JP2000143221A - パルス放電型dlc成膜装置 - Google Patents

パルス放電型dlc成膜装置

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 硬度が低く熱膨張係数が大きい材料からなる
被コーティング物の表面に直接DLC薄膜を成膜する場
合の密着性向上。 【解決手段】 真空チャンバー内に供給された原料ガス
を直流放電によってプラズマ化するためのイオン源と、
パルス放電型DLC成膜装置を用い、前記のイオン源に
おける反射電極,熱電子放出用陰極および前記のホルダ
ーもしくは当該ホルダーによって保持された被コーティ
ング物それぞれの電位が前記の板状陽極の電位より低
く、かつ、前記の熱電子放出用陰極の電位の方が前記の
反射電極の電位より高く、前記の反射電極の電位の方が
前記のホルダーもしくは当該ホルダーによって保持され
た被コーティング物の電位より高くなるように設定し、
前記のホルダーもしくは当該ホルダーによって保持され
た被コーティング物に前記のパルス電源から前記負の直
流パルス電圧が周期的に印加されるように設定して、D
LC薄膜を成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイヤモンドライ
クカーボン(以下、「DLC」と略記する。」薄膜を成
膜するためのDLC成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】DLCは、極めて高い硬度を有し、摩擦
係数が低く、耐摩耗性、耐薬品性、熱伝導性等に優れて
いるため、切削工具,刃物,金型,電子部品,光情報記
録媒体等の表面保護膜や耐凝着耐摩耗膜等としての利用
が図られている。DLC成膜装置としては種々のものが
開発されているが、本件出願人は、直流放電によって原
料ガスをプラズマ化する特定のイオン源を備えたDLC
成膜装置について、既に特許(第2107753号)を
受けている。
【0003】上記のDLC成膜装置は、底部を有する筒
状の反射電極と、この反射電極内に当該反射電極と電気
的に絶縁されて設けられた熱電子放出用陰極と、この熱
電子放出用陰極よりも反射電極の開口端側に当該反射電
極と電気的に絶縁されて設けられた板状陽極と、反射電
極の内部空間に開口端を有する作動ガス(原料ガス)供
給管とを少なくとも備え、成膜時に、板状陽極の電位を
基準としたときの反射電極、熱電子放出用陰極および基
板の各電位がそれぞれ負電位となるように、かつ、熱電
子放出用陰極の電位の方が反射電極の電位より高く、反
射電極の電位の方が基板の電位より高くなるように制御
されるイオン源を備えたDLC成膜装置である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したDLC成膜装
置によって被コーティング物の表面にDLC薄膜を成膜
する場合、硬度が高く熱膨張係数が小さい材料からなる
被コーティング物については、その表面に比較的高い密
着力の下にDLC薄膜を成膜することができる。しかし
ながら、硬度が低く熱膨張係数が大きい材料からなる被
コーティング物については、その表面に直接DLC薄膜
を成膜すると当該DLC膜の密着性が低下するため、密
着性を高めるうえから、被コーティング物の表面に予め
Ti,Si,Al等の中間層を形成しておくことが望ま
れる。全く同じことが、従来の他のDLC成膜装置によ
って被コーティング物の表面にDLC薄膜を成膜する場
合に広く当てはまる。
【0005】本発明の目的は、被コーティング物の表面
により高い密着力の下にDLC薄膜を成膜することが可
能なDLC成膜装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明のDLC成膜装置は、被コーティング物を保持する
ためのホルダーが内部に配置されている真空チャンバー
と、この真空チャンバー内に原料ガスを供給するための
原料ガス供給手段と、前記の真空チャンバー内に供給さ
れた前記の原料ガスを直流放電によってプラズマ化する
ためのイオン源と、このイオン源によって生じたプラズ
中のプラスイオンが前記のホルダー側もしくは該ホルダ
ーによって保持された被コーティング物側に電気的に吸
引されるように前記のホルダーもしくは該ホルダーによ
って保持された被コーティング物に負の直流パルス電圧
を印加するためのパルス電源とを備え、前記のイオン源
は、底部を有する筒状の反射電極と、この反射電極内に
該反射電極と電気的に絶縁されて設けられた熱電子放出
用陰極と、この熱電子放出用陰極よりも前記の反射電極
の開口端側に該反射電極と電気的に絶縁されて設けられ
た板状陽極とを有し、成膜時における前記の反射電極,
熱電子放出用陰極およびホルダーもしくは該ホルダーに
よって保持された被コーティング物それぞれの電位が前
記の板状陽極の電位より低く、かつ、前記の熱電子放出
用陰極の電位の方が前記の反射電極の電位より高く、前
記の反射電極の電位の方が前記のホルダーもしくは該ホ
ルダーによって保持された被コーティング物の電位より
高くなるように設定され、しかも、前記のホルダーもし
くは該ホルダーによって保持された被コーティング物に
は、前記のパルス電源から前記負の直流パルス電圧が周
期的に印加される、ことを特徴とするパルス放電型DL
C成膜装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明のパ
ルス放電型DLC成膜装置の一例の模式図である。同図
に示したパルス放電型DLC成膜装置1は、被コーティ
ング物2を保持するためのホルダー(回転テーブルを含
む。)3が内部に配置されている真空チャンバー4と、
この真空チャンバー4内に原料ガスを供給するための原
料ガス供給手段5と、前記の真空チャンバー4内に供給
された前記の原料ガスを直流放電によってプラズマ化す
るためのイオン源6と、このイオン源6によって生じた
プラズ中のプラスイオンが前記のホルダー3側へ電気的
に吸引されるように前記のホルダー3もしくは当該ホル
ダー3によって保持された被コーティング物2に直流パ
ルス電圧を印加するためのパルス電源7とを備えてい
る。
【0008】なお、同図中の符号10は、真空チャンバ
ー4内を減圧するための真空ポンプを示しており、当該
真空ポンプ10と真空チャンバー4とは所定の配管11
によって接続されている。また、同図中の符号12は、
真空チャンバー4に設けられている窓13を通してDL
C薄膜の成膜状態を測定するための分光器を示してお
り、符号14は前記の分光器12用の集光レンズを示し
ている。そして、同図中の符号15は質量分析器を、符
号16はプラズマモニターを、符号17は真空ゲージを
示している。分光器12,質量分析器15,プラズマモ
ニター16および真空ゲージ17それぞれによる測定結
果は、電子計算機18へ送られ、ここで処理されて表示
装置19に表示される。
【0009】図2は、パルス放電型DLC成膜装置1が
具備しているイオン源6の原理図である。当該イオン源
6は、底部を有する筒状の反射電極(リフレクター)3
0と、この反射電極30内に当該反射電極30と電気的
に絶縁されて設けられた熱電子放出用陰極(フィラメン
ト)31と、この熱電子放出用陰極31よりも反射電極
30の開口端側に当該反射電極30と電気的に絶縁され
て設けられた板状陽極(アノード)32と、反射電極3
0の内部空間に開口端を有する原料ガス供給管33とを
有しており、さらに、アノード電源34,フィラメント
電源35,リフレクター電源36および基板電源37を
有している。なお、図2中の二点鎖線は電気力線を示し
ている。
【0010】イオン源6は、真空チャンバー内に供給さ
れた原料ガスを直流放電によってプラズマ化するための
ものであるので、各電極30,31,32の電位は、次
のように設定される。すなわち、成膜時における反射電
極(リフレクター)30および熱電子放出用陰極(フィ
ラメント)31それぞれの電位が板状陽極(アノード)
32の電位より低く、かつ、熱電子放出用陰極(フィラ
メント)31の電位の方が反射電極(リフレクター)3
0の電位より高くなるように設定される。
【0011】そして、イオン源6によって生じたプラズ
マ中のプラスイオン(例えば炭素イオン)は基板38
(図2参照)側へ電気的に吸引される必要があるので、
基板38の電位は、成膜時における板状陽極(アノー
ド)32の電位より低く、かつ、反射電極(リフレクタ
ー)30の電位より低くなるように設定される。
【0012】ただし、本発明のパルス放電型DLC成膜
装置においては、イオン源によって生じたプラズ中のプ
ラスイオンがホルダー側もしくは当該ホルダーによって
保持された被コーティング物側へ電気的に吸引されるよ
うに、前記のホルダーしくは当該ホルダーによって保持
された被コーティング物に負の直流パルス電圧がパルス
電源から印加される。このため、イオン源の実際の構成
は、例えば図3に示すイオン源6におけるように、図2
に示した構成から基板電源37および基板38を除いた
構成となる。
【0013】そして、上記の構成を有するイオン源を備
えた本発明のパルス放電型DLC成膜装置によってDL
C薄膜を成膜するに際しては、成膜時における板状陽極
(アノード)の電位よりもホルダーもしくは当該ホルダ
ーによって保持された被コーティング物の電位の方が低
くなるように、かつ、反射電極(リフレクター)の電位
の方がホルダーもしくは当該ホルダーによって保持され
た被コーティング物の電位より高くなるように設定され
る。しかも、成膜時においては、ホルダーもしくは当該
ホルダーによって保持された被コーティング物に、パル
ス電源から負の直流パルス電圧が周期的に印加される。
【0014】成膜時においては、原料ガス供給手段によ
って原料ガス(例えばベンゼン(C66)ガス)が真空
チャンバー内に供給され続け、この原料ガスは上述した
イオン源によってプラズマ化される。成膜時の真空チャ
ンバー内の雰囲気圧は、真空ポンプを作動させることで
10-4〜10-3Torr台に保たれる。
【0015】原料ガスをプラズマ化することによって生
じたプラスイオンは、負電位にあるホルダーもしくは当
該ホルダーによって保持されている被コーティング物に
電気的に吸引され、ホルダーおよび被コーティング物に
衝突付着してDLC薄膜を形成する。
【0016】このとき、ホルダーもしくは当該ホルダー
によって保持されている被コーティング物にはパルス電
源から負の直流パルス電圧が周期的に印加されているの
で、当該負の直流パルス電圧が印加されているときには
被コーティング物の周囲にプラズマシースが形成され
る。また、負の直流パルス電圧が印加されると、プラズ
マシース中のプラスイオンが瞬間的に加速されて、被コ
ーティング物または当該被コーティング物表面の成長膜
(成長途中のDLC薄膜)に注入される。
【0017】一方、ホルダーもしくは当該ホルダーによ
って保持されている被コーティング物にパルス電源から
負の直流パルス電圧が印加されていないときには被コー
ティング物の周囲にプラズマシースが形成されないの
で、プラズマ中のプラスイオンは比較的緩やかにホルダ
ーもしくは当該ホルダーによって保持されている被コー
ティング物に電気的に吸引されてその上に付着、堆積
し、膜成長が進行する。
【0018】上記負の直流パルス電圧は、例えば1.5
kV程度〜数十kVの範囲で選択可能である。当該直流
パルス電圧を例えば1.5kVと低く設定しても、被コ
ーティング物の表面に従来より遥かに高い密着力の下に
DLC薄膜を成膜することが可能である。
【0019】本発明のパルス放電型DLC成膜装置によ
ってDLC薄膜を成膜した場合には、従来のDLC成膜
装置を用いた場合に比べて、被コーティング物の表面に
より高い密着力の下にDLC薄膜を成膜することができ
る。DLC薄膜の密着力の向上は、(1) ホルダーもしく
は当該ホルダーによって保持されている被コーティング
物に上記負の直流パルス電圧を周期的に印加することに
より、プラスイオンによる被コーティング物または当該
被コーティング物表面の成長膜(成長途中のDLC薄
膜)の表面改質がなされ、特に、被コーティング物とD
LC膜との界面に傾斜層(炭素イオン濃度からみた傾斜
層)が形成されること、および、(2) 前記の表面改質と
コーティング物上または当該被コーティング物表面の成
長膜上における膜成長とが交互に行われること、による
ものと推察される。ただし、イオン源として前述したイ
オン源以外のものを用いた場合には、ホルダーもしくは
当該ホルダーによって保持されている被コーティング物
に負の直流パルス電圧を周期的に印加しつつDLC薄膜
を成膜したとしても、DLC薄膜の密着力の向上はそれ
程認められない。この理由は定かではない。
【0020】また、本発明のパルス放電型DLC成膜装
置では、成膜時に被コーティング物の周囲に周期的にプ
ラズマシースが形成されるので、被コーティング物の形
状が複雑であっても、当該被コーティング物の表面に均
一なDLC薄膜を成膜することが可能である。
【0021】なお、本発明のパルス放電型DLC成膜装
置において被コーティング物を保持するために真空チャ
ンバーの内部に配置されるホルダーには、図1に示した
ように、回転テーブルが含まれる。回転もしくは回動が
可能なホルダーを用いることにより、固定されたホルダ
ーを用いた場合よりも、被コーティング物の表面により
均一なDLC薄膜を成膜することが可能になる。多数の
被コーティング物の表面に均一なDLC膜を一度に成膜
するという観点からは、例えば特公平7−94711号
公報に開示されている回転テーブルを用いることが好ま
しい。
【0022】また、図1に示したパルス放電型DLC成
膜装置1では、原料ガス供給手段5によって真空チャン
バー4内に原料ガスを供給する以外に、イオン源6が有
している原料ガス供給管33を介して真空チャンバー4
内に原料ガスを供給することも可能である。前記の原料
ガス供給管33を介して真空チャンバー4内に原料ガス
を供給した方が成膜速度が速くなるが、良質のDLC薄
膜を成膜するうえからは、イオン源6の配設箇所とは異
なる箇所(例えば、図1に示したように、イオン源6が
配設されてる側の壁面に対向する壁面側)に原料ガスの
流出口が設けられている原料ガス供給手段5によって真
空チャンバー4内に原料ガスを供給するようにした方が
好ましい。したがって、イオン源は原料ガス供給管を有
していなくてもよい。さらに、パルス放電型DLC成膜
装置を構成するイオン源の数は1個に限定されるもので
はなく、2個以上の所望個数とすることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 まず、被コーティング物としてダイス鋼(SKD11)
製基板を、また、原料ガスとしてベンゼン(C66)ガ
スをそれぞれ用意した。次いで、上記の被コーティング
物を図1に示したパルス放電型DLC成膜装置1におけ
るホルダー(回転テーブル)3上に装置し、当該被コー
ティング物の表面に膜厚0.5μmのDLC薄膜を成膜
した。
【0024】DLC薄膜を成膜するにあたっては、成膜
時の真空チャンバー4内の真空度(雰囲気圧)は2×1
-3Torrに、原料ガス(ベンゼン(C66)ガスの流量
は20sccmに、板状陽極(アノード)32の電圧は70
V(アノード電流は0.6A)に、反射電極(リフレク
ター)30の電圧は20V(リフレクター電流は0.0
2A)にそれぞれ設定した。一方、パルス電源7による
負の直流パルス電圧のパルス電圧は1.5kV(基板電
流は40mA)に、そのパルス幅は150μmに、当該
負の直流パルス電圧の周波数は2kHzにそれぞれ設定
した。また、成膜時間は30分とした。
【0025】実施例2 被コーティング物としてハイス鋼(SKH51)製基板
を用いた以外は実施例1と同条件の下に、当該被コーテ
ィング物の表面に膜厚0.5μmのDLC薄膜を成膜し
た。
【0026】実施例3 被コーティング物として超硬材料(WC−Co)製基板
を用いた以外は実施例1と同条件の下に、当該被コーテ
ィング物の表面に膜厚0.5μmのDLC薄膜を成膜し
た。
【0027】スクラッチ試験 実施例1〜実施例3で成膜した各DLC膜の密着力を、
AE(アコースティック・エミッション)センサー付自
動スクラッチ試験機によって測定した。このとき、圧子
としてはダイヤモンド圧子(圧子半径200μm)を用
い、テーブル移動速度は10mm/分、圧子への垂直荷
重の負荷速度は100N/分とした。図4に実施例1で
成膜したDLC膜についての試験結果を示す。また、図
5に実施例2で成膜したDLC膜についての試験結果を
示す。そして、図6に実施例3で成膜したDLC膜につ
いての試験結果を示す。なお、いずれの図においても、
符号Aで指されている線はAE(アコースティック・エ
ミッション)強度の変化を示しており、符号Bで指され
ている線は摩擦力の変化を示している。
【0028】図4から明らかなように、実施例1で成膜
したDLC膜においては、垂直荷重が概ね68Nに達し
たときにAE強度の急激な増加が生じ、これに続いて摩
擦力の急激な増加が生じることから、このときにDLC
薄膜の剥離が生じたものと認められる。同様に、実施例
2で成膜したDLC膜においては、図5から明らかなよ
うに、垂直荷重が概ね69Nに達したときにDLC薄膜
が剥離したものと認められ、実施例3で成膜したDLC
膜においては、図6から明らかなように、垂直荷重が概
ね149Nに達したときにDLC薄膜が剥離したものと
認められる。
【0029】従来のDLC薄膜成膜装置によってダイス
鋼の表面やハイス鋼の表面にDLC薄膜を成膜し、これ
らのDLC薄膜について上記と同じスクラッチ試験を施
すと、当該DLC薄膜は、垂直荷重が20〜30N程度
のときに剥離する。したがって、実施例1や実施例2で
成膜したDLC薄膜の密着力は従来の2倍以上である。
一方、従来のDLC薄膜成膜装置によってWC−Coの
表面にDLC薄膜を成膜し、このDLC薄膜について上
記と同じスクラッチ試験を施すと、当該DLC薄膜は、
垂直荷重が70N程度のときに剥離する。したがって、
実施例3で成膜したDLC薄膜の密着力は、従来の2倍
以上である。
【0030】なお、被コーティング物の表面に予めT
i,Si,Al等の中間層を形成し、当該中間層の表面
に本発明のパルス放電型DLC成膜装置によってDLC
薄膜を成膜した場合も、従来のDLC成膜装置を用いた
場合に比べて、DLC薄膜の密着力が向上する。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のパルス放
電型DLC成膜装置によれば、被コーティング物の表面
に従来より高い密着力の下にDLC薄膜を成膜すること
が可能になる。したがって本発明によれば、切削工具,
刃物,金型,電子部品,光情報記録媒体等の表面に、信
頼性および耐久性が向上したDLC薄膜からなる表面保
護膜や耐凝着耐摩耗膜等を成膜することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルス放電型DLC成膜装置の一例を
示す模式図である。
【図2】本発明のパルス放電型DLC成膜装置を構成し
ているイオン源の原理を概略的に示す部分断面図であ
る。
【図3】本発明のパルス放電型DLC成膜装置を構成し
ているイオン源を概略的に示す部分断面図である。
【図4】実施例1で成膜したDLC薄膜について行った
スクラッチ試験の結果を示すグラフである。
【図5】実施例2で成膜したDLC薄膜について行った
スクラッチ試験の結果を示すグラフである。
【図6】実施例3で成膜したDLC薄膜について行った
スクラッチ試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…パルス放電型DLC成膜装置、 2…被コーティン
グ物、 3…ホルダー(回転テーブル)、 5…原料ガ
ス供給手段、 6…イオン源、 7…パルス電源、 3
0…反射電極(リフレクター)、 31…熱電子放出用
陰極、 32…板状陽極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G046 CB03 CC09 4K030 AA09 BA27 BB05 CA02 EA03 FA01 JA17 KA15 KA17

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被コーティング物を保持するためのホル
    ダーが内部に配置されている真空チャンバーと、この真
    空チャンバー内に原料ガスを供給するための原料ガス供
    給手段と、前記の真空チャンバー内に供給された前記の
    原料ガスを直流放電によってプラズマ化するためのイオ
    ン源と、このイオン源によって生じたプラズ中のプラス
    イオンが前記のホルダー側もしくは該ホルダーによって
    保持された被コーティング物側に電気的に吸引されるよ
    うに前記のホルダーもしくは該ホルダーによって保持さ
    れた被コーティング物に負の直流パルス電圧を印加する
    ためのパルス電源とを備え、 前記のイオン源は、底部を有する筒状の反射電極と、こ
    の反射電極内に該反射電極と電気的に絶縁されて設けら
    れた熱電子放出用陰極と、この熱電子放出用陰極よりも
    前記の反射電極の開口端側に該反射電極と電気的に絶縁
    されて設けられた板状陽極とを有し、 成膜時における前記の反射電極,熱電子放出用陰極およ
    びホルダーもしくは該ホルダーによって保持された被コ
    ーティング物それぞれの電位が前記の板状陽極の電位よ
    り低く、かつ、前記の熱電子放出用陰極の電位の方が前
    記の反射電極の電位より高く、前記の反射電極の電位の
    方が前記のホルダーもしくは該ホルダーによって保持さ
    れた被コーティング物の電位より高くなるように設定さ
    れ、しかも、前記のホルダーもしくは該ホルダーによっ
    て保持された被コーティング物には、前記のパルス電源
    から前記負の直流パルス電圧が周期的に印加される、 ことを特徴とするパルス放電型DLC成膜装置。
  2. 【請求項2】 ホルダーもしくは該ホルダーによって保
    持された被コーティング物に、パルス電圧1.5kV,
    パルス幅150μ秒の負の直流パルス電圧を周波数2k
    Hzで印加する、請求項1に記載のパルス放電型DLC
    成膜装置。
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