JP2001072986A - カーボン薄膜被覆を有する摺動部材およびその製造方法 - Google Patents
カーボン薄膜被覆を有する摺動部材およびその製造方法Info
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- JP2001072986A JP2001072986A JP25043299A JP25043299A JP2001072986A JP 2001072986 A JP2001072986 A JP 2001072986A JP 25043299 A JP25043299 A JP 25043299A JP 25043299 A JP25043299 A JP 25043299A JP 2001072986 A JP2001072986 A JP 2001072986A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐摩耗性および摺動性に優れたDLC膜ある
いは非晶質カーボン膜をPSII法により被覆した摺動
部材およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 基材3の周囲にプラズマを形成し、基材
に負のパルス電圧を印加することによってイオン注入を
行うプラズマソースイオン注入法により作製したダイヤ
モンドライクカーボン膜あるいは非晶質カーボン膜であ
って、水素含有量が30原子%未満である薄膜を摺動面
に被覆した。
いは非晶質カーボン膜をPSII法により被覆した摺動
部材およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 基材3の周囲にプラズマを形成し、基材
に負のパルス電圧を印加することによってイオン注入を
行うプラズマソースイオン注入法により作製したダイヤ
モンドライクカーボン膜あるいは非晶質カーボン膜であ
って、水素含有量が30原子%未満である薄膜を摺動面
に被覆した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸受、シールをは
じめ、ハードディスク等の磁気記録媒体にも利用できる
ダイヤモンドライクカーボン膜あるいは非晶質カーボン
膜を被覆した摺動部材に関する。
じめ、ハードディスク等の磁気記録媒体にも利用できる
ダイヤモンドライクカーボン膜あるいは非晶質カーボン
膜を被覆した摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】低摩擦係数だけでなく、耐摩耗性も要求
される軸受、シール等の摺動部材には、従来、SiCや
超硬合金等の硬い材料が用いられてきた。しかしなが
ら、これらの材料は硬く、耐摩耗性に優れている反面
で、脆いという性質があるため、特に高速、高圧という
環境で使用される場合、異物の侵入等の些細な外乱によ
り、致命的な破壊が発生するという危険性があった。
される軸受、シール等の摺動部材には、従来、SiCや
超硬合金等の硬い材料が用いられてきた。しかしなが
ら、これらの材料は硬く、耐摩耗性に優れている反面
で、脆いという性質があるため、特に高速、高圧という
環境で使用される場合、異物の侵入等の些細な外乱によ
り、致命的な破壊が発生するという危険性があった。
【0003】そこで、注目されたのが、材料の表層だけ
に特定の機能を付与する表面改質技術である。圧縮機用
のドライガスシールに適用された事例では、非脆性材料
である金属を基材とし、その上に、真空蒸着とイオン注
入を同時に行うダイナミックミキシング(DM)法によ
り、高硬度(ビッカース硬度3500kg/mm2)の
窒化チタン(TiN)膜を形成することによって、シール
および圧縮機の信頼性向上を達成している。
に特定の機能を付与する表面改質技術である。圧縮機用
のドライガスシールに適用された事例では、非脆性材料
である金属を基材とし、その上に、真空蒸着とイオン注
入を同時に行うダイナミックミキシング(DM)法によ
り、高硬度(ビッカース硬度3500kg/mm2)の
窒化チタン(TiN)膜を形成することによって、シール
および圧縮機の信頼性向上を達成している。
【0004】DM法をはじめとするイオン注入を用いた
成膜は、基材と薄膜との界面にミキシング(混合)層が
形成されるため、密着性に優れた膜を形成できるという
特長がある。しかしながら、このようなイオンビーム照
射を用いた方法の場合、ビームの指向性が高いため、立
体形状物へ施工するには、複雑な試料駆動機構が必要で
あり、また、円筒形状の内面に均一にイオン注入を行う
のは困難であるといった短所があるため、適用可能な摺
動部材が限られていた。
成膜は、基材と薄膜との界面にミキシング(混合)層が
形成されるため、密着性に優れた膜を形成できるという
特長がある。しかしながら、このようなイオンビーム照
射を用いた方法の場合、ビームの指向性が高いため、立
体形状物へ施工するには、複雑な試料駆動機構が必要で
あり、また、円筒形状の内面に均一にイオン注入を行う
のは困難であるといった短所があるため、適用可能な摺
動部材が限られていた。
【0005】立体形状物や円筒内面への均一なイオン注
入が可能な技術が、米国特許No.4,764,394
“プラズマソースイオン注入方法及びその装置”(“ME
THOD AND APPARATUS FOR PLASMA SOURCE ION IMPLANTAT
ION”)に開示されている。このプラズマソースイオン
注入(以下「PSII」とする)法は、基材の周囲にプラ
ズマを形成し、基材に負のパルス電圧を印加することに
よって、プラズマからイオンを引き出し、加速して、立
体形状物にイオン注入を行う技術である。これまで困難
とされていた円筒内面へ密着性に優れた膜を形成するこ
とができるため、表面改質技術適用範囲の拡大が期待で
きる。また、PSII法は多数個の一括処理が可能であ
るため、処理コストが低く、生産性に優れているという
利点がある。
入が可能な技術が、米国特許No.4,764,394
“プラズマソースイオン注入方法及びその装置”(“ME
THOD AND APPARATUS FOR PLASMA SOURCE ION IMPLANTAT
ION”)に開示されている。このプラズマソースイオン
注入(以下「PSII」とする)法は、基材の周囲にプラ
ズマを形成し、基材に負のパルス電圧を印加することに
よって、プラズマからイオンを引き出し、加速して、立
体形状物にイオン注入を行う技術である。これまで困難
とされていた円筒内面へ密着性に優れた膜を形成するこ
とができるため、表面改質技術適用範囲の拡大が期待で
きる。また、PSII法は多数個の一括処理が可能であ
るため、処理コストが低く、生産性に優れているという
利点がある。
【0006】PSII法において、カーボンを含有する
ガスを使用してプラズマを形成すると、ダイヤモンドラ
イクカーボン(Diamond Like Carbon 、以下「DLC」
とする)膜あるいは非晶質カーボン膜を形成することが
可能である。DLC膜は、ダイヤモンドと同様の結合
(sp3)を含む非晶質カーボン膜であり、一般に硬
く、摺動性に優れているとされ、軸受、シール等の高負
荷の摺動部材の他、磁気記録媒体の保護膜のような軽負
荷の摺動部材等、様々な製品への適用が期待されてい
る。
ガスを使用してプラズマを形成すると、ダイヤモンドラ
イクカーボン(Diamond Like Carbon 、以下「DLC」
とする)膜あるいは非晶質カーボン膜を形成することが
可能である。DLC膜は、ダイヤモンドと同様の結合
(sp3)を含む非晶質カーボン膜であり、一般に硬
く、摺動性に優れているとされ、軸受、シール等の高負
荷の摺動部材の他、磁気記録媒体の保護膜のような軽負
荷の摺動部材等、様々な製品への適用が期待されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、DLC膜と
呼ばれる非晶質カーボン膜にはsp3結合の割合が異な
る等、様々な性質のものが含まれており、製法や成膜条
件により、得られるDLC膜に違いがあるため、DLC
膜被覆摺動部材が必ずしも十分な性能を有しないという
問題点があった。
呼ばれる非晶質カーボン膜にはsp3結合の割合が異な
る等、様々な性質のものが含まれており、製法や成膜条
件により、得られるDLC膜に違いがあるため、DLC
膜被覆摺動部材が必ずしも十分な性能を有しないという
問題点があった。
【0008】例えば、磁気記録媒体のような軽負荷の摺
動部材において保護膜として用いられるDLC膜は、一
般にスパッタ法、プラズマCVD法等により、形成され
ている。スパッタ法で形成した膜は密着性に優れるが、
ピンホール欠陥が多い。記録密度の増大にともない、保
護膜の極薄膜化(数nm)が求められているが、欠陥の
多い膜では膜厚を薄くした場合、カバレッジ性が問題と
なる。一方、プラズマCVD法で形成した膜は、カバレ
ッジ性に優れるが、密着性が劣るという欠点がある。
動部材において保護膜として用いられるDLC膜は、一
般にスパッタ法、プラズマCVD法等により、形成され
ている。スパッタ法で形成した膜は密着性に優れるが、
ピンホール欠陥が多い。記録密度の増大にともない、保
護膜の極薄膜化(数nm)が求められているが、欠陥の
多い膜では膜厚を薄くした場合、カバレッジ性が問題と
なる。一方、プラズマCVD法で形成した膜は、カバレ
ッジ性に優れるが、密着性が劣るという欠点がある。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、耐摩耗性および摺動性に優れたDLC膜ある
いは非晶質カーボン膜をPSII法により被覆した摺動
部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
のであり、耐摩耗性および摺動性に優れたDLC膜ある
いは非晶質カーボン膜をPSII法により被覆した摺動
部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、基材の周囲にプラズマを形成し、基材に負のパルス
電圧を印加することによってイオン注入を行うPSII
法により作製したDLC膜あるいは非晶質カーボン膜で
あって、水素含有量が30原子%未満である薄膜を摺動
面に被覆した摺動部材である。
は、基材の周囲にプラズマを形成し、基材に負のパルス
電圧を印加することによってイオン注入を行うPSII
法により作製したDLC膜あるいは非晶質カーボン膜で
あって、水素含有量が30原子%未満である薄膜を摺動
面に被覆した摺動部材である。
【0011】PSII法では、基材ホルダーに固定され
た基材の周囲にプラズマを形成し、基材および基材ホル
ダーに負のパルス電圧を印加するが、基材に負の電圧を
印加すると、プラズマ中の電子が遠ざかり、基材及び基
材ホルダーの周囲全面にわたって均一に、イオンシース
と呼ばれるイオンが残された領域が形成される。その
後、このイオンシース中のイオンが基材に向かって加速
され、基材および基材ホルダー面に対して垂直に入射す
る。このため、複雑形状物への均一なイオン注入が可能
となっている。さらに時間が経過するとシース中のイオ
ン密度が減少し、シースが拡大していくが、電圧がオフ
になると、再び基材はプラズマで覆われる。この動作が
繰り返されて、イオン注入あるいは薄膜形成が行われ
る。プラズマの形成法としては、高周波放電、マイクロ
波放電、熱フィラメント放電による方法等がある。
た基材の周囲にプラズマを形成し、基材および基材ホル
ダーに負のパルス電圧を印加するが、基材に負の電圧を
印加すると、プラズマ中の電子が遠ざかり、基材及び基
材ホルダーの周囲全面にわたって均一に、イオンシース
と呼ばれるイオンが残された領域が形成される。その
後、このイオンシース中のイオンが基材に向かって加速
され、基材および基材ホルダー面に対して垂直に入射す
る。このため、複雑形状物への均一なイオン注入が可能
となっている。さらに時間が経過するとシース中のイオ
ン密度が減少し、シースが拡大していくが、電圧がオフ
になると、再び基材はプラズマで覆われる。この動作が
繰り返されて、イオン注入あるいは薄膜形成が行われ
る。プラズマの形成法としては、高周波放電、マイクロ
波放電、熱フィラメント放電による方法等がある。
【0012】発明者らは、PSII法により作製したD
LC膜あるいは非晶質カーボン膜被覆摺動部材におい
て、膜の水素含有量が30原子%未満である場合に、極
めて優れた耐摩耗性および摺動性を示すことを見いだし
た。水素は、炭化水素を原料として用いることにより膜
中に含まれる。DLC膜あるいは非晶質カーボン膜の水
素含有量は、製法や成膜条件によって大きく異なり、電
気的特性、機械的特性等の膜の物性に影響を与える。膜
中の水素は、ダングリングボンド(未結合手)のターミ
ネーターとして働くとの考えもあるが、詳細は不明であ
る。膜の水素含有量を30原子%未満とするには、基材
に付与する負のパルス電圧を−4kV以上とすれば(絶
対値を大きくすれば)良い(後述する表1参照)。
LC膜あるいは非晶質カーボン膜被覆摺動部材におい
て、膜の水素含有量が30原子%未満である場合に、極
めて優れた耐摩耗性および摺動性を示すことを見いだし
た。水素は、炭化水素を原料として用いることにより膜
中に含まれる。DLC膜あるいは非晶質カーボン膜の水
素含有量は、製法や成膜条件によって大きく異なり、電
気的特性、機械的特性等の膜の物性に影響を与える。膜
中の水素は、ダングリングボンド(未結合手)のターミ
ネーターとして働くとの考えもあるが、詳細は不明であ
る。膜の水素含有量を30原子%未満とするには、基材
に付与する負のパルス電圧を−4kV以上とすれば(絶
対値を大きくすれば)良い(後述する表1参照)。
【0013】本発明において、基材の周囲に形成するプ
ラズマの原料としては、炭素化合物を用いる。炭素化合
物の例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等
の飽和炭化水素、エチレン、プロピレン、アセチレン、
ブタジエン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン等
の芳香族炭化水素が挙げられる。
ラズマの原料としては、炭素化合物を用いる。炭素化合
物の例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等
の飽和炭化水素、エチレン、プロピレン、アセチレン、
ブタジエン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン等
の芳香族炭化水素が挙げられる。
【0014】請求項2に記載の発明は、基材の周囲にプ
ラズマを形成し、基材に負のパルス電圧を印加すること
によってイオン注入を行うプラズマソースイオン注入法
を用い、第一に、メタンを原料とするプラズマを用いて
カーボンイオンの注入を行い、第二に、トルエンを原料
とするプラズマを用いてダイヤモンドライクカーボン膜
あるいは非晶質カーボン膜を摺動面に被覆したことを特
徴とする摺動部材の製造方法である。
ラズマを形成し、基材に負のパルス電圧を印加すること
によってイオン注入を行うプラズマソースイオン注入法
を用い、第一に、メタンを原料とするプラズマを用いて
カーボンイオンの注入を行い、第二に、トルエンを原料
とするプラズマを用いてダイヤモンドライクカーボン膜
あるいは非晶質カーボン膜を摺動面に被覆したことを特
徴とする摺動部材の製造方法である。
【0015】PSII法において、メタンを原料とする
プラズマを用いた場合、カーボンイオンの注入効果が大
きく、一方、トルエンを原料とするプラズマを用いた場
合、成膜速度が速く、作製したDLC膜あるいは非晶質
カーボン膜が硬い傾向にある。したがって、第一に、メ
タンを原料とするプラズマを用いてカーボンイオンの注
入を行い、第二に、トルエンを原料とするプラズマを用
いて、DLC膜あるいは非晶質カーボン膜を摺動面に被
覆した摺動部材は、膜の密着性が良好で、優れた耐摩耗
性、摺動性を示すものと考えられる。
プラズマを用いた場合、カーボンイオンの注入効果が大
きく、一方、トルエンを原料とするプラズマを用いた場
合、成膜速度が速く、作製したDLC膜あるいは非晶質
カーボン膜が硬い傾向にある。したがって、第一に、メ
タンを原料とするプラズマを用いてカーボンイオンの注
入を行い、第二に、トルエンを原料とするプラズマを用
いて、DLC膜あるいは非晶質カーボン膜を摺動面に被
覆した摺動部材は、膜の密着性が良好で、優れた耐摩耗
性、摺動性を示すものと考えられる。
【0016】請求項3に記載の発明は、前記ダイヤモン
ドライクカーボン膜あるいは非晶質カーボン膜のビッカ
ース硬度が1500kg/mm2以上である請求項1ま
たは2記載の摺動部材又はその製造方法である。軸受、
シール等に適用する場合、DLC膜あるいは非晶質カー
ボン膜のビッカース硬度(Hv)が1500kg/mm
2以上であれば、異物の混入等によって摺動面が傷つく
恐れが非常に小さい。
ドライクカーボン膜あるいは非晶質カーボン膜のビッカ
ース硬度が1500kg/mm2以上である請求項1ま
たは2記載の摺動部材又はその製造方法である。軸受、
シール等に適用する場合、DLC膜あるいは非晶質カー
ボン膜のビッカース硬度(Hv)が1500kg/mm
2以上であれば、異物の混入等によって摺動面が傷つく
恐れが非常に小さい。
【0017】請求項4に記載の発明は、前記ダイヤモン
ドライクカーボン膜あるいは非晶質カーボン膜の中心線
平均粗さが0.5nm以下である請求項1または2記載
の摺動部材又はその製造方法である。PSII法に用い
て中心線平均粗さを0.5nm以下にするには、パルス
電圧の値を−4kV以上とすれば(絶対値を大きくすれ
ば)良い(後述する図2参照)。
ドライクカーボン膜あるいは非晶質カーボン膜の中心線
平均粗さが0.5nm以下である請求項1または2記載
の摺動部材又はその製造方法である。PSII法に用い
て中心線平均粗さを0.5nm以下にするには、パルス
電圧の値を−4kV以上とすれば(絶対値を大きくすれ
ば)良い(後述する図2参照)。
【0018】本発明の摺動部材の表面粗さは、ほとんど
基材の表面粗さで決まると言ってよく、用途に応じ、適
当なものを選べばよい。磁気記録媒体の場合には、ヘッ
ドとの摩擦係数を低下させるため、表面に微細な凹凸を
形成する加工(テクスチャー処理)が施されることがあ
るが、中心線平均粗さ(Ra)が0.5nm以下のDL
C膜あるいは非晶質カーボン膜であれば、保護膜の表面
粗さが問題とならない。
基材の表面粗さで決まると言ってよく、用途に応じ、適
当なものを選べばよい。磁気記録媒体の場合には、ヘッ
ドとの摩擦係数を低下させるため、表面に微細な凹凸を
形成する加工(テクスチャー処理)が施されることがあ
るが、中心線平均粗さ(Ra)が0.5nm以下のDL
C膜あるいは非晶質カーボン膜であれば、保護膜の表面
粗さが問題とならない。
【0019】請求項5に記載の発明は、パルス電圧の値
を−4kV〜−50kV、パルスの繰り返し数を50H
z〜2kHzとする請求項1〜4のいずれか1項に記載
の摺動部材の製造方法である。
を−4kV〜−50kV、パルスの繰り返し数を50H
z〜2kHzとする請求項1〜4のいずれか1項に記載
の摺動部材の製造方法である。
【0020】負のパルス電圧が−4kVより小さい(絶
対値が4kVより小さい)場合には、硬さの劣る非晶質
カーボン膜しか得られず、また、イオン注入深さが小さ
くなるため、密着性も劣る。一方、負のパルス電圧が−
50kVより大きくなると、イオンシースが大きくなる
ために、多数個一括処理をする際に処理できる個数が少
なくなり、処理コストが高くなる。また、高電圧パルス
を発生させる電源が非常に高価である、放射線対策を施
した大規模な設備が必要となる等のデメリットもある。
対値が4kVより小さい)場合には、硬さの劣る非晶質
カーボン膜しか得られず、また、イオン注入深さが小さ
くなるため、密着性も劣る。一方、負のパルス電圧が−
50kVより大きくなると、イオンシースが大きくなる
ために、多数個一括処理をする際に処理できる個数が少
なくなり、処理コストが高くなる。また、高電圧パルス
を発生させる電源が非常に高価である、放射線対策を施
した大規模な設備が必要となる等のデメリットもある。
【0021】パルスの繰り返し数については、50Hz
〜2kHzが好ましい。繰り返し数が50Hzより小さ
いと、成膜速度が遅く、実用的でない。基材の昇温によ
る変形や変質等の恐れは少ないが、パルスの繰り返し数
が2kHzより大きくなると、成膜時の温度上昇によっ
て、基材が変形する恐れがある。
〜2kHzが好ましい。繰り返し数が50Hzより小さ
いと、成膜速度が遅く、実用的でない。基材の昇温によ
る変形や変質等の恐れは少ないが、パルスの繰り返し数
が2kHzより大きくなると、成膜時の温度上昇によっ
て、基材が変形する恐れがある。
【0022】本発明の摺動部材は、軸受、シールのよう
な高負荷の摺動部材の他、磁気記録媒体をはじめとする
軽負荷の摺動部材にも使用できる。磁気記録媒体の保護
膜として用いられるDLC膜をPSII法で作製する場
合は、プラズマCVD法と同様にカバレッジ性に優れた
膜を形成できる上、イオン注入によりミキシング(混
合)層が形成されるため、密着性にも優れた膜を形成で
きる。この場合は、基材に印加する負のパルス電圧が大
きいと、磁性膜に損傷を与える恐れがあるため、−5k
V程度にすることが望ましい。
な高負荷の摺動部材の他、磁気記録媒体をはじめとする
軽負荷の摺動部材にも使用できる。磁気記録媒体の保護
膜として用いられるDLC膜をPSII法で作製する場
合は、プラズマCVD法と同様にカバレッジ性に優れた
膜を形成できる上、イオン注入によりミキシング(混
合)層が形成されるため、密着性にも優れた膜を形成で
きる。この場合は、基材に印加する負のパルス電圧が大
きいと、磁性膜に損傷を与える恐れがあるため、−5k
V程度にすることが望ましい。
【0023】本発明において、DLC膜あるいは非晶質
カーボン膜を被覆する基材としては、金属、セラミック
ス、ガラス、プラスチック等様々な材料を使用すること
ができる。絶縁物質を基材に用いる場合には、基材に導
電性材料の膜を被覆しておき、導電性材料の基材ホルダ
ーで固定する等の手段により、成膜が可能となる。
カーボン膜を被覆する基材としては、金属、セラミック
ス、ガラス、プラスチック等様々な材料を使用すること
ができる。絶縁物質を基材に用いる場合には、基材に導
電性材料の膜を被覆しておき、導電性材料の基材ホルダ
ーで固定する等の手段により、成膜が可能となる。
【0024】本発明のDLC膜あるいは非晶質カーボン
膜の厚さは限定されるものではなく、用途に応じて決め
れば良いが、磁気記録媒体の保護膜等の軽負荷の摺動部
材の場合には2nm〜50nmが好ましく、軸受、シー
ル等の高負荷の摺動部材の場合には、0.5μm〜10
μm、さらに好ましくは1〜5μmを挙げることができ
る。なお、DLC膜あるいは非晶質カーボン膜を成膜す
る前に、PSII法によりArイオンスパッタクリーニ
ングを行い、基材表面の酸化物等の除去を行っても良
い。
膜の厚さは限定されるものではなく、用途に応じて決め
れば良いが、磁気記録媒体の保護膜等の軽負荷の摺動部
材の場合には2nm〜50nmが好ましく、軸受、シー
ル等の高負荷の摺動部材の場合には、0.5μm〜10
μm、さらに好ましくは1〜5μmを挙げることができ
る。なお、DLC膜あるいは非晶質カーボン膜を成膜す
る前に、PSII法によりArイオンスパッタクリーニ
ングを行い、基材表面の酸化物等の除去を行っても良
い。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。ただし、本発明はこの実施例のみに限定されるもの
ではない。図1は、本発明の実施に使用するPSII装
置の一例の概略図である。排気系2によって所定の真空
度に保持された真空チャンバー1内に、基材3を保持す
る基材ホルダー4が設けられている。導入口5から炭素
化合物を導入し、高周波電源6からアンテナ7に高周波
電力を供給して、プラズマを発生させる。基材3および
基材ホルダー4には、高電圧パルス電源8によって負の
パルス電圧が印加される。
る。ただし、本発明はこの実施例のみに限定されるもの
ではない。図1は、本発明の実施に使用するPSII装
置の一例の概略図である。排気系2によって所定の真空
度に保持された真空チャンバー1内に、基材3を保持す
る基材ホルダー4が設けられている。導入口5から炭素
化合物を導入し、高周波電源6からアンテナ7に高周波
電力を供給して、プラズマを発生させる。基材3および
基材ホルダー4には、高電圧パルス電源8によって負の
パルス電圧が印加される。
【0026】(実施例1)基材として、ステンレス鋼
(SUS630)およびSiウエハを用い、基材ホルダ
ーに固定した後、真空チャンバー内を2×10−3To
rr以下の真空度に保持した。その後、アセチレンガス
を真空チャンバー内が8×10−3Torr程度になる
まで導入し、高周波電源からアンテナに13.56MH
zで出力50WのRF電力を供給して、プラズマを発生
させた。基材に電圧−5kV、パルス幅50μs、繰り
返し数100Hzのパルス電圧を印加して、ステンレス
鋼基材では約1μm、Siウエハ基材では約500nm
の膜厚となるようにDLC膜を成膜した。 (実施例2)実施例1と同じ基材を用い、パルス電圧
を、電圧−15kV、パルス幅50μs、繰り返し数1
00HzとしてDLC膜を成膜した。その他の条件は実
施例1と同じであった。 (実施例3)実施例1と同じ基材を用い、パルス電圧
を、電圧−15kV、パルス幅50μs、繰り返し数1
kHzとしてDLC膜を成膜した。その他の条件は実施
例1と同じであった。
(SUS630)およびSiウエハを用い、基材ホルダ
ーに固定した後、真空チャンバー内を2×10−3To
rr以下の真空度に保持した。その後、アセチレンガス
を真空チャンバー内が8×10−3Torr程度になる
まで導入し、高周波電源からアンテナに13.56MH
zで出力50WのRF電力を供給して、プラズマを発生
させた。基材に電圧−5kV、パルス幅50μs、繰り
返し数100Hzのパルス電圧を印加して、ステンレス
鋼基材では約1μm、Siウエハ基材では約500nm
の膜厚となるようにDLC膜を成膜した。 (実施例2)実施例1と同じ基材を用い、パルス電圧
を、電圧−15kV、パルス幅50μs、繰り返し数1
00HzとしてDLC膜を成膜した。その他の条件は実
施例1と同じであった。 (実施例3)実施例1と同じ基材を用い、パルス電圧
を、電圧−15kV、パルス幅50μs、繰り返し数1
kHzとしてDLC膜を成膜した。その他の条件は実施
例1と同じであった。
【0027】(比較例1)実施例1と同じ基材を用い、
パルス電圧を、電圧−3kV、パルス幅50μs、繰り
返し数100Hzとして非晶質カーボン膜を成膜した。
その他の条件は実施例1と同じであった。 (比較例2)比較材として、DLC膜あるいは非晶質カ
ーボン膜の被覆を行わない、実施例1と同じ基材を用意
した。
パルス電圧を、電圧−3kV、パルス幅50μs、繰り
返し数100Hzとして非晶質カーボン膜を成膜した。
その他の条件は実施例1と同じであった。 (比較例2)比較材として、DLC膜あるいは非晶質カ
ーボン膜の被覆を行わない、実施例1と同じ基材を用意
した。
【0028】実施例1,2,3および比較例1,2につ
いて、ボール・オン・ディスク方式による摩擦摩耗試験
を実施した。大気中でディスク状のDLC膜あるいは非
晶質カーボン膜被覆摺動部材を回転させ、固定したアル
ミナのボールを押し付けた。試験条件は、すべり速度
0.21m/s、荷重0.5kgf、試験時間1200
sである。結果を表1に示す。表1中のビッカース硬度
は、5g荷重で測定したものである。水素含有量は水素
前方散乱(HFS)法により分析した。
いて、ボール・オン・ディスク方式による摩擦摩耗試験
を実施した。大気中でディスク状のDLC膜あるいは非
晶質カーボン膜被覆摺動部材を回転させ、固定したアル
ミナのボールを押し付けた。試験条件は、すべり速度
0.21m/s、荷重0.5kgf、試験時間1200
sである。結果を表1に示す。表1中のビッカース硬度
は、5g荷重で測定したものである。水素含有量は水素
前方散乱(HFS)法により分析した。
【表1】
【0029】表1より、実施例1,2,3は、いずれも
ほとんど摩耗しておらず、非常に耐摩耗性に優れたDL
C膜あるいは非晶質カーボン膜被覆摺動部材であること
が明らかとなった。これに対し、比較例1は、比較例2
よりは改善されるものの、実施例のものと比較して耐摩
耗性が劣っていた。また、比較例1では長期間大気中に
放置した場合に剥離が認められた。実施例1,2,3は
摺動試験後もDLC膜あるいは非晶質カーボン膜が剥離
せず、基材との密着性に関しても、実用に十分耐え得る
ものであることが確認された。
ほとんど摩耗しておらず、非常に耐摩耗性に優れたDL
C膜あるいは非晶質カーボン膜被覆摺動部材であること
が明らかとなった。これに対し、比較例1は、比較例2
よりは改善されるものの、実施例のものと比較して耐摩
耗性が劣っていた。また、比較例1では長期間大気中に
放置した場合に剥離が認められた。実施例1,2,3は
摺動試験後もDLC膜あるいは非晶質カーボン膜が剥離
せず、基材との密着性に関しても、実用に十分耐え得る
ものであることが確認された。
【0030】図2は、パルス電圧とDLC膜あるいは非
晶質カーボン膜の中心線平均粗さ(Ra)との関係を示す
図である。中心線平均粗さは、原子間力顕微鏡による観
察視野内で求めたものである。 負のパルス電圧が大き
くなるにつれて、中心線平均粗さが小さくなっており、
−4kV以上で中心線平均粗さが0.5nm以下となっ
ていることがわかる。
晶質カーボン膜の中心線平均粗さ(Ra)との関係を示す
図である。中心線平均粗さは、原子間力顕微鏡による観
察視野内で求めたものである。 負のパルス電圧が大き
くなるにつれて、中心線平均粗さが小さくなっており、
−4kV以上で中心線平均粗さが0.5nm以下となっ
ていることがわかる。
【0031】図3は、本発明を磁気記録媒体に適用した
場合の一構成例を示す断面図である。この磁気記録媒体
は、基板9の両面に磁性層10が形成され、その外側
に、本発明のダイヤモンドライクカーボン膜あるいは非
晶質カーボン膜からなる保護層11が形成されている。
場合の一構成例を示す断面図である。この磁気記録媒体
は、基板9の両面に磁性層10が形成され、その外側
に、本発明のダイヤモンドライクカーボン膜あるいは非
晶質カーボン膜からなる保護層11が形成されている。
【0032】(実施例4)図3のような磁気記録媒体を
模擬した試料として、厚さ0.8mm、φ2.5inc
hのNi板にCo(79.5原子%)−Cr(18原子
%)−Ta(2.5原子%)膜をスパッタ法により約3
0nm成膜したものを基材とし、パルス電圧を、電圧
−5kV、パルス幅50μs、繰り返し数 100Hz
としてDLC膜を約30nm成膜した。その他の条件は
実施例1と同じであった。オージェ電子分光法による深
さ方向組成分析結果を図4に示す。
模擬した試料として、厚さ0.8mm、φ2.5inc
hのNi板にCo(79.5原子%)−Cr(18原子
%)−Ta(2.5原子%)膜をスパッタ法により約3
0nm成膜したものを基材とし、パルス電圧を、電圧
−5kV、パルス幅50μs、繰り返し数 100Hz
としてDLC膜を約30nm成膜した。その他の条件は
実施例1と同じであった。オージェ電子分光法による深
さ方向組成分析結果を図4に示す。
【0033】(実施例5)基材として、ステンレス鋼
(SUS630)を用い、基材ホルダーに固定した後、
真空チャンバー内を2×10−3Torr以下の真空度
に保持した。第1の工程として、メタンガスを真空チャ
ンバー内が7×10−3Torr程度になるまで導入
し、高周波電源からアンテナに13.56MHzで出力
50WのRF電力を供給して、プラズマを発生させた。
基材に電圧−20kV、パルス幅50μs、繰り返し数
100Hzのパルス電圧を2時間印加し、イオン注入
を行った。
(SUS630)を用い、基材ホルダーに固定した後、
真空チャンバー内を2×10−3Torr以下の真空度
に保持した。第1の工程として、メタンガスを真空チャ
ンバー内が7×10−3Torr程度になるまで導入
し、高周波電源からアンテナに13.56MHzで出力
50WのRF電力を供給して、プラズマを発生させた。
基材に電圧−20kV、パルス幅50μs、繰り返し数
100Hzのパルス電圧を2時間印加し、イオン注入
を行った。
【0034】その後、第2の工程として、トルエンガス
を真空チャンバー内が6×10−3Torr程度になる
まで導入し、高周波電源からアンテナに13.56MH
zで出力50WのRF電力を供給して、プラズマを発生
させた。基材に電圧 −20kV、パルス幅 50μs、
繰り返し数 100Hzのパルス電圧を印加して、DL
C膜を6時間成膜した。5g荷重でのビッカース硬度を
測定したところ、3000kg/mm2と高硬度であ
り、密着力も良好であった。
を真空チャンバー内が6×10−3Torr程度になる
まで導入し、高周波電源からアンテナに13.56MH
zで出力50WのRF電力を供給して、プラズマを発生
させた。基材に電圧 −20kV、パルス幅 50μs、
繰り返し数 100Hzのパルス電圧を印加して、DL
C膜を6時間成膜した。5g荷重でのビッカース硬度を
測定したところ、3000kg/mm2と高硬度であ
り、密着力も良好であった。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
耐摩耗性および摺動性に優れたDLC膜あるいは非晶質
カーボン膜被覆摺動部材を提供することができる。
耐摩耗性および摺動性に優れたDLC膜あるいは非晶質
カーボン膜被覆摺動部材を提供することができる。
【図1】本発明の実施に使用するPSII装置の一例の
概略図である。
概略図である。
【図2】パルス電圧とDLC膜あるいは非晶質カーボン
膜の中心線平均粗さとの関係を示す図である。
膜の中心線平均粗さとの関係を示す図である。
【図3】本発明を磁気記録媒体に適用した場合の一構成
例を示す断面図である。
例を示す断面図である。
【図4】実施例4で作製した磁気記録媒体模擬試料の深
さ方向組成分布を示す図である。
さ方向組成分布を示す図である。
1 真空チャンバー 2 排気系 3 基材 4 基材ホルダー 5 導入口 6 高周波電源 7 アンテナ 8 高電圧パルス電源 9 基板 10 磁性層 11 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C10N 40:18 (72)発明者 角谷 桃子 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 長坂 浩志 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 宮坂 松甫 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 阿部 亨 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 永井 弘 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 Fターム(参考) 3J011 CA05 DA02 QA04 SE02 3J040 EA46 FA11 4H104 AA04A LA03 PA01 PA16 PA19 QA12 4J038 AA011 HA021 5D006 AA02 AA05 DA03 FA02
Claims (5)
- 【請求項1】 基材の周囲にプラズマを形成し、基材に
負のパルス電圧を印加することによってイオン注入を行
うプラズマソースイオン注入法により作製したダイヤモ
ンドライクカーボン膜あるいは非晶質カーボン膜であっ
て、水素含有量が30原子%未満である薄膜を摺動面に
被覆したことを特徴とする摺動部材。 - 【請求項2】 基材の周囲にプラズマを形成し、基材に
負のパルス電圧を印加することによってイオン注入を行
うプラズマソースイオン注入法を用い、第一に、メタン
を原料とするプラズマを用いてカーボンイオンの注入を
行い、第二に、トルエンを原料とするプラズマを用いて
ダイヤモンドライクカーボン膜あるいは非晶質カーボン
膜を摺動面に被覆することを特徴とする摺動部材の製造
方法。 - 【請求項3】 前記ダイヤモンドライクカーボン膜ある
いは非晶質カーボン膜のビッカース硬度が1500kg
/mm2以上であることを特徴とする請求項1または2
記載の摺動部材又はその製造方法。 - 【請求項4】 前記ダイヤモンドライクカーボン膜ある
いは非晶質カーボン膜の中心線平均粗さが0.5nm以
下であることを特徴とする請求項1または2記載の摺動
部材又はその製造方法。 - 【請求項5】 パルス電圧の値を−4kV〜−50k
V、パルスの繰り返し数を50Hz〜2kHzとするこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の摺
動部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25043299A JP2001072986A (ja) | 1999-09-03 | 1999-09-03 | カーボン薄膜被覆を有する摺動部材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25043299A JP2001072986A (ja) | 1999-09-03 | 1999-09-03 | カーボン薄膜被覆を有する摺動部材およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001072986A true JP2001072986A (ja) | 2001-03-21 |
Family
ID=17207804
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25043299A Withdrawn JP2001072986A (ja) | 1999-09-03 | 1999-09-03 | カーボン薄膜被覆を有する摺動部材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001072986A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004113748A1 (ja) * | 2003-06-11 | 2004-12-29 | Ishikawajima-Harima Heavy Industries Co., Ltd. | 回転部材、筐体、軸受け、ギヤボックス、回転機械、軸構造および表面処理方法 |
JP2005098495A (ja) * | 2003-08-06 | 2005-04-14 | Nissan Motor Co Ltd | 低摩擦摺動機構、低摩擦剤組成物及び摩擦低減方法 |
JP2005098289A (ja) * | 2003-08-21 | 2005-04-14 | Nissan Motor Co Ltd | 冷媒圧縮機 |
JP2006199836A (ja) * | 2005-01-21 | 2006-08-03 | Nissan Motor Co Ltd | 低摩擦摺動機構 |
JP2006213745A (ja) * | 2005-02-01 | 2006-08-17 | Nissan Motor Co Ltd | 低摩擦含油摺動機構 |
JP2007324353A (ja) * | 2006-05-31 | 2007-12-13 | Tocalo Co Ltd | 半導体加工装置用部材およびその製造方法 |
CN100453835C (zh) * | 2003-06-11 | 2009-01-21 | 石川岛播磨重工业株式会社 | 转动部件、机箱、轴承、齿轮箱、转动机械、轴构造及表面处理方法 |
EP2444520A4 (en) * | 2009-06-19 | 2013-08-28 | Jtekt Corp | DLC-FILM-EDUCATION PROCESS AND DLC-FILM |
-
1999
- 1999-09-03 JP JP25043299A patent/JP2001072986A/ja not_active Withdrawn
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004113748A1 (ja) * | 2003-06-11 | 2004-12-29 | Ishikawajima-Harima Heavy Industries Co., Ltd. | 回転部材、筐体、軸受け、ギヤボックス、回転機械、軸構造および表面処理方法 |
JPWO2004113748A1 (ja) * | 2003-06-11 | 2006-08-03 | 石川島播磨重工業株式会社 | 回転部材、筐体、軸受け、ギヤボックス、回転機械、軸構造および表面処理方法 |
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JP4614427B2 (ja) * | 2003-08-06 | 2011-01-19 | 日産自動車株式会社 | 低摩擦摺動機構、手動変速機及び終減速機 |
JP2005098289A (ja) * | 2003-08-21 | 2005-04-14 | Nissan Motor Co Ltd | 冷媒圧縮機 |
JP4539205B2 (ja) * | 2003-08-21 | 2010-09-08 | 日産自動車株式会社 | 冷媒圧縮機 |
JP2006199836A (ja) * | 2005-01-21 | 2006-08-03 | Nissan Motor Co Ltd | 低摩擦摺動機構 |
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JP4563966B2 (ja) * | 2006-05-31 | 2010-10-20 | トーカロ株式会社 | 半導体加工装置用部材およびその製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20061107 |