JP2000191922A - 熱可塑性樹脂組成物、感熱性粘着シ―ト及び感熱性粘着シ―トの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、感熱性粘着シ―ト及び感熱性粘着シ―トの製造方法

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JP2000191922A
JP2000191922A JP10372833A JP37283398A JP2000191922A JP 2000191922 A JP2000191922 A JP 2000191922A JP 10372833 A JP10372833 A JP 10372833A JP 37283398 A JP37283398 A JP 37283398A JP 2000191922 A JP2000191922 A JP 2000191922A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材上に塗工して感熱性粘着シートを製造す
る際、よリ高い温度で加熱乾燥を行うことができるとと
もに、高い接着性及び透明性を長期間持続でき、しかも
耐ブロッキング性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と
固体可塑剤とを含み、前記固体可塑剤が、(i)(A)
(A1)1若しくは複数のアルキル基で置換され且つ置換
基の炭素数の合計が3以上である置換シクロヘキサン環
若しくは置換シクロヘキセン環を有するアルコール又は
(A2)6員炭素環を少なくとも含む橋かけ環を有するア
ルコールと(B)多塩基酸との多エステル化合物と、
(ii)(ii-1)リン化合物、(ii-2)ジオキシベンゼン
誘導体及び(ii-3)ジシクロヘキシルフタレートから選
択された少なくとも1種の化合物とで構成されているこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、所謂ディレイド
タックラベルに使用される熱可塑性樹脂組成物、感熱性
粘着剤、感熱性粘着シート及びその製造方法に関し、更
に詳しくは、常温では粘着性を有さず、加熱によって粘
着性を発現する熱可塑性樹脂組成物、感熱性粘着剤、感
熱性粘着シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、瓶、ペットボトル等の容器に貼付
するラベルとして、ラベル基材上に粘着剤を塗工すると
同時に容器に貼付するグルーラベルや、ラベル基材上に
粘着剤及び剥離紙を順次形成した粘着ラベル等が使用さ
れている。
【0003】しかし、グルーラベルは、粘着剤の粘度の
管理や粘着剤を塗工する機械の清掃等の手間を要するた
め、最近ではあまり好まれないのが実状である。また、
剥離紙を形成した粘着ラベルは、ラベルから剥がした大
量の剥離紙がゴミとして発生するため、その処分に手間
を要するとともに、資源の節減の観点からも好ましくな
い。
【0004】このような問題を解決するラベルとして、
ディレイドタックラベルと称されるものが知られてい
る。ディレイドタックラベルは、常温では非粘着性であ
るが加熱によって粘着性を発現する感熱性粘着剤の層を
ラベル基材上に形成したものであり、剥離紙が不要で、
しかも加熱するだけで容易に容器に貼付することができ
るという利点を有している。ディレイドタックラベル
は、通常、ガラス転移温度が0〜30℃程度のバインダ
ー樹脂層に、固体可塑剤の粒子と必要に応じて粘着付与
剤の粒子とを散在させ、加熱によって固体可塑剤を溶融
し、これによってバインダー樹脂を可塑化して粘着性を
発現させるものである。前記固体可塑剤としては、例え
ばジシクロヘキシルフタレートがよく知られている(特
開昭61−9479号公報、特開平7−278521号
公報、特開平7−145352号公報、特開平8−33
3565号公報など)。
【0005】上述のようなディレイドタックラベルは、
最近ではエマルジョン型の感熱性粘着剤を基材の裏面に
塗工した後、乾燥のための加熱工程を経て製造されるこ
とが多い。その場合の加熱温度は、粘着剤層の形成段階
でジシクロヘキシルフタレートが溶融して粘着性が発現
してしまわないように、45℃以下の低温であることが
必要とされている。しかし、このような低温の加熱では
加熱乾燥工程に時間を要するため、ディレイドタックラ
ベルの生産性が低下してしまうという問題点がある。ま
た、ディレイドタツクラベルでは上述のように剥離紙を
使用していないため、重ねたまま、例えば夏場の高温下
で長期間保存すると、ジシクロヘキシルフタレートによ
るバインダー樹脂の可塑化が徐々に起こり、ラベル同士
が互いに付着する所謂ブロッキングが起こってしまう。
そのため、このようなブロッキングを防止する保冷設備
が必要となるという問題点がある。また、従来のディレ
イドタックラベルでは、接着強度及び透明性が短期間の
うちに消失するという問題も有している。
【0006】特開平8−325535号公報には、耐ブ
ロッキング性を向上させるため、固体可塑剤として、平
均粒子径が4μm以下のフタル酸ジシクロヘキシルと、
融点が70℃以上であり平均粒子径が4〜10μmであ
るN−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミドな
どの固体可塑剤とを併用した感熱性粘着シートが開示さ
れている。また、特開平9−67551号公報には、耐
ブロッキング性を高めるため、固体可塑剤として25℃
で固体のベンゼンジカルボン酸エステルを2種以上用い
ることが提案されている。さらに、特開平9−1698
70号公報には、従来の感熱性ディレイドタック型粘着
性熱可塑性樹脂組成物の耐ブロッキング性と接着性との
バランスを改良するため、トリベンジルトリメリテート
などの結晶化遅延剤が開示されている。しかし、これら
の固体可塑剤や結晶化遅延剤を用いても、耐ブロッキン
グ性や、接着強度及び透明性の持続性の点で必ずしも十
分満足できる結果は得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、基材上に塗工して感熱性粘着シートを製造する
際、よリ高い温度で加熱乾燥を行うことができるととも
に、高い接着性及び透明性を長期間持続でき、しかも耐
ブロッキング性に優れる熱可塑性樹脂組成物及び感熱性
粘着剤を提供することにある。本発明の他の目的は、生
産性が高く、接着性と透明性及びこれらの持続性に優
れ、しかも長期間保存してもブロッキングが生じない感
熱性粘着シートとその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、特定の固体可塑剤を
2種以上併用すると、熱可塑性樹脂の可塑化が起こり始
める温度を高めることができ、ラベル貼付を行う温度で
は十分に粘着性が発現されるだけでなく、高い接着性と
透明性を長期間保持できることを見いだし、本発明を完
成した。
【0009】すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂及び固
体可塑剤を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、前記
固体可塑剤が、(i)(A)(A1)1若しくは複数のア
ルキル基で置換され且つ置換基の炭素数の合計が3以上
である置換シクロヘキサン環若しくは置換シクロヘキセ
ン環を有するアルコール又は(A2)6員炭素環を少なく
とも含む橋かけ環を有するアルコールと(B)多塩基酸
との多エステル化合物と、(ii)(ii-1)リン化合物、
(ii-2)ジオキシベンゼン誘導体及び(ii-3)ジシクロ
ヘキシルフタレートから選択された少なくとも1種の化
合物とで構成されていることを特徴とする熱可塑性樹脂
組成物を提供する。
【0010】本発明は、また、上記の熱可塑性樹脂組成
物を含有する感熱性粘着剤を提供する。本発明は、さら
に、基材の少なくとも一方の面に上記の感熱性粘着剤で
構成された粘着剤層が設けられている感熱性粘着シート
を提供する。本発明は、さらにまた、基材の少なくとも
一方の面に上記の感熱性粘着剤を塗工して粘着剤層を設
ける感熱性粘着シートの製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の熱可塑性樹脂組成物はバインダー
樹脂としての熱可塑性樹脂と固体可塑剤とを含有してい
る。
【0012】前記熱可塑性樹脂としては、例えば、(メ
タ)アクリル酸エステルの単独又は共重合体、スチレン
−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)
アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−
(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニト
リル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン
−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共
重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリ
ル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン
−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、
ビニルピロリドン−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合
体などの(メタ)アクリル酸又はそのエステルを単量体
として含むアクリル系重合体;酢酸ビニル樹脂、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニルを単量体とし
て含む酢酸ビニル系重合体;スチレン−ブタジエン共重
合体、イソブチレン樹脂、イソブチレン−イソプレン共
重合体、ブタジエン樹脂、スチレン−イソプレン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの合成
ゴム;天然ゴム;エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化
ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ビニルビロリドン−
スチレン共重合体、塩素化プロピレン樹脂、ウレタン樹
脂、エチルセルロースなどが挙げられる。これらの熱可
塑性樹脂は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよ
い。
【0013】好ましい熱可塑性樹脂には、アクリル系重
合体[例えば、(メタ)アクリル酸エステルを単量体と
して含むアクリル系共重合体]、酢酸ビニル系重合体、
合成ゴム、天然ゴムなどが含まれる。前記アクリル系重
合体の中でも、特に、アクリル酸エステル−メタクリル
酸エステル共重合体(例えば、アクリル酸C2-10アルキ
ルエステル−メタクリル酸C1-4アルキルエステル共重
合体)、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−
(メタ)アクリル酸共重合体(例えば、アクリル酸C
2-10アルキルエステル−メタクリル酸C1-4アルキルエ
ステル−(メタ)アクリル酸共重合体)、アクリル酸エ
ステル−スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(例え
ば、アクリル酸C2-10アルキルエステル−スチレン−
(メタ)アクリル酸共重合体)等のアクリル酸エステル
(例えば、アクリル酸C2-10アルキルエステル)とメタ
クリル酸エステル(例えば、メタクリル酸C1-4アルキ
ルエステル)又はスチレンとをコモノマーとして含むア
クリル系共重合体などが好ましい。
【0014】熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)
は、被着物の種類等を考慮し、粘着シートとした場合の
接着性及び耐ブロッキング性を損なわない範囲で適宜選
択でき、通常、−10〜70℃程度である。前記ガラス
転移温度が−10℃未満の場合には耐ブロッキング性が
低下しやすい。また、前記ガラス転移温度が高すぎる
と、接着性が低下しやすくなる。
【0015】本発明において、固体可塑剤は、(i)
(A)(A1)1若しくは複数のアルキル基で置換され且
つ置換基の炭素数の合計が3以上である置換シクロヘキ
サン環若しくは置換シクロヘキセン環を有するアルコー
ル又は(A2)6員炭素環を少なくとも含む橋かけ環を有
するアルコールと(B)多塩基酸との多エステル化合物
と、(ii)(ii-1)リン化合物、(ii-2)ジオキシベン
ゼン誘導体及び(ii-3)ジシクロヘキシルフタレートか
ら選択された少なくとも1種の化合物とで構成されてい
る。
【0016】前記アルコール(A1)において、シクロヘ
キサン環又はシクロヘキセン環の置換基であるアルキル
基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペ
ンチル、ヘキシル基などが挙げられる。好ましいアルキ
ル基には、メチル、イソプロピル、t−ブチル基などの
炭素数1〜6(特に、炭素数1〜4)程度のアルキル基
が含まれる。
【0017】前記(A1)1若しくは複数のアルキル基で
置換され且つ置換基の炭素数の合計が3以上である置換
シクロヘキサン環若しくは置換シクロヘキセン環を有す
るアルコールとしては、例えば、下記式(I)〜(VI
I)で表される置換シクロヘキサノール、(VIII)〜
(X)で表される置換シクロヘキセノール、(XI)〜
(XII)で表されるカルボニル基を有する置換シクロヘ
キサノール、(XIII)で表されるカルボニル基を有する
置換シクロヘキセノールなどが挙げられる。また、(A
2)6員炭素環を少なくとも含む橋かけ環を有するアル
コールとしては、例えば、該6員炭素環を構成する炭素
原子のうち隣接する炭素原子以外の2つの炭素原子間に
アルキレン基が結合して橋を形成している橋かけ環を有
するアルコール、例えば、(XIV)、(XV)、(XVI)、
(XVIII)で表されるノルボルナン環を有するアルコー
ル、(XVII)、(XIX)で表されるノルボルネン環を有
するアルコール、(XX)、(XXI)で表されるアダマン
タン環を有するアルコールなどが挙げられる。
【0018】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】 これらのアルコールの中でも、式(I)〜(VII)で表
されるアルコールなどの(A11)1若しくは複数のアル
キル基で置換され且つ置換基の炭素数の合計が3以上で
ある置換シクロヘキサノール、式(XVI)、(XVIII)な
どで表されるノルボルナン環を有するアルコールなどの
(A21)ヒドロキシル基又はヒドロキシメチル基が結合
した6員飽和炭素環を少なくとも含む橋かけ環を有する
アルコールが好ましい。特に、前記式(I)で表される
3,3,5−トリメチルシクロヘキサノールが、粘着性
の発現温度及び耐ブロッキング性の観点から好ましい。
【0019】前記(B)多塩基酸には、多価カルボン
酸、多価スルホン酸、多価ホスホン酸などが含まれる。
多価カルボン酸としては、下記式
【化11】
【化12】 で表される酸無水物(無水フタル酸、無水ピロメリット
酸、シクロヘキセン−4,5−ジカルボン酸無水物、無
水トリメリット酸)に対応する多価カルボン酸(フタル
酸、ピロメリット酸、シクロヘキセン−4,5−ジカル
ボン酸、トリメリット酸)や、下記式
【化13】 で表される多価カルボン酸(テレフタル酸、イソフタル
酸)などが例示できる。上記式中、ベンゼン環には、メ
チル、エチル、イソプロピル、t−ブチル基などのアル
キル基(例えば、C1-4アルキル基);フェニル、ナフ
チル基などのアリール基;メトキシ、エトキシ基などの
アルコキシ基(例えば、C1-4アルコキシ基);フッ
素、塩素、臭素原子などのハロゲン原子などの置換基が
置換していてもよい。
【0020】前記(A)アルコールと(B)多塩基酸と
から得られる多エステル化合物(i)のなかでも、可塑
化が起こり始める温度及び加熱時の粘着性の性能の観点
から、式(I)で表される3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサノールと無水フタル酸との反応により得られる
下記式
【化14】 で表されるビス(3,3,5−トリメチルシクロヘキシ
ル)フタレートが特に好ましい。
【0021】なお、上記3,3,5−トリメチルシクロ
ヘキサノールには、ヒドロキシル基と5位のメチル基と
の立体的な位置関係により、シス体とトランス体の2つ
の幾何異性体が存在するが、本発明では、何れの異性体
から得られる多エステル化合物も用いることができる。
また、これらの異性体の混合物から得られる多エステル
化合物を使用することもできる。
【0022】前記多エステル化合物(i)は、(A)ア
ルコールと(B)多塩基酸又はその反応性誘導体(例え
ば、酸無水物、酸ハライド、活性エステルなど)から、
公知乃至慣用のエステル化法に従って製造することがで
きる。例えば、(A)アルコールと(B)多塩基酸と
を、プロトン酸触媒の存在下、例えば、トルエンなどの
溶媒中で反応させ、副生する水を除去することにより上
記多エステル化合物(i)を得ることができる。
【0023】多エステル化合物(i)の融点は、好まし
くは70〜160℃程度である。多エステル化合物の融
点が70℃より低いと耐ブロッキング性が低下しやす
く、また160℃を超えると、溶融するのに時間がかか
り、生産性が低下したり、基材が変質したりするおそれ
がある。多エステル化合物(i)は1種又は2種以上混
合して使用できる。
【0024】前記リン化合物(ii-1)には、リン酸エス
テル類、亜リン酸エステル類、ホスフィン類などが含ま
れる。
【0025】好ましいリン化合物には、融点55〜10
0℃のリン化合物が含まれる。融点55〜100℃のリ
ン化合物の中でも、下記式(1)又は(2)
【化15】 (式中、R1〜R7はそれぞれ炭化水素基又は複素環式基
を示し、Aは2価の炭化水素基又は複素環式基を示し、
kは0又は1を示し、mは0〜3の整数を示す。R1
2とA(m=1〜3のとき)、R3とR4とA(m=1
〜3のとき)、R1とR3とR4(m=0のとき)、R5
6とR7は、それぞれ2以上の基が互いに結合してリン
原子を含む環を形成していてもよい)で表される化合物
が特に好ましい。
【0026】前記式(1)で表される化合物には、下記
式(1a)、(1b)及び(1c)
【化16】 (式中、R1、R2、R3、R4、R1a、R3a、R4a
5、R6、R7はそれぞれ炭化水素基又は複素環式基を
示し、Aは2価の炭化水素基又は複素環式基を示し、k
は0又は1を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、R
1a、R3a及びR4aは同時にフェニル基又は4−t−ブチ
ルフェニル基ではない。式(1a)におけるR1とR2
A、R3とR4とA、式(1b)におけるR1aとR3a
4a、式(1c)におけるR1とR3とR4は、それぞれ2
以上の基が互いに結合してリン原子を含む環を形成して
いてもよい)で表される化合物が含まれる。
【0027】前記R1〜R7、R1a、R3a、R4aにおける
炭化水素基には、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基
及び脂肪族炭化水素基が含まれる。これらの炭化水素基
は置換基を有していてもよい。
【0028】前記芳香族炭化水素基としては、フェニ
ル、ナフチル基などが挙げられる。脂環式炭化水素基に
は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル
基などのシクロアルキル基;シクロペンテニル、シクロ
へキセニル基などのシクロアルケニル基;ノルボルニ
ル、ビシクロ[4.3.0]ノニル、アダマンチル基な
どの橋かけ環炭化水素基などが含まれる。脂肪族炭化水
素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘ
キシル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜12程度
のアルキル基;ビニル、アリル、1−へキセニル基など
の炭素数2〜12程度のアルケニル基;エチニル、プロ
ピニル基などの炭素数2〜12程度のアルキニル基など
が挙げられる。
【0029】前記炭化水素基が有していてもよい置換基
としては、例えば、フッ素、塩素、臭素原子などのハロ
ゲン原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
イソブチル、s−ブチル、t−ブチル基などのC1-4
ルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;
フェニル基などのアリール基;メトキシ、エトキシ、イ
ソプロポキシ基などのC1-4アルコキシ基;フェニルオ
キシ基などのアリールオキシ基;メトキシカルボニル基
などのC1-4アルコキシカルボニル基;アセチル、ベン
ゾイル基などのアシル基;アセチルオキシ基などのアシ
ルオキシ基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;カ
ルボキシル基;オキソ基などが例示できる。
【0030】前記芳香族炭化水素基の代表的な例とし
て、フェニル基;2−クロロフェニル、3−クロロフェ
ニル、4−クロロフェニル基などのハロゲン原子を有す
るフェニル基;2−メチルフェニル、3−メチルフェニ
ル、4−メチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、
2,4−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニ
ル、2−エチルフェニル、4−t−ブチルフェニル基な
どC1-4アルキル基を有するフェニル基などが挙げられ
る。前記脂環式炭化水素基の代表的な例として、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、シクロへキセニル、3,
3,5−トリメチルシクロヘキシル、3−オキソ−1,
5,5−トリメチルシクロヘキシル、6−オキソ−2,
4,4−トリメチル−1−シクロへキセニル、1,7,
7−トリメチルノルボルナン−2−イル基などが挙げら
れる。前記脂肪族炭化水素基の代表的な例として、ベン
ジル、2−メチルフェニルメチル、2−フェニルエチル
基などのアリール基が結合したアルキル基(アラルキル
基)などが挙げられる。
【0031】前記R1〜R7、R1a、R3a、R4aにおける
複素環式基には、2−フリル、モルホニル、テトラヒド
ロピラニル基などの酸素原子含有複素環式基;2−チエ
ニル基などのイオウ原子含有複素環式基;1−ピロリ
ル、2−ピリジル、ピペリジノ、2−キノリル基などの
窒素原子含有複素環式基などが含まれる。これらの複素
環式基は置換基を有していてもよい。前記置換基として
は、前記炭化水素基において例示した置換基などが挙げ
られる。
【0032】前記Aにおける2価の炭化水素基には、2
価の芳香族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基及び2
価の脂肪族炭化水素基が含まれる。これらの炭化水素基
は、酸素原子、イオウ原子、カルボニル基、カルボニル
オキシ基などの連結基を介して又は介することなく2以
上結合していてもよく、また置換基を有していてもよ
い。前記置換基としては、前記R1〜R7等における炭化
水素基が有していてもよい置換基として例示した基が挙
げられる。
【0033】2価の芳香族炭化水素基として、例えば、
1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フ
ェニレン、1,4−ナフチレン、ビフェニレンなどが挙
げられる。2価の脂環式炭化水素基として、シクロヘキ
シリデン、1,2−シクロペンチレン、1,2−シクロ
へキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−シク
ロへキシレンなどのシクロアルキレン基;2−シクロヘ
キセン−1,4−ジイル基などのシクロアルケニレン
基;アダマンタン−1,3−ジイル基などの2価の橋か
け環式基などが挙げられる。また、2価の脂肪族炭化水
素基には、メチレン、エチレン、トリメチレン、2−メ
チルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、テ
トラメチレン基などの炭素数1〜6程度のアルキレン
基;プロペニレン基などの炭素数2〜6程度のアルケニ
レン基;プロピニレン基などの炭素数2〜6程度のアル
キニレン基などが挙げられる。
【0034】前記Aにおける2価の炭化水素基の代表的
な例として、1,2−フェニレン、1,3−フェニレ
ン、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、1,1
−ジフェニルエタン−4′,4″−ジイル、2,2−ジ
フェニルプロパン−4′,4″−ジイル、2,2−ジフ
ェニルブタン−4′,4″−ジイル、4,4′−ビフェ
ニレン、1,4−シクロへキシレン、1,5,5−トリ
メチルシクロヘキサン−1,3−ジイル、6−オキソ−
2,4,4−トリメチルシクロヘキサン−1,2−ジイ
ル、−CH2−1,4−シクロへキシレン−CH2−、
1,1−ジシクロヘキシルエタン−4′,4″−ジイ
ル、2,2−ジシクロヘキシルプロパン−4′,4″−
ジイル、2,2−ジシクロヘキシルブタン−4′,4″
−ジイル、アダマンタン−1,3−ジイル、5,7−ジ
メチルアダマンタン−1,3−ジイル、トリメチレン、
2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレ
ン、テトラメチレン基などが例示できる。
【0035】前記Aにおける2価の複素環式基には、多
価の複素環式アルコール又はフェノール(例えば、イソ
ソルバイド、イソマンナイド、スクロース、ラクトース
などの糖類)から2つのヒドロキシル基を除いた2価の
基が含まれる。これらの炭化水素基は、酸素原子、イオ
ウ原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基などの連結
基を介して又は介することなく2以上結合していてもよ
く、また置換基を有していてもよい。前記置換基として
は、前記R1〜R7等における炭化水素基が有していても
よい置換基として例示した基が挙げられる。また、前記
2価の炭化水素基と2価の複素環式基とが、前記連結基
を介して又は介することなく結合していてもよい。
【0036】前記式(1a)において、R1〜R4の少なく
とも1つ(特に、R1〜R4のすべて)が芳香族炭化水素
基であるのが好ましい。また、好ましいAには、1,3
−フェニレン基などの少なくとも2価の芳香族炭化水素
基部を含む2価の炭化水素基、−CH2−1,4−シク
ロへキシレン−CH2−基などの少なくとも2価の脂環
式炭化水素基部を含む2価の炭化水素基が含まれる。n
は1又は2、特に1であるのが好ましい。
【0037】式(1a)で表されるリン化合物の具体例と
して、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールビ
ス(ジフェニルホスフェート)(融点:97℃)、レゾ
ルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホス
フェート](融点:95℃)などの二リン酸エステル類
などが挙げられる。
【0038】前記式(1b)で表される好ましい化合物に
は、R1aとR3aとR4aが何れも芳香族炭化水素基又はア
ラルキル基である化合物、及びR1aとR3aとR4aのうち
2以上の基が互いに結合してリン原子を含む環を形成し
た環状リン酸エステル類などが含まれる。
【0039】式(1b)で表される化合物(リン酸エステ
ル類)の具体例として、例えば、トリ(4−メチルフェ
ニル)ホスフェート(融点:78℃)などのトリ(メチ
ルフェニル)ホスフェートなどのリン酸トリアリールエ
ステル類、トリベンジルホスフェート(融点:65℃)
などのリン酸トリアラルキルエステル類、下記式(3)
【化17】 で表される化合物(融点:95〜110℃)などの、リ
ン原子を環の構成原子として含む環状リン酸エステル類
などが挙げられる。
【0040】式(1c)において、R1〜R4は、何れも芳
香族炭化水素基又はアラルキル基であるのが好ましい。
【0041】式(1c)で表される化合物(亜リン酸エス
テル類)の具体例として、例えば、トリ(4−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト(融点:75℃)などの亜リ
ン酸トリアリールエステルなどが挙げられる。
【0042】前記式(2)において、R5〜R7は好まし
くは芳香族炭化水素基である。式(2)で表される化合
物の具体例として、例えば、トリフェニルホスフィン
(融点:80℃)、トリ(3−メチルフェニル)ホスフ
ィン(融点:100℃)などのトリアリールホスフィン
類が挙げられる。
【0043】上記リン化合物は、周知乃至公知の方法に
より得ることができる。例えば、リン酸エステル類は、
オキシ塩化リン、アリールジクロロホスフェートなどの
ジクロロリン酸モノエステル、又はジアリールクロロホ
スフェートなどのクロロリン酸ジエステルと目的化合物
に対応するヒドロキシル基含有化合物(アルコール又は
フェノール)とを、必要に応じてピリジンなどの塩基の
存在下で反応させることにより得ることができる。な
お、リン原子を環の構成原子として含む環状リン酸エス
テル類は、前記ヒドロキシル基含有化合物として、2価
以上、好ましくは3価以上(例えば3又は4価)のヒド
ロキシル基含有化合物[例えば、1,1,1−トリス
(ヒドロキシメチル)エタン、ペンタエリスリトールな
ど]を用いることにより製造することができる。
【0044】また、亜リン酸エステル類は、例えば、三
塩化リンと目的化合物に対応するアルコール又はフェノ
ールとを、必要に応じて塩基の存在下で反応させること
により製造できる。さらに、ホスフィン類(トリフェニ
ルホスフィンなど)は、例えば、三塩化リンと目的化合
物に対応するグリニヤール試薬(フェニルマグネシウム
ブロミドなど)との反応により得ることができる。
【0045】なお、前記式(1a)、(1b)、(1c)又は
(2)で表されるリン化合物については、融点は必ずし
も55〜100℃の範囲でなくてもよく、例えば50〜
160℃程度、好ましくは55〜105℃程度であって
もよい。融点が低すぎると耐ブロッキング性が低下しや
すく、逆に高すぎると溶融するのに時間がかかり、生産
性が低下したり、基材が変質したりするおそれがある。
リン化合物(ii-1)には、例えば、リン酸トリフェニ
ル、リン酸トリ(p−t−ブチルフェニル)なども含ま
れる。リン化合物(ii-1)は1種又は2種以上混合して
使用できる。
【0046】前記ジオキシベンゼン誘導体(ii-2)に
は、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール及び
これらの誘導体が含まれる。前記誘導体としては、ベン
ゼン環がメチル基などの1〜4個のアルキル基で置換さ
れたアルキル置換体、2つのヒドロキシル基のうち少な
くとも1つのヒドロキシル基がエーテル化されたモノ又
はジエーテル体(例えば、メチルエーテルなどのモノ又
はジアルキルエーテル体、フェニルエーテルなどのモノ
又はジアリールエーテル体など)、2つのヒドロキシル
基のうち少なくとも1つのヒドロキシル基がエステル化
されたモノ又はジエステル体(例えば、酢酸エステルな
どの脂肪族カルボン酸モノ又はジエステル体、安息香酸
エステルなどの芳香族カルボン酸モノ又はジエステル体
など)などが挙げられる。前記エーテル体、エステル体
において、ベンゼン環はメチル基等のアルキル基などの
置換基で置換されていてもよい。
【0047】好ましいジオキシベンゼン誘導体には、
(C)(C1)ベンゼン環がアルキル基で置換されていて
もよいハイドロキノン若しくはレゾルシノール、又は
(C2)ベンゼン環がアルキル基で置換されたカテコール
と、(D)有機一塩基酸とのジエステル化合物が含まれ
る。
【0048】前記アルキル基としては、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s
−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの炭
素数1〜6程度のアルキル基などが挙げられる。なかで
も、メチル基などの炭素数1〜4程度のアルキル基が好
ましい。ハイドロキノン又はレゾルシノールにおけるベ
ンゼン環上のアルキル基の置換数は0、又は1〜4(好
ましくは1〜3、さらに好ましくは2又は3)である。
また、カテコールのベンゼン環上のアルキル基の置換数
は1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは2又は
3である。アルキル基の置換数が複数であるとき、該ア
ルキル基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0049】前記(C)成分において、ベンゼン環には
アルキル基以外の置換基が結合していてもよい。このよ
うな置換基として、例えば、フッ素、塩素、臭素原子な
どのハロゲン原子;ヒドロキシル基;メトキシ、エトキ
シ基などのアルコキシ基(例えば、C1-4アルコキシ
基);フェノキシ基などのアリールオキシ基;アセチル
オキシ、プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ基など
のアシルオキシ基;アセチル、プロピオニル、ベンゾイ
ル基などのアシル基;カルボキシル基;メトキシカルボ
ニル、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニ
ル基;シアノ基;ニトロ基などが挙げられる。また、前
記ベンゼン環には、シクロペンタン環、シクロヘキサン
環、ベンゼン環、テトラヒドロフラン環などの3〜8員
程度の芳香族性又は非芳香族性の炭素環又は複素環が縮
合していてもよい。
【0050】前記(C1)ベンゼン環がアルキル基で置換
されていてもよいハイドロキノン若しくはレゾルシノー
ルとしては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロ
キノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジ
メチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノ
ン、トリメチルハイドロキノン、レゾルシノール、4−
メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、
2,5−ジメチルレゾルシノール、4,6−ジメチルレ
ゾルシノール、2,4,6−トリメチルレゾルシノール
などが例示できる。また、(C2)ベンゼン環がアルキル
基で置換されたカテコールとしては、例えば、3−メチ
ルカテコール、4−メチルカテコール、トリメチルカテ
コールなどが挙げられる。
【0051】前記(D)有機一塩基酸には、脂肪族、脂
環式、芳香族又は複素環式の一塩基酸(カルボン酸、ス
ルホン酸など)が含まれる。これらのなかでも、脂肪
族、脂環式又は芳香族モノカルボン酸が好ましい。
【0052】前記脂肪族モノカルボン酸として、例え
ば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草
酸、イソ吉草酸、ピバル酸などの炭素数1〜6程度の脂
肪族モノカルボン酸(好ましくは炭素数1〜4程度の脂
肪族モノカルボン酸、特に酢酸)などが例示できる。ま
た、脂環式モノカルボン酸として、シクロペンタンカル
ボン酸、シクロヘキサンカルボン酸などの3〜8員程度
のシクロアルカンカルボン酸などが挙げられる。芳香族
カルボン酸には、例えば、安息香酸、トルイル酸、ナフ
トエ酸などの、芳香環にアルキル基(炭素数1〜4程度
のアルキル基など)、アルコキシ基(炭素数1〜4程度
のアルコキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、
臭素原子など)などの置換基を1又は2以上有していて
もよい芳香族カルボン酸などが含まれる。
【0053】前記ジエステル化合物の代表的な化合物と
して、ハイドロキノンジアセテート(融点:123
℃)、トリメチルハイドロキノンジアセテート(融点:
109℃)、3,4,5−トリメチルカテコールジアセ
テート(融点:120℃)などが例示される。
【0054】上記ジエステル化合物は、例えば、前記
(C)成分と前記(D)有機一塩基酸又はその反応性誘
導体(例えば、酸ハライド、活性エステル、酸無水物な
ど)とを、必要に応じて酸触媒又は塩基の存在下、公知
のエステル化法に準じて反応させることにより得ること
ができる。
【0055】また、3,4,5−トリメチルカテコール
と有機一塩基酸とのジエステル化合物は、酸触媒の存在
下、2,6,6−トリメチルシクロヘキセ−2−エン−
1,4−ジオン(ケトイソホロン)と前記有機一塩基酸
に対応するアシル化剤(酸無水物、アシルハライド、エ
ノールエステル類など)とを反応させることにより得る
ことができる。
【0056】この方法において、酸触媒としては、プロ
トン酸、ルイス酸の何れも使用できる。プロトン酸とし
て、超強酸(SbF5、SbF5−HF、SbF5−FS
3H、SbF5−CF3SO3Hなど)、硫酸、塩酸、リ
ン酸、フッ化ホウ素酸、p−トルエンスルホン酸、クロ
ロ酢酸、ピクリン酸、ヘテロポリ酸等の有機酸及び無機
酸が挙げられる。また、ルイス酸として、例えば、BF
3、BF3O(C25 2、AlCl3、FeCl3などが
例示できる。これらの触媒の使用量は、例えば、ケトイ
ソホロンに対して、0.001〜20モル%、好ましく
は0.01〜15モル%程度である。
【0057】また、前記酸触媒として、固体酸触媒を用
いることもできる。固体酸触媒には、強酸性イオン交換
樹脂[例えば、アンバーリスト15(オルガノ社製)な
どのスチレンジビニルベンゼンスルホン酸系イオン交換
樹脂など];超強酸性樹脂[例えば、ナフィオンNR5
0(アルドリッチ社製)などのフッ素化スルホン酸樹脂
など];ゼオライト、シリカ−アルミナなどのアルミノ
シリケート又は無機酸化物(複合酸化物を含む);担体
(例えば、グラファイト、金属硫酸塩、金属塩化物、活
性炭、イオン交換樹脂、ゼオライト、アルミナ、シリ
カ、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジ
ルコニア、チタニア−ジルコニア、カオリンなど、特に
多孔質担体)に前記のプロトン酸又はルイス酸を担持し
た固体酸触媒などが含まれる。固体酸触媒の使用量は、
例えば、ケトイソホロンに対して、0.1〜1000重
量%、好ましくは5〜100重量%程度である。
【0058】前記アシル化剤の使用量は、例えば、ケト
イソホロン1モルに対して、2モル以上、好ましくは3
〜10モル程度である。アシル化剤を溶媒として用いて
もよい。
【0059】ケトイソホロンとアシル化剤との反応は、
無溶媒下で行ってもよく、溶媒中で行ってもよい。前記
溶媒としては、ヘキサン、オクタン、オクテン、シクロ
ヘキサン、シクロヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシ
レンなどの炭化水素類;酢酸、プロピオン酸などのカル
ボン酸類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、ク
ロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化
水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチ
ルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチル
ケトンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N−メチルピロリドンなどのアミド類などが挙げら
れる。
【0060】ケトイソホロンとアシル化剤とを反応させ
る際の反応温度は、例えば0〜150℃、好ましくは1
0〜100℃程度である。生成したジエステル化合物
は、例えば、濾過、濃縮、抽出、再結晶、カラムクロマ
トグラフィーなどの慣用の分離精製手段に付すことによ
り分離精製できる。
【0061】なお、こうして得られた3,4,5−トリ
メチルカテコールと有機一塩基酸とのジエステル化合物
を、酸、例えば前記プロトン酸や固体酸触媒の存在下、
水と反応させることにより、3,4,5−トリメチルカ
テコールを得ることができる。この場合、水は、通常、
ジエステル化合物に対して過剰量用いられる。この加水
分解反応における反応温度は、例えば40〜100℃程
度である。生成した3,4,5−トリメチルカテコール
は、例えば前記の分離精製手段により単離できる。
【0062】ジオキシベンゼン誘導体(ii-2)には、例
えば、カテコール、カテコールジアセテート、カテコー
ルジベンゾエート、カテコールモノフェニルエーテル、
カテコールジフェニルエーテルなども含まれる。
【0063】ジオキシベンゼン誘導体(ii-2)の融点
は、例えば50〜160℃程度であってもよいが、好ま
しくは90〜130℃程度である。ジオキシベンゼン誘
導体(ii-2)の融点が低すぎると耐ブロッキング性が低
下しやすく、逆に高すぎると溶融するのに時間がかか
り、生産性が低下したり、基材が変質したりするおそれ
がある。ジオキシベンゼン誘導体(ii-2)は、1種又は
2種以上混合して使用できる。
【0064】本発明では、固体可塑剤を構成する成分
(ii)として、前記(ii-1)リン化合物、(ii-2)ジオ
キシベンゼン誘導体及び(ii-3)ジシクロヘキシルフタ
レートの化合物のうち、少なくとも(ii-1)リン化合物
又は(ii-2)ジオキシベンゼン誘導体を用いるのが好ま
しい。
【0065】本発明において、前記(i)多エステル化
合物と、(ii)(ii-1)リン化合物、(ii-2)ジオキシ
ベンゼン誘導体及び(ii-3)ジシクロヘキシルフタレー
トから選択された少なくとも1種の化合物との割合は、
特に限定されないが、例えば、化合物(i)/化合物
(ii)(重量比)=1/99〜99/1、好ましくは5
/95〜95/5、さらに好ましくは10/90〜90
/10、特に20/80〜80/20(例えば30/7
0〜70/30)程度である。
【0066】本発明において、固体可塑剤の含有量は、
熱可塑性樹脂100重量部に対して、例えば30〜10
00重量部、好ましくは100〜1000重量部、さら
に好ましくは150〜900重量部、特に200〜80
0程度である。固体可塑剤の含有量が30重量部より少
ないと、加熱時に十分な粘着性が発現しない場合が生
じ、また、1000重量部よリ多いと、凝集力が低下し
十分な接着強度が発現しないことがある。
【0067】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記のよ
うに特定の固体可塑剤を複数含有しているので、粘着性
を発現する温度が高く、ラベルの貼付温度では溶融して
容易に可塑化されるだけでなく、固体可塑剤の再結晶化
が遅延され、高い透明性及び接着性が長期に亘って持続
する。
【0068】本発明では、必要に応じて上記以外の固体
可塑剤を本発明の効果を損なわない範囲で併用してもよ
い。併用し得る他の固体可塑剤としては、例えば、フタ
ル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジイソ
ヘキシル、フタル酸ジナフチル等のフタル酸エステル
類;イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジベンジル、
イソフタル酸ジジシクロヘキシル等のイソフタル酸エス
テル類;テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジ
ル、テレフタル酸ジジシクロヘキシル等のテレフタル酸
エステル類;安息香酸スクロース、二安息香酸エチレン
グリコール、三安息香酸トリメチロールエタン、三安息
香酸グリセリド、四安息香酸ペンタエリスロット、八酢
酸スクロース、クエン酸トリシクロヘキシル、N−シク
ロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、尿素誘導
体、塩化パラフィン等が挙げられる。
【0069】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応
じて粘着付与剤を含有していてもよい。使用し得る粘着
付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、脂肪族系石油
樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、ス
チレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール
樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン
及びそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等との
エステル、樹脂酸ダイマー等)、キシレン樹脂等の樹脂
類を挙げることができる。これらの粘着付与剤は、2種
以上併用してもよい。
【0070】粘着付与剤の含有量は特に限定されるもの
ではないが、熱可塑性樹脂と前記固体可塑剤との組合せ
に応じて適宜選択でき、通常、熱可塑性樹脂100重量
部に対して10〜600重量部程度であり、20〜50
0重量部程度が好ましい。
【0071】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記粘
着付与剤の他に、特性を損なわない範囲で慣用の添加
剤、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安
定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、帯電
防止剤、ブロッキング防止剤(無機粒子、有機粒子等)
を添加してもよい。
【0072】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、分散剤を
用いて熱可塑性樹脂を水に分散させた水性組成物とする
こともできる。用い得る分散剤は特に限定されるもので
はなく、従来よリ公知のアニオン系、ノニオン系分散剤
等の何れをも使用することができる。アニオン系分散剤
としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸
塩、リン酸エステル塩等を挙げることができ、これらの
中でもカルボン酸アンモニウム塩が好ましい。ノニオン
系分散剤としては、ポリエチレングリコール型のもの、
多価アルコール型のものなどを挙げることができる。
【0073】前記水性組成物の調製法も、従来より公知
の各種の方法を採用することができる。例えば、上記調
製法として、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する各
成分を予め混合した後に水に分散させる方法、熱可塑性
樹脂エマルジョン又は粘着付与剤エマルジョンに固体可
塑剤を分散させた後にこれらのエマルジョンを混合する
方法、固体可塑剤を水に分散させておき、この分散液に
熱可塑性樹脂エマルジョン及び粘着付与剤エマルジョン
を混合する方法等が挙げられる。固体可塑剤を上記エマ
ルジョン又は水に分散させる方法としては、溶融させた
固体可塑剤を分散させる方法、固体可塑剤を微粉末にし
ながら分散させる方法及び微粉末にした固体可塑剤を分
散させる方法等を例示することができる。
【0074】なお、熱可塑性樹脂エマルジョンは、乳化
重合により調製してもよく、また、乳化重合以外の方法
により重合体を得た後、必要に応じて添加剤を用いるこ
とによりエマルジョン化して調製してもよい。例えば、
水溶性の有機溶剤(例えば、イソプロピルアルコールな
どのアルコールなど)の存在下で重合した重合体を含む
有機溶液に添加剤(例えば、乳化剤、pH調整剤、酸な
ど)を添加した後、水を添加してエマルジョン化し、そ
の後、有機溶剤を除去することにより熱可塑性樹脂エマ
ルジョンを調製することができる。
【0075】水性組成物中の固体可塑剤の平均粒子径
は、好ましくは0.5〜20μm程度であり、さらに好
ましくは1〜15μm程度である。平均粒子径が0.5
μmよリ小さいと耐ブロッキング性が低下したり、粉砕
に時間を要して生産性が低下するおそれがある。平均粒
子径が20μmを超えると塗工面がざらつき、ラベルの
品質が低下するおそれがある。
【0076】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、感熱性粘
着剤として使用することができ、基材の少なくとも一方
の面に感熱性粘着剤の層(粘着剤層)を形成することに
より、感熱性粘着シートが得られる。感熱性粘着剤の層
は、感熱性粘着剤を有機溶剤に溶解させて塗工するか、
加熱溶融して塗工することにより形成することができ
る。また、熱可塑性樹脂が水に分散している水性組成物
は、これを基材の少なくとも一方の面に塗工して乾燥さ
せることにより、感熱性粘着シートとすることができ
る。塗工方法としては、例えばロールコーター、エヤナ
イフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バ
ーコーター、コンマコーター、グラビアコーター、シル
クスクリーンコーター等を用いた方法を挙げることがで
きる。
【0077】前記感熱性粘着剤の層を形成する基材とし
ては、紙、塗工紙、プラスチックフィルム、木材、布、
不織布、金属等を挙げることができる。プラスチックフ
ィルムを構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステ
ル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン−
ビニルアルコール共重合体、酢酸セルロース等のセルロ
ース誘導体、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレ
ンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等)、
ポリカーボネート、ポリアミド(ポリアミド6、ポリア
ミド6/6、ポリアミド6/10、ポリアミド6/12
等)、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエステル等が挙げ
られ、更にこれらの共重合体、ブレンド物、架橋物を用
いてもよい。
【0078】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をよリ詳細に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。なお、固体可塑剤の平均粒子径は、レーザ回折
式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−500)
によリ測定し、メジアン径で記載した。
【0079】調製例1 (固体可塑剤水分散液1の調製)固体可塑剤としてビス
(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレート
(融点:93℃)100重量部、分散剤としてアニオン
系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)15重
量部及び水80重量部を混合し、ボールミルを用いて平
均粒子径が2.2μmになるまで粉砕することにより、
ビス(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレ
ートの水分散液(固体可塑剤水分散液1)を得た。
【0080】調製例2 (固体可塑剤水分散液2の調製)固体可塑剤としてレゾ
ルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホス
フェート](融点:95℃)100重量部、分散剤とし
てアニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム
塩)15重量部及び水80重量部を混合し、ボールミル
を用いて平均粒子径が2.6μmになるまで粉砕するこ
とにより、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチル
フェニル)ホスフェート]の水分散液(固体可塑剤水分
散液2)を得た。
【0081】調製例3 (固体可塑剤水分散液3の調製)固体可塑剤としてトリ
メチルハイドロキノンジアセテート(融点:109℃)
100重量部、分散剤としてアニオン系界面活性剤(ポ
リカルボン酸アンモニウム塩)15重量部及び水80重
量部を混合し、ボールミルを用いて平均粒子径が2.2
μmになるまで粉砕することにより、トリメチルハイド
ロキノンジアセテートの水分散液(固体可塑剤水分散液
3)を得た。
【0082】調製例4 (固体可塑剤水分散液4の調製)固体可塑剤としてジシ
クロヘキシルフタレート(融点:65℃)100重量
部、分散剤としてアニオン系界面活性剤(ポリカルボン
酸アンモニウム塩)15重量部及び水80重量部を混合
し、ボールミルを用いて平均粒子径が2.2μmになる
まで粉砕することにより、ジシクロヘキシルフタレート
の水分散液(固体可塑剤水分散液4)を得た。
【0083】実施例1 (感熱性粘着剤の調製)上記で調製した固体可塑剤水分
散液1と2とを、固形分重量比で、ビス(3,3,5−
トリメチルシクロヘキシル)フタレート:レゾルシノー
ルビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェー
ト]=50:50となるように配合した固体可塑剤水分
散液中に、熱可塑性樹脂としてのアクリル系重合体(2
−エチルヘキシルアクリレート−スチレン−アクリル酸
共重合体、ガラス転移温度Tg:25℃)の水系エマル
ジョン、粘着付与剤としてのテルペン樹脂の水系分散液
及び水を加えて均一になるまで攪拌し、固形分濃度47
重量%の感熱性粘着剤を得た。このときの配合比は、固
体可塑剤100重量部に対して熱可塑性樹脂(アクリル
系重合体)17重量部、粘着付与剤(テルペン樹脂)2
6重量部であった。 (感熱性粘着シートの作製)上記で調製した感熱性粘着
剤を秤量84.9g/m2の片アート紙の原紙面(裏
面)及び厚さ25μmの表面をコロナ放電処理したポリ
エチレンテレフタレートフィルム(以下、単に「PET
フイルム」ともいう)に、バーコーターを用いて乾燥後
の塗工量が12g/m2となるように塗工し、40℃で
2分間乾燥させて感熱性粘着シートを得た。
【0084】実施例2 (感熱性粘着剤の調製)上記で調製した固体可塑剤水分
散液1〜3を、固形分重量比で、ビス(3,3,5−ト
リメチルシクロヘキシル)フタレート:レゾルシノール
ビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェー
ト]:トリメチルハイドロキノンジアセテート=35:
35:30となるように配合した固体可塑剤水分散液中
に、熱可塑性樹脂としてのアクリル系重合体(2−エチ
ルヘキシルアクリレート−スチレン−アクリル酸共重合
体、ガラス転移温度Tg:25℃)の水系エマルジョ
ン、粘着付与剤としてのテルペン樹脂の水系分散液及び
水を加えて均一になるまで攪拌し、固形分濃度50重量
%の感熱性粘着剤を得た。このときの配合比は、固体可
塑剤100重量部に対して熱可塑性樹脂(アクリル系重
合体)17重量部、粘着付与剤(テルペン樹脂)26重
量部であった。 (感熱性粘着シートの作製)上記で調製した感熱性粘着
剤を秤量84.9g/m2の片アート紙の原紙面(裏
面)及び厚さ25μmの表面をコロナ放電処理したPE
Tフィルムに、バーコーターを用いて乾燥後の塗工量が
12g/m2となるように塗工し、40℃で2分間乾燥
させて感熱性粘着シートを得た。
【0085】実施例3 (感熱性粘着剤の調製)上記で調製した固体可塑剤水分
散液1〜4を、固形分重量比で、ビス(3,3,5−ト
リメチルシクロヘキシル)フタレート:レゾルシノール
ビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェー
ト]:トリメチルハイドロキノンジアセテート:ジシク
ロヘキシルフタレート=30:30:30:10となる
ように配合した固体可塑剤水分散液中に、熱可塑性樹脂
としてのアクリル系重合体(2−エチルヘキシルアクリ
レート−スチレン−アクリル酸共重合体、ガラス転移温
度Tg:25℃)の水系エマルジョン、粘着付与剤とし
てのテルペン樹脂の水系分散液及び水を加えて均一にな
るまで攪拌し、固形分濃度45重量%の感熱性粘着剤を
得た。このときの配合比は、固体可塑剤100重量部に
対して熱可塑性樹脂(アクリル系重合体)17重量部、
粘着付与剤(テルペン樹脂)26重量部であった。 (感熱性粘着シートの作製)上記で調製した感熱性粘着
剤を秤量84.9g/m2の片アート紙の原紙面(裏
面)及び厚さ25μmの表面をコロナ放電処理したPE
Tフイルムに、バーコーターを用いて乾燥後の塗工量が
12g/m2となるように塗工し、40℃で2分間乾燥
させて感熱性粘着シートを得た。
【0086】比較例1 (感熱性粘着剤の調製)上記で調製したジシクロヘキシ
ルフタレートの水分散液(固体可塑剤水分散液4)中
に、熱可塑性樹脂としてのアクリル系重合体(2−エチ
ルヘキシルアクリレート−スチレン−アクリル酸共重合
体、ガラス転移温度Tg:25℃)の水系エマルジョ
ン、粘着付与剤としてのテルペン樹脂の水系分散液及び
水を加えて均一になるまで攪拌し、固形分濃度50重量
%の感熱性粘着剤を得た。このときの配合比は、固体可
塑剤(ジシクロヘキシルフタレート)100重量部に対
して熱可塑性樹脂(アクリル系重合体)17重量部、粘
着付与剤(テルペン樹脂)26重量部であった。 (感熱性粘着シートの作製)上記で調製した感熱性粘着
剤を秤量84.9g/m2の片アート紙の原紙面(裏
面)及び厚さ25μmの表面をコロナ放電処理したPE
Tフィルムに、バーコーターを用いて乾燥後の塗工量が
12g/m2となるように塗工し、40℃で2分間乾燥
させて感熱性粘着シートを得た。
【0087】性能試験 (接着強度、透明性)PETフィルムに塗工して得られ
た感熱性粘着シートを幅25mm、長さ125mmの大
きさに切断して試験片とした。この試験片を140℃で
30秒間加熱して粘着性を発現させ、ガラス板[岩城硝
子(株)製、Micro S1ide G1ass 白緑磨)上に置き、ゴ
ムロールで2kgの荷重をかけて1往復することにより
貼付した。これを23℃、50%RHの雰囲気下に放置
し、1日後、1ヶ月後、3ヶ月後に接着強度試験を行っ
た。接着強度試験は、引張リ試験機(オリエンテック社
製、テンシロンUCT−5T)を使用して、引張り速度
300mm/分、剥離角度180°で接着力を測定し
た。また透明性を目視で確認した。その結果を表1に示
す。
【0088】(耐ブロッキング性)片アート紙に塗工し
て得られた感熱性粘着シート4枚をアート紙の光沢面
(表面)と感熱性粘着剤を塗工した面(裏面)とが接す
るように重ね、500gf/cm2の荷重をかけて40
℃の雰囲気下に24時間放置した後、以下の基準で耐ブ
ロッキング性の評価を行った。その結果を表1に示す。 5:剥離抵抗なく剥離した。 4:剥離時に若干音を発しながら剥離した。 3:剥離時に連続的に音を発しながら剥離した。 2:剥離時に紙の繊維が一部粘着層に残った。 1:ブロッキングによリ紙が破れた。
【0089】
【表1】 表1の結果から、比較例1の感熱性粘着シートは1ヶ月
後に固体可塑剤が再結晶化して不透明になり、接着強度
が0になってしまうのに対して、実施例1〜3の感熱性
粘着シートは、3ヶ月後でも高い透明性、接着強度を維
持しており、また、耐ブロッキング性に優れていること
が分かる。
【0090】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特定の
固体可塑剤を2種以上組み合わせて用いるので、粘着性
を発現する温度が高いだけでなく、固体可塑剤の再結晶
化が遅延し、優れた透明性及び接着強度が長期間持続す
る。そのため、これを用いて得られる感熱性粘着シート
は、より高い温度で加熱乾燥できると共に、長期間保存
してもブロッキングが生じず、しかも長期に亘って、高
い透明性及び接着強度を維持できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/51 C08K 5/51 C09J 5/06 C09J 5/06 7/02 7/02 Z 11/06 11/06 201/00 201/00 Fターム(参考) 4J002 AA011 AB031 AC011 AC031 AC071 AC081 AF022 BA002 BA012 BB061 BB071 BB101 BB181 BB241 BC051 BC071 BD051 BF021 BG041 BG051 BK002 BL011 BQ001 CC032 CE002 CK021 EH136 EH146 EH147 EJ017 EW037 EW047 FD020 FD026 FD027 FD342 GJ00 HA07 4J004 AA04 AA05 AA06 AA07 AA09 AA10 AA14 AA17 AB01 AB03 CA02 CA03 CA04 CA05 CA06 CB01 CB02 CC02 FA01 4J040 CA011 CA031 CA131 DE021 DF041 DF051 HB21 HB32 HB34 HB36 HD22 HD24 JA03 JA09 JB09 JB11 KA26 KA31 LA10 LA11

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂及び固体可塑剤を含有する
    熱可塑性樹脂組成物であって、前記固体可塑剤が、
    (i)(A)(A1)1若しくは複数のアルキル基で置換
    され且つ置換基の炭素数の合計が3以上である置換シク
    ロヘキサン環若しくは置換シクロヘキセン環を有するア
    ルコール又は(A2)6員炭素環を少なくとも含む橋かけ
    環を有するアルコールと(B)多塩基酸との多エステル
    化合物と、(ii)(ii-1)リン化合物、(ii-2)ジオキ
    シベンゼン誘導体及び(ii-3)ジシクロヘキシルフタレ
    ートから選択された少なくとも1種の化合物とで構成さ
    れていることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 多エステル化合物(i)が、(A11)1
    若しくは複数のアルキル基で置換され且つ置換基の炭素
    数の合計が3以上である置換シクロヘキサノール又は
    (A21)ヒドロキシル基又はヒドロキシメチル基が結合
    した6員飽和炭素環を少なくとも含む橋かけ環を有する
    アルコールと(B)多塩基酸との多エステル化合物であ
    る請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 リン化合物(ii-1)の融点が55〜10
    0℃である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 リン化合物(ii-1)が、下記式(1)又
    は(2) 【化1】 (式中、R1〜R7はそれぞれ炭化水素基又は複素環式基
    を示し、Aは2価の炭化水素基又は複素環式基を示し、
    kは0又は1を示し、mは0〜3の整数を示す。R1
    2とA(m=1〜3のとき)、R3とR4とA(m=1
    〜3のとき)、R1とR3とR4(m=0のとき)、R5
    6とR7は、それぞれ2以上の基が互いに結合してリン
    原子を含む環を形成していてもよい)で表される化合物
    である請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 リン化合物(ii-1)が、下記式(1a)、
    (1b)、(1c)又は(2) 【化2】 (式中、R1、R2、R3、R4、R1a、R3a、R4a
    5、R6、R7はそれぞれ炭化水素基又は複素環式基を
    示し、Aは2価の炭化水素基又は複素環式基を示し、k
    は0又は1を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、R
    1a、R3a及びR4aは同時にフェニル基又は4−t−ブチ
    ルフェニル基ではない。式(1a)におけるR1とR2
    A、R3とR4とA、式(1b)におけるR1aとR3a
    4a、式(1c)におけるR1とR3とR4、式(2)にお
    けるR5とR6とR7は、それぞれ2以上の基が互いに結
    合してリン原子を含む環を形成していてもよい)で表さ
    れる化合物である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ジオキシベンゼン誘導体(ii-2)が、
    (C)(C1)ベンゼン環がアルキル基で置換されていて
    もよいハイドロキノン若しくはレゾルシノール、又は
    (C2)ベンゼン環がアルキル基で置換されたカテコール
    と、(D)有機一塩基酸とのジエステル化合物である請
    求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 固体可塑剤の含有量が熱可塑性樹脂10
    0重量部に対して30〜1000重量部である請求項1
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 さらに粘着付与剤を含有する請求項1〜
    7の何れかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 熱可塑性樹脂が水に分散した水性組成物
    である請求項1〜8の何れかの項に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の何れかの項に記載の熱
    可塑性樹脂組成物を含有する感熱性粘着剤。
  11. 【請求項11】 基材の少なくとも一方の面に請求項1
    0記載の感熱性粘着剤で構成された粘着剤層が設けられ
    ている感熱性粘着シート。
  12. 【請求項12】 基材の少なくとも一方の面に請求項1
    0記載の感熱性粘着剤を塗工して粘着剤層を設ける感熱
    性粘着シートの製造方法。
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