JP5273424B2 - 低摩擦摺動機構及びこれに用いる潤滑油組成物 - Google Patents

低摩擦摺動機構及びこれに用いる潤滑油組成物 Download PDF

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Description

本発明は、低摩擦摺動機構及びこれに用いる潤滑油組成物に係り、更に詳細には、耐摩耗性に優れ、例えば、内燃機関や駆動系伝達機関などにおける種々の摺動面の摩擦特性を安定的に向上させ得る低摩擦摺動機構及びこれに用いる潤滑油組成物に関する。
地球全体の温暖化、オゾン層の破壊など地球規模での環境問題が大きくクローズアップされ、とりわけ地球全体の温暖化に大きな影響があると言われているCO削減については、各国でその規制値の決め方をめぐって大きな関心を呼んでいる。
CO削減については、機械・装置等の摩擦損失によるエネルギー損失の低減、特に自動車の燃費の削減を図ることが大きな課題の1つであり、摺動材料と潤滑剤との果たす役割は大きい。
摺動材料における役割としては、エンジン、電動モータ、燃料ポンプなどの摺動部位の中で摩擦摩耗環境が苛酷な部位に対して、優れた耐摩耗性と低い摩擦係数を発現することであり、最近では種々の硬質薄膜材料の適用が進んできている。
一般に、ダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜などの炭素系材料は、空気中、潤滑油不存在下における摩擦係数が、窒化チタン(TiN)や窒化クロム(CrN)といった耐摩耗性の硬質被膜材料と比べて低いことから低摩擦摺動材料として期待されている。
一方、潤滑油の役割、即ち省燃費対策としては、
(1)低粘度化による、流体潤滑領域における粘性抵抗及びエンジン内の攪拌抵抗の低減、(2)最適な摩擦調整剤と各種添加剤の配合による、混合及び境界潤滑領域下での摩擦損失の低減、が提言されている。
例えば、摩擦調整剤としては、モリブデンジチオカルバメイト(MoDTC)やモリブデンジチオホスフェート(MoDTP)といった有機モリブデン化合物を中心に多くの研究がなされており、従来の鋼材料から成る摺動面においては、使用開始初期に優れた低摩擦係数を示す有機モリブデン化合物を配合した潤滑油組成物が適用され、効果を上げていた。
具体的には、DLC膜と潤滑油組成物の組み合わせで摩擦係数を大きく低減する効果を上げる例が報告されている(例えば特許文献1,2参照)。
特開2003−238982号公報 特開2004−155891号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2にあるようなDLC膜と潤滑油組成物の組み合わせでは、摩擦係数はμ=0.06〜0.08程度であり、更に摩擦係数を下げるような摺動部材の出現が望まれている。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、極めて優れた低摩擦特性を示し、従来のDLC膜部材と潤滑油組成物との組合せよりも更に優れた省燃費効果を発揮し得る低摩擦摺動機構及びこれに用いる潤滑油組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、少なくとも一方の摺動面にダイヤモンドを用い、この摺動面の算術平均表面粗さRaを調整し、潤滑油組成物に無灰摩擦調整剤を含有させることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の低摩擦摺動機構は、少なくとも一方の摺動部材がダイヤモンドを用いた摺動面を有する低摩擦摺動機構において、
該ダイヤモンドを用いた摺動部材の算術平均表面粗さRaが0.005μm以上0.014μm以下であり、
摺動面に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油組成物を介在させたことを特徴とする。
また、本発明の潤滑油組成物は、低摩擦摺動機構に用いられる潤滑油組成物であって、
上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤が炭素数6〜30の炭化水素基を有し、組成物全量基準で0.05〜3.0%含まれて成ることを特徴とする。
本発明では、少なくとも一方の摺動部材がダイヤモンドを用いた摺動面を有する低摩擦摺動機構において、該ダイヤモンドを用いた摺動部材の算術平均表面粗さRaを0.005μm以上0.014μm以下に調整し、摺動面に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油組成物を介在させることとしたため、極めて優れた低摩擦特性を示し、従来のDLC膜部材と潤滑油組成物との組合せよりも更に優れた省燃費効果を発揮し得る低摩擦摺動機構及びこれに用いる潤滑油組成物を提供できる。
以下、本発明の低摩擦摺動機構について、更に詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、濃度、含有量、充填量などについての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
上述の如く、本発明の低摩擦摺動機構は、
少なくとも一方の摺動部材がダイヤモンドを用いた摺動面を有する低摩擦摺動機構において、該ダイヤモンドを用いた摺動部材の算術平均表面粗さRaが0.005μm以上0.014μm以下であり、摺動面に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油組成物を介在させたことを特徴とする
なお、ダイヤモンド摺動部材は、その表面の一部又は全部にダイヤモンドを被覆することなどにより上記表面粗さが達成されていればよい。また、上記表面粗さの下限は、技術的な観点からは、現時点ではRa0.005程度である。
また、本発明の低摩擦摺動機構は、摺動面に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油組成物を介在させる。
このように、少なくとも一方の摺動部材にダイヤモンドを用いることで、摺動面が非常に平滑になり、更に上記無灰摩擦調整剤を含む潤滑油組成物を用いることで、大幅な摩擦低減効果が発揮される。
なお、本発明の低摩擦摺動機構としては、上記潤滑油組成物を介在させた2つの摺動部材表面が接触する摺動面を構成すれば何ら限定なく使用できる。
例えば、4サイクルや2サイクルエンジン等の内燃機関の摺動部(例えば動弁系、ピストン、ピストンリング、ピストンスカート、シリンダライナ、コンロッド、クランクシャフト、ベアリング、軸受け、メタル、ギヤー、チェーン、ベルト、オイルポンプ等)を始め、駆動系伝達機構(例えばギヤー等)やハードディスクドライブの摺動部、その他摩擦条件が厳しく、低摩擦性が要求される様々な摺動面が対象となる。
ここで、上記ダイヤモンド摺動部材は、基材表面にダイヤモンド膜をコーティングして得られる。
一般的には、基材の温度を高温にし、熱CVD(Chemical Vapor Depodition)法という真空中でのプロセス法を採用して、ダイヤモンドの多結晶膜が形成されるが、この方法で得られるダイヤモンド膜は、結晶粒が比較的大きいために表面に結晶粒径に対応した凹凸が残存する。よって、本発明で規定する上記表面粗さRa0.05μm以下に平滑に仕上げるには多少の困難を伴うことがある。
このため、ダイヤモンド膜のコーティングはマイクロ波やプラズマを用いたCVDプロセスを採用することが好適である。この製法によれば、基材上に非常に結晶粒径の小さいナノ多結晶ダイヤモンド膜を形成でき、該多結晶膜より容易に平滑化が可能とできるため、本発明で規定する上記表面粗さに調整しやすい。
また、本発明の低摩擦摺動機構においては、上記ダイヤモンド摺動部材が、基材表面に厚さ0.3〜5.0μmのダイヤモンド膜を有することが好適である。
ダイヤモンド膜の厚さが0.3μm未満では摩滅し、厚さ5.0μmを超えると剥離し易くなる。
上記基材に用いられる金属材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄系材料、アルミニウム系材料、マグネシウム系材料、チタン系材料等が挙げられる。
また、上記ダイヤモンド摺動部材と摺動する相手摺動部材は、鉄基材料であり、表面硬さがロックウェル硬さ(Cスケール)でHRC45〜62であることが好適である。
相手摺動部材の表面硬さが上記範囲から外れると、HRC45未満では相手部材が摩耗し易くなることがあり、HRC62超では剥離し易くなることがある。
更に、本発明の低摩擦摺動機構の代表例としては、例えば、上記ダイヤモンド摺動部材を、基材上にダイヤモンド膜をコーティングして円盤状のシム又はリフター冠面に適用し、上記相手摺動部材を、低合金チルド鋳鉄、浸炭鋼又は調質炭素鋼、及びこれらの任意の組合せに係る材料を用いたカムロブとして適用したものが挙げられる。
このときは、極めて優れた低摩擦特性を示し、優れた省燃費効果を発揮し得る。
次に、上述の低摩擦摺動機構において、摺動面に介在させる潤滑油組成物について説明する。
かかる潤滑油組成物は、潤滑油基油に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤を含有して成る。
ここで、上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤としては、炭素数6〜30、好ましくは炭素数8〜24、特に好ましくは炭素数10〜20の直鎖状又は分枝状炭化水素基を有する脂肪酸エステル及脂肪酸エステルの任意混合物を挙げることができる。
炭素数が6〜30でないときは、上述の摩擦低減効果が十分得られない可能性がある。
上記潤滑油基油としては、特に限定されるものではなく、通常、潤滑油組成物の基油として用いられるものであれば、鉱油系基油、合成系基油を問わず使用することができる。
上記鉱油系基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、ワックス異性化等の処理を1つ以上行って精製したもの等が挙げられ、特に水素化分解処理や水素化精製処理又はワックス異性化処理が施されたもの等の各種の基油を用いることができる。
上記合成系基油としては、具体的には、アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、ポリブテン又はその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物;ジトリデシルグルタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、及びジオクチルセバケート等のジエステル;トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンぺラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、及びペンタエリスリトールぺラルゴネート等のポリオールエステル及びこれらの混合物等が例示できる。
中でも、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物が好ましい例として挙げられる。
なお、上記潤滑油基油は、鉱油系基油、合成系基油を単独又は混合して用いる以外に、2種類以上の鉱油系基油、又は2種類以上の合成系基油の混合物であっても差し支えない。また、上記混合物における2種類以上の基油の混合比も特に限定されず任意に選ぶことができる。
また、上記潤滑油基油の全芳香族含有量は、特に制限されないが、代表的には、15%以下であることが好ましい。より好ましくは10%以下、更に好ましくは8%である。
潤滑油基油の全芳香族含有量が15%を超える場合には、酸化安定性が劣ることがある。
更に、高度水素化分解鉱油又は1−デセンオリゴマー水素化物等、潤滑油基油の全芳香族含有量が2%以下又は0%であっても、摩擦低減効果の高い組成物を得ることができるが、例えば、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤、脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤のいずれか一方又は双方の含有量が1%を超える場合には、貯蔵安定性に劣る可能性があるため、必要に応じて溶剤精製鉱油やアルキルベンゼン等を配合することにより潤滑油基油の全芳香族含有量を調整する(例えば2%以上)ことが望ましい。
ここで、全芳香族含有量とは、ASTM D2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatic fraction)含有量を意味し、通常この芳香族留分には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、アントラセン、フェナントレン、及びこれらのアルキル化物、四環以上のベンゼン環が縮合した化合物、又はピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合物等が含まれる。
また、上記潤滑油基油の動粘度は、特に制限されないが、内燃機関用潤滑油組成物として使用する場合には、100℃における動粘度は、2mm/s以上20mm/s以下であることが好ましい。より好ましくは3mm/s以上10mm/s以下、特に好ましくは8mm/s以下であることがよい。
潤滑油基油の100℃における動粘度を2mm/s以上とすることによって油膜形成が十分になり、潤滑性に優れるようになる。また、高条件下での基油の蒸発損失がより小さい組成物を得ることができる。一方、100℃における動粘度を20mm/s以下とすることによって、流体抵抗が小さくなるため潤滑個所での摩擦抵抗のより小さい組成物を得ることができる。
更に、上記潤滑油基油の粘度指数は、特に制限されないが、例えば、80以上であることが好ましく、内燃機関用潤滑油組成物として使用する場合には、100以上であることが好ましい。また、120以上であることが特に好ましい。
このように、潤滑油基油の粘度指数が高いものを選択することにより、低温粘度特性に優れるだけでなく、摩擦低減効果に優れた組成物を得ることができる。
一方、上記潤滑油組成物において、上記炭素数6〜30の直鎖状又は分枝状炭化水素基としては、具体的には、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基及びトリアコンチル基等のアルキル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基及びトリアコンテニル基等のアルケニル基などを挙げることができる。
なお、上記アルキル基及びアルケニル基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造が含まれ、また、アルケニル基における二重結合の位置は任意である。
また、上記脂肪酸エステルとしては、例えば、かかる炭化水素基を有する脂肪酸と脂肪族1価アルコール又は脂肪族多価アルコールとから成るエステルなどを挙げることができる。
具体的な好適例としては、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ソルビタンモノオレート及びソルビタンジオレートなどが挙げられる。
更にまた、本発明の潤滑油組成物に含まれる脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤の含有量は、組成物全量基準で、0.05〜3.0%とする。好ましくは0.1〜2.0%であり、特に好ましくは0.5〜1.4%であることがよい。
上記含有量が0.05%未満であると摩擦低減効果が小さくなり、3.0%を超えると摩擦低減効果に優れるものの潤滑油への溶解性や貯蔵安定性が著しく悪化し、沈殿物が発生する。
なお、本発明の潤滑油組成物には、更に、無灰分散剤、摩耗防止剤又は極圧剤、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、摩擦調整剤、防錆剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等の各種添加剤を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)摺動部材
摺動部材の一例として、図1に示すようなピンオンディスク単体摩擦用の試験片を作製した。この単体試験片は、3つのピンと、ディスクからなり、以下の方法により得られた摺動部材を用いて作製したものである。これら摺動材料について表1に示す。
・ピン部材
軸受け鋼(JIS SUJ2)から所定のピン形状に研磨加工後、ラッピングテープ又はバレル研磨によってピンを様々な表面粗さ(Ra0.2μm以下)に仕上げた。
・ディスク材料
炭化珪素から成るディスク形状素材にピンとの摺動表面を研磨によって、Ra0.02μm以下の表面粗さに仕上げ、ダイヤモンド膜の形成しやすい下地前処理を実施し、マイクロ波CVD処理によって表面に様々な膜厚となるようにコーティングした。
コーティングされた表面は、更にラッピングテープを用いた研磨によって様々な表面粗さをRa0.05μm以下に仕上げた。
Figure 0005273424
比較例とした摺動部材では、下地形成条件及びラッピング条件を変えて、表面粗さの粗いダイヤモンド膜も作製した。また、他の比較としてイオンプレーティング法によりダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を形成したディスク試料も作製した。
(2)潤滑油組成物の調製
・オイルA
潤滑油基油として水素化分解鉱油(100℃動粘度:5.0mm/s、粘度指数:120、全芳香族含有量:5.5%)を用い、それにエステル系摩擦調整剤(グリセリンモノオレート)を1%、無灰系分散剤(ポリブテニルコハク酸イミド(窒素含有量:1.2%))を5.0%、金属系清浄剤としてカルシウムスルホネート(全塩基価:300mgKOH/g、カルシウム含有量:12.0%)を0.5%及びカルシウムフェネート(全塩基価:255mgKOH/g、カルシウム含有量:9.2%)を0.9%、その他添加剤として粘度指数向上剤、酸化防止剤、防錆剤、抗乳化剤、非イオン系界面活性剤、金属不活性化剤、消泡剤等を合計量で7.0%配合し調製した。
・オイルB
潤滑油基油として1−デセンオリゴマー水素化物(100℃動粘度:3.9mm/s、粘度指数:124、全芳香族含有量:0.0%)を用いた以外は、オイルAと同様の操作を繰り返して調製した。
・オイルC
エステル系摩擦調整剤を添加せず、アミン系摩擦調整剤(N,N−ジポリオキシエチレン−N−オレイルアミン)を1.0%添加し、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(亜鉛含有量:9.3%、リン含有量:8.5%、アルキル基:第2級ブチル基又は第2級へキシル基)をリン元素換算量で0.047%添加した以外は、オイルAと同様の操作を繰り返して調製した。
・オイルD
アミン系摩擦調整剤を添加しない以外は、オイルCと同様の操作を繰り返して調製した。
これら潤滑油組成物(オイルA〜D)の組成とそのオイル性状を表2に示す。
Figure 0005273424
(実施例1、実施例2、参考例3及び参考例4)
表1の実施例1、実施例2、参考例3及び参考例4に示すように、ピン及びディスクを組合わせた単体試験片を作製し、表1の各実施例に併記した各潤滑油組成物(オイルA〜D)を用いて低摩擦摺動機構を構成し、以下の単体摩擦試験を実施した。この結果を表1に示す。
(単体摩擦試験条件)
試験荷重(最大ヘルツ圧力) :50kgf(690MPa:スチール同士の面圧値)
ディスク回転速度 :30rpm
オイル供給方法 :油浴
供給オイル温度 :80℃
試験時間 :60min
(比較例1〜4)
同様に、表1の比較例1〜4に示すように、ピン及びディスクを組合わせた単体試験片を作製し、表1の各比較例に併記した各潤滑油組成物(オイルA、B又はD)を用いて低摩擦摺動機構を構成し、上記と同様の単体摩擦試験を実施した。この結果を表1に示す。
表1より、実施例1及び2で得られた低摩擦摺動機構は、いずれも優れた低摩擦係数を示すことがわかる。例えば、これらは、一般的なエンジンに使われている鉄系材料とDLC膜材料の組合せを用いた比較例4の低摩擦摺動機構に比べて、約20〜60%の摩擦低減効果が得られた。
更に、実施例1、2及び参考例4で得られた低摩擦摺動機構の試験結果から、ジチオリン酸亜鉛の含有量が少ないほど摩擦低減効果に優れることがわかる。
なお、実施例1及び2で得られた低摩擦摺動機構に係る単体試験片の材料組合せは、試験後の表面形状に何ら問題はなく、耐磨耗性にも非常に優れ、安定した低摩擦特性を示していた。
一方、比較例1で得られた低摩擦摺動機構は、ダイヤモンド部材の表面粗さが0.136μmであり、粗さが非常に大きい場合は摩擦係数が0.1を超えてしまい摩擦特性に劣ることがわかる。これは、相手摺動面の表面粗さが摺動により大きくなったためと推察できる。
また、比較例4で得られた低摩擦摺動機構は、ピンとディスクの表面粗さは実施例よりも小さいが、ディスクがダイヤモンド部材で無くDLC膜であるため、摩擦係数が0.07程度と高く摩擦特性に劣ることがわかる。
更に、比較例2で得られた低摩擦摺動機構は、ダイヤモンド摺動部材(ディスク)の表面粗さがRa0.054μmで、比較例1よりは摩擦が低下するものの、比較例4のDLC膜と同程度である。
更にまた、比較例3で得られた低摩擦摺動機構は、実施例1と同様のピンとディスクの構成であるが、オイル添加剤として本発明で用いる摩擦調整剤を含まない潤滑油組成物(オイルD)を用いており、摩擦係数が0.07程度と高く摩擦特性に劣ることがわかる。これは、摺動面に摩擦調整剤を主体とする反応皮膜が形成されていないためと推察できる。
実施例1及び2より、本発明の低摩擦摺動機構を構成しうるダイヤモンド摺動部材、特に好適範囲にあるダイヤモンド摺動部材を用いたディスクを、金属材料と、特定の摩擦調整剤を所定量添加した潤滑油組成物潤滑下で摺動させるときは、かなり小さな低摩擦係数が得られ、且つ耐磨耗性に優れることがわかる。
このような顕著な摩擦低減効果は、工業的に極めて有益であり、エンジン摺動部品等の摩擦損失の大幅な低減、即ちエンジンの燃費改善に有効である。
以上、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨内であれば種々の変形が可能である。
例えば、本発明の低摩擦摺動機構は、産業機械に使われている歯車摺動部材等に用いることもできる。
単体摩擦試験方法の概略斜視図である。
符号の説明
1 ピン
2 ディスク

Claims (6)

  1. 少なくとも一方の摺動部材がダイヤモンドを用いた摺動面を有する低摩擦摺動機構において、
    該ダイヤモンドを用いた摺動部材の算術平均表面粗さRaが0.005μm以上0.014μm以下であり、
    摺動面に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油組成物を介在させたことを特徴とする低摩擦摺動機構。
  2. 上記ダイヤモンド摺動部材が、基材表面に厚さ0.3〜5.0μmのダイヤモンド膜をコーティングして成ることを特徴とする請求項1に記載の低摩擦摺動機構。
  3. 上記ダイヤモンド摺動部材と摺動する相手摺動部材が、鉄基材料であり、表面硬さがロックウェル硬さ(Cスケール)でHRC45〜62であることを特徴とする請求項1又は2に記載の低摩擦摺動機構。
  4. 内燃機関の摺動部に使用されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の低摩擦摺動機構。
  5. 上記ダイヤモンド摺動部材が、基材上にダイヤモンド膜をコーティングした円盤状のシム又はリフター冠面であり、
    上記相手摺動部材が、低合金チルド鋳鉄、浸炭鋼及び調質炭素鋼から成る群より選ばれた少なくとも1種の材料を用いたカムロブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の低摩擦摺動機構。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の低摩擦摺動機構に用いられる潤滑油組成物であって、
    上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤が炭素数6〜30の炭化水素基を有し、組成物全量基準で0.05〜3.0%含まれて成ることを特徴とする潤滑油組成物。
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