JP2002357225A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2002357225A
JP2002357225A JP2001165621A JP2001165621A JP2002357225A JP 2002357225 A JP2002357225 A JP 2002357225A JP 2001165621 A JP2001165621 A JP 2001165621A JP 2001165621 A JP2001165621 A JP 2001165621A JP 2002357225 A JP2002357225 A JP 2002357225A
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rolling
outer ring
inner ring
rolling bearing
film
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JP2001165621A
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Takeshi Saito
剛 齋藤
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Publication date
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/66Special parts or details in view of lubrication
    • F16C33/6696Special parts or details in view of lubrication with solids as lubricant, e.g. dry coatings, powder
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/38Ball cages
    • F16C33/44Selection of substances
    • F16C33/445Coatings

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 清浄環境下及び真空環境下においても発塵量
及びアウトガスが低く、且つ高面圧下においても耐久性
に優れた転がり軸受を提供する。 【解決手段】 内輪1と、外輪2と、内輪1と外輪2と
の間に転動自在に配設された複数の玉3と、を備える玉
軸受において、内輪1の軌道面,外輪2の軌道面,及び
玉3の転動面のうち少なくとも一つを、官能基を有する
含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFP
E)とを含有する潤滑膜6で覆った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、清浄環境下及び真
空環境下で好適に使用される低発塵,低アウトガスで耐
久性に優れた転がり軸受に係り、特に、半導体製造装置
内の搬送用ロボット,位置決め装置等において好適に使
用される転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】清浄環境下及び真空環境下においては、
転がり軸受の潤滑剤にグリースを用いると、グリースの
油分の蒸発やグリース自体の飛散等によって、潤滑機能
の劣化や使用環境の汚染といった不都合が発生するおそ
れがある。そのため、前述のような環境下においては、
従来は、内外輪の軌道面,転動体の転動面,及び保持器
のポケットのうち転動体と転がり接触する部分の少なく
とも一つに、金,銀,鉛等の軟質金属や、グラファイ
ト,二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を膜状にコーティ
ングすることによって、潤滑を行っていた。
【0003】例えば、特開平8−226446号公報に
は、官能基を有する含フッ素重合体からなる潤滑薄膜
を、内外輪の軌道面に備えた転がり軸受が開示されてい
る。そして、この潤滑薄膜の膜厚は0.2μm以下であ
ることが好ましいことが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような固体潤滑剤等からなるコーティング膜では、ボー
ルが転動することによる負荷により該コーティング膜が
わずかずつ剥離,欠落し、発塵を生じることがあった。
特に、高荷重条件下においては発塵量が増大するため、
半導体製造装置等に使用される転がり軸受のような、パ
ーティクルを極端に嫌う環境下において使用される転が
り軸受に適用することは困難であった。
【0005】しかも、前述のようにコーティング膜の剥
離や欠落が発生すると、転動,摺接する部位での潤滑作
用が低下する。その結果、金属同士が接触することとな
って、凝着しやすくなったり前記転動,摺接する部位で
の摩耗が促進されたりするので、転がり軸受の寿命が低
下するという問題点も併せて有していた。また、特開平
8−226446号公報に記載の官能基を有する含フッ
素重合体からなる潤滑薄膜は、一般に官能基を有する含
フッ素重合体はPFPE等と比較して蒸気圧が高いた
め、アウトガスが多いという問題点を有している。
【0006】さらに、潤滑薄膜の膜厚が0.2μm以下
であると、低発塵ではあるが、潤滑性の不足から耐久性
が十分ではないという問題があった。特に、高面圧下に
おいては、その傾向が顕著であった。そこで、本発明
は、上記のような従来の転がり軸受が有する問題点を解
決し、清浄環境下及び真空環境下においても発塵量及び
アウトガスが低く、且つ高面圧下においても耐久性に優
れた転がり軸受を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明の転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外
輪との間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備
える転がり軸受において、前記内輪の軌道面,前記外輪
の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一
つを、官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポ
リエーテル(PFPE)とを含有する潤滑膜で覆ったこ
とを特徴とする。
【0008】このような構成であれば、清浄環境下及び
真空環境下においても発塵量及びアウトガスが低く、且
つ高面圧下においても耐久性に優れていて長寿命であ
る。本発明の転がり軸受においては、官能基を有する含
フッ素重合体とPFPEとを含有する潤滑膜を潤滑剤と
して、前記内輪の軌道面,前記外輪の軌道面,及び前記
転動体の転動面のうち少なくとも一つを、前記潤滑膜で
覆うことにより潤滑を行っている。
【0009】前記潤滑膜は、上記のように官能基を有す
る含フッ素重合体とPFPEとを含有しているので、流
動性を有している。よって、比較的大きな荷重が作用す
るような場合でも、従来の固体潤滑剤等のコーティング
膜のように転動体が転動することによる負荷により剥離
や欠落が生じる可能性が低いので、発塵量が少なく、半
導体製造装置等に使用される転がり軸受のような、パー
ティクルを極端に嫌う環境下において使用される転がり
軸受に適用可能である。
【0010】また、含フッ素重合体だけでなくPFPE
が配合されているため低アウトガスである。よって、特
にウェハの処理プロセスのような、有機物による汚染を
極端に嫌う用途に適している。さらに、比較的大きな荷
重が作用するような場合でも、転がり軸受の転動,摺接
する部位において金属同士が無潤滑で接触する状態とな
りにくく、該部位に常に潤滑剤が付着している状態が維
持される。よって、該部位において凝着や摩耗が起こる
可能性が低いので、耐久性に優れ且つ低発塵である。
【0011】なお、本発明の転がり軸受における前記潤
滑膜は、前述のように官能基を有する含フッ素重合体と
PFPEとを含有しているものであるが、前記両者を混
合したもので前記潤滑膜を形成してもよいし、官能基を
有する含フッ素重合体の層とPFPEの層とからなる二
層構造としてもよい。後者の場合には、前記内輪の軌道
面,前記外輪の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち
少なくとも一つに、官能基を有する含フッ素重合体の層
を設け、その上にPFPEの層を設けた二層構造とする
必要がある。そうすれば、下層の含フッ素重合体と上層
のPFPEとの濡れ性が良好であるため、PFPEが薄
く均一に被覆され、転がり軸受の回転によってPFPE
が飛散しにくい(低発塵である)。金属面に直接PFP
Eを被覆すると、金属とPFPEとの濡れ性が悪いの
で、PFPEを均一に被覆することが困難である。
【0012】前記潤滑膜の膜厚は特に限定されるもので
はないが、0.3〜2.0μmとすれば、発塵性及び耐
久性がより良好となる。0.3μm未満では潤滑性が不
十分となり、転がり軸受の耐久性に問題が生じるおそれ
がある。また、2.0μmを超えると潤滑性は十分とな
るが、発塵量が多くなるという問題が生じるおそれがあ
る。
【0013】また、前記内輪の軌道面,前記外輪の軌道
面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一つに、
硬質層を形成してもよい。そうすれば、耐摩耗性,耐焼
付き性,耐凝着性が向上して、耐久性がより良好とな
る。さらに、摩耗によって新生面が露出した金属表面は
触媒的な作用を有しているので、PFPEを分解してア
ウトガスが発生する場合がある。しかし、金属化合物等
からなる硬質層が表面に形成されていれば、前述のよう
な不都合が生じにくく、アウトガスの発生を抑制でき
る。
【0014】硬質層としては、例えば、窒化層や、DL
C(ダイヤモンドライクカーボン),TiN,CrN等
からなる硬質膜があげられる。さらに、前記内輪と前記
外輪との間に前記転動体を保持する保持器を配設し、前
記保持器のポケットのうち前記転動体と転がり接触する
部分を、フッ素樹脂を含有する皮膜で覆ってもよい。そ
うすれば、仮に前記潤滑膜が剥離,欠落したとしても、
前記保持器の前記皮膜からフッ素樹脂が供給されるの
で、潤滑性の低下が生じにくく、その結果、転がり軸受
がより長寿命となる。しかも、前記保持器からの転移潤
滑であるため、発塵量も少ない。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係る転がり軸受の実施の
形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明
の一実施形態である玉軸受の部分縦断面図である。この
玉軸受は、内輪1と、外輪2と、内輪1と外輪2との間
に転動自在に配設された複数の玉3と、玉3を前記両輪
1,2の間に保持する保持器4と、を備えている。
【0016】内輪1,外輪2,玉3,及び保持器4は、
いずれも耐食性材料で構成されている。内輪1及び外輪
2の材料としては、例えば、JIS規格SUS440
C,13Cr系ステンレス鋼等のマルテンサイト系ステ
ンレス鋼に適当な硬化熱処理を施したものや、析出硬化
型ステンレス鋼SUS630,SUS316に表面硬化
処理を施したものがあげられる。
【0017】また、玉3の材料としては、前述の内輪1
及び外輪2の材料と同様の鋼材の他、セラミックス材や
超硬合金等のサーメットがあげられる。なお、セラミッ
クス材としては、窒化ケイ素(Si3 4 )を主体とす
るものの他、アルミナ(Al 2 3 ),炭化ケイ素(S
iC),ジルコニア(ZrO2 )等を主体とするものが
好ましい。
【0018】さらに、保持器4の材料としては、例え
ば、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼や
高分子材料があげられる。このような玉軸受は、内輪1
の軌道面を含む外周面1a、外輪2の軌道面を含む内周
面2a、玉3の転動面3a、及び保持器4のポケットの
うち玉3と転がり接触する部分4a(以降は、ポケット
面4aと記す)に、官能基を有する含フッ素重合体とP
FPEとの混合物からなる潤滑膜6が被覆されている。
【0019】官能基を有する含フッ素重合体としては、
フルオロポリエーテル重合体やポリフルオロアルキル重
合体が好ましい。フルオロポリエーテル重合体として
は、−CX 2XO−という一般式(Xは1〜4の整数)
で示される繰り返し単位を有する、数平均分子量が10
00〜50000の重合体があげられる。なお、このフ
ルオロポリエーテル重合体は、少なくとも一方の分子末
端に、後述する官能基を有している。
【0020】また、ポリフルオロアルキル重合体として
は、下記の化1に示すものがあげられる。化1のYは金
属に対して親和性の高い官能基であり、例えば、エポキ
シ基,アミノ基,カルボキシル基,水酸基,メルカプト
基,イソシアネート基,スルフォン基,エステル基等が
好ましい。ポリフルオロアルキル重合体としては、化1
の他、例えば、化2,3に示すものも好適に使用するこ
とができる。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】このような官能基は、潤滑膜6が内輪1の
外周面1a,外輪2の内周面2a,玉3の転動面3a,
及び保持器4のポケット面4aに被覆された際に、これ
らの部材を構成する金属と結合するので、前記各部材の
表面と強く結合した潤滑膜6が形成される。なお、一つ
の分子に官能基を複数有する含フッ素重合体の場合は、
そのうち少なくとも一つが金属と結合していればよい。
【0025】前記含フッ素重合体は、上に例示したもの
を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。2
種以上を併用する場合は、その官能基同士が反応して前
記含フッ素重合体がより高分子量化するように、前記含
フッ素重合体の組み合わせ(官能基の組み合わせ)を選
択することが好ましい。前記含フッ素重合体がより高分
子量化すれば、より耐摩耗性の優れた潤滑膜6を得るこ
とができる。
【0026】このような官能基を有する含フッ素重合体
の具体例としては、例えば、デュポン社製のクライトッ
クス157FSL,157FSM,157FSH、ダイ
キン工業社製のデムナム変性品SA,SH,SY−3,
SP、アウジモント社製のフォンブリンZ DEAL,
Z DIAC,Z DISCO,Z DOL,Z DO
L TX2000等があげられる。
【0027】また、PFPEの種類は特に限定されるも
のではないが、アウトガスを低く抑えるためには、でき
るだけ蒸気圧の低いものを使用することが好ましい。具
体的には、デュポン社製のクライトックス143AB,
143AC,143AD、アウジモント社製のフォンブ
リンYHVAC18/8,25/9,40/11,14
0/13,Z25,Z60、ダイキン工業社製のS−6
5,S−100,S−200があげられる。
【0028】次に、潤滑膜6の形成方法の一例を説明す
る。玉軸受を完成状態に組み立て、有機溶剤(石油ベン
ジン,メタノール,アセトン等)で洗浄,乾燥する。そ
して、潤滑膜6を形成するための潤滑油を玉軸受の内輪
1の軌道面と外輪2の軌道面とにスポイト等を用いて数
滴注入する。そして、玉軸受を数回回転させることによ
り、内輪1の外周面1a,外輪2の内周面2a,玉3の
転動面3a,及び保持器4のポケット面4aに潤滑油が
塗布される。なお、この潤滑油の塗布は、潤滑油の噴霧
や、潤滑油への玉軸受の浸漬により行ってもよく、前記
潤滑油の塗布方法は特に限定されるものではない。
【0029】潤滑油としては、例えば、PFPEとして
ダイキン工業社製S−200を用い、これに官能基を有
する含フッ素重合体としてデュポン社製のクライトック
ス157FSHを5%添加し、この混合物をフッ素系の
溶剤(例えば、旭化学工業社製AK225)で2%に希
釈したもの等が好適である。次に、潤滑油を塗布した玉
軸受の全体を常温乾燥させた後、恒温槽等に入れ100
〜200℃で30分間熱処理を施すことによって、内輪
1の外周面1a,外輪2の内周面2a,玉3の転動面3
a,及び保持器4のポケット面4aに潤滑膜6を形成さ
せる。
【0030】なお、このような潤滑膜6を設ける処理
は、必要に応じて数回繰り返してもよく、潤滑膜6を最
終的に、例えば0.3〜2.0μmの膜厚に形成する。
この膜厚は、官能基を有する含フッ素重合体及びPFP
Eの前記フッ素系の溶剤への溶解濃度によって制御する
ことも可能である。このような方法により、玉軸受の各
構成要素(内輪1,外輪2,玉3,及び保持器4)にお
ける転動,摺接部位に、潤滑膜6を好適な膜厚で形成す
ることができる。
【0031】また、前述のように熱処理によって溶媒を
除去しておけば、玉軸受の動作時に不要な発塵が発生す
ることがない。特に、最終の熱処理によって、使用環境
での発塵やアウトガスを抑制できる。なお、官能基を有
する含フッ素重合体は、一般に蒸気圧がPFPEに比べ
て高いので、アウトガスに対する要求が厳しい場合は、
含フッ素重合体とPFPEの合計量に対する含フッ素重
合体の量を1〜30質量%とすることが好ましい。
【0032】なお、官能基を有する含フッ素重合体をフ
ッ素系の溶剤で希釈したものを先に被覆し、恒温槽等で
加熱して前記各構成要素の母材である金属に前記含フッ
素重合体が有する官能基を反応させて、金属と結合した
官能基を有する含フッ素重合体の層を形成し、その後に
PFPEをフッ素系の溶剤で希釈したものを被覆して、
前記官能基を有する含フッ素重合体の層の上にPFPE
の層を形成して、潤滑膜6を二層構造としてもよい。
【0033】以上説明したように、本実施形態の玉軸受
は流動性を有する潤滑膜6を備えていて、比較的大きな
荷重がかかるような場合でも、従来の固体潤滑剤等のコ
ーティング膜のように転動体が転動することによる負荷
により剥離や欠落が生じる可能性が低いので、発塵量が
少なく、半導体製造装置等に使用される転がり軸受のよ
うなパーティクルを極端に嫌う環境下において使用され
る転がり軸受に適用可能である(半導体製品の歩留まり
向上に寄与する)。
【0034】また、玉軸受の転動,摺接する部位におい
て金属同士が無潤滑で接触する状態となりにくく、該部
位に常に潤滑剤が付着している状態が維持される。よっ
て、該部位において凝着や摩耗が起こる可能性が低いの
で、耐久性に優れ且つ低発塵である。なお、図2の部分
縦断面図に示すように、内輪1の外周面1a及び外輪2
の内周面2aに窒化層,硬質膜等の硬質層7を形成すれ
ば、耐摩耗性,耐焼付き性,耐凝着性が向上して耐久性
がより良好となる。さらに、摩耗によって新生面が露出
した金属表面は触媒的な作用を有しているので、PFP
Eを分解してアウトガスが発生する場合があるが、金属
化合物等からなる硬質層が表面に形成されていれば、前
述のような不都合が生じにくくアウトガスの発生を抑制
できる。なお、この硬質層7は、玉3の転動面3aに形
成してもよい。
【0035】また、図示は省略するが、保持器4のポケ
ット面4aを、潤滑膜6の代わりに、ポリテトラフルオ
ロエチレン樹脂(PTFE)等のフッ素樹脂を含有する
皮膜で覆ってもよい。そうすれば、内輪1の外周面1
a,外輪2の内周面2a,及び玉3の転動面3aを覆う
潤滑膜6が仮に剥離,欠落したとしても、保持器4のポ
ケット面4aの前記皮膜からフッ素樹脂が供給されるの
で、潤滑性の低下が生じにくく、その結果、玉軸受がよ
り長寿命となる。しかも、保持器4からの転移潤滑であ
るため、発塵量も少ない。
【0036】なお、前述の硬質層7とこの皮膜とを組み
合わせれば、すなわち、内輪1の外周面1a及び外輪2
の内周面2aに硬質層7を形成するとともに、フッ素樹
脂を含有する皮膜で保持器4のポケット面4aを覆え
ば、さらに耐久性を向上させることができる。次に、上
記と同様の構成の玉軸受(呼び番号608、内径:8m
m、外径:22mm、幅:7mm)について、潤滑膜の
種類,潤滑膜の膜厚,硬質層の種類又は有無,転動体の
材質等を種々変更して、真空中における耐久性及び発塵
性を試験した。なお、内輪及び外輪の材質はSUS44
0Cであり、保持器の材質はSUS304である。
【0037】耐久性試験は、図3に示す装置を用いて行
った。図3中の符号31は供試体である玉軸受、32は
回転軸、33は軸受ハウジング、34は荷重付与用コイ
ルばね(98N)、35は継手、36はACサーボモー
タ、37は真空チャンバ、38は磁気シールユニット、
39はヒータ、40は軸受温度測定用熱電対、41はダ
ストセンサを示している。
【0038】試験条件を以下に示し、試験結果を表1に
示す。 回転速度:1000min-1 アキシアル荷重:100N 雰囲気:真空(10-4Pa以下) 環境温度:室温 なお、軸受の振動値が初期値の2倍になった時点を、そ
の軸受の寿命として評価した。また、表1に示した寿命
は、比較例4の寿命を1とした場合の相対値で示してい
る。
【0039】
【表1】
【0040】表1から分かるように、実施例1〜13の
玉軸受は優れた寿命を有していた。特に、内輪の外周面
及び外輪の内周面に硬質層を備えた実施例10及び実施
例11(実施例10はDLCからなる硬質膜を備え、実
施例11はCrNからなる硬質膜を備えている)は、硬
質層を備えていない実施例4と比較して、寿命が大幅に
向上している。
【0041】また、潤滑膜の代わりにPTFEを含有す
る皮膜で保持器のポケット面を被覆した実施例12,1
3は、潤滑膜でポケット面を被覆した実施例4と比較し
て、寿命が大幅に向上している。なお、実施例12にお
いては、PTFEを含有する皮膜をポケット面に焼成に
よって被覆する際に、ポリアミドイミド樹脂をバインダ
ーとして用いた。また、実施例13においては、PTF
Eを含有するポリイミド樹脂を電着によって被覆した。
実施例13においては、ポリイミド樹脂とPTFEとの
重量比を80:20としたが、ポリイミド樹脂:PTF
E=90:10〜50:50の範囲内で適宜選択され
る。
【0042】さらに、潤滑膜の膜厚と寿命との相関を示
した図4のグラフから、膜厚が0.3μm以上の場合に
寿命が優れていることが分かる。また、膜厚0.3〜
1.0μmの範囲を見ると、膜厚に比例して寿命が向上
していることが分かる。それに対して、膜厚が0.3μ
m未満では寿命が短く、しかも寿命にバラツキが見ら
れ、膜厚と寿命との間に相関性は認められなかった。し
たがって、潤滑膜の膜厚は0.3μm以上とする必要が
ある。
【0043】また、官能基を有する含フッ素重合体又は
PFPEのいずれか一方で潤滑膜が構成されている比較
例1,2は、膜厚が十分であるにもかかわらず寿命が劣
っていた。次に、発塵性試験について説明する。発塵性
試験は、図5に示す軸受回転試験機(日本精工株式会社
製)を用いて行った。
【0044】玉軸受50の内輪50aを軸受回転試験機
のスピンドル軸(SUS440C製)51に取り付ける
とともに、外輪50bをハウジング52の内周面に固定
し、ハウジング52をヒータ53によって約60℃の温
度まで断続的に加熱した。このとき、玉軸受50へのア
キシアル荷重は、スプリング55により調整可能となっ
ている。
【0045】そして、スピンドル軸51の一端には磁性
流体シールユニット56が設けられ、スピンドル軸51
にはモータ54の回転トルクがプーリ57,ベルト5
8,プーリ59,及び磁性流体シールユニット56を介
して伝わるようになっている。一方、玉軸受50の外輪
50bはハウジング52を介して微小荷重変換器60に
接続されており、したがって、微小荷重変換器60を用
いて玉軸受50のトルクを測定できるようになってい
る。
【0046】また、玉軸受50は容器61及び隔壁62
に囲まれ、その空間の底部はレーザ光散乱式パーティク
ルカウンタ63に接続されている。一方、この囲まれた
空間の上部には、フィルタ64を介して空気導入口65
が設けられている。そして、空気導入口65から容器6
1及び隔壁62で囲まれた空間に清浄な空気を所定の流
量で供給することにより、空気導入口65からパーティ
クルカウンタ63へ向けて気流が生じるため、玉軸受5
0から生じる摩耗粉の量をパーティクルカウンタ63で
検出できるようになっている。
【0047】試験条件を以下に示し、試験結果を図6に
示す。 回転速度:1000min-1 アキシアル荷重:20N 雰囲気:真空(10-4Pa以下) 環境温度:室温 潤滑膜の膜厚と発塵量との相関を示した図6のグラフか
ら、膜厚が小さいほど発塵性が良好となる傾向があり、
膜厚が2.0μm以下の場合に発塵量が少なく、2.0
μmを超えると急激に発塵量が増加することが分かる。
【0048】これらの耐久性試験と発塵性試験の結果か
ら、潤滑膜の膜厚は0.3〜2.0μmが好ましいこと
が分かる。なお、本実施形態は本発明の一例を示したも
のであって、本発明は本実施形態に限定されるものでは
ない。例えば、本実施形態においては、転がり軸受とし
て玉軸受を例示して説明したが、本発明の転がり軸受
は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用すること
ができる。例えば、深みぞ玉軸受,アンギュラ玉軸受,
円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調
心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉
軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受で
ある。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る請求
項1の転がり軸受は、内輪の軌道面,外輪の軌道面,及
び転動体の転動面のうち少なくとも一つを、官能基を有
する含フッ素重合体とPFPEとを含有する潤滑膜で覆
ったので、清浄環境下及び真空環境下においても発塵量
及びアウトガスが低く、且つ高面圧下においても耐久性
に優れていて長寿命である。
【0050】また、本発明に係る請求項2の転がり軸受
は、前記潤滑膜の膜厚を0.3〜2.0μmとしたの
で、発塵性及び耐久性がより良好である。さらに、本発
明に係る請求項3の転がり軸受は、内輪の軌道面,外輪
の軌道面,及び転動体の転動面のうち少なくとも一つに
硬質層を形成したので、耐摩耗性,耐焼付き性,耐凝着
性が向上して耐久性がより良好である。
【0051】さらに、本発明に係る請求項4の転がり軸
受は、保持器のポケットのうち転動体と転がり接触する
部分を、フッ素樹脂を含有する皮膜で覆ったので、潤滑
膜が剥離,欠落しても前記皮膜からフッ素樹脂が供給さ
れるため長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転がり軸受の一実施形態である玉
軸受の構成を示す部分縦断面図である。
【図2】本発明に係る転がり軸受の別の実施形態である
玉軸受の構成を示す部分縦断面図である。
【図3】転がり軸受の耐久性を試験する試験機の概略図
である。
【図4】潤滑膜の膜厚と寿命との相関を示すグラフであ
る。
【図5】転がり軸受の発塵性を試験する軸受回転試験機
の概略図である。
【図6】潤滑膜の膜厚と発塵量との相関を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 内輪 1a 外周面 2 外輪 2a 内周面 3 玉 3a 転動面 4 保持器 4a ポケット面 6 潤滑膜 7 硬質層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪と
    の間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える
    転がり軸受において、 前記内輪の軌道面,前記外輪の軌道面,及び前記転動体
    の転動面のうち少なくとも一つを、官能基を有する含フ
    ッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)と
    を含有する潤滑膜で覆ったことを特徴とする転がり軸
    受。
  2. 【請求項2】 前記潤滑膜の膜厚を0.3〜2.0μm
    としたことを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
  3. 【請求項3】 前記内輪の軌道面,前記外輪の軌道面,
    及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一つが硬質層
    を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の転がり軸受。
  4. 【請求項4】 前記内輪と前記外輪との間に前記転動体
    を保持する保持器を配設し、前記保持器のポケットのう
    ち前記転動体と転がり接触する部分を、フッ素樹脂を含
    有する皮膜で覆ったことを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の転がり軸受。
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