JP4614427B2 - 低摩擦摺動機構、手動変速機及び終減速機 - Google Patents

低摩擦摺動機構、手動変速機及び終減速機 Download PDF

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Description

本発明は、低摩擦摺動機構、手動変速機及び終減速機に係り、更に詳細には、例えば、内燃機関や駆動系伝達機関などにおける種々の摺動面の摩擦特性を向上させ得る低摩擦摺動機構、耐焼付き性、耐摩耗性に優れた摺動部位を備え、長期に亘って優れた燃費性能を発揮することができる手動変速機、並びに摺動部位における摩擦係数を減少させ、耐焼付き性、耐摩耗性を向上させることができると共に、摩擦抵抗を少なくして自動車の燃費性能を向上させることのできる終減速機に関する。
地球全体の温暖化、オゾン層の破壊など地球規模での環境問題が大きくクローズアップされ、とりわけ地球全体の温暖化に大きな影響があると言われているCO削減については各国でその規制値の決め方をめぐって大きな関心を呼んでいる。
CO削減については機械・装置等の摩擦損失によるエネルギー損失の低減、特に自動車の燃費の削減を図ることが大きな課題の一つであり、摺動材料と潤滑剤との果たす役割は大きい。
摺動材料における役割としては、エンジンの摺動部位の中で摩擦摩耗環境が苛酷な部位に対して耐摩耗性に優れかつ低い摩擦係数を発現することであり、最近では種々の硬質薄膜材料の適用が進んできている。一般のDLC材料は、空気中、潤滑油非存在下における摩擦係数が、TiNやCrNといった耐摩耗性の硬質被膜材料と比べて低いことから低摩擦摺動材料として期待されている。
また、潤滑油における省エネルギー対策、例えばエンジンの燃費対策としては、1)低粘度化による、流体潤滑領域における粘性抵抗及びエンジン内の攪拌抵抗の低減、2)最適な摩擦調整剤と各種添加剤の配合による混合及び境界潤滑領域下での摩擦損失の低減、が提言されている。例えば、摩擦調整剤としてMoDTCやMoDTPといった有機Mo化合物を中心とした多くの研究がなされており、従来の鋼材料からなる摺動面においては、使用開始初期に優れた低摩擦係数を示す有機Mo化合物を配合した潤滑油組成物が適用され、効果を上げていた。
一方、空気中において低摩擦特性に優れる一般のDLC材料は、潤滑油存在下においては、その摩擦低減効果が小さいことが報告されており(例えば非特許文献1)、また、この摺動材料に有機モリブデン化合物を含有する潤滑油組成物を適用したとしても摩擦低減効果が十分発揮されないことがわかってきた(例えば非特許文献2)。
日本トライボロジー学会予稿集・東京1999.5,p11−12,加納 他 World Tribology Congress 2001.9,Vienna,Proceeding p342, Kano et.al.
また、自動車用の手動変速機の省燃費技術に関しては、動力分配装置による潤滑油の撹拌を回避あるいは極めて小さなものとして撹拌抵抗による動力伝達効率の低下を防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−166877号公報
一方、このような変速機に用いられる潤滑油に関しては、潤滑油基油に、ホウ素含有無灰分散剤と、アルカリ土類金属系清浄剤及びイオウ系添加剤を配合した潤滑油組成物が提案されており(特許文献2参照)、さらに、低硫黄分、所定粘度の基油に、プライマリージチオリン酸亜鉛、アルカリ土類金属型清浄分散剤、所定分子量のポリブテニル基を有するアルケニルこはく酸イミド、その誘導体、リン酸エステルのアミン塩、及び硫黄化合物を含有するギヤ油が提案されている(特許文献3参照)。
特開平2003−82377号公報 特開平11−181463号公報
更に、自動車用の終減速機の省燃費技術に関しては、デファレンシャルギヤでの伝達効率の向上を目的に、特定範囲から選択されるりん系極圧剤と、特定構造の有機酸類と、特定範囲から選択される硫黄系極圧剤を潤滑油基油中に含有する終減速機用潤滑油組成物が提案されている(特許文献4参照)。
特開平6−200274号公報
また、ころ端面と内輪大鍔間の滑り摩擦損失の低減を目的に、円すいころの外径面のコーンセンターを内輪の中心軸からずらせた円すいころ軸受や、このような円すいころ軸受を自動車用デファレンシャルに用いることがが提案されている(特許文献5参照)。
特開平2000−192951号公報
上記特許文献1に記載された手動変速機においては、上記のように潤滑油の撹拌抵抗低減が検討されているが、摺動部位の摩擦を低減することによる性能及び燃費向上について、特に摺動部材と潤滑油の相性については検討されていない。
また、潤滑油単独のものとしては、上記特許文献2及び3の例に見られるような構成とすることによって、摩耗防止、疲労寿命の改善、シンクロナイザリングとギヤコーンの間の摩擦特性向上を図るようにしているが、摺動部材の特性を考慮したうえでの摩擦係数低減については、特に検討されていない。
更に、上記特許文献4に記載された終減速機用潤滑油組成物においては、処方改良によるギヤ部の伝達効率向上が検討されており、特許文献5においては、円すいころ軸受の構造改良による摩擦損失の低減が検討されているものの、摺動表面自体の摩擦を低減することや、摺動部材と潤滑油の相性については検討されていない。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、様々な用途下で存在する摺動面に極めて優れた低摩擦特性を発揮でき、特に、従来の鋼材料と有機Mo化合物との組合せより更に優れた低摩擦特性を有する低摩擦摺動機構を提供することにある。
また、本発明の目的とするところは、ベアリング部のような、手動変速機における各種の摺動部位における摩擦係数を低減し、耐焼付き性及び耐摩耗性を向上すると共に、各部位の摺動抵抗を少なくして、自動車の燃費向上に寄与することができる手動変速機を提供することにある。
更に、本発明の目的とするところは、終減速機における各種の摺動部位、例えばワッシャーを介して摺接するサイドギヤ背面とデフケース内面間などにおける摩擦係数を低減し、耐焼付き性及び耐摩耗性を向上すると共に、各部位の摺動抵抗を少なくして、自動車の燃費向上に寄与することができる終減速機を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、少なくとも一方がDLC材料である摺動部材と特定の化合物の組合せが、従来の潤滑理論からは到底実現しえない程の極めて優れた低摩擦特性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは、互いに摺接する摺動面の一方又は双方に水素含有量の少ない硬質炭素薄膜を形成することによって、低摩擦剤組成物の介在下で摩擦係数が大幅に低減することを見出すと共に、かかる硬質炭素薄膜を被覆してなる摺動部材において、低摩擦係数を実現し、耐焼付き性や耐摩耗性を改善するには、使用する低摩擦剤組成物中の添加剤による影響も少なくないことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の低摩擦摺動機構は、DLCコーティング摺動部材がなす摺動面に、含酸素有機化合物を介在させたことにより、従来の摺動部材と低摩擦剤組成物の組合せより優れた低摩擦特性を有する。
また、本発明の手動変速機は、ベアリング部のような各種の摺動部位における摩擦係数を低減し、耐焼付き性及び耐摩耗性を向上すると共に、各部位の摺動抵抗を少なくして、自動車の燃費向上に寄与する。
更に、本発明の終減速機は、サイドギヤ背面とデフケース内面間などにおける摩擦係数を低減し、耐焼付き性及び耐摩耗性を向上すると共に、各部位の摺動抵抗を少なくして、自動車の燃費向上に寄与する。
以下、本発明の低摩擦摺動機構と、これに用いる低摩擦剤組成物について、更に詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。
かかる低摩擦摺動機構は、DLCコーティング摺動部材(A)と摺動部材(B)とを摺動させる際に、これら摺動部材がなす摺動面に低摩擦剤組成物を介在させて成る。また、かかる低摩擦剤組成物は、含酸素有機化合物(C)として、アルコール類、カルボン酸類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、カーボネート類及びこれらの誘導体から成る群より選ばれた少なくとも1種を含有するものを用いる。これより、DLCコーティング摺動部材と摺動部材とが従来よりも極めて低摩擦で摺動する。
ここで、上記DLCコーティング摺動部材(A)に用いられるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)材は、炭素元素を主として構成された非晶質であり、炭素同士の結合形態がダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト結合(SP2結合)の両方から成る。 具体的には、炭素元素だけから成るa−C(アモルファスカーボン)、水素を含有するa−C:H(水素アモルファスカーボン)、及びチタン(Ti)やモリブデン(Mo)等の金属元素を一部に含むMeCが挙げられる。本発明の低摩擦摺動機構では、上記DLC材は大幅な摩擦低減効果の発揮の面から、水素を含まないa−C系材料から成ることが好適である。また、上記DLC材は、水素含有量が増加すると摩擦係数が増すことから、水素含有量が10原子%以下である必要がある。更に、低摩擦剤組成物中での摺動時の摩擦係数を十分に低下させ、さらに安定した摺動特性を確保するためには、望ましくは5原子%以下、さらに望ましくは0.5原子%以下であること良い。このような水素含有量の低いDLC材は、例えばスパッタリング法やイオンプレーティング法など、水素や水素含有化合物を実質的に使用しないPVD法によって成膜することによって得られる。
この場合、成膜時に水素を含まないガスを用いるだけでなく、場合によっては反応容器や基材保持具のベーキングや、基材表面のクリーニングを十分に行ったうえで成膜することが被膜中の水素量を減らすために望ましい。
また、上記DLCコーティング摺動部材(A)に用いられる基材としては、例えば浸炭鋼、焼入鋼、アルミニウム等の非鉄金属などを使用できる。
DLCコーティング前の基材の表面粗さについては、硬質炭素薄膜の膜厚が相当に薄いために、成膜後も膜表面の粗さに大きく影響することから、表面粗さRa(中心線平均粗さ)が0.1μm以下であることが望ましい。すなわち、基材の表面粗さRaが0.1μmを超えて粗い場合、膜表面の粗さに起因する突起部が相手材との局部的な接触面圧を増大させ、膜の割れを誘発する可能性が高くなることによる。
また、上記摺動部材(B)の構成材料としては、特に制限はないが、具体的には鉄系材料、アルミニウム系材料、マグネシウム系材料、チタン系材料等の金属材料等が挙げられる。特に、鉄系材料、アルミニウム系材料及びマグネシウム系材料は、既存の機械・装置等の摺動部に適用しやすく、また、様々な分野で幅広く省エネルギー対策に貢献できる点で好ましい。
更に、上記摺動部材(B)の構成材料としては、樹脂、プラスティック及びカーボン等の非金属材料を使用することもできる。
更にまた、これら金属材料や非金属材料に各種の薄膜コーティングを施した材料も有用である。
上記鉄系材料としては、特に制限はなく、高純度の鉄だけでなく、各種の鉄系合金(ニッケル、銅、亜鉛、クロム、コバルト、モリブデン、鉛、ケイ素又はチタン、及びこれらを任意に組み合わせたもの等)を使用することができる。具体的には、例えば浸炭鋼SCM420やSCr420(JIS)などを挙げることができる。
また、上記アルミニウム系材料としては、特に制限はなく、高純度のアルミニウムだけでなく、各種のアルミニウム系合金を使用することができる。具体的には、例えばシリコン(Si)を4〜20%、銅(Cu)を1.0〜5.0%含む亜共晶アルミニウム合金又は過共晶アルミニウム合金等を用いることが望ましい。アルミニウム合金の好適例としては、例えばAC2A、AC8A、ADC12及びADC14(JIS)等を挙げることができる。
また、上記摺動部材(B)のうち、各種コーティングを施した金属材料としては、特に制限はないが、具体的には、各種金属系材料、例えば、上記鉄系材料、アルミニウム系材料、マグネシウム系材料又はチタン系材料等に、TiN、CrN等、又は上記DLC材料等を表面に薄膜コーティングを施した金属系材料を挙げることができ、中でも上記DLC材料をコーティングした金属材料であることが好ましい。更に、このDLC材料は、水素を含まないa−C系のダイヤモンドライクカーボンであることがより好ましい。
また、上記DLCコーティング摺動部材(A)及び摺動部材(B)(例えば、金属材料又は各種薄膜コーティングを施した当該金属材料)のそれぞれの表面粗さRaは、0.1μm以下、好ましくは0.08μm以下であることが摺動の安定性の面から好適である。0.1μmを超えると局部的にスカッフィングを形成し、摩擦係数の大幅向上となることがある。
更に、上記DLCコーティング摺動部材(A)は、表面硬さが、マイクロビッカース硬さ(10g荷重)でHv1000〜3500、DLC膜厚が0.3〜2.0μmであることが好ましい。なお、DLCコーティング摺動部材(A)の表面硬さ及び厚さが上記範囲から外れるとHv1000未満、厚さ0.3μm未満では摩滅し易くなり、逆にHv3500、厚さ2.0μmを超えると剥離し易くなり、鉄基部材の表面硬さが上記から外れるとHRC45未満では高面圧下で座屈し剥離し易くなることがある。
また、上記摺動部材(B)に鉄系材料を用いる場合、その表面硬さは、ロックウェル硬さで、Cスケールで、HRC45〜60であることが好ましい。この場合は、カムフォロワー部材のように700MPa程度の高面圧下の摺動条件においても、膜の耐久性を維持できるので有効である。
更に、上記摺動部材(B)がアルミニウム系材料を用いる場合、その表面硬さが、ブリネル硬さH80〜130であることが好ましい。アルミニウム系材料の表面硬さが上記から外れるとH80未満ではアルミニウム系材料が摩耗し易くなることがある。
更にまた、上記摺動部材(B)が薄膜コーティングを施した金属材料を用いる場合、特にDLC材料をコーティングした金属材料より成る場合、その表面硬さが、マイクロビッカース硬さ(10g荷重)でHv1000〜3500、DLC膜厚が0.3〜2.0μmであることが好ましい。表面硬さ及び厚さが上記範囲から外れるとHv1000未満、厚さ0.3μm未満では摩滅し易くなり、逆にHv3500、厚さ2.0μmを超えると剥離し易くなることがある。
上記DLCコーティング摺動部材(A)及び摺動部材(B)から成る摺動面としては、低摩擦剤組成物を介在させた2つの摺動表面が接触する摺動面であれば何ら限定なく使用できる。例えば、4サイクルや2サイクルエンジン等の内燃機関の摺動部(例えば動弁系、ピストン、ピストンリング、ピストンスカート、シリンダライナ、コンロッド、クランクシャフト、ベアリング、軸受け、メタル、ギヤー、チェーン、ベルト、オイルポンプ等)を始め、駆動系伝達機構(例えばギヤー等)やハードディスクドライブの摺動部、その他摩擦条件が厳しく、低摩擦性が要求される様々な摺動面が対象となる。これらの摺動面において、少なくとも一方の摺動部材にDLCコーティングを施し、含酸素有機化合物及び脂肪族アミン系化合物から選ばれる少なくとも1種を供給するだけで、従来に比べてより潤滑し、極めて優れた低摩擦特性が得られるので有効である。
例えば、内燃機関の動弁系における好的実施様態としては、鉄鋼材料の基盤にDLCをコーティングした円盤状のシムやリフター冠面と、低合金チルド鋳鉄、浸炭鋼又は調質炭素鋼、及びこれらの任意の組合せに係る材料を用いたカムロブからなる摺動面などが挙げられる。
一方、本発明の低摩擦摺動機構における上記含酸素有機化合物(C)としては、具体的には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基等を有する化合物、エステル結合、エーテル結合を有する化合物等(これらは2種以上の基又は結合を有していても良い)が挙げられ、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル結合から選ばれる基又は結合を1つ又は2つ以上有することが好ましく、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル結合から選ばれる基又は結合を1つ又は2つ以上有する含酸素有機化合物であることがより好ましく、ヒドロキシル基又はカルボキシル基から選ばれる基を1つ又は2つ以上有する含酸素有機化合物であることが更に好ましく、ヒドロキシル基を1つ又は2つ以上有する含酸素有機化合物であることが特に好ましい。
より具体的には、I)アルコール類、II)カルボン酸類、III)エステル類、IV)エーテル類、V)ケトン類、VI)アルデヒド類、VII)カーボネート類(これらは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合から選ばれる1種又は2種以上の基又は結合を更に有していても良い)、及びこれらの誘導体、並びにこれらの任意の混合物等が挙げられる。
ここで、I)アルコール類は、次の一般式(1)
R−(OH)n …(1)
で表される含酸素有機化合物であり、ヒドロキシル基を1つ又は2つ以上有する化合物が例示できる。
アルコール類(I)としては、具体的に、例えば以下のものが挙げられる。
・1価アルコール類(I−1)
・2価のアルコール類(I−2)
・3価以上のアルコール類(I−3)
・上記3種のアルコール類から選ばれる1種又は2種以上の混合物(I−4)
上記1価アルコール類(I−1)は、ヒドロキシル基を分子中に1つ有するものであり、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール(1−プロパノール、2−プロパノール)、ブタノール(1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール)、ペンタノール(1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール)、ヘキサノール(1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2,2−ジメチルブタノール)、ヘプタノール(1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−メチル−1−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、5−メチル−2−ヘキサノール、3−エチル−3−ペンタノール、2,2−ジメチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、4,4−ジメチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ヘキサノール、4−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘキサノール、2−エチルペンタノール)、オクタノール(1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−メチル−3−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−プロピル−1−ペンタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール、3,5−ジメチル−1−ヘキサノール、2−メチル−1−ヘプタノール、2,2−ジメチル−1−ヘキサノール)、ノナノール(1−ノナノール、2−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、3−エチル−2,2−ジメチル−3−ペンタノール、5−メチルオクタノール等)、デカノール(1−デカノール、2−デカノール、4−デカノール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、2,4,6−トリメチルヘプタノール等)、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール(ステアリルアルコール等)、ノナデカノール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、トリコサノール、テトラコサノール等の炭素数1〜40の1価アルキルアルコール類(これらアルキル基は直鎖状であっても分枝状であっても良い);エテノール、プロペノール、ブテノール、ヘキセノール、オクテノール、デセノール、ドデセノール、オクタデセノール(オレイルアルコール等)等炭素数2〜40の1価アルケニルアルコール類(これらアルケニル基は直鎖状であっても分枝状であっても良く、また、二重結合の位置も任意である);シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、メチルシクロペンタノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール、エチルシクロヘキサノール、プロピルシクロヘキサノール、ブチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール、シクロペンチルメタノール、シクロヘキシルメタノール(1−シクロヘキシルエタノール、2−シクロヘキシルエタノール等)、シクロヘキシルエタノール、シクロヘキシルプロパノール(3−シクロヘキシルプロパノール等)、シクロヘキシルブタノール(4−シクロヘキシルブタノール等)、ブチルシクロヘキサノール、3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキサノール等の炭素数3〜40の1価(アルキル)シクロアルキルアルコール類(これらアルキル基は直鎖状であっても分枝状であっても良く、また、アルキル基、ヒドロキシル基の置換位置も任意である);フェニルアルコール、メチルフェニルアルコール(o―クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール)、クレオソール、エチルフェニルアルコール、プロピルフェニルアルコール、ブチルフェニルアルコール、ブチルメチルフェニルアルコール(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルアルコール等)、ジメチルフェニルアルコール、ジエチルフェニルアルコール、ジブチルフェニルアルコール(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアルコール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニルアルコール等)、ジブチルメチルフェニルアルコール(2,6−ジ−tert−ブチル−4メチルフェニルアルコール等)、ジブチルエチルフェニルアルコール(2,6−ジ−tert−ブチル−4エチルフェニルアルコール等)、トリブチルフェニルアルコール(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアルコール等)、ナフトール(α―ナフトール、β−ナフトール等)、ジブチルナフトール(2,4−ジ−tert−ブチル−α−ナフトール等)等の(アルキル)アリールアルコール類(これらアルキル基は直鎖状であっても分枝状であっても良く、また、アルキル基、ヒドロキシル基の置換位置も任意である)等;6−(4−オキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−アニリノ)−2,4−ビス−(n−オクチル−チオ)−1,3,5−トリアジン等及びこれらの混合物等が挙げられる。
これら1価アルコール類においては、DLCコーティング摺動部材(A)と摺動部材(B)から成る摺動面の摩擦をより低減できる点、及び揮発性が低く高温条件(例えば内燃機関等の摺動条件)においても摩擦低減効果を発揮できる点から、オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数12〜18の直鎖又は分枝のアルキルアルコール類やアルケニルアルコール類を使用するのがより好ましい。
また、上記2価アルコール(I−2)としては、具体的には、ヒドロキシル基を分子中に2つ有するものであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ヘプタデカンジオール、1.16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−イコサデカンジオール等の炭素数2〜40のアルキル又はアルケニルジオール類(これらアルキル基又はアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良く、アルケニル基の二重結合の位置は任意であり、ヒドロキシル基の置換位置も任意である);シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール等の(アルキル)シクロアルカンジオール類(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、アルキル基、ヒドロキシル基の置換位置は任意である)、ベンゼンジオール(カテコール等)、メチルベンゼンジオール、エチルベンゼンジオール、ブチルベンゼンジオール(p−tert−ブチルカテコール等)、ジブチルベンゼンジオール(4,6−ジ−tert−ブチル−レゾルシン等)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチル−フェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチル−フェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチル−フェノール)、2,2’−チオビス−(4,6−ジ−tert−ブチル−レゾルシン)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチル−フェノール)、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール)、2,2’−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシ)プロパン、4,4’−シクロヘキシリデンビス−(2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール)、等の炭素数2〜40の2価(アルキル)アリールアルコール類(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、アルキル基、ヒドロキシル基の置換位置は任意である)等;p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物、p−tert−ブチルフェノールとアセトアルデヒドとの縮合物等;及びこれらの混合物等が挙げられる。
これら2価アルコール類においては、DLCコーティング摺動部材(A)と摺動部材(B)から成る摺動面の摩擦をより低減できる点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等を使用するのが好ましい。また、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)フェニルアルコール等の分子量300以上、好ましくは400の高分子量のヒンダードアルコール類は、高温条件(例えば内燃機関等の摺動条件)においても揮発しにくく耐熱性に優れ、摩擦低減効果を発揮できるとともに、優れた酸化安定性をも付与できる点で好ましい。
更に、3価以上のアルコール類(I−3)としては、具体的には、ヒドロキシル基を3つ以上有するものであり、通常3〜10価、好ましくは3〜6価の多価アルコールが用いられる。具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等のトリメチロールアルカン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等、及びこれらの重合体又は縮合物(例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のグリセリンの2〜8量体等、ジトリメチロールプロパン等のトリメチロールプロパンの2〜8量体等、ジペンタエリスリトール等のペンタエリスリトールの2〜4量体等、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物等の縮合化合物(分子内縮合化合物、分子間縮合化合物又は自己縮合化合物)等が挙げられる。
また、キシロース、アラビトール、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マントース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類も使用可能である。
これら3価以上のアルコール類においては、グリセリン、トリメチロールアルカン(例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の3〜6価の多価アルコール及びこれらの混合物等がより好ましく、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びこれらの混合物が更に好ましく、酸素含有量が20%以上、好ましくは30%以上、特に好ましくは40%である多価アルコール類であることが特に好ましい。なお、6価を超える多価アルコールの場合、粘度が高くなりすぎる。
カルボン酸類(II)は、次の一般式(2)
R−(COOH)n …(2)
で表される含酸素有機化合物であり、カルボキシル基を1つ又は2つ以上有する化合物が例示できる。
上記カルボン酸類(II)としては、具体的に、例えば以下のものが挙げられる。
・脂肪族モノカルボン酸類(脂肪酸類)(II−1)
・脂肪族多価カルボン酸類(II−2)
・炭素環カルボン酸類(II−3)
・複素環式カルボン酸類(II−4)
・上記4種のカルボン酸類から選ばれる2種以上の混合物(II−5)
上記脂肪族モノカルボン酸類(脂肪酸類)(II−1)は、具体的には、カルボキシル基を分子中に1つ有する脂肪族モノカルボン酸類であり、例えばメタン酸、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸、イソ酪酸等)、ペンタン酸(吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸等)、ヘキサン酸(カプロン酸等)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸等)、ノナン酸(ペラルゴン酸等)、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸等)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸等)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸等)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸等)、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸等の炭素数1〜40の飽和脂肪族モノカルボン酸(これら飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でも良い。);プロペン酸(アクリル酸等)、プロピン酸(プロピオール酸等)、ブテン酸(メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等)、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸(オレイン酸等)、ノナデセン酸、イコセン酸、ヘンイコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン酸、ペンタコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン酸等の炭素数1〜40の不飽和脂肪族モノカルボン酸(これら不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、また不飽和結合の位置も任意である)等が挙げられる。
また、上記脂肪族多価カルボン酸類(II−2)としては、エタン二酸(シュウ酸)、プロパン二酸(マロン酸等)、ブタン二酸(コハク酸、メチルマロン酸等)、ペンタン二酸(グルタル酸、エチルマロン酸等)、ヘキサン二酸(アジピン酸等)、ヘプタン二酸(ピメリン酸等)、オクタン二酸(スベリン酸等)、ノナン二酸(アゼライン酸等)、デカン二酸(セバシン酸等)、プロペン二酸、ブテン二酸(マレイン酸、フマル酸等)、ペンテン二酸(シトラコン酸、メサコン酸等)、ヘキセン二酸、ヘプテン二酸、オクテン二酸、ノネン二酸、デセン二酸等の炭素数2〜40の飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸(これら飽和脂肪族又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、また不飽和結合の位置も任意である);プロパントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ペンタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、ヘプタントリカルボン酸、オクタントリカルボン酸、ノナントリカルボン酸、デカントリカルボン酸等の飽和又は不飽和脂肪族トリカルボン酸(これら飽和脂肪族又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、また不飽和結合の位置も任意である);飽和又は不飽和脂肪族テトラカルボン酸(これら飽和脂肪族又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、また不飽和結合の位置も任意である)等が挙げられる。
更に、上記炭素環カルボン酸類(II−3)は、具体的には、炭素環にカルボキシル基を分子中に1つ又は2つ以上有するカルボン酸類であり、例えば、シクロヘキサンモノカルボン酸、メチルシクロへキサンモノカルボン酸、エチルシクロヘキサンモノカルボン酸、プロピルシクロへキサンモノカルボン酸、ブチルシクロへキサンモノカルボン酸、ペンチルシクロへキサンモノカルボン酸、ヘキシルシクロへキサンモノカルボン酸、ヘプチルシクロへキサンモノカルボン酸、オクチルシクロへキサンモノカルボン酸、シクロヘプタンモノカルボン酸、シクロオクタンモノカルボン酸、トリメチルシクロペンタンジカルボン酸(ショウノウ酸等)等の炭素数3〜40の、ナフテン環を有するモノ、ジ、トリ又はテトラカルボン酸(アルキル基、アルケニル基を置換基として有する場合、それらは直鎖状でも分枝状でも良く、二重結合の位置も任意であり、また、その置換数、置換位置も任意である);ベンゼンカルボン酸(安息香酸)、メチルベンゼンカルボン酸(トルイル酸等)、エチルベンゼンカルボン酸、プロピルベンゼンカルボン酸、ベンゼンジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等)、ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸等)、ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸等)ナフタリンカルボン酸(ナフトエ酸等)等、炭素数7〜40の芳香族モノカルボン酸類、フェニルプロパン酸(ヒドロアトロパ酸)、フェニルプロペン酸(アトロパ酸、ケイ皮酸等)、サリチル酸、炭素数1〜30のアルキル基を1つ又は2つ以上有するアルキルサリチル酸等の炭素数7〜40のアリール基を有するモノ、ジ、トリ又はテトラカルボン酸(アルキル基、アルケニル基を置換基として有する場合、それらは直鎖状でも分枝状でも良く、二重結合の位置も任意であり、また、その置換数、置換位置も任意である)等が挙げられる。
更にまた、上記複素環式カルボン酸類(II−4)としては、具体的には、カルボキシル基を分子中に1つ又は2つ以上有する複素環式カルボン酸類であり、例えば、フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ピリジンカルボン酸(ニコチン酸、イソニコチン酸等)等、炭素数5〜40の、複素環式カルボン酸類が挙げられる。
エステル類(III)は、次の一般式(3)
R−(COO−R’)n …(3)
で表される含酸素有機化合物であり、エステル結合を1つ又は2つ以上有する化合物が例示できる。
上記エステル類(III)としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
・脂肪酸モノカルボン酸類(脂肪酸類)のエステル(III−1)
・脂肪族多価カルボン酸類のエステル(III−2)
・炭素環カルボン酸類のエステル(III−3)
・複素環式カルボン酸類のエステル(III−4)
・上記5種のエステル等から選ばれる任意の混合物(III−5)
なお、上記III−1〜5に挙げたエステル類は、ヒドロキシル基又はカルボキシル基が全てエステル化された完全エステルでも良く、ヒドロキシル基又はカルボキシル基が一部残存した部分エステルであっても良い。
上記脂肪酸モノカルボン酸類(脂肪酸類)のエステル(III−1)は、上述の脂肪酸モノカルボン酸類(II−1)から選ばれる1種又は2種以上と、上述の1価、2価又は3価以上のアルコール類(I−1〜3)から選ばれる1種又は2種以上とのエステルである。また、このようなエステルとしては、脂肪族モノカルボン酸しては、例えば、具体的には、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレートなどが挙げられる。
また、脂肪族多価カルボン酸類のエステル(III−2)は、上述の脂肪族多価カルボン酸類(II−2)から選ばれる1種又は2種以上と、上述の1価、2価又は3価以上のアルコール類(I−1〜3)から選ばれる1種又は2種以上とのエステル等である。具体例的には、例えば、ジブチルマレエート、ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等の炭素数2〜40、好ましくは炭素数4〜18、特に好ましくは6〜12のジカルボン酸類から選ばれる1種又は2種以上の多価カルボン酸類と、炭素数4〜40、好ましくは炭素数4〜18、特に好ましくは6〜14の1価アルコール類から選ばれる1種又は2種以上とのジエステル類、これらジエステル類(例えばジブチルマレエート等)と炭素数4〜16のポリαオレフィン等との共重合体、無水酢酸等にαオレフィンを付加した化合物と炭素数1〜40のアルコール類とのエステル等が挙げられる。
更に、炭素環カルボン酸類のエステル(III−3)としては、上述の炭素環カルボン酸類(II−3)から選ばれる1種又は2種以上と、上述の1価、2価又は3価以上のアルコール類(I−1〜3)から選ばれる1種又は2種以上とのエステル等が挙げられる。具体的には、例えば、フタル酸エステル類、トリメリット酸エステル類、ピロメリット酸エステル類、サリチル酸エステル類等の芳香族カルボン酸エステル類が挙げられる。
更にまた、複素環式カルボン酸類のエステル(III−4)としては、上述の複素環式カルボン酸類(II−4)から選ばれる1種又は2種以上と、上述の1価、2価又は3価以上のアルコール類(I−1〜3)から選ばれる1種又は2種以上とのエステル類が挙げられる。
エーテル類(IV)は、次の一般式(4)
R−(O−R’)n …(4)
で表される含酸素有機化合物であり、エーテル結合を1つ又は2つ以上有する化合物が例示できる。
上記エーテル類(IV)としては、具体的には、例えば、以下のもの等が挙げられる。
・飽和又は不飽和脂肪族エーテル類(IV−1)
・芳香族エーテル類(IV−2)
・環式エーテル類(IV−3)
・多価アルコールのエーテル類(IV−4)
・上記3種エーテル類のから選ばれる2種以上の混合物 (IV−5)
飽和又は不飽和脂肪族エーテル類(脂肪族単一エーテル類)(IV−1)としては、具体的には、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジヘプタデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、ジノナデシルエーテル、ジイコシルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、メチル−n−アミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、エチル−n−アミルエーテル、エチルイソアミルエーテル、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテル等の炭素数1〜40の飽和又は不飽和脂肪族エーテル類(これら飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意である)が挙げられる。
また、芳香族エーテル類(IV−2)としては、具体的には、例えば、アニソール、フェネトール、フェニルエーテル、ベンジルエーテル、フェニルベンジルエーテル、α−ナフチルエーテル、β−ナフチルエーテル、ポリフェニルエーテル、パーフルオロエーテル等が挙げられ、これらは飽和又は不飽和脂肪族基を有していても良い(これら飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意であり、また、その置換位置も数も任意である)。これらはその使用条件、特に常温において液状であることが好ましい。
更に、環式エーテル類(IV−3)としては、具体的には、例えば、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化トリメチレン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、グリシジルエーテル類等の炭素数2〜40の環式エーテル類が挙げられ、これらは飽和又は不飽和脂肪族基、炭素環、飽和又は不飽和脂肪族基を有する炭素環を有していても良い(これら飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意であり、また、その置換位置も数も任意である)。
多価アルコールのエーテル類(IV−4)は、上述の2価又は3価以上のアルコール(I−2〜3)から選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールと、1価アルコール(I−1)から選ばれる1種又は2種以上のエーテルである。なお、ここで言うエーテルとは、多価アルコールのヒドロキシル基が全てエーテル化された完全エーテルでも良く、ヒドロキシル基が一部残存した部分エーテルでも良いが、より低摩擦特性を示すことから部分エーテルであることが好ましい。
ケトン類(V)は、次の一般式(5)
R−(CO−R’)n …(5)
で表される含酸素有機化合物であり、カルボニル結合を1つ又は2つ以上有する化合物が例示できる。
上記ケトン類(V)としては、具体的には、例えば、以下のもの等が挙げられる。
・飽和又は不飽和脂肪族ケトン類(V−1)
・炭素環ケトン類(V−2)
・複素環ケトン類(V−3)
・ケトンアルコール類(V−4)
・ケトン酸類(V−5)
・上記5種のケトン類等から選ばれる2種以上の混合物(V−6)
飽和又は不飽和脂肪族ケトン類(V−1)としては、具体的には、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ピナコロン、ジエチルケトン、ブチロン、ジイソプロピルケトン、メチルビニルケトン、メシチルオキシド、メチルフェプテノン等の炭素数1〜40の飽和又は不飽和脂肪族ケトン類(これら飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意である)等が挙げられる。
また、炭素環ケトン類(V−2)としては、具体的には、例えば、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、ベンゾフェノン、ジベンジルケトン、2−アセトナフトン等の炭素数1〜40の炭素環ケトン類が挙げられ、これらは飽和又は不飽和脂肪族基を有していても良い(これら飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意であり、また、その置換位置も数も任意である)。
更に、複素環ケトン類(V−3)としては、具体的には、例えば、アセトチエノン、2−アセトフロン等の炭素数1〜40の炭素環ケトン類が挙げられ、これらは飽和又は不飽和脂肪族基を有していても良い(これら飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意であり、また、その置換位置も数も任意である)。
更にまた、ケトンアルコール(ケトール)類(V−4)としては、具体的には、例えば、アセトール、アセトイン、アセトエチルアルコール、ジアセトンアルコール、フェナシルアルコール、ベンゾイン等の炭素数1〜40のケトンアルコール類が挙げられ、これらは炭素環、複素環を有していてもよく、また、飽和又は不飽和脂肪族基を有する炭素環、複素環を有していても良い(これら飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意であり、また、その置換位置も数も任意である)。
また、ケトン酸類(V−5)としては、具体的には、例えば、ピルビン酸、ベンゾイルギ酸、フェニルピルビン酸等のα−ケトン酸類、アセト酢酸、プロピオニル酢酸、ベンゾイル酢酸等のβ−ケトン酸類、レブリン酸、β−ベンゾイルプロピオン酸等のγ−ケトン酸類等の炭素数1〜40のケトン酸類が挙げられる。
アルデヒド類(VI)は、次の一般式(6)
R−(CHO)n …(6)
で表される含酸素有機化合物であり、アルデヒド基1つ又は2つ以上を有する化合物が例示できる。
上記アルデヒド類(VI)としては、具体的には、例えば、以下のもの等が挙げられる。
・飽和又は不飽和脂肪族アルデヒド類(VI−1)
・炭素環アルデヒド類(VI−2)
・複素環アルデヒド類(VI−3)
・上記3種のアルデヒド類から選ばれる2種以上の混合物(VI−4)
飽和又は不飽和脂肪族アルデヒド類(VI−1)としては、具体的には、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ピバリンアルデヒド、カプロンアルデヒド、ヘプトアルデヒド、カプリルアルデヒド、ペラルゴンアルデヒド、化プリンアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ラウリンアルデヒド、トリデシルアルデヒド、ミリスチンアルデヒド、ペンタデシルアルデヒド、パルミチンアルデヒド、マルガリンアルデヒド、ステアリンアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、プロピオールアルデヒド、グリオキサール、スクシンジアルデヒド等の炭素数1〜40の飽和又は不飽和脂肪族アルデヒド類(これら飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意である)等が挙げられる。
また、炭素環アルデヒド類(VI−2)としては、具体的には、例えば、ベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、シンナムアルデヒド、α−ナフトアルデヒド、β−ナフトアルデヒド等の炭素数1〜40の炭素環アルデヒド類等が挙げられ、これらは飽和又は不飽和脂肪族基を有していても良い(これらは飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意であり、また、置換位置も数も任意である)。
更に、複素環アルデヒド類(VI−3)としては、具体的には、例えば、フルフラール等の炭素数1〜40の複素環アルデヒド類等が挙げられ、これらは飽和又は不飽和脂肪族基を有していても良い(これらは飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意であり、また、置換位置も数も任意である)。
カーボネート類(VII)は、次の一般式(7)
R−(O−COO−R’)n …(7)
で表される含酸素有機化合物であり、カーボネート結合を1つ又は2つ以上有する化合物が例示できる。
上記カーボネート類(VII)としては、具体的には、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジn−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジn−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジtertブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジノニルカーボネート、ジデシルカーボネート、ジウンデシルカーボネート、ジドデシルカーボネート、ジトリデシルカーボネート、ジテトラデシルカーボネート、ジペンタデシルカーボネート、ジヘキサデシルカーボネート、ジヘプタデシルカーボネート、ジオクタデシルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の炭素数1〜40の飽和又は不飽和脂肪族、炭素環、飽和又は不飽和脂肪族を有する炭素環、炭素環を有する飽和又は不飽和脂肪族等を有するカーボネート類(これら飽和又は不飽和脂肪族は直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合の位置は任意であり、また、置換位置も数も任意である)等、あるいはこれらカーボネート類にアルキレンオキサイドを付加したヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート類等が挙げられる。
一方、一般式(1)〜(7)におけるR及びR’は、それぞれ個別に、アルキル基、アルケニル基、アルキレン基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等の炭化水素基又はこれら炭化水素基から1個又は2個以上の水素原子を除いた炭化水素基(これら炭化水素基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合から選ばれる1種又は2種以上の基又は結合を更に有していても良く、炭素、水素及び酸素以外の元素、例えば、窒素や硫黄(例えば複素環化合物)、ハロゲン(フッ素、塩素等)、リン、ホウ素、金属等を含有していても良い。)を示す。
なお、上記炭化水素基は、その炭素数に何ら制限はないが、好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数3〜20である。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、直鎖又は分枝のテトラコシル基等の炭素数1〜40のアルキル基等が挙げられ、好ましくは炭素数2〜30のアルキル基、特に好ましくは炭素数3〜20のアルキル基である。
また、上記アルケニル基としては、ビニル基、直鎖又は分枝のプロペニル基、直鎖又は分枝のブテニル基、直鎖又は分枝のペンテニル基、直鎖又は分枝のへキセニル基、直鎖又は分枝のヘプテニル基、直鎖又は分枝のオクテニル基、直鎖又は分枝のノネニル基、直鎖又は分枝のデセニル基、直鎖又は分枝のウンデセニル基、直鎖又は分枝のドデセニル基、直鎖又は分枝のトリデセニル基、直鎖又は分枝のテトラデセニル基、直鎖又は分枝のペンタデセニル基、直鎖又は分枝のヘキサデセニル基、直鎖又は分枝のヘプタデセニル基、直鎖又は分枝のオクタデセニル基、直鎖又は分枝のノナデセニル基、直鎖又は分枝のイコセニル基、直鎖又は分枝のヘンイコセニル基、直鎖又は分枝のドコセニル基、直鎖又は分枝のトリコセニル基、直鎖又は分枝のテトラコセニル基等の炭素数2〜40のアルケニル基等が挙げられ、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基、特に好ましくは炭素数3〜20のアルケニル基である。
更に、上記シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基シクロオクチル基等の炭素数3〜40のシクロアルキル基等が挙げられ、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、特に好ましくは炭素数5〜8のシクロアルキル基である。
更にまた、上記アルキルシクロアルキル基としては、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)等の炭素数4〜40のアルキルシクロアルキル基等が挙げられ、好ましくは炭素数5〜20のアルキルシクロアルキル基、特に好ましくは炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基である。
また、上記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等、炭素数6〜20のアリール基、好ましくは炭素数6〜10のアリール基である。
更に、上記アルキルアリール基としては、トリル基(全ての構造異性体を含む。)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のプロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のオクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)のような1置換フェニル基;キシリル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルフェニル基、ジプロピルフェニル基、2−メチル−6−tert−ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ベンジル)フェニル基等のような同一又は異なる直鎖又は分枝のアルキル基、を2つ以上有するアリール基(アルキル基は、更にアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基を含んでも良く、全ての構造異性体を含む。)等のアルキルアリール基等が挙げられ、炭素数7〜40のアルキルアリール基、好ましくは炭素数7〜20のアルキルアリール基、特に好ましくは炭素数7〜12のアルキルアリール基である。
更に、アリールアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む。)フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む。)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体を含む。)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体を含む。)等の炭素数7〜40のアリールアルキル基、好ましくは炭素数7〜20のアリールアルキル基、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基である。
なお、含酸素有機化合物(C)は、上記した各化合物の誘導体であっても同様に使用できる。誘導体としては、窒素含有化合物、硫黄や硫黄含有化合物、ホウ素含有化合物、ハロゲン元素やハロゲン元素化合物、金属元素や金属含有化合物(有機、無機を問わない)、アルキレンオキサイドを反応させて得られる化合物等が挙げられるが、特にこれらに制限されない。具体的には、例えば、上記アルコール類、カルボン酸類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類及びカーボネート類から選ばれる1種を硫化した化合物や、ハロゲン化(フッ化、塩化等)した化合物や、硫酸、硝酸、硼酸、リン酸及びこれらの酸のエステル類又は金属塩類との反応生成物や、金属、金属含有化合物、又はアルキレンオキサイドと反応させたアルキレンオキサイド付加物、アミン化合物との反応生成物、等が挙げられる。
これらの中では、アルコール類、カルボン酸類及びアルデヒド類並びにこれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上と、アミン化合物との反応生成物(例えばマンニッヒ反応生成物、アシル化反応生成物、アミド等)が好ましい例として挙げられる。
上記アミン化合物としては、アンモニア、モノアミン、ジアミン、ポリアミンが挙げられる。より具体的には、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、及びプロピルブチルアミン等の炭素数1〜30のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルキルアミン;
エテニルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オクテニルアミン、及びオレイルアミン等の炭素数2〜30のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルケニルアミン;メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、ヘプタノールアミン、オクタノールアミン、ノナノールアミン、メタノールエタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、メタノールブタノールアミン、エタノールプロパノールアミン、エタノールブタノールアミン、及びプロパノールブタノールアミン等の炭素数1〜30のアルカノール基(これらのアルカノール基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルカノールアミン;
メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、及びブチレンジアミン等の炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミン;ウンデシルジエチルアミン、ウンデシルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、オレイルジエタノールアミン、オレイルプロピレンジアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン等の上記モノアミン、ジアミン、ポリアミンに炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物やN−ヒドロキシエチルオレイルイミダゾリン等の複素環化合物;これらの化合物のアルキレンオキシド付加物;及びこれらの混合物等が例示できる。
これら窒素化合物の中でもデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン及びステアリルアミン等の炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルアミン又はアルケニルアミン(これらは直鎖状でも分枝状でもよい)が好ましい例として挙げることができる。
これら含酸素有機化合物の誘導体の中でも、オレイン酸アミドのような上述の脂肪酸モノカルボン酸類(脂肪酸類)(II−1)のうち、炭素数8〜20のカルボン酸と上述のアミン化合物とのアミドが好ましい例として挙げられる。
以上、含酸素有機化合物について説明したが、これらの中でもより摩擦低減効果に優れることから、水酸基を有するものが好ましい。また、水酸基の中でも、カルボキシル基等のカルボニル基に直接結合した水酸基より、アルコール性水酸基の方がより摩擦低減効果に優れていることから好ましい。更に、化合物中のこのような水酸基の数については、特に制限は無いが、より摩擦低減効果に優れることからより多くの水酸基を有することが好ましい。しかしながら、後述する潤滑油基油等の媒体などと共に使用する場合には、溶解性の点から水酸基の数は制限を受ける場合がある。
上記含酸素有機化合物(C)は、DLCコーティング摺動部材(A)と摺動部材(B)から成る摺動面に、本発明における低摩擦剤組成物として単独(即ち100%)で使用されることで、極めて優れた低摩擦特性を発揮する。しかしながら、本発明における低摩擦剤組成物としては、含酸素有機化合物(C)にその他の成分を配合したものを使用し、これを当該摺動面に供給し潤滑させても良い。その他の成分としては、潤滑油基油などの媒体、各種添加剤等が挙げられる。
含酸素有機化合物(C)の含有量は、特に制限は無いが、摩擦低減効果の点から、低摩擦剤組成物全量基準で、通常、その下限値は0.001%、好ましくは0.05%、更に好ましくは0.1%、特に好ましくは0.5%である。一方、上限値は上記の通り100%であるが、その他の成分、特に媒体を配合した場合は、媒体への溶解性や貯蔵安定性の点から、低摩擦剤組成物全量基準で、通常、50%、好ましくは20%、更に好ましくは10%、特に好ましくは5%である。本発明においては、含酸素有機化合物(C)は、0.1〜2%程度の少量の添加であっても優れた低摩擦特性を発揮することができる。また、3.0%を超えて含有させても良い。
上述の媒体としては、具体的には、例えば、鉱油、合成油、天然油脂、希釈油、グリース、ワックス、炭素数3〜40の炭化水素、炭化水素系溶剤、炭化水素系以外の有機溶剤、水等、及びこれらの混合物、特にその摺動条件や常温において液状、グリース状、又はワックス状であるものなどが挙げられる。
また、上記媒体としては、特に潤滑油基油を使用することが好ましい。また、かかる潤滑油基油は、特に限定されるものではなく、通常、潤滑油組成物の基油として用いられるものであれば、鉱油系基油、合成系基油を問わず使用することができる。
鉱油系潤滑油基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、ワックス異性化等の処理を1つ以上行って精製したもの等が挙げられ、特に水素化分解処理や水素化精製処理又はワックス異性化処理が施されたもの等の各種の基油を用いることができる。これらの中でも、水素化精製又は水素化分解鉱油、フィッシャートロプシュプロセス等によるGTL(ガストゥリキッド)ワックスや潤滑油の脱ろう過程で得られるノルマルパラフィンを多く含むワックス等を異性化して得られるイソパラフィン系鉱油であることが好ましい。
合成系潤滑油基油としては、具体的には、アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、ポリブテン又はその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物;イソブテンオリゴマー、イソブテンオリゴマーの水素化物;イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(例えば、ジトリデシルグルタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジオクチルセバケート等)、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパンイソステアリネート等のトリメチロールプロパンエステル;ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のペンタエリスリトールエステル)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等;及びこれらの混合物等が例示できる。当該合成系潤滑油基油としては、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物が好ましい例として挙げられる。
なお、鉱油系潤滑油基油又は合成系潤滑油基油を単独又は混合して用いる以外に、2種類以上の鉱油系基油又は2種類以上の合成系基油の混合物であっても差し支えない。また、上記混合物における2種類以上の基油の混合比も特に限定されず任意に選ぶことができる。
また、潤滑油基油の全芳香族含有量は特に制限されないが、15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、更に好ましくは8%である。潤滑油基油の全芳香族含有量が15%を超える場合には、酸化安定性が劣るため好ましくない。また、高度水素化分解鉱油又はワックス異性化鉱油、ポリ−α−オレフィン又はその水素化物1−デセンオリゴマー水素化物、ポリオールエステル等のエステル系潤滑油基油等、及びこれらの混合物等、潤滑油基油の全芳香族含有量が2%以下、又は0%であっても摩擦低減効果の高い組成物を得ることができる。なお、含酸素有機化合物(C)(潤滑油基油としてのエステル類を除く)の含有量が多い場合、例えば2%を超える場合には、貯蔵安定性に劣る可能性があるため、このような場合、必要に応じて溶剤精製鉱油やアルキルベンゼン等を配合することにより潤滑油基油の全芳香族含有量を調整する(例えば2%以上とする)か、潤滑油基油としてエステル類を併用することにより、含酸素化合物(C)の溶解性を高めることが好ましい。ここで、「全芳香族含有量」とは、ASTM D2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatic fraction)含有量を意味し、通常この芳香族留分には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、アントラセン、フェナントレン、及びこれらのアルキル化物、四環以上のベンゼン環が縮合した化合物、又はピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合物等が含まれる。
更に、潤滑油基油中の硫黄分について、特に制限はないが、基油全量基準で、0.2%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下、さらには0.05%以下であることが好ましい。特に、水素化精製鉱油や合成系基油の硫黄分は、0.005%以下、あるいは実質的に硫黄分を含有していない(5ppm以下)ことから、これらを基油として用いることが好ましい。
更にまた、潤滑油基油の動粘度は、特に制限はないが、内燃機関用潤滑油組成物として使用する場合には、100℃における動粘度は、2mm/s以上であることが好ましく、より好ましくは3mm/s以上であり、一方、その上限は、20mm/s以下であることが好ましく、10mm/s以下、特に8mm/s以下であることが好ましい。潤滑油基油の100℃における動粘度を2mm/s以上とすることによって油膜形成が十分であり、潤滑性に優れ、また、高条件下での基油の蒸発損失がより小さい組成物を得ることができる。一方、100℃における動粘度を20mm/s以下とすることによって、流体抵抗が小さくなるため潤滑個所での摩擦抵抗のより小さい組成物を得ることができる。なお、動粘度が2mm/s未満である場合には、十分な耐摩耗性が得られない上に蒸発特性が劣る可能性があるため好ましくない。一方、動粘度が20mm/sを超える場合には低摩擦性能を発揮しにくく、低温性能が悪くなる可能性があるため好ましくない。本発明においては、上記基油の中から選ばれる2種以上の基油を任意に混合した混合物等が使用でき、100℃における動粘度が上記の好ましい範囲内に入る限りにおいては、基油単独の動粘度が上記以外のものであっても使用可能である。
また、潤滑油基油の粘度指数は、特に制限はないが、80以上であることが好ましく、内燃機関用潤滑油組成物として使用する場合には、100以上であることが好ましく、120以上であることが更に好ましく、140以上、250以下であっても良い。潤滑油基油の粘度指数が高いものを選択することにより低温粘度特性に優れるだけでなく、オイル消費が少なく、低温粘度特性、省燃費性能、摩擦低減効果に優れた組成物を得ることができる。
低摩擦剤組成物には、更に、無灰分散剤、摩耗防止剤又は極圧剤、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、(C)以外の摩擦調整剤、防錆剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、及び消泡剤等の各種添加剤を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
無灰分散剤としては、各種の公知の無灰分散剤を使用することができるが、例えば、ポリブテニルコハク酸イミドやその誘導体を含有することが好適である。
上記ポリブテニルコハク酸イミドとしては、次の化学式(1)及び(2)
Figure 0004614427
Figure 0004614427
で表される化合物が挙げられる。これら化学式におけるPIBは、ポリブテニル基を示し、高純度イソブテン又は1−ブテンとイソブテンの混合物をフッ化ホウ素系触媒又は塩化アルミニウム系触媒で重合させて得られる数平均分子量が900〜3500、望ましくは1000〜2000のポリブテンから得られる。上記平均分子量が900未満の場合は清浄性効果が劣り易く、3500を超える場合は低温流動性に劣り易いため、望ましくない。
また、上記化学式におけるnは、清浄性に優れる点から1〜5の整数、より望ましくは2〜4の整数であることがよい。更に、上記ポリブテンは、製造過程の触媒に起因して残留する微量のフッ素分や塩素分を吸着法や十分な水洗等の適切な方法により、50ppm以下、より望ましくは10ppm以下、特に望ましくは1ppm以下まで除去してから用いることもよい。
更に、上記ポリブテニルコハク酸イミドの製造方法としては、特に限定はないが、例えば、上記ポリブテンの塩素化物又は塩素やフッ素が充分除去されたポリブテンと無水マレイン酸とを100〜200℃で反応させて得られるブテニルコハク酸を、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンと反応させること等により得ることができる。
一方、上記ポリブテニルコハク酸イミドの誘導体としては、上記化学式(1)及び(2)に示す化合物に、ホウ素化合物や含酸素有機化合物を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したりアミド化した、いわゆるホウ素変性化合物又は酸変性化合物を例示できる。代表的には、ホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミド、特にホウ素含有ビスポリブテニルコハク酸イミドを用いることがより望ましい。
上記ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩及びホウ酸エステル等が挙げられる。具体的には、上記ホウ酸としては、例えばオルトホウ酸、メタホウ酸及びパラホウ酸等が挙げられる。また、上記ホウ酸塩としては、アンモニウム塩等、例えばメタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム及び八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウム等が好適例として挙げられる。更に、ホウ酸エステルとしては、ホウ酸とアルキルアルコール(望ましくは炭素数1〜6)とのエステル、例えばホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル及びホウ酸トリブチル等が好適例として挙げられる。なお、ホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミドにおけるホウ素含有量Bと窒素含有量Nとの質量比「B/N」は、通常0.1〜3であり、望ましくは0.2〜1である。
また、上記含酸素有機化合物としては、具体的には、例えばギ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸及びエイコサン酸等の炭素数1〜30のモノカルボン酸、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸並びにこれらの無水物、又はエステル化合物、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド及びヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等が挙げられる。
なお、本発明に用いる低摩擦剤組成物において、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量は特に制限されないが、0.1〜15%が望ましく、より望ましくは1.0〜12%であることがよい。0.1%未満では清浄性効果に乏しくなることがあり、15%を超えると含有量に見合う清浄性効果が得られにくく、抗乳化性が悪化し易い。
また、他の無灰分散剤としては、数平均分子量が900〜3500のポリブテニル基を有するポリブテニルベンジルアミン、ポリブテニルアミン、数平均分子量が900未満のポリブテニル基を有するポリブテニルコハク酸イミド等及びそれらの誘導体等が挙げられる。
摩耗防止剤又は極圧剤としては、公知の各種のものを配合することができるが、例えば、次の化学式(3)
Figure 0004614427
で表されるジチオリン酸亜鉛を含有することが好適である。
上記化学式(3)中のR、R、R及びRは、それぞれ別個に炭素数1〜24の炭化水素基を示す。これら炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数3〜24の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルアリール基、及び炭素数7〜19のアリールアルキル基等のいずれかであることが望ましい。また、アルキル基やアルケニル基は、第1級、第2級及び第3級のいずれであってもよい。
上記R、R、R及びRとしては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基及びテトラコシル基等のアルキル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基及びオレイル基等のオクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基及びテトラコセニル基等のアルケニル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、プロピルシクロペンチル基、エチルメチルシクロペンチル基、トリメチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、エチルジメチルシクロペンチル基、プロピルメチルシクロペンチル基、プロピルエチルシクロペンチル基、ジ−プロピルシクロペンチル基、プロピルエチルメチルシクロペンチル基、メチルシクロへキシル基、ジメチルシクロへキシル基、エチルシクロへキシル基、プロピルシクロへキシル基、エチルメチルシクロへキシル基、トリメチルシクロへキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、エチルジメチルシクロヘキシル基、プロピルメチルシクロヘキシル基、プロピルエチルシクロヘキシル基、ジ−プロピルシクロへキシル基、プロピルエチルメチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、エチルシクロヘプチル基、プロピルシクロヘプチル基、エチルメチルシクロヘプチル基、トリメチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基、エチルジメチルシクロヘプチル基、プロピルメチルシクロヘプチル基、プロピルエチルシクロヘプチル基、ジ−プロピルシクロヘプチル基及びプロピルエチルメチルシクロヘプチル基等のアルキルシクロアルキル基、フェニル基及びナフチル基等のアリール基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、エチルメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ブチルフェニル基、プロピルメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、エチルジメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基及びドデシルフェニル基等のアルキルアリール基、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基及びジメチルフェネチル基等のアリールアルキル基等が例示できる。
なお、上記炭化水素基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造が含まれ、また、アルケニル基の二重結合の位置、アルキル基のシクロアルキル基への結合位置、アルキル基のアリール基への結合位置、及びアリール基のアルキル基への結合位置は任意である。
上記ジチオリン酸亜鉛の好適な具体例としては、例えば、ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、ジイソブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ペンチルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−オクチルジチオリン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオリン酸亜鉛、ジイソトリデシルジチオリン酸亜鉛、及びこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。
また、上記ジチオリン酸亜鉛の含有量は、特に制限されないが、より高い摩擦低減効果を発揮させる観点から、組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下であることが好ましく、また0.06%以下であることがより好ましく、更にはジチオリン酸亜鉛が含有されないことが特に好ましい。ジチオリン酸亜鉛の含有量がリン元素換算量で0.1%を超えると、DLC部材と各種金属材料、特に鉄基材料との摺動面における含酸素有機化合物(C)の優れた摩擦低減効果が阻害されるおそれがある。
更に、上記ジチオリン酸亜鉛は、特に限定されることなく、任意の従来方法を採用して製造することができる。具体的には、例えば、上記化学式(3)中のR、R、R及びRに対応する炭化水素基を有するアルコール又はフェノールを五硫化ニリンと反応させてジチオリン酸とし、これを酸化亜鉛で中和させることにより合成できる。なお、上記ジチオリン酸亜鉛の構造が異なるのは、使用する原料アルコール等によることは言うまでもない。
なお、他の摩耗防止剤又は極圧剤としては、ジスルフィド、硫化油脂、硫化オレフィン、炭素数2〜20の炭化水素基を1〜3個含有するリン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステル及びこれらのアミン塩等が挙げられる。
金属系清浄剤としては、潤滑油用の金属系清浄剤として通常用いられる任意の化合物が使用できる。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレート及びナフテネート等を単独で又は複数種を組合せて使用できる。ここで、上記アルカリ金属としてはナトリウム(Na)やカリウム(K)等、上記アルカリ土類金属としてはカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)等が例示できる。また、具体的な好適例としては、Ca又はMgのスルフォネート、フェネート及びサリシレートが挙げられる。
なお、これら金属系清浄剤の全塩基価及び添加量は、要求される潤滑油の性能に応じて任意に選択できる。通常は、過塩素酸法で0〜500mgKOH/g、望ましくは150〜400mgKOH/gであり、その添加量は組成物全量基準で、通常0.1〜10%である。
酸化防止剤としては、潤滑油用の酸化防止剤として通常用いられる任意の化合物を使用できる。例えば、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)及びオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン及びアルキルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤、並びにこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。また、かかる酸化防止剤の添加量は、組成物全量基準で、通常0.01〜5%である。
粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸又はこれらの任意の組合せに係る共重合体やその水添物等のいわゆる非分散型粘度指数向上剤、及び更に窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤等が例示できる。また、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等)及びその水素化物、ポリイソブチレン及びその水添物、スチレン−ジエン水素化共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、並びにポリアルキルスチレン等も例示できる。
これら粘度指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定することが必要である。具体的には、粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリレートでは5000〜1000000、好ましくは100000〜800000がよく、ポリイソブチレン又はその水素化物では800〜5000、エチレン−α−オレフィン共重合体及びその水素化物では800〜300000、好ましくは10000〜200000がよい。また、かかる粘度指数向上剤は、単独で又は複数種を任意に組合せて含有させることができるが、通常その含有量は、組成物基準で0.1〜40.0%であることが望ましい。
(C)以外の摩擦調整剤としては、ホウ酸エステル、ジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン及び二硫化モリブデン等の金属系摩擦調整剤等が挙げられる。
また、上記防錆剤としては、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。
更に、上記非イオン系界面活性剤及び抗乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
更にまた、上記金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール及びチアジアゾール等が挙げられる。
また、上記消泡剤としては、シリコーン、フルオロシリコーン及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
なお、これら添加剤を本発明に用いる低摩擦剤組成物に含有する場合は、その含有量は、組成物全量基準で、(C)以外の摩擦調整剤、防錆剤、及び抗乳化剤は0.01〜5%、並びに金属不活性剤は0.0005〜1%の範囲から適宜選択できる。
次に、本発明の手動変速機について、詳細に説明する。
本発明の手動変速機は、上述の低摩擦摺動機構を用い、低摩擦剤組成物の存在下で互いに摺動する部材の少なくとも一方の摺動面にダイヤモンドライクカーボンを被覆して成る摺動部位を備える。これより、摺動部位の摩擦係数が低減し、耐焼付き性及び耐摩耗性が向上すると共に、各部位の摺動抵抗が少ないことから自動車の燃費向上に寄与する。
図1は、本発明の自動車用手動変速機における摺動部位の例を示す断面図であって、本発明の手動変速機1は、クラッチハウジング中に、2個のボールベアリング2a,2bによって回転自在に支持されたインプットシャフト3と、ローラベアリング4a及びボールベアリング4bによって回転自在に支持されたメインシャフト5を備えており、上記インプットシャフト3には、3速インプットギヤ3a及び4速インプットギヤ3bがそれぞれニードルベアリング2c及び2dを介して回転可能に嵌合されていると共に、5速インプットギヤ3cが固定されている。
一方、メインシャフト5には、上記インプットシャフト3に形成されたギヤ3dに噛合う1速メインギヤ5aがニードルベアリング4cによって、また、インプットシャフト3のギヤ3eに噛合う2速メインギヤ5bが2速ブッシュ6aを介して取付けられたニードルベアリング4dによって、それぞれ回転可能に嵌合されている。さらに、当該メインシャフト5には、上記インプットシャフト3の5速インプットギヤ3cに噛合う5速メインギヤ5cが5速ブッシュ6bを介して取付けられたニードルベアリング4eによって回転可能に嵌合されている。
そして、本発明の手動変速機1においては、インプットシャフト3と3速インプットギヤ3aのニードルベアリング2cの間の摺動部位、及びインプットシャフト3と4速インプットギヤ3bのニードルベアリング2dの間の摺動部位におけるインプットシャフト3の側の表面に硬質炭素薄膜を被覆することができる。もちろん、ニードルベアリング2c及び2dの表面に硬質炭素薄膜を被覆しても良いし、これらの両方に硬質炭素被膜を形成してもよい。
また、メインシャフト5については、メインシャフト5と1速メインギヤ5aのニードルベアリング4cの間の摺動部位におけるメインシャフト5の表面、メインシャフト5の2速ブッシュ6aとニードルベアリング4dの間の摺動部位、及び5速ブッシュ6bとニードルベアリング4eの間の摺動部位におけるブッシュ6a及び6bの表面に硬質炭素薄膜を被覆することができる。この場合も、ニードルベアリング4c,4d又は4eの表面、あるいは互いに摺接する摺動面の双方に硬質炭素被膜を形成することも可能である。
なお、各ニードルベアリング2c、2d、4c、4d、4eとそれぞれ摺接する3速インプットギヤ3a、4速インプットギヤ3b、1速メインギヤ5a、2速メインギヤ5b、5速メインギヤ5cの内周面に硬質炭素被膜を形成することも必要に応じて望ましい。
また、上記においては、インプットシャフト3の3速インプットギヤ3a及び4速インプットギヤ3bと、メインシャフト5の1速メインギヤ5a、2速メインギヤ5b及び5速メインギヤ5cの都合5箇所の摺動部位に硬質炭素薄膜を形成した例を示したが、他の摺動部位、例えばインプットシャフト3やメインシャフト5を回転可能に支持するボールベアリング2a,2b,4b、及びローラーベアリング4aの各摺動部位に硬質炭素薄膜を形成するようにしても良い。
更に、使用する手動変速機用の低摩擦剤組成物は、DLCなどの硬質炭素薄膜との摺動面に用いた場合に、極めて優れた低摩擦特性を示すものであるが、特に変速機の作動油として必要な性能を高める目的で、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、他の無灰摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤若しくは極圧剤、防錆剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
次に、本発明の終減速機について、詳細に説明する。
本発明の終減速機は、上述の低摩擦摺動機構を用い、低摩擦剤組成物の存在下で互いに摺動する部材の少なくとも一方の摺動面にダイヤモンドライクカーボンを被覆して成る摺動部位を備える。これより、摺動部位の摩擦係数が低減し、耐焼付き性及び耐摩耗性が向上すると共に、各部位の摺動抵抗が少ないことから自動車の燃費向上に寄与する。
図2は、本発明の自動車用終減速機における摺動部位の例を示す断面図であって、本発明の終減速機20は、デフキャリヤ(減速歯車箱)22中に、先端部にドライブピニオン23aを備えたドライブシャフト23と、ドライブピニオン23aと噛合うリングギヤ25aが固定され、サイドベアリング24を介してデフキャリヤ22に回転可能に支持されたデフケース25と、該デフケース25の内部に回転可能に保持された2個のサイドギヤ26と、デフケース25内のピニオンメートシャフト27に回転可能に支持されて、上記サイドギヤ26にそれぞれ噛合う2個のピニオンメートギヤ28を備え、上記ドライブシャフト23は、2個のころ軸受29によってデフキャリヤ22に回転可能に支持され、プロペラシャフトに連結されている。
上記終減速機20において、プロペラシャフトが回転すると、その回転はドライブピニオン23a及びリングギヤ25aを介してデフケース25に伝達されることになるが、車両の直進時には、デフケース25がサイドギヤ26及びピニオンメートギヤ28と一体的に回転し、左右の駆動輪車軸同一速度で回転する。
一方、車両がカーブにさしかかると、内側の車軸の抵抗が増すことから、サイドギヤ26及びピニオンメートギヤ28がデフケース5内でそれぞれ回転し、内側の車軸の回転が遅くなり、その分外側車軸の回転速度が速くなって、車両の円滑な方向転換を可能にしている。
ここで、上記終減速機20における摺動部材としては、例えば、サイドベアリング24のころ24aとインナーレース24b、デフケース25、サイドギヤ26、ピニオンメートシャフト27、ピニオンメートギヤ28、さらにデフケース25とサイドギヤ26の間に介在してバックラッシを調整するワッシャ30などを挙げることができ、上記サイドベアリング24のころ24aの端面とインナーレース24bの間、デフケース25の内面とサイドギヤ26の間、デフケース25の内面とワッシャ30の間、サイドギヤ26の背面とワッシャ30の間、ピニオンメートシャフト27の外周面とピニオンメートギヤ28の間、ピニオンメートギヤ28の背面とデフケース25の内面の間が終減速機用低摩擦剤組成物の存在下で互いに摺動する摺動部位ということになり、これら摺動部位における一方の摺動面、例えば、サイドベアリング24におけるころ24aの端面、デフケース25の内面、ピニオンメートシャフト27の外周面、ピニオンメートギヤ28の背面、ワッシャ30の両面に、硬質炭素薄膜を被覆することができる。もちろん、これら摺動面の相手側摺動面に被覆しても良いし、これら摺動面の双方に硬質炭素被膜を形成してもよい。
また、上記以外の摺動部位、例えば上記ドライブシャフト23を支持するころ軸受29におけるころ29aの端面及びインナーレース29bの外周面の一方又は両方に硬質炭素薄膜を形成してもよい。
更に、使用する終減速機用の低摩擦剤組成物は、DLCなどの硬質炭素薄膜との摺動面に用いた場合に、極めて優れた低摩擦特性を示すものであるが、特に変速機の作動油として必要な性能を高める目的で、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、他の無灰摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤若しくは極圧剤、防錆剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.低摩擦摺動機構
(摺動部材)
摺動部材の一例として、図3に示すようなピンオンディスク単体摩擦用の試験片を作製した。この単体試験片は3つのピンと円板(ディスク)からなり、以下の方法により得られた摺動部材を用いて作成したものである。
・ピン材料
SUJ2熱処理材から所定のピン形状に研磨加工後、ラッピングテープを用いた研磨によってピンを様々な表面粗さ(Ra0.2μm以下)に仕上げた。
・円板材料
SUJ2熱処理材、AC2A材からなる円板形素材に、所定の時効硬処理後、ピンとの摺動表面を研磨によって、種々の表面粗さに仕上げた。
・表面処理
上記により仕上げられたピン材料又は円板材料の表面に、黒鉛をターゲットとしたPVD処理又はCVD処理によって以下(1)〜(3)の材料を様々な膜厚となるようにコーティングした。コーティングされた表面は更にラッピングテープを用いた研磨によって様々な表面粗さ(Ra0.1μm以下)に仕上げた。
(1)a−C …(PVD処理)
(2)DLC(a−C:H) …(CVD処理)
(3)CrN
これら摺動部材について表1に示す。
Figure 0004614427
(低摩擦剤組成物の調製)
・試料油1
潤滑油基油として1−デセンオリゴマー水素化物(100℃動粘度:3.9mm/s、粘度指数:124、全芳香族含有量:0.0%)を用い、それに含酸素有機化合物としてオレイルアルコールを1.0%及びその他の添加剤13.0%(無灰系分散剤:ポリブテニルコハク酸イミド(窒素含有量:1.2%))を5.0%、金属系清浄剤:カルシウムスルホネート(全塩基価:300mgKOH/g、カルシウム含有量:12.0%)を0.5%及びカルシウムフェネート(全塩基価:255mgKOH/g、カルシウム含有量:9.2%)を0.9%)及び、粘度指数向上剤、酸化防止剤、極圧剤、防錆剤、抗乳化剤、非イオン系界面活性剤、金属不活性化剤、消泡剤等)配合し調製した。
・試料油2
その他の添加剤13.0%を配合しない以外は試料1と同様の操作を繰り返して調製した。
・試料油3
含酸素有機化合物としてオレイン酸を用いた以外は、試料1と同様の操作を繰り返して調製した。
・試料油4
含酸素有機化合物としてオレイルアルコール0.5%とオレイン酸0.5%を用いた以外は試料1と同様の操作を繰り返して調製した。
・試料油5
潤滑油基油として水素化分解鉱油(100℃動粘度:5.0mm/s、粘度指数:120、全芳香族含有量:5.5%)を用い、含酸素有機化合物としてオレイン酸アミド1.0%を添加した以外は試料1と同様の操作を繰り返して調製した。
・試料油6
100℃における動粘度が10.2mm/sである市販エンジン油を用いた。
・試料油7
オレイン酸アミドの代わりにモリブデンジチオカーバメート1.0%を添加すること以外は試料5と同様の操作を繰り返して調製した。
・試料油8
グリセリン(Glycerol Anhydrous:1,2,3−Propanetriol、Fluka(シグマアルッドリッチジャパン株式会社製))を単独(100%)で用いた。
・試料油9
トリメチロールプロパンとi−C8、n−C8、C10、C11脂肪酸混合物とのトリエステル(KAOLUBE KSL−268)を単独(100%)で用いた。
・試料油10
含酸素有機化合物としてグリセロールモノオレイルエーテル1.0%を添加した以外は試料5と同様の操作を繰り返して調製した。
・試料油11
グリセロールモノ2エチルヘキシルエーテルを単独(100%)で用いた。
これら低摩擦剤組成物の組成とその試料性状を表2に示す。
Figure 0004614427
(実施例1〜13)
表1に示すように、それぞれの摺動部材を組合せ、更に表1に併記した各低摩擦剤組成物(上記試料油1〜5,8〜11)を用いて、低摩擦摺動機構を作製し、以下のピンオンディスク摩擦試験を実施した。この結果を合わせて表1に示す。
[ピンオンディスク摩擦試験]
最大ヘルツ圧力 :80MPa
円板回転速度 :30rpm
オイル供給方法 :油浴
供給オイル温度 :80℃
試験時間 :60min
(比較例1〜4)
実施例と同様に、それぞれの摺動部材を組合せ、更に表1に併記した各低摩擦剤組成物(上記試料油1,2,6,7)を用いて、低摩擦摺動機構を作製し、上記ピンオンディスク摩擦試験を実施した。この結果を合わせて表1に示す。
表1より、実施例1〜13で得られた基材と試料油の組み合わせは、いずれも優れた低摩擦係数を示すことがわかる。例えば、これらは、一般的なガソリンエンジンに使われている基材と試料油6の組合せを用いた比較例1に比べて、約50〜70%の摩擦低減効果が得られた。
また、実施例6〜8の結果から、低摩擦剤組成物中の水酸基が摩擦低減効果に優れることがわかる。
更に、実施例10、11の結果から、アルコール性水酸基を有する化合物が摩擦低減効果に優れることがわかる。
なお、実施例1〜11で得られた試験片は、試験後の表面形状に何ら問題はなく、耐磨耗性にも非常に優れ、安定した低摩擦特性を示していた。
ここで、参考例1の試験片基材と低摩擦剤組成物の組み合わせは、一方に窒化クロム処理を施した鋼材と、低摩擦剤組成物として鋼材料間の摺動面に最も有効であるとされる有機モリブデンを配合した組み合わせである。結果、摩擦係数は約0.06と低い値を示す。これは従来より、各方面にてそのメカニズムが検討されているのと同様、摺動面に二硫化モリブデン被膜が形成されることによる低摩擦化であると推測される。本発明ではこの低摩擦化がひとつの目安であり、先に述べた実施例における低摩擦特性は、非常に優れたものであることが分かる。
また、比較例1の試験片基材と低摩擦剤組成物の組み合わせは、一般的な軸受け鋼とエンジン油である。結果、摩擦係数が0.1を超えてしまい摩擦特性に劣る。これは、本特許で示唆される低摩擦挙動を示す機構が十分に作用していないためと推定できる。
一方、比較例2は、一方にダイヤモンドライクカーボン処理を施した鋼材と試料油に有機モリブデン化合物を配合した組み合わせであるが、摩擦係数は約0.1と高く、実施例2ほどの効果が得られない。これは従来の鋼材料間の摺動面とは摩擦低減機構が異なるためと推測される。
更に、比較例3及び比較例4は、比較例2で用いた基材に窒化クロム処理を施した鋼材と、実施例で用いた試料油、即ち一方にダイヤモンドライクカーボン処理を施した鋼材に適用した場合に低摩擦効果が得られた試料油との組み合わせである。結果、摩擦係数は0.1を超える値を示した。これは本特許で示す金属材料と試料油とは異なる組み合わせであり、低摩擦化には至らないためと推測される。
なお、参考例1の試験片基材と低摩擦剤組成物の組み合わせは、一方に窒化クロム処理を施した鋼材と、低摩擦剤組成物として従来の鋼材料間の摺動面に最も有効であった有機モリブデンを配合した試料油7との組み合わせである。結果、摩擦係数は約0.05と低い。これは従来よりそのメカニズムが検討されているのと同様、摺動面に二硫化モリブデン被膜が形成されることによる低摩擦化であると推測される。
2.手動変速機
図4に示すように、摺動側試験片としてシリンダー状試験片11、相手側試験片としてディスク状試験片12を用いて、シリンダーオンディスク単体往復動摩擦試験を行い、以下に示す条件のもとに摩擦係数を測定した。
〔1〕摩擦試験条件
試験装置:シリンダーオンディスク単体往復動摩擦試験機
摺動側試験片:φ15×22mmシリンダー状試験片
相手側試験片:φ24×7.9mmディスク状試験片
荷重 :400N( 摺動側試験片の押し付け荷重)
振幅 :3.0mm
周波数 :50Hz
試験温度 :80℃
測定時間 :30分
〔2〕シリンダー状試験片(摺動側)の作製
JIS G4805に高炭素クロム軸受鋼鋼材として規定されるSUJ2鋼を素材として摺動側試験片であるシリンダー状試験片11を上記寸法に機械加工した後、表面粗さRaを0.04μmに仕上げた。
〔3〕ディスク状試験片(摺動相手側)の作製
同じくSUJ2鋼を用いて、相手側試験片であるディスク状試験片12を上記寸法に機械加工し、上部摺動面の表面粗さRaを0.05μmに仕上げたのち、PVDアークイオン式イオンプレーティング法により、この表面上に水素原子の量が0.5原子%以下、ヌープ硬度Hk=2170kg/mm、表面粗さRy=0.03μmのDLC薄膜を厚さ0.5μmに成膜した。なお、比較例には、DLC薄膜を被覆していないものを用いた。
〔4〕手動変速機用低摩擦剤組成物の調製
手動変速機用低摩擦剤組成物として、ベースオイルとしての鉱油又は合成油(PAO:ポリアルファオレフィン(1−オクテンオリゴマー))に、SP系(S及びPを含有するか鉱物でチオリン酸アミン塩を0.5質量%)、ZnDTP(ジチリオ酸亜鉛)系極圧剤(化合物として1.5質量%)、耐摩耗剤と、脂肪酸エステル系摩擦調整剤をそれぞれ組合わせたものを調製した。
〔5〕試験結果
上記シリンダー状試験片及びディスク状試験片、手動変速機用低摩擦剤組成物を表3に示すように組合せて、上記要領によって摩擦係数を測定した。その結果を図5に示す。
Figure 0004614427
図5の結果から明らかなように、上部摺動表面にDLC薄膜を成膜したディスク状試験片を用いた実施例においては、DLC薄膜のないディスク状試験片を用いた比較例に較べて、摩擦係数が大幅に低下することが確認された。
3.終減速機
図4に示すように、摺動側試験片としてシリンダー状試験片11、相手側試験片としてディスク状試験片12を用いて、シリンダーオンディスク単体往復動摩擦試験を行い、以下に示す条件のもとに摩擦係数を測定した。
〔1〕摩擦試験条件
試験装置:シリンダーオンディスク単体往復動摩擦試験機
摺動側試験片:φ15×22mmシリンダー状試験片
相手側試験片:φ24×7.9mmディスク状試験片
荷重 :400N( 摺動側試験片の押し付け荷重)
振幅 :3.0mm
周波数 :50Hz
試験温度 :80℃
測定時間 :30分
〔2〕シリンダー状試験片(摺動側)の作製
JIS G4805に高炭素クロム軸受鋼鋼材として規定されるSUJ2鋼を素材として摺動側試験片であるシリンダー状試験片11を上記寸法に機械加工した後、表面粗さRaを0.04μmに仕上げた。
〔3〕ディスク状試験片(摺動相手側)の作製
同じくSUJ2鋼を用いて、相手側試験片であるディスク状試験片12を上記寸法に機械加工し、上部摺動面の表面粗さRaを0.05μmに仕上げたのち、PVDアークイオン式イオンプレーティング法により、この表面上に水素原子の量が0.5原子%以下、ヌープ硬度Hk=2170kg/mm、表面粗さRy=0.03μmのDLC薄膜を厚さ0.5μmに成膜した。なお、比較例には、DLC薄膜を被覆していないものを用いた。
〔4〕終減速機用低摩擦剤組成物の調製
終減速機用低摩擦剤組成物として、ベースオイルとしての鉱油又は合成油(PAO:ポリアルファオレフィン(1−オクテンオリゴマー))に、S系(化合物として4質量%)、SP系(化合物として1.5質量%)、ボレート系極圧剤(化合物として3質量%)、耐摩耗剤と、脂肪酸エステル系摩擦調整剤をそれぞれ組合わせたものを調製した。
〔5〕試験結果
上記シリンダー状試験片及びディスク状試験片、終減速機用低摩擦剤組成物を表4に示すように組合せて、上記要領によって摩擦係数を測定した。その結果を図6に示す。
Figure 0004614427
図6の結果から明らかなように、上部摺動表面にDLC薄膜を成膜したディスク状試験片を用いた実施例においては、DLC薄膜のないディスク状試験片を用いた比較例に較べて、摩擦係数が大幅に低下することが確認された。
以上、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨内であれば種々の変形が可能である。
例えば、産業機械に使われている歯車摺動部材等に用いることもできる。
本発明の手動変速機において硬質炭素薄膜を被覆する摺動部位を例示する断面説明図である。 本発明の終減速機において硬質炭素薄膜を被覆する摺動部位を例示する断面説明図である。 ピンオンディスク摩擦試験の一例を示す概略図である。 本発明の実施例において摩耗試験に用いたシリンダーオンディスク単体往復動摩擦試験要領を示す斜視図である。 図3に示したシリンダーオンディスク単体往復動摩擦試験による摩擦係数の測定結果を比較して示すグラフである。 図3に示したシリンダーオンディスク単体往復動摩擦試験による摩擦係数の測定結果を比較して示すグラフである。
符号の説明
1 手動変速機
2c 3速ニードルベアリング(摺動部位)
2d 4速ニードルベアリング(摺動部位)
3 インプットシャフト(摺動部位)
4c 1速ニードルベアリング(摺動部位)
4d 2速ニードルベアリング(摺動部位)
4e 5速ニードルベアリング(摺動部位)
5 メインシャフト(摺動部位)
6a 2速ブッシュ(摺動部位)
6b 5速ブッシュ(摺動部位)
11 シリンダー状試験片
12 ディスク状試験片
20 終減速機
23 ドライブシャフト
24a サイドベアリングころ(摺動部材)
24b サイドベアリングインナーレース(摺動部材)
25 デフケース(摺動部材)
26 サイドギヤ(摺動部材)
27 ピニオンメートシャフト(摺動部材)
28 ピニオンメートギヤ(摺動部材)
29 ころ軸受
30 ワッシャ(摺動部材)

Claims (8)

  1. DLCコーティング摺動部材(A)と摺動部材(B)とがなす摺動面に、低摩擦剤組成物を介在させた低摩擦摺動機構であって、
    上記DLCコーティング摺動部材(A)は、基材に水素含有量が10原子%以下のダイヤモンドライクカーボンを被覆して成り、
    上記摺動部材(B)は、金属材料、非金属材料及びこれらの表面に薄膜を被覆したコーティング材料から成る群より選ばれた少なくとも1種の材料を用いて成り、
    上記低摩擦剤組成物は、含酸素有機化合物(C)として、アルコール類、カルボン酸類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、カーボネート類及びこれらの誘導体から成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含有することを特徴とする低摩擦摺動機構。
  2. DLCコーティング摺動部材(A)と摺動部材(B)とがなす摺動面に、低摩擦剤組成物を介在させた低摩擦摺動機構であって、
    上記DLCコーティング摺動部材(A)は、基材に水素含有量が0.5原子%以下のダイヤモンドライクカーボンを被覆して成り、
    上記摺動部材(B)は、金属材料、非金属材料及びこれらの表面に薄膜を被覆したコーティング材料から成る群より選ばれた少なくとも1種の材料を用いて成り、
    上記低摩擦剤組成物は、含酸素有機化合物(C)として、アルコール類、カルボン酸類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、カーボネート類及びこれらの誘導体から成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含有することを特徴とする低摩擦摺動機構。
  3. DLCコーティング摺動部材(A)と摺動部材(B)とがなす摺動面に、低摩擦剤組成物を介在させた低摩擦摺動機構であって、
    上記DLCコーティング摺動部材(A)は、基材に水素を含まないa−C系のダイヤモンドライクカーボンを被覆して成り、
    上記摺動部材(B)は、金属材料、非金属材料及びこれらの表面に薄膜を被覆したコーティング材料から成る群より選ばれた少なくとも1種の材料を用いて成り、
    上記低摩擦剤組成物は、含酸素有機化合物(C)として、アルコール類、カルボン酸類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、カーボネート類及びこれらの誘導体から成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含有することを特徴とする低摩擦摺動機構。
  4. 上記摺動部材(B)において、上記金属材料が、鉄系材料、アルミニウム合金材料及びマグネシウム合金系材料から成る群より選ばれた少なくとも1種の材料であり、上記コーティング材料が、DLC、TiN及びCrNから成る群より選ばれた少なくとも1種の材料の薄膜を被覆して成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の低摩擦摺動機構。
  5. 上記含酸素有機化合物(C)が、低摩擦剤全量基準で0.05〜3.0%含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の低摩擦摺動機構。
  6. 請求項1〜のいずれか1つの項に記載の低摩擦摺動機構を用いたことを特徴とする手動変速機。
  7. 請求項1〜のいずれか1つの項に記載の低摩擦摺動機構を用いたことを特徴とする終減速機。
  8. 上記含酸素有機化合物(C)が、オレイルアルコール、オレイン酸、オレイン酸アミド、グリセリン、トリメチロールプロパンとi−C8、n−C8、C10、C11脂肪酸混合物とのトリエステル、グリセロールモノオレイルエーテル及びグリセロールモノ2エチルヘキシルエーテルから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つの項に記載の低摩擦摺動機構。
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