JP2005069249A - ピストンとクランクシャフトの連結構造 - Google Patents

ピストンとクランクシャフトの連結構造 Download PDF

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Kimio Nishimura
公男 西村
Yutaka Mabuchi
豊 馬渕
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Abstract

【課題】相手部材の間のフリクションを軽減することができ、内燃機関の性能及び耐久信頼性を向上させ、内燃機関の燃費を改善することができるピストンとクランクシャフトの連結構造を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金製コンロッドの大端部内周面とクランクシャフトのクランクピン外周面の少なくとも一方の面と共に、小端部内周面とピストンピン外周面の少なくとも一方の面に、例えばDLC薄膜のような硬質炭素被膜1aを例えばPVD法によって形成し、その水素含有量を1原子%以下とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用のレシプロエンジンにおいて、ピストンとクランクシャフトの間をアルミニウム合金製コンロッドを介して連結し、ピストンの往復運動をクランクシャフトに伝達し、回転運動に変換するピストンとクランクシャフトの連結構造に係わり、具体的には、アルミニウム合金製コンロッドと、該コンロッドの大端部及び小端部にそれぞれ回転自在に連結されるクランクシャフトピン及びピストンピンの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車用の内燃機関においては、従来、コスト低減や信頼性の確保にために、鍛造コンロッドを採用してきた。しかしながら近年においては、出力、燃費向上のために、主運動系の軽量化を積極的に進めており、コンロッドについても寄り高強度の鍛造コンロッドが採用され、軽量化が図られている。
また、負荷の比較的低いエンジンにおいては、アルミニウム合金製のコンロッドの採用も始まっており、メタルレス化も図られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−70879号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなクランクシャフトは、大端部及び小端部においてクランクシャフトのクランクピン及びピストンピンにそれぞれ回転自在に連結され、潤滑油を介して相手部材と互いに摺接することになるが、アルミニウム合金製のクランクシャフトの大端部においては、相手部材が鋳鉄製あるいは鍛造によるクランクシャフトであることから、変形などによって油膜形成破不良となる部分や、局部的に面圧の高くなる部分では凝着が発生し、異常摩耗が起きる場合があった。
また、アルミニウム合金製クランクシャフトの小端部においても、相手部材が鋳鉄製あるいは鍛造によるピストンピンであることから、同様に油膜形成破不良となる部分や面圧の高くなる部分に凝着が発生し、異常摩耗が起きる場合があった。
【0005】
また、コンロッドの大端部及び小端部における摺動部は、エンジンの摺動部の中でもフリクションが高い部位であり、エンジンの燃費向上に対する要求が高い昨今においては、これらを低減することが非常に重要ではあるものの、従来のような連結構造ではフリクション低減にも限界があった。
【0006】
本発明は、従来のアルミニウム合金製コンロッドにおける上記課題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、当該コンロッドと相手部材の間の摺動面、すなわち大端部の内周面とクランクシャフトのクランクピン外周面の間、及び小端部内周面とピストンピン外周面の間のフリクションを軽減することができ、内燃機関の性能及び耐久信頼性を向上させ、内燃機関の燃費をこうじょうさせることができるピストンとクランクシャフトの連結構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく、コンロッドやクランクシャフト、ピストンピンの素材や表面処理、さらには摺動面に介在する潤滑剤成分について鋭意検討を重ねた結果、コンロッドとクランクピン及びピストンピンの間の摺動面に、水素含有量の少ない硬質炭素被膜を形成することによって、これら摺動面における摩擦特性を大幅に向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明のピストンとクランクシャフトの連結構造は、上記知見に基づくものであって、アルミニウム合金製コンロッドの大端部内周面とクランクシャフトのクランクピン外周面の少なくとも一方の面、及びコンロッドの小端部内周面とピストンピン外周面の少なくとも一方の面に、水素原子量が1原子%以下の硬質炭素被膜を備えていることを特徴としている。
また、上記連結構造における硬質炭素被膜を製造するに際しては、PVD法を適用して硬質炭素被膜を形成することにより、その水素含有量を1原子%以下とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、更に詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示すものとする。
【0010】
図1は、本発明のピストンとクランクシャフトの連結構造の一例を示す概略図であって、図に示すコンロッド1は、アルミニウム合金から成り、桿部1aと、この桿部1aの一端側に小端部1bを有する本体部と、キャップ部1dを有し、当該キャップ部1dは、後述するクランクシャフト2のクランクピン2bを挟んだ状態でボルト1cによって本体部に締結されるようになっており、キャップ部1dが本体部に締結されることによって、桿部1aの他端側に大端部1eが形成されることになる。
【0011】
また、クランクシャフト2は、ジャーナル部2aにおいて回転可能に支持されると共に、クランクピン2bにおいて上記コンロッド1の本体部とキャップ部1dの間に回転自在に挟持されている。
一方、ピストン3は、ピストンピン3aを介して、コンロッド1の小端部1bに回転自在に連結されており、このような連結構造によって、ピストン3の往復運動がコンロッド1を介してクランクシャフト2に伝達され、回転運動に変換されるようになっている。
【0012】
本発明のピストンとクランクシャフトの連結構造においては、例えば上記アルミニウム合金製コンロッド1の小端部1b及び大端部1eの内周面に、PVD法によって1原子%以下の水素を含有する硬質炭素被膜Fcが施してあることから、潤滑油の介在状態において、ピストンピン3a及びクランクピン2bとの摩擦係数が小さくなると共に、上記硬質炭素被膜Fcの硬度が十分に高く、しかも耐凝着性に優れることから、耐スカッフ性、耐摩耗性を向上させることができ、内燃機関の性能、耐久信頼性が向上することになる。
なお、このとき、硬質炭素被膜Fcをコンロッド1ではなく、ピストンピン3aやクランクピン2bの外周面に成膜してもよく、さらにこれら摺動面の両面、すなわち、コンロッド1の小端部1b及び大端部1eの内周面と、ピストンピン3a及びクランクピン2bの外周面の双方に成膜することもでき、同様の効果を得ることができる。
【0013】
上記硬質炭素被膜Fcとしては、例えば炭素原子を主として構成されるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)材料を用いることができる。
このDLC材料は、炭素同士の結合形態がダイヤモンド構造(SP結合)とグラファイト結合(SP結合)の両方から成る。具体的には、炭素元素だけから成るa−C(アモルファスカーボン)、及びチタン(Ti)やモリブデン(Mo)等の金属元素を一部に含むMeCなどを好適に用いることができる。
【0014】
硬質炭素被膜Fc中の水素含有量については、1原子%以下とすることが必要となる。すなわち、硬質炭素被膜中の水素原子の含有量が増加すると摩擦係数が増加し、水素原子含有量が1原子%を超えると、摺動時の摩擦係数を十分に低下させることが難しくなることによる。
【0015】
そして、このような水素含有量の低い硬質炭素薄膜は、例えばスパッタリング法やイオンプレーティング法など、水素や水素含有化合物を実質的に使用しないPVD法によって成膜することによって得られる。
この場合、成膜時に水素を含まないガスを用いるだけでなく、場合によっては反応容器や基材保持具のベーキングや、基材表面のクリーニングを十分に行ったうえで成膜することが被膜中の水素量を減らすために望ましい。
【0016】
次に、本発明に用いる潤滑油の組成について詳細に説明する。
本発明に用いる潤滑油としては、潤滑油基油に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有させたものを用いることが望ましく、このような潤滑油を硬質炭素被膜Fcが形成された、コンロッド1の大端部1eとクランクピン2bとの摺接面、及びコンロッド1の小端部1bとピストンピン3aとの摺接面に介在させることによって、これら部材が極めて低摩擦で摺動し得るようになる。
【0017】
ここで、上記潤滑油基油としては特に限定されるものではなく、鉱油、合成油、油脂及びこれらの混合物など、潤滑油の基油として通常使用されるものであれば、種類を問わず使用することができる。
鉱油としては、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系又はナフテン系等の油やノルマルパラフィン等が使用でき、溶剤精製、水素化精製処理したものが一般的であるが、芳香族分をより低減することが可能な高度水素化分解プロセスやGTL Wax(ガス・トウー・リキッド・ワックス)を異性化した手法で製造したものを用いることがより好ましい。
【0018】
合成油としては、具体的には、ポリ−α−オレフィン(例えば、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等)、ポリ−α−オレフィンの水素化物、イソブテンオリゴマー、イソブテンオリゴマーの水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(例えば、ジトリデシルグルタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジオクチルセバケート等)、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパンイソステアリネート等のトリメチロールプロパンエステル;ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のペンタエリスリトールエステル)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。中でも、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフイン又はその水素化物が好ましい例として挙げられる。
【0019】
本発明に用いる潤滑油の基油は、鉱油系基油又は合成系基油を単独あるいは混合して用いる以外に、2種類以上の鉱油系基油、あるいは2種類以上の合成系基油の混合物であっても差し支えない。また、上記混合物における2種類以上の基油の混合比も特に限定されず任意に選ぶことができる。
【0020】
潤滑油基油中の硫黄分について、特に制限はないが、基油全量基準で、0.2%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下、さらには0.05%以下であることが好ましい。特に、水素化精製鉱油や合成系基油の硫黄分は、0.005%以下、あるいは実質的に硫黄分を含有していない(5ppm以下)ことから、これらを基油として用いることが好ましい。
【0021】
また、潤滑油基油中の芳香族含有量についても、特に制限はないが、内燃機関用潤滑油組成物として長期間低摩擦特性を維持するためには、全芳香族含有量が15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらには5%以下であることが好ましい。即ち、潤滑油基油の全芳香族含有量が15%を超える場合には、酸化安定性が劣るため好ましくない。
なお、ここで言う全芳香族含有量とは、ASTM D2549に規定される方法に準拠して測定される芳香族留分(aromatics fraction)含有量を意味している。
【0022】
潤滑油基油の動粘度にも、特に制限はないが、内燃機関用潤滑油として使用する場合には、100℃における動粘度が2mm/s以上であることが好ましく、より好ましくは3mm/s以上である。一方、その動粘度は、20mm/s以下であることが好ましく、10mm/s以下、特に8mm/s以下であることが好ましい。潤滑油基油の100℃における動粘度が2mm/s未満である場合には、十分な耐摩耗性が得られない上に蒸発特性が劣る可能性があるため好ましくない。一方、動粘度が20mm/sを超える場合には低摩擦性能を発揮しにくく、低温性能が悪くなる可能性があるため好ましくない。本発明においては、上記基油の中から選ばれる2種以上の基油を任意に混合した混合物等が使用でき、100℃における動粘度が上記の好ましい範囲内に入る限りにおいては、基油単独の動粘度が上記以外のものであっても使用可能である。
【0023】
また、潤滑油基油の粘度指数にも、特別な制限はないが、80以上であることが好ましく、100以上であることがさらに好ましく、特に内燃機関用潤滑油として使用する場合には、120以上であることが好ましい。潤滑油基油の粘度指数を高めることでよりオイル消費が少なく、低温粘度特性、省燃費性能に優れた内燃機関用潤滑油を得ることができる。
【0024】
上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤としては、炭素数6〜30、好ましくは炭素数8〜24、特に好ましくは炭素数10〜20の直鎖状又は分枝状炭化水素基を有する脂肪酸エステル、脂肪酸アミン化合物、及びこれらの任意混合物を挙げることができる。炭素数が6〜30の範囲外のときは、摩擦低減効果が十分に得られない可能性がある。
【0025】
炭素数6〜30の直鎖状又は分枝状炭化水素基としては、具体的には、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等のアルキル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基等のアルケニル基などを挙げることができる。
なお、上記アルキル基及びアルケニル基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造が含まれ、また、アルケニル基における二重結合の位置は任意である。
【0026】
また、上記脂肪酸エステルとしては、かかる炭素数6〜30の炭化水素基を有する脂肪酸と脂肪族1価アルコール又は脂肪族多価アルコールとのエステルなどを例示でき、具体的には、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレートなどを特に好ましい例として挙げることができる。
上記脂肪族アミン化合物としては、脂肪族モノアミン又はそのアルキレンオキシド付加物、脂肪族ポリアミン、イミダゾリン化合物等、及びこれらの誘導体等を例示できる。具体的には、ラウリルアミン、ラウリルジエチルアミン、ラウリルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン、オレイルアミン、オレイルプロピレンジアミン、オレイルジエタノールアミン、N−ヒドロキシエチルオレイルイミダゾリン等の脂肪族アミン化合物や、これら脂肪族アミン化合物のN,N−ジポリオキシアルキレン−N−アルキル(又はアルケニル)(炭素数6〜28)等のアミンアルキレンオキシド付加物、これら脂肪族アミン化合物に炭素数2〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したりアミド化した、いわゆる酸変性化合物等が挙げられる。好適な例としては、N,N−ジポリオキシエチレン−N−オレイルアミン等が挙げられる。
【0027】
また、本発明に用いる潤滑油に含まれる脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤の含有量は、特に制限はないが、組成物全量基準で、0.05〜3.0%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2.0%、特に好ましくは0.5〜1.4%であることがよい。上記含有量が0.05%未満であると摩擦低減効果が小さくなり易く、3.0%を超えると潤滑油組成物への溶解性や貯蔵安定性が著しく悪化し、沈殿物が発生し易いので、好ましくない。
【0028】
一方、本発明に用いる潤滑油は、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体を含有することが好適である。
上記ポリブテニルコハク酸イミドとしては、次の一般式(1)及び(2)
【0029】
【化1】
Figure 2005069249
【0030】
【化2】
Figure 2005069249
で表される化合物が挙げられる。これら一般式におけるPIBは、ポリブテニル基を示し、高純度イソブテン又は1−ブテンとイソブテンの混合物をフッ化ホウ素系触媒又は塩化アルミニウム系触媒で重合させて得られる数平均分子量が900〜3500、望ましくは1000〜2000のポリブテンから得られる。上記数平均分子量が900未満の場合は清浄性効果が劣り易く、3500を超える場合は低温流動性に劣り易いため、望ましくない。
また、上記一般式におけるnは、清浄性に優れる点から1〜5の整数、より望ましくは2〜4の整数であることがよい。更に、上記ポリブテンは、製造過程の触媒に起因して残留する微量のフッ素分や塩素分を吸着法や十分な水洗等の適切な方法により、50ppm以下、より望ましくは10ppm以下、特に望ましくは1ppm以下まで除去してから用いることもよい。
【0031】
さらに、上記ポリブテニルコハク酸イミドの製造方法としては、特に限定はないが、例えば、上記ポリブテンの塩素化物又は塩素やフッ素が充分除去されたポリブテンと無水マレイン酸とを100〜200℃で反応させて得られるポリブテニルコハク酸を、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンと反応させることにより得ることができる。
【0032】
一方、上記ポリブテニルコハク酸イミドの誘導体としては、上記般式(1)又は(2)で表される化合物に、ホウ素化合物や含酸素有機化合物を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるホウ素変性又は酸変性化合物を例示できる。その中でもホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミド、特にホウ素含有ビスポリブテニルコハク酸イミドが最も好ましいものとして挙げられる。
【0033】
上記ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル等が挙げられる。具体的には、上記ホウ酸として、オルトホウ酸、メタホウ酸及びテトラホウ酸などが挙げられる。また、上記ホウ酸塩としては、アンモニウム塩等、具体的には、例えばメタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウムが好適例として挙げられる。また、ホウ酸エステルとしては、ホウ酸と好ましくは炭素数1〜6のアルキルアルコールとのエステル、より具体的には例えば、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリププロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル、ホウ酸トリブチル等が好適例として挙げられる。なお、ホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミドにおけるホウ素含有量Bと窒素含有量Nとの質量比「B/N」は、通常0.1〜3であり、好ましくは、0.2〜1である。
また、上記含酸素有機化合物としては、具体的には、例えばぎ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸等の炭素数1〜30のモノカルボン酸や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルポン酸並びにこれらの無水物、又はエステル化合物、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド、ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等が挙げられる
【0034】
なお、本発明に用いる潤滑油において、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量は特に制限されないが、0.1〜15%が望ましく、より望ましくは1.0〜12%であることが好ましい。0.1%未満では清浄性効果に乏しくなることがあり、15%を超えると含有量に見合う清浄性効果が得られにくく、抗乳化性が悪化し易い。
【0035】
更にまた、本発明に用いる潤滑油は、次の一般式(3)
【0036】
【化3】
Figure 2005069249
で表されるジチオリン酸亜鉛を含有することが好適である。
上記式(3)中のR、R、R及びRは、それぞれ別個に炭素数1〜24の炭化水素基を示す。これら炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数3〜24の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルアリール基、炭素数7〜19のアリールアルキル基等のいずれかであることが望ましい。また、アルキル基やアルケニル基は、第1級、第2級及び第3級のいずれであってもよい。
【0037】
上記R、R、R及びRとしては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等のアルキル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基等のオクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等のアルケニル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、プロピルシクロペンチル基、エチルメチルシクロペンチル基、トリメチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、エチルジメチルシクロペンチル基、プロピルメチルシクロペンチル基、プロピルエチルシクロペンチル基、ジ−プロピルシクロペンチル基、プロピルエチルメチルシクロペンチル基、メチルシクロへキシル基、ジメチルシクロへキシル基、エチルシクロへキシル基、プロピルシクロへキシル基、エチルメチルシクロへキシル基、トリメチルシクロへキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、エチルジメチルシクロヘキシル基、プロピルメチルシクロヘキシル基、プロピルエチルシクロヘキシル基、ジ−プロピルシクロへキシル基、プロピルエチルメチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、エチルシクロヘプチル基、プロピルシクロヘプチル基、エチルメチルシクロヘプチル基、トリメチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基、エチルジメチルシクロヘプチル基、プロピルメチルシクロヘプチル基、プロピルエチルシクロヘプチル基、ジ−プロピルシクロヘプチル基、プロピルエチルメチルシクロヘプチル基等のアルキルシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、エチルメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ブチルフェニル基、プロピルメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、エチルジメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、ジメチルフェネチル基等のアリールアルキル基、等が例示できる。
なお、R、R、R及びRがとり得る上記炭化水素基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造をが含まれ、また、アルケニル基の二重結合の位置、アルキル基のシクロアルキル基への結合位置、アルキル基のアリール基への結合位置、及びアリール基のアルキル基への結合位置は任意である。また、上記炭化水素基の中でも、その炭化水素基が、直鎖状又は分柱状の炭素数1〜18のアルキル基である場合若しくは炭素数6〜18のアリール基、又は直鎖状若しくは分枝状アルキルアリール基である場合が特に好ましい。
【0038】
上記ジチオリン酸亜鉛の好適な具体例としては、例えば、ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、ジイソブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ペンチルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−オクチルジチオリン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオリン酸亜鉛、ジイソトリデシルジチオリン酸亜鉛、及びこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。
【0039】
また、上記ジチオリン酸亜鉛の含有量は、特に制限されないが、より高い摩擦低減効果を発揮させる観点から、潤滑油全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下であることが好ましく、また0.06%以下であることがより好ましく、更にはジチオリン酸亜鉛が含有されないことが特に好ましい。ジチオリン酸亜鉛の含有量がリン元素換算量で0.1%を超えると、DLC部材と鉄基部材との摺動面における上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤や上記脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤の優れた摩擦低減効果が阻害されるおそれがある。
【0040】
上記ジチオリン酸亜鉛の製造方法としては、従来方法を任意に採用することができ、特に制限されないが、具体的には、例えば、上記R、R、R及びRに対応する炭化水素基を持つアルコール又はフェノールを五二硫化りんと反応させてジチオリン酸とし、これを酸化亜鉛で中和させることにより合成することができる。なお、上記ジチオリン酸亜鉛の構造は、使用する原料アルコールによって異なることは言うまでもない。
本発明においては、上記一般式(3)に包含される2種以上のジチオリン酸亜鉛を任意の割合で混合して使用することもできる。
【0041】
上述のように、本発明に用いる潤滑油は、DLCなどの硬質炭素被膜と金属材料との摺動面あるいは硬質炭素被膜同士の摺動面に用いた場合に、極めて優れた低摩擦特性を示すものであるが、特に内燃機関用潤滑油として必要な性能を高める目的で、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、他の無灰摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤若しくは極圧剤、防錆剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
【0042】
上記金属系清浄剤としては、潤滑油用の金属系清浄剤として通常用いられる任意の化合物が使用できる。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレート、ナフテネート等を単独で又は複数種を組合せて使用できる。ここで、上記アルカリ金属としてはナトリウム(Na)やカリウム(K)等、上記アルカリ土類金属としてはカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)等が例示できる。また、具体的な好適例としては、Ca又はMgのスルフォネート、フェネート及びサリシレートが挙げられる。
なお、これら金属系清浄剤の全塩基価及び添加量は、要求される潤滑油の性能に応じて任意に選択できる。通常、全塩基価は、過塩素酸法で0〜500mgKOH/g、望ましくは150〜400mgKOH/gであり、その添加量は潤滑油全量基準で、通常0.1〜10%である。
【0043】
また、上記酸化防止剤としては、潤滑油用の酸化防止剤として通常用いられる任意の化合物を使用できる。例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、アルキルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤、並びにこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。また、かかる酸化防止剤の添加量は、潤滑油全量基準で、通常0.01〜5%である。
【0044】
さらに、上記粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの共重合体やその水添物等のいわゆる非分散型粘度指数向上剤、及び更に窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤等が例示できる。また、他の粘度指数向上剤の具体例としては、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等)及びその水素化物、ポリイソブチレン及びその水添物、スチレン−ジエン水素化共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、並びにポリアルキルスチレン等も例示できる。
これら粘度指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定することが必要である。具体的には、粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリレートでは5000〜1000000、好ましくは100000〜800000がよく、ポリイソブチレン又はその水素化物では800〜5000、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物では800〜300000、好ましくは10000〜200000がよい。また、かかる粘度指数向上剤は、単独で又は複数種を任意に組合せて含有させることができるが、通常その含有量は、潤滑油基準で0.1〜40.0%であることが望ましい。
【0045】
更にまた、他の無灰摩擦調整剤としては、ホウ酸エステル、高級アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤、ジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン、二硫化モリブデン等の金属系摩擦調整剤等が挙げられる。
また、他の無灰分散剤としては、数平均分子量が900〜3500のポリブテニル基を有するポリブテニルベンジルアミン、ポリブテニルアミン、数平均分子量が900未満のポリブテニル基を有するポリブテニルコハク酸イミド等及びそれらの誘導体等が挙げられる。
さらに、上記磨耗防止剤又は極圧剤としては、ジスルフィド、硫化油脂、硫化オレフィン、炭素数2〜20の炭化水素基を1〜3個含有するリン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステル及びこれらのアミン塩等が挙げられる。
更にまた、上記防錆剤としては、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。
また、上記非イオン系界面活性剤及び抗乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
さらに、上記金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール等が挙げられる。
更にまた、上記消泡剤としては、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
なお、これら添加剤を本発明に用いる潤滑油に含有させる場合には、その含有量は、潤滑油量基準で、他の摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤又は極圧剤、防錆剤、及び抗乳化剤については0.01〜5%、金属不活性剤については0.005〜1%、消泡剤については0.0005〜1%の範囲から適宜選択できる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例と比較例によって、更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
アルミニウム合金製のコンロッド基材から、R部(R=20mm)を有する8×12×40mmの蒲鉾状試験片を切り出し、当該試験片のR部表面に、PVDアーク式イオンプレーティング法によって、水素含有量が0.2原子%であって、ヌープ硬度Hk=2170kg/mm、表面粗さ:Ry(=Rmax)=0.03μm、厚さ:0.5μmのDLC被膜を成膜して、本例の摺動側試験片とした。
一方、相手側試験片としては、クランクシャフト用のFCA材(片状黒鉛系オーステナイト鋳鉄)から、40×60×7mmの板状試験片を切り出し、摺接面の表面粗さRaを0.1μmに仕上げ、エステル系添加剤を含まない表1に示す潤滑油組成物No.8の潤滑油中で、後述する条件の摩擦摩耗試験を実施し、摩擦係数を求めた。
【0048】
(実施例2)
上記実施例1と同様の試験片を組合せ、エステル系添加剤として1.0%のグリセリンモノオレートを含む表1に示す潤滑油組成物No.1の潤滑油中において、同様の摩擦摩耗試験を実施し、摩擦係数を求めた。
【0049】
(実施例3〜8)
上記実施例1と同様にして、表1に示す各々の潤滑油組成物の潤滑油中において、同様の摩擦摩耗試験を実施し、摩擦係数を求めた。
【0050】
(比較例1)
実施例1と同様に、アルミニウム合金製のコンロッド基材から、R部を有する8×12×40mmの蒲鉾状試験片を切り出し、成膜処理を施すことなくそのまま本例の摺動側試験片とした。これを同様の相手側試験片と組合せ、実施例1と同様の条件によって摩擦摩耗試験を実施し、摩擦係数を求めた。
【0051】
(性能評価)
上記した各例のように、摺動側試験片及び相手側試験片を組合わせて、下記の条件により往復動試験を実施し、折り返し部における摩擦係数を測定した。得られた結果を表2に示す。
試験条件
摺動側試験片 : 8×12×40mm蒲鉾状試験片(Al合金)
相手側試験片 : 40×60×7mm板状試験片(FCA材)
試験装置 : 往復動試験装置
回転数 : 600rpm
試験温度 : 25℃
荷重 : 10kgf
測定時間 : 60分後
【0052】
【表1】
Figure 2005069249
【0053】
【表2】
Figure 2005069249
【0054】
表2に示す結果から明らかなように、摺動面にDLCのような硬質炭素被膜を形成することによって、さらにエステル系添加剤を含む潤滑油を組合わせることによって、摩擦係数が大幅に低減することが確認され、耐スカッフ性、耐摩耗性向上が期待される。
【0055】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、相手部材との摺接面であるバルブリフターの冠面と側面に、水素含有量が1原子%以下の硬質炭素被膜を施すようにしたため、部材間の摩擦係数及び摩擦抵抗が減少し、摩耗量も大幅に低減することから、内燃機関の燃費性能向上、耐久信頼性向上に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のピストンとクランクシャフトの連結構造に一実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 コンロッド
1b 小端部
1e 大端部
2 クランクシャフト
2b クランクピン
3 ピストン
3a ピストンピン
Fc 硬質炭素被膜

Claims (7)

  1. 内燃機関のピストンとクランクシャフトの間をアルミニウム合金製コンロッドを介して連結するピストンとクランクシャフトの連結構造であって、上記コンロッドの大端部内周面及びクランクシャフトのクランクピン外周面の少なくとも一方の面と共に、上記コンロッドの小端部内周面及びピストンピン外周面の少なくとも一方の面に硬質炭素被膜を備え、当該硬質炭素被膜に含まれる水素原子量が1原子%以下であることを特徴とするピストンとクランクシャフトの連結構造。
  2. 上記コンロッドとクランクピン及びピストンピンとの間の摺動面に介在する潤滑油が脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載のピストンとクランクシャフトの連結構造。
  3. 上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤が炭素数6〜30の炭化水素基を有し、潤滑油組成物中に潤滑油組全量基準で0.05〜3.0%含まれていることを特徴とする請求項2に記載のピストンとクランクシャフトの連結構造。
  4. 上記潤滑油がポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体を含有していることを特徴とする請求項2又は3に記載のピストンとクランクシャフトの連結構造。
  5. 上記ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量が潤滑油全量基準で0.1〜15%であることを特徴とする請求項4に記載のピストンとクランクシャフトの連結構造。
  6. 上記潤滑油がジチオリン酸亜鉛を含有し、その含有量が潤滑油全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つの項に記載のピストンとクランクシャフトの連結構造。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つの項に記載のピストンとクランクシャフトの連結構造における硬質炭素被膜の製造するに際し、当該硬質炭素被膜をPVD法により形成して水素含有量を1原子%以下とすることを特徴とする硬質炭素被膜の製造方法。
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