JP3056827B2 - ダイヤモンド様炭素保護膜を有する物品とその製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド様炭素保護膜を有する物品とその製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダイヤモンド様炭素
膜で保護した物品とその製造方法に関し、特に難接着性
ないし難結合性の基体に対するダイヤモンド様炭素薄膜
の接着性ないし結合性を向上させる成膜技術に関する。
ただし焼入れ鋼製金型は別個の出願の対象にしたので本
発明には含まれない。
【0002】
【従来技術】気相法により製造されるダイヤモンド様
薄膜は硬度が高く、耐摩耗性、耐久性、耐薬品性、耐
食性等に優れており、また任意形状の物品に被着できる
ため、こうした特性の一つ以上が必要な物品の保護膜と
して有用であり、或は有望視されている。
【0003】気相法によるダイヤモンド様炭素薄膜製造
方法には各種の形式がある(例えば「表面化学」第5巻
第108号(1984年)第108−115頁の各種の
方法参照)。ダイヤモンド様炭素薄膜は任意形状の保護
すべき物品の表面に被覆され、耐食性、耐摩耗性などの
保護膜として広く利用される。
【0004】しかしこれらの従来技術によって製造され
たダイヤモンド薄膜又はダイヤモンド様炭素薄膜は基体
の種類によって基体に対する結合力が弱く、ダイヤモン
ド薄膜が微結晶の集まりであるので表面粗度が大きいこ
とも原因となって、外力の作用で基体から剥離し易い問
題があった。そのため保護被覆として耐食性、耐摩耗性
等が必要な用途において充分に効果を発揮出来ない。特
にFe系の金属又は合金(例えば軟鋼(STC)、ステ
ンレス鋼、焼き入れ鋼(SKD、SKS)等)、その他
Co、Niなどの金属の合金、ガラス、セラミックス等
ダイヤモンド又はダイヤモンド様炭素薄膜に対する結
合力が弱いことが知られている。鉄を主成分とする基体
は例えば金型、摺動部材等最も工業的価値の高いもので
あるし、又ガラスやセラミックスではサーマルヘッド等
の摺動部分などに使用されるなど、広い用途を有するの
で、これらの基体の表面に形成されるダイヤモンド様
薄膜の基体への接着性を向上させることが重要であ
る。
【0005】これらの基体に前処理を行なうことは特開
昭60−200898号、同60−204695号、同
61−174376号等で提案されている。特開昭60
−200898号ではCo−WC合金を基体とし、その
表面にダイヤモンド薄膜を高硬度膜として付けるに当た
り、基体の表面に予め直流又は交流グロー放電を直接作
用させることによりイオンエッチングすることを提案し
ているが、その目的はダイヤモンド結晶の成長核を増大
して成膜速度を上げることにあり、加速電圧は印加され
ていないからエッチング効率は接着性向上の面からは充
分でなく本発明が目的する接着性の向上は充分に得られ
ない。特開昭60−204695号も上記技術と同様に
成膜速度の向上を意図してArガスを減圧室内に導入し
正負電極間に電圧を加えてプラズマを作りこれを基体に
作用させるのであるが、プラズマのイオン濃度は低いの
でエッチング効果は接着性向上の観点からは低い。特開
昭61−174376号は基体の接着性を向上するため
にプラズマガスで基体を処理した後、酸化処理して酸化
物被膜を形成することを記載している。しかし、プラズ
マの生成には高周波を使用し、その中の正イオンで正電
位のグリッドを通り抜けたイオンが負電位に接続された
金属基体に向けて加速する方法を採用しているため、プ
ラズマは先ず拡散によって正イオンが正電位のグリッド
を通り抜ける必要があり、成膜に必要な充分な量の正イ
オンが基体に到達出来ないので接着性の向上の面からは
不十分である。本発明者らはこれらの欠点を改善するた
めに特願平1−214913号において基板を高エネル
ギーのArイオン等でボンバード(衝撃)して前処理す
ることを提案したが、なお接着性は不十分である。
【0006】これらの方法の欠点を改良して接着性を向
上させるために、中間層を介在させることが特開昭64
−62468号により提案されている。中間層としては
シリコン、アルミニウム、タングステン、コバルト、ニ
ッケル等の金属層、炭化珪素、炭化タングステン等の金
属炭化物層、窒化珪素、窒化タングステン、窒化チタン
等の金属窒化物層、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の
金属酸化物層などが使用されている。
【0007】
【発明が解決すべき課題】しかし、これらの中間層は蒸
着、CVD法により成膜されるもので工程が複雑となり
ダイヤモンド成膜装置とは別の装置を要する問題があ
り、又中間層の特性も充分でない。本発明の目的は、基
体に対する結合力ないし接着力が大きく、耐剥離性で耐
久性の向上したダイヤモンド様炭素薄膜で保護した物品
及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、Co、Ni、
Feの少なくとも一種を含む合金、セラミックス及びガ
ラスよりなる群より選択され且つダイヤモンド様炭素
膜との親和性が悪い基体の表面に近接して、Mo製のグ
リッドを配置し、前記グリッドをAr等の不活性ガス原
子よりなるボンバード用ガスで衝撃してMo原子を放出
させ、これを前記基板上に付着させることにより表面の
汚染を除くと共にMo膜を生成し、ついで低分子量炭化
水素又は分解又は反応により低分子量炭化水素を生成し
得る原料ガスをイオン化させてイオンを生成し、これら
のイオンを加速して前記Mo膜上に付着させることによ
りダイヤモンド様炭素膜を形成することを特徴とする、
ダイヤモンド様炭素保護膜を有する物品の製造方法及び
こうして得られるダイヤモンド様炭素保護膜を有する物
品である。
【0009】本発明によると、特願平1−214913
号における基板のArボンバード(衝撃)効果と同時
に、基板のMoによる成膜が同時に実施されてMoの基
板への強固な接着と、ダイヤモンド様炭素保護膜のMo
中間層への強固な接着が達成出来る。この基板への接着
性、密着性の改善により厳しい条件で評価される耐摩耗
性の用途にも利用できる。又本発明によると、Mo成膜
工程とダイヤモンド成膜工程とが同一の装置を使用して
前後して実施出来るので工程の単純化、コスト低下が実
現出来る。
【0010】本発明はイオン化蒸着法によるダイヤモン
ド成膜法が、熱電子電離手段と電離された炭化水素イオ
ンを加速するための電界付与グリッドを有することに着
目し、同じ装置でグリッドをMoより構成し、これをア
ルゴン(Ar)等をイオン化し加速した高エネルギーボ
ンバードガスで衝撃することにより、初期の目的を達成
出来た。
【0011】イオン化蒸着法は炭化水素原料ガス又は分
解又は反応により炭化水素を生成し得る原料ガス(ここ
に炭化水素とはメタン、エタン、プロパン等の飽和炭化
水素、エチレン、プロピレン、アセチレン等の不飽和炭
化水素等があり、分解して炭化水素を生成し得る原料ガ
スはメチルアルコール、エチルアルコール等のアルコー
ル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類など
があり、又反応して炭化水素ガスを生成する原料ガスに
は一酸化炭素、二酸化炭素と水素との混合ガス等があ
る。また前記原料にはヘリウム、ネオン、アルゴン等の
希ガスあるいは水素、酸素、窒素、水、一酸化炭素、二
酸化炭素、等の少なくとも一種を含ませることができ
る)を熱陰極フィラメント−陽極間のアーク放電、陰極
熱フィラメント−陽極間の熱電子放出によるイオン化等
の手段でイオン化してイオン流とし、この流れを電場で
加速して基体に差し向けることによりダイヤモンド様
薄膜を成膜する方法であり、特願平1−214913
号に記載されている通り、イオン化蒸着法は基体温度と
して従来のような700℃以上の高温度を用いる必要が
なく(例えば「表面化学」第5巻第108号(1984
年)第108−115頁の各種の方法参照)、成膜効率
も良く、成膜されたダイヤモンド様炭素膜が良好な表面
性、高硬度、高熱伝導性、高屈折率を有し、仕上表面処
理が不要である等、優れた方法である。
【0012】成膜装置 第1図にMo中間層及びダイヤモンド様炭素膜の成膜装
置の好ましい例を示す。図中30は真空容器、31はチ
ャンバーであり、排気系38に接続されて10-6Tor
r程度までの高真空に引かれる。32は基体(保護すべ
き物品)Sの裏面に設けられ負電位Vaに保たれた電極
である(基体が金属である場合にはそれ自体を電極とし
て良い)。基体Sの表面に近接又は接触してダイヤモン
ド様炭素薄膜の形状を規制する窓を有するマスク42が
設けられる。このマスクは基体に接していても良いが膜
の周部の厚みを薄くして割れ(クラック)を減じるため
にはなるべくは離して配置する。33は基体と同一の負
電位Vaを与えられたMo製のグリッドで成膜工程で炭
化水素イオンの加速を行なうのに使用される。このグリ
ッド33は膜の連続性を高め且つ表面を平滑にするため
適正に定めた空間率(単位面積あたりの穴の面積)と穴
密度(単位長さあたりの穴の数)のグリッドを使用し、
或いはその面内方向に振動するための手段を有していて
も良い。34は負電位Vdに維持された熱陰極フィラメ
ントであり、交流電源からの電流Ifによって加熱され
て熱電子を発生する。35は原料である炭化水素ガスの
供給口、及びアルゴン等のボンバードガスの供給口であ
る。フィラメント34を取囲んで陽極36が配置されて
いる。この陽極はこの場合接地されているが、フィラメ
ントに対しては正の電圧となり、電極32及びグリッド
33に対しては正の電位を与えられている。フィラメン
ト34、陽極36及び供給口35の周りを取り囲んでイ
オン化ガスの閉じ込め用の磁界を発生するために電源V
cからの電流Icで励磁される電磁コイル39が配置さ
れている。従って、If、Vd、Va、コイルの電流I
c、イオン電流Iaを調整することによりMo中間層と
ダイヤモンド様炭素保護膜の調整が出来る。
【0013】第3図は第1図のA−A線から見た平面斜
視図であり、膜の形が長方形の場合には例えば図示のよ
うな複数フィラメントの配列体を用いるとか、コイル状
に巻いたものを用いる。又広い面積の成膜を行なうには
基体を長尺ものとして構成し、それを低速で送るとか、
イオンビームを走査させるとかの方法が可能である。な
お第1図においては、炭化水素ガスの原料導入通路37
にプラズマ励起室37’が設けられており、これにより
イオン化装置の効率を高めている。プラズマ励起は例え
ばマイクロ波、高周波(RF波)、放射線、紫外線など
が利用できる。
【0014】また、第2図に示したように第1図の構成
の一部を変更して固定又は可変強度の磁石40をフィラ
メント34の上部に配置してプラズマ状のイオンビーム
の偏向用に用いても良い。磁石40の磁界強度は固定又
は可変にし、磁石の磁界はイオン流の走行方向にたいし
て交差する方向にする。このようにしてCH3 +、CH4
+ イオン等の所望するイオンに対して偏向角度θを得
る。固定の場合一方、質量がこれらのイオンと大きく異
なるイオン例えば水素イオンはさらに大きく曲げられ、
また中性粒子や重質の多量体イオンは直進する。従っ
て、直進方向にマスクを配置すれば結晶性の高いイオン
のみが基体Sに付着する。
【0015】Moの成膜 Feまたはその合金、ガラス、セラミックス等の難接着
性基体にMo中間層を形成するには、真空室を10-6To
rr程度に排気した後、供給口35からアルゴン、窒素、
水素、ヘリウム、ネオン、等から選んだボンバードガス
を0.1Torr程度に導入し、フィラメント34により電
離し、得られたアルゴンイオンをグリッド33により加
速する。アルゴンイオンは基体Sの表面を衝撃して清浄
化して接着性を改善し、同時にMoをグリッドからたた
き出して基体に被着させる。各部に印加される電圧、或
いは電流、ボンバードガスの分子量(混合ガスでは平均
分子量)、処理時間などが必要な制御因子となる。
【0016】ボンバード用ガスのエネルギーは、分子
量、ボンバードの処理時間、及びイオン電流Ia とした
とき、分子量×Ia (mA)×時間(Hr)で表わさ
れ、500<分子量×Ia (mA)×時間(Hr)<8
00を満足することが好ましい。この値が小さ過ぎる
と、Moグリッドへのボンバードエネルギーが不十分と
なり、Mo膜の成膜が充分い出来ない。又この値が大き
過ぎると装置の他の構成部分がエッチングされてしま
い、膜中に不純物が混入することによって密着性が低下
する。
【0017】ダイヤモンド様炭素膜の成膜 次工程のダイヤモンド様炭素保護膜の成膜工程では、チ
ャンバー31内を10-6Torrまで高真空とし、ガス
供給通路37のバルブを操作して所定流量のメタンガ
ス、それと水素との混合ガス、或いはそれとAr、H
e、Ne等のキャリアガス等を各供給口35から導入し
ながら排気系38を調整して所定のガス圧例えば10-1
Torrとする。一方、複数の熱陰極フイラメント34
には交流電流Ifを流して加熱し、フイラメント34と
陽極36の間には電位差Vdを印加して放電を形成す
る。供給口35から供給されたメタンガス等の炭化水素
は熱分解されるとともにフィラメントからの熱電子と衝
突してプラスのイオンと電子を生じる。この電子は別の
熱分解粒子と衝突する。電磁コイルの磁界による閉じ込
め作用の下に、このような現象を繰り返すことによりメ
タンガスは熱分解物質のプラスイオンと成る。
【0018】プラスイオンは電極32、グリッド36に
印加された負電位Vaにより引き寄せられ、基体Sの方
へ向けて加速され、基体に衝突して成膜反応を行ない、
ダイヤモンド様炭素薄膜を形成する。所望により、上に
述べた固定磁石を利用して更に品質の良い薄膜を得るこ
とができる。形成する膜の厚さは好ましくは100 〜1000
00Åであり、厚さが上記の範囲よりも薄いと耐摩耗性等
の効果が減じ又厚すぎても効果が増大せず製造時間が長
くなる。以下に本発明を例示する。
【0019】実施例及び比較例 第1図の装置を使用し、真空室10内に基体Sとして板
状はがね鋼SKS2、SKD11を配置し、その面から
距離約6.0mmのところにMo、W、及びSUS30
3製のグリッド33を配置した。基体Sから陽極までの
距離は約40mmであった。グリッド33の穴密度は6
0個/25.4mm、空間率は41%であった。
【0020】Moの成膜・・・真空室10を10-6To
rrに排気してからAr、及びH2ガスを導入した。ガ
ス圧を0.1Torrとして熱陰極フィラメント34に
放電を起こさせた。電磁コイル19の磁束密度は400
ガウス、基体電圧及びグリッド電圧Va=−300V、
基体温度200℃とした。またフィラメント34には電
流If=20Aを流した。更にフィラメント電圧Vd=
−10Vとし、Ia可変とした。フィラメント34はコ
イル状としその幅3mm、その周りを取り囲む電極36
との隙間8mmとした。グリッド33は5mm/分の速
度で振動させた。
【0021】ダイヤモンド様炭素保護膜の成膜・・・次
ぎにArの導入を止め、真空室10を10-6Torrに
排気してからメタンガスを導入しガス圧を10-1Tor
rとして熱陰極フィラメント34に放電を起こさせた。
電磁コイル19の磁束密度は400ガウス、基体電圧V
a=−300V、基体温度200℃とした。またフィラ
メント14には電流If=25Aを流した。フィラメン
ト34はコイル状としその幅3mm、その周りを取り囲
む電極36との隙間8mmとした。グリッド33は5m
m/分の速度で振動させた。フィラメント電圧Vd=−
30V、Vc=30Vの条件で、膜厚1.0μmのダイヤ
モンド様炭素膜を得た。
【0022】得られた膜の顕微鏡観察による密着力とス
クラッチ力を測定した。その結果を表1に示す。ここに
密着力は1cm角の長さ10cmの角柱をダイヤモンド
炭素薄膜をエポキシ樹脂で接着し、引張試験機(テン
シロン・・・商品名)で引っ張って剥離し測定を行なっ
た。又スクラッチ力はResca社製のCSRスクラッ
チ試験機で測定した。これらの結果は処理エネルギー
(分子量×Ia(A)×時間(Hr)を100に設定し
たときを基準1.0にして対比した。比較のためグリッ
ドにW及び鋼鉄SUS303の結果を併記する。
【0023】
【表1】 表1から分かるように、Arイオンの分子量×Ia×時間
は約600前後で良好な密着力及びスクラッチ力を生じ
ることが分る。より広くはこの値は500より大きく8
00よりも小さく、更に広くは50より大きく1000
より小さい。一方Wは通常のグリッド材であるSUS3
03よりも良好な結果を与えるがMoを使用する場合よ
りも劣る。
【0024】
【発明の作用効果】本発明は保護すべき基体にイオン化
蒸着法によりダイヤモンド成膜を行なう装置において、
電離された炭化水素イオンを加速するための電界付与グ
リッドをMoより構成し、これをアルゴン(Ar)等を
イオン化し加速した高エネルギーボンバードガスで衝撃
することにより、基体上にMoを成膜し、その上にダイ
ヤモンド様炭素薄膜を形成することにより基体との結合
性の高いダイヤモンド様炭素保護膜薄膜を有する物品を
製造することが出来た。さらに本発明によると、基体が
金属である必要はなくガラス、セラミックスのような電
気絶縁性の基体に対しても支障なく成膜を実施すること
が実施出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMo−ダイヤモンド様炭素保護膜の成
膜装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明のMo−ダイヤモンド様炭素保護膜の製
造装置の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明のMo−ダイヤモンド様炭素保護膜の製
造装置のフィラメント部分の構造を示す平面斜視図であ
る。
【符号の説明】
30 真空容器 31 チャンバー 32 電極 33 グリッド 34 熱陰極フィラメント 35 原料炭化水素及びアルゴンガス供給口 36 陽極 37 炭化水素ガスの導入通路 37’ プラズマ励起室 38 排気系 39 電磁コイ 40 磁石 42 マスク S 基体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−133068(JP,A) 特開 平2−250967(JP,A) 特開 平2−175694(JP,A) 特開 昭60−208473(JP,A) 特開 平1−62213(JP,A) 特公 昭63−15347(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C23C 16/00 - 16/56 C30B 29/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Co、Ni、Feの少なくとも一種を含
    む合金、セラミックス及びガラスよりなる群より選択さ
    れ且つダイヤモンド様炭素薄膜との親和性が悪い基体の
    表面に、Moの膜と、ダイヤモンド様炭素薄膜とを順に
    形成した、ダイヤモンド様炭素保護膜を有する物品。
  2. 【請求項2】 Co、Ni、Feの少なくとも一種を含
    む合金、セラミックス及びガラスよりなる群より選択さ
    れ且つダイヤモンド様炭素薄膜との親和性が悪い基体の
    表面に近接して、Mo製のグリッドを配置し、前記グリ
    ッドをAr等の不活性ガス原子よりなるボンバード用ガ
    スで衝撃して表面の汚染を除くと共にMo原子を前記基
    板上に付着させることによりMo膜を生成し、ついで低
    分子量炭化水素又は分解又は反応により低分子量炭化水
    素を生成し得る原料ガスをイオン化させてイオンを生成
    し、これらのイオンを加速して前記Mo膜上に付着させ
    ることによりダイヤモンド様炭素膜を形成することを特
    徴とする、ダイヤモンド様炭素保護膜を有する物品の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 (a)真空室内に前記基体を配置し、A
    r等の不活性ガスを前記真空室内に導入し、これを熱陰
    極フィラメントとその周りに設けられた陽極とよりなる
    イオン化手段により電離してイオンの流れを形成し、こ
    れを前記陽極よりも低電位にあるMoグリッドに衝突さ
    せて基体の表面をMo膜で被覆し、ついで、 (b)真空室内に低分子量炭化水素、又は分解又は反応
    により低分子量炭化水素を生成し得る原料ガスを導入
    し、前記イオン化手段により電離して炭化水素イオンの
    流れを形成し、これを前記Moグリッドにより加速して
    基体上で成膜反応させることを特徴とする、請求項2に
    記載のダイヤモンド様炭素保護膜を有する物品の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 (a)の工程において、ボンバード用ガ
    スの分子量、ボンバード処理時間、及びイオン電流Ia
    が条件式 500<分子量×Ia (mA)×時間(Hr)<800 を満足することを特徴とする請求項3に記載のダイヤモ
    ンド様炭素保護膜を有する物品の製造方法。
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