JP2000268357A - 磁気記録媒体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法及び製造装置

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JP2000268357A
JP2000268357A JP11066467A JP6646799A JP2000268357A JP 2000268357 A JP2000268357 A JP 2000268357A JP 11066467 A JP11066467 A JP 11066467A JP 6646799 A JP6646799 A JP 6646799A JP 2000268357 A JP2000268357 A JP 2000268357A
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JP11066467A
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Shigehiko Fujimaki
成彦 藤巻
Hidekazu Kashiwase
英一 柏瀬
Yuichi Kokado
雄一 小角
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気記録媒体の耐摩耗性に優れた炭素系保護膜
を効率よく、良好な歩留まりで形成する磁気記録媒体の
製造方法を提供すること。 【解決手段】ターゲット背面に設けた磁石と、内部陰極
と、内部陰極に対向して設けられた基板と、炭化水素等
を導入するガス供給系と、ガス排気系と、基板バイアス
機構とからなるプラズマ発生装置を用い、この内部陰極
の表面近傍に直交電磁界配置によるプラズマを発生させ
ると共に、図2に示すような、発散し、かつ、基板方向
に向かって減衰する磁束を発生させ、それに沿ってプラ
ズマを発生させ、負電位にバイアスした基板に炭素系薄
膜を形成するようにした磁気記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記憶装置に用
いる磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体の製造装
置に係り、特に、信頼性の高い磁気記憶装置に用いる磁
気記録媒体の製造方法及びそのような磁気記録媒体の製
造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から知られている磁気記録媒体用保
護膜は、主に黒鉛状ターゲットのスパッタリングによっ
て形成されたものでもので、化学的に安定で摩擦係数が
小さく、摺動時に摩耗粉を発生し難い等の優れた性質を
有するが、黒鉛状の炭素を多く含む欠点があり、このた
め硬度や耐摩耗性をさらに高めることは困難である。
【0003】これに対して、炭素のみからなる保護膜に
他の元素を添加することにより黒鉛状構造の生成を阻止
し、緻密化を図る等の対策が提案されている。添加する
元素としては、炭素と共有結合する水素、硼素、窒素、
弗素、珪素、金属、金属酸化物、金属窒化物等が挙げら
れている。このうち、水素化炭素は、スパッタリングガ
スに水素又は炭化水素ガスを混合することにより得ら
れ、水素が炭素と単結合して黒鉛状構造の生成を抑制す
るため、摺動時に摩耗粉を発生し難い薄膜が形成され
る。なお、特開平5−217161号公報には、このよ
うな保護膜材料の構造や組成に着目した磁気記録媒体の
製造方法について記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】炭化水素ガスを含む雰
囲気中での反応性スパッタリングにより水素化炭素薄膜
を形成する上記従来技術は、過剰の水素の混入によりポ
リマー状の炭化水素薄膜が形成され、反って保護膜の硬
度は低くなり、磁気記録媒体の耐摺動性に劣るという問
題があった。しかも、スパッタデポジションにおけるス
パッタ粒子はエネルギーが約5eVと高いので、表面で
の粒子の移動が起こり難く、水素化炭素薄膜は柱状に成
長して被覆性に劣るという問題もあった。
【0005】これに対して、プラズマ中の活性な炭化水
素ラジカル等の炭素含有粒子による表面反応がイオン衝
撃を伴って起こる化学気相蒸着は、高硬度で緻密な炭素
薄膜が形成されることが広く知られている。しかも、こ
のようなプラズマ励起による化学気相蒸着では、基板に
流入して反応する活性種はエネルギーが約0.05eV
と低く、活性種が表面を移動できるので、薄くても被覆
性の高い炭素系薄膜が形成される。しかしながら、この
ような化学気相蒸着は、カーボン粒子やカーボンフレー
クが基板に付着し、製造歩留まりが低下するという問題
があった。また、通常このような反応を行う製造装置
は、一度に基板両面に薄膜を形成することができず、薄
膜形成に長時間かかるという問題があった。
【0006】本発明の第1の目的は、効率よく、良好な
歩留まりで、耐摩耗性に優れた炭素系保護膜を形成する
ことのできる磁気記録媒体の製造方法を提供することに
ある。本発明の第2の目的は、耐摩耗性に優れた炭素系
保護膜を有する磁気記録媒体を効率よく、良好な歩留ま
りで製造できる磁気記録媒体の製造装置を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、ターゲ
ット背面に設けた磁石と、内部陰極と、内部陰極に対向
して設けられた基板と、水素及び炭化水素の内の少なく
とも一種のガスを導入するガス供給系と、ガス排気系
と、基板バイアス機構とからなるプラズマ発生装置を用
い、この内部陰極の表面近傍に直交電磁界配置によるプ
ラズマを発生させると共に、発散し、かつ、基板方向に
向かって減衰する磁束を発生させ、それに沿ってプラズ
マを発生させ、負電位にバイアスした基板に炭素系薄膜
を形成するようにしたものである。
【0008】上記の発散し、かつ、基板方向に向かって
減衰する磁束の密度は、基板位置で100ガウスから5
00ガウスの範囲であることが好ましい。100ガウス
未満では、基板に流れる電流密度が十分な値になり難い
からである。また500ガウスを越えると基板に流れる
電流密度が過剰となり、基板温度が著しく上昇して黒鉛
化した炭素系薄膜を成長させることになるからである。
【0009】上記基板に流れる電流密度は、0.5mA
/cm2から3mA/cm2の範囲であることが好まし
い。実用的な速度で炭素系薄膜を形成することができる
からである。
【0010】また、基板に印加するバイアスは、パルス
状のバイアスであることが好ましく、その繰返し周波数
は、20kHzから200kHzの範囲であることが好
ましい。アーク除去の効果があるからである。さらに、
その負電位の5%から25%の範囲で正電位となる両極
性パルスであることがより好ましい。アーク除去の効果
が著しく向上するからである。
【0011】また、上記第2の目的を達成するために、
本発明の磁気記録媒体の製造装置は、ターゲット背面に
設けた磁石と、内部陰極と、内部陰極に対向して設けら
れた基板と、水素及び炭化水素の内の少なくとも一種の
ガスを導入するガス供給系と、ガス排気系と、基板を負
電位にバイアスする基板バイアス機構とを有し、この内
部陰極と磁石を、内部陰極の表面近傍に直交電磁界が配
置され、さらに、発散し、かつ、基板方向に向かって減
衰する磁束が生じるようにしたものである。
【0012】次に、上記構成について機能的に説明す
る。上記構成の磁気記録媒体の製造方法及び製造装置を
用いれば、電界と磁束が直交する内部陰極の表面近傍に
所謂「直交電磁界配置」のプラズマが発生すると共に、
発散し、かつ、基板方向に向かって減衰する磁束が発生
し、この磁束に沿ってプラズマが発生するので、炭化水
素等のガスを導入すれば、負電位にバイアスした基板に
活性な炭素含有粒子による表面反応がイオン衝撃を伴っ
て起こり、気相化学蒸着と同等のメカニズムによる炭素
系薄膜を形成できる。
【0013】一般にマグネトロン・スパッタリング装置
では、ターゲットの外側に配置した磁石で陰極表面に誘
起される電界と直交する磁界を加えて電子を捕捉し、マ
グネトロン運動を起こして気体分子と衝突させるため、
低圧力でもターゲット表面付近に高密度プラズマが発生
し、大きなターゲット電流を流すことで高速のスパッタ
蒸着を可能する。しかし、このままではターゲット上の
閉じた磁界中に捕捉される電子のマグネトロン運動より
発生する高密度プラズマは、磁束が電界と直交するター
ゲットの表面近傍に集中するため、基板付近ではプラズ
マ密度が低くなっている。
【0014】これに対して、発散し、かつ、基板方向に
向かって減衰する磁束のある空間での荷電粒子の運動を
利用すれば、プラズマを磁束に沿って発生できる。すな
わち、上記の磁束を加えれば、電子は磁力線に巻き付く
ように螺旋運動しながら、基板の置かれた弱磁界方向に
移動してプラズマを発生する。もちろん、磁界と垂直な
運動成分がなければ電界で加速されるだけの運動とな
る。ここで、磁束に沿った電子の螺旋運動が発生するプ
ラズマのポテンシャルは弱磁界方向に減少する。従っ
て、プラズマ中のイオンは電子より遅れてポテンシャル
の減少勾配に沿って基板方向に移動することになる。こ
の結果、基板付近のプラズマ密度は上昇し、イオン衝撃
を伴う化学気相蒸着により炭素薄膜の形成が可能にな
る。例えば、密度が1.7g/cm2で水素濃度が30
at%の標準的な水素化炭素薄膜を形成する場合、炭素
原子の堆積レートは約8.5×1015atoms・cm
-2・secであり、これに相当するイオン電流を見積も
ると約1mA・cm-2になる。シースを通って負電位に
バイアスした基板に流れる空間電荷制限電流jsは近似
的にシースに接するプラズマの飽和イオン電流jpと一
致する。npをプラズマ密度、Teを電子温度、Mをイ
オンの質量、ε0を真空の誘電率、dをシース厚として
空間電荷制限電流密度と飽和イオン電流密度は、それぞ
れ式1と式2により表され、バイアス電圧が上昇しても
近似的にはシース幅が広がるだけで、イオン電流は殆ど
シースに接するプラズマの密度によって決まる。
【0015】 jp=exp(−1/2)npeCs……………………(1) Cs=(Te/M)1/2s=(4ε0/9)(2e/M)1/23/2/d2……(2) ここで、電子温度を5eVとして1mA・cm-2のイオ
ン電流を基板に流すのに必要なプラズマ密度を式2から
求めると1.8×1010cm-3になるので、これに相当
する密度のプラズマを発生しないと実用的な速度で化学
気相蒸着による炭化水素薄膜を形成することはできな
い。
【0016】一方、炭素系薄膜の化学気相蒸着における
イオンエネルギーは炭化水素等のポリマー成分を分解し
て結合状態を制御するのに利用される。一般にエネルギ
ーをもったイオンが固体に入ると、その入射粒子は固体
を構成する原子にエネルギーを付与して減速する。ここ
で、基板バイアスやスパッタリング等で扱うイオンの減
速過程では遮蔽クーロンポテンシャルとしてトーマス・
フェルミポテンシャルを適用できる。これから固体に入
射するイオンによるエネルギー損失と侵入深さを計算
し、イオンエネルギーを見積もると少なくとも−100
V〜−300Vの加速電圧が必要であると推定される。
それ故、基板にバイアスする負電位は、150Vから3
00Vの範囲であることが好ましい。
【0017】なお、ここで形成された炭素系薄膜は、炭
素/水素の割合が原子比で50/50から98/2の範
囲であることが好ましく、60/40から90/10の
範囲であることがより好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1は本発明の一実施例の磁気記
録媒体の製造装置の構成図、図2は本発明の一実施例の
プラズマ発生装置の陰極の磁界分布を示す図、図3は比
較例のプラズマ発生装置の陰極の磁界分布を示す図、図
4は実施例及び比較例の試料のラマンスペクトルを示す
図、図5は実施例及び比較例の試料の硬度を示す図、図
6は実施例及び比較例の試料の耐摺動特性を示す図であ
る。
【0019】図1に示す磁気記録媒体の製造装置は、プ
ラズマ発生装置1内の陰極2と、ターゲットと、ターゲ
ットの背面に設けられた磁石3と、陰極2に対向して設
けられた基板4と、炭化水素等の炭素含有分子ガスを導
入するガス供給系5と、ガス排気系6と、直流電源7
と、直流パルス電源8と、基板バイアス機構9とからな
る。ここで、基板4は非磁性基体であるアルミニウム合
金製のディスクに膜厚が30nmのCr下地膜と膜厚が
25nmのCoCr系合金の磁性膜を積層した構成であ
り、保護層を下記の実施例1及び比較例1、2に示す方
式により、膜厚が何れの場合も10nmとなるように形
成した。
【0020】次に、この各試料についてラマンスペクト
ル、機械特性及び耐摺動特性を測定した。試料のラマン
スペクトルは、英国レニショウ社製顕微ラマン分光装置
ラマンスコープシステム2000によりアルゴンイオン
レーザの励起波長514.5nmを用いて測定した。ま
た、試料の硬度は、米国ナノインスツルメンツ社製の超
低荷重変位検出装置ナノインデンターIIによりバーコビ
ッチ型ダイヤモンド圧子を用いて測定した。なお、超低
荷重変位検出法については、エム アール エス ビュ
レタン,17(7)7月,1992,28〜33頁(M
RS Bulletin 17(7)July199
2,PP.28〜33)の中で詳しく述べられている。
【0021】一方、耐摺動特性の評価では、浮上面レー
ルの面積が3.28mm2で質量が6mgのヘッドスラ
イダーを荷重3gで押し付け、300〜500Torr
に減圧した容器内で5400〜10000rpmで回転
する円板に5〜70Hzの周波数でシーク動作を実行
し、15〜30nmの高さで浮上したヘッドスライダー
との間欠接触により生じるスクラッチ及び摩耗を測定し
た。
【0022】〈実施例1〉図1に示したプラズマ発生装
置を用い、磁石3として保磁力が750mA/mのNd
FeB磁石を磁界シミュレーションに基づき異なるアス
ペクト比で配置し、基板付近でのプラズマ密度の上昇を
図った。アルゴンガスを4.8mTorrの動作圧力で
導入し、400Wの直流電力を陰極に供給してラングミ
ューア・プローブにより基板付近のプラズマ密度と飽和
イオン電流密度を測定した。この結果、陰極の電界に平
行して基板方向に向って減衰する磁束の基板位置での磁
束密度が100ガウス以上であれば、磁束に沿って発生
するプラズマの基板位置での密度が1E10cm-3以上
で、飽和イオン電流密度は1mA・cm-2以上となっ
た。
【0023】従って、図1に示したプラズマ発生装置
で、図2に示す磁界を加えてアルゴンと炭化水素ガスの
混合ガスにより陰極表面近傍で直交電磁界配置のプラズ
マを発生すると同時に、発散し、かつ、減衰する磁界に
沿って基板4方向に適正な密度でプラズマを発生すれ
ば、基板4付近のプラズマから流入する活性な炭素含有
粒子の表面反応とイオン衝撃により炭素薄膜を化学気相
蒸着することができた。そこで、本実施例ではメタンと
アルゴンをそれぞれ18sccmと42sccmの流量
比率で導入し、下記の試料1〜5を作製した。
【0024】
【表1】
【0025】ここで、基板4にはアークの発生を防ぐた
めに負電位のバイアスをパルスで印加した。ただし、印
加するバイアスの繰返し周波数が20kHz未満ではア
ーク除去の効果が少ないので50kHzとした。アーク
が発生すると、プラズマを不安定にするほか、カーボン
のパーティクルやフレーク等の発塵を誘発するので望ま
しくない。さらに、バイアスを負電位の5%〜20%の
範囲で正電位となる両極性パルスとすると、アーク除去
の効果は著しく向上した。
【0026】一方、基板バイアスの電流密度は約1mA
/cm2になるように陰極電力と磁石の位置を調整し
た。バイアス電流密度が0.5mA/cm2未満では基
板バイアスの効果が現れず印加電圧を変えても基板には
ポリマー状の炭素薄膜のみが形成した。逆に、バイアス
電流密度が3mA/cm2を越えると成膜速度が著しく
低下して試料は黒鉛化した。
【0027】〈比較例1〉実施例1と同じプラズマ発生
装置の磁石3に保磁力が240kA/mのフェライト磁
石を磁界シミュレーションに基づくアスペクト比で配置
した。図3に示す閉じた磁界を加えた。次に、メタンと
アルゴンをそれぞれ12sccmと48sccmの流量
比率で導入し、陰極2に設けたカーボン・ターゲットの
表面近傍に直交電磁界配置のプレーナマグネトロンを発
生し、反応性スパッタリングにより下記の試料6を形成
した。なお、プレーナマグネトロンについては、チャッ
プマン(Chapman)による“プラズマプロセシン
グの基礎”(電気書院 1985、247〜250頁)
の中で詳しく述べられている。
【0028】
【表2】
【0029】〈比較例2〉前記の実施例1、比較例1に
おいては、内部陰極を有するプラズマ発生装置を用いた
が、本比較例では電子サイクロトロン共鳴(以下、EC
Rという)プラズマを発生する化学気相蒸着装置を用い
て試料を作製した。このため、反応ガスとしてメタンを
供給し、周波数2.45GHzのマイクロ波電力と8.
75ミリテスラのECR磁界を印加して高密度プラズマ
を発生し、高周波電力により負電位にバイアスした基板
に下記の試料6を形成した。なお、ECRプラズマによ
る化学気相蒸着については平尾、吉田、早川らによる
“薄膜技術の新潮流”( 工業調査会 1997、P
P.112〜113)の中で詳しく述べられている。
【0030】
【表3】
【0031】図4は、実施例1及び比較例2の試料で測
定したラマンスペクトルを示す図である。実施例1の試
料のうち、曲線10に示した基板バイアスの負電位が1
00Vの試料1では、ポリマー成分からの蛍光放射が強
くバックグラウンドは大きく傾いた。バックグラウンド
の傾きは負バイアス電位の上昇に伴い曲線11に示した
試料2のように緩和し、負バイアス電位を200V、3
00Vとした試料3(曲線12)、試料4(曲線14)
のスペクトルはECRプラズマによる試料7(曲線1
3)のものと殆ど一致した。さらに、負電位を上げると
グラファイト成分からのラマンバンドが現れ、300V
を越えるとスペクトル(図示せず)は大きく変形した。
【0032】一方、図5に実施例1、比較例1及び比較
例2の試料で前記微小変位検出法の連続剛性モードによ
り測定した硬度を示す。この結果から、硬度はポリマー
成分が多く残存する試料1(曲線16)とグラファイト
成分を多く含む試料5(曲線15)で低く、ポリマー成
分やグラファイト成分の少ない試料3、7(曲線18、
19)で高くなった。
【0033】さらに、図6に示す耐摺動試験の結果か
ら、スクラッチの発生するまでのパス回数は硬い試料ほ
ど高く、その差異は下地層の影響を大きく反映する硬度
に比べて明瞭に現れた。スクラッチ耐力は試料3が試料
7と並んで最も高かった。
【0034】以上のように、本発明によって得られた試
料は、物性がECRプラズマで作製した試料に近く、高
硬度で耐摺動に優れている。また、このような試料を歩
留まりよく製造することができた。このように陰極の磁
石の種類と形状を選んで配置した実施例1のマグネトロ
ン・スパッタリング装置を用いれば、バイアスを整える
ことによりスパッタリングと同時にプラズマ励起の化学
気相蒸着で、硬く耐摺動性に優れた保護膜を形成でき
る。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、耐
食性と耐摺動性に優れた保護膜を効率よく、良好な歩留
まりで形成でき、保護層が薄く高記録密度になっても信
頼性の高い磁気記録媒体を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の磁気記録媒体の製造装置の
構成図。
【図2】本発明の一実施例のプラズマ発生装置の陰極の
磁界分布を示す図。
【図3】比較例のプラズマ発生装置の陰極の磁界分布を
示す図。
【図4】実施例及び比較例の試料のラマンスペクトルを
示す図。
【図5】実施例及び比較例の試料の連続剛性モードで測
定した硬度を示す図。
【図6】実施例及び比較例の試料の耐摺動特性を示す
図。
【符号の説明】
1…プラズマ発生装置 2…陰極 3…磁石 4…基板 5…ガス供給系 6…ガス排気系 7…直流電源 8…直流パルス電源 9…基板バイアス機構 10…試料1のラマンスペクトル 11…試料2のラマンスペクトル 12…試料3のラマンスペクトル 13…試料7のラマンスペクトル 14…試料4のラマンスペクトル 15…試料5の硬度 16…試料1の硬度 17…試料6の硬度 18…試料3の硬度 19…試料7の硬度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小角 雄一 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 Fターム(参考) 4K029 AA02 AA24 BA34 BB02 BD11 CA06 CA13 DC39 DC40 EA05 EA09 4K030 AA09 AA16 AA17 BA27 EA01 FA03 HA06 JA15 JA16 JA17 JA18 KA20 KA32 KA34 LA20 5D112 AA07 AA24 BC05 DD01 FA10 FB09 FB26 FB29

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ターゲット背面に設けた磁石と、内部陰極
    と、該内部陰極に対向して設けられた基板と、水素及び
    炭化水素の内の少なくとも一種のガスを導入するガス供
    給系と、ガス排気系と、基板バイアス機構とからなるプ
    ラズマ発生装置を用いた磁気記録媒体の製造方法におい
    て、上記内部陰極の表面近傍に直交電磁界配置によるプ
    ラズマを発生させると共に、発散し、かつ、上記基板方
    向に向かって減衰する磁束を発生させ、該磁束に沿って
    プラズマを発生させ、負電位にバイアスした上記基板に
    炭素系薄膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】上記磁束の密度は、上記基板位置で100
    ガウスから500ガウスの範囲であることを特徴とする
    請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】上記基板にバイアスした上記負電位は、1
    50Vから300Vの範囲であることを特徴とする請求
    項1又は2記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】上記基板に流れる電流密度は、0.5mA
    /cm2から3mA/cm2の範囲であることを特徴とす
    る請求項1から3のいずれか一に記載の磁気記録媒体の
    製造方法。
  5. 【請求項5】上記基板に印加するバイアスは、パルス状
    のバイアスであり、その繰返し周波数が20kHzから
    200kHzの範囲であることを特徴とする請求項1か
    ら4のいずれか一に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】ターゲット背面に設けた磁石と、内部陰極
    と、該内部陰極に対向して設けられた基板と、水素及び
    炭化水素の内の少なくとも一種のガスを導入するガス供
    給系と、ガス排気系と、上記基板を負電位にバイアスす
    る基板バイアス機構とを有し、上記内部陰極と上記磁石
    は、上記内部陰極の表面近傍に直交電磁界が配置され、
    発散し、かつ、上記基板方向に向かって減衰する磁束が
    発生するように構成されたことを特徴とする磁気記録媒
    体の製造装置。
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