記目的を達成することを見いだし本発明に到達した。すなわち、本発明のワックス乳化分散体の特徴は、ワックス(a)、モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)、及び水(c)からなる点を要旨とする。
また、本発明のワックス乳化分散体の製造方法の特徴は、有機溶剤及び乳化分散剤を使用することなく、ワックス(a)及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)、並びに必要により塩基(d)を溶融混合した状態で水中に乳化分散する工程、並びに/又は(a)及び(b1)又は(b2)を必要により塩基(d)を溶解又は分散した水の中に乳化分散する工程を含む点を要旨とする。
【0006】
【発明の実施形態】
ワックス(a)としては、モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)を含まず、従来公知のワックス等が含まれ、使用目的や用途等により適宜選択することができる。
ワックス(a)としては、加熱により溶融するワックスであれば制限なく使用できるが、次の融点を有するワックスが好ましい。
【0007】
ワックス(a)の融点(℃)としては、60〜200が好ましく、さらに好ましくは70〜180、特に好ましくは80〜170である。すなわち、ワックス(a)の融点(℃)は、60以上が好ましく、さらに好ましくは70以上、特に好ましくは80以上であり、また、200以下が好ましく、さらに好ましくは180以下、特に好ましくは170以下である。融点がこの範囲であると、ワックス乳化分散体の熱に対する安定性が充分確保され、特に夏場におけるワックス乳化分散体の経時安定性がさらに良好となる。また、乳化分散粒子の粒子径がコントロールし易くなるため、ワックス乳化分散体の経時安定性がさらに良好となる。
【0008】
なお、融点は示差走査熱量分析装置{例えば、SII(株)製のTG/DTA220U}等を用い測定できる。測定条件としては試料容器にサンプルを10mg測り取り、機器内に設置した後、大気雰囲気下で常温(15〜30℃)から400℃まで、毎分10℃ずつ昇温する方法で行う。融点は、グラフ上の吸熱ピークのうち最高温度位置にあるものについて、ピーク検出開始の点の接線とピーク曲線の変曲点の接線が交わる点での温度とする。
【0009】
ワックス(a)としては、天然ワックス及び合成ワックス等が使用できる。天然ワックスとしては、植物系天然ワックス(カルナバワックス、キャンデリラワックス、シュガーワックス、ライスワックス、木ロウ、ベイベリーワックス、オーキュリーワックス及びエスパルトワックス等)、動物系ワックス(みつろう、昆虫ロウ、鯨ロウ、セラックロウ及びラノリンワックス等)、石油系天然ワックス(パラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックス等)及び鉱物系天然ワックス(オゾケライトワックス及びセレシン等)等が用いられる。これらのうち、植物系天然ワックス、石油系天然ワックス及び鉱物系天然ワックスが好ましく、さらに好ましくはカルナバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びオゾケライトワックスである。
【0010】
合成ワックスとしては、酸化天然ワックス、アマイドワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸変性ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸変性ポリプロピレンワックス、酸変性ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が含まれる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
【0011】
酸化天然ワックスとしては、上記の天然ワックスを空気酸化及び/又はオゾン酸化等により酸化(カルボキシ基、水酸基及び/又はホルミル基を導入)したもの等が使用できる。これらのうち、ワックス乳化分散体の乳化分散のし易さ及び経時安定性の観点等から、石油系天然ワックス(パラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックス等)又は鉱物系天然ワックス(オゾケライトワックス及びセレシン等)を酸化した酸化石油系天然ワックス又は酸化鉱物油系天然ワックスが好ましく、さらに好ましくはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス又はオゾケライトワックスの酸化物である。また、 酸化天然ワックスの酸価(mgKOH/g)は、ワックス乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.5〜45、特に好ましくは1〜40である。すなわち、酸化天然ワックスの酸価は、0.1以上が好ましく、さらに好ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上であり、また、50以下が好ましく、さらに好ましくは45以下、特に好ましくは40以下である。
【0012】
アマイドワックスとしては、炭素数6〜20の脂肪酸モノアマイド(ヘキシルアマイド、ラウリルアマイド、ステアリルアマイド及びエイコシルアマイド等)、炭素数14〜38の脂肪酸ジアマイド(エチレンビスヘキシルアマイド、エチレンビスステアリルアマイド及びエチレンビスラウリルアマイド等)が使用できる。これらのうち、炭素数18〜38のアマイドが好ましく、さらに好ましくはステアリルアマイド、エチレンビスラウリルアマイド及びエチレンビスステアリルアマイドである。
【0013】
ポリエチレンワックスとしては、エチレンの重合により得られるもの、一般成型用ポリエチレンの熱分解(低分子量化)により得られるもの、一般成型用ポリエチレンを製造する際に副生する低分子量ポリエチレンの分離精製により得られるものがあるが、いずれの方法で得られたものでも使用できる。
ポリエチレンワックスの重量平均分子量(Mw)は、ワックス乳化分散体の乳化分散のし易さ及び経時安定性の観点等から、500〜10,000が好ましく、さらに好ましくは600〜9,000、特に好ましくは700〜8,000である。すなわち、ポリエチレンワックスのMwは、500以上が好ましく、さらに好ましくは600以上、特に好ましくは700以上であり、また、10,000以下が好ましく、さらに好ましくは9,000以下、特に好ましくは8,000以下である。なお、重量平均分子量(Mw)は、静的光散乱光度計{例えば、大塚電子(株)製のスタティック光散乱光度計SLS−6000}により、溶媒を1−クロロナフタレン、測定温度を160℃として測定される(以下同様)。
【0014】
酸化ポリエチレンワックスとしては、上記のポリエチレンワックスを空気酸化及び/又はオゾン酸化等により酸化(カルボキシ基、水酸基及び/又はホルミル基を導入)したもの等が使用できる。酸化ポリエチレンワックスのMwはポリエチレンワックスの場合と同様の観点から、ポリエチレンワックスと同じ範囲が好ましい。
また、 酸化ポリエチレンワックスの酸価(mgKOH/g)は、ワックス乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.5〜45、特に好ましくは1〜40である。すなわち、酸化ポリエチレンワックスの酸化は、0.1以上が好ましく、さらに好ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上であり、また、50以下が好ましく、さらに好ましくは45以下、特に好ましくは40以下である。
なお、本発明における酸価とはJIS K2501−1996年に準拠して測定される値をいう。なお、ワックス、モンタン酸ワックス又はモンタン酸ワックスとこのエステルとの混合物は、滴定溶剤に加温(40〜80℃)して溶解させる。
【0015】
酸変性ポリエチレンワックスとしては、上記のポリエチレンワックスに不飽和二重結合含有カルボン酸(α,β−不飽和モノカルボン酸及びα,β−不飽和ジカルボン酸等)等をグラフトさせたカルボン酸変性ポリエチレンワックス等が使用できる。
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸及び2−エチルアクリル酸等が挙げられる。
α,β−不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸及びフマル酸等が挙げられる。
酸変性ポリエチレンワックスのMwは、ポリエチレンワックスの場合と同様の観点から、ポリエチレンワックスと同じ範囲が好ましい。
酸変性ポリエチレンワックスの酸価(mgKOH/g)は、ワックス乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.5〜45、特に好ましくは1〜40である。すなわち、酸変性ポリエチレンワックスの酸化は、0.1以上が好ましく、さらに好ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上であり、また、50以下が好ましく、さらに好ましくは45以下、特に好ましくは40以下である。
【0016】
ポリプロピレンワックスとしては、プロピレンの重合により得られるもの、一般成型用ポリプロピレンの熱分解(低分子量化)により得られるもの、一般成型用ポロプロピレンを製造する際に副生する低分子量ポリエチレンの分離精製により得られるものがあるが、いずれの方法で得られたものでも使用できる。
ポリプロピレンのMwは、ワックス乳化分散体の乳化分散のし易さ及び経時安定性の観点等から、1,000〜50,000が好ましく、さらに好ましくは1,500〜40,000、特に好ましくは2,000〜30,000である。すなわち、ポリプロピレンのMwは、1,000以上が好ましく、さらに好ましくは1,500以上、特に好ましくは2,000以上であり、また、50,000以下が好ましく、さらに好ましくは40,000以下、特に好ましくは30,000以下である。
【0017】
酸化ポリプロピレンワックスとしては、上記のポリプロピレンワックスを空気酸化及び/又はオゾン酸化等により酸化(カルボキシ基、水酸基及び/又はホルミル基を導入)したもの等が使用できる。
酸化ポリプロピレンワックスのMwは、ポリプロピレンワックスの場合と同様の観点から、ポリプロピレンワックスと同じ範囲が好ましい。
酸化ポリプロピレンワックスの酸価(mgKOH/g)は、ワックス乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.5〜45、特に好ましくは1〜40である。すなわち、酸化ポリプロピレンワックスの酸化は、0.1以上が好ましく、さらに好ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上であり、また、50以下が好ましく、さらに好ましくは45以下、特に好ましくは40以下である。
【0018】
酸変性ポリプロピレンワックスとしては、上記のポリプロピレンワックスに不飽和二重結合含有カルボン酸(α,β−不飽和モノカルボン酸及びα,β−不飽和ジカルボン酸等)等をグラフトさせたカルボン酸変性ポリプロピレンワックス等が使用できる。
酸変性ポリプロピレンワックスのMwは、ポリプロピレンワックスの場合と同様の観点から、ポリプロピレンワックスと同じ範囲が好ましい。
酸変性ポリプロピレンワックスの酸価(mgKOH/g)は、ワックス乳化分散体の経時安定性の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.5〜45、特に好ましくは1〜40である。すなわち、酸変性ポリプロピレンワックスの酸化は、0.1以上が好ましく、さらに好ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上であり、また、50以下が好ましく、さらに好ましくは45以下、特に好ましくは40以下である。
【0019】
フィッシャートロプシュワックスとは、石炭を原料とするガスからアーゲ法により得られる生成物を蒸留し、この最高沸点の留分に水素添加することにより得られるものであり、南アフリカ共和国のサゾール公社製のものが好適である。フィッシャートロプシュワックスのMwは、ワックス乳化分散体の乳化分散のし易さ及び経時安定性の観点等から、450〜1,700が好ましく、さらに好ましくは500〜1,600、特に好ましくは600〜1,500である。すなわち、フィッシャートロプシュワックスのMwは、450以上が好ましく、さらに好ましくは500以上、特に好ましくは600以上であり、また、1,700以下が好ましく、さらに好ましくは1,600以下、特に好ましくは1,500以下である。
【0020】
エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、エチレン及び酢酸ビニルの共重合(乳化重合、塊状重合又は溶液重合等)により得られるもの等が使用できる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有量(重量%)は、ワックス乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重量に基づいて、1〜40が好ましく、さらに好ましくは2〜30、特に好ましくは3〜25である。すなわち、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルの含有量(重量%)は、1以上が好ましく、さらに好ましくは2以上、特に好ましくは3以上であり、また、40以下が好ましく、さらに好ましくは30以下、特に好ましくは25以下である。
エチレン−酢酸ビニル共重合物のMwは、ワックス乳化分散体の乳化分散のし易さ及び経時安定性の観点等から、2,000〜50,000のが好ましく、さらに好ましくは2,500〜40,000、特に好ましくは3,000〜30,000である。すなわち、エチレン−酢酸ビニル共重合体のMwは、2,000以上が好ましく、さらに好ましくは2,500以上、特に好ましくは3,000以上であり、また、50,000以下が好ましく、さらに好ましくは40,000以下、特に好ましくは30,000以下である。
【0021】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、エチレンと(メタ)アクリル酸を共重合(乳化重合、塊状重合又は溶液重合等)により得られるものが使用できる。
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中の(メタ)アクリル酸単位の含有量(重量%)は、ワックス乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは2〜28、特に好ましくは3〜25である。すなわち、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中の(メタ)アクリル酸単位の含有量(重量%)は、1以上が好ましく、さらに好ましくは2以上、特に好ましくは3以上であり、また、30以下が好ましく、さらに好ましくは28以下、特に好ましくは25以下である。
【0022】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のMwは、ワックス乳化分散体の乳化分散のし易さ及び経時安定性の観点等から、2,000〜50,000が好ましく、さらに好ましくは2,500〜40,000、特に好ましくは3,000〜30,000である。すなわち、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のMwは、2,000以上が好ましく、さらに好ましくは2,500以上、特に好ましくは3,000以上であり、また、50,000以下が好ましく、さらに好ましくは40,000以下、特に好ましくは30,000以下である。
【0023】
これらの合成ワックスのうち、酸化ポリエチレンワックス、酸変性ポリプロピレンワックス及びエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、さらに好ましくは酸化ポリエチレンワックス及び酸変性ポリプロピレンワックスである。これらの天然ワックス及び合成ワックスはそれぞれ単独で使用してもよいし、複数のものを任意に組み合わせて使用してもよい。
【0024】
モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)としては、酸価を持ち、加熱により溶融するワックスであれば制限なく使用できるが、次の酸価及び融点を有するワックスが好ましい。
【0025】
モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の酸価(mgKOH/g)は、20〜200が好ましく、さらに好ましくは40〜180、特に好ましくは50〜160である。すなわち、モンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)の酸価(mgKOH/g)は、20以上が好ましく、さらに好ましくは40以上、特に好ましくは50以上であり、また、200以下が好ましく、さらに好ましくは180以下、特に好ましくは160以下である。酸価がこの範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(増粘及びゲル化等)及び水希釈安定性がさらに良好となる。
【0026】
モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の融点(℃)は、60〜200が好ましく、さらに好ましくは70〜180、特に好ましくは80〜170である。すなわち、モンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)の融点(℃)は、60以上が好ましく、さらに好ましくは70以上、特に好ましくは80以上であり、また、200以下が好ましく、さらに好ましくは180以下、特に好ましくは170以下である。融点がこの範囲であると、ワックス乳化分散体の熱に対する経時安定性が充分確保され、特に夏場におけるワックス乳化分散体の経時安定性がさらに良好となる。また、乳化分散粒子の粒子径がコントロールし易くなるため、ワックス乳化分散体の経時安定性がさらに良好となる。
【0027】
モンタン酸ワックス(b1)としては、アメリカやドイツ等で産出される褐炭より抽出・蒸留された成分を硝酸又はクロム酸等により漂白精製することにより得られる長鎖モノカルボン酸が使用できる。この長鎖モノカルボン酸の炭素数は、16〜38が好ましく、さらに好ましくは18〜36、特に好ましくは22〜34である。炭素数がこの範囲であると、乳化分散粒子の粒子径がコントロールし易くなり、ワックス乳化分散体の経時安定性がさらに良好となる。
モンタン酸ワックス(b1)としては、市販されているものとして、クラリアントジャパン(株)のLicowaxS(酸価:157〜182mgKOH/g)及びLicowaxLP(酸価:113〜130mgKOH/g)、並びにBASFジャパン(株)のLuwaxS(酸価:135〜160mgKOH/g)等が挙げられる。
【0028】
モンタン酸エステルとしては、モンタン酸ワックス(b1)と次のアルコールとのエステル等が含まれる。
アルコールとしては、脂肪族アルコール及び芳香脂肪族アルコール等が含まれる。
脂肪族アルコールとしては、モノオール及びポリオール(ジオール及びトリオール等)等が使用できる。
モノオールとしては、炭素数1〜23のモノオール等が用いられ、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、デカノール、ウンデカノール、オクタデカノール、イソオクタデカノール、オクタデセノール、ドコサノール、14−メチルヘキサデカノール、ドコサン−1,2−ジオール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、α−テレピネオール及びアビエチノール等が挙げられる。
【0029】
ポリオールとしては、炭素数2〜22のポリオール等が用いられ、エタンジオール、プロパンジオール、ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセロール、ソルビトール、ソルビタン、蔗糖、ベヘンジオール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール及び2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
【0030】
芳香脂肪族アルコールとしては、芳香脂肪族モノオール及び芳香脂肪族ポリオール(ジオール及びトリオール等)等が使用できる。
芳香脂肪族モノオールとしては、炭素数7〜22のモノオール等が用いられ、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、サリチルアルコール、アニシルアルコール、ヒドロシンナミルアルコール、シンナミルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、β−フェニルプロピルアルコール、β−フェニルヘキサデシルアルコール及びメチルフェニルカルビノール等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリオールとしては、炭素数8〜22のポリオール等が用いられ、フタリルアルコール、イソフタリルアルコール、テレフタリルアルコール、ヒドロベンゾイン及び3−フェニルヘキサデカン−1,8−ジオール等が挙げられる。
【0031】
これらのアルコールのうち、脂肪族アルコールが好ましく、さらに好ましくは脂肪族ポリオール、特に好ましくはエタンジオール、プロパンジオール、ペンタエリスリトール及びグリセリンである。なお、これらのアルコールはそれぞれ単独で使用してもよいし、複数のものを任意に組み合わせて使用してもよい。
【0032】
モンタン酸エステルは、公知のエステル合成法により製造することができ、例えば、モンタン酸ワックス(b1)、アルコール、並びに必要により溶剤(トルエン、キシレン等)及び/又は触媒(硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸等)を加熱溶融(溶解)し、加熱(減圧又は還流)下で脱水縮合反応を行うことにより得ることができる。
【0033】
モンタン酸ワックス(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)に占めるモンタン酸ワックス(b1)の含有量(重量%)は、混合物(b2)の重量に基づいて、10〜95が好ましく、さらに好ましくは30〜90、特に好ましくは50〜85である。すなわち、混合物(b2)に占めるモンタン酸ワックス(b1)の含有量は、10以上が好ましく、さらに好ましくは30以上、特に好ましくは50以上であり、また、95以下が好ましく、さらに好ましくは90以下、特に好ましくは85以下である。モンタン酸ワックスの含有量がこの範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(増粘、凝集及び分離等)がさらに良好となる。
【0034】
モンタン酸ワックス(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)に占めるモンタン酸エステルの含有量(重量%)は、混合物(b)の重量に基づいて、5〜90が好ましく、さらに好ましくは10〜70、特に好ましくは15〜50である。すなわち、混合物(b2)に占めるモンタン酸ワックスの含有量は、5以上が好ましく、さらに好ましくは10以上、特に好ましくは15以上であり、また、90以下が好ましく、さらに好ましくは70以下、特に好ましくは50以下である。モンタン酸ワックスのエステルの含有量がこの範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(増粘、凝集及び分離等)がさらに良好となる。
【0035】
混合物(b2)としては、市販されているものとして、クラリアントジャパン(株)のLicowaxKP(酸価:20〜30mgKOH/g)及びLicowaxKSL(酸価:28〜33mgKOH/g)、並びにBASFジャパン(株)のLuwaxLG(酸価:25〜35mgKOH/g)等が挙げられる。
【0036】
ワックス(a)の含有量(重量%)は、(a)、及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の合計重量に基づいて、50〜99が好ましく、さらに好ましくは60〜98、特に好ましくは70〜95である。すなわち、ワックス(a)の含有量(重量%)は、(a)と(b1)又は(b2)との合計重量に基づいて、50以上が好ましく、さらに好ましくは60以上、特に好ましくは70以上であり、また、99以下が好ましく、さらに好ましくは98以下、特に好ましくは95以下である。ワックス(a)の含有量がこの範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(増粘、凝集及び分離等)がさらに良好となる。
【0037】
モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の含有量(重量%)は、ワックス(a)と(b1)又は(b2)との合計重量に基づいて、1〜50が好ましく、さらに好ましくは2〜40、特に好ましくは5〜30である。すなわち、(b1)又は(b2)の含有量(重量%)は、(a)と(b1)又は(b2)との合計重量に基づいて、1以上が好ましく、さらに好ましくは2以上、特に好ましくは5以上であり、また、50以下が好ましく、さらに好ましくは40以下、特に好ましくは30以下である。(b)の含有量がこの範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(増粘、凝集及び分離)さらに良好となる。
【0038】
水(c)としては、一般的に用いられる水であれば制限なく使用でき、工業用水、水道水及び脱イオン水等が挙げられる。これらのうち、水道水及び脱イオン水が好ましい。
水(c)のpHは、5〜12が好ましく、さらに好ましくは5.5〜10、特に好ましくは6〜8である。すなわち、水のpHは、5以上が好ましく、さらに好ましくは5.5以上、特に好ましくは6以上であり、また、12以下が好ましく、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは8以下である。水のpHがこの範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(凝集、分離、ゲル化及び増粘等)がさらに良好となる。なお、pHは、JIS K0802−1996年に準拠して、銀/塩化銀電極を用いたガラス電極式pH測定機{例えば、(株)堀場製作所製のカスタニーLAB pHメーター}により、測定温度を25℃として測定される。
【0039】
水のpHは、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂を通過させることにより調整することができ、また、適当な酸又は塩基の添加によっても調整できる。酸としては、塩酸、硫酸及び硝酸等の強酸が好ましく、さらに好ましくは塩酸及び硫酸である。塩基としては後記の塩基(d)であることが好ましく、さらに好ましくはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0040】
本発明のワックス乳化分散体中に占めるワックス(a)、及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の含有量(重量%)は、(a)、(b1)又は(b2)及び水(c)の合計重量に基づいて、5〜70が好ましく、さらに好ましくは7〜65、特に好ましくは10〜60である。すなわち、(a)と(b1)又は(b2)との含有量(重量%)は、(a)、(b1)又は(b2)、及び(c)の合計重量に基づいて、5以上が好ましく、さらに好ましくは7以上、特に好ましくは10以上であり、また、70以下が好ましく、さらに好ましくは65以下、特に好ましくは60以下である。この範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(凝集及び分離等)がさらに良好となる。
【0041】
水(c)の含有量(重量%)は、ワックス(a)、モンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)、及び水(c)の合計重量に基づいて、30〜95が好ましく、さらに好ましくは35〜93、特に好ましくは40〜90である。すなわち、水の含有量(重量%)は、(a)、(b1)又は(b2)、及び(c)の合計重量に基づいて、30以上が好ましく、さらに好ましくは35以上、特に好ましくは40以上であり、また、95以下が好ましく、さらに好ましくは93以下、特に好ましくは90以下である。この範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(凝集及び分離等)がさらに良好となる。
【0042】
本発明のワックス乳化分散体には、さらに塩基(d)を含有させることができる。塩基を含有させると、ワックス乳化分散体の製造し易さ及び経時安定性がさらに向上する。
塩基(d)を含有する場合、塩基(d)の含有量(モル当量)は、ワックス(a)、及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の合計カルボキシ基1モル当量当たり、0.05〜3が好ましく、さらに好ましくは0.2〜2、特に好ましくは0.3〜1である。すなわち、この場合、塩基(d)の含有量(モル当量)は、(a)、及び(b1)又は(b2)に含まれるカルボキシ基の合計カルボキシ基1モル当量当たり、0.05以上が好ましく、さらに好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上であり、また、3以下が好ましく、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。塩基(d)の含有量がこの範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(凝集、分離、ゲル化及び増粘等)がさらに良好となり、また、ワックス乳化分散体を添加した塗料、インク又は紙コーティングカラー等の耐水性の低下をさらに抑えることができる。
【0043】
塩基(d)としては、カルボキシ基を中和できる程度の強さの塩基であれば制限なく使用でき、アンモニア、アミン及び金属塩等が含まれる。
アミンとしては、アルキルアミン、アルカノールアミン、芳香族アミン及びポリアミン等が使用できる。
アルキルアミンとしては、炭素数1〜22のモノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミン等が用いられ、メチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、メチルブチルアミン、デシルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アリルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデセニルアミン、モルホリン及びピペリジン等が挙げられる。
【0044】
アルカノールアミンとしては、炭素数2〜22のモノ−、ジ−又はトリ−アルカノールアミン等が用いられ、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−メチルアミノエタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール及び3−ヒドロキシプロピルアミン等が挙げられる。
【0045】
芳香族アミンとしては、炭素数6〜22の芳香族モノ−、ジ−又はトリ−アミン等が用いられ、アニリン、ピリジン、ピロール、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トルイジン、キノリン、イソキノリン、ピコリン及びルチジン等が挙げられる。
【0046】
ポリアミンとしては、炭素数2〜22のアルキレンポリアミン{エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びヘキシレンジアミン等}、炭素数6〜22のアリレンポリアミン{フェニレンジアミン及び1,4−ナフタレンジアミン等}及び炭素数4〜22のポリエチレンポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びテトラエチレンペンタミン等)等が用いられる。
【0047】
金属塩としては、金属水酸化物等が使用でき、元素の周期律表第I族金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)、同第II族金属(マグネシウム及びカルシウム等)、同第III族金属(アルミニウム等)、同第VIII族(鉄、コバルト及びニッケル等)等の水酸化物が挙げられる。
これらの塩基のうち、アンモニア、アルカノールアミン及び金属塩が好ましく、さらに好ましくはアンモニア、アルカノールアミン及び金属水酸化物、特に好ましくはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。なお、これらの塩基は単独でも任意に組み合わせて用いてもよい。
【0048】
本発明のワックス乳化分散体には、さらに添加剤(e)を含有させることができる。添加剤(e)としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、汚染防止剤、帯電防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、浸透剤、レベリング剤、架橋剤、防腐防黴剤、殺菌剤、消泡剤、香料、染料及び顔料等が含まれる。
添加剤(e)を含有させる場合、この含有量(重量%)は、ワックス乳化分散体の経時安定性(凝集及び分離等)等の観点から、ワックス乳化分散体の重量に基づき、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.02〜4、特に好ましくはO.O3〜3である。すなわち、この場合、(e)の含有量(重量%)は、ワックス乳化分散体の重量に基づいて、0.01以上が好ましく、さらに好ましくは0.02以上、特に好ましくは0.03以上であり、また、5以下が好ましく、さらに好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。
【0049】
なお、本発明のワックス乳化分散体には、乳化分散剤及び有機溶剤を含有するものではないが、添加剤に含まれている成分等の不純物までも除くものではない。乳化分散剤を含有すると、耐水性が著しく低下しやすく、有機溶剤は環境に悪影響を及ぼしやすい。従って、本発明のワックス乳化分散体には、乳化分散剤及び有機溶剤は含有しないことが好ましい。このような乳化分散剤及び有機溶剤としては、以下のものがある。
有機溶剤の最大許容含有量(重量%)は、ワックス乳化分散体の重量に基づいて5以下が好ましく、さらに好ましくは3以下、特に好ましくは1以下、最も好ましくは0である。
界面活性剤の最大許容含有量(重量%)は、ワックス(a)とモンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)との合計重量に基づいて、10以下が好ましく、さらに好ましくは5以下、特に好ましくは1以下、最も好ましくは0である。これらの最大許容含有量にする方法としては、▲1▼有機溶剤、界面活性剤を含まないワックス(a)、モンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)、水(c)、並びに必要により塩基(d)及び/又は添加剤(e){以下、原材料(a−e)}を用いる方法、▲2▼原材料を溶剤洗浄して不純物として含まれる界面活性剤を取り除いた後、さらに加熱及び/又は減圧するなどして溶剤を取り除く方法、▲3▼▲2▼と同様にして界面活性剤を取り除いた後、ワックス乳化分散体の製造工程中(後述の溶融混合工程、乳化分散工程及び冷却工程等)または製造後に、加熱及び/又は減圧するなどして溶剤を取り除く方法等が挙げられる。
【0050】
含有しないことが好ましい有機溶剤としては、アルコール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、グリセリン、エチレングリコール及びプロピレングリコール)、フェノール(フェノール、クレゾール及びキシレノール)、エーテル(ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジオキサン、フラン及びテトラヒドロフラン)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル及びプロピオン酸エチル)及びその他の溶剤(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ)である。
【0051】
含有しないことが好ましい乳化分散剤としては、ノニオン界面活性剤{(ポリオキシエチレン)グリセリン脂肪酸エステル、(ポリオキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルシクロヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド及びポリエーテル変成シリコーン}、アニオン界面活性剤{(ポリオキシエチレン)アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、(ジ)アルキルスルホコハク酸塩、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシアルキルエーテルカルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩}、カチオン性界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩及び塩化ベンザルコニウム)及び両性界面活性剤(ベタイン型及びアミノ酸型)である。
【0052】
本発明のワックス乳化分散体中の乳化分散粒子(ワックス粒子)の体積平均粒子径(μm)は、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは0.02〜45、特に好ましくは0.03〜40である。すなわち、ワックス粒子の体積平均粒子径(μm)は、0.01以上が好ましく、さらに好ましくは0.02以上、特に好ましくは0.03以上であり、また、50以下が好ましく、さらに好ましくは45以下、特に好ましくは40以下である。体積平均粒子径がこの範囲にあるとワックス乳化分散体の経時安定性(増粘、凝集及び分離等)がさらに良好となる。
【0053】
なお、体積平均粒子径は、体積平均粒子径が1μmより大きい場合、レーザー回折式粒度分析計{例えば、日機装(株)製のマイクロトラックHRA粒度分析計}により、分散媒を脱イオン水、測定温度を25℃として測定される。一方、体積平均粒子径が1μmより小さい場合、レーザードップラー式粒度分析計{例えば、日機装(株)製のマイクロトラックUPA粒度分析計}により、分散媒を脱イオン水、測定温度を25℃として測定される。
【0054】
乳化分散粒子の体積平均粒子径は、攪拌混合機及び乳化分散機の剪断力等により調整することができる。例えば、高圧噴射式乳化分散機においてはワックス乳化分散体の吐出圧力を変化させる方法、高速回転剪断型乳化分散機や高速回転遠心放射型乳化分散機においてはタービンや攪拌翼の回転数を変化させる方法により調製することができる。また、乳化分散の処理時間を変化させることによっても調節することができる。すなわち、高剪断力を加えることにより、乳化分散粒子の粒子径は小さくなる傾向があり、逆に低剪断力を加えることにより粒子径は大きくなる傾向がある。この他、粒子径は乳化分散温度等にも影響され、乳化分散温度を上げると粒子径は小さくなる傾向があり、逆に乳化分散温度を下げると粒子径は大きくなる傾向がある。
【0055】
次に、本発明のワックス乳化分散体の製造方法について説明する。
本発明のワックス乳化分散体の製造方法は、有機溶剤及び乳化分散剤を使用することなく、ワックス(a)、モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)、並びに必要により塩基(d)を溶融混合した状態で水中に乳化分散する工程を必須とする。
ワックス(a)の使用量(重量%)は、ワックス(a)及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の重量に基づいて、50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98、特に好ましくは70〜95である。すなわち、ワックス(a)の使用量(重量%)は、(a)と(b1)又は(b2)との合計重量に基づいて、50以上が好ましく、さらに好ましくは60以上、特に好ましくは70以上であり、また、99以下が好ましく、さらに好ましくは98以下、特に好ましくは95以下である。この範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(増粘、凝集及び分離等)がさらに良好となる。
モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の使用量(重量%)は、ワックス(a)と(b1)又は(b2)との重量に基づいて、1〜50が好ましく、さらに好ましくは2〜40、特に好ましくは5〜30である。すなわち、(b1)又は(b2)の使用量(重量%)は、(a)と(b1)又は(b2)との合計重量に基づいて、1以上が好ましく、さらに好ましくは2以上、特に好ましくは5以上であり、また、50以下が好ましく、さらに好ましくは40以下、特に好ましくは30以下である。この範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(増粘、凝集及び分離)さらに良好となる。
【0056】
ワックス(a)、及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の使用量(重量%)は、(a)、(b1)又は(b2)及びに水(c)の合計重量に基づいて、5〜70が好ましく、さらに好ましくは7〜65、特に好ましくは10〜60である。すなわち、(a)と(b1)又は(b2)との使用量(重量%)は、(a)、(b1)又は(b2)、及び(c)の合計重量に基づいて、5以上が好ましく、さらに好ましくは7以上、特に好ましくは10以上であり、また、70以下が好ましく、さらに好ましくは65以下、特に好ましくは60以下である。この範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(凝集及び分離等)がさらに良好となる。
【0057】
水(c)の使用量(重量%)は、ワックス(a)、モンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)、及び水(c)の合計重量に基づいて、30〜95が好ましく、さらに好ましくは35〜93、特に好ましくは40〜90である。すなわち、水の使用量(重量%)は、(a)、(b1)又は(b2)、及び(c)の合計重量に基づいて、30以上が好ましく、さらに好ましくは35以上、特に好ましくは40以上であり、また、95以下が好ましく、さらに好ましくは93以下、特に好ましくは90以下である。この範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(凝集及び分離等)がさらに良好となる。
【0058】
塩基(d)を使用する場合、塩基(d)の使用量(モル当量)は、ワックス(a)、及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の合計カルボキシ基1モル当量当たり、0.05〜3が好ましく、さらに好ましくは0.2〜2、特に好ましくは0.3〜1である。すなわち、この場合、塩基(d)の使用量(モル当量)は、(a)、及び(b1)又は(b2)に含まれるカルボキシ基の合計カルボキシ基1モル当量当たり、0.05以上が好ましく、さらに好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上であり、また、3以下が好ましく、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。この範囲であると、ワックス乳化分散体の経時安定性(凝集、分離、ゲル化及び増粘等)がさらに良好となり、また、ワックス乳化分散体を添加した塗料、インク又は紙コーティングカラー等の耐水性の低下をさらに抑えることができる。
【0059】
水中に乳化分散させる工程としては、乳化分散の当初から水中油型乳化分散体とする方法(以下、順相乳化分散法)、及び乳化当初は油中水型乳化分散体とし、乳化分散工程の途中で転相して水中油型乳化分散体とする方法(以下、逆相転相法)の何れも適用できる。
【0060】
乳化分散時の温度は、使用するワックス(a)、及びモンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)のうち最も高い融点以上であることが好ましく、さらに好ましくは最も高い融点+10℃以上、特に好ましくは最も高い融点+15℃以上であり、また、350℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは300以下、特に好ましくは250℃以下である。乳化分散温度がこの範囲であると、(a)と(b1)又は(b2)の全てを水中にさらに良好に乳化することができる。従って、ワックス乳化分散体の経時安定性がさらに向上する。
【0061】
本発明のワックス乳化分散体の製造法は、上記の乳化分散工程の他に、ワックス(a)及びモンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)の溶融混合工程、並びに冷却工程を含むことが好ましい。なお、ワックス(a)及びモンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)を溶融混合する場合も、乳化分散温度と同じ温度範囲で行うことが好ましい。
【0062】
溶融混合工程としては、▲1▼室温(約15〜30℃:以下同じ)で、ワックス(a)、モンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)及び水(c)を溶融混合容器に仕込んだ後、溶融混合する方法、▲2▼(a)及び(b1)又は(b2)を溶融混合容器に仕込んだ後、溶融混合する方法、並びに▲3▼ワックス(a)と、モンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)とをそれぞれ別々の溶融混合容器で溶融した後、乳化分散容器内で乳化分散すると同時にこれらを溶融混合する方法等が適用できる。これらのうち、▲1▼、▲2▼の方法が好ましく、さらに好ましくは▲1▼の方法である。
【0063】
乳化分散工程において、原材料(a−e)及び水(c)の投入方法としては、I)溶融混合工程▲1▼で得た溶融混合物を乳化分散容器に一括で仕込乳化する方法(溶融混合容器をそのまま乳化分散容器として用いてもよい)、II)溶融混合工程▲2▼で得た溶融混合物を室温に冷却後、水(c)とともに乳化分散容器に一括で仕込乳化する方法、III)溶融混合工程▲2▼で得た溶融混合物を、溶融混合温度と同じ温度の水(c)が入っている乳化分散容器に一括で仕込乳化する方法、IV)溶融混合工程▲2▼で得た溶融混合物を、溶融混合温度と同じ温度の水(c)が入っている乳化分散容器に連続又は段階的に仕込みながら同時に乳化する方法、V)溶融混合工程▲3▼で得た溶融物をそれぞれ別々に、溶融温度と同じ温度の水(c)が入っている乳化分散容器に一括で仕込み乳化する方法、VI)溶融混合工程▲2▼で得た溶融混合物が入っている乳化分散容器に、溶融混合温度と同じ温度の水(c)を一括で仕込む方法、VII)溶融混合工程▲2▼で得た溶融混合物が入っている乳化分散容器に、溶融混合温度と同じ温度の水(c)を連続又は段階的に仕込みながら同時に乳化する方法、並びにVIII)水(c)の一部と原材料(a−e)をI)〜VII)のいずれかの方法で仕込み、乳化分散後、乳化分散温度に加熱した残りの水(c)を連続、段階的又は一括して仕込む方法等が適用できる。
【0064】
これらのうち、順相乳化分散法にはI)、II)、III)及びIV)が好ましく、逆相転相法にはVII)及びVIII)が好ましい。
溶融混合工程及び乳化分散工程において、必要により塩基(d)及び/又は添加剤(e)を添加することができる。(d)及び/又は(e)は、溶融混合工程▲1▼において他の原料と一括して仕込んでもよく、溶融混合工程▲2▼又は▲3▼においてワックス(a)、モンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)に添加して溶融混合物としてもよい。また、乳化分散工程I)〜vIII)のいずれかにおいて、水(c)に添加しておいてもよい。また、溶融混合工程及び乳化分散工程の両方において添加してもよい。これらのうち、溶融混合工程▲1▼において添加することが好ましい。
【0065】
乳化分散方法としては、順相乳化分散法には(1)I)又はII)の方法で仕込んだものを加熱溶融した後、又は加熱溶融しながら攪拌混合機や乳化分散機を用いて乳化分散する方法、(2)III)〜VI)のいずれかの方法で仕込んだ後又は仕込みの段階から攪拌混合機や乳化分散機を用いて乳化分散する方法等が適用できる。また、逆相転相法には、(3)VII)の方法で仕込む段階から攪拌混合機や乳化分散機を用いて乳化分散する方法、(4)VIII)の方法のように仕込んだものを攪拌混合機や乳化分散機を用いて乳化分散し、その後乳化分散を継続しながら、乳化分散温度に加熱した残りの水を加えていく方法等が適用できる。
【0066】
冷却工程としては、(5)乳化分散容器に設けたジャケットやコイルに冷媒を通入して乳化分散体を冷却する方法、(6)乳化分散体を熱交換器に通して冷却する方法、(7)冷水中に乳化分散体を投入して冷却する方法等が適用できる。なお、(7)の方法において、冷水の代わりに、冷却したワックス乳化分散体を用いてもよい。乳化分散体の冷却温度は、使用するワックス(a)及びモンタン酸ワックス(b1)又は混合物(b2)のうち最も低い融点以下であることが好ましく、さらに好ましくは最も低い融点−10℃以下、特に好ましくは最も低い融点−20℃以下である。この範囲まで冷却すれば、乳化分散粒子が固体となり、粒子同士の融着が起こらなくなるため、凝集の発生をより抑えられる。さらに、融点よりなお低い温度まで冷却することが、乳化分散粒子の低分子量部分の固化が進み、より凝集の発生を抑えられる。また、冷却工程は、冷却開始から終了に至るまでを短時間に行うことにより、分散している粒子の凝固時にできる粒子内部の結晶を細かくし、粒子表面の状態を均一にすることができるため、水中での分散安定性が向上し、粒子の凝集や分離を防ぐため好ましい。
【0067】
なお、溶融混合工程、乳化分散工程及び冷却工程において、温度が70℃以上の場合は、水の蒸発の観点等から、密閉下で行うことが好ましく、さらに好ましくは耐圧密閉容器内で行うことが好ましい。
【0068】
溶融混合装置としては、攪拌混合機及び乳化分散機等が使用できる。攪拌混合機としては、通常の撹拌混合機等が使用でき、インペラ型攪拌機、ニーダー、ラインミキサー及びプラネタリーミキサー等が含まれる。インペラ型攪拌機としては、プロペラ型翼攪拌機、パドル型翼攪拌機及びタービン型翼攪拌機等が挙げられる。
【0069】
乳化分散機としては、通常の乳化分散機等が使用でき、高圧噴射式乳化分散機、高速回転遠心放射型乳化分散機、高速回転剪断型乳化分散機及び摩砕式乳化分散機機等が含まれる。高圧噴射式乳化分散機としては、ガウリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー及びナノマイザー等が挙げられる。高速回転遠心放射型乳化分散機としてはコーレスミキサー等が挙げられる。高速回転剪断型乳化分散機としてはホモミキサー及びウルトラタックス等が挙げられる。摩砕式乳化分散機としてはコロイドミル等が挙げられる。これらの攪拌混合機及び乳化分散機は2種以上を組み合わせて使用することもでき、また攪拌混合機と乳化分散機を組み合わせて使用することもできる。
【0070】
乳化分散工程に用いる乳化分散装置としては、攪拌混合機及び乳化分散機等が使用できる。
乳化分散機としては、通常の乳化分散機等が使用でき、上記の溶融混合装置として使用できる装置の他に、メディア式乳化分散機、超音波式乳化分散機及び機械発振乳化分散機等が含まれる。メディア式乳化分散機としてはサンドグラインダー、アジテーターミル、ボールミル及びアトライター等が挙げられる。機械発振式乳化分散機としてはウルトラソニック等が挙げられる。これらの攪拌混合機及び乳化分散機は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0071】
本発明のワックス乳化分散体は、ワックス(a)及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の選定、これらの体積平均粒子径、並びに塩基(d)等を適切に調整した上で、例えば、塗料・インク用滑剤、塗料・インク用艶消し剤、紙コーテイングカラー用離型剤、紙コーティングカラー用擦り傷防止剤、紙用表面摩擦係数調整剤、紙用防湿剤、建材用耐水化剤、農業シート用防水剤、セラミックスバインダー、フロアーワックス用増膜成分、カーワックス用増膜成分、トナー用離型剤、エマルション接着剤用可とう性付与剤、ラテックス用改質剤及びエマルション接着剤用改質剤等に適用できる。これらのうち、塗料・インク用滑剤、塗料・インク用艶消し剤、紙コーテイングカラー用離型剤、紙コーティングカラー用擦り傷防止剤、紙用表面摩擦係数調整剤及び紙用防湿剤に好適である。
【0072】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下、特記しない限り部は重量部を、%は重量%意味する。
<実施例1>
マイクロクリスタリンワックス(a1){商品名:Hi−Mic1080、日本精蝋製、融点87℃}28部、モンタン酸ワックス(b1▲1▼){商品名:Licowax S、クラリアントジャパン製、融点85℃}7部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}1.2部及び脱イオン水63.8部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、150℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体1を得た。
【0073】
<実施例2>
ポリエチレンワックス(a2){商品名:サンワックス171−P、三洋化成工業製、融点107℃}30部、モンタン酸ワックス(b1▲1▼){商品名:Licowax S、クラリアントジャパン製、融点85℃}10部、水酸化ナトリウム{試薬1級、和光純薬工業製}1.25部及び脱イオン水58.75部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、150℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体2を得た。
【0074】
<実施例3>
酸化ポリエチレンワックス(a3){商品名:HiWax4202E、三井化学製、融点100℃}36部、モンタン酸ワックス(b1▲1▼){商品名:Licowax S、クラリアントジャパン製、融点85℃}4部、水酸化ナトリウム{試薬1級、和光純薬工業製}0.7部及び脱イオン水59.3部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、150℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1000kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体3を得た。
【0075】
<実施例4>
ポリプロピレンワックス(a4){商品名:ビスコール330−P、三洋化成工業製、融点153℃}6部、モンタン酸ワックス(b1▲2▼){商品名:Licowax LP、クラリアントジャパン製、融点87℃}4部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}0.5部及び脱イオン水89.5部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、160℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体4を得た。
【0076】
<実施例5>
フィッシャートロプシュワックス(a5){商品名:パラフリントH1、サゾール公社製、融点107℃}25部、モンタン酸ワックス(b1▲2▼){商品名:Licowax LP、クラリアントジャパン製、融点87℃}25部、モルホリン{和光特級、和光純薬工業製}4部及び脱イオン水46部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、130℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体5を得た。
【0077】
<実施例6>
アマイドワックス(a6){商品名:脂肪酸アマイドワックスS、花王製、融点105℃}31.5部、モンタン酸ワックス(b1▲2▼){商品名:Licowax LP、クラリアントジャパン製、融点87℃}13.5部、モルホリン{和光特級、和光純薬工業製}1.3部及び脱イオン水53.7部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、130℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体6を得た。
【0078】
<実施例7>
カルナバワックス(a7){商品名:精製微粒状カルナバS、東亜化成製、融点86℃}63部、モンタン酸ワックス(b1▲2▼){商品名:Licowax LP、クラリアントジャパン製、融点87℃}7部、ジエタノールアミン{試薬特級、和光純薬工業製}1.5部及び脱イオン水28.5部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、110℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1200kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体7を得た。
【0079】
<実施例8>
酸化ポリエチレンワックス(a8){商品名:AC−316、アライドシグナル製、融点140℃}36部、モンタン酸ワックス(b1▲2▼){商品名:Licowax LP、クラリアントジャパン製、融点85℃}4部、ステアリルアミン{和光純薬工業製}0.5部及び脱イオン水59.5部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、150℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体8を得た。
【0080】
<実施例9>
マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(a9){商品名:ユーメックス1001、三洋化成工業製、融点145℃}24部、モンタン酸ワックス(b1▲2▼){商品名:Licowax LP、クラリアントジャパン製、融点87℃}6部、プロピレンジアミン{和光1級、和光純薬工業製}1.6部及び脱イオン水68.4部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、150℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1000kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体9を得た。
【0081】
<実施例10>
ライスワックス(a10){商品名:TOA SUPER ESTER WAX TR、東亜化成製、融点80℃}24部、モンタン酸ワックスエステル(b2▲1▼){商品名:Licowax KP、クラリアントジャパン製、融点85℃}16部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}0.02部及び脱イオン水59.98部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、10℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体10を得た。
【0082】
<実施例11>
エチレン−アクリル酸共重合体ワックス(a11){商品名:ニュクレルN2030H、三井・デュポンポリケミカル製、融点80℃}14.85部、モンタン酸ワックスエステル(b2▲1▼){商品名:Licowax KSL、クラリアントジャパン製、融点83℃}0.15部、25%アンモニア水溶液{試薬特級、和光純薬工業製}2.3部及び脱イオン水82.7部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、130℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1000kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体11を得た。
【0083】
<実施例12>
酸化ポリエチレンワックス(a3){商品名:HiWax−4202E、三井化学製、融点100℃}4.25部、モンタン酸ワックスエステル(b2▲1▼){商品名:Licowax KSL、クラリアントジャパン製、融点83℃}0.75部、25%アンモニア水溶液{試薬特級、和光純薬工業製}0.1部及び脱イオン水94.9部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、140℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体12を得た。
【0084】
<実施例13>
酸化ポリエチレンワックス(a3){商品名:HiWax−4202E、三井化学製、融点100℃}21部、モンタン酸ワックスエステル(b2▲2▼){商品名:Licowax LG、クラリアントジャパン製、融点75℃}9部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}0.25部及び脱イオン水69.75部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、120℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体13を得た。
【0085】
<実施例14>
マイクロクリスタリンワックス(a1){商品名:Hi−Mic1080、日本精蝋製、融点87℃}30部、モンタン酸ワックスエステル(b2▲2▼){商品名:Licowax LG、クラリアントジャパン製、融点75℃}20部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}0.5部及び脱イオン水49.5部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、120℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1000kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより本発明のワックス乳化分散体14を得た。
【0086】
<比較例1>
マイクロクリスタリンワックス(a1){商品名:Hi−Mic1080、日本精蝋製、融点87℃}15部とイソプロピルアルコール{和光特級、和光純薬工業製}25部とをプロペラ型撹拌翼付耐圧容器に仕込み、80℃まで昇温後、同温度で3時間溶融撹拌混合した。次いで、インペラ型攪拌羽(形状:櫂型、幅/高さ(長さ比)9/1.5)付容器中のイソプロピルアルコール5部及び水55部からなる混合溶液を300rpmで攪拌しながら、上述の溶融混合液を60ml毎分の速度で添加した。これを、高圧ホモジナイザー(圧力:1000kg/cm)で30分間処理すると共に直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより、比較用のワックス乳化分散体15を得た。
【0087】
<比較例2>
酸化ポリエチレンワックス(a3){商品名:HiWax4202E、三井化学製、融点100℃}30部、イオン交換水64.52部とノニオン界面活性剤{ノニルシクロヘキサノールのエチレンオキサイド12モル付加物(以下、ノニルシクロヘキサノールEO12モル)}を5部及び水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}0.48部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、160℃まで昇温後、同温度で1時間攪拌混合した。これを90℃に冷却、高圧ホモジナイザー(圧力:400kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより比較用のワックス乳化分散体16を得た。
【0088】
<比較例3>
マイクロクリスタリンワックス(a1){商品名:Hi−Mic1080、日本精蝋製、融点87℃}28部、モンタン酸ワックス(b1▲1▼){商品名:Licowax S、クラリアントジャパン製、融点85℃}7部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}1.2部、ノニオン性界面活性剤{商品名:イオネット S−80、三洋化成工業製}2.5部、ノニオン性界面活性剤{商品名:ブラウノンSR−710、青木油脂工業製}2.5部及び脱イオン水58.8部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、120℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1200kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより比較用のワックス乳化分散体17を得た。
【0089】
<比較例4>
マイクロクリスタリンワックス(a1){商品名:Hi−Mic1080、日本精蝋製、融点87℃}28部、モンタン酸ワックス(b1▲1▼){商品名:Licowax S、クラリアントジャパン製、融点85℃}7部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}1.2部、ブチルセロソルブ{和光特級、和光純薬工業製}10部及び脱イオン水53.76部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、150℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより比較用のワックス乳化分散体18を得た。
【0090】
<比較例5>
酸化ポリエチレンワックス(a3){商品名:HiWax−4202E、三井化学製、融点100℃}20部、25%アンモニア水溶液{試薬特級、和光純薬工業製}0.4部及び脱イオン水79.6部をプロペラ型撹拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、140℃まで昇温後、同温度で3時間撹拌混合した。ついで、高圧ホモジナイザー(圧力:1500kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより比較用のワックス乳化分散体19を得た。
【0091】
<比較例6>
酸化ポリエチレンワックス(a3){商品名:HiWax−4202E、三井化学製、融点100℃}28部、モンタン酸ワックス(b1▲1▼){商品名:Licowax S、クラリアントジャパン製、融点85℃}7部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}1.2部、イソプロピルアルコール{和光特級、和光純薬工業製}20部及び脱イオン水43.8部をプロペラ型撹拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、120℃まで昇温後、同温度で3時間撹拌混合した。ついで、高圧ホモジナイザー(圧力:1200kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより比較用のワックス乳化分散体20を得た。
【0092】
<比較例7>
マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(a9){商品名:ユーメックス1001、三洋化成工業製、融点145℃}24部、モンタン酸ワックス(b1▲2▼){商品名:Licowax LP、クラリアントジャパン製、融点87℃}6部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}1.2部、ノニオン界面活性剤{商品名:ナローアクティーN−120、三洋化成工業製}2.5部、アニオン界面活性剤{商品名:メルソラートH95、ベイヤーAG製}2.5部及び脱イオン水63.8部をプロペラ型撹拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、150℃まで昇温後、同温度で3時間撹拌混合した。ついで、高圧ホモジナイザー(圧力:1000kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより比較用のワックス乳化分散体21を得た。
【0093】
<比較例8>
酸化ポリエチレンワックス(a3){商品名:HiWax−4202E、三井化学製、融点100℃}28部、モンタン酸ワックス(b1▲1▼){商品名:Licowax S、クラリアントジャパン製、融点85℃}7部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業製}1.2部、ノニオン界面活性剤{商品名:エマルミン140、三洋化成工業製}2.5部、アニオン界面活性剤{商品名:キャリボンEN−200、三洋化成工業製}2.5部及び脱イオン水58.8部をプロペラ型撹拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、120℃まで昇温後、同温度で3時間撹拌混合した。ついで、高圧ホモジナイザー(圧力:1200kg/cm)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより比較用のワックス乳化分散体22を得た。
【0094】
実施例1〜14及び比較例1〜8のワックス乳化分散体1〜22について、ワックス乳化分散体中の粒子の体積平均粒子径を測定し、ワックス乳化分散体の組成と共に表2及び3に示した。また、ワックス乳化分散体1〜22について、水希釈安定性、経時安定性、大気中への有機溶剤拡散量及び耐水性を評価し、これらの結果を表4に示した。
【0095】
<体積平均粒子径の測定方法>
レーザー光回折散乱式粒度分布測定装置{商品名:マイクロトラック(MICROTRAC UPA、Leeds and Northerup製)を用い、条件(レーザー光波長;780nm、測定温度;25℃、分散媒;水、計測時間1分)で測定した。
【0096】
<水希釈安定性>
300mlガラス製ビーカー(外径78mm、高さ103mm)に、200gのイオン交換水を測り取り、25℃に温調しておく。DCスターラー(テフロン被覆(テフロンは登録商標)、丸型細型、外径8mm、長さ25mm)で回転数300rpmの攪拌下で、測定サンプル10gを投入し、10分間攪拌を継続して、充分に均一に測定サンプル(ワックス乳化分散体)を希釈した後、25℃に静置する。1時間後、3時間後及び5時間後に、凝集物、浮揚物及び沈降物の発生状態と、粒子分散状態とを次の基準で目視にて評価した。
○:凝集物、浮揚物及び沈降物がなく、粒子分散状態良好
△:凝集物、浮揚物及び沈降物が少しある
×:凝集物、浮揚物及び沈降物が多くあり、粒子分散状態不良
【0097】
<経時安定性>
140mlのガラス製サンプル瓶に120gのワックス乳化分散体を測り取り、密栓した後、40℃の恒温器内に静置する。1週間後、2週間後、3週間後及び4週間後に取り出し、凝集物、浮揚物、沈降物及び相分離を次の基準で目視にて評価した。
○:凝集物、浮揚物及び沈降物がない
△:凝集物、浮揚物及び沈降物が少しある
×:凝集物、浮揚物及び沈降物が多くある
【0098】
<大気中への有機溶剤拡散量>
300mlガラス製ビーカー(外径78mm、高さ103mm)に200gのワックス乳化分散体を計り取り、内容量10Lのデシケーター中に入れて25℃で24時間放置した。その後、デシケーター内のガス濃度(ppm)をガス検知管(ガステック式:イソプロピルアルコール用検知管、No.113L)を用いて1ストローク、サンプリング時間:3分の条件で測定した。
【0099】
<耐水性>
表1の配合比で顔料分散工程及びレッドダウン工程を経て耐水性評価用水性塗料(水系アクリルエマルション樹脂塗料)を調製した。
この水性塗料100部に対して、ワックス乳化分散体を5部添加し、T.K.オートホモミクサー(特殊機化工業(株)製、直径40mmクローバー型可変羽根使用)により、4000rpmで5分間にわたって攪拌、分散した。分散後、得られた塗料をクリーンベンチ内で3MIL(76.5μm)のフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板に塗布し、24時間室温で乾燥させて、塗装物を得た。この塗装物を1%水酸化ナトリウム水溶液に20℃、72時間浸漬後、塗膜のフクレ、白化及びハガレ等を以下の基準により肉眼にて評価した。
○:塗膜のフクレ、白化及びハガレがなく、塗膜外観状態良好
△:塗膜のフクレ、白化及びハガレが少しある
×:塗膜全面にフクレ、白化及びハガレがあり、塗膜外観状態不良
【0100】
【表1】
Figure 2004300378
【0101】
【表2】
Figure 2004300378
【0102】
【表3】
Figure 2004300378
【0103】
【表4】
Figure 2004300378
【0104】
【発明の効果】
発明のワックス乳化分散体は、有機溶剤及び界面活性剤を含まないため、環境への影響が極めて低く、さらに、経時安定性、水希釈安定性及び被塗布物の耐水性に極めて優れている。
また、本発明のワックス乳化分散体は、本発明のワックス乳化分散体の製造方法により容易に得ることができる。
従って、本発明のワックス乳化分散体は、塗料・インク用滑剤、塗料・インク用艶消し剤、紙コーテイングカラー用離型剤、紙コーティングカラー用擦り傷防止剤、紙用表面摩擦係数調整剤、紙用防湿剤、建材用耐水化剤、農業シート用防水剤、セラミックスバインダー、フロアーワックス用増膜成分、カーワックス用増膜成分、トナー用離型剤、エマルション接着剤用可とう性付与剤、ラテックス用改質剤及びエマルション接着剤用改質剤等に適しており、特に水系塗料、水系インク及び紙コーティングカラー等に用いられる水系擦り傷防止剤、水系離型剤、水系潤滑剤及び水系艶消し剤等に好適である。

Claims (9)

  1. ワックス(a)、モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)、及び水(c)からなることを特徴とするワックス乳化分散体。
  2. モンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)が20〜200mgKOH/gの酸価を持つ請求項1に記載のワックス乳化分散体。
  3. ワックス(a)及び/又はモンタン酸ワックス(b1)若しくは(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)が、60〜200℃の融点を持つ請求項1又は2に記載のワックス乳化分散体。
  4. さらに塩基(d)を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載のワックス乳化分散体。
  5. 塩基(d)の含有量が、ワックス(a)、及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の合計カルボキシ基1モル当量当たり、0.05〜3モル当量である請求項4に記載のワックス乳化分散体。
  6. 乳化分散粒子の体積平均粒子径が0.01〜50μmである請求項1〜5のいずれかに記載のワックス乳化分散体。
  7. ワックス(a)及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の重量に基づいて、(a)の含有量が50〜99重量%、(b1)又は(b2)の含有量が1〜50重量%である請求項1〜6のいずれかに記載のワックス乳化分散体。
  8. 有機溶剤及び乳化分散剤を使用することなく、ワックス(a)及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)、並びに必要により塩基(d)を溶融混合した状態で水中に乳化分散する工程、並びに/又は(a)及び(b1)又は(b2)を必要により塩基(d)を溶解又は分散した水の中に乳化分散する工程を含むことを特徴とするワックス乳化分散体の製造方法。
  9. ワックス(a)及びモンタン酸ワックス(b1)又は(b1)とモンタン酸エステルとの混合物(b2)の重量に基づいて、(a)の使用量が50〜99重量%、(b1)又は(b2)の使用量が1〜50重量%である請求項8に記載の製造方法。
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