JP4202489B2 - パルス放電型dlc成膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」と略記する。」薄膜を成膜するためのDLC成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
DLCは、極めて高い硬度を有し、摩擦係数が低く、耐摩耗性、耐薬品性、熱伝導性等に優れているため、切削工具,刃物,金型,電子部品,光情報記録媒体等の表面保護膜や耐凝着耐摩耗膜等としての利用が図られている。
DLC成膜装置としては種々のものが開発されているが、本件出願人は、直流放電によって原料ガスをプラズマ化する特定のイオン源を備えたDLC成膜装置について、既に特許(第2107753号)を受けている。
【0003】
上記のDLC成膜装置は、底部を有する筒状の反射電極と、この反射電極内に当該反射電極と電気的に絶縁されて設けられた熱電子放出用陰極と、この熱電子放出用陰極よりも反射電極の開口端側に当該反射電極と電気的に絶縁されて設けられた板状陽極と、反射電極の内部空間に開口端を有する作動ガス(原料ガス)供給管とを少なくとも備え、成膜時に、板状陽極の電位を基準としたときの反射電極、熱電子放出用陰極および基板の各電位がそれぞれ負電位となるように、かつ、熱電子放出用陰極の電位の方が反射電極の電位より高く、反射電極の電位の方が基板の電位より高くなるように制御されるイオン源を備えたDLC成膜装置である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したDLC成膜装置によって被コーティング物の表面にDLC薄膜を成膜する場合、硬度が高く熱膨張係数が小さい材料からなる被コーティング物については、その表面に比較的高い密着力の下にDLC薄膜を成膜することができる。しかしながら、硬度が低く熱膨張係数が大きい材料からなる被コーティング物については、その表面に直接DLC薄膜を成膜すると当該DLC膜の密着性が低下するため、密着性を高めるうえから、被コーティング物の表面に予めTi,Si,Al等の中間層を形成しておくことが望まれる。
全く同じことが、従来の他のDLC成膜装置によって被コーティング物の表面にDLC薄膜を成膜する場合に広く当てはまる。
【0005】
本発明の目的は、被コーティング物の表面により高い密着力の下にDLC薄膜を成膜することが可能なDLC成膜装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明のDLC成膜装置は、被コーティング物を保持するためのホルダーが内部に配置されている真空チャンバーと、この真空チャンバー内に原料ガスを供給するための原料ガス供給手段と、前記の真空チャンバー内に供給された前記の原料ガスを直流放電によってプラズマ化するためのイオン源と、このイオン源によって生じたプラズ中のプラスイオンが前記のホルダー側もしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物側に電気的に吸引されるように前記のホルダーもしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物に負の直流パルス電圧を印加するためのパルス電源とを備え、前記のイオン源は、底部を有する筒状の反射電極と、この反射電極内に該反射電極と電気的に絶縁されて設けられた熱電子放出用陰極と、この熱電子放出用陰極よりも前記の反射電極の開口端側に該反射電極と電気的に絶縁されて設けられた板状陽極とを有し、成膜時における前記の反射電極,熱電子放出用陰極およびホルダーもしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物それぞれの電位が前記の板状陽極の電位より低く、かつ、前記の熱電子放出用陰極の電位の方が前記の反射電極の電位より高く、前記の反射電極の電位の方が前記のホルダーもしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物の電位より高くなるように設定され、しかも、前記のホルダーもしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物には、前記のパルス電源から前記負の直流パルス電圧が周期的に印加される、ことを特徴とするパルス放電型DLC成膜装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のパルス放電型DLC成膜装置の一例の模式図である。
同図に示したパルス放電型DLC成膜装置1は、被コーティング物2を保持するためのホルダー(回転テーブルを含む。)3が内部に配置されている真空チャンバー4と、この真空チャンバー4内に原料ガスを供給するための原料ガス供給手段5と、前記の真空チャンバー4内に供給された前記の原料ガスを直流放電によってプラズマ化するためのイオン源6と、このイオン源6によって生じたプラズ中のプラスイオンが前記のホルダー3側へ電気的に吸引されるように前記のホルダー3もしくは当該ホルダー3によって保持された被コーティング物2に直流パルス電圧を印加するためのパルス電源7とを備えている。
【0008】
なお、同図中の符号10は、真空チャンバー4内を減圧するための真空ポンプを示しており、当該真空ポンプ10と真空チャンバー4とは所定の配管11によって接続されている。また、同図中の符号12は、真空チャンバー4に設けられている窓13を通してDLC薄膜の成膜状態を測定するための分光器を示しており、符号14は前記の分光器12用の集光レンズを示している。そして、同図中の符号15は質量分析器を、符号16はプラズマモニターを、符号17は真空ゲージを示している。分光器12,質量分析器15,プラズマモニター16および真空ゲージ17それぞれによる測定結果は、電子計算機18へ送られ、ここで処理されて表示装置19に表示される。
【0009】
図2は、パルス放電型DLC成膜装置1が具備しているイオン源6の原理図である。当該イオン源6は、底部を有する筒状の反射電極(リフレクター)30と、この反射電極30内に当該反射電極30と電気的に絶縁されて設けられた熱電子放出用陰極(フィラメント)31と、この熱電子放出用陰極31よりも反射電極30の開口端側に当該反射電極30と電気的に絶縁されて設けられた板状陽極(アノード)32と、反射電極30の内部空間に開口端を有する原料ガス供給管33とを有しており、さらに、アノード電源34,フィラメント電源35,リフレクター電源36および基板電源37を有している。なお、図2中の二点鎖線は電気力線を示している。
【0010】
イオン源6は、真空チャンバー内に供給された原料ガスを直流放電によってプラズマ化するためのものであるので、各電極30,31,32の電位は、次のように設定される。すなわち、成膜時における反射電極(リフレクター)30および熱電子放出用陰極(フィラメント)31それぞれの電位が板状陽極(アノード)32の電位より低く、かつ、熱電子放出用陰極(フィラメント)31の電位の方が反射電極(リフレクター)30の電位より高くなるように設定される。
【0011】
そして、イオン源6によって生じたプラズマ中のプラスイオン(例えば炭素イオン)は基板38(図2参照)側へ電気的に吸引される必要があるので、基板38の電位は、成膜時における板状陽極(アノード)32の電位より低く、かつ、反射電極(リフレクター)30の電位より低くなるように設定される。
【0012】
ただし、本発明のパルス放電型DLC成膜装置においては、イオン源によって生じたプラズ中のプラスイオンがホルダー側もしくは当該ホルダーによって保持された被コーティング物側へ電気的に吸引されるように、前記のホルダーしくは当該ホルダーによって保持された被コーティング物に負の直流パルス電圧がパルス電源から印加される。このため、イオン源の実際の構成は、例えば図3に示すイオン源6におけるように、図2に示した構成から基板電源37および基板38を除いた構成となる。
【0013】
そして、上記の構成を有するイオン源を備えた本発明のパルス放電型DLC成膜装置によってDLC薄膜を成膜するに際しては、成膜時における板状陽極(アノード)の電位よりもホルダーもしくは当該ホルダーによって保持された被コーティング物の電位の方が低くなるように、かつ、反射電極(リフレクター)の電位の方がホルダーもしくは当該ホルダーによって保持された被コーティング物の電位より高くなるように設定される。しかも、成膜時においては、ホルダーもしくは当該ホルダーによって保持された被コーティング物に、パルス電源から負の直流パルス電圧が周期的に印加される。
【0014】
成膜時においては、原料ガス供給手段によって原料ガス(例えばベンゼン(C6H6)ガス)が真空チャンバー内に供給され続け、この原料ガスは上述したイオン源によってプラズマ化される。成膜時の真空チャンバー内の雰囲気圧は、真空ポンプを作動させることで10-4〜10-3Torr台に保たれる。
【0015】
原料ガスをプラズマ化することによって生じたプラスイオンは、負電位にあるホルダーもしくは当該ホルダーによって保持されている被コーティング物に電気的に吸引され、ホルダーおよび被コーティング物に衝突付着してDLC薄膜を形成する。
【0016】
このとき、ホルダーもしくは当該ホルダーによって保持されている被コーティング物にはパルス電源から負の直流パルス電圧が周期的に印加されているので、当該負の直流パルス電圧が印加されているときには被コーティング物の周囲にプラズマシースが形成される。また、負の直流パルス電圧が印加されると、プラズマシース中のプラスイオンが瞬間的に加速されて、被コーティング物または当該被コーティング物表面の成長膜(成長途中のDLC薄膜)に注入される。
【0017】
一方、ホルダーもしくは当該ホルダーによって保持されている被コーティング物にパルス電源から負の直流パルス電圧が印加されていないときには被コーティング物の周囲にプラズマシースが形成されないので、プラズマ中のプラスイオンは比較的緩やかにホルダーもしくは当該ホルダーによって保持されている被コーティング物に電気的に吸引されてその上に付着、堆積し、膜成長が進行する。
【0018】
上記負の直流パルス電圧は、例えば1.5kV程度〜数十kVの範囲で選択可能である。当該直流パルス電圧を例えば1.5kVと低く設定しても、被コーティング物の表面に従来より遥かに高い密着力の下にDLC薄膜を成膜することが可能である。
【0019】
本発明のパルス放電型DLC成膜装置によってDLC薄膜を成膜した場合には、従来のDLC成膜装置を用いた場合に比べて、被コーティング物の表面により高い密着力の下にDLC薄膜を成膜することができる。DLC薄膜の密着力の向上は、(1) ホルダーもしくは当該ホルダーによって保持されている被コーティング物に上記負の直流パルス電圧を周期的に印加することにより、プラスイオンによる被コーティング物または当該被コーティング物表面の成長膜(成長途中のDLC薄膜)の表面改質がなされ、特に、被コーティング物とDLC膜との界面に傾斜層(炭素イオン濃度からみた傾斜層)が形成されること、および、(2) 前記の表面改質とコーティング物上または当該被コーティング物表面の成長膜上における膜成長とが交互に行われること、によるものと推察される。ただし、イオン源として前述したイオン源以外のものを用いた場合には、ホルダーもしくは当該ホルダーによって保持されている被コーティング物に負の直流パルス電圧を周期的に印加しつつDLC薄膜を成膜したとしても、DLC薄膜の密着力の向上はそれ程認められない。この理由は定かではない。
【0020】
また、本発明のパルス放電型DLC成膜装置では、成膜時に被コーティング物の周囲に周期的にプラズマシースが形成されるので、被コーティング物の形状が複雑であっても、当該被コーティング物の表面に均一なDLC薄膜を成膜することが可能である。
【0021】
なお、本発明のパルス放電型DLC成膜装置において被コーティング物を保持するために真空チャンバーの内部に配置されるホルダーには、図1に示したように、回転テーブルが含まれる。回転もしくは回動が可能なホルダーを用いることにより、固定されたホルダーを用いた場合よりも、被コーティング物の表面により均一なDLC薄膜を成膜することが可能になる。多数の被コーティング物の表面に均一なDLC膜を一度に成膜するという観点からは、例えば特公平7−94711号公報に開示されている回転テーブルを用いることが好ましい。
【0022】
また、図1に示したパルス放電型DLC成膜装置1では、原料ガス供給手段5によって真空チャンバー4内に原料ガスを供給する以外に、イオン源6が有している原料ガス供給管33を介して真空チャンバー4内に原料ガスを供給することも可能である。前記の原料ガス供給管33を介して真空チャンバー4内に原料ガスを供給した方が成膜速度が速くなるが、良質のDLC薄膜を成膜するうえからは、イオン源6の配設箇所とは異なる箇所(例えば、図1に示したように、イオン源6が配設されてる側の壁面に対向する壁面側)に原料ガスの流出口が設けられている原料ガス供給手段5によって真空チャンバー4内に原料ガスを供給するようにした方が好ましい。したがって、イオン源は原料ガス供給管を有していなくてもよい。
さらに、パルス放電型DLC成膜装置を構成するイオン源の数は1個に限定されるものではなく、2個以上の所望個数とすることができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
まず、被コーティング物としてダイス鋼(SKD11)製基板を、また、原料ガスとしてベンゼン(C6H6)ガスをそれぞれ用意した。
次いで、上記の被コーティング物を図1に示したパルス放電型DLC成膜装置1におけるホルダー(回転テーブル)3上に装置し、当該被コーティング物の表面に膜厚0.5μmのDLC薄膜を成膜した。
【0024】
DLC薄膜を成膜するにあたっては、成膜時の真空チャンバー4内の真空度(雰囲気圧)は2×10-3Torrに、原料ガス(ベンゼン(C6H6)ガスの流量は20sccmに、板状陽極(アノード)32の電圧は70V(アノード電流は0.6A)に、反射電極(リフレクター)30の電圧は20V(リフレクター電流は0.02A)にそれぞれ設定した。一方、パルス電源7による負の直流パルス電圧のパルス電圧は1.5kV(基板電流は40mA)に、そのパルス幅は150μmに、当該負の直流パルス電圧の周波数は2kHzにそれぞれ設定した。また、成膜時間は30分とした。
【0025】
実施例2
被コーティング物としてハイス鋼(SKH51)製基板を用いた以外は実施例1と同条件の下に、当該被コーティング物の表面に膜厚0.5μmのDLC薄膜を成膜した。
【0026】
実施例3
被コーティング物として超硬材料(WC−Co)製基板を用いた以外は実施例1と同条件の下に、当該被コーティング物の表面に膜厚0.5μmのDLC薄膜を成膜した。
【0027】
スクラッチ試験
実施例1〜実施例3で成膜した各DLC膜の密着力を、AE(アコースティック・エミッション)センサー付自動スクラッチ試験機によって測定した。
このとき、圧子としてはダイヤモンド圧子(圧子半径200μm)を用い、テーブル移動速度は10mm/分、圧子への垂直荷重の負荷速度は100N/分とした。
図4に実施例1で成膜したDLC膜についての試験結果を示す。また、図5に実施例2で成膜したDLC膜についての試験結果を示す。そして、図6に実施例3で成膜したDLC膜についての試験結果を示す。なお、いずれの図においても、符号Aで指されている線はAE(アコースティック・エミッション)強度の変化を示しており、符号Bで指されている線は摩擦力の変化を示している。
【0028】
図4から明らかなように、実施例1で成膜したDLC膜においては、垂直荷重が概ね68Nに達したときにAE強度の急激な増加が生じ、これに続いて摩擦力の急激な増加が生じることから、このときにDLC薄膜の剥離が生じたものと認められる。同様に、実施例2で成膜したDLC膜においては、図5から明らかなように、垂直荷重が概ね69Nに達したときにDLC薄膜が剥離したものと認められ、実施例3で成膜したDLC膜においては、図6から明らかなように、垂直荷重が概ね149Nに達したときにDLC薄膜が剥離したものと認められる。
【0029】
従来のDLC薄膜成膜装置によってダイス鋼の表面やハイス鋼の表面にDLC薄膜を成膜し、これらのDLC薄膜について上記と同じスクラッチ試験を施すと、当該DLC薄膜は、垂直荷重が20〜30N程度のときに剥離する。したがって、実施例1や実施例2で成膜したDLC薄膜の密着力は従来の2倍以上である。一方、従来のDLC薄膜成膜装置によってWC−Coの表面にDLC薄膜を成膜し、このDLC薄膜について上記と同じスクラッチ試験を施すと、当該DLC薄膜は、垂直荷重が70N程度のときに剥離する。したがって、実施例3で成膜したDLC薄膜の密着力は、従来の2倍以上である。
【0030】
なお、被コーティング物の表面に予めTi,Si,Al等の中間層を形成し、当該中間層の表面に本発明のパルス放電型DLC成膜装置によってDLC薄膜を成膜した場合も、従来のDLC成膜装置を用いた場合に比べて、DLC薄膜の密着力が向上する。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のパルス放電型DLC成膜装置によれば、被コーティング物の表面に従来より高い密着力の下にDLC薄膜を成膜することが可能になる。
したがって本発明によれば、切削工具,刃物,金型,電子部品,光情報記録媒体等の表面に、信頼性および耐久性が向上したDLC薄膜からなる表面保護膜や耐凝着耐摩耗膜等を成膜することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルス放電型DLC成膜装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明のパルス放電型DLC成膜装置を構成しているイオン源の原理を概略的に示す部分断面図である。
【図3】本発明のパルス放電型DLC成膜装置を構成しているイオン源を概略的に示す部分断面図である。
【図4】実施例1で成膜したDLC薄膜について行ったスクラッチ試験の結果を示すグラフである。
【図5】実施例2で成膜したDLC薄膜について行ったスクラッチ試験の結果を示すグラフである。
【図6】実施例3で成膜したDLC薄膜について行ったスクラッチ試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…パルス放電型DLC成膜装置、 2…被コーティング物、 3…ホルダー(回転テーブル)、 5…原料ガス供給手段、 6…イオン源、 7…パルス電源、 30…反射電極(リフレクター)、 31…熱電子放出用陰極、 32…板状陽極。
Claims (2)
- 被コーティング物を保持するためのホルダーが内部に配置されている真空チャンバーと、この真空チャンバー内に原料ガスを供給するための原料ガス供給手段と、前記の真空チャンバー内に供給された前記の原料ガスを直流放電によってプラズマ化するためのイオン源と、このイオン源によって生じたプラズ中のプラスイオンが前記のホルダー側もしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物側に電気的に吸引されるように前記のホルダーもしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物に負の直流パルス電圧を印加するためのパルス電源とを備え、
前記のイオン源は、底部を有する筒状の反射電極と、この反射電極内に該反射電極と電気的に絶縁されて設けられた熱電子放出用陰極と、この熱電子放出用陰極よりも前記の反射電極の開口端側に該反射電極と電気的に絶縁されて設けられた板状陽極とを有し、
成膜時における前記の反射電極,熱電子放出用陰極およびホルダーもしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物それぞれの電位が前記の板状陽極の電位より低く、かつ、前記の熱電子放出用陰極の電位の方が前記の反射電極の電位より高く、前記の反射電極の電位の方が前記のホルダーもしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物の電位より高くなるように設定され、しかも、前記のホルダーもしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物には、前記のパルス電源から前記負の直流パルス電圧が周期的に印加される、
ことを特徴とするパルス放電型DLC成膜装置。 - ホルダーもしくは該ホルダーによって保持された被コーティング物に、パルス電圧1.5kV,パルス幅150μ秒の負の直流パルス電圧を周波数2kHzで印加する、請求項1に記載のパルス放電型DLC成膜装置。
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