JP4915891B2 - 低摩擦摺動部材 - Google Patents

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Description

本発明は、低摩擦摺動部材及びこれを用いた低摩擦摺動機構に係り、更に詳細には、摺動面の低摩擦特性に優れる低摩擦摺動部材に関する。
地球全体の温暖化、オゾン層の破壊など地球規模での環境問題が大きくクローズアップされ、とりわけ地球全体の温暖化に大きな影響があると言われているCO削減については各国でその規制値の決め方をめぐって大きな関心を呼んでいる。
CO削減については機械・装置等の摩擦損失によるエネルギー損失の低減、特に自動車の燃費の削減を図ることが大きな課題の一つであり、摺動材料と潤滑油の果たす役割は大きい。
摺動材料における役割としては、エンジンの摺動部位の中で摩擦摩耗環境が苛酷な部位に対して耐摩耗性に優れかつ低い摩擦係数を発現することであり、最近では種々の硬質薄膜材料の適用が進んできている。一般のDLC材料は、空気中、潤滑油非存在下における摩擦係数が、TiNやCrNといった耐摩耗性の硬質被膜材料と比べて低いことから低摩擦摺動材料として期待されている。
また、潤滑油における省エネルギー対策、例えばエンジンの省燃費対策としては、(1)低粘度化による、流体潤滑領域における粘性抵抗及びエンジン内の攪拌抵抗の低減、(2)最適な摩擦調整剤と各種添加剤の配合による混合及び境界潤滑領域下での摩擦損失の低減、が提言されている。例えば、摩擦調整剤としてMoDTCやMoDTPといった有機Mo化合物を中心とした多くの研究がなされており、従来の鋼材料からなる摺動面においては、使用開始初期に優れた低摩擦係数を示す有機Mo化合物を配合した潤滑油組成物が適用され、効果を上げていた。
一方、空気中において低摩擦特性に優れる一般のDLC材料は、潤滑油存在下においては、その摩擦低減効果が小さいことが報告されており(例えば非特許文献1)、また、この摺動材料に有機モリブデン化合物を含有する潤滑油組成物を適用したとしても摩擦低減効果が十分発揮されないことがわかってきた(例えば非特許文献2)。
日本トライボロジー学会予稿集・東京1999.5,p11−12,加納 他 World Tribology Congress 2001.9,Vienna,Proceeding p342, Kano et.al.
これらの理由の一つとして、DLCが化学的に不活性なため、鋼の摺動面には形成される低せん断力MoSからなるトライボフィルムがDLC表面には形成されないためであることを突き止めている。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、MoSより優れた低せん断力を有する低摩擦摺動部材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、互いに摺動する摺動部材の両摺動面に、水素を含有しないa−C系ダイヤモンドライクカーボンから成る硬質炭素薄膜をそれぞれ形成すると共に、当該摺動面の間にポリ−α−オレフィンとグリセリンモノオレートを含む潤滑油を介在させることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、水素を含有しないa−C系ダイヤモンドライクカーボンから成る硬質炭素薄膜を両摺動面に形成し、ポリ−α−オレフィンとグリセリンモノオレートを含む潤滑油の存在下で摺動させることとしたため、MoSより優れた低せん断力を有する低摩擦摺動部材を提供することができる。
以下、本発明の低摩擦摺動部材について、更に詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。
本発明の低摩擦摺動部材は、摺動面の双方に硬質炭素薄膜を備える。かかる硬質炭素薄膜としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)材より成る薄膜を用いる。このDLCは、炭素元素を主として構成された非晶質であり、炭素同士の結合形態がダイヤモンド構造(SP結合)とグラファイト結合(SP結合)の両方から成る。具体的には、炭素元素だけから成るa−C(アモルファスカーボン)、水素を含有するa−C:H(水素アモルファスカーボン)、及びチタン(Ti)やモリブデン(Mo)等の金属元素を一部に含むMeCが挙げられるが、大幅な摩擦低減効果を発揮させる観点からは、水素含有量が少ないものほど好ましく、本発明では水素を含まないa−C系材料を用いる。
また、上記硬質炭素薄膜の成膜方法としては、代表的には、イオンプレーティング又はマグネトロンスパッタリングなどを適宜採用できる。
また、上記硬質炭素薄膜の表面には、有機系含酸素化合物を介在させて摺動する際の摩擦により、エーテル、オキシド又はアルコール、及びこれらの任意の組み合わせに係る官能基を有するトライボフィルムが形成される。ここで、「トライボフィルム」とは摩擦時に化学反応を伴い形成される被膜を言う。図1にトライボフィルムの概略図を示す。
更に、上記トライボフィルムは、上記硬質炭素薄膜の摺動表面から深さ10nm以内の範囲に形成されることが好適である。これより、摺動接触部の摩擦係数を下げることができる。
更にまた、上記トライボフィルムは、エーテル、オキシド又はアルコール、及びこれらの任意の組み合わせに係る官能基を有しないトライボフィルムよりも低い摩擦特性を有することが良い。
また、上記硬質炭素薄膜の表面粗さRaは、0.1μm以下、好ましくは0.08μm以下であることが摺動の安定性の面から好適である。0.1μmを超えると局部的にスカッフィングを形成し、摩擦係数の大幅向上となることがある。
更に、上記硬質炭素薄膜の表面硬さは、マイクロビッカース硬さ(10g荷重)でHv1000〜3500、膜厚が0.3〜2.0μmであることが好ましい。なお、表面硬さ及び厚さが上記範囲から外れるとHv1000未満、厚さ0.3μm未満では摩滅し易くなり、逆にHv3500、厚さ2.0μmを超えると剥離し易くなる。
本発明の低摩擦摺動部材において、上記硬質炭素薄膜以外の構成材料としては、具体的には、鉄系材料、アルミニウム系材料、マグネシウム系材料、チタン系材料等の金属材料等が挙げられる。特に、鉄系材料、アルミニウム系材料及びマグネシウム系材料は、既存の機械・装置等の摺動部に適用しやすく、また、様々な分野で幅広く省エネルギー対策に貢献できる点で好ましい。更に、樹脂、プラスティック及びカーボン等の非金属材料を使用することもできる。
上記鉄系材料としては、特に制限はなく、高純度の鉄だけでなく、各種の鉄系合金(ニッケル、銅、亜鉛、クロム、コバルト、モリブデン、鉛、ケイ素又はチタン、及びこれらを任意に組み合わせたもの等)を使用することができる。具体的には、例えば浸炭鋼SCM420やSCr420(JIS)などを挙げることができる。
また、上記アルミニウム系材料としては、特に制限はなく、高純度のアルミニウムだけでなく、各種のアルミニウム系合金を使用することができる。具体的には、例えばシリコン(Si)を4〜20%、銅(Cu)を1.0〜5.0%含む亜共晶アルミニウム合金又は過共晶アルミニウム合金等を用いることが望ましい。アルミニウム合金の好適例としては、例えばAC2A、AC8A、ADC12及びADC14(JIS)等を挙げることができる。
本発明に用いる潤滑油としては、合成油としてのポリ−α−オレフィンに、有機系含酸素化合物としてグリセリンモノオレートを添加したものを用いる。ポリ−α−オレフィンに含有させるグリセリンモノオレートの含有量は、特に制限はないが、通常、その下限値は0.001%、好ましくは0.05%であり、更に好ましくは0.1%であり、3.0%を超えて含有させても良い。また、その上限値は、上記の通り100%であるが、好ましくは50%、より好ましくは20%、更に好ましくは10%、特に好ましくは5%であり、0.1〜2%程度の少量の添加であっても優れた低摩擦特性を発揮することができる。
合成系潤滑油基油である上記ポリ−α−オレフィンとしては、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等が好ましい例として挙げられる。
なお、上記潤滑油には、無灰分散剤、摩耗防止剤又は極圧剤、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、無灰摩擦調整剤、防錆剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、及び消泡剤等を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
無灰分散剤としては、各種の公知の無灰分散剤を使用することができるが、例えば、ポリブテニルコハク酸イミドやその誘導体を含有することが好適である。
上記ポリブテニルコハク酸イミドとしては、次の化学式(1)及び(2)
Figure 0004915891
Figure 0004915891
で表される化合物が挙げられる。これら化学式におけるPIBは、ポリブテニル基を示し、高純度イソブテン又は1−ブテンとイソブテンの混合物をフッ化ホウ素系触媒又は塩化アルミニウム系触媒で重合させて得られる数平均分子量が900〜3500、望ましくは1000〜2000のポリブテンから得られる。上記平均分子量が900未満の場合は清浄性効果が劣り易く、3500を超える場合は低温流動性に劣り易いため、望ましくない。
また、上記化学式におけるnは、清浄性に優れる点から1〜5の整数、より望ましくは2〜4の整数であることがよい。更に、上記ポリブテンは、製造過程の触媒に起因して残留する微量のフッ素分や塩素分を吸着法や十分な水洗等の適切な方法により、50ppm以下、より望ましくは10ppm以下、特に望ましくは1ppm以下まで除去してから用いることもよい。
更に、上記ポリブテニルコハク酸イミドの製造方法としては、特に限定はないが、例えば、上記ポリブテンの塩素化物又は塩素やフッ素が充分除去されたポリブテンと無水マレイン酸とを100〜200℃で反応させて得られるブテニルコハク酸を、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンと反応させること等により得ることができる。
一方、上記ポリブテニルコハク酸イミドの誘導体としては、上記化学式(1)及び(2)に示す化合物に、ホウ素化合物や有機系含酸素化合物を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したりアミド化した、いわゆるホウ素変性化合物又は酸変性化合物を例示できる。代表的には、ホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミド、特にホウ素含有ビスポリブテニルコハク酸イミドを用いることがより望ましい。
上記ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩及びホウ酸エステル等が挙げられる。具体的には、上記ホウ酸としては、例えばオルトホウ酸、メタホウ酸及びパラホウ酸等が挙げられる。また、上記ホウ酸塩としては、アンモニウム塩等、例えばメタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム及び八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウム等が好適例として挙げられる。更に、ホウ酸エステルとしては、ホウ酸とアルキルアルコール(望ましくは炭素数1〜6)とのエステル、例えばホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル及びホウ酸トリブチル等が好適例として挙げられる。なお、ホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミドにおけるホウ素含有量Bと窒素含有量Nとの質量比「B/N」は、通常0.1〜3であり、望ましくは0.2〜1である。
また、上記有機系含酸素化合物としては、具体的には、例えばギ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸及びエイコサン酸等の炭素数1〜30のモノカルボン酸、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸並びにこれらの無水物、又はエステル化合物、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド及びヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等が挙げられる。
なお、上記ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量は特に制限されないが、0.1〜15%が望ましく、より望ましくは1.0〜12%であることがよい。0.1%未満では清浄性効果に乏しくなることがあり、15%を超えると含有量に見合う清浄性効果が得られにくく、抗乳化性が悪化し易い。
また、他の無灰分散剤としては、数平均分子量が900〜3500のポリブテニル基を有するポリブテニルベンジルアミン、ポリブテニルアミン、数平均分子量が900未満のポリブテニル基を有するポリブテニルコハク酸イミド等及びそれらの誘導体等が挙げられる。
摩耗防止剤又は極圧剤としては、公知の各種のものを配合することができるが、例えば、次の化学式(3)
Figure 0004915891
で表されるジチオリン酸亜鉛を含有することが好適である。
上記化学式(3)中のR4、R5、R6及びR7は、それぞれ別個に炭素数1〜24の炭化水素基を示す。これら炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数3〜24の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルアリール基、及び炭素数7〜19のアリールアルキル基等のいずれかであることが望ましい。また、アルキル基やアルケニル基は、第1級、第2級及び第3級のいずれであってもよい。
上記R4、R5、R6及びR7としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基及びテトラコシル基等のアルキル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基及びオレイル基等のオクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基及びテトラコセニル基等のアルケニル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、プロピルシクロペンチル基、エチルメチルシクロペンチル基、トリメチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、エチルジメチルシクロペンチル基、プロピルメチルシクロペンチル基、プロピルエチルシクロペンチル基、ジ−プロピルシクロペンチル基、プロピルエチルメチルシクロペンチル基、メチルシクロへキシル基、ジメチルシクロへキシル基、エチルシクロへキシル基、プロピルシクロへキシル基、エチルメチルシクロへキシル基、トリメチルシクロへキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、エチルジメチルシクロヘキシル基、プロピルメチルシクロヘキシル基、プロピルエチルシクロヘキシル基、ジ−プロピルシクロへキシル基、プロピルエチルメチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、エチルシクロヘプチル基、プロピルシクロヘプチル基、エチルメチルシクロヘプチル基、トリメチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基、エチルジメチルシクロヘプチル基、プロピルメチルシクロヘプチル基、プロピルエチルシクロヘプチル基、ジ−プロピルシクロヘプチル基及びプロピルエチルメチルシクロヘプチル基等のアルキルシクロアルキル基、フェニル基及びナフチル基等のアリール基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、エチルメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ブチルフェニル基、プロピルメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、エチルジメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基及びドデシルフェニル基等のアルキルアリール基、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基及びジメチルフェネチル基等のアリールアルキル基等が例示できる。
なお、上記炭化水素基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造が含まれ、また、アルケニル基の二重結合の位置、アルキル基のシクロアルキル基への結合位置、アルキル基のアリール基への結合位置、及びアリール基のアルキル基への結合位置は任意である。
上記ジチオリン酸亜鉛の好適な具体例としては、例えば、ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、ジイソブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ペンチルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−オクチルジチオリン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオリン酸亜鉛、ジイソトリデシルジチオリン酸亜鉛、及びこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。
また、上記ジチオリン酸亜鉛の含有量は、特に制限されないが、より高い摩擦低減効果を発揮させる観点から、組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下であることが好ましく、また0.06%以下であることがより好ましく、更にはジチオリン酸亜鉛が含有されないことが特に好ましい。ジチオリン酸亜鉛の含有量がリン元素換算量で0.1%を超えると、硬質炭素薄膜と各種金属部材(特に鉄基部材)との摺動面において有機系含酸素化合物の優れた摩擦低減効果が阻害されるおそれがある。
更に、上記ジチオリン酸亜鉛は、特に限定されることなく、任意の従来方法を採用して製造することができる。具体的には、例えば、上記化学式(3)中のR4、R5、R6及びR7に対応する炭化水素基を有するアルコール又はフェノールを五硫化ニリンと反応させてジチオリン酸とし、これを酸化亜鉛で中和させることにより合成できる。なお、上記ジチオリン酸亜鉛の構造が異なるのは、使用する原料アルコール等によることは言うまでもない。
なお、他の摩耗防止剤又は極圧剤としては、ジスルフィド、硫化油脂、硫化オレフィン、炭素数2〜20の炭化水素基を1〜3個含有するリン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステル及びこれらのアミン塩等が挙げられる。
金属系清浄剤としては、潤滑油用の金属系清浄剤として通常用いられる任意の化合物が使用できる。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレート及びナフテネート等を単独で又は複数種を組合せて使用できる。ここで、上記アルカリ金属としてはナトリウム(Na)やカリウム(K)等、上記アルカリ土類金属としてはカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)等が例示できる。また、具体的な好適例としては、Ca又はMgのスルフォネート、フェネート及びサリシレートが挙げられる。
なお、これら金属系清浄剤の全塩基価及び添加量は、要求される潤滑油の性能に応じて任意に選択できる。通常は、過塩素酸法で0〜500mgKOH/g、望ましくは150〜400mgKOH/gであり、その添加量は組成物全量基準で、通常0.1〜10%である。
酸化防止剤としては、潤滑油用の酸化防止剤として通常用いられる任意の化合物を使用できる。例えば、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)及びオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン及びアルキルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤、並びにこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。また、かかる酸化防止剤の添加量は、組成物全量基準で、通常0.01〜5%である。
粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸又はこれらの任意の組合せに係る共重合体やその水添物等のいわゆる非分散型粘度指数向上剤、及び更に窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤等が例示できる。また、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等)及びその水素化物、ポリイソブチレン及びその水添物、スチレン−ジエン水素化共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、並びにポリアルキルスチレン等も例示できる。
これら粘度指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定することが必要である。具体的には、粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリレートでは5000〜1000000、好ましくは100000〜800000がよく、ポリイソブチレン又はその水素化物では800〜5000、エチレン−α−オレフィン共重合体及びその水素化物では800〜300000、好ましくは10000〜200000がよい。また、かかる粘度指数向上剤は、単独で又は複数種を任意に組合せて含有させることができるが、通常その含有量は、潤滑油組成物基準で0.1〜40.0%であることが望ましい。
他の無灰摩擦調整剤としては、ホウ酸エステルや、ジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン及び二硫化モリブデン等の金属系摩擦調整剤等が挙げられる。
また、上記防錆剤としては、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。
更に、上記非イオン系界面活性剤及び抗乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
更にまた、上記金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール及びチアジアゾール等が挙げられる。
また、上記消泡剤としては、シリコーン、フルオロシリコーン及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
なお、これら添加剤を本発明に用いる潤滑油組成物に含有する場合は、その含有量は、組成物全量基準で、他の摩擦調整剤、防錆剤、及び抗乳化剤は0.01〜5%、並びに金属不活性剤は0.0005〜1%の範囲から適宜選択できる。
以上説明したように、本発明の低摩擦摺動部材は、所定の硬質炭素薄膜をそれぞれ備えた摺動面を潤滑にするものであり、様々な摺動面の低摩擦特性を向上させ得る。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1、参考例1〜8、比較例1〜3)
種々の仕様の材料を用いて、表1に示すような円板ディスク及びピンを試作した。この際、表面コーティング品については、仕上げた表面上に、PVD又はCVD処理によって、膜厚が約1μmになるように各種材料のコーティングを行った。
なお、潤滑油に摩擦調整剤を混合した実施例1,参考例1,3〜8では、基油としてPAOを用い、それに各種摩擦調整剤を1%を添加調製した。
Figure 0004915891
図2に示すように、摺動機構の一例として、3本の固定ピンを潤滑油中で回転する円板ディスクに押し付けるピンオンディスク型の単体摩擦試験機を用いて摩擦評価試験を実施した。このときの摩擦評価試験条件を以下に示す。
<単体カムフォロワー摩擦試験条件>
摩擦調整剤供給方法:浸漬
油温度 :80℃
最大ヘルツ圧力 :700MPa(表1実施例1〜5、比較例1、3)
80MPa(表1実施例6〜9、比較例2)
ディスク回転速度 :30rpm (0.03m/s)
試験時間 :60min
表1より、実施例1及び参考例2〜8に係る摩擦評価試験の結果、全般に優れた低摩擦係数を示した。例えば、一般的なガソリンエンジンに使われている比較例1の鋼材料同士の組合わせや比較例2の鋼とアルミニウム合金材料の組合わせをエンジン油中で摺動させた場合に比べて、約40%以上の摩擦低減効果が得られた。また、本実施例のDLC材料と鋼の組合わせで、有機系含酸素化合物を含まない潤滑油PAOで摺動させた場合に比べても、約20%以上の摩擦低減効果が得られた。
また、試験後の表面形状に何ら問題はなく、耐磨耗性においても非常に優れていた。
更に、参考例3及び参考例4において、水素量を20at%含むDLC材料を用いた参考例4は、当該水素量を10at%しか含まない参考例3や水素を含まないa−C系のDLCを用いたほかの実施例や参考例に比べて、明らかに摩擦低減効果が減少していた。
しかし、これら実施例及び参考例の中では、ディスク及びピンの両摺動面が基油としてのPAO(ポリ−α−オレフィン)とGMO(グリセリンモノオレート)を含む潤滑油の存在下で摺動する実施例1の低摩擦摺動機構において、最も大きな摩擦低減効果が得られた。
以上、本発明の実施例及び比較例により詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨内であれば種々の変形が可能である。
例えば、機械摺動部品の全てに対して効果が期待でき、エンジンの燃費向上に直結する顕著な摩擦低減効果が得られる。
摺動後に形成されたトライボフィルムを示す概略図である。 ピンオンディスク摩擦試験の一例を示す概略図である。

Claims (1)

  1. 水素を含有しないa−C系のダイヤモンドライクカーボンから成る硬質炭素薄膜をそれぞれ備えた摺動部材の両摺動面間に、ポリ−α−オレフィンとグリセリンモノオレートを含む潤滑油が介在していることを特徴とする低摩擦摺動部材。
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