JP4614291B2 - ハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びこれを用いて製造されるハーフトーン型位相シフトマスク - Google Patents
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Description
スクがある。このハーフトーン型位相シフトマスクは、半透光膜パターンにおいて、露光光の位相をシフトさせる機能と、該露光光を実質的に遮る機能とを兼ねるので構成が簡素で済むという特徴を有していた。ところが、この種のハーフトーン型位相シフトマスクにあっては、縮小露光投影装置(ステッパ)のマスク(レチクル)として繰り返し使用した場合に、被覆部材(アパーチャ)の光透過領域とレチクルの転写領域とのズレ等に起因して、本来なら露光されるべきでない領域において、実質的に露光されたのと同等の現象が起こり、パターン欠陥その他の不都合が生じ易いという問題を生じていた。
に更に備えており、ステッパのレチクルとして繰り返し使用された場合でも、露光されるべきでない領域を該遮光膜パターンによって確実に遮光できるという効果を奏するものであった。
位相シフト効果に寄与しない領域に遮光膜パターンを形成したものも知られている。
それらよりも波長の短いArFエキシマレーザ(波長193[nm])、或いはF2エキシマレーザ(波長157[nm])へと推移しつつある。そして、露光光の波長(以下、露光波長とい
う。)の推移に関連して、次の問題が生じることになる。
nd=λ/4
ここで、λは露光光の波長であり、nは波長λにおける膜材料の屈折率であり、dは膜厚である。このように、遮光膜の設計においては、膜材料の組成の選択は勿論、膜厚も該組成においてその値であることが極めて重要な意義をもつ。つまり、遮光膜の反射特性は、その組成や膜厚等さまざまな要素が絡み合って決定付けられるものであり、全ての要素を考慮しながら最適な設計条件を見出すのは必ずしも容易でない。
例えば、半透光膜パターン上に遮光膜パターンを具備するタイプのハーフトーン型位相シフトマスクにおいて、これを製作する過程で、ブランクスの遮光膜上にレジストを塗布し、そのレジストに対して所望パターンを描画する際にレーザ描画を用いる場合は、遮光膜が描画用レーザ光に対しても有効な反射防止機能を発揮することが望まれる。
一つは、透明基板上の被検査膜パターンに検査光を照射したときの透過光強度に基づいて、該被検査膜パターンの欠陥を検出する装置(例えば、米国KLA-Tencor社製のKLA-300シリーズ等)である。
もう一つは、透明基板上の被検査膜パターンに検査光を照射したときの反射光又は、反射光及び透過光の双方の強度に基づいて、主として被検査膜に付着した異物を検出する装
置(例えば、米国KLA-Tencor社製のSTARlight等)である。
シフトマスクの検査には適用し得るが、半透光膜パターンの上に遮光膜パターンを具備するタイプのハーフトーン型位相シフトマスクの検査には不適である。というのも、透過光を利用する該装置においては、実質的に露光に寄与しない半透光膜パターンの透過率を略0%と認識してしまうので、透明基板(透過率100%)と半透光膜パターンとを識別できても、該半透光膜パターンとその上に形成された遮光膜パターン(透過率0%)とを識別できないからである。
フト量を有する半透光膜と、この半透光膜上に形成された遮光膜とを有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおける前記遮光膜の反射率波長依存性を調整する方法であって、前記遮光膜の最上層部分を、クロム、炭素、酸素、及び窒素を含有してなる反射率調整部とし、この反射率調整部における前記窒素の含有率によって、前記遮光膜全体とし
ての反射率波長依存性を調整することを特徴とする遮光膜の反射率波長依存性の調整方法が提供される。
フト量を有する半透光膜を形成する半透光膜形成工程と、該半透光膜上に遮光膜を形成する遮光膜形成工程とを有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法において、前記遮光膜形成工程は、炭素、酸素、及び窒素を含む雰囲気中で、クロムからなるターゲットを用いたスパッタリング成膜を行うことにより、前記遮光膜の最上層となる部分に反射率調整部を形成する反射率調整部形成工程を有し、この反射率調整部形成工程では、前記雰囲気中における窒素の分圧を、前記遮光膜が所望の反射率波長依存性を有するものとなるときの値とすることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法が提供される。
型位相シフトマスクブランクの製造方法が提供される。
フト量を有する半透光膜と、この半透光膜上に形成された遮光膜とを有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、前記遮光膜の最上層部分が、クロム、炭素、酸素、及び窒素を含有してなる反射率調整部とされ、前記遮光膜表面の反射率が、露光光の波長及び遮光膜パターンを形成するためのレーザ描画装置のレーザ光の波長の何れに対しても30%以下であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクが提供される。
クブランクを用いて製造したことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクが提供される。
フト量を有する半透光膜と、この半透光膜の上に形成された遮光膜と、を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、前記遮光膜の最上層部分が、クロム、炭素、酸素、及び窒素を含有してなる反射率調整部とされ、この反射率調整部を含めた前記遮光膜全体の厚さが、60[nm]以下とされていることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクが提供される。
フト量を有する半透光膜と、この半透光膜の上に形成された遮光膜と、を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、前記遮光膜は、その前記半透光膜側に下地部を有し、この下地部の上に反射率調整部を有するものであり、前記下地部は、酸素を含有しないか、又は酸素の含有率が10原子%以下とされ、前記反射率調整部は、酸素の含有率が20原子%以上とされていることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクが提供される。
つ窒素を5〜40原子%含有してなるものであることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクが提供される。
また前記半透光膜パターンとしては、露光光に対し、3〜40%の透過率、及び略180°の位相シフト量を有するものが好適である。
マスクが提供される。この第17の態様においては、前記遮光膜パターンの最表側に、さらに窒素を含有せしめてもよく、その場合は当該窒素の含有量によって、前記遮光膜パターンにおける反射率の波長依存性を制御できる。
反射率調整部の構成元素として、クロム、炭素、酸素、及び窒素を選択した場合には、そのうち窒素の含有率と、遮光膜の反射率波長依存性とが相関関係を示す。また反射率調整部における窒素の含有率によって、遮光膜の反射率波長依存性を調整できるところ、該反射率波長依存性は、窒素の含有率によって極端に変化するのではなく、徐々に変化するから、遮光膜の反射率波長依存性を正確かつ容易に微調整できる。特に、スパッタリングの際の反応性ガスとして、CO2とN2を用い、N2の分圧を制御することにより、遮光膜の反
射率波長依存性を良好に制御できる。これにより、少なくとも露光光及び描画用レーザ光に対しては、反射防止機能を発揮しながら、検査光に対しては、半透光膜(半透光膜パタ
ーン)との関係で所定の反射率差を示す遮光膜を容易に実現できる。
半透光膜2は、露光光に対して3〜40%の透過率及び略180°の位相シフト量を有す
るものである。
一部を当該膜厚方向に向かって組成が連続的に変化するように構成する場合には、その連続膜の一部であってもよい。いずれの場合においても、遮光膜膜3における反射率調整部3aを除く部分が下地部3bとなる。
先ず、石英からなる基板を鏡面研磨し、所定の洗浄を施すことにより、縦6インチ、横6インチ、厚さ0.25インチの透明基板1を得た。
ン(Mo)とシリコン(Si)の混合ターゲット(Mo:Si=8:92[mol%])を用いて、ア
ルゴン(Ar)、窒素(N2)、及び酸素(O2)の混合ガス雰囲気(Ar流量=10[sccm],N2流量=31[sccm],O2流量=5[sccm]、ガス圧力0.50[Pa])中で、反応性スパッタリングを行うことにより、該透明基板1上に、膜厚74[nm]のMoSiON系の半透光膜2を成膜した。
その後、ホットプレート型アニ−ル装置を用い、該半透光膜2に対して200℃にて1
0分間熱処理を施した。こうして得られた半透光膜2は、露光光に対する透過率が9%、
位相シフト量(位相角)が略180°であった。
.04[Pa])中で、反応性スパッタリングを行うことにより、半透光膜2の上に、膜厚400[Å]のCrN(クロムと窒素を含むことを意味し、それらの含有率を規定するものでは
ない。以下、同様。)からなる第1遮光膜31(図2(a)参照)を形成した。このとき、スパッタリングパワーは1.5[kw]とした。
流量=20[sccm],N2流量=17[sccm],CO2流量=17[sccm])中で、反応性スパッ
タリングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚161[Å]のCrCON(クロム
、炭素、酸素、及び窒素を含むことを意味し、それらの含有率を規定するものではない。以下、同様。)からなる第2遮光膜32(図2(a)参照)を形成した。このとき、スパッタパワーは1[kw]とし、成膜時間は4.5分とした。
尚、不活性ガスとしては、Arの他に、NeやKr等を用いることもできる。
このハーフトーン型位相シフトマスクブランクでは、第1遮光膜31が下地部3bに相当し、第2遮光膜32が反射率調整部3aに相当する。そして、これら第1遮光膜31と第2遮光膜32とで遮光膜3を構成している。以下、このハーフトーン型位相シフトマスクブランクを用
いたハーフトーン型位相シフトマスクの製造方法につき説明する。
スト(日本ゼオン社製:ZEP7000)4を、スピンコート法により膜厚が500[nm]となるよう
塗布した(図2(a)参照)。
この第1レジストパターン41をマスクにして、遮光膜3を、塩素と酸素を用いたドライエ
ッチングによってパターニングすることにより、第1遮光膜パターン311、及び第2遮光
膜パターン321を形成した(図2(b)参照)。
パワー:100[W]の条件でドライエッチングすることにより、半透光膜パターン21を形成し
た(図2(c)参照)。
製;ALTA3000,レーザ波長:365[nm])にて重ねて露光した(図2(e)参照)。
そして、露光されたフォトレジスト5を現像して第2レジストパターン51を形成した(図2(f))。
遮光膜パターン321を、硝酸第2セリウムアンモニウムと過塩素酸よりなるエッチング液
を用いて更にパターニングし、第1遮光膜パターン3111、及び第2遮光膜パターン3211を形成した(図2(g)参照)。
よるハーフトーン型位相シフトマスクを得た(図2(h)参照)。
実施例1の変形例として、反射率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。
即ち、実施例2のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型ス
パッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、不活性ガスとしてのArガスと、原料ガスとしてのN2及びCO2ガスと、の混合ガス雰囲気(Ar流量=20[sccm],N2流量=21[sccm],CO2流量=12[sccm])中で、反応性スパッタリングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚179[Å]のCrCONからなる第2遮光膜32を形成した。このとき、スパッタパワーは1[kw]とし、成膜時間は4.5分とした。
この点以外は、実施例1と同様にして実施例2によるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニングを施して実施例2によるハーフトーン型位
相シフトマスクを得た。
実施例1の変形例として、反射率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。
即ち、実施例3のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型ス
パッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、不活性ガスとしてのArガスと、原料ガスとしてのN2及びCO2ガスと、混合ガス雰囲気(Ar流量=20[sccm],N2流量=23[sccm],CO2流量=10[sccm])中で、反応性スパッタリングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚163[Å]のCrCONからなる第2遮光膜32を形成した。このとき、スパッタパワーは1[kw]とし、成膜時間は3.5分とした。
この点以外は、実施例1と同様にして実施例3によるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニングを施して実施例3によるハーフトーン型位
相シフトマスクを得た。
実験例1の変形例として、反射率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。
即ち、実施例4のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型ス
パッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、不活性ガスとしてのArガスと、原料ガスとしてのN2及びCO2ガスと、の混合ガス雰囲気(Ar流量=20[sccm],N2流量=24[sccm],CO2流量=9[sccm])中で、反応性スパッタリングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚159[Å]のCrCONからなる第2遮光膜32を形成した。このとき、スパッタパワーは1[kw]とし、成膜時間は3分とした。
この点以外は、実験例1と同様にして実施例4によるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニングを施して実施例4によるハーフトーン型位
相シフトマスクを得た。
実験例1の変形例として、反射率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。
即ち、実施例5のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型ス
パッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、不活性ガスとしてのArガスと、原料ガスとしてのN2及びCO2ガスと、の混合ガス雰囲気(Ar流量=20[sccm],N2流量=25[sccm],CO2流量=8[sccm])中で、反応性スパッタリングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚167[Å]のCrCONからなる第2遮光膜32(図2(a)参照)を形
成した。このとき、スパッタパワーは1.0[kw]とし、成膜時間は7分とした。
この点以外は、実験例1と同様にして実施例5によるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニングを施して実施例5によるハーフトーン型位
相シフトマスクを得た。
ある。従って、実施例1〜5の各ハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおける遮光膜3全体の膜厚は、それぞれ561[Å]、579[Å]、563[Å]、559[Å]、567[Å]であり、何れも600[Å](=60[nm])以下である。
実施例1〜5で得られた各ハーフトーン型位相シフトマスクについて、試験光を照射して、透明基板1、半透光膜2、及び遮光膜3の反射率波長依存性を測定した。尚、反射率波長
依存性の測定には、日立分光光度計U-4000を用いた。
率カーブを示す。符号HTは、半透光膜2の反射率カーブを示す。符号QZは、透明基板1の反射率カーブを示す。尚、半透光膜2と透明基板1との反射率カーブは、実施例1〜5の全てにおいて共通している。
光波長及びレジスト描画波長を含む領域である365[nm]未満の領域での反射率よりも、主として検査波長を含む領域である365[nm]以上の領域での反射率の方が大きくなるよう190[nm]〜840[nm]にわたって右肩上がりの曲線となっている。
但し、各反射率カーブの立ち上がり方は、A(実施例1),B(実施例2),C(実施例3),D(実施例4),E(実施例5)の順に緩やかとなっている。この点について検討すると、表1に掲げ
るように、実施例1から5の順に、反射率調整部3aのスパッタリング形成時における窒素の流量を増やしている。窒素の流量が増えると、その分スパッタリング雰囲気中における窒素の分圧が上昇するから、反射率調整部3a中における窒素の含有率(量)は増大してゆく。
つまり、窒素の含有率と、遮光膜3の反射率カーブ、即ち遮光膜3の反射率波長依存性とに相関がある。従って、遮光膜3の反射率波長依存性は、反射率調整部3aをCrCONか
ら構成する場合、その窒素の含有率で調整できるものと考えられる。
極端に変化するのではなく、徐々に変化している。つまり、窒素の含有率を調整したときの、反射率カーブの変化の仕方が小さい。反射率カーブの変化の仕方が小さいということ
は、窒素の含有率によって遮光膜3の反射率波長依存性をきめ細かく正確に微調整できる
ということである。
光に対する各反射率が30%以下であれば、ハーフトーン型位相シフトマスクそのものの寸法精度を向上できるようになる。
従って、実施例1〜5によるハーフトーン型位相シフトマスクにおいては、193[nm]〜365[nm]の波長範囲内において露光波長及びレジスト描画波長を選択できる。
該反射率調整部3aにおける窒素の含有率を大きくした場合には、反射率カーブC,D,Eのよ
うに、特に193[nm]〜365[nm]の波長範囲内における反射率の波長依存性が小さくなる。つまり、193[nm]から365[nm]にわたって反射率カーブが略平坦となり、反射率の変化が10%以内におさまる。また、193[nm]〜488[nm]にわたっても反射率の変化が25%以内におさまっている。
従って、193[nm]〜488[nm]の波長範囲、特に193[nm]〜365[nm]の波長範囲内においては、仮に露光波長又はレジスト描画波長が推移したとしても、遮光膜3を設計
変更し直す必要がなくなるものと考えられる。
、該反射率調整部3aにおける窒素の含有率を小さくした場合には、反射率カーブA,Bのよ
うに、257[nm]〜365[nm]の波長範囲内で一端極小値をとるから、該極小値又はその近傍において最適な露光波長又はレジスト描画波長が存在することになる。
例えば、反射率カーブAには、波長257[nm]近傍において反射率が10%以下の極小
値が存在する。従って、この実施例1のハーフトーン型位相シフトマスクブランクでは、波長257[nm]の光を描画用レーザ光として好適に用いることができる。
尚、この極小値をとるときの波長も反射率調整部3aにおける窒素の含有率によって所望の値に調整できるものと考えられる。
の差が何れも3%以上となっている。本発明者の研究によれば、このように透明基板、半透光膜パターン、及び遮光膜パターンの各反射率の差が3%以上であれば、検査装置において、当該各反射率の相違を認識できることが分かっている。尚、各反射率の差は、好ましくは5%以上であり、更に好ましくは10%以上である。
以上、更に好ましくは10%以上)あれば、検査装置において半透光膜パターンを確実に
検出できる。また、半透光膜パターンと遮光膜パターンとの反射率の差が3%以上(好ま
しくは5%以上、更に好ましくは10%以上)あれば、検査装置において遮光膜パターン
を確実に検出できる。その結果、検査装置においてこのマスクの欠陥を確実に検出できる。
また、少なくとも365[nm]以上の領域では、遮光膜パターンの方が、半透光膜パターンよりも高い反射率を示すように構成されており、これによって、クロム残りやピンホール等の欠陥検査に特に好適となっている。
特に、最もブロードな立ち上がりを示した反射率カーブEは、190[nm]〜840[nm]
の全波長範囲内において、半透光膜パターン(HT)との関係で3%以上の反射率差を示していると共に、一貫して該半透光膜パターン(HT)よりも高い反射率を示している。
フトマスクブランクは、反射率の上限を30%とする検査装置においても良好に検査を行える。
比較例1として、反射率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。
即ち、比較例1のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型ス
パッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、Ar,N2,O2の混合ガス雰囲気(A
r流量=20[sccm],N2流量=10[sccm],O2流量=20[sccm])中で、反応性スパッ
タリングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、CrON(クロム,酸素,及び窒素を含
むことを意味し、それらの含有率を規定するものではない。以下、同様。)からなる第2
遮光膜32(図2(a)参照)を形成した。このとき、スパッタパワーは1.0[kw]とし、成膜
時間は3分とした。
この点以外は、実施例1と同様にして比較例1によるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニングを施して比較例1によるハーフトーン型位
相シフトマスクを得た。
比較例2として、反射率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。
即ち、比較例1のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型ス
パッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、Ar,N2,O2の混合ガス雰囲気(A
r流量=20[sccm],N2流量=15[sccm],O2流量=15[sccm])中で、反応性スパッ
タリングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚452[Å]のCrONからなる第2遮光膜32(図2(a)参照)を形成した。このとき、スパッタパワーは1.0[kw]とし、成
膜時間は3分とした。
この点以外は、実施例1と同様にして比較例2によるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニングを施して比較例2によるハーフトーン型位
相シフトマスクを得た。
比較例3として、反射率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。
即ち、比較例1のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型ス
パッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、Ar,N2,O2の混合ガス雰囲気(A
r流量=20[sccm],N2流量=25[sccm],O2流量=25[sccm])中で、反応性スパッ
タリングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚473[Å]のCrONからなる第
2遮光膜32(図2(a)参照)を形成した。このとき、スパッタパワーは1.0[kw]とし、成
膜時間は3分とした。
この点以外は、実施例1と同様にして比較例3によるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニングを施して比較例3によるハーフトーン型位
相シフトマスクを得た。
比較例4として、反射率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。
即ち、比較例1のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型ス
パッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、Ar,N2,O2の混合ガス雰囲気(A
r流量=20[sccm],N2流量=25[sccm],O2流量=8[sccm])中で、反応性スパッタ
リングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚611[Å]のCrONからなる第2遮光膜32(図2(a)参照)を形成した。このとき、スパッタパワーは1.0[kw]とし、成膜
時間は3分とした。
この点以外は、実施例1と同様にして比較例4によるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニングを施して比較例4によるハーフトーン型位
相シフトマスクを得た。
比較例4として、反射率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。
即ち、比較例1のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型ス
パッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、Ar,N2,O2の混合ガス雰囲気(A
r流量=20[sccm],N2流量=23[sccm],O2流量=10[sccm])中で、反応性スパッ
タリングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚604[Å]のCrONからなる第2遮光膜32(図2(a)参照)を形成した。このとき、スパッタパワーは1.0[kw]とし、成
膜時間は3分とした。
この点以外は、実施例1と同様にして比較例5によるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニングを施して比較例5によるハーフトーン型位
相シフトマスクを得た。
時間)、膜種、及び膜厚を下記表2にまとめた。
比較例1〜5で得られた各ハーフトーン型位相シフトマスクについて、上記各実施例と同様にして透明基板1、半透光膜2、及び遮光膜3の反射率カーブを測定した。測定結果を図
4に示す。同図中、符号F,G,H,I,Jはそれぞれ、比較例1,2,3,4,5による遮光膜3の表面の
反射率カーブを示す。符号HTは、半透光膜2の反射率カーブを示す。符号QZは、透明基板1の反射率カーブを示す。尚、半透光膜2と透明基板1との反射率カーブは、実施例1〜5及び比較例1〜5の全てにおいて共通している。
は明確な相関がみられない。
否かが定かでない。むしろこの場合は、遮光膜3の反射率波長依存性には、酸素の流量そ
の他の成膜条件も関与していると考えられる。従って、反射率調整部3aをCrONから構成した場合には、窒素の流量のみで遮光膜3の反射率波長依存性を制御できるとは言い難
い。
っている。従って、反射率調整部3aのスパッタリング成膜時において二酸化炭素ではなく酸素を用い、CrONからなる反射率調整部3aを形成した場合には、各構成元素の含有率によって、遮光膜3の反射スペクトル(反射率波長依存性)が極端に変化してしまうといえ
る。つまり、比較例1〜5による遮光膜3は、反射率波長依存性の制御性が良好であるとは
言い難い。
反射率調整部3aにおける窒素の含有率(スパッタリング雰囲気中のN2の分圧)をコントロ
ールすることによって、遮光膜3の反射率波長依存性の制御性を向上できる。
実施例1の変形例として、下地部3bたる第1遮光膜31、及び反射率調整部3aたる第2遮
光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。
即ち、実施例6のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型ス
パッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、不活性ガスとしてのArガスと、原料ガスとしてのN2ガスと、の混合ガス雰囲気(Ar流量=18.2[sccm],N2流量=12
.1[sccm]、ガス圧=0.074[Pa])中で、反応性スパッタリングを行うことにより、
半透光膜2の上に、膜厚400[Å]のCrONからなる第1遮光膜31を形成した。このと
き、スパッタパワーは2.00[kw]とした。
=20[sccm],N2流量=38[sccm],CO2流量=15.7[sccm]、ガス圧=0.175[Pa])中で、反応性スパッタリングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚165[Å]のCrCONからなる第2遮光膜32を形成した。このとき、スパッタパワーは1.3
0[kw]とした。
これらの点以外は、実施例1と同様にして実施例6によるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニングを施して実施例6によるハーフトーン
型位相シフトマスクを得た。
条件(各原料ガスの流量,スパッタパワー,成膜圧力)、膜種、及び膜厚を下記表3にまとめ
た。
下と実施例1〜5に比べて薄膜化している。具体的には、実施例6による遮光膜3の膜厚は、400+165=565[Å]、即ち56.5[nm]である。
実施例6で得られた各ハーフトーン型位相シフトマスクについて、上記各実施例と同様
にして遮光膜3の反射率カーブを測定した。測定結果を図5に示す。同図中、符号Kは、下地部3bの反射率カーブを示し、符号Lは下地部3bと反射率調整部3aとの積層膜、即ち遮光
膜3全体の反射率カーブを示す。
図5に示すように、実施例6による遮光膜3の反射率カーブLは、193[nm]〜365[nm]の波長範囲内における反射率の変化が10%以内と反射率波長依存性が小さく、しかも
この波長範囲内では一貫して反射率が20%以下となっており、遮光膜3が非常に好まし
い反射率波長依存性を有している。
実施例6における第1遮光膜31(下地部)、及び第2遮光膜32(反射率調整部)の組成を、
オージェ電子分光分析装置によって調べた。その結果を、下記表4に掲げる。
反射率調整部3aが酸素を20原子%以上含有している。詳細には、反射率調整部3aは、クロムを35原子%含有し、炭素を10原子%含有し、酸素を40原子%含有し、かつ窒素を15原子%含有してなる。
実施例6で得られた各ハーフトーン型位相シフトマスクについて、遮光膜3の光学濃度を測定した。測定結果を図6に示す。同図は、同図は縦軸に光学濃度(OD)をとり、横軸に試験光の波長[nm]をとったODカーブを示す。即ち、ODカーブとは、光学濃度の波長依存性を表すグラフである。同図中、符号Mは下地部3bのODカーブを示し、符号Nは下地部3bと反射率調整部3aとの積層膜、即ち遮光膜3全体のODカーブを示す。
て2以上の充分な光学濃度を示しているため、半透光膜と合せた場合に3以上の光学濃度
を得ることができる。
これは、遮光膜3を、酸素を含有しない下地部3bを含んで構成したからであると考えら
れる。つまり、仮に遮光膜3全体をCrCONのみから構成しようとすると、その総膜厚
が厚くなるのは必須と考えられるが、該遮光膜3を、酸素の排除された下地部3bを用いて
構成した場合には、該下地部3bが高い遮光性を発揮するから、反射率調整部3aとしてCrCONを採用した場合であっても、遮光膜3の総膜厚を60[nm]以下に薄くできる。
例えば、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、バッチ式或いは枚葉式の静止対向型スパッタリング装置ではなく、インライン型のスパッタリング装置を用いて遮光膜3を形成してもよい。その場合、遮光膜3は、その厚み方向に向かって当該成分が連続的に変化するよう構成される。
半透光膜2は、金属、シリコン、窒素及び/又は酸素から実質的になる単層、若しくはそれを積層したもので構成できる。
又、半透光膜2は、高透過率層と低透過率層の多層構造によって構成してもよい。この場合、高透過率層は、シリコン及び窒素、及び/又は酸素から実質的になるもの、或いはこれにクロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム等の金属を微量含めたもので構成できる。又、低透過率層は、マグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、スズ、ランタン、タンタル、タングステン、シリコン、ハフニウムから選ばれる1種又は2種以上の材料で構成できる。
本発明によれば、ハーフトーン型位相シフトマスクにおける遮光膜の反射率波長依存性を容易にかつ正確に調整できる。従って、露光波長、レジスト描画波長、及び検査波長等の推移に伴うハーフトーン型位相シフトマスクの再設計を適切かつ迅速に行えるようになる。
半透光膜パターン、31…第1遮光膜(下地部)、32…第2遮光膜(反射率調整部)、
3111…第1遮光膜パターン(遮光膜パターン)、3211…第2遮光膜パターン(遮光
膜パターン)。
Claims (8)
- 透明基板上に、波長200nm以下の露光光に対して所定の透過率及び位相シフト量を有する半透光膜と、この半透光膜上に形成された遮光膜とを有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクであって、
前記遮光膜は、前記半透光膜側の下地部と、該下地部上の反射率調整部とからなり、前記反射率調整部を含む遮光膜全体の膜厚は60nm以下であり、
前記反射率調整部は、クロム、炭素、酸素及び窒素を含む単独の層であり、クロムが20〜50原子%、炭素が5〜20原子%、酸素が20〜50原子%、窒素が5〜40原子%含有し、前記反射率調整部の膜厚は179Å以下であり、
前記反射率調整部と接する下地部は、主としてクロム及び窒素からなり、酸素を含有しないか、又は酸素の含有率が10原子%以下であり、
前記半透光膜は、金属、シリコン、窒素及び/又は酸素から実質的になり、前記露光光に対する透過率が3〜40%であり、
前記露光光の波長よりも長い波長を有する検査光に対する前記半透光膜の反射率と前記遮光膜の反射率とが3%以上相違し、
前記反射率調整部の193〜365nmの波長範囲にわたる反射率の変化が10%以内であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。 - 透明基板上に、波長200nm以下の露光光に対して所定の透過率及び位相シフト量を有する半透光膜と、この半透光膜上に形成された遮光膜とを有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクであって、
前記遮光膜は、前記半透光膜側の下地部と、該下地部上の反射率調整部とからなり、前記反射率調整部を含む遮光膜全体の膜厚は60nm以下であり、
前記反射率調整部は、クロム、炭素、酸素及び窒素を含む単独の層であり、クロムが20〜50原子%、炭素が5〜20原子%、酸素が20〜50原子%、窒素が5〜40原子%含有し、前記反射率調整部の膜厚は179Å以下であり、
前記反射率調整部と接する下地部は、主としてクロム及び窒素からなり、酸素を含有しないか、又は酸素の含有率が10原子%以下であり、
前記半透光膜は、金属、シリコン、窒素及び/又は酸素から実質的になり、前記露光光に対する透過率が3〜40%であり、
前記露光光の波長よりも長い波長を有する検査光に対する前記半透光膜の反射率と前記遮光膜の反射率とが3%以上相違し、
前記反射率調整部の193〜488nmの波長範囲にわたる反射率の変化が25%以内であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。 - 前記反射率調整部の反射率は、257〜365nmの波長範囲内で極小値をとることを特徴とする請求項1又は2に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 前記反射率調整部の反射率は、193〜500nmの波長範囲で反射率が40%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 前記反射率調整部の反射率は、前記露光光の波長及び遮光膜パターンを形成するためのレーザ描画装置のレーザ光の波長の何れに対しても30%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 前記遮光膜の反射率波長依存性は、前記遮反射率調整部の窒素の含有率によって制御されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 前記半透過膜が8〜30%の透過率を有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに
記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。 - 請求項1〜7の何れかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクを用いて製造されるハーフトーン型位相シフトマスク。
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