JP4604465B2 - 印刷ユニット及びプリンタ装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数台が積み重ねられて記録紙の両面に画像を記録することが可能なプリンタ装置を構成する印刷ユニット及び、この印刷ユニットを含む複数台のユニットから構成されて記録紙の両面に画像を記録することが可能なプリンタ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
大量の印刷物を作成する場合などにおいて、複数台の印刷ユニットを並列的に配置し、これらの印刷ユニットに印刷ジョブを振り分け、これらの印刷ユニットを並列的に動作させることにより、高速印刷を実現する並列処理型のプリンタ装置が、例えば、特許文献１に示されている。この特許文献１に示されたプリンタ装置は、印刷ユニットと、この印刷ユニットから搬出される印刷済みの記録紙を排紙する排紙部、記録紙を収納し、この記録紙を印刷ユニットへ供給する給紙部、及び制御部により構成されるベースユニットとを有しており、このベースユニット上に印刷ユニットが少なくとも１台以上積み重ねられて構成されている。
【０００３】
ここで、特許文献１の各印刷ユニットは、記録紙へ印刷を行うインクジェットヘッド等からなる印刷部と、印刷部への搬入口から搬入される記録紙を印刷部へ供給する第１給紙部（第１給紙路）と、搬入口から搬入される記録紙を他段の印刷ユニットへ供給する第２給紙部（第２給紙路）と、印刷部にて印刷された記録紙を搬出口へ排紙する第１排紙部（第１排紙路）と、他段の印刷ユニットで印刷された記録紙を搬出口へ排出する第２排紙部（第２排紙路）とを有している。
【０００４】
特許文献１のプリンタ装置では、最下段の印刷ユニットの搬出口はベースユニットの排紙部に接続されると共に、搬入口はベースユニットの給紙部に接続されている。また隣接する印刷ユニット間では、下段側の印刷ユニットの第２給紙路及び第２排紙路が、上段側の印刷ユニットの搬入口及び排出口にそれぞれ接続される。これにより、このプリンタ装置では、各印刷ユニットの第２給紙路が接続されて記録紙を印刷部へ案内するための１本の給紙経路が構成されると共に、各印刷ユニットの第２排紙路が接続されて記録紙を排紙部へ案内するための１本の排紙経路が構成される。従って、各第２給紙路が接続された給紙経路を通してベースユニットの給紙部から任意の印刷ユニットに送られてきた記録紙が第１給紙路により印刷部へ給紙可能になり、また印刷部により印刷された記録紙が第１排紙路を通して第２排紙路へ送り出され、この記録紙が、各第２排紙路が接続されて構成された排紙経路に沿って排紙搬送ローラにより搬送され、排紙経路内からベースユニットの排紙部へ搬出される。
【０００５】
また、特許文献１には、ベースユニット上に積み重ねる印刷ユニットの段数（台数）を増減することにより、ユーザの要求等に応じてプリンタ装置による印刷速度等の印刷能力が広い範囲で調整可能になると記載されている。
【０００６】
ところで、近年、プリンタ装置に対しては、オフィス等における紙節約の要求等から記録紙の使用枚数を減らすため、記録紙の両面に画像を自動的に記録する機能（両面印字機能）を求められることが多くなっている。このような両面印字機能は、例えば、画像記録部により記録紙の片面側に画像を記録した後、この記録紙を表裏反転して再度、画像記録部へ供給することにより実現される。このような両面印字機能を有するプリンタ装置としては、例えば、特許文献２に示されたものが有る。
【０００７】
上記特許文献２に示されたプリンタ装置では、印刷データに基づいて記録ヘッドからインクを吐出させて記録紙に印刷する記録部を複数、縦列配置するとともに、前記記録部のうち、記録紙の一方の第１面（表面）を印刷する第１面用記録部と、この記録媒体の残りの第２面（裏面）を印刷する第２面用記録部とが互いにその印刷搬送方向が反対となるように配置されている。ここで、第１面用記録部の排出側と第２面用記録部の供給側との間には供給路が設けられており、この供給路には、第１面用記録部から排出された記録紙を表裏反転して第２面用記録部に供給し、又は第１面用記録部から排出された記録紙を、第２面用記録部を介さずに記録紙の収容部に排出可能とする反転部が設けられている。これにより、記録紙に対して両面印字を行う場合には、第１面用記録部により記録紙の表面に印刷した後、この記録紙を供給路へ搬出して反転部により第２面用記録部に供給すれば、第２面用記録部により記録紙の裏面に印刷でき、また片面印字を行う場合には、第１面用記録部により記録紙の表面に印刷した後、この記録紙を供給路へ搬出して反転部により第２面用記録部を介さず収容部へ直接排出する。
【０００８】
【特許文献１】
特開２０００−１０３７３５号公報
【特許文献２】
特開２００２−３０１８０８号公報
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献１のプリンタ装置では、ベースユニット上に積み重ねる印刷ユニットの台数を増減することにより、印刷速度等の印刷能力が広い範囲で調整可能になるが、記録紙に対する両面印字機能を実現できない。
【００１０】
一方、特許文献２のプリンタ装置では、記録紙に対する両面印字が可能になるが、記録紙に対する印刷速度等の印刷能力が基本的に固定されており、ユーザの要求等に応じてプリンタ装置による印刷能力を簡単には増減できない。
【００１１】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、複数台が積み重ねられることで、記録媒体の両面にそれぞれ画像を記録可能なプリンタ装置を構成でき、しかも積み重ねられる台数に応じてプリンタ装置による印刷能力を簡単に増減できる印刷ユニット及び、記録媒体の両面にそれぞれ画像を記録でき、しかも印刷ユニットの台数を簡単に増減して印刷能力を広い範囲で調整できるプリンタ装置を提供することにある。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項１に係る印刷ユニットは、シート状の記録媒体における少なくとも片側の面に画像を記録する印刷部を含み、少なくとも２台が幅方向に対して互いに反対の方向を向くように反転された状態で、所定の重ね合わせ方向に沿って重ね合わされることにより、記録媒体の両側の面に画像記録を行うことが可能となるプリンタ装置を構成する印刷ユニットであって、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第１の搬送手段と、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第２の搬送手段と、前記第１の搬送手段から前記印刷部に記録媒体を送り込み、該印刷部により画像が記録された記録媒体を前記第２の搬送手段へ送り出す主搬送手段と、を有し、前記第１の搬送手段と前記第２の搬送手段とを、前記幅方向に沿って延在する他のユニットとの重ね合わせ面において、ユニット同士を前記幅方向に沿って反転させる際の中心に対して互いに点対称となるように配置したことを特徴とする。
【００１３】
上記請求項１に係る印刷ユニットによれば、第１の搬送手段と第２の搬送手段とを、前記幅方向に沿って延在する他のユニットとの重ね合わせ面において、ユニット同士を前記幅方向に沿って反転させる際の中心に対して互いに点対称となるように配置したことにより、少なくとも２台の印刷ユニットを重ね合わせ方向に沿って重ね合わせてプリンタ装置を構成する際に、１台以上の印刷ユニットを、他の１台の印刷ユニットに対して幅方向に沿って印刷部が反対の方向を向くように反転した状態で重ね合わすことが可能になり、このとき、第１の搬送手段及び第２の搬送手段を、他のユニットとの重ね合わせ面において、他の印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段又は第２の搬送手段及び第１の搬送手段にそれぞれ接続できる。
【００１４】
従って、少なくとも２台の印刷ユニットが、幅方向に沿って印刷部が互いに反対の方向を向くように反転された状態で重ね合わされて構成されたプリンタ装置では、１台の印刷ユニットにおける印刷部により表面に画像が記録された記録媒体を主搬送手段により第２の搬送手段へ送り込み、この記録媒体を他の１台の印刷ユニットにおける第１の搬送手段へ送り込めば、１台の印刷ユニットの印刷部への供給時とは、表裏が反転した状態で記録媒体を他の１台の印刷ユニットの印刷部に供給できるので、この印刷部により記録媒体の裏面に画像を記録できる。
【００１５】
また請求項１に係る印刷ユニットによれば、第１の搬送手段と第２の搬送手段とが幅方向に沿って印刷部を挟む両端部にそれぞれ配置されていることにより、主搬送手段により記録媒体を第１の搬送手段から印刷部へ送り込み、記録媒体を幅方向に沿って第２の搬送手段側へ移動させつつ印刷部に記録媒体に画像を形成すれば、記録媒体を略直線的に第１の搬送手段から印刷部へ搬送し、更に印刷部から第２の搬送手段へ搬送できるので、ユニット内で記録媒体を搬送するためだけの搬送時間を効果的に短縮できる。
【００１６】
また請求項２に係る印刷ユニットは、請求項１に記載の印刷ユニットにおいて、前記第１の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第１の搬送ガイド路を含み、前記第２の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第２の搬送ガイド路を含むことを特徴とする。
【００１７】
上記請求項２に係る印刷ユニットによれば、第１の搬送手段が幅方向に沿って印刷部を挟む両端部の一方に配置されると共に、重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第１の搬送ガイド路を含み、第２の搬送手段が幅方向に沿って印刷部を挟む両端部の他方に配置されると共に、重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第２の搬送ガイド路を含むことにより、第１の搬送手段及び第２の搬送手段をそれぞれユニット内部に効率的に配置できると共に、第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路をユニット内部に配置するためのスペースを小さいものにできる。
【００１８】
また請求項３に係る印刷ユニットは、請求項２に記載の印刷ユニットにおいて、前記第１の搬送ガイド路は、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端面の一方に沿って設けられ、前記第２の搬送ガイド路は、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端面の他方に沿って設けられることを特徴とする。
【００１９】
また請求項４に係る印刷ユニットは、請求項２又は３に記載の印刷ユニットにおいて、前記第１の搬送手段は、前記第１の搬送ガイド路に沿って記録媒体を搬送する第１の搬送ロールを含み、前記第２の搬送手段は、前記第２の搬送ガイド路に沿って記録媒体を搬送する第２の搬送ロールを含むことを特徴とする。
【００２０】
また請求項５に係る印刷ユニットは、請求項２乃至４の何れか１項に記載の印刷ユニットにおいて、前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路は、それぞれ前記重ね合わせ方向に沿って隣接する他の印刷ユニットにおける前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路の一方に接続されて、記録媒体をユニット外部から受け入れると共に、記録媒体をユニット外部へ排出するための第１の通紙経路の一部及び第２の通紙経路の一部を構成することを特徴とする。
【００２１】
上記請求項５に係る印刷ユニットによれば、第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路が、隣接する他の印刷ユニットにおける第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路の一方に接続されて、記録媒体をユニット外部から受け入れると共に、記録媒体をユニット外部へ排出するための第１の通紙経路の一部及び第２の通紙経路の一部を構成することにより、第１の通紙経路又は第２の通紙経路を通して記録媒体を、重ね合わされた複数台の印刷ユニットのうち何れに供給でき、又は印刷ユニットにより画像が記録されたユニット外部へ排出できる。
【００２２】
また請求項６に係る印刷ユニットは、請求項１乃至５の何れか１項に記載の印刷ユニットにおいて、前記重ね合せ方向が鉛直方向と略一致することを特徴とする。
【００２３】
また請求項７に係る印刷ユニットは、請求項１乃至６の何れか１項に記載の印刷ユニットにおいて、前記主搬送手段は、前記第２の搬送手段と前記印刷部との間に設けられ、該印刷部により画像が記録された記録媒体を一時保持するバッファ手段を含むことを特徴とする。
【００２４】
上記請求項７に係る印刷ユニットによれば、印刷部により画像が記録された記録紙がバッファ手段により一時保持されることにより、画像が記録された記録媒体を主搬送手段により直ちに第２の搬出手段へ送り出さなくても、引き続き印刷部に記録媒体を供給し、この記録媒体に対して印刷部により画像記録を開始できるので、例えば、他の印刷ユニットにより画像が記録された記録媒体が第２の搬送手段に送り込まれており、第２の搬送手段に直ちに画像が記録された記録媒体を送り込めない時でも、印刷部による記録紙に対する画像の記録動作を中断する必要がなくなり、かつバッファ手段に一時保持された記録媒体については、第２の搬送手段へ記録媒体を送り込むことが可能なった時点で、この記録媒体を主搬送手段により第２の搬送手段へ送り込むようにすれば、印刷部による記録動作に影響を与えることなく、画像が記録された記録媒体を第２の搬送手段により印刷ユニットの外部へ搬送できる。
【００２５】
また、例えば、印刷部がインクにより記録媒体に画像を記録するものであれば、印刷部により画像が記録された記録媒体をバッファ手段により一定時間以上保持することにより、記録媒体をインクが十分に乾燥した後、第２の搬送手段へ送り込むことができるので、裏面記録用の印刷ユニットによる記録媒体への画像記録時にローラ等との接触によりインクの滲みが発生したり、画像記録完了後に、他の記録媒体上に積載されたときに他の記録媒体へのインク転写を防止できるようになる。
【００２６】
また請求項８に係る印刷ユニットは、請求項７に記載の印刷ユニットにおいて、前記バッファ手段は、前記印刷部により画像が記録された記録媒体を１枚以上収納可能とされた収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記第２の搬送手段へ送り出す分離排出手段と、を含むことを特徴とする。
【００２７】
上記請求項８に係る印刷ユニットによれば、バッファ手段が、印刷部により画像が記録された記録媒体を１枚以上収納可能とされた収納手段と、収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して第２の搬送手段へ送り出す分離排出手段とを含むことにより、画像が記録された複数枚の記録媒体を収納手段内に一時的に収納しておけば、第２の搬送手段へ記録媒体を送り込むことが可能なった時点で、収納手段内に収納された複数枚の記録媒体から１枚の記録媒体のみを分離排出手段により分離し、この１枚の記録媒体を第２の搬送手段へ送り込むことができるので、このような収納手段が無い場合や収納手段に１枚の記録媒体しか収納できない場合と比較し、第２の搬送手段に画像が記録された記録媒体を送り込めない時にも、印刷部により記録媒体に対する記録動作を継続できる時間を延長できる。
【００２８】
また請求項９に係る印刷ユニットは、請求項８に記載の印刷ユニットにおいて、前記収納手段は、ユニット本体部に対して挿抜自在に設けられたトレイであることを特徴とする。そして請求項１０に係る印刷ユニットは、請求項９に記載の印刷ユニットにおいて、前記トレイは、ユニット本体部内の装着位置から奥行方向に沿って前方及び後方の双方向へ抜脱可能とされたことを特徴とする。
【００２９】
また請求項１１に係る印刷ユニットは、請求項１乃至１０の何れか１項に記載の印刷ユニットにおいて、前記印刷部に対して記録媒体を供給する個別供給手段を含むことを特徴とする。
【００３０】
上記請求項１１に係る印刷ユニットによれば、印刷部よる画像記録時に個別供給手段が記録媒体を印刷部に供給することにより、ユニット外部から記録媒体を第１の搬送手段に供給することなく、印刷部に記録媒体を供給し、この記録媒体に画像を記録できるので、例えば、他の印刷ユニットに記録媒体を供給するため第１の搬送手段が使用されていても、印刷部により記録媒体に対する画像記録を支障なく実行できる。
【００３１】
また請求項１２に係る印刷ユニットは、請求項１１に記載の印刷ユニットにおいて、前記個別供給手段は、１枚以上の記録媒体を収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ供給する分離供給手段と、を含むことを特徴とする。
【００３２】
上記請求項１２に係る印刷ユニットによれば、個別供給手段が、１枚以上の記録媒体を収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ供給する分離供給手段と、を含むことより、収納手段内に複数枚の記録媒体を予め装填しておき、この収納手段内の複数枚の記録媒体を１枚ずつ分離して印刷部へ供給できる。
【００３３】
また請求項１３に係る印刷ユニットは、請求項１２に記載の印刷ユニットにおいて、前記収納手段は、ユニット本体部に対して挿抜自在に設けられたトレイであることを特徴とする。上記請求項１３に係る印刷ユニットによれば、個別供給手段が１枚以上の記録媒体を収納すると共に、ユニット本体に対して挿抜自在に設けられた収納トレイを含むことにより、ユニット本体部から収納トレイを抜き取り、この収納トレイ内へ１枚以上の記録媒体を装填した後、トレイをユニット本体部内へ再び挿入すれば、収納手段内に記録媒体を簡単かつ迅速に補給できる。
【００３４】
また請求項１４に係る印刷ユニットは、請求項１３に記載の印刷ユニットにおいて、前記トレイは、ユニット本体部内の装着位置から奥行方向に沿って前方及び後方の双方向へ抜脱可能とされたことを特徴とする。
【００３５】
また請求項１５に係る印刷ユニットは、請求項１乃至１４の何れか１項に記載の印刷ユニットにおいて、前記主搬送手段は、前記第１の搬送手段により搬送されている記録媒体を選択的に該第１の搬送手段から離脱させて前記印刷部へ送り込む選択手段を含むことを特徴とする。
【００３６】
上記請求項１５に係る印刷ユニットによれば、主搬送手段が第１の搬送手段により搬送されている記録媒体を選択的に第１の搬送手段から離脱させて印刷部へ送り込む選択手段を含むことにより、第１の搬送手段により搬送されている記録媒体を印刷部に送り込み、印刷部により画像を記録するか、第１の搬送手段により搬送されている記録媒体を印刷部に送り込むことなく、ユニット外部へ排出するかを自由に選択することが可能になる。
【００３７】
本発明の請求項１６に係るプリンタ装置は、シート状の記録媒体における少なくとも片側の面に画像を記録する印刷部を含む印刷ユニットを含み、少なくとも２台の前記印刷ユニットが幅方向に対して互いに反対の方向を向くように反転された状態で、所定の重ね合わせ方向に沿って重ね合わされることにより、記録媒体の両側の面に画像記録を行うことが可能となるプリンタ装置であって、前記印刷ユニットは、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第１の搬送手段と、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第２の搬送手段と、前記第１の搬送手段から前記印刷部に記録媒体を送り込み、該印刷部により画像が記録された記録媒体を前記第２の搬送手段へ送り出す主搬送手段と、を有し、前記第１の搬送手段と前記第２の搬送手段とを、前記幅方向に沿って延在する他のユニットとの重ね合わせ面において、ユニット同士を前記幅方向に沿って反転させる際の中心に対して互いに点対称となるように配置したことを特徴とする。
【００３８】
上記請求項１６に係るプリンタ装置では、印刷ユニットにおける第１の搬送手段と第２の搬送手段とを互いに点対称となるように配置したことにより、少なくとも２台の印刷ユニットを重ね合わせ方向に沿って重ね合わせてプリンタ装置を構成する際に、１台以上の裏面記録用の印刷ユニットを、他の表面記録用の印刷ユニットに対して幅方向に沿って印刷部が反対の方向を向くように、反転軸を中心とし反転した状態で重ね合わすことが可能になり、このとき、一の印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段を、他のユニットとの重ね合わせ面において、他の印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段又は第２の搬送手段及び第１の搬送手段にそれぞれ接続できる。
【００３９】
従って、上記請求項１６に係るプリンタ装置によれば、１台の印刷ユニットにおける印刷部により表面に画像が記録された記録媒体を主搬送手段により第２の搬送手段へ送り込み、この記録媒体を他の１台の印刷ユニットにおける第１の搬送手段へ送り込めば、１台の印刷ユニットの印刷部への供給時とは、表裏が反転した状態で記録媒体を他の１台の印刷ユニットの印刷部に供給できるので、この印刷部により記録媒体の裏面に画像を記録できる。
【００４０】
また請求項１７に係るプリンタ装置は、請求項１６に記載のプリンタ装置において、前記第１の搬送手段及び前記第２の搬送手段によりそれぞれ前記印刷ユニット内から排出された記録媒体を１枚以上保持する排出ユニットを有することを特徴とする。
【００４１】
上記請求項１７に係るプリンタ装置によれば、排出ユニットが第１の搬送手段及び第２の搬送手段により印刷ユニット内から排出された記録媒体を１枚以上保持することにより、印刷ユニットからの記録媒体の排出完了のタイミングに影響されることなく、所望のタイミングで画像が記録された記録媒体を装置から回収できる。
【００４２】
また請求項１８に係るプリンタ装置は、請求項１６又は１７に記載のプリンタ装置において、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置され、前記第１の搬送手段に記録媒体を供給するための第１の搬入口と、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置され、前記第２の搬送手段に記録媒体を供給するための第２の搬入口と、を有することを特徴とする。
【００４３】
上記請求項１８に係るプリンタ装置によれば、第１の搬入口又は第２の搬入口を通して記録媒体を第１の搬送手段又は第２の搬送手段に供給することにより、重ね合わせ方向に沿って重ね合わされた複数台の印刷ユニットにおける何れの印刷ユニットの第１の搬送手段へでも、印刷部を介すことなく装置外部から記録媒体を送り込めるので、任意の印刷ユニットの第１の搬送手段に記録媒体を直接送り込み、この裏面記録用の印刷ユニットの印刷部により記録媒体に画像を記録できる。
【００４４】
また請求項１９に係るプリンタ装置は、請求項１６乃至１８の何れか１項に記載のプリンタ装置において、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置され、前記第１の搬送手段から装置外部へ記録媒体を排出するための第１の排出口と、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置され、前記第２の搬送手段から装置外部へ記録媒体を排出するための第２の排出口と、を有することを特徴とする。
【００４５】
上記請求項１９に係るプリンタ装置によれば、第１の排出口又は第２の排出口を通して記録媒体を第１の搬送手段又は第２の搬送手段により排出することにより、重ね合わせ方向に沿って重ね合わされた複数台の印刷ユニットにおける何れの印刷ユニットにより画像が記録された記録媒体でも、装置外部へ排出できる。
【００４６】
また請求項２０に係るプリンタ装置は、請求項１６乃至１９の何れか１項に記載のプリンタ装置において、前記第１の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第１の搬送ガイド路を含み、前記第２の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第２の搬送ガイド路を含むことを特徴とする。
【００４７】
上記請求項２０に係るプリンタ装置によれば、第１の搬送手段が幅方向に沿って印刷部を挟む両端部の一方に配置されると共に、重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第１の搬送ガイド路を含み、第２の搬送手段が幅方向に沿って印刷部を挟む両端部の他方に配置されると共に、重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第２の搬送ガイド路を含むことにより、第１の搬送手段及び第２の搬送手段をそれぞれユニット内部に効率的に配置できると共に、第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路をユニット内部に配置するためのスペースを小さいものにできる。
【００４８】
また請求項２１に係るプリンタ装置は、請求項２０に記載のプリンタ装置において、前記第１の搬送手段は、前記幅方向に沿って隣接する２本の前記第１の搬送ガイド路を含み、前記第２の搬送手段は、前記幅方向に沿って隣接する２本の前記第２の搬送ガイド路を含むことを特徴とする。
【００４９】
上記請求項２１に係るプリンタ装置によれば、第１の搬送手段が２本の第１の搬送ガイド路を含み、第２の搬送手段が２本の第１の搬送ガイド路を含むことより、一方の第１の搬送ガイド路又は第２の搬送ガイド路を通して記録媒体を搬送できない場合でも、他方の第１の搬送ガイド路又は第２の搬送ガイド路を通して記録媒体を搬送できるので、一方の第１の搬送ガイド路又は第２の搬送ガイド路を通して記録媒体を搬送できないことによって、各印刷ユニットにより画像が記録された記録媒体の排出開始が遅延することを防止でき、かつ印刷ユニットへの記録媒体の供給開始が遅延を防止できる。
【００５０】
また請求項２２に係るプリンタ装置は、請求項２１に記載のプリンタ装置において、前記第１の搬送手段及び前記第２の搬送手段は、前記印刷部により画像が記録された記録媒体を前記幅方向に沿って外側の前記第２の搬送ガイド路へ送り出すことを特徴とする。
【００５１】
また請求項２３に係るプリンタ装置は、請求項２０乃至２２の何れか１項に記載のプリンタ装置において、前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路は、それぞれ前記重ね合わせ方向に沿って隣接する他の印刷ユニットにおける前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路の一方に接続されて、記録媒体をユニット外部から受け入れると共に、記録媒体をユニット外部へ排出するための第１の通紙経路の一部及び第２の通紙経路の一部を構成することを特徴とする。
【００５２】
上記請求項２３に係るプリンタ装置によれば、第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路が、隣接する他の印刷ユニットにおける第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路の一方に接続されて、記録媒体をユニット外部から受け入れると共に、記録媒体をユニット外部へ排出するための第１の通紙経路の一部及び第２の通紙経路の一部を構成することにより、第１の通紙経路又は第２の通紙経路を通して記録媒体を、重ね合わされた複数台の印刷ユニットのうち何れに供給でき、又は印刷ユニットにより画像が記録されたユニット外部へ排出できる。
【００５３】
また請求項２４に係るプリンタ装置は、請求項１６乃至２３の何れか１項に記載のプリンタ装置において、１枚以上の記録媒体を収納すると共に、収納した記録媒体を前記印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段の何れかに供給する共通供給手段を有することを特徴とする。
【００５４】
上記請求項２４に係るプリンタ装置によれば、共通供給手段が、１枚以上の記録媒体を収納すると共に、収納した記録媒体を印刷ユニットにおける個別供給手段へ供給することにより、共通供給手段から印刷ユニットにおける個別供給手段へ記録媒体を補給できるので、記録媒体を印刷ユニットの個別供給手段へ補給するための印刷ユニットの停止時間を減少でき、結果として印刷ユニットによる印刷能力を向上できる。
【００５５】
また請求項２５に係るプリンタ装置は、請求項１６乃至２４の何れか１項に記載のプリンタ装置において、前記印刷ユニットは、前記印刷部に対して記録媒体を供給する個別供給手段を有することを特徴とする。
【００５６】
上記請求項２５に係るプリンタ装置によれば、任意の印刷ユニットにおいて、その印刷部よる画像記録時に個別供給手段が記録媒体を印刷部に供給することにより、ユニット外部から記録媒体を第１の搬送手段に供給することなく、印刷部に記録媒体を供給し、この記録媒体に画像を記録できるので、例えば、他の印刷ユニットに記録媒体を供給するため第１の搬送手段が使用されていても、印刷部により記録媒体に対する画像記録を支障なく実行できる。
【００５７】
また請求項２６に係るプリンタ装置は、請求項２５に記載のプリンタ装置において、前記個別供給手段は、記録媒体を１枚以上収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ送り出す分離供給手段と、を含むことを特徴とする。
【００５８】
上記請求項２６に係るプリンタ装置によれば、個別供給手段が、記録媒体を１枚以上収納する収納手段と、この収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して印刷部へ送り出す分離供給手段とを含むことにより、装置外部から記録媒体を印刷ユニットにおける第１の搬送手段に供給することなく、収納手段から印刷部に記録媒体を供給し、この記録媒体に画像を記録できるので、例えば、複数枚の記録媒体を収納手段内に一時的に収納しておけば、このような収納手段が無い場合や収納手段に１枚の記録媒体しか収納できない場合と比較し、他の印刷ユニットに記録媒体を供給するため一の印刷ユニットの第１の搬送手段が使用されていても、一の印刷ユニットでは印刷部により記録媒体に対する画像記録を継続できる時間を延長できる。
【００５９】
また請求項２７に係るプリンタ装置は、請求項２３に記載のプリンタ装置において、１枚以上の記録媒体を収納すると共に、収納した記録媒体を前記印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段の何れかに供給する共通供給手段と、前記印刷ユニットに備えられ、記録媒体を１枚以上収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ送り出す分離供給手段と、を含む個別供給手段と、を有し、前記共通供給手段は、記録媒体を前記第１の通紙経路及び前記第２の通紙経路の一方を通して前記収納手段内へ供給することを特徴とする。
【００６０】
上記請求項２７に係るプリンタ装置によれば、共通供給手段が、記録媒体を第１の通紙経路及び第２の通紙経路の一方を通して収納手段内へ供給することにより、共通供給手段からの記録媒体を、第１の通紙経路及び第２の通紙経路の一方を通して重ね合わされた複数台の印刷ユニットのうち何れの印刷ユニットにおける収納手段内へも補給できる。
【００６１】
また請求項２８に係るプリンタ装置は、請求項２６又は２７に記載のプリンタ装置において、一の前記印刷ユニットにおける前記主搬送手段は、前記第２の搬送手段と前記印刷部との間に設けられ、該印刷部により画像が記録された記録媒体を一時保持するバッファ手段と、該バッファ手段により一時保持された記録媒体を、前記幅方向に沿って反転状態とされた他の前記印刷ユニットにおける前記収納手段内に表裏を反転した状態で送り込む反転供給手段と、を有することを特徴とする。
【００６２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る印刷ユニット及びプリンタ装置について図面を参照して説明する。
【００６３】
（第１の実施形態）
図１及び図２には本発明に第１の実施形態に係るプリンタ装置が示され、図３及び図４には本実施形態に係るプリンタ装置に適用される印刷ユニットが示されている。
【００６４】
図３に示されるように、印刷ユニット１０は外殻部としてケーシング１２を備えており、このケーシング１２は、装置の高さ方向（矢印Ｈ方向）に沿って扁平な直方体状に形成されている。ケーシング１２には、その底板部１３における幅方向（矢印Ｗ方向）に沿った一端側（図３では右側、以下、印刷ユニット１０では、便宜上、この一端側を「先端側」と呼称し、他端側を「後端側」と呼称する。）にスリット状の給紙搬入口１６が穿設されると共に、底板部１３における後端側にスリット状の排紙搬入口１８が穿設されている。またケーシング１２には、その頂板部１４における先端側に給紙搬入口１６に正対するようにスリット状の給紙搬出口１７が穿設されると共に、頂板部１４における後端側に排紙搬入口１８に正対するようにスリット状の排紙搬出口１９が穿設されている。
【００６５】
図３に示されるように、ケーシング１２内には、底板部１３上に上面側が開口した筐体状の給紙ホッパ２０が配置されている。給紙ホッパ２０内には、１枚の記録紙Ｐ又は複数枚の記録紙Ｐが積層された記録紙の束（以下、これを、特に「記録紙Ｐ」と区別する必要がある場合には、「紙束Ｂ」という。）が収納可能とされている。給紙ホッパ２０内には、底板部２１上に幅方向に沿って一対の積載板２２，２３が互いに隣接するように配置されており、これらの積載板２２，２３は、それぞれ幅方向中心側の端部が底板部２１に揺動可能に連結されている。これにより、給紙ホッパ２０内に収納された記録紙Ｐ（紙束Ｂ）は、その先端側の部分が積載板２２上に載置されると共に、後端側の部分が積載板２３上に載置される。積載板２２，２３は、それぞれコイルスプリング等の付勢部材２４により揺動端側がそれぞれ上方へ付勢されている。
【００６６】
給紙ホッパ２０は、ケーシング１２により奥行方向（図４に示される矢印Ｄ方向）に沿って装着位置と補給位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、給紙ホッパ２０は、ケーシング１２内の装着位置からケーシング１２の側方へ突出する補給位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して記録紙Ｐを補給し、又は取り出すことが可能になる。なお、本実施形態の印刷ユニット１０では、装着位置にある給紙ホッパ２０が奥行方向に沿って前方（図４（Ａ）の紙面下方）及び後方（図４（Ａ）の紙面上方）の何れの方向でも移動可能とされており、給紙ホッパ２０を後方及び前方何れの方向へ移動させた場合でも、装着位置から補給位置へ移動可能となっている。
【００６７】
図３に示されるように、印刷ユニット１０内には、給紙ホッパ２０の上側に上面側が開口した筐体状の排紙バッファ２６が配置されている。この排紙バッファ２６内には記録紙Ｐ（紙束Ｂ）が収納可能とされている。排紙バッファ２６内には、その底板部２７上に幅方向に沿って一対の積載板２８，２９が互いに隣接するように配置されており、これらの積載板２８，２９は、それぞれ幅方向中心側の端部が底板部２７に揺動可能に連結されている。これにより、排紙バッファ２６内に収納された記録紙Ｐ（紙束Ｂ）は、その先端側の部分が積載板２８上に載置されると共に、後端側の部分が積載板２９上に載置される。積載板２８，２９は、コイルスプリング等の付勢部材３０により揺動端側がそれぞれ上方へ付勢されている。なお、排紙バッファ２６内では、記録紙Ｐの先端及び後端の向きが給紙ホッパ２０内とは逆になると共に、その表裏面が反転された状態となる。
【００６８】
また、排紙バッファ２６も、給紙ホッパ２０と同様に、ケーシング１２により奥行方向に沿って装着位置と排紙位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、排紙バッファ２６は、ケーシング１２内の装着位置からケーシング１２の側方へ突出する排紙位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して記録紙Ｐを取り出すことが可能になる。なお、本実施形態の印刷ユニット１０では、装着位置にある排紙バッファ２６が奥行方向に沿って前方及び後方の何れの方向でも移動可能とされており、排紙バッファ２６を後方及び前方何れの方向へ移動させた場合でも、装着位置から排紙位置へ移動可能となっている。
【００６９】
排紙バッファ２６には、付勢部材３０に抗して積載板２８，２９を揺動方向に沿って底板部２７に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ（図示省略）が配置されており、このアクチュエータは、排紙バッファ２６内に画像記録済みの記録紙Ｐを受け入れる際に、積載板２８，２９を底板部２７に近接した下限位置に揺動させて拘束し、排紙バッファ２６内への記録紙Ｐの受入完了後に積載板２８，２９を下限位置から解放する。またアクチュエータは、排紙バッファ２６を装着位置から排紙位置へ移動させる場合にも積載板２８，２９を下限位置へ揺動させて拘束し、排紙バッファ２６が排紙位置から装着位置へ復帰すると、これに連動して積載板２８，２９を下限位置から解放する。
【００７０】
図３及び図４に示されるように、印刷ユニット１０内には、給紙ホッパ２０の上方であって、幅方向に沿って排紙バッファ２６に隣接する部位に印字部３４が配置されている。この印字部３４には、奥行方向と平行な主走査方向（図４に示される矢印Ｓ方向）に延在するガイドロッド３６が設けられると共に、このガイドロッド３６により主走査方向に沿って移動可能に支持されたブロック状のインクジェットヘッド３８が設けられている。また印字部３４には、記録紙Ｐに対する画像記録時にインクジェットヘッド３８を所定の主走査速度で往復移動させるヘッド駆動機構（図示省略）が設けられている。
【００７１】
図３に示されるように、印字部３４には、主走査方向に直交する副走査方向（図４に示される矢印Ｗ方向）に沿ってインクジェットヘッド３８を挟むように２組のニップローラ対４０，４２が配置されると共に、ニップローラ対４０，４２間にインクジェットヘッド３８の下面部に対向するようにガイド板４４が配置されている。ガイド板４４は、インクジェットヘッド３８の下面との間にスリット状の隙間を形成している。これら２組のニップローラ対４０，４２は、インクジェットヘッド３８により画像が記録される記録紙Ｐをガイド板４４の上面側に圧接させつつ、この記録紙Ｐを所定の副走査速度で搬送する。
【００７２】
ここで、インクジェットヘッド３８には、その下面部分に主走査方向に沿って記録すべき画像の画素密度に対応するピッチで配設された複数のノズル（図示省略）が設けられており、インクジェットヘッド３８は、ヘッド駆動機構により主走査方向へ移動しつつ、デジタル化された画像情報に基づいて各ノズルからインクを噴射及び噴射停止することで、ニップローラ対４０，４２により副走査方向へ搬送される記録紙Ｐ上に画像情報に対応する画像を形成する。
【００７３】
図３に示されるように、印刷ユニット１０には、給紙ホッパ２０の上方に円筒状の分離給紙ローラ４６が配置されている。この分離給紙ローラ４６は、給紙ホッパ２０内に収納され積載板２２，２３により上方へ付勢された記録紙Ｐ（紙束Ｂ）上面の先端側に圧接する。また印刷ユニット１０には、分離給紙ローラ４６と印字部３４のニップローラ対４０との間に一定の間隔を空けて互いに対向する一対の印字ガイド板４８，５０が配置されている。一対の印字ガイド板４８，５０はそれぞれＵ字状に湾曲しており、これら一対の印字ガイド板４８，５０間には、１枚の記録紙Ｐをニップローラ対４０へ案内するための印字ガイド路５２が形成されている。
【００７４】
印刷ユニット１０では、給紙ホッパ２０内からインクジェットヘッド３８に記録紙Ｐを供給する際には、給紙ホッパ２０内の記録紙Ｐに圧接した分離給紙ローラ４６を所定量回転させる。これにより、給紙ホッパ２０内からは１枚の記録紙Ｐが分離され、この１枚の記録紙Ｐは分離給紙ローラ４６からの搬送力により印字ガイド路５２に沿ってニップローラ対４０へ搬送される。なお、印字ガイド路５２の路長が比較的長く、分離給紙ローラ４６からの搬送力だけでは記録紙Ｐを確実にニップローラ対４０まで搬送できない場合には、印字ガイド路５２にはその途中に搬送ローラ対を配置し、この搬送ローラ対により印字ガイド路５２の途中まで搬送されてきた記録紙Ｐをニップローラ対４０まで搬送するようにしても良い。
【００７５】
図３に示されるように、印刷ユニット１０内には、先端部に高さ方向に沿って延在する一対の給紙ガイド板５４，５６が配置されており、この給紙ガイド板５４，５６の間には、印刷ユニット１０を高さ方向に沿って貫通して、ケーシング１２の給紙搬入口１６と給紙搬出口１７とを繋げたスリット状の給紙ガイド路５８が形成されている。この給紙ガイド路５８には、少なくとも下端部及び上端部にそれぞれ搬送ローラ対６０が配置されている。
【００７６】
印刷ユニット１０には、給紙ガイド路５８から給紙ホッパ２０側へ分岐する第１分岐ガイド路６２設けられている。一方、給紙ホッパ２０には、図５に示されるように、先端側の側板部に幅方向に沿って第１分岐ガイド路６２側へ延出する筒状の受入ガイド部６４が一体的に形成されており、この受入ガイド部６４内には、記録紙Ｐが通過可能なスリット状の受入ガイド路６６が形成されている。この受入ガイド路６６は、一端部が給紙ホッパ２０内へ開口する排紙口６８とされると共に他端部が給紙口７０とされており、この給紙口７０は第１分岐ガイド路６２の先端部と正対している。これにより、第１分岐ガイド路６２の先端部から排出された記録紙Ｐは、給紙口７０を通して受入ガイド路６６内へ挿入される。この受入ガイド路６６内へ挿入された記録紙Ｐは、搬送ローラ対６０からの搬送力を受けて受入ガイド路６６内から排紙口６８を通して給紙ホッパ２０内へ排出される。
【００７７】
図３（Ｂ）に示されるように、印刷ユニット１０には、給紙ガイド路５８と第１分岐ガイド路６２との分岐部付近に第１ガイドレバー７２が設けられている。この第１ガイドレバー７２には、一端部に回動中心となる支軸部７３が設けられており、この支軸部７３は給紙ガイド板５４の外側に配置された軸受部（図示省略）により軸支されている。ここで、第１ガイドレバー７２は、実線で示される給紙位置と２点鎖線で示される搬送位置との範囲で回動可能とされている。また第１ガイドレバー７２の支軸部７３にはロータリアクチュエータ（図示省略）が連結されており、このロータリアクチュエータにより第１ガイドレバー７２は給紙位置及び搬送位置の何れかの位置に回動し保持される。
【００７８】
ここで、後述する給紙ユニット１４０又は下側の印刷ユニット１０から給紙ガイド路５８内に搬送されてきた記録紙Ｐは、ガイドレバー７２が給紙位置にある場合には、第１ガイドレバー７２により給紙ガイド路５８から第１分岐ガイド路６２内へ案内され、また第１ガイドレバー７２が搬送位置にある場合には、給紙ガイド路５８に沿って上方への搬送が継続される。
【００７９】
給紙ホッパ２０には、排紙バッファ２６と同様に、付勢部材２４に抗して一対の積載板２２，２３を揺動方向に沿って底板部２１に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ（図示省略）が配置されており、このアクチュエータは、受入ガイド路６６内から給紙ホッパ２０内に記録紙Ｐを受け入れる際には、図５（Ａ）に示されるように、積載板２２，２３を下限位置に揺動させて拘束する。このとき、積載板２２，２３上に積載された紙束Ｂは、受入ガイド路６６の排紙口６８よりも低い位置となる。またアクチュエータは、給紙ホッパ２０内への記録紙Ｐの受入完了後に積載板２２，２３を下限位置から解放する。これにより、積載板２２，２３は、付勢部材２４の付勢力により上方へ揺動し、図５（Ｂ）に示されるように、記録紙Ｐの先端部を分離給紙ローラ４６に圧接させる。
【００８０】
またアクチュエータは、給紙ホッパ２０内へ記録紙Ｐを補給するため、給紙ホッパ２０を装着位置から補給位置へスライドさせる際にも、積載板２２，２３を下限位置に揺動させ拘束し、給紙ホッパ２０が補給位置から装着位置へ復帰すると、これに連動して積載板２２，２３を下限位置から解放する。
【００８１】
図３（Ａ）に示されるように、印刷ユニット１０には、第１分岐ガイド路６２の上側に給紙ガイド路５８から分岐する第２分岐ガイド路７４が設けられており、この第２分岐ガイド路７４の先端部は印字ガイド路５２の中間部に接続されている。また印刷ユニット１０には、給紙ガイド路５８と第２分岐ガイド路７４との分岐部付近に第２ガイドレバー７６が設けられている。この第２ガイドレバー７６は、第１ガイドレバー７２と同様の構造を有しており、その支軸部を中心として給紙位置と搬送位置との間で回動可能とされている。第２ガイドレバー７６にもロータリアクチュエータが連結されており、このロータリアクチュエータからの駆動力により、記録紙Ｐを第２分岐ガイド路７４内へ案内する給紙位置及び記録紙Ｐの第１給紙ガイド路５８に沿った搬送を継続する搬送位置の何れかの位置に回動し保持される。
【００８２】
図３に示されるように、印刷ユニット１０には、排紙バッファ２６の上方に円筒状の分離排紙ローラ７８が配置されている。この分離排紙ローラ７８は、積載板２８，２９により上方へ付勢された記録紙Ｐ（紙束Ｂ）上面の先端側に圧接する。また印刷ユニット１０には、分離排紙ローラ７８から後端側へ延出する接続ガイド路８４が設けられている。
【００８３】
印刷ユニット１０内には、その後端部に高さ方向へ延在する一対の排紙ガイド板８６，８８が配置されており、一対の排紙ガイド板８６，８８は一定の間隔を空けて互いに対向するように支持されている。これらの一対の排紙ガイド板８６，８８間には、１枚の記録紙Ｐを後述する排紙ユニット１０４へ案内するための第１排紙ガイド路９０が形成されている。第１排紙ガイド路９０は、ケーシング１２に穿設された排紙搬入口１８と排紙搬出口１９とを繋げている。また印刷ユニット１０には、第１排紙ガイド路９０に沿って記録紙Ｐを上側の印刷ユニット１０又は排紙ユニット１０４へ搬送するための搬送ローラ対９２が設置されている。この搬送ローラ対９２は、少なくとも第１排紙ガイド路９０の上端部及び下端部にそれぞれ配置されており、更に第１排紙ガイド路９０の路長、記録紙Ｐの長さ等に応じて第１排紙ガイド路９０の上端部と下端部との間に適宜配置される。
【００８４】
印刷ユニット１０には、接続ガイド路８４の下側に第１排紙ガイド路９０から給紙ホッパ２０側へ分岐する第３分岐ガイド路９４が設けられており、この第３分岐ガイド路９４の先端部は給紙ホッパ２０の内へ開口している。また印刷ユニット１０には、第１排紙ガイド路９０と第３分岐ガイド路９４との分岐部付近に第３ガイドレバー９６が設けられている。この第３ガイドレバー９６は、第１ガイドレバー７２と同様の構造を有しており、その支軸部を中心として給紙位置と搬送位置との間で回動可能とされている。第３ガイドレバー９６にもロータリアクチュエータが連結されており、このロータリアクチュエータからの駆動力により、記録紙Ｐを第３分岐ガイド路９４内へ案内する給紙位置及び記録紙Ｐの第１排紙ガイド路９０に沿った搬送を継続する搬送位置の何れかの位置に回動し保持される。
【００８５】
図１に示されるように、本実施形態に係るプリンタ装置１００は、給紙ユニット１４０上に１台以上（本実施形態では３台）の印刷ユニット１０と排紙ユニット１０４とが高さ方向に沿って積み重ねられて構成されている。ここで、排紙ユニット１０４は、印刷ユニット１０により画像が記録された記録紙Ｐを受け入れて一時保管するためのものであり、プリンタ装置１００における最上段に配置される。また給紙ユニット１４０は、記録紙Ｐを収納し、この記録紙Ｐを各印刷ユニット１０における給紙ホッパ２０内へ補給するためのものである。
【００８６】
排紙ユニット１０４は外殻部としてケーシング１０６を備えており、このケーシング７４の幅方向及び奥行方向に沿ったサイズは、印刷ユニット１０のケーシング１２と略一致している。図２に示されるように、ケーシング１０６には、その下面部における先端部及び後端部にそれぞれスリット状の第１受入口１０８及び第２受入口１１０がそれぞれ開口している。第１受入口１０８及び第２受入口１１０は、排紙ユニット１０４の下段側に隣接するように配置された印刷ユニット１０の排紙搬出口１９及び給紙搬出口１７にそれぞれ接続される。ケーシング１０６の上面部には、複数枚の記録紙Ｐが積載可能とされた排紙トレー部１１２が設けられている。排紙トレー部１１２には、略水平な平面からなる積載面１１４が形成されると共に、この積載面１１４の幅方向に沿った両端部からそれぞれ略垂直に立ちあがる位置決め面１１８，１２０が形成されている。これらの位置決め面１１８，１２０の上端側には、スリット状の第１排紙口１２２及び第２排紙口１２４がそれぞれ開口しており、ケーシング１０６内には、第１排紙口１２２と第１受入口１０８とを繋ぐ第１受入ガイド路１２６と、第２排紙口１２４と第２受入口１１０とを繋ぐ第２受入ガイド路１２８とがそれぞれ設けられている。また排紙ユニット１０４には、第１受入ガイド路１２６の第１排紙口１２２側の端部に搬出ローラ対１３０が配置されると共に、第２受入ガイド路１２８の第２排紙口１２４側の端部に搬出ローラ対１３２が配置されている。
【００８７】
図２に示されるように、給紙ユニット１４０は外殻部としてケーシング１４２を備えており、このケーシング１４２の幅方向及び奥行方向に沿ったサイズは、印刷ユニット１０のケーシング１２と略一致している。ケーシング１４２には、その上面部における先端部及び後端部にそれぞれスリット状の第１排紙口１４４及び第２排紙口１４６が開口しており、これらの排紙口１４４，１４６は、給紙ユニット１４０の上段側に隣接する印刷ユニット１０における給紙搬入口１６及び排紙搬入口１８にそれぞれ接続される。
【００８８】
ケーシング１４２内には、複数枚の記録紙Ｐが積載された紙束Ｂが収納可能とされた第１メイン給紙ホッパ１４８が配置されると共に、この第１メイン給紙ホッパ１４８の下側に第２メイン給紙ホッパ１５０が配置されている。これらのメイン給紙ホッパ１４８，１５０は、それぞれケーシング１４２により奥行方向に沿って装着位置と補給位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、メイン給紙ホッパ１４８，１５０は、ケーシング１４２内の装着位置からケーシング１４２の側方へ突出する補給位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して記録紙Ｐ（紙束Ｂ）を補給し、又は取り出すことが可能になる。
【００８９】
メイン給紙ホッパ１４８，１５０内には、それぞれ収納した紙束Ｂが積載される第１及び第２積載トレー１５２，１５４及び、第１及び第２積載トレー１５２，１５４を高さ方向に沿って昇降可能に支持した昇降機構（図示省略）が配置されている。またケーシング１４２内には、メイン給紙ホッパ１４８，１５０の上方にそれぞれ第１及び第２分離給紙ローラ１５６，１５８が配置されており、第１分離給紙ローラ１５６は、そのローラ面が第１積載トレー１５２上に積載された紙束Ｂ上面の先端部に対向するように支持され、また第２分離給紙ローラ１５８は、そのローラ面が第２積載トレー１５４上に積載された紙束Ｂ上面の先端部に対向するように支持されている。
【００９０】
昇降機構は、メイン給紙ホッパ１４８，１５０の装着位置から補給位置へのスライドに連動して、積載トレー１５０，１５２をメイン給紙ホッパ１４８，１５０の底板部に近接した下限位置に移動させ、またメイン給紙ホッパ１４８，１５０の補給位置から装着位置へのスライドに連動して積載トレー１５０，1５２を上昇させ、積載トレー１５０，１５２上の紙束Ｂを所定の圧接力で分離給紙ローラ１５６，１５８に圧接させる。
【００９１】
図１に示されるように、ケーシング１４２内には、第１排紙口１４４から第１分離給紙ローラ１５６側へ延出する第１接続ガイド路１６０が設けられており、この第１接続ガイド路１６０の先端部は、第１分離給紙ローラ１５６と紙束Ｂとの圧接部に面して開口している。これにより、第１分離給紙ローラ１５６が所定量回転すると、第１分離給紙ローラ１５６により第１積載トレー１５２上の紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐが分離され、この記録紙Ｐの先端側が第１接続ガイド路１６０内へ送り込まれる。
【００９２】
またケーシング１４２内には、第２排紙口１４６から第２分離給紙ローラ１５８側へ延出する第２接続ガイド路１６２が設けられており、この第２接続ガイド路１６２の先端部は、第２分離給紙ローラ１５８と紙束Ｂとの圧接部に面して開口している。これにより、第２分離給紙ローラ１５８が所定量回転すると、第２分離給紙ローラ１５８により第２積載トレー１５４上の紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐが分離され、この記録紙Ｐの先端側が第２接続ガイド路１６２内へ送り込まれる。
【００９３】
なお、メイン給紙ホッパ１５０，１５２内にそれぞれ配置される積載トレー１５２，１５４は１個に限定されず、複数個の積載トレー１５２，１５４をメイン給紙ホッパ１５０，１５２内にそれぞれ配置し、複数個の積載トレー１５２，１５４にそれぞれ異なる種類の記録紙Ｐを積載するようにしても良い。この場合には、例えば、昇降機構により複数の積載トレー１５２，１５４を上下方向に加えて、前後方向（幅方向）に移動させ、複数の積載トレー１５２，１５４の何れかに積載された紙束Ｂを選択的に分離給紙ローラ１５６，１５８に圧接させることで、複数種類の記録紙Ｐから選択された１種類の記録紙Ｐをそれぞれ接続ガイド路１６０，１６２内へ送り込むことが可能になる。
【００９４】
印刷ユニット１０のケーシング１２には、その頂板部１４に上方へ突出するガイド突起（図示省略）が設けられると共に、底板部１３にガイド突起に対応する凹状のガイド受部（図示省略）が設けられている。また排紙ユニット１０４の下面部には、ガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられ、給紙ユニット１４０のケーシング１４２には、その頂板部に上方へ突出する複数のガイド突起（図示省略）が設けられている。ガイド突起は、１台の印刷ユニット１０及び排紙ユニット１０４に少なくとも２個ずつ設けられ、ガイド受部は、ガイド突起に対応するように１台の印刷ユニット１０及び給紙ユニット１４０に少なくとも２個ずつ設けられている。
【００９５】
ここで、給紙ユニット１４０上に複数台の印刷ユニット１０及び排紙ユニット１０４が積み重ねられてプリンタ装置１００を構成している状態では、印刷ユニット１０及び給紙ユニット１４０に設けられたガイド突起は、上段側の印刷ユニット１０又は排紙ユニット１０４のガイド受部に嵌挿し、印刷ユニット１０及び排紙ユニットに設けられたガイド受部内には、下段側の印刷ユニット１０又は給紙ユニット１４０に設けられたガイド突起が挿入される。これにより、給紙ユニット１４０、印刷ユニット１０及び排紙ユニット１０４は、幅方向及び奥行方向に沿って互いに一致するように位置決めされると共に、ユニット１０，１０４，１４０間での移動が拘束されて一体化される。
【００９６】
なお、プリンタ装置１００を構成する複数台の印刷ユニット１０及び給紙ユニット１４０は、それぞれ制御部１７０，１７２を備えている。各印刷ユニット１０の制御部１７０の間は電気的に接続され、給紙ユニット１４０の制御部１７２は少なくとも１台の印刷ユニット１０の制御部１７０に電気的に接続される。印刷ユニット１０及び給紙ユニット１４０の制御部１７０，１７２の間を電気的に接続するためには、例えば、各印刷ユニット１０及び給紙ユニット１４０にそれぞれケーブル及びソケットを設けて、ケーブル先端に配置されたコネクタを他の印刷ユニット１０又は給紙ユニット１４０のソケットに差し込むことにより電気的に接続しても良く、またガイド突起及びガイド受部の少なくと１個ずつをそれぞれ互いに適合するコネクタ及びソケットとして構成し、給紙ユニット１４０上に印刷ユニット１０を積み重ねると共に、コネクタとしてのガイド突起をソケットとしてのガイド受部に差し込むことにより電気的に接続しても良い。
【００９７】
図１に示されるように、プリンタ装置１００では、最上段に配置された印刷ユニット１０が下段側の印刷ユニットに対して異なる方向を向いている。すなわち、最上段の印刷ユニット１０（これを特に他の印刷ユニット１０の区別する必要がある場合には、「印刷ユニット１０Ｔ」という。）は、下段側の印刷ユニット１０に対して幅方向に沿って第１給紙ガイド路５８及び第１排紙ガイド路９０が１８０°反転（回転）した状態で、下段側の印刷ユニット１０上に積み重ねられている。これにより、印刷ユニット１０Ｔの給紙搬入口１６は、下段側に隣接する印刷ユニット１０の排紙搬出口１９に接続され、また印刷ユニット１０Ｔの給紙搬入口１６は、下段側に隣接する印刷ユニット１０の給紙搬出口１７に接続される。
【００９８】
ここで、図５（Ａ）及び（Ｂ）に示されるように、印刷ユニット１０Ｔは、他の印刷ユニット１０に対して幅方向及び奥行方向に沿った幾何学的な中心点である反転軸Ｒとして１８０°反転した状態となっている。また、この反転軸Ｒに対して、各印刷ユニット１０の第１給紙ガイド路５８と第１排紙ガイド路９０とが互いに対称的な配置及び形状となり、かつ給紙搬入口１６及び給紙搬出口１７と排紙搬入口１８及び排紙搬出口１９とも互いに対称的な配置及び形状とされている。更に、排紙ユニット１０４の第１受入口１０８と第２受入口１１０も反転軸Ｒを中心に対して互いに対称的な配置及び形状とされ、給紙ユニット１４０の第１給紙口１４４と第２給紙口１４６も反転軸Ｒを中心に対して互いに対称的な配置及び形状とされている。
【００９９】
従って、印刷ユニット１０Ｔを他の印刷ユニット１０に対して反転軸Ｒを中心として１８０°反転させ、他の印刷ユニット１０上に積み重ねれば、この任意の印刷ユニット１０Ｔの第１給紙ガイド路５８及び第１排紙ガイド路９０は、他の印刷ユニット１０の第１排紙ガイド路９０及び第１給紙ガイド路５８にそれぞれ接続される。また印刷ユニット１０Ｔ上に排紙ユニット１０４を積み重ねれば、排紙ユニット１０４の第１受入ガイド路１２６及び第２受入ガイド路１２８は、印刷ユニット１０Ｔの第１排紙ガイド路９０及び第１給紙ガイド路５８にそれぞれ接続される。
【０１００】
また印刷ユニット１０Ｔの下段側の印刷ユニット１０では、第１給紙ガイド路５８同士が互い接続されると共に、最下段の印刷ユニット１０の給紙搬入口１６が給紙ユニット１４０の第１給紙口１４４に接続され、また第１排紙ガイド路９０同士が互いに接続されると共に、最下段の印刷ユニット１０の排紙搬入口１８が給紙ユニット１４０の第２給紙口１４６に接続される。これにより、図１に示されるように、プリンタ装置１００の先端部には、高さ方向に沿って複数台の印刷ユニット１０の先端部を貫通すると共に、下端部及び上端部でそれぞれ給紙ユニット１４０及び排紙ユニット１０４に繋がった通紙経路（これを「第１通紙経路」という。）１３４が構成される。またプリンタ装置１００の後端部にも、高さ方向に沿って複数台の印刷ユニット１０の後端部を貫通すると共に、下端部及び上端部でそれぞれ給紙ユニット１４０及び排紙ユニット１０４に繋がった通紙経路（これを「第２通紙経路」という。）１３６が構成される。
【０１０１】
本実施形態に係るプリンタ装置１００は、前述したように、給紙ユニット１４０上に、複数台の印刷ユニット１０及び排紙ユニット１０４が積み重ねられて構成されている。これにより、プリンタ装置１００を構成する印刷ユニット１０及び排紙ユニット１０４は、図２に示されるように、上段側の印刷ユニット１０又は排紙ユニット１０４を上方へ持ち上げるだけで、簡単に下段側の印刷ユニット１０又は給紙ユニット１４０から分離できる。従って、プリンタ装置１００では、一の印刷ユニット１０を他の印刷ユニット１０から分離し、又は排紙ユニット１０４を下段側の印刷ユニット１０から分離した状態とすれば、１台乃至複数台の印刷ユニット１０を他の印刷ユニット１０の間又は印刷ユニット１０と排紙ユニット１０４との間に挿入し、あるいは印刷ユニット１０の間又は印刷ユニット１０と排紙ユニット１０４との間から１台乃至複数台の印刷ユニット１０を抜き取ることが可能になっている。これにより、プリンタ装置１００では、装置を構成する印刷ユニット１０の台数を簡単に増減でき、印刷ユニット１０の台数を増減することにより、装置全体としての印刷速度を含む印刷能力を調整できる。
【０１０２】
また本実施形態のプリンタ装置１００では、最上段の印刷ユニット１０Ｔのみが他の印刷ユニット１０に対して反転しているが、他の印刷ユニット１０の何れかを反転することも、また反転した状態の印刷ユニット１０を他の印刷ユニット１０の間に追加挿入することも可能である。
【０１０３】
次に、上記のように構成された本実施形態に係る印刷ユニット１０及びプリンタ装置１００による動作について説明する。
【０１０４】
プリンタ装置１００では、印刷ユニット１０の制御部１７０及び給紙ユニット１４０の制御部１７２がパーソナルコンピュータ、サーバ等の外部の情報処理装置（図示省略）と接続されており、この情報処理装置からプリント命令及び画像情報が入力すると、印刷ユニット１０が記録紙Ｐに対する画像の記録動作を開始する。
【０１０５】
ここで、複数台の印刷ユニット１０における給紙ユニット１４０における制御部１７２を並列的に情報報処理装置に接続しても良く、また制御部１７０，１７２の何れか１個をメインの制御部１７０，１７２として構成し、このメインの制御部１７０，１７２のみを情報処理装置に接続し、このメインの制御部１７０，１７２を通して他の制御部１７０，１７２へ各種の情報を出力するようにしても良い。また制御部１７０，１７２については、他の制御部１７０，１７２とは情報の処理速度、記憶容量等の性能及び機能が異なるものとしても良い。
【０１０６】
また、本実施形態のプリンタ装置１００では、印字命令及び画像情報が入力すると、印刷ユニット１０Ｔを除く、各印刷ユニット１０による記録紙Ｐに対する記録回数が可能なかぎり平準化するように、各印刷ユニット１０を所定の順番で巡回的に作動させる。またプリンタ装置１００では、複数枚数分の印字命令及び画像情報が一度に入力した場合には、可能な限り多数台の印刷ユニット１０を同時に作動させ、同時に作動する複数台の印刷ユニット１０によりそれぞれ記録紙Ｐに画像を形成させる。このとき、各印刷ユニット１０が記録紙Ｐに記録する画像は、印刷ユニット１０毎に異なったものでも、同一のものでも良い。また印刷ユニット１０Ｔについては、特に印字命令により記録紙Ｐの裏面に画像を記録することが命令された場合に、記録紙Ｐの裏面に画像を記録するために使用される。
【０１０７】
先ず、印刷ユニット１０Ｔ以外の各印刷ユニット１０における給紙ホッパ２０内に収納された記録紙Ｐの表面に対する画像の記録動作について説明する。
【０１０８】
プリンタ装置１００では、情報処理装置からの印字命令及び画像情報が入力すると、印刷ユニット１０Ｔを除く、少なくとも１台の印刷ユニット１０が作動して記録紙Ｐに対する画像形成を開始する。このとき、作動状態となる印刷ユニット１０では、先ず、分離給紙ローラ４６が回転して給紙ホッパ２０内に収納された紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐを分離し、この記録紙Ｐを印字ガイド路５２に沿って印字部３４のニップローラ対４０へ搬送する。ニップローラ対４０は、記録紙Ｐを挟持しつつ回転して記録紙Ｐをインクジェットヘッド３８とガイド板４４との間に送り込み、ガイド板４４に沿って記録紙Ｐを搬送し、記録紙Ｐの先端部をローラ対４２の間に挿入する。これにより、記録紙Ｐはニップローラ対４０及びローラ対４２により副走査方向へ副走査速度で搬送される。
【０１０９】
インクジェットヘッド３８は、記録紙Ｐの先端部がローラ対４２により挟持された後、ヘッド駆動機構により主走査方向へ移動しつつ、主走査方向へ配列された複数のノズルから画像情報に基づいて選択的にインクを噴射又は噴射停止し、副走査方向へ移動する記録紙Ｐ上にインクにより画像を形成して行く。このインクジェットヘッド３８の画像の記録動作に併行し、ローラ対４２は、画像が記録された記録紙Ｐの先端側の部分を排紙バッファ２６内へ送り込む。このとき、排紙バッファ２６内の積載板２８，２９は、アクチュエータにより下限位置に拘束されている。これにより、記録紙Ｐは、その先端部が分離排紙ローラ７８に衝突することなく、ニップローラ対４０及びローラ対４２からの搬送力により排紙バッファ２６内へ送り込まれ、その後端部がローラ対４２から離脱すると共に排紙バッファ２６へ収納される。
【０１１０】
印刷ユニット１０の制御部１７０は、画像が記録された記録紙Ｐが排紙バッファ２６内に収納される時点までに、この記録紙Ｐを直ちに排紙バッファ２６内から第１排紙ガイド路９０内へ搬出するか否かを判断する。この判断は、例えば、各印刷ユニット１０の第１排紙ガイド路９０により構成された第２通紙経路１３６内を記録紙Ｐが搬送されているか否か、各印刷ユニット１０により記録紙Ｐに対してそれぞれ異なる頁（画像情報）の印刷が行われており、頁数が小さい頁の画像が記録された記録紙Ｐを先行して他の印刷ユニット１０から排紙ユニット１０４へ搬送するために、排紙バッファ２６からの記録紙Ｐの搬出タイミングを調整する必要があるか否か等の各種の状況に基づいて判断される。
【０１１１】
制御部１７０は、記録紙Ｐを直ちに排紙バッファ２６内から第１排紙ガイド路９０内へ搬出すると判断した場合には、記録紙Ｐが排紙バッファ２６内へ収納されると、直ちにアクチュエータにより積載板２８，２９を下限位置から解放する。これにより、積載板２８，２９は、付勢部材３０の付勢力により上方へ揺動し記録紙Ｐの先端側を分離排紙ローラ７８へ圧接させる。これに同期して、制御部１７０は、分離排紙ローラ７８を回転開始させて排紙バッファ２６内に収納された記録紙Ｐを接続ガイド路８４内へ送り出す。このとき、排紙バッファ２６内に複数枚の記録紙Ｐが収納されて紙束Ｂが構成されている場合には、分離排紙ローラ７８は、最上部に積載された１枚の記録紙Ｐのみを紙束Ｂから分離し、この記録紙Ｐを接続ガイド路８４内へ送り出す。この記録紙Ｐは、その先端側が分離排紙ローラ７８からの搬送力により第１排紙ガイド路９０内へ送り込まれ、第１排紙ガイド路９０内で先端側が搬送ローラ対９２に達する。
【０１１２】
また印刷ユニット１０の制御部１７０は、画像が記録された記録紙Ｐを直ちに排紙バッファ２６内から第１排紙ガイド路９０内へ搬出しないと判断した場合には、記録紙Ｐが排紙バッファ２６内へ収納されても、アクチュエータにより積載板２８，２９を下限位置に拘束し続ける。これにより、引き続き、インクジェットヘッド３８により画像が記録された記録紙Ｐを排紙バッファ２６内へ送り込み、この記録紙Ｐを既に排紙バッファ２６内に収納された記録紙Ｐ上に積載可能になる。
【０１１３】
一方、プリンタ装置１００では、作動状態にある印刷ユニット１０により記録紙Ｐの先端側が接続ガイド路８４内から第１排紙ガイド路９０内へ送り込まれると、各印刷ユニット１０の搬送ローラ対６０，９２及び排紙ユニット１０４の第２搬出ローラ対１３２をそれぞれ回転させる。このとき、第２通紙経路１３６に配置された第１ガイドレバー７２、第２ガイドレバー７６及び第３ガイドレバー９６はそれぞれ搬送位置に保持されている。これにより、作動状態にある印刷ユニット１０により第２通紙経路１３６内へ送り込まれた記録紙Ｐは、搬送ローラ対６０，９２により排紙ユニット１０４側へ搬送され、第２通紙経内から排紙ユニット１０４の第２受入ガイド路１２８内へ送り込まれる。
【０１１４】
第２受入ガイド路１２８内へ送り込まれた記録紙Ｐは、その先端部が搬出ローラ対１３２により挟持され、搬出ローラ対１３２により第２排紙口１２４を通して排紙トレー部１１２上へ排出される。このとき、排紙トレー部１１２の積載面１１４上に落下した記録紙Ｐは、その先端部が第２排紙口１２４とは反対側の位置決め面１１８へ当接し、積載面１１４上で所定の第２積載位置に位置決めされる。
【０１１５】
以上説明した印刷ユニット１０による記録紙Ｐに対する画像の記録動作は、同一時期に１台の印刷ユニット１０のみを作動させて１枚の記録紙Ｐのみに画像を記録しても良く、また同一時期に印刷ユニット１０Ｔを除く複数台（本実施形態では、２台）の印刷ユニット１０をそれぞれ作動させて複数枚の記録紙Ｐに並列的に画像を記録するようにしても良い。
【０１１６】
次に、プリンタ装置１００により記録紙Ｐの両面に対して画像を記録する場合について説明する。プリンタ装置１００では、情報処理装置から記録紙Ｐの両面に印字を実行すべき印字命令及びそれに対応する画像情報が入力すると、先ず、上述したように印刷ユニット１０Ｔ以外の他の印刷ユニット１０により記録紙Ｐの片側の面（表面）に画像を記録し、この記録紙Ｐを排紙バッファ２６内から第２通紙経路１３６内へ送り込む。このとき、表面に画像が記録された記録紙Ｐは、少なくともインクが十分に乾燥するまで排紙バッファ２６内に保持される。
【０１１７】
プリンタ装置１００では、記録紙Ｐが第２通紙経路１３６内へ送り込まれると、各印刷ユニット１０の搬送ローラ対６０，９２をそれぞれ回転させると共に、印刷ユニット１０Ｔにおける第２ガイドレバー７６を搬送位置から給紙位置へ回動させる。これにより、第２通紙経路１３６内へ送り込まれた記録紙Ｐは、第２ガイドレバー７６により印刷ユニット１０Ｔの第２分岐ガイド路７４内へ案内され、第２分岐ガイド路７４内から印字ガイド路５２内へ送り込まれる。このとき、記録紙Ｐは、他の印刷ユニット１０における印字ガイド路５２内とは表裏が反転し、画像記録済みの一方の面（表面）が下方を向き、画像が記録されていない他方の面（裏面）が上方を向いた状態となる。
【０１１８】
印刷ユニット１０Ｔでは、記録紙Ｐが第２通紙経路１３６内から印字ガイド路５２内へ送り込まれると、印字部３４のニップローラ対４０，４２をそれぞれ回転開始させる。この後、記録紙Ｐの先端が印字部３４に達すると、ニップローラ対４０は、記録紙Ｐを挟持しつつ回転して記録紙Ｐをインクジェットヘッド３８とガイド板４４との間に送り込み、ガイド板４４に沿って記録紙Ｐを搬送し、記録紙Ｐの先端部をローラ対４２の間に挿入する。これにより、印刷ユニット１０Ｔでは、記録紙Ｐをニップローラ対４０及びローラ対４２により副走査方向へ所定の副走査速度で搬送しつつ、表面に画像を記録する場合と同様に、インクジェットヘッド３８により記録紙Ｐの裏面にインクにより画像を形成する。この記録紙Ｐは、排紙バッファ２６内へ一旦収納され、少なくとも画像を形成したインクが十分に乾燥するまで排紙バッファ２６内に保持された後、分離排紙ローラ７８により接続ガイド路８４を通して第１排紙ガイド路９０（第１通紙経路１３４）内へ送り込まれる。
【０１１９】
第１通紙経路１３４内へ送り込まれた記録紙Ｐは、印刷ユニット１０Ｔの搬送ローラ対により排紙ユニット１０４の第１受入ガイド路１２６内へ送り込まれ、搬出ローラ対１３０により第１排紙口１２２を通して排紙トレー部１１２上へ排出される。このとき、排紙トレー部１１２の積載面１１４上に落下した記録紙Ｐは、その先端部が第１排紙口１２２とは反対側の位置決め面１２０へ当接し、積載面１１４上で第２積載位置とは異なる所定の第１積載位置に位置決めされる。
【０１２０】
本実施形態のプリンタ装置１００では、給紙ユニット１４０から各印刷ユニット１０の給紙ホッパ２０内へ記録紙Ｐを補給することが可能になっている。次に、給紙ユニット１４０から給紙ホッパ２０への記録紙Ｐの補給動作について説明する。
【０１２１】
印刷ユニット１０の制御部１７０は、情報処理装置からの印字命令の内容、給紙ホッパ２０内の記録紙Ｐの残量等に応じて、給紙ユニット１４０からの記録紙Ｐの給紙が必要と判断し、かつ給紙ユニット１４０から給紙が可能と判断した場合に、給紙ユニット１４０からの記録紙Ｐの受入を準備すると共に、給紙ユニット１４０に対して記録紙Ｐの給紙を要求する。このとき、制御部１７０が、給紙ユニット１４０からの記録紙Ｐの給紙が必要と判断する場合としては、給紙ホッパ２０内の記録紙Ｐの残量が少ない場合、及び印字命令により給紙ユニット１４０のメイン給紙ホッパ１４８，１５０内に収納された記録紙Ｐに画像を記録する必要がある場合がある。
【０１２２】
また制御部１７０は、第１通紙経路１３４が記録紙Ｐにより塞がっていない時には、第１メイン給紙ホッパ１４８内から給紙ホッパ２０内へ記録紙Ｐの補給が可能と判断し、第２通紙経路１３６が記録紙Ｐにより塞がっていない時には、第２メイン給紙ホッパ１５０内から給紙ホッパ２０内へ記録紙Ｐの補給が可能と判断する。
【０１２３】
制御部１７０は、第１メイン給紙ホッパ１４８から印刷ユニット１０への記録紙Ｐの補給が必要と判断し、かつ第１通紙経路１３４が記録紙Ｐにより塞がっていないことを判断すると、先ず、記録紙Ｐの補給が必要となる印刷ユニット１０における積載板２２，２３をアクチュエータにより下限位置に揺動させると共に、その印刷ユニット１０の第１ガイドレバー７２（印刷ユニット１０Ｔの場合は、第３ガイドレバー９６）をロータリアクチュエータにより搬送位置から給紙位置へ回動させる。
【０１２４】
次いで、制御部１７０は、第１通紙経路１３４に配置された各搬送ローラ対６０,９２をそれぞれ所定の搬送方向へ回転開始させると共に、給紙ユニット１４０の制御部１７２に給紙信号を出力する。この給紙信号を受けた給紙ユニット１４０の制御部１７２は、第１分離給紙ローラ１５６を所定量回転させる。これにより、第１メイン給紙ホッパ１４８における第１積載トレー１５２上に積載された紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐが分離され、第１接続ガイド路１６０内へ送り込まれる。この記録紙Ｐは、その先端側が第１接続ガイド路１６０を通って第１通紙経路１３４内へ送り込まれ、搬送ローラ対６０により記録紙Ｐの補給を受ける印刷ユニット１０まで搬送される。この記録紙Ｐは、その先端部が分岐ガイド路６２,９４との分岐点まで搬送されると、ガイドレバー７２,９６により第１通紙経路１３４内から分岐ガイド路６２,９４内へ案内される。この記録紙Ｐは、搬送ローラ対６０,９２からの搬送力により分岐ガイド路６２,９４を通って給紙ホッパ２０内へ搬出され、積載板２２，２３上に収納される。
【０１２５】
給紙ユニット１４０の制御部１７２は、印刷ユニット１０の制御部１７０により複数枚の記録紙Ｐの補給を要求されている場合は、先行して給紙された記録紙Ｐが給紙ホッパ２０内へ収納されたタイミングに同期して、第１分離給紙ローラ１５６を回転させて後続する記録紙Ｐを第１接続ガイド路１６０へ送り込む分離給紙動作を要求された記録紙Ｐの枚数分だけ繰り返す。
【０１２６】
一方、印刷ユニット１０の制御部１７０は、給紙信号により要求した枚数の記録紙Ｐが給紙ホッパ２０内へ収納されると、積載板２２，２３をアクチュエータにより下限位置から解放すると共に、ガイドレバー７２,９６をロータリアクチュエータにより給紙位置から搬送位置へ復帰させる。これにより、印刷ユニット１０では、給紙ユニット１４０の第１メイン給紙ホッパ１４８から補給された記録紙Ｐが給紙ホッパ２０内から優先的に印字部３４へ給紙可能になる。
【０１２７】
また制御部１７０は、第２メイン給紙ホッパ１５０から印刷ユニット１０への記録紙Ｐの補給が必要と判断し、かつ第２通紙経路１３６が記録紙Ｐにより塞がっていないことを判断すると、第１メイン給紙ホッパ１４８から印刷ユニット１０へ記録紙Ｐを補給する場合と同様の制御を行い、第２メイン給紙ホッパ１５０の第２積載トレー１５４上の紙束Ｂから分離された記録紙Ｐを第２接続ガイド路１６２、第２通紙経路１３６及び分岐ガイド路６２,９４を通して給紙ホッパ２０内へ補給する。
【０１２８】
また、本実施形態に係るプリンタ装置１００は、給紙ユニット１４０における第１メイン給紙ホッパ１４８から第１通紙経路１３４内へ送り込まれてきた記録紙Ｐを、給紙ホッパ２０内に収納することなく、直接、印刷ユニット１０における印字部３４へ供給することも可能になっている。この場合には、記録紙Ｐの供給を受ける印刷ユニット１０における第２ガイドレバー７６を搬送位置から給紙位置へ回動させておくことにより、通紙経路１３４，１３６を搬送されてきた記録紙Ｐが第２分岐ガイド路７４を通して印字ガイド路５２内へ送り込まれ、印字部３４へ達する。これにより、この記録紙Ｐを印字部３４のニップローラ対４０，４２により搬送しつつ、この記録紙Ｐの表面又は裏面にインクジェットヘッド３８により画像を記録することが可能になる。
【０１２９】
ここで、給紙ユニット１４０におけるメイン給紙ホッパ１４８，１５０には、印刷ユニット１０の給紙ホッパ２０内に収納された記録紙Ｐとは種類が異なる記録紙Ｐをそれぞれ収納するようにしても良く、また一方のメイン給紙ホッパ１４８，１５０にのみ給紙ホッパ２０内の記録紙Ｐと同一種類の記録紙Ｐを収納し、給紙ホッパ２０内の記録紙Ｐの残量が少なくなった場合に、この給紙ホッパ２０へ一方のメイン給紙ホッパ１４８，１５０内から記録紙Ｐを補給するようにしても良い。
【０１３０】
次に、以上説明した本実施形態に係るプリンタ装置１００の作用について説明する。
【０１３１】
本実施形態に係るプリンタ装置１００では、他の印刷ユニット１０上に、幅方向に沿って第１給紙ガイド路５８及び第１排紙ガイド路９０が同一方向に向いた状態で積み重ねられた印刷ユニット１０の台数を増減することにより、これら複数台の印刷ユニット１０により複数枚の記録紙Ｐに対して並列的に画像を記録できるので、装置全体としての印刷速度（単位時間当たりに画像を記録できる記録紙の枚数）を増減できる。ここで、プリンタ装置１００では、装置を構成する印刷ユニット１０の台数が積み重ねられて構成されており、印刷ユニット１０の台数を簡単に増減できるので、ユーザの求めに応じて印刷速度を含む印刷能力を広い範囲で簡単に調整できる。
【０１３２】
また本実施形態に係るプリンタ装置１００では、装置を構成する複数台の印刷ユニット１０のうち少なくとも１台の印刷ユニット１０Ｔが、他の印刷ユニット１０に対して幅方向に沿って第１給紙ガイド路５８及び第１排紙ガイド路９０が反転した状態で積み重ねられていることにより、他の印刷ユニット１０における印字部３４により記録紙Ｐの表面により画像を記録した後、表裏を反転した状態で記録紙を、排紙ガイド路９０から印刷ユニット１０Ｔにおける給紙ガイド路５８内へ送り込み、この記録紙Ｐの裏面に印刷ユニット１０Ｔの印字部３４により画像を記録できるので、記録紙の両面にそれぞれ画像を記録できる。
【０１３３】
従って、本実施形態に係るプリンタ装置１００によれば、装置を構成する複数台の印刷ユニット１０のうち、少なくとも１台の印刷ユニット１０Ｔを幅方向に沿って反転した状態にするだけで、記録紙の両面にそれぞれ画像を記録できるプリンタ装置を構成できる。ここで、他の印刷ユニット１０に対して幅方向に沿って反転させる印刷ユニット１０Ｔの台数は１台に限定されるものではなく、記録紙Ｐに対して両面印字を行う頻度等に応じて調整することができ、例えば、常に殆どの記録紙Ｐに対して両面印字を行う場合には、他の印刷ユニット１０の台数と反転した印刷ユニット１０Ｔの台数とを同数とすることで、記録紙Ｐに対して効率的に両面印字を実行できるようになる。
【０１３４】
また本実施形態に係る印刷ユニット１０では、各印刷ユニット１０に印字部により画像が記録された記録紙Ｐを受け入れて一時収納する排紙バッファ２６が設けられると共に、この排紙バッファ２６内に一時収納された記録紙Ｐを取り出し、接続ガイド路８４に沿って第１排紙ガイド路９０内へ送り出す分離排紙ローラ７８が設けられていることにより、印字部３４により画像が記録された記録紙Ｐを排紙バッファ２６内に一時収納しておけば、この記録紙Ｐを直ちに第１排紙ガイド路９０内へ搬出して排紙ユニット１０４又は印刷ユニット１０Ｔに搬送開始しなくても、引き続き印字部３４により次の記録紙Ｐに対する画像の記録動作を開始し、画像記録を継続できるので、例えば、他の印刷ユニット１０における排紙バッファ２６内から第１排紙ガイド路９０内に記録紙が送り出されるタイミングに応じて、記録紙Ｐを第１排紙ガイド路９０内に送り出すタイミングを調整すれば、印字部３４により記録紙Ｐに対する画像記録が完了したタイミングに影響されることなく、複数の第１排紙ガイド路９０及び第１給紙ガイド路５８が接続されて構成された第２通紙経路１３６が空いている適正なタイミングで記録紙Ｐを第１排紙ガイド路９０へ送り込むことができる。
【０１３５】
また、本実施形態に係るプリンタ装置１００では、印字部３４のインクジェットヘッド３８により画像が記録された記録紙Ｐを排紙バッファ２６内に収納し、この記録紙Ｐを排紙バッファ２６内に一定時間以上保持するようにすれば、記録紙Ｐをインクが十分に乾燥した後、第１排紙ガイド路９０へ搬出できるので、反転された印刷ユニット１０Ｔによる記録紙Ｐの裏面への画像記録時にニップローラ対４０，４２やガイド板４４との接触によりインクの滲みが発生したり、画像記録完了後に、他の記録紙Ｐ上に積載されたときに他の記録紙Ｐへのインク転写を防止できるようになる。
【０１３６】
また本実施形態に係るプリンタ装置１００では、紙束Ｂを収納可能とされた給紙ホッパ２０と、この給紙ホッパ２０内に収納された紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐを分離し、この記録紙Ｐを印字ガイド路５２に沿って印字部３４へ供給する分離給紙ローラ４６と、第１給紙ガイド路５８内を搬送される記録紙Ｐを選択的に第１給紙ガイド路５８内から離脱させて第１分岐ガイド路６２及び受入ガイド路６６に沿って給紙ホッパ２０内へ送り込む第１ガイドレバー７２とが設けられていることにより、印刷ユニット１０の印字部３４による画像記録開始時に、分離給紙ローラ４６が給紙ホッパ２０に収納された紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐを分離して印字部３４に給紙することにより、印刷ユニット１０内の給紙ホッパ２０に予め収納されていた記録紙Ｐを印字部３４による画像の記録開始に同期して印字部３４に供給できるので、記録紙Ｐを給紙ユニット１４０から印字部３４まで供給する場合と比較して、記録紙Ｐの印字部３４までの搬送距離を短縮できる。従って、記録紙Ｐを搬送開始してから印字部３４に達するまでの時間（給紙時間）を短縮し、結果として、情報処理装置からの印字命令の入力から記録紙Ｐに対して画像の記録が開始されるまでの時間を短縮できる。
【０１３７】
なお、本発明の実施形態に係る印刷ユニット１０の印字部３４では、インクジェットヘッド３８を画像記録時に主走査方向へ駆動しつつ、インクジェットヘッド３８のノズルからインクを噴射して記録紙Ｐに画像を形成していたが、印字部３４については、駆動式のインクジェットヘッド３８以外にも、記録紙Ｐよりも主走査方向へ広い幅を有するフルサイズの固定式インクジェットヘッドにより記録紙Ｐを記録するものでも、また電子写真感光体上にトナー像を形成し、このトナーを記録紙Ｐに転写する、所謂電子写真方式により記録紙Ｐに画像を形成するものでも良く、無論、これ以外の方法で記録紙Ｐに画像を形成するものであっても良い。
【０１３８】
（第２の実施形態）
図６には本発明に第２の実施形態に係るプリンタ装置が示され、図７には本実施形態に係るプリンタ装置に適用される印刷ユニットが示されている。なお、本実施形態に係るプリンタ装置１８０及び印刷ユニット１７８では、第１の実施形態に係るプリンタ装置１００及び印刷ユニット１０と共通の部分に同一符合を付して説明を省略する。
【０１３９】
本実施形態に係るプリンタ装置１８０が第１の実施形態に係るプリンタ装置１００と異なる点は、図６に示されるように、第１通紙経路１３４の幅方向内側に第３通紙経路１８２が高さ方向へ延在するように設けられると共に、第２通紙経路１３６の幅方向内側に第４通紙経路１８４が高さ方向へ延在するように設けられている。また排紙ユニット１０４には、第３通紙経路１８２に接続される第３受入ガイド路１８６及び第４通紙経路１８４に接続される第４受入ガイド路１８８がそれぞれ追加して設けられている。第３受入ガイド路１８６及び第４受入ガイド路１８８には、それぞれ排紙トレー部１１２に面して開口する第３排紙口１９０及び第４排紙口１９２が設けられると共に、排紙口１９０，１９２側の端部に搬出ローラ対１９４，１９６が配置されている。
【０１４０】
図７に示されるように、印刷ユニット１７８には、第１給紙ガイド路５８の幅方向内側に高さ方向へ延在する第２給紙ガイド路１９８が設けられると共に、第２排紙ガイド路９０の幅方向内側に高さ方向へ延在する第２排紙ガイド路２００が設けられている。第２給紙ガイド路１９８には、その高さ方向に沿った中間部分に印字ガイド路５２の中間部分と重なり合う重複部２０２が設けられており、この重複部２０２と第２給紙ガイド路１９８の上側部分との境界部には第４ガイドレバー２０４が設けられている。この第４ガイドレバー２０４は、ロータリアクチュエータ(図示省略)からの駆動力により記録紙Ｐを印字ガイド路５２の下流側へ案内する給紙位置と、記録紙Ｐを第２給紙ガイド路１９８の上側へ案内する搬送位置との間で回動し、何れかの位置に保持される。また第２給紙ガイド路１９８には、第１分岐ガイド路６２との交差部に第５ガイドレバー２０６が設けられている。この第５ガイドレバー２０６も、ロータリアクチュエータ(図示省略)からの駆動力により記録紙Ｐを給紙ホッパ２０内へ案内する給紙位置と、記録紙Ｐを第２給紙ガイド路１９８の上側へ案内する搬送位置との間で回動し、何れかの位置に保持される。
【０１４１】
図７に示されるように、第２排紙ガイド路２００には、第１分岐ガイド路６２との交差部に第６ガイドレバー２０８が設けられている。この第６ガイドレバー２０８は、ロータリアクチュエータ(図示省略)からの駆動力により記録紙Ｐを給紙ホッパ２０内へ案内する給紙位置と、記録紙Ｐを第１分岐ガイド路６２との交差部から第２排紙ガイド路２００の上側へ案内する搬送位置との間で回動し、何れかの位置に保持される。また第２排紙ガイド路２００には、接続ガイド路８４との交差部に第７ガイドレバー２１０が設けられている。この第７ガイドレバー２１０は、ロータリアクチュエータ(図示省略)からの駆動力により記録紙Ｐを接続ガイド路８４に沿って第１排紙ガイド路９０内へ案内する第１搬送位置と、記録紙Ｐを接続ガイド路８４との交差部から第２排紙ガイド路２００の上側へ案内する第２搬送位置との間で回動し、何れかの位置に保持される。
【０１４２】
また図６に示されるように、最上段の印刷ユニット１７８Ｔは、他の印刷ユニット１７８に対して幅方向及び奥行方向に沿った幾何学的な中心点である反転軸Ｒ（図４参照）を中心として１８０°反転した状態となっている。また、この反転軸Ｒに対して、各印刷ユニット１７８の第２給紙ガイド路１９８と第２排紙ガイド路２００とが互いに対称的な配置及び形状とされている。
【０１４３】
従って、印刷ユニット１７８を他の印刷ユニット１７８に対して反転軸Ｒを中心として１８０°反転させ、他の印刷ユニット１７８上に積み重ねれば、この任意の印刷ユニット１０Ｔの第２給紙ガイド路１９８及び第２排紙ガイド路２００は、他の印刷ユニット１７８の第２排紙ガイド路２００及び第２給紙ガイド路１９８にそれぞれ接続される。また印刷ユニット１７８Ｔ上に排紙ユニット１０４を積み重ねれば、排紙ユニット１０４の第３受入ガイド路１８６及び第４受入ガイド路１８８は、印刷ユニット１７８Ｔの第２排紙ガイド路２００及び第２給紙ガイド路１９８にそれぞれ接続される。
【０１４４】
また印刷ユニット１７８Ｔの下段側の印刷ユニット１７８では、第２給紙ガイド路１９８同士が互いに接続されると共に、第２排紙ガイド路２００同士が互いに接続される。これにより、プリンタ装置１８０の先端部には、第１給紙ガイド路５８の幅方向内側に高さ方向に沿って複数台の印刷ユニット１７８を貫通すると共に、上端部が排紙ユニット１０４の第３受入ガイド路１８６に繋がった第３通紙経路１８２が構成される。またプリンタ装置１８０の後端部にも、第１排紙ガイド路９０の幅方向内側に複数台の印刷ユニット１７８の後端部を貫通すると共に、上端部が排紙ユニット１０４の第４受入ガイド路１８８に繋がった第４通紙経路１８４が構成される。
【０１４５】
次に、上記のように構成された本実施形態に係るプリンタ装置１８０の作用について説明する。
【０１４６】
本実施形態に係るプリンタ装置１８０によれば、第１の実施形態に係るプリンタ装置１００と基本的に共通の作用及び効果を得ることができると共に、この共通の作用及び効果に加えて、例えば、印刷ユニット１７８Ｔにより記録紙Ｐに画像を記録しており、この記録紙Ｐにより第２排紙ガイド路２００における重複部２０２が塞がっている場合、すなわち第４通紙経路１８４が裏面に画像記録中の記録紙Ｐにより塞がっている場合でも、接続ガイド路８４を通して他の印刷ユニット１７８により画像が記録された記録紙Ｐを第１排紙ガイド路９０（第２通紙経路１３６）へ送り出し、第２通紙経路１３６を通して排紙ユニット１０４へ搬出できる。
【０１４７】
また印刷ユニット１７８Ｔ以外の他の印刷ユニット１７８により記録紙Ｐに画像が記録されており、この記録紙Ｐにより他の印刷ユニット１７８の第２給紙ガイド路１９８が塞がっている場合でも、給紙ユニット１４０のメイン給紙ホッパ１４８，１５０から分離給紙された記録紙Ｐを第１通紙経路１３４に沿って記録紙Ｐの補給が必要な印刷ユニット１７８まで搬送し、この記録紙Ｐを第１分岐ガイド路６２又は第３分岐ガイド路９４を通して給紙ホッパ２０内へ送り込める。
【０１４８】
（第３の実施形態）
図８及び９には本発明に第３の実施形態に係るプリンタ装置が示され、図１０には本実施形態に係るプリンタ装置に適用される印刷ユニットが示されている。なお、本実施形態に係るプリンタ装置２３０及び印刷ユニット１０では、第１の実施形態に係るプリンタ装置１００及び印刷ユニット１０と共通の部分に同一符合を付して説明を省略する。
【０１４９】
本実施形態に係る印刷ユニット１０が第１の実施形態に係る印刷ユニット１０と異なる点は、図１０に示されるように、給紙ガイド路５８と第１分岐ガイド路６２との分岐部付近に設けられた第１ガイドレバー２３２が支軸部２３４を中心として径方向に沿って両側へ突出する略菱形状に形成されると共に、ロータリアクチュエータ（図示省略）により支軸部２３４を中心として図１０（Ｂ）に示される給紙位置、図１０（Ｃ）に示される搬送位置及び図１０（Ｄ）に示される反転位置の何れかの位置に選択的に回動され、保持される点である。
【０１５０】
次に、上記のように構成された本実施形態に係るプリンタ装置２３０による記録紙Ｐに対する両面記録時の動作について説明する。
【０１５１】
プリンタ装置２３０では、情報処理装置から記録紙Ｐの両面に印字を実行すべき印字命令及びそれに対応する画像情報が入力すると、先ず、第１の実施形態に係るプリンタ装置１００の場合と同様に、印刷ユニット１０Ｔ以外の他の印刷ユニット１０により記録紙Ｐの片側の面（表面）に画像を記録し、この記録紙Ｐを排紙バッファ２６内へ送り込む。このとき、表面に画像が記録された記録紙Ｐは、少なくともインクが十分に乾燥するまで排紙バッファ２６内に保持される。
【０１５２】
プリンタ装置２３０は、下段側の印刷ユニット１０の排紙バッファ２６内から記録紙Ｐが第２通紙経路１３６内へ送り込まれると、各印刷ユニット１０の第２通紙経路１３６に配置された搬送ローラ対６０，９２をそれぞれ回転させると共に、印刷ユニット１０Ｔにおける第１ガイドレバー２３２及び第２ガイドレバー７６をそれぞれ搬送位置へ回動させる。これにより、第２通紙経路１３６内へ送り込まれた記録紙Ｐは、第１ガイドレバー２３２及び第２ガイドレバー７６により排紙ユニット１０４側へ搬送されるように案内される。
【０１５３】
プリンタ装置２３０は、記録紙Ｐの後端が印刷ユニット１０Ｔの第２分岐ガイド路７４との分岐部を通過すると、記録紙Ｐの排紙ユニット１０４側への搬送を一旦停止させると共に、第１ガイドレバー２３２を反転位置へ回動させる。この後、プリンタ装置２３０は、印刷ユニット１０Ｔの積載板２２，２３をそれぞれ下限位置へ揺動させると共に、記録紙Ｐを給紙ユニット１４０側へ搬送開始する。これにより、記録紙Ｐは、図８に示されるように、その後端側から給紙ホッパ２０内へ送り込まれ、給紙ホッパ２０内に収納される。このとき、印刷ユニット１０Ｔの給紙ホッパ２０内に収納された記録紙Ｐは、他の印刷ユニット１０における給紙ホッパ２０とは表裏が反転し、画像記録済みの一方の面（表面）が上方を向き、画像が記録されていない他方の面（裏面）が下方を向いた状態となる。
【０１５４】
印刷ユニット１０Ｔでは、表面に画像が記録された記録紙Ｐを給紙ホッパ２０内に収納すると、積載板２２，２３をそれぞれ下限位置から解放した後、給紙ローラ４４を所定量回転させる。これにより、表面に画像が記録された記録紙Ｐは、図９に示されるように、給紙ホッパ２０内の他の記録紙Ｐから分離され、印字ガイド路５２を通って印字部３４へ送り込まれる。プリンタ装置２３０は、記録紙Ｐの先端が印字部３４に達すると、ニップローラ対４０により記録紙Ｐをインクジェットヘッド３８とガイド板４４との間に送り込み、ガイド板４４に沿って記録紙Ｐを搬送し、記録紙Ｐの先端部をローラ対４２の間に挿入する。これにより、印刷ユニット１０Ｔでは、記録紙Ｐをニップローラ対４０及びローラ対４２により副走査方向へ所定の副走査速度で搬送しつつ、下段側の印刷ユニット１０により表面に画像を記録する場合と同様に、インクジェットヘッド３８により記録紙Ｐの裏面にインクにより画像を形成する。この記録紙Ｐは、排紙バッファ２６内へ一旦収納され、少なくとも画像を形成したインクが十分に乾燥するまで排紙バッファ２６内に保持された後、分離排紙ローラ７８により接続ガイド路８４を通して第１排紙ガイド路９０（第１通紙経路１３４）内へ送り込まれる。
【０１５５】
第１通紙経路１３４内へ送り込まれた記録紙Ｐは、印刷ユニット１０Ｔの搬送ローラ対により排紙ユニット１０４の第１受入ガイド路１２６内へ送り込まれ、搬出ローラ対１３０により第１排紙口１２２を通して排紙トレー部１１２上へ排出される。このとき、排紙トレー部１１２の積載面１１４上に落下した記録紙Ｐは、その先端部が第１排紙口１２２とは反対側の位置決め面１２０へ当接し、積載面１１４上で第２積載位置とは異なる所定の第１積載位置に位置決めされる。
【０１５６】
なお、本実施形態では、下段側の印刷ユニット１０から印刷ユニット１０Ｔにおける給紙ホッパ２０内へ表面に画像が記録された１枚の記録紙Ｐが送り込まれた後、直ちに、印刷ユニット１０Ｔにより記録紙Ｐの裏面に画像を記録する場合について説明したが、下段側の印刷ユニット１０から表面に画像が記録された複数枚の記録紙Ｐを印刷ユニット１０Ｔにおける給紙ホッパ２０内へ送り込んだ後、印刷ユニット１０Ｔにより複数枚の記録紙Ｐの裏面にそれぞれ連続的に画像を記録するようにしても良い。
【０１５７】
従って、本実施形態に係るプリンタ装置２３０によれば、記録紙Ｐの両面にそれぞれ画像を記録する場合でも、下段側の印刷ユニット１０が印刷ユニット１０Ｔによる記録紙Ｐの裏面への画像記録の完了を待つことなく、給紙ホッパ２０内に収納された他の記録紙Ｐの表面に画像を記録できるようになる。
【０１５８】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る印刷ユニットによれば、複数台が積み重ねられることで、記録媒体の両面にそれぞれ画像を記録可能なプリンタ装置を構成でき、しかも積み重ねられる台数に応じてプリンタ装置による印刷能力を簡単に増減できる。
【０１５９】
また本発明に係るプリンタ装置によれば、記録媒体の両面にそれぞれ画像を記録でき、しかも印刷ユニットの台数を簡単に増減して印刷能力を広い範囲で調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施形態に係るプリンタ装置の構成を示す側面図である。
【図２】図１に示されるプリンタ装置をユニット単位で分解した状態を示す側面図である。
【図３】（Ａ）は本発明の第１の実施形態に係るプリンタ装置における印刷ユニットの構成を示す側面断面図、（Ｂ）は印刷ユニットにおける第１ガイドレバーを示す側面図である。
【図４】図３に示される印刷ユニットの構成を示す平面面図である。
【図５】図３に示される印刷ユニットにおける給紙ホッパの構成を示す側面図であり、（Ａ）は積載板が下限位置に拘束されている状態を示し、（Ｂ）は積載板が下限位置から解放されている状態を示している。
【図６】本発明の第２の実施形態に係るプリンタ装置の構成を示す側面図である。
【図７】図６に示されるプリンタ装置における印刷ユニットの構成を示す側面断面図である。
【図８】本発明の第３の実施形態に係るプリンタ装置の構成を示す側面図であある。
【図９】図８に示されるプリンタ装置における裏面印字用の印刷ユニットへ記録紙を供給している状態を示す側面図である。
【図１０】（Ａ）は本発明の第３の実施形態に係るプリンタ装置における印刷ユニットの構成を示す側面断面図、（Ｂ）、（Ｃ）及び（Ｄ）は印刷ユニットにおける第１ガイドレバーを示す側面図である。
【符号の説明】
１０ 印刷ユニット
１０Ｔ 印刷ユニット
１６ 給紙搬入口（第１の搬入口）
１８ 排紙搬入口（第２の搬入口）
２０ 給紙ホッパ（個別供給手段、収納トレイ）
２６ 排紙バッファ（バッファ手段、収納手段）
３４ 印字部（印刷部）
３８ インクジェットヘッド
４０ ニップローラ対（主搬送手段）
４２ ローラ対（主搬送手段）
４６ 分離給紙ローラ（個別供給手段、分離供給手段)
５８ 給紙ガイド路（第１の搬送手段、第１の搬送ガイド路）
６０ 搬送ローラ対（第１の搬送手段、第１の搬送ロール）
７２ 第１ガイドレバー（主搬送手段、選択手段）
７６ 第２ガイドレバー
７８ 分離排紙ローラ（バッファ手段、分離排出手段）
９０ 排紙ガイド路（第２の搬送手段、第２の搬送ガイド路）
９２ 搬送ローラ対（第２の搬送手段、第２の搬送ロール）
１００ プリンタ装置
１０４ 排紙ユニット（排出ユニット）
１１２ 排紙トレー部
１３４ 第１通紙経路
１３６ 第２通紙経路
１４０ 給紙ユニット（共通供給手段）
１４８ 第１メイン給紙ホッパ
１５０ 第２メイン給紙ホッパ
１７０ 制御部
１７２ 制御部
１７８ 印刷ユニット
１７８Ｔ 印刷ユニット
１８０ プリンタ装置
１８２ 第３通紙経路
１８４ 第４通紙経路
１９８ 第２給紙ガイド路（第１の搬送手段）
２００ 第２排紙ガイド路（第２の搬送手段）
２３０ プリンタ装置
Ｐ 記録紙（記録媒体）
Ｒ 反転軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数台が積み重ねられて記録紙の両面に画像を記録することが可能なプリンタ装置を構成する印刷ユニット及び、この印刷ユニットを含む複数台のユニットから構成されて記録紙の両面に画像を記録することが可能なプリンタ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
大量の印刷物を作成する場合などにおいて、複数台の印刷ユニットを並列的に配置し、これらの印刷ユニットに印刷ジョブを振り分け、これらの印刷ユニットを並列的に動作させることにより、高速印刷を実現する並列処理型のプリンタ装置が、例えば、特許文献１に示されている。この特許文献１に示されたプリンタ装置は、印刷ユニットと、この印刷ユニットから搬出される印刷済みの記録紙を排紙する排紙部、記録紙を収納し、この記録紙を印刷ユニットへ供給する給紙部、及び制御部により構成されるベースユニットとを有しており、このベースユニット上に印刷ユニットが少なくとも１台以上積み重ねられて構成されている。
【０００３】
ここで、特許文献１の各印刷ユニットは、記録紙へ印刷を行うインクジェットヘッド等からなる印刷部と、印刷部への搬入口から搬入される記録紙を印刷部へ供給する第１給紙部（第１給紙路）と、搬入口から搬入される記録紙を他段の印刷ユニットへ供給する第２給紙部（第２給紙路）と、印刷部にて印刷された記録紙を搬出口へ排紙する第１排紙部（第１排紙路）と、他段の印刷ユニットで印刷された記録紙を搬出口へ排出する第２排紙部（第２排紙路）とを有している。
【０００４】
特許文献１のプリンタ装置では、最下段の印刷ユニットの搬出口はベースユニットの排紙部に接続されると共に、搬入口はベースユニットの給紙部に接続されている。また隣接する印刷ユニット間では、下段側の印刷ユニットの第２給紙路及び第２排紙路が、上段側の印刷ユニットの搬入口及び排出口にそれぞれ接続される。これにより、このプリンタ装置では、各印刷ユニットの第２給紙路が接続されて記録紙を印刷部へ案内するための１本の給紙経路が構成されると共に、各印刷ユニットの第２排紙路が接続されて記録紙を排紙部へ案内するための１本の排紙経路が構成される。従って、各第２給紙路が接続された給紙経路を通してベースユニットの給紙部から任意の印刷ユニットに送られてきた記録紙が第１給紙路により印刷部へ給紙可能になり、また印刷部により印刷された記録紙が第１排紙路を通して第２排紙路へ送り出され、この記録紙が、各第２排紙路が接続されて構成された排紙経路に沿って排紙搬送ローラにより搬送され、排紙経路内からベースユニットの排紙部へ搬出される。
【０００５】
また、特許文献１には、ベースユニット上に積み重ねる印刷ユニットの段数（台数）を増減することにより、ユーザの要求等に応じてプリンタ装置による印刷速度等の印刷能力が広い範囲で調整可能になると記載されている。
【０００６】
ところで、近年、プリンタ装置に対しては、オフィス等における紙節約の要求等から記録紙の使用枚数を減らすため、記録紙の両面に画像を自動的に記録する機能（両面印字機能）を求められることが多くなっている。このような両面印字機能は、例えば、画像記録部により記録紙の片面側に画像を記録した後、この記録紙を表裏反転して再度、画像記録部へ供給することにより実現される。このような両面印字機能を有するプリンタ装置としては、例えば、特許文献２に示されたものが有る。
【０００７】
上記特許文献２に示されたプリンタ装置では、印刷データに基づいて記録ヘッドからインクを吐出させて記録紙に印刷する記録部を複数、縦列配置するとともに、前記記録部のうち、記録紙の一方の第１面（表面）を印刷する第１面用記録部と、この記録媒体の残りの第２面（裏面）を印刷する第２面用記録部とが互いにその印刷搬送方向が反対となるように配置されている。ここで、第１面用記録部の排出側と第２面用記録部の供給側との間には供給路が設けられており、この供給路には、第１面用記録部から排出された記録紙を表裏反転して第２面用記録部に供給し、又は第１面用記録部から排出された記録紙を、第２面用記録部を介さずに記録紙の収容部に排出可能とする反転部が設けられている。これにより、記録紙に対して両面印字を行う場合には、第１面用記録部により記録紙の表面に印刷した後、この記録紙を供給路へ搬出して反転部により第２面用記録部に供給すれば、第２面用記録部により記録紙の裏面に印刷でき、また片面印字を行う場合には、第１面用記録部により記録紙の表面に印刷した後、この記録紙を供給路へ搬出して反転部により第２面用記録部を介さず収容部へ直接排出する。
【０００８】
【特許文献１】
特開２０００−１０３７３５号公報
【特許文献２】
特開２００２−３０１８０８号公報
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献１のプリンタ装置では、ベースユニット上に積み重ねる印刷ユニットの台数を増減することにより、印刷速度等の印刷能力が広い範囲で調整可能になるが、記録紙に対する両面印字機能を実現できない。
【００１０】
一方、特許文献２のプリンタ装置では、記録紙に対する両面印字が可能になるが、記録紙に対する印刷速度等の印刷能力が基本的に固定されており、ユーザの要求等に応じてプリンタ装置による印刷能力を簡単には増減できない。
【００１１】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、複数台が積み重ねられることで、記録媒体の両面にそれぞれ画像を記録可能なプリンタ装置を構成でき、しかも積み重ねられる台数に応じてプリンタ装置による印刷能力を簡単に増減できる印刷ユニット及び、記録媒体の両面にそれぞれ画像を記録でき、しかも印刷ユニットの台数を簡単に増減して印刷能力を広い範囲で調整できるプリンタ装置を提供することにある。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項１に係る印刷ユニットは、シート状の記録媒体における少なくとも片側の面に画像を記録する印刷部を含み、少なくとも２台が幅方向に対して互いに反対の方向を向くように反転された状態で、所定の重ね合わせ方向に沿って重ね合わされることにより、記録媒体の両側の面に画像記録を行うことが可能となるプリンタ装置を構成する印刷ユニットであって、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第１の搬送手段と、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第２の搬送手段と、前記第１の搬送手段から前記印刷部に記録媒体を送り込み、該印刷部により画像が記録された記録媒体を前記第２の搬送手段へ送り出す主搬送手段と、を有し、前記第１の搬送手段と前記第２の搬送手段とを、前記幅方向に沿って延在する他のユニットとの重ね合わせ面において、ユニット同士を前記幅方向に沿って反転させる際の中心に対して互いに点対称となるように配置したことを特徴とする。
【００１３】
上記請求項１に係る印刷ユニットによれば、第１の搬送手段と第２の搬送手段とを、前記幅方向に沿って延在する他のユニットとの重ね合わせ面において、ユニット同士を前記幅方向に沿って反転させる際の中心に対して互いに点対称となるように配置したことにより、少なくとも２台の印刷ユニットを重ね合わせ方向に沿って重ね合わせてプリンタ装置を構成する際に、１台以上の印刷ユニットを、他の１台の印刷ユニットに対して幅方向に沿って印刷部が反対の方向を向くように反転した状態で重ね合わすことが可能になり、このとき、第１の搬送手段及び第２の搬送手段を、他のユニットとの重ね合わせ面において、他の印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段又は第２の搬送手段及び第１の搬送手段にそれぞれ接続できる。
【００１４】
従って、少なくとも２台の印刷ユニットが、幅方向に沿って印刷部が互いに反対の方向を向くように反転された状態で重ね合わされて構成されたプリンタ装置では、１台の印刷ユニットにおける印刷部により表面に画像が記録された記録媒体を主搬送手段により第２の搬送手段へ送り込み、この記録媒体を他の１台の印刷ユニットにおける第１の搬送手段へ送り込めば、１台の印刷ユニットの印刷部への供給時とは、表裏が反転した状態で記録媒体を他の１台の印刷ユニットの印刷部に供給できるので、この印刷部により記録媒体の裏面に画像を記録できる。
【００１５】
また請求項１に係る印刷ユニットによれば、第１の搬送手段と第２の搬送手段とが幅方向に沿って印刷部を挟む両端部にそれぞれ配置されていることにより、主搬送手段により記録媒体を第１の搬送手段から印刷部へ送り込み、記録媒体を幅方向に沿って第２の搬送手段側へ移動させつつ印刷部に記録媒体に画像を形成すれば、記録媒体を略直線的に第１の搬送手段から印刷部へ搬送し、更に印刷部から第２の搬送手段へ搬送できるので、ユニット内で記録媒体を搬送するためだけの搬送時間を効果的に短縮できる。
【００１６】
また請求項２に係る印刷ユニットは、請求項１に記載の印刷ユニットにおいて、前記第１の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第１の搬送ガイド路を含み、前記第２の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第２の搬送ガイド路を含むことを特徴とする。
【００１７】
上記請求項２に係る印刷ユニットによれば、第１の搬送手段が幅方向に沿って印刷部を挟む両端部の一方に配置されると共に、重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第１の搬送ガイド路を含み、第２の搬送手段が幅方向に沿って印刷部を挟む両端部の他方に配置されると共に、重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第２の搬送ガイド路を含むことにより、第１の搬送手段及び第２の搬送手段をそれぞれユニット内部に効率的に配置できると共に、第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路をユニット内部に配置するためのスペースを小さいものにできる。
【００１８】
また請求項３に係る印刷ユニットは、請求項２に記載の印刷ユニットにおいて、前記第１の搬送ガイド路は、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端面の一方に沿って設けられ、前記第２の搬送ガイド路は、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端面の他方に沿って設けられることを特徴とする。
【００１９】
また請求項４に係る印刷ユニットは、請求項２又は３に記載の印刷ユニットにおいて、前記第１の搬送手段は、前記第１の搬送ガイド路に沿って記録媒体を搬送する第１の搬送ロールを含み、前記第２の搬送手段は、前記第２の搬送ガイド路に沿って記録媒体を搬送する第２の搬送ロールを含むことを特徴とする。
【００２０】
また請求項５に係る印刷ユニットは、請求項２乃至４の何れか１項に記載の印刷ユニットにおいて、前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路は、それぞれ前記重ね合わせ方向に沿って隣接する他の印刷ユニットにおける前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路の一方に接続されて、記録媒体をユニット外部から受け入れると共に、記録媒体をユニット外部へ排出するための第１の通紙経路の一部及び第２の通紙経路の一部を構成することを特徴とする。
【００２１】
上記請求項５に係る印刷ユニットによれば、第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路が、隣接する他の印刷ユニットにおける第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路の一方に接続されて、記録媒体をユニット外部から受け入れると共に、記録媒体をユニット外部へ排出するための第１の通紙経路の一部及び第２の通紙経路の一部を構成することにより、第１の通紙経路又は第２の通紙経路を通して記録媒体を、重ね合わされた複数台の印刷ユニットのうち何れに供給でき、又は印刷ユニットにより画像が記録されたユニット外部へ排出できる。
【００２２】
また請求項６に係る印刷ユニットは、請求項１乃至５の何れか１項に記載の印刷ユニットにおいて、前記重ね合せ方向が鉛直方向と略一致することを特徴とする。
【００２３】
また請求項７に係る印刷ユニットは、請求項１乃至６の何れか１項に記載の印刷ユニットにおいて、前記主搬送手段は、前記第２の搬送手段と前記印刷部との間に設けられ、該印刷部により画像が記録された記録媒体を一時保持するバッファ手段を含むことを特徴とする。
【００２４】
上記請求項７に係る印刷ユニットによれば、印刷部により画像が記録された記録紙がバッファ手段により一時保持されることにより、画像が記録された記録媒体を主搬送手段により直ちに第２の搬出手段へ送り出さなくても、引き続き印刷部に記録媒体を供給し、この記録媒体に対して印刷部により画像記録を開始できるので、例えば、他の印刷ユニットにより画像が記録された記録媒体が第２の搬送手段に送り込まれており、第２の搬送手段に直ちに画像が記録された記録媒体を送り込めない時でも、印刷部による記録紙に対する画像の記録動作を中断する必要がなくなり、かつバッファ手段に一時保持された記録媒体については、第２の搬送手段へ記録媒体を送り込むことが可能なった時点で、この記録媒体を主搬送手段により第２の搬送手段へ送り込むようにすれば、印刷部による記録動作に影響を与えることなく、画像が記録された記録媒体を第２の搬送手段により印刷ユニットの外部へ搬送できる。
【００２５】
また、例えば、印刷部がインクにより記録媒体に画像を記録するものであれば、印刷部により画像が記録された記録媒体をバッファ手段により一定時間以上保持することにより、記録媒体をインクが十分に乾燥した後、第２の搬送手段へ送り込むことができるので、裏面記録用の印刷ユニットによる記録媒体への画像記録時にローラ等との接触によりインクの滲みが発生したり、画像記録完了後に、他の記録媒体上に積載されたときに他の記録媒体へのインク転写を防止できるようになる。
【００２６】
また請求項８に係る印刷ユニットは、請求項７に記載の印刷ユニットにおいて、前記バッファ手段は、前記印刷部により画像が記録された記録媒体を１枚以上収納可能とされた収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記第２の搬送手段へ送り出す分離排出手段と、を含むことを特徴とする。
【００２７】
上記請求項８に係る印刷ユニットによれば、バッファ手段が、印刷部により画像が記録された記録媒体を１枚以上収納可能とされた収納手段と、収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して第２の搬送手段へ送り出す分離排出手段とを含むことにより、画像が記録された複数枚の記録媒体を収納手段内に一時的に収納しておけば、第２の搬送手段へ記録媒体を送り込むことが可能なった時点で、収納手段内に収納された複数枚の記録媒体から１枚の記録媒体のみを分離排出手段により分離し、この１枚の記録媒体を第２の搬送手段へ送り込むことができるので、このような収納手段が無い場合や収納手段に１枚の記録媒体しか収納できない場合と比較し、第２の搬送手段に画像が記録された記録媒体を送り込めない時にも、印刷部により記録媒体に対する記録動作を継続できる時間を延長できる。
【００２８】
また請求項９に係る印刷ユニットは、請求項８に記載の印刷ユニットにおいて、前記収納手段は、ユニット本体部に対して挿抜自在に設けられたトレイであることを特徴とする。そして請求項１０に係る印刷ユニットは、請求項９に記載の印刷ユニットにおいて、前記トレイは、ユニット本体部内の装着位置から奥行方向に沿って前方及び後方の双方向へ抜脱可能とされたことを特徴とする。
【００２９】
また請求項１１に係る印刷ユニットは、請求項１乃至１０の何れか１項に記載の印刷ユニットにおいて、前記印刷部に対して記録媒体を供給する個別供給手段を含むことを特徴とする。
【００３０】
上記請求項１１に係る印刷ユニットによれば、印刷部よる画像記録時に個別供給手段が記録媒体を印刷部に供給することにより、ユニット外部から記録媒体を第１の搬送手段に供給することなく、印刷部に記録媒体を供給し、この記録媒体に画像を記録できるので、例えば、他の印刷ユニットに記録媒体を供給するため第１の搬送手段が使用されていても、印刷部により記録媒体に対する画像記録を支障なく実行できる。
【００３１】
また請求項１２に係る印刷ユニットは、請求項１１に記載の印刷ユニットにおいて、前記個別供給手段は、１枚以上の記録媒体を収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ供給する分離供給手段と、を含むことを特徴とする。
【００３２】
上記請求項１２に係る印刷ユニットによれば、個別供給手段が、１枚以上の記録媒体を収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ供給する分離供給手段と、を含むことより、収納手段内に複数枚の記録媒体を予め装填しておき、この収納手段内の複数枚の記録媒体を１枚ずつ分離して印刷部へ供給できる。
【００３３】
また請求項１３に係る印刷ユニットは、請求項１２に記載の印刷ユニットにおいて、前記収納手段は、ユニット本体部に対して挿抜自在に設けられたトレイであることを特徴とする。上記請求項１３に係る印刷ユニットによれば、個別供給手段が１枚以上の記録媒体を収納すると共に、ユニット本体に対して挿抜自在に設けられた収納トレイを含むことにより、ユニット本体部から収納トレイを抜き取り、この収納トレイ内へ１枚以上の記録媒体を装填した後、トレイをユニット本体部内へ再び挿入すれば、収納手段内に記録媒体を簡単かつ迅速に補給できる。
【００３４】
また請求項１４に係る印刷ユニットは、請求項１３に記載の印刷ユニットにおいて、前記トレイは、ユニット本体部内の装着位置から奥行方向に沿って前方及び後方の双方向へ抜脱可能とされたことを特徴とする。
【００３５】
また請求項１５に係る印刷ユニットは、請求項１乃至１４の何れか１項に記載の印刷ユニットにおいて、前記主搬送手段は、前記第１の搬送手段により搬送されている記録媒体を選択的に該第１の搬送手段から離脱させて前記印刷部へ送り込む選択手段を含むことを特徴とする。
【００３６】
上記請求項１５に係る印刷ユニットによれば、主搬送手段が第１の搬送手段により搬送されている記録媒体を選択的に第１の搬送手段から離脱させて印刷部へ送り込む選択手段を含むことにより、第１の搬送手段により搬送されている記録媒体を印刷部に送り込み、印刷部により画像を記録するか、第１の搬送手段により搬送されている記録媒体を印刷部に送り込むことなく、ユニット外部へ排出するかを自由に選択することが可能になる。
【００３７】
本発明の請求項１６に係るプリンタ装置は、シート状の記録媒体における少なくとも片側の面に画像を記録する印刷部を含む印刷ユニットを含み、少なくとも２台の前記印刷ユニットが幅方向に対して互いに反対の方向を向くように反転された状態で、所定の重ね合わせ方向に沿って重ね合わされることにより、記録媒体の両側の面に画像記録を行うことが可能となるプリンタ装置であって、前記印刷ユニットは、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第１の搬送手段と、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第２の搬送手段と、前記第１の搬送手段から前記印刷部に記録媒体を送り込み、該印刷部により画像が記録された記録媒体を前記第２の搬送手段へ送り出す主搬送手段と、を有し、前記第１の搬送手段と前記第２の搬送手段とを、前記幅方向に沿って延在する他のユニットとの重ね合わせ面において、ユニット同士を前記幅方向に沿って反転させる際の中心に対して互いに点対称となるように配置したことを特徴とする。
【００３８】
上記請求項１６に係るプリンタ装置では、印刷ユニットにおける第１の搬送手段と第２の搬送手段とを互いに点対称となるように配置したことにより、少なくとも２台の印刷ユニットを重ね合わせ方向に沿って重ね合わせてプリンタ装置を構成する際に、１台以上の裏面記録用の印刷ユニットを、他の表面記録用の印刷ユニットに対して幅方向に沿って印刷部が反対の方向を向くように、反転軸を中心とし反転した状態で重ね合わすことが可能になり、このとき、一の印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段を、他のユニットとの重ね合わせ面において、他の印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段又は第２の搬送手段及び第１の搬送手段にそれぞれ接続できる。
【００３９】
従って、上記請求項１６に係るプリンタ装置によれば、１台の印刷ユニットにおける印刷部により表面に画像が記録された記録媒体を主搬送手段により第２の搬送手段へ送り込み、この記録媒体を他の１台の印刷ユニットにおける第１の搬送手段へ送り込めば、１台の印刷ユニットの印刷部への供給時とは、表裏が反転した状態で記録媒体を他の１台の印刷ユニットの印刷部に供給できるので、この印刷部により記録媒体の裏面に画像を記録できる。
【００４０】
また請求項１７に係るプリンタ装置は、請求項１６に記載のプリンタ装置において、前記第１の搬送手段及び前記第２の搬送手段によりそれぞれ前記印刷ユニット内から排出された記録媒体を１枚以上保持する排出ユニットを有することを特徴とする。
【００４１】
上記請求項１７に係るプリンタ装置によれば、排出ユニットが第１の搬送手段及び第２の搬送手段により印刷ユニット内から排出された記録媒体を１枚以上保持することにより、印刷ユニットからの記録媒体の排出完了のタイミングに影響されることなく、所望のタイミングで画像が記録された記録媒体を装置から回収できる。
【００４２】
また請求項１８に係るプリンタ装置は、請求項１６又は１７に記載のプリンタ装置において、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置され、前記第１の搬送手段に記録媒体を供給するための第１の搬入口と、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置され、前記第２の搬送手段に記録媒体を供給するための第２の搬入口と、を有することを特徴とする。
【００４３】
上記請求項１８に係るプリンタ装置によれば、第１の搬入口又は第２の搬入口を通して記録媒体を第１の搬送手段又は第２の搬送手段に供給することにより、重ね合わせ方向に沿って重ね合わされた複数台の印刷ユニットにおける何れの印刷ユニットの第１の搬送手段へでも、印刷部を介すことなく装置外部から記録媒体を送り込めるので、任意の印刷ユニットの第１の搬送手段に記録媒体を直接送り込み、この裏面記録用の印刷ユニットの印刷部により記録媒体に画像を記録できる。
【００４４】
また請求項１９に係るプリンタ装置は、請求項１６乃至１８の何れか１項に記載のプリンタ装置において、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置され、前記第１の搬送手段から装置外部へ記録媒体を排出するための第１の排出口と、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置され、前記第２の搬送手段から装置外部へ記録媒体を排出するための第２の排出口と、を有することを特徴とする。
【００４５】
上記請求項１９に係るプリンタ装置によれば、第１の排出口又は第２の排出口を通して記録媒体を第１の搬送手段又は第２の搬送手段により排出することにより、重ね合わせ方向に沿って重ね合わされた複数台の印刷ユニットにおける何れの印刷ユニットにより画像が記録された記録媒体でも、装置外部へ排出できる。
【００４６】
また請求項２０に係るプリンタ装置は、請求項１６乃至１９の何れか１項に記載のプリンタ装置において、前記第１の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第１の搬送ガイド路を含み、前記第２の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第２の搬送ガイド路を含むことを特徴とする。
【００４７】
上記請求項２０に係るプリンタ装置によれば、第１の搬送手段が幅方向に沿って印刷部を挟む両端部の一方に配置されると共に、重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第１の搬送ガイド路を含み、第２の搬送手段が幅方向に沿って印刷部を挟む両端部の他方に配置されると共に、重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第２の搬送ガイド路を含むことにより、第１の搬送手段及び第２の搬送手段をそれぞれユニット内部に効率的に配置できると共に、第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路をユニット内部に配置するためのスペースを小さいものにできる。
【００４８】
また請求項２１に係るプリンタ装置は、請求項２０に記載のプリンタ装置において、前記第１の搬送手段は、前記幅方向に沿って隣接する２本の前記第１の搬送ガイド路を含み、前記第２の搬送手段は、前記幅方向に沿って隣接する２本の前記第２の搬送ガイド路を含むことを特徴とする。
【００４９】
上記請求項２１に係るプリンタ装置によれば、第１の搬送手段が２本の第１の搬送ガイド路を含み、第２の搬送手段が２本の第１の搬送ガイド路を含むことより、一方の第１の搬送ガイド路又は第２の搬送ガイド路を通して記録媒体を搬送できない場合でも、他方の第１の搬送ガイド路又は第２の搬送ガイド路を通して記録媒体を搬送できるので、一方の第１の搬送ガイド路又は第２の搬送ガイド路を通して記録媒体を搬送できないことによって、各印刷ユニットにより画像が記録された記録媒体の排出開始が遅延することを防止でき、かつ印刷ユニットへの記録媒体の供給開始が遅延を防止できる。
【００５０】
また請求項２２に係るプリンタ装置は、請求項２１に記載のプリンタ装置において、前記第１の搬送手段及び前記第２の搬送手段は、前記印刷部により画像が記録された記録媒体を前記幅方向に沿って外側の前記第２の搬送ガイド路へ送り出すことを特徴とする。
【００５１】
また請求項２３に係るプリンタ装置は、請求項２０乃至２２の何れか１項に記載のプリンタ装置において、前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路は、それぞれ前記重ね合わせ方向に沿って隣接する他の印刷ユニットにおける前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路の一方に接続されて、記録媒体をユニット外部から受け入れると共に、記録媒体をユニット外部へ排出するための第１の通紙経路の一部及び第２の通紙経路の一部を構成することを特徴とする。
【００５２】
上記請求項２３に係るプリンタ装置によれば、第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路が、隣接する他の印刷ユニットにおける第１の搬送ガイド路及び第２の搬送ガイド路の一方に接続されて、記録媒体をユニット外部から受け入れると共に、記録媒体をユニット外部へ排出するための第１の通紙経路の一部及び第２の通紙経路の一部を構成することにより、第１の通紙経路又は第２の通紙経路を通して記録媒体を、重ね合わされた複数台の印刷ユニットのうち何れに供給でき、又は印刷ユニットにより画像が記録されたユニット外部へ排出できる。
【００５３】
また請求項２４に係るプリンタ装置は、請求項１６乃至２３の何れか１項に記載のプリンタ装置において、１枚以上の記録媒体を収納すると共に、収納した記録媒体を前記印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段の何れかに供給する共通供給手段を有することを特徴とする。
【００５４】
上記請求項２４に係るプリンタ装置によれば、共通供給手段が、１枚以上の記録媒体を収納すると共に、収納した記録媒体を印刷ユニットにおける個別供給手段へ供給することにより、共通供給手段から印刷ユニットにおける個別供給手段へ記録媒体を補給できるので、記録媒体を印刷ユニットの個別供給手段へ補給するための印刷ユニットの停止時間を減少でき、結果として印刷ユニットによる印刷能力を向上できる。
【００５５】
また請求項２５に係るプリンタ装置は、請求項１６乃至２４の何れか１項に記載のプリンタ装置において、前記印刷ユニットは、前記印刷部に対して記録媒体を供給する個別供給手段を有することを特徴とする。
【００５６】
上記請求項２５に係るプリンタ装置によれば、任意の印刷ユニットにおいて、その印刷部よる画像記録時に個別供給手段が記録媒体を印刷部に供給することにより、ユニット外部から記録媒体を第１の搬送手段に供給することなく、印刷部に記録媒体を供給し、この記録媒体に画像を記録できるので、例えば、他の印刷ユニットに記録媒体を供給するため第１の搬送手段が使用されていても、印刷部により記録媒体に対する画像記録を支障なく実行できる。
【００５７】
また請求項２６に係るプリンタ装置は、請求項２５に記載のプリンタ装置において、前記個別供給手段は、記録媒体を１枚以上収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ送り出す分離供給手段と、を含むことを特徴とする。
【００５８】
上記請求項２６に係るプリンタ装置によれば、個別供給手段が、記録媒体を１枚以上収納する収納手段と、この収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して印刷部へ送り出す分離供給手段とを含むことにより、装置外部から記録媒体を印刷ユニットにおける第１の搬送手段に供給することなく、収納手段から印刷部に記録媒体を供給し、この記録媒体に画像を記録できるので、例えば、複数枚の記録媒体を収納手段内に一時的に収納しておけば、このような収納手段が無い場合や収納手段に１枚の記録媒体しか収納できない場合と比較し、他の印刷ユニットに記録媒体を供給するため一の印刷ユニットの第１の搬送手段が使用されていても、一の印刷ユニットでは印刷部により記録媒体に対する画像記録を継続できる時間を延長できる。
【００５９】
また請求項２７に係るプリンタ装置は、請求項２３に記載のプリンタ装置において、１枚以上の記録媒体を収納すると共に、収納した記録媒体を前記印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段の何れかに供給する共通供給手段と、前記印刷ユニットに備えられ、記録媒体を１枚以上収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ送り出す分離供給手段と、を含む個別供給手段と、を有し、前記共通供給手段は、記録媒体を前記第１の通紙経路及び前記第２の通紙経路の一方を通して前記収納手段内へ供給することを特徴とする。
【００６０】
上記請求項２７に係るプリンタ装置によれば、共通供給手段が、記録媒体を第１の通紙経路及び第２の通紙経路の一方を通して収納手段内へ供給することにより、共通供給手段からの記録媒体を、第１の通紙経路及び第２の通紙経路の一方を通して重ね合わされた複数台の印刷ユニットのうち何れの印刷ユニットにおける収納手段内へも補給できる。
【００６１】
また請求項２８に係るプリンタ装置は、請求項２６又は２７に記載のプリンタ装置において、一の前記印刷ユニットにおける前記主搬送手段は、前記第２の搬送手段と前記印刷部との間に設けられ、該印刷部により画像が記録された記録媒体を一時保持するバッファ手段と、該バッファ手段により一時保持された記録媒体を、前記幅方向に沿って反転状態とされた他の前記印刷ユニットにおける前記収納手段内に表裏を反転した状態で送り込む反転供給手段と、を有することを特徴とする。
【００６２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る印刷ユニット及びプリンタ装置について図面を参照して説明する。
【００６３】
（第１の実施形態）
図１及び図２には本発明に第１の実施形態に係るプリンタ装置が示され、図３及び図４には本実施形態に係るプリンタ装置に適用される印刷ユニットが示されている。
【００６４】
図３に示されるように、印刷ユニット１０は外殻部としてケーシング１２を備えており、このケーシング１２は、装置の高さ方向（矢印Ｈ方向）に沿って扁平な直方体状に形成されている。ケーシング１２には、その底板部１３における幅方向（矢印Ｗ方向）に沿った一端側（図３では右側、以下、印刷ユニット１０では、便宜上、この一端側を「先端側」と呼称し、他端側を「後端側」と呼称する。）にスリット状の給紙搬入口１６が穿設されると共に、底板部１３における後端側にスリット状の排紙搬入口１８が穿設されている。またケーシング１２には、その頂板部１４における先端側に給紙搬入口１６に正対するようにスリット状の給紙搬出口１７が穿設されると共に、頂板部１４における後端側に排紙搬入口１８に正対するようにスリット状の排紙搬出口１９が穿設されている。
【００６５】
図３に示されるように、ケーシング１２内には、底板部１３上に上面側が開口した筐体状の給紙ホッパ２０が配置されている。給紙ホッパ２０内には、１枚の記録紙Ｐ又は複数枚の記録紙Ｐが積層された記録紙の束（以下、これを、特に「記録紙Ｐ」と区別する必要がある場合には、「紙束Ｂ」という。）が収納可能とされている。給紙ホッパ２０内には、底板部２１上に幅方向に沿って一対の積載板２２，２３が互いに隣接するように配置されており、これらの積載板２２，２３は、それぞれ幅方向中心側の端部が底板部２１に揺動可能に連結されている。これにより、給紙ホッパ２０内に収納された記録紙Ｐ（紙束Ｂ）は、その先端側の部分が積載板２２上に載置されると共に、後端側の部分が積載板２３上に載置される。積載板２２，２３は、それぞれコイルスプリング等の付勢部材２４により揺動端側がそれぞれ上方へ付勢されている。
【００６６】
給紙ホッパ２０は、ケーシング１２により奥行方向（図４に示される矢印Ｄ方向）に沿って装着位置と補給位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、給紙ホッパ２０は、ケーシング１２内の装着位置からケーシング１２の側方へ突出する補給位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して記録紙Ｐを補給し、又は取り出すことが可能になる。なお、本実施形態の印刷ユニット１０では、装着位置にある給紙ホッパ２０が奥行方向に沿って前方（図４（Ａ）の紙面下方）及び後方（図４（Ａ）の紙面上方）の何れの方向でも移動可能とされており、給紙ホッパ２０を後方及び前方何れの方向へ移動させた場合でも、装着位置から補給位置へ移動可能となっている。
【００６７】
図３に示されるように、印刷ユニット１０内には、給紙ホッパ２０の上側に上面側が開口した筐体状の排紙バッファ２６が配置されている。この排紙バッファ２６内には記録紙Ｐ（紙束Ｂ）が収納可能とされている。排紙バッファ２６内には、その底板部２７上に幅方向に沿って一対の積載板２８，２９が互いに隣接するように配置されており、これらの積載板２８，２９は、それぞれ幅方向中心側の端部が底板部２７に揺動可能に連結されている。これにより、排紙バッファ２６内に収納された記録紙Ｐ（紙束Ｂ）は、その先端側の部分が積載板２８上に載置されると共に、後端側の部分が積載板２９上に載置される。積載板２８，２９は、コイルスプリング等の付勢部材３０により揺動端側がそれぞれ上方へ付勢されている。なお、排紙バッファ２６内では、記録紙Ｐの先端及び後端の向きが給紙ホッパ２０内とは逆になると共に、その表裏面が反転された状態となる。
【００６８】
また、排紙バッファ２６も、給紙ホッパ２０と同様に、ケーシング１２により奥行方向に沿って装着位置と排紙位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、排紙バッファ２６は、ケーシング１２内の装着位置からケーシング１２の側方へ突出する排紙位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して記録紙Ｐを取り出すことが可能になる。なお、本実施形態の印刷ユニット１０では、装着位置にある排紙バッファ２６が奥行方向に沿って前方及び後方の何れの方向でも移動可能とされており、排紙バッファ２６を後方及び前方何れの方向へ移動させた場合でも、装着位置から排紙位置へ移動可能となっている。
【００６９】
排紙バッファ２６には、付勢部材３０に抗して積載板２８，２９を揺動方向に沿って底板部２７に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ（図示省略）が配置されており、このアクチュエータは、排紙バッファ２６内に画像記録済みの記録紙Ｐを受け入れる際に、積載板２８，２９を底板部２７に近接した下限位置に揺動させて拘束し、排紙バッファ２６内への記録紙Ｐの受入完了後に積載板２８，２９を下限位置から解放する。またアクチュエータは、排紙バッファ２６を装着位置から排紙位置へ移動させる場合にも積載板２８，２９を下限位置へ揺動させて拘束し、排紙バッファ２６が排紙位置から装着位置へ復帰すると、これに連動して積載板２８，２９を下限位置から解放する。
【００７０】
図３及び図４に示されるように、印刷ユニット１０内には、給紙ホッパ２０の上方であって、幅方向に沿って排紙バッファ２６に隣接する部位に印字部３４が配置されている。この印字部３４には、奥行方向と平行な主走査方向（図４に示される矢印Ｓ方向）に延在するガイドロッド３６が設けられると共に、このガイドロッド３６により主走査方向に沿って移動可能に支持されたブロック状のインクジェットヘッド３８が設けられている。また印字部３４には、記録紙Ｐに対する画像記録時にインクジェットヘッド３８を所定の主走査速度で往復移動させるヘッド駆動機構（図示省略）が設けられている。
【００７１】
図３に示されるように、印字部３４には、主走査方向に直交する副走査方向（図４に示される矢印Ｗ方向）に沿ってインクジェットヘッド３８を挟むように２組のニップローラ対４０，４２が配置されると共に、ニップローラ対４０，４２間にインクジェットヘッド３８の下面部に対向するようにガイド板４４が配置されている。ガイド板４４は、インクジェットヘッド３８の下面との間にスリット状の隙間を形成している。これら２組のニップローラ対４０，４２は、インクジェットヘッド３８により画像が記録される記録紙Ｐをガイド板４４の上面側に圧接させつつ、この記録紙Ｐを所定の副走査速度で搬送する。
【００７２】
ここで、インクジェットヘッド３８には、その下面部分に主走査方向に沿って記録すべき画像の画素密度に対応するピッチで配設された複数のノズル（図示省略）が設けられており、インクジェットヘッド３８は、ヘッド駆動機構により主走査方向へ移動しつつ、デジタル化された画像情報に基づいて各ノズルからインクを噴射及び噴射停止することで、ニップローラ対４０，４２により副走査方向へ搬送される記録紙Ｐ上に画像情報に対応する画像を形成する。
【００７３】
図３に示されるように、印刷ユニット１０には、給紙ホッパ２０の上方に円筒状の分離給紙ローラ４６が配置されている。この分離給紙ローラ４６は、給紙ホッパ２０内に収納され積載板２２，２３により上方へ付勢された記録紙Ｐ（紙束Ｂ）上面の先端側に圧接する。また印刷ユニット１０には、分離給紙ローラ４６と印字部３４のニップローラ対４０との間に一定の間隔を空けて互いに対向する一対の印字ガイド板４８，５０が配置されている。一対の印字ガイド板４８，５０はそれぞれＵ字状に湾曲しており、これら一対の印字ガイド板４８，５０間には、１枚の記録紙Ｐをニップローラ対４０へ案内するための印字ガイド路５２が形成されている。
【００７４】
印刷ユニット１０では、給紙ホッパ２０内からインクジェットヘッド３８に記録紙Ｐを供給する際には、給紙ホッパ２０内の記録紙Ｐに圧接した分離給紙ローラ４６を所定量回転させる。これにより、給紙ホッパ２０内からは１枚の記録紙Ｐが分離され、この１枚の記録紙Ｐは分離給紙ローラ４６からの搬送力により印字ガイド路５２に沿ってニップローラ対４０へ搬送される。なお、印字ガイド路５２の路長が比較的長く、分離給紙ローラ４６からの搬送力だけでは記録紙Ｐを確実にニップローラ対４０まで搬送できない場合には、印字ガイド路５２にはその途中に搬送ローラ対を配置し、この搬送ローラ対により印字ガイド路５２の途中まで搬送されてきた記録紙Ｐをニップローラ対４０まで搬送するようにしても良い。
【００７５】
図３に示されるように、印刷ユニット１０内には、先端部に高さ方向に沿って延在する一対の給紙ガイド板５４，５６が配置されており、この給紙ガイド板５４，５６の間には、印刷ユニット１０を高さ方向に沿って貫通して、ケーシング１２の給紙搬入口１６と給紙搬出口１７とを繋げたスリット状の給紙ガイド路５８が形成されている。この給紙ガイド路５８には、少なくとも下端部及び上端部にそれぞれ搬送ローラ対６０が配置されている。
【００７６】
印刷ユニット１０には、給紙ガイド路５８から給紙ホッパ２０側へ分岐する第１分岐ガイド路６２設けられている。一方、給紙ホッパ２０には、図５に示されるように、先端側の側板部に幅方向に沿って第１分岐ガイド路６２側へ延出する筒状の受入ガイド部６４が一体的に形成されており、この受入ガイド部６４内には、記録紙Ｐが通過可能なスリット状の受入ガイド路６６が形成されている。この受入ガイド路６６は、一端部が給紙ホッパ２０内へ開口する排紙口６８とされると共に他端部が給紙口７０とされており、この給紙口７０は第１分岐ガイド路６２の先端部と正対している。これにより、第１分岐ガイド路６２の先端部から排出された記録紙Ｐは、給紙口７０を通して受入ガイド路６６内へ挿入される。この受入ガイド路６６内へ挿入された記録紙Ｐは、搬送ローラ対６０からの搬送力を受けて受入ガイド路６６内から排紙口６８を通して給紙ホッパ２０内へ排出される。
【００７７】
図３（Ｂ）に示されるように、印刷ユニット１０には、給紙ガイド路５８と第１分岐ガイド路６２との分岐部付近に第１ガイドレバー７２が設けられている。この第１ガイドレバー７２には、一端部に回動中心となる支軸部７３が設けられており、この支軸部７３は給紙ガイド板５４の外側に配置された軸受部（図示省略）により軸支されている。ここで、第１ガイドレバー７２は、実線で示される給紙位置と２点鎖線で示される搬送位置との範囲で回動可能とされている。また第１ガイドレバー７２の支軸部７３にはロータリアクチュエータ（図示省略）が連結されており、このロータリアクチュエータにより第１ガイドレバー７２は給紙位置及び搬送位置の何れかの位置に回動し保持される。
【００７８】
ここで、後述する給紙ユニット１４０又は下側の印刷ユニット１０から給紙ガイド路５８内に搬送されてきた記録紙Ｐは、ガイドレバー７２が給紙位置にある場合には、第１ガイドレバー７２により給紙ガイド路５８から第１分岐ガイド路６２内へ案内され、また第１ガイドレバー７２が搬送位置にある場合には、給紙ガイド路５８に沿って上方への搬送が継続される。
【００７９】
給紙ホッパ２０には、排紙バッファ２６と同様に、付勢部材２４に抗して一対の積載板２２，２３を揺動方向に沿って底板部２１に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ（図示省略）が配置されており、このアクチュエータは、受入ガイド路６６内から給紙ホッパ２０内に記録紙Ｐを受け入れる際には、図５（Ａ）に示されるように、積載板２２，２３を下限位置に揺動させて拘束する。このとき、積載板２２，２３上に積載された紙束Ｂは、受入ガイド路６６の排紙口６８よりも低い位置となる。またアクチュエータは、給紙ホッパ２０内への記録紙Ｐの受入完了後に積載板２２，２３を下限位置から解放する。これにより、積載板２２，２３は、付勢部材２４の付勢力により上方へ揺動し、図５（Ｂ）に示されるように、記録紙Ｐの先端部を分離給紙ローラ４６に圧接させる。
【００８０】
またアクチュエータは、給紙ホッパ２０内へ記録紙Ｐを補給するため、給紙ホッパ２０を装着位置から補給位置へスライドさせる際にも、積載板２２，２３を下限位置に揺動させ拘束し、給紙ホッパ２０が補給位置から装着位置へ復帰すると、これに連動して積載板２２，２３を下限位置から解放する。
【００８１】
図３（Ａ）に示されるように、印刷ユニット１０には、第１分岐ガイド路６２の上側に給紙ガイド路５８から分岐する第２分岐ガイド路７４が設けられており、この第２分岐ガイド路７４の先端部は印字ガイド路５２の中間部に接続されている。また印刷ユニット１０には、給紙ガイド路５８と第２分岐ガイド路７４との分岐部付近に第２ガイドレバー７６が設けられている。この第２ガイドレバー７６は、第１ガイドレバー７２と同様の構造を有しており、その支軸部を中心として給紙位置と搬送位置との間で回動可能とされている。第２ガイドレバー７６にもロータリアクチュエータが連結されており、このロータリアクチュエータからの駆動力により、記録紙Ｐを第２分岐ガイド路７４内へ案内する給紙位置及び記録紙Ｐの第１給紙ガイド路５８に沿った搬送を継続する搬送位置の何れかの位置に回動し保持される。
【００８２】
図３に示されるように、印刷ユニット１０には、排紙バッファ２６の上方に円筒状の分離排紙ローラ７８が配置されている。この分離排紙ローラ７８は、積載板２８，２９により上方へ付勢された記録紙Ｐ（紙束Ｂ）上面の先端側に圧接する。また印刷ユニット１０には、分離排紙ローラ７８から後端側へ延出する接続ガイド路８４が設けられている。
【００８３】
印刷ユニット１０内には、その後端部に高さ方向へ延在する一対の排紙ガイド板８６，８８が配置されており、一対の排紙ガイド板８６，８８は一定の間隔を空けて互いに対向するように支持されている。これらの一対の排紙ガイド板８６，８８間には、１枚の記録紙Ｐを後述する排紙ユニット１０４へ案内するための第１排紙ガイド路９０が形成されている。第１排紙ガイド路９０は、ケーシング１２に穿設された排紙搬入口１８と排紙搬出口１９とを繋げている。また印刷ユニット１０には、第１排紙ガイド路９０に沿って記録紙Ｐを上側の印刷ユニット１０又は排紙ユニット１０４へ搬送するための搬送ローラ対９２が設置されている。この搬送ローラ対９２は、少なくとも第１排紙ガイド路９０の上端部及び下端部にそれぞれ配置されており、更に第１排紙ガイド路９０の路長、記録紙Ｐの長さ等に応じて第１排紙ガイド路９０の上端部と下端部との間に適宜配置される。
【００８４】
印刷ユニット１０には、接続ガイド路８４の下側に第１排紙ガイド路９０から給紙ホッパ２０側へ分岐する第３分岐ガイド路９４が設けられており、この第３分岐ガイド路９４の先端部は給紙ホッパ２０の内へ開口している。また印刷ユニット１０には、第１排紙ガイド路９０と第３分岐ガイド路９４との分岐部付近に第３ガイドレバー９６が設けられている。この第３ガイドレバー９６は、第１ガイドレバー７２と同様の構造を有しており、その支軸部を中心として給紙位置と搬送位置との間で回動可能とされている。第３ガイドレバー９６にもロータリアクチュエータが連結されており、このロータリアクチュエータからの駆動力により、記録紙Ｐを第３分岐ガイド路９４内へ案内する給紙位置及び記録紙Ｐの第１排紙ガイド路９０に沿った搬送を継続する搬送位置の何れかの位置に回動し保持される。
【００８５】
図１に示されるように、本実施形態に係るプリンタ装置１００は、給紙ユニット１４０上に１台以上（本実施形態では３台）の印刷ユニット１０と排紙ユニット１０４とが高さ方向に沿って積み重ねられて構成されている。ここで、排紙ユニット１０４は、印刷ユニット１０により画像が記録された記録紙Ｐを受け入れて一時保管するためのものであり、プリンタ装置１００における最上段に配置される。また給紙ユニット１４０は、記録紙Ｐを収納し、この記録紙Ｐを各印刷ユニット１０における給紙ホッパ２０内へ補給するためのものである。
【００８６】
排紙ユニット１０４は外殻部としてケーシング１０６を備えており、このケーシング７４の幅方向及び奥行方向に沿ったサイズは、印刷ユニット１０のケーシング１２と略一致している。図２に示されるように、ケーシング１０６には、その下面部における先端部及び後端部にそれぞれスリット状の第１受入口１０８及び第２受入口１１０がそれぞれ開口している。第１受入口１０８及び第２受入口１１０は、排紙ユニット１０４の下段側に隣接するように配置された印刷ユニット１０の排紙搬出口１９及び給紙搬出口１７にそれぞれ接続される。ケーシング１０６の上面部には、複数枚の記録紙Ｐが積載可能とされた排紙トレー部１１２が設けられている。排紙トレー部１１２には、略水平な平面からなる積載面１１４が形成されると共に、この積載面１１４の幅方向に沿った両端部からそれぞれ略垂直に立ちあがる位置決め面１１８，１２０が形成されている。これらの位置決め面１１８，１２０の上端側には、スリット状の第１排紙口１２２及び第２排紙口１２４がそれぞれ開口しており、ケーシング１０６内には、第１排紙口１２２と第１受入口１０８とを繋ぐ第１受入ガイド路１２６と、第２排紙口１２４と第２受入口１１０とを繋ぐ第２受入ガイド路１２８とがそれぞれ設けられている。また排紙ユニット１０４には、第１受入ガイド路１２６の第１排紙口１２２側の端部に搬出ローラ対１３０が配置されると共に、第２受入ガイド路１２８の第２排紙口１２４側の端部に搬出ローラ対１３２が配置されている。
【００８７】
図２に示されるように、給紙ユニット１４０は外殻部としてケーシング１４２を備えており、このケーシング１４２の幅方向及び奥行方向に沿ったサイズは、印刷ユニット１０のケーシング１２と略一致している。ケーシング１４２には、その上面部における先端部及び後端部にそれぞれスリット状の第１排紙口１４４及び第２排紙口１４６が開口しており、これらの排紙口１４４，１４６は、給紙ユニット１４０の上段側に隣接する印刷ユニット１０における給紙搬入口１６及び排紙搬入口１８にそれぞれ接続される。
【００８８】
ケーシング１４２内には、複数枚の記録紙Ｐが積載された紙束Ｂが収納可能とされた第１メイン給紙ホッパ１４８が配置されると共に、この第１メイン給紙ホッパ１４８の下側に第２メイン給紙ホッパ１５０が配置されている。これらのメイン給紙ホッパ１４８，１５０は、それぞれケーシング１４２により奥行方向に沿って装着位置と補給位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、メイン給紙ホッパ１４８，１５０は、ケーシング１４２内の装着位置からケーシング１４２の側方へ突出する補給位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して記録紙Ｐ（紙束Ｂ）を補給し、又は取り出すことが可能になる。
【００８９】
メイン給紙ホッパ１４８，１５０内には、それぞれ収納した紙束Ｂが積載される第１及び第２積載トレー１５２，１５４及び、第１及び第２積載トレー１５２，１５４を高さ方向に沿って昇降可能に支持した昇降機構（図示省略）が配置されている。またケーシング１４２内には、メイン給紙ホッパ１４８，１５０の上方にそれぞれ第１及び第２分離給紙ローラ１５６，１５８が配置されており、第１分離給紙ローラ１５６は、そのローラ面が第１積載トレー１５２上に積載された紙束Ｂ上面の先端部に対向するように支持され、また第２分離給紙ローラ１５８は、そのローラ面が第２積載トレー１５４上に積載された紙束Ｂ上面の先端部に対向するように支持されている。
【００９０】
昇降機構は、メイン給紙ホッパ１４８，１５０の装着位置から補給位置へのスライドに連動して、積載トレー１５０，１５２をメイン給紙ホッパ１４８，１５０の底板部に近接した下限位置に移動させ、またメイン給紙ホッパ１４８，１５０の補給位置から装着位置へのスライドに連動して積載トレー１５０，1５２を上昇させ、積載トレー１５０，１５２上の紙束Ｂを所定の圧接力で分離給紙ローラ１５６，１５８に圧接させる。
【００９１】
図１に示されるように、ケーシング１４２内には、第１排紙口１４４から第１分離給紙ローラ１５６側へ延出する第１接続ガイド路１６０が設けられており、この第１接続ガイド路１６０の先端部は、第１分離給紙ローラ１５６と紙束Ｂとの圧接部に面して開口している。これにより、第１分離給紙ローラ１５６が所定量回転すると、第１分離給紙ローラ１５６により第１積載トレー１５２上の紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐが分離され、この記録紙Ｐの先端側が第１接続ガイド路１６０内へ送り込まれる。
【００９２】
またケーシング１４２内には、第２排紙口１４６から第２分離給紙ローラ１５８側へ延出する第２接続ガイド路１６２が設けられており、この第２接続ガイド路１６２の先端部は、第２分離給紙ローラ１５８と紙束Ｂとの圧接部に面して開口している。これにより、第２分離給紙ローラ１５８が所定量回転すると、第２分離給紙ローラ１５８により第２積載トレー１５４上の紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐが分離され、この記録紙Ｐの先端側が第２接続ガイド路１６２内へ送り込まれる。
【００９３】
なお、メイン給紙ホッパ１５０，１５２内にそれぞれ配置される積載トレー１５２，１５４は１個に限定されず、複数個の積載トレー１５２，１５４をメイン給紙ホッパ１５０，１５２内にそれぞれ配置し、複数個の積載トレー１５２，１５４にそれぞれ異なる種類の記録紙Ｐを積載するようにしても良い。この場合には、例えば、昇降機構により複数の積載トレー１５２，１５４を上下方向に加えて、前後方向（幅方向）に移動させ、複数の積載トレー１５２，１５４の何れかに積載された紙束Ｂを選択的に分離給紙ローラ１５６，１５８に圧接させることで、複数種類の記録紙Ｐから選択された１種類の記録紙Ｐをそれぞれ接続ガイド路１６０，１６２内へ送り込むことが可能になる。
【００９４】
印刷ユニット１０のケーシング１２には、その頂板部１４に上方へ突出するガイド突起（図示省略）が設けられると共に、底板部１３にガイド突起に対応する凹状のガイド受部（図示省略）が設けられている。また排紙ユニット１０４の下面部には、ガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられ、給紙ユニット１４０のケーシング１４２には、その頂板部に上方へ突出する複数のガイド突起（図示省略）が設けられている。ガイド突起は、１台の印刷ユニット１０及び排紙ユニット１０４に少なくとも２個ずつ設けられ、ガイド受部は、ガイド突起に対応するように１台の印刷ユニット１０及び給紙ユニット１４０に少なくとも２個ずつ設けられている。
【００９５】
ここで、給紙ユニット１４０上に複数台の印刷ユニット１０及び排紙ユニット１０４が積み重ねられてプリンタ装置１００を構成している状態では、印刷ユニット１０及び給紙ユニット１４０に設けられたガイド突起は、上段側の印刷ユニット１０又は排紙ユニット１０４のガイド受部に嵌挿し、印刷ユニット１０及び排紙ユニットに設けられたガイド受部内には、下段側の印刷ユニット１０又は給紙ユニット１４０に設けられたガイド突起が挿入される。これにより、給紙ユニット１４０、印刷ユニット１０及び排紙ユニット１０４は、幅方向及び奥行方向に沿って互いに一致するように位置決めされると共に、ユニット１０，１０４，１４０間での移動が拘束されて一体化される。
【００９６】
なお、プリンタ装置１００を構成する複数台の印刷ユニット１０及び給紙ユニット１４０は、それぞれ制御部１７０，１７２を備えている。各印刷ユニット１０の制御部１７０の間は電気的に接続され、給紙ユニット１４０の制御部１７２は少なくとも１台の印刷ユニット１０の制御部１７０に電気的に接続される。印刷ユニット１０及び給紙ユニット１４０の制御部１７０，１７２の間を電気的に接続するためには、例えば、各印刷ユニット１０及び給紙ユニット１４０にそれぞれケーブル及びソケットを設けて、ケーブル先端に配置されたコネクタを他の印刷ユニット１０又は給紙ユニット１４０のソケットに差し込むことにより電気的に接続しても良く、またガイド突起及びガイド受部の少なくと１個ずつをそれぞれ互いに適合するコネクタ及びソケットとして構成し、給紙ユニット１４０上に印刷ユニット１０を積み重ねると共に、コネクタとしてのガイド突起をソケットとしてのガイド受部に差し込むことにより電気的に接続しても良い。
【００９７】
図１に示されるように、プリンタ装置１００では、最上段に配置された印刷ユニット１０が下段側の印刷ユニットに対して異なる方向を向いている。すなわち、最上段の印刷ユニット１０（これを特に他の印刷ユニット１０の区別する必要がある場合には、「印刷ユニット１０Ｔ」という。）は、下段側の印刷ユニット１０に対して幅方向に沿って第１給紙ガイド路５８及び第１排紙ガイド路９０が１８０°反転（回転）した状態で、下段側の印刷ユニット１０上に積み重ねられている。これにより、印刷ユニット１０Ｔの給紙搬入口１６は、下段側に隣接する印刷ユニット１０の排紙搬出口１９に接続され、また印刷ユニット１０Ｔの給紙搬入口１６は、下段側に隣接する印刷ユニット１０の給紙搬出口１７に接続される。
【００９８】
ここで、図５（Ａ）及び（Ｂ）に示されるように、印刷ユニット１０Ｔは、他の印刷ユニット１０に対して幅方向及び奥行方向に沿った幾何学的な中心点である反転軸Ｒとして１８０°反転した状態となっている。また、この反転軸Ｒに対して、各印刷ユニット１０の第１給紙ガイド路５８と第１排紙ガイド路９０とが互いに対称的な配置及び形状となり、かつ給紙搬入口１６及び給紙搬出口１７と排紙搬入口１８及び排紙搬出口１９とも互いに対称的な配置及び形状とされている。更に、排紙ユニット１０４の第１受入口１０８と第２受入口１１０も反転軸Ｒを中心に対して互いに対称的な配置及び形状とされ、給紙ユニット１４０の第１給紙口１４４と第２給紙口１４６も反転軸Ｒを中心に対して互いに対称的な配置及び形状とされている。
【００９９】
従って、印刷ユニット１０Ｔを他の印刷ユニット１０に対して反転軸Ｒを中心として１８０°反転させ、他の印刷ユニット１０上に積み重ねれば、この任意の印刷ユニット１０Ｔの第１給紙ガイド路５８及び第１排紙ガイド路９０は、他の印刷ユニット１０の第１排紙ガイド路９０及び第１給紙ガイド路５８にそれぞれ接続される。また印刷ユニット１０Ｔ上に排紙ユニット１０４を積み重ねれば、排紙ユニット１０４の第１受入ガイド路１２６及び第２受入ガイド路１２８は、印刷ユニット１０Ｔの第１排紙ガイド路９０及び第１給紙ガイド路５８にそれぞれ接続される。
【０１００】
また印刷ユニット１０Ｔの下段側の印刷ユニット１０では、第１給紙ガイド路５８同士が互い接続されると共に、最下段の印刷ユニット１０の給紙搬入口１６が給紙ユニット１４０の第１給紙口１４４に接続され、また第１排紙ガイド路９０同士が互いに接続されると共に、最下段の印刷ユニット１０の排紙搬入口１８が給紙ユニット１４０の第２給紙口１４６に接続される。これにより、図１に示されるように、プリンタ装置１００の先端部には、高さ方向に沿って複数台の印刷ユニット１０の先端部を貫通すると共に、下端部及び上端部でそれぞれ給紙ユニット１４０及び排紙ユニット１０４に繋がった通紙経路（これを「第１通紙経路」という。）１３４が構成される。またプリンタ装置１００の後端部にも、高さ方向に沿って複数台の印刷ユニット１０の後端部を貫通すると共に、下端部及び上端部でそれぞれ給紙ユニット１４０及び排紙ユニット１０４に繋がった通紙経路（これを「第２通紙経路」という。）１３６が構成される。
【０１０１】
本実施形態に係るプリンタ装置１００は、前述したように、給紙ユニット１４０上に、複数台の印刷ユニット１０及び排紙ユニット１０４が積み重ねられて構成されている。これにより、プリンタ装置１００を構成する印刷ユニット１０及び排紙ユニット１０４は、図２に示されるように、上段側の印刷ユニット１０又は排紙ユニット１０４を上方へ持ち上げるだけで、簡単に下段側の印刷ユニット１０又は給紙ユニット１４０から分離できる。従って、プリンタ装置１００では、一の印刷ユニット１０を他の印刷ユニット１０から分離し、又は排紙ユニット１０４を下段側の印刷ユニット１０から分離した状態とすれば、１台乃至複数台の印刷ユニット１０を他の印刷ユニット１０の間又は印刷ユニット１０と排紙ユニット１０４との間に挿入し、あるいは印刷ユニット１０の間又は印刷ユニット１０と排紙ユニット１０４との間から１台乃至複数台の印刷ユニット１０を抜き取ることが可能になっている。これにより、プリンタ装置１００では、装置を構成する印刷ユニット１０の台数を簡単に増減でき、印刷ユニット１０の台数を増減することにより、装置全体としての印刷速度を含む印刷能力を調整できる。
【０１０２】
また本実施形態のプリンタ装置１００では、最上段の印刷ユニット１０Ｔのみが他の印刷ユニット１０に対して反転しているが、他の印刷ユニット１０の何れかを反転することも、また反転した状態の印刷ユニット１０を他の印刷ユニット１０の間に追加挿入することも可能である。
【０１０３】
次に、上記のように構成された本実施形態に係る印刷ユニット１０及びプリンタ装置１００による動作について説明する。
【０１０４】
プリンタ装置１００では、印刷ユニット１０の制御部１７０及び給紙ユニット１４０の制御部１７２がパーソナルコンピュータ、サーバ等の外部の情報処理装置（図示省略）と接続されており、この情報処理装置からプリント命令及び画像情報が入力すると、印刷ユニット１０が記録紙Ｐに対する画像の記録動作を開始する。
【０１０５】
ここで、複数台の印刷ユニット１０における給紙ユニット１４０における制御部１７２を並列的に情報報処理装置に接続しても良く、また制御部１７０，１７２の何れか１個をメインの制御部１７０，１７２として構成し、このメインの制御部１７０，１７２のみを情報処理装置に接続し、このメインの制御部１７０，１７２を通して他の制御部１７０，１７２へ各種の情報を出力するようにしても良い。また制御部１７０，１７２については、他の制御部１７０，１７２とは情報の処理速度、記憶容量等の性能及び機能が異なるものとしても良い。
【０１０６】
また、本実施形態のプリンタ装置１００では、印字命令及び画像情報が入力すると、印刷ユニット１０Ｔを除く、各印刷ユニット１０による記録紙Ｐに対する記録回数が可能なかぎり平準化するように、各印刷ユニット１０を所定の順番で巡回的に作動させる。またプリンタ装置１００では、複数枚数分の印字命令及び画像情報が一度に入力した場合には、可能な限り多数台の印刷ユニット１０を同時に作動させ、同時に作動する複数台の印刷ユニット１０によりそれぞれ記録紙Ｐに画像を形成させる。このとき、各印刷ユニット１０が記録紙Ｐに記録する画像は、印刷ユニット１０毎に異なったものでも、同一のものでも良い。また印刷ユニット１０Ｔについては、特に印字命令により記録紙Ｐの裏面に画像を記録することが命令された場合に、記録紙Ｐの裏面に画像を記録するために使用される。
【０１０７】
先ず、印刷ユニット１０Ｔ以外の各印刷ユニット１０における給紙ホッパ２０内に収納された記録紙Ｐの表面に対する画像の記録動作について説明する。
【０１０８】
プリンタ装置１００では、情報処理装置からの印字命令及び画像情報が入力すると、印刷ユニット１０Ｔを除く、少なくとも１台の印刷ユニット１０が作動して記録紙Ｐに対する画像形成を開始する。このとき、作動状態となる印刷ユニット１０では、先ず、分離給紙ローラ４６が回転して給紙ホッパ２０内に収納された紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐを分離し、この記録紙Ｐを印字ガイド路５２に沿って印字部３４のニップローラ対４０へ搬送する。ニップローラ対４０は、記録紙Ｐを挟持しつつ回転して記録紙Ｐをインクジェットヘッド３８とガイド板４４との間に送り込み、ガイド板４４に沿って記録紙Ｐを搬送し、記録紙Ｐの先端部をローラ対４２の間に挿入する。これにより、記録紙Ｐはニップローラ対４０及びローラ対４２により副走査方向へ副走査速度で搬送される。
【０１０９】
インクジェットヘッド３８は、記録紙Ｐの先端部がローラ対４２により挟持された後、ヘッド駆動機構により主走査方向へ移動しつつ、主走査方向へ配列された複数のノズルから画像情報に基づいて選択的にインクを噴射又は噴射停止し、副走査方向へ移動する記録紙Ｐ上にインクにより画像を形成して行く。このインクジェットヘッド３８の画像の記録動作に併行し、ローラ対４２は、画像が記録された記録紙Ｐの先端側の部分を排紙バッファ２６内へ送り込む。このとき、排紙バッファ２６内の積載板２８，２９は、アクチュエータにより下限位置に拘束されている。これにより、記録紙Ｐは、その先端部が分離排紙ローラ７８に衝突することなく、ニップローラ対４０及びローラ対４２からの搬送力により排紙バッファ２６内へ送り込まれ、その後端部がローラ対４２から離脱すると共に排紙バッファ２６へ収納される。
【０１１０】
印刷ユニット１０の制御部１７０は、画像が記録された記録紙Ｐが排紙バッファ２６内に収納される時点までに、この記録紙Ｐを直ちに排紙バッファ２６内から第１排紙ガイド路９０内へ搬出するか否かを判断する。この判断は、例えば、各印刷ユニット１０の第１排紙ガイド路９０により構成された第２通紙経路１３６内を記録紙Ｐが搬送されているか否か、各印刷ユニット１０により記録紙Ｐに対してそれぞれ異なる頁（画像情報）の印刷が行われており、頁数が小さい頁の画像が記録された記録紙Ｐを先行して他の印刷ユニット１０から排紙ユニット１０４へ搬送するために、排紙バッファ２６からの記録紙Ｐの搬出タイミングを調整する必要があるか否か等の各種の状況に基づいて判断される。
【０１１１】
制御部１７０は、記録紙Ｐを直ちに排紙バッファ２６内から第１排紙ガイド路９０内へ搬出すると判断した場合には、記録紙Ｐが排紙バッファ２６内へ収納されると、直ちにアクチュエータにより積載板２８，２９を下限位置から解放する。これにより、積載板２８，２９は、付勢部材３０の付勢力により上方へ揺動し記録紙Ｐの先端側を分離排紙ローラ７８へ圧接させる。これに同期して、制御部１７０は、分離排紙ローラ７８を回転開始させて排紙バッファ２６内に収納された記録紙Ｐを接続ガイド路８４内へ送り出す。このとき、排紙バッファ２６内に複数枚の記録紙Ｐが収納されて紙束Ｂが構成されている場合には、分離排紙ローラ７８は、最上部に積載された１枚の記録紙Ｐのみを紙束Ｂから分離し、この記録紙Ｐを接続ガイド路８４内へ送り出す。この記録紙Ｐは、その先端側が分離排紙ローラ７８からの搬送力により第１排紙ガイド路９０内へ送り込まれ、第１排紙ガイド路９０内で先端側が搬送ローラ対９２に達する。
【０１１２】
また印刷ユニット１０の制御部１７０は、画像が記録された記録紙Ｐを直ちに排紙バッファ２６内から第１排紙ガイド路９０内へ搬出しないと判断した場合には、記録紙Ｐが排紙バッファ２６内へ収納されても、アクチュエータにより積載板２８，２９を下限位置に拘束し続ける。これにより、引き続き、インクジェットヘッド３８により画像が記録された記録紙Ｐを排紙バッファ２６内へ送り込み、この記録紙Ｐを既に排紙バッファ２６内に収納された記録紙Ｐ上に積載可能になる。
【０１１３】
一方、プリンタ装置１００では、作動状態にある印刷ユニット１０により記録紙Ｐの先端側が接続ガイド路８４内から第１排紙ガイド路９０内へ送り込まれると、各印刷ユニット１０の搬送ローラ対６０，９２及び排紙ユニット１０４の第２搬出ローラ対１３２をそれぞれ回転させる。このとき、第２通紙経路１３６に配置された第１ガイドレバー７２、第２ガイドレバー７６及び第３ガイドレバー９６はそれぞれ搬送位置に保持されている。これにより、作動状態にある印刷ユニット１０により第２通紙経路１３６内へ送り込まれた記録紙Ｐは、搬送ローラ対６０，９２により排紙ユニット１０４側へ搬送され、第２通紙経内から排紙ユニット１０４の第２受入ガイド路１２８内へ送り込まれる。
【０１１４】
第２受入ガイド路１２８内へ送り込まれた記録紙Ｐは、その先端部が搬出ローラ対１３２により挟持され、搬出ローラ対１３２により第２排紙口１２４を通して排紙トレー部１１２上へ排出される。このとき、排紙トレー部１１２の積載面１１４上に落下した記録紙Ｐは、その先端部が第２排紙口１２４とは反対側の位置決め面１１８へ当接し、積載面１１４上で所定の第２積載位置に位置決めされる。
【０１１５】
以上説明した印刷ユニット１０による記録紙Ｐに対する画像の記録動作は、同一時期に１台の印刷ユニット１０のみを作動させて１枚の記録紙Ｐのみに画像を記録しても良く、また同一時期に印刷ユニット１０Ｔを除く複数台（本実施形態では、２台）の印刷ユニット１０をそれぞれ作動させて複数枚の記録紙Ｐに並列的に画像を記録するようにしても良い。
【０１１６】
次に、プリンタ装置１００により記録紙Ｐの両面に対して画像を記録する場合について説明する。プリンタ装置１００では、情報処理装置から記録紙Ｐの両面に印字を実行すべき印字命令及びそれに対応する画像情報が入力すると、先ず、上述したように印刷ユニット１０Ｔ以外の他の印刷ユニット１０により記録紙Ｐの片側の面（表面）に画像を記録し、この記録紙Ｐを排紙バッファ２６内から第２通紙経路１３６内へ送り込む。このとき、表面に画像が記録された記録紙Ｐは、少なくともインクが十分に乾燥するまで排紙バッファ２６内に保持される。
【０１１７】
プリンタ装置１００では、記録紙Ｐが第２通紙経路１３６内へ送り込まれると、各印刷ユニット１０の搬送ローラ対６０，９２をそれぞれ回転させると共に、印刷ユニット１０Ｔにおける第２ガイドレバー７６を搬送位置から給紙位置へ回動させる。これにより、第２通紙経路１３６内へ送り込まれた記録紙Ｐは、第２ガイドレバー７６により印刷ユニット１０Ｔの第２分岐ガイド路７４内へ案内され、第２分岐ガイド路７４内から印字ガイド路５２内へ送り込まれる。このとき、記録紙Ｐは、他の印刷ユニット１０における印字ガイド路５２内とは表裏が反転し、画像記録済みの一方の面（表面）が下方を向き、画像が記録されていない他方の面（裏面）が上方を向いた状態となる。
【０１１８】
印刷ユニット１０Ｔでは、記録紙Ｐが第２通紙経路１３６内から印字ガイド路５２内へ送り込まれると、印字部３４のニップローラ対４０，４２をそれぞれ回転開始させる。この後、記録紙Ｐの先端が印字部３４に達すると、ニップローラ対４０は、記録紙Ｐを挟持しつつ回転して記録紙Ｐをインクジェットヘッド３８とガイド板４４との間に送り込み、ガイド板４４に沿って記録紙Ｐを搬送し、記録紙Ｐの先端部をローラ対４２の間に挿入する。これにより、印刷ユニット１０Ｔでは、記録紙Ｐをニップローラ対４０及びローラ対４２により副走査方向へ所定の副走査速度で搬送しつつ、表面に画像を記録する場合と同様に、インクジェットヘッド３８により記録紙Ｐの裏面にインクにより画像を形成する。この記録紙Ｐは、排紙バッファ２６内へ一旦収納され、少なくとも画像を形成したインクが十分に乾燥するまで排紙バッファ２６内に保持された後、分離排紙ローラ７８により接続ガイド路８４を通して第１排紙ガイド路９０（第１通紙経路１３４）内へ送り込まれる。
【０１１９】
第１通紙経路１３４内へ送り込まれた記録紙Ｐは、印刷ユニット１０Ｔの搬送ローラ対により排紙ユニット１０４の第１受入ガイド路１２６内へ送り込まれ、搬出ローラ対１３０により第１排紙口１２２を通して排紙トレー部１１２上へ排出される。このとき、排紙トレー部１１２の積載面１１４上に落下した記録紙Ｐは、その先端部が第１排紙口１２２とは反対側の位置決め面１２０へ当接し、積載面１１４上で第２積載位置とは異なる所定の第１積載位置に位置決めされる。
【０１２０】
本実施形態のプリンタ装置１００では、給紙ユニット１４０から各印刷ユニット１０の給紙ホッパ２０内へ記録紙Ｐを補給することが可能になっている。次に、給紙ユニット１４０から給紙ホッパ２０への記録紙Ｐの補給動作について説明する。
【０１２１】
印刷ユニット１０の制御部１７０は、情報処理装置からの印字命令の内容、給紙ホッパ２０内の記録紙Ｐの残量等に応じて、給紙ユニット１４０からの記録紙Ｐの給紙が必要と判断し、かつ給紙ユニット１４０から給紙が可能と判断した場合に、給紙ユニット１４０からの記録紙Ｐの受入を準備すると共に、給紙ユニット１４０に対して記録紙Ｐの給紙を要求する。このとき、制御部１７０が、給紙ユニット１４０からの記録紙Ｐの給紙が必要と判断する場合としては、給紙ホッパ２０内の記録紙Ｐの残量が少ない場合、及び印字命令により給紙ユニット１４０のメイン給紙ホッパ１４８，１５０内に収納された記録紙Ｐに画像を記録する必要がある場合がある。
【０１２２】
また制御部１７０は、第１通紙経路１３４が記録紙Ｐにより塞がっていない時には、第１メイン給紙ホッパ１４８内から給紙ホッパ２０内へ記録紙Ｐの補給が可能と判断し、第２通紙経路１３６が記録紙Ｐにより塞がっていない時には、第２メイン給紙ホッパ１５０内から給紙ホッパ２０内へ記録紙Ｐの補給が可能と判断する。
【０１２３】
制御部１７０は、第１メイン給紙ホッパ１４８から印刷ユニット１０への記録紙Ｐの補給が必要と判断し、かつ第１通紙経路１３４が記録紙Ｐにより塞がっていないことを判断すると、先ず、記録紙Ｐの補給が必要となる印刷ユニット１０における積載板２２，２３をアクチュエータにより下限位置に揺動させると共に、その印刷ユニット１０の第１ガイドレバー７２（印刷ユニット１０Ｔの場合は、第３ガイドレバー９６）をロータリアクチュエータにより搬送位置から給紙位置へ回動させる。
【０１２４】
次いで、制御部１７０は、第１通紙経路１３４に配置された各搬送ローラ対６０,９２をそれぞれ所定の搬送方向へ回転開始させると共に、給紙ユニット１４０の制御部１７２に給紙信号を出力する。この給紙信号を受けた給紙ユニット１４０の制御部１７２は、第１分離給紙ローラ１５６を所定量回転させる。これにより、第１メイン給紙ホッパ１４８における第１積載トレー１５２上に積載された紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐが分離され、第１接続ガイド路１６０内へ送り込まれる。この記録紙Ｐは、その先端側が第１接続ガイド路１６０を通って第１通紙経路１３４内へ送り込まれ、搬送ローラ対６０により記録紙Ｐの補給を受ける印刷ユニット１０まで搬送される。この記録紙Ｐは、その先端部が分岐ガイド路６２,９４との分岐点まで搬送されると、ガイドレバー７２,９６により第１通紙経路１３４内から分岐ガイド路６２,９４内へ案内される。この記録紙Ｐは、搬送ローラ対６０,９２からの搬送力により分岐ガイド路６２,９４を通って給紙ホッパ２０内へ搬出され、積載板２２，２３上に収納される。
【０１２５】
給紙ユニット１４０の制御部１７２は、印刷ユニット１０の制御部１７０により複数枚の記録紙Ｐの補給を要求されている場合は、先行して給紙された記録紙Ｐが給紙ホッパ２０内へ収納されたタイミングに同期して、第１分離給紙ローラ１５６を回転させて後続する記録紙Ｐを第１接続ガイド路１６０へ送り込む分離給紙動作を要求された記録紙Ｐの枚数分だけ繰り返す。
【０１２６】
一方、印刷ユニット１０の制御部１７０は、給紙信号により要求した枚数の記録紙Ｐが給紙ホッパ２０内へ収納されると、積載板２２，２３をアクチュエータにより下限位置から解放すると共に、ガイドレバー７２,９６をロータリアクチュエータにより給紙位置から搬送位置へ復帰させる。これにより、印刷ユニット１０では、給紙ユニット１４０の第１メイン給紙ホッパ１４８から補給された記録紙Ｐが給紙ホッパ２０内から優先的に印字部３４へ給紙可能になる。
【０１２７】
また制御部１７０は、第２メイン給紙ホッパ１５０から印刷ユニット１０への記録紙Ｐの補給が必要と判断し、かつ第２通紙経路１３６が記録紙Ｐにより塞がっていないことを判断すると、第１メイン給紙ホッパ１４８から印刷ユニット１０へ記録紙Ｐを補給する場合と同様の制御を行い、第２メイン給紙ホッパ１５０の第２積載トレー１５４上の紙束Ｂから分離された記録紙Ｐを第２接続ガイド路１６２、第２通紙経路１３６及び分岐ガイド路６２,９４を通して給紙ホッパ２０内へ補給する。
【０１２８】
また、本実施形態に係るプリンタ装置１００は、給紙ユニット１４０における第１メイン給紙ホッパ１４８から第１通紙経路１３４内へ送り込まれてきた記録紙Ｐを、給紙ホッパ２０内に収納することなく、直接、印刷ユニット１０における印字部３４へ供給することも可能になっている。この場合には、記録紙Ｐの供給を受ける印刷ユニット１０における第２ガイドレバー７６を搬送位置から給紙位置へ回動させておくことにより、通紙経路１３４，１３６を搬送されてきた記録紙Ｐが第２分岐ガイド路７４を通して印字ガイド路５２内へ送り込まれ、印字部３４へ達する。これにより、この記録紙Ｐを印字部３４のニップローラ対４０，４２により搬送しつつ、この記録紙Ｐの表面又は裏面にインクジェットヘッド３８により画像を記録することが可能になる。
【０１２９】
ここで、給紙ユニット１４０におけるメイン給紙ホッパ１４８，１５０には、印刷ユニット１０の給紙ホッパ２０内に収納された記録紙Ｐとは種類が異なる記録紙Ｐをそれぞれ収納するようにしても良く、また一方のメイン給紙ホッパ１４８，１５０にのみ給紙ホッパ２０内の記録紙Ｐと同一種類の記録紙Ｐを収納し、給紙ホッパ２０内の記録紙Ｐの残量が少なくなった場合に、この給紙ホッパ２０へ一方のメイン給紙ホッパ１４８，１５０内から記録紙Ｐを補給するようにしても良い。
【０１３０】
次に、以上説明した本実施形態に係るプリンタ装置１００の作用について説明する。
【０１３１】
本実施形態に係るプリンタ装置１００では、他の印刷ユニット１０上に、幅方向に沿って第１給紙ガイド路５８及び第１排紙ガイド路９０が同一方向に向いた状態で積み重ねられた印刷ユニット１０の台数を増減することにより、これら複数台の印刷ユニット１０により複数枚の記録紙Ｐに対して並列的に画像を記録できるので、装置全体としての印刷速度（単位時間当たりに画像を記録できる記録紙の枚数）を増減できる。ここで、プリンタ装置１００では、装置を構成する印刷ユニット１０の台数が積み重ねられて構成されており、印刷ユニット１０の台数を簡単に増減できるので、ユーザの求めに応じて印刷速度を含む印刷能力を広い範囲で簡単に調整できる。
【０１３２】
また本実施形態に係るプリンタ装置１００では、装置を構成する複数台の印刷ユニット１０のうち少なくとも１台の印刷ユニット１０Ｔが、他の印刷ユニット１０に対して幅方向に沿って第１給紙ガイド路５８及び第１排紙ガイド路９０が反転した状態で積み重ねられていることにより、他の印刷ユニット１０における印字部３４により記録紙Ｐの表面により画像を記録した後、表裏を反転した状態で記録紙を、排紙ガイド路９０から印刷ユニット１０Ｔにおける給紙ガイド路５８内へ送り込み、この記録紙Ｐの裏面に印刷ユニット１０Ｔの印字部３４により画像を記録できるので、記録紙の両面にそれぞれ画像を記録できる。
【０１３３】
従って、本実施形態に係るプリンタ装置１００によれば、装置を構成する複数台の印刷ユニット１０のうち、少なくとも１台の印刷ユニット１０Ｔを幅方向に沿って反転した状態にするだけで、記録紙の両面にそれぞれ画像を記録できるプリンタ装置を構成できる。ここで、他の印刷ユニット１０に対して幅方向に沿って反転させる印刷ユニット１０Ｔの台数は１台に限定されるものではなく、記録紙Ｐに対して両面印字を行う頻度等に応じて調整することができ、例えば、常に殆どの記録紙Ｐに対して両面印字を行う場合には、他の印刷ユニット１０の台数と反転した印刷ユニット１０Ｔの台数とを同数とすることで、記録紙Ｐに対して効率的に両面印字を実行できるようになる。
【０１３４】
また本実施形態に係る印刷ユニット１０では、各印刷ユニット１０に印字部により画像が記録された記録紙Ｐを受け入れて一時収納する排紙バッファ２６が設けられると共に、この排紙バッファ２６内に一時収納された記録紙Ｐを取り出し、接続ガイド路８４に沿って第１排紙ガイド路９０内へ送り出す分離排紙ローラ７８が設けられていることにより、印字部３４により画像が記録された記録紙Ｐを排紙バッファ２６内に一時収納しておけば、この記録紙Ｐを直ちに第１排紙ガイド路９０内へ搬出して排紙ユニット１０４又は印刷ユニット１０Ｔに搬送開始しなくても、引き続き印字部３４により次の記録紙Ｐに対する画像の記録動作を開始し、画像記録を継続できるので、例えば、他の印刷ユニット１０における排紙バッファ２６内から第１排紙ガイド路９０内に記録紙が送り出されるタイミングに応じて、記録紙Ｐを第１排紙ガイド路９０内に送り出すタイミングを調整すれば、印字部３４により記録紙Ｐに対する画像記録が完了したタイミングに影響されることなく、複数の第１排紙ガイド路９０及び第１給紙ガイド路５８が接続されて構成された第２通紙経路１３６が空いている適正なタイミングで記録紙Ｐを第１排紙ガイド路９０へ送り込むことができる。
【０１３５】
また、本実施形態に係るプリンタ装置１００では、印字部３４のインクジェットヘッド３８により画像が記録された記録紙Ｐを排紙バッファ２６内に収納し、この記録紙Ｐを排紙バッファ２６内に一定時間以上保持するようにすれば、記録紙Ｐをインクが十分に乾燥した後、第１排紙ガイド路９０へ搬出できるので、反転された印刷ユニット１０Ｔによる記録紙Ｐの裏面への画像記録時にニップローラ対４０，４２やガイド板４４との接触によりインクの滲みが発生したり、画像記録完了後に、他の記録紙Ｐ上に積載されたときに他の記録紙Ｐへのインク転写を防止できるようになる。
【０１３６】
また本実施形態に係るプリンタ装置１００では、紙束Ｂを収納可能とされた給紙ホッパ２０と、この給紙ホッパ２０内に収納された紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐを分離し、この記録紙Ｐを印字ガイド路５２に沿って印字部３４へ供給する分離給紙ローラ４６と、第１給紙ガイド路５８内を搬送される記録紙Ｐを選択的に第１給紙ガイド路５８内から離脱させて第１分岐ガイド路６２及び受入ガイド路６６に沿って給紙ホッパ２０内へ送り込む第１ガイドレバー７２とが設けられていることにより、印刷ユニット１０の印字部３４による画像記録開始時に、分離給紙ローラ４６が給紙ホッパ２０に収納された紙束Ｂから１枚の記録紙Ｐを分離して印字部３４に給紙することにより、印刷ユニット１０内の給紙ホッパ２０に予め収納されていた記録紙Ｐを印字部３４による画像の記録開始に同期して印字部３４に供給できるので、記録紙Ｐを給紙ユニット１４０から印字部３４まで供給する場合と比較して、記録紙Ｐの印字部３４までの搬送距離を短縮できる。従って、記録紙Ｐを搬送開始してから印字部３４に達するまでの時間（給紙時間）を短縮し、結果として、情報処理装置からの印字命令の入力から記録紙Ｐに対して画像の記録が開始されるまでの時間を短縮できる。
【０１３７】
なお、本発明の実施形態に係る印刷ユニット１０の印字部３４では、インクジェットヘッド３８を画像記録時に主走査方向へ駆動しつつ、インクジェットヘッド３８のノズルからインクを噴射して記録紙Ｐに画像を形成していたが、印字部３４については、駆動式のインクジェットヘッド３８以外にも、記録紙Ｐよりも主走査方向へ広い幅を有するフルサイズの固定式インクジェットヘッドにより記録紙Ｐを記録するものでも、また電子写真感光体上にトナー像を形成し、このトナーを記録紙Ｐに転写する、所謂電子写真方式により記録紙Ｐに画像を形成するものでも良く、無論、これ以外の方法で記録紙Ｐに画像を形成するものであっても良い。
【０１３８】
（第２の実施形態）
図６には本発明に第２の実施形態に係るプリンタ装置が示され、図７には本実施形態に係るプリンタ装置に適用される印刷ユニットが示されている。なお、本実施形態に係るプリンタ装置１８０及び印刷ユニット１７８では、第１の実施形態に係るプリンタ装置１００及び印刷ユニット１０と共通の部分に同一符合を付して説明を省略する。
【０１３９】
本実施形態に係るプリンタ装置１８０が第１の実施形態に係るプリンタ装置１００と異なる点は、図６に示されるように、第１通紙経路１３４の幅方向内側に第３通紙経路１８２が高さ方向へ延在するように設けられると共に、第２通紙経路１３６の幅方向内側に第４通紙経路１８４が高さ方向へ延在するように設けられている。また排紙ユニット１０４には、第３通紙経路１８２に接続される第３受入ガイド路１８６及び第４通紙経路１８４に接続される第４受入ガイド路１８８がそれぞれ追加して設けられている。第３受入ガイド路１８６及び第４受入ガイド路１８８には、それぞれ排紙トレー部１１２に面して開口する第３排紙口１９０及び第４排紙口１９２が設けられると共に、排紙口１９０，１９２側の端部に搬出ローラ対１９４，１９６が配置されている。
【０１４０】
図７に示されるように、印刷ユニット１７８には、第１給紙ガイド路５８の幅方向内側に高さ方向へ延在する第２給紙ガイド路１９８が設けられると共に、第２排紙ガイド路９０の幅方向内側に高さ方向へ延在する第２排紙ガイド路２００が設けられている。第２給紙ガイド路１９８には、その高さ方向に沿った中間部分に印字ガイド路５２の中間部分と重なり合う重複部２０２が設けられており、この重複部２０２と第２給紙ガイド路１９８の上側部分との境界部には第４ガイドレバー２０４が設けられている。この第４ガイドレバー２０４は、ロータリアクチュエータ(図示省略)からの駆動力により記録紙Ｐを印字ガイド路５２の下流側へ案内する給紙位置と、記録紙Ｐを第２給紙ガイド路１９８の上側へ案内する搬送位置との間で回動し、何れかの位置に保持される。また第２給紙ガイド路１９８には、第１分岐ガイド路６２との交差部に第５ガイドレバー２０６が設けられている。この第５ガイドレバー２０６も、ロータリアクチュエータ(図示省略)からの駆動力により記録紙Ｐを給紙ホッパ２０内へ案内する給紙位置と、記録紙Ｐを第２給紙ガイド路１９８の上側へ案内する搬送位置との間で回動し、何れかの位置に保持される。
【０１４１】
図７に示されるように、第２排紙ガイド路２００には、第１分岐ガイド路６２との交差部に第６ガイドレバー２０８が設けられている。この第６ガイドレバー２０８は、ロータリアクチュエータ(図示省略)からの駆動力により記録紙Ｐを給紙ホッパ２０内へ案内する給紙位置と、記録紙Ｐを第１分岐ガイド路６２との交差部から第２排紙ガイド路２００の上側へ案内する搬送位置との間で回動し、何れかの位置に保持される。また第２排紙ガイド路２００には、接続ガイド路８４との交差部に第７ガイドレバー２１０が設けられている。この第７ガイドレバー２１０は、ロータリアクチュエータ(図示省略)からの駆動力により記録紙Ｐを接続ガイド路８４に沿って第１排紙ガイド路９０内へ案内する第１搬送位置と、記録紙Ｐを接続ガイド路８４との交差部から第２排紙ガイド路２００の上側へ案内する第２搬送位置との間で回動し、何れかの位置に保持される。
【０１４２】
また図６に示されるように、最上段の印刷ユニット１７８Ｔは、他の印刷ユニット１７８に対して幅方向及び奥行方向に沿った幾何学的な中心点である反転軸Ｒ（図４参照）を中心として１８０°反転した状態となっている。また、この反転軸Ｒに対して、各印刷ユニット１７８の第２給紙ガイド路１９８と第２排紙ガイド路２００とが互いに対称的な配置及び形状とされている。
【０１４３】
従って、印刷ユニット１７８を他の印刷ユニット１７８に対して反転軸Ｒを中心として１８０°反転させ、他の印刷ユニット１７８上に積み重ねれば、この任意の印刷ユニット１０Ｔの第２給紙ガイド路１９８及び第２排紙ガイド路２００は、他の印刷ユニット１７８の第２排紙ガイド路２００及び第２給紙ガイド路１９８にそれぞれ接続される。また印刷ユニット１７８Ｔ上に排紙ユニット１０４を積み重ねれば、排紙ユニット１０４の第３受入ガイド路１８６及び第４受入ガイド路１８８は、印刷ユニット１７８Ｔの第２排紙ガイド路２００及び第２給紙ガイド路１９８にそれぞれ接続される。
【０１４４】
また印刷ユニット１７８Ｔの下段側の印刷ユニット１７８では、第２給紙ガイド路１９８同士が互いに接続されると共に、第２排紙ガイド路２００同士が互いに接続される。これにより、プリンタ装置１８０の先端部には、第１給紙ガイド路５８の幅方向内側に高さ方向に沿って複数台の印刷ユニット１７８を貫通すると共に、上端部が排紙ユニット１０４の第３受入ガイド路１８６に繋がった第３通紙経路１８２が構成される。またプリンタ装置１８０の後端部にも、第１排紙ガイド路９０の幅方向内側に複数台の印刷ユニット１７８の後端部を貫通すると共に、上端部が排紙ユニット１０４の第４受入ガイド路１８８に繋がった第４通紙経路１８４が構成される。
【０１４５】
次に、上記のように構成された本実施形態に係るプリンタ装置１８０の作用について説明する。
【０１４６】
本実施形態に係るプリンタ装置１８０によれば、第１の実施形態に係るプリンタ装置１００と基本的に共通の作用及び効果を得ることができると共に、この共通の作用及び効果に加えて、例えば、印刷ユニット１７８Ｔにより記録紙Ｐに画像を記録しており、この記録紙Ｐにより第２排紙ガイド路２００における重複部２０２が塞がっている場合、すなわち第４通紙経路１８４が裏面に画像記録中の記録紙Ｐにより塞がっている場合でも、接続ガイド路８４を通して他の印刷ユニット１７８により画像が記録された記録紙Ｐを第１排紙ガイド路９０（第２通紙経路１３６）へ送り出し、第２通紙経路１３６を通して排紙ユニット１０４へ搬出できる。
【０１４７】
また印刷ユニット１７８Ｔ以外の他の印刷ユニット１７８により記録紙Ｐに画像が記録されており、この記録紙Ｐにより他の印刷ユニット１７８の第２給紙ガイド路１９８が塞がっている場合でも、給紙ユニット１４０のメイン給紙ホッパ１４８，１５０から分離給紙された記録紙Ｐを第１通紙経路１３４に沿って記録紙Ｐの補給が必要な印刷ユニット１７８まで搬送し、この記録紙Ｐを第１分岐ガイド路６２又は第３分岐ガイド路９４を通して給紙ホッパ２０内へ送り込める。
【０１４８】
（第３の実施形態）
図８及び９には本発明に第３の実施形態に係るプリンタ装置が示され、図１０には本実施形態に係るプリンタ装置に適用される印刷ユニットが示されている。なお、本実施形態に係るプリンタ装置２３０及び印刷ユニット１０では、第１の実施形態に係るプリンタ装置１００及び印刷ユニット１０と共通の部分に同一符合を付して説明を省略する。
【０１４９】
本実施形態に係る印刷ユニット１０が第１の実施形態に係る印刷ユニット１０と異なる点は、図１０に示されるように、給紙ガイド路５８と第１分岐ガイド路６２との分岐部付近に設けられた第１ガイドレバー２３２が支軸部２３４を中心として径方向に沿って両側へ突出する略菱形状に形成されると共に、ロータリアクチュエータ（図示省略）により支軸部２３４を中心として図１０（Ｂ）に示される給紙位置、図１０（Ｃ）に示される搬送位置及び図１０（Ｄ）に示される反転位置の何れかの位置に選択的に回動され、保持される点である。
【０１５０】
次に、上記のように構成された本実施形態に係るプリンタ装置２３０による記録紙Ｐに対する両面記録時の動作について説明する。
【０１５１】
プリンタ装置２３０では、情報処理装置から記録紙Ｐの両面に印字を実行すべき印字命令及びそれに対応する画像情報が入力すると、先ず、第１の実施形態に係るプリンタ装置１００の場合と同様に、印刷ユニット１０Ｔ以外の他の印刷ユニット１０により記録紙Ｐの片側の面（表面）に画像を記録し、この記録紙Ｐを排紙バッファ２６内へ送り込む。このとき、表面に画像が記録された記録紙Ｐは、少なくともインクが十分に乾燥するまで排紙バッファ２６内に保持される。
【０１５２】
プリンタ装置２３０は、下段側の印刷ユニット１０の排紙バッファ２６内から記録紙Ｐが第２通紙経路１３６内へ送り込まれると、各印刷ユニット１０の第２通紙経路１３６に配置された搬送ローラ対６０，９２をそれぞれ回転させると共に、印刷ユニット１０Ｔにおける第１ガイドレバー２３２及び第２ガイドレバー７６をそれぞれ搬送位置へ回動させる。これにより、第２通紙経路１３６内へ送り込まれた記録紙Ｐは、第１ガイドレバー２３２及び第２ガイドレバー７６により排紙ユニット１０４側へ搬送されるように案内される。
【０１５３】
プリンタ装置２３０は、記録紙Ｐの後端が印刷ユニット１０Ｔの第２分岐ガイド路７４との分岐部を通過すると、記録紙Ｐの排紙ユニット１０４側への搬送を一旦停止させると共に、第１ガイドレバー２３２を反転位置へ回動させる。この後、プリンタ装置２３０は、印刷ユニット１０Ｔの積載板２２，２３をそれぞれ下限位置へ揺動させると共に、記録紙Ｐを給紙ユニット１４０側へ搬送開始する。これにより、記録紙Ｐは、図８に示されるように、その後端側から給紙ホッパ２０内へ送り込まれ、給紙ホッパ２０内に収納される。このとき、印刷ユニット１０Ｔの給紙ホッパ２０内に収納された記録紙Ｐは、他の印刷ユニット１０における給紙ホッパ２０とは表裏が反転し、画像記録済みの一方の面（表面）が上方を向き、画像が記録されていない他方の面（裏面）が下方を向いた状態となる。
【０１５４】
印刷ユニット１０Ｔでは、表面に画像が記録された記録紙Ｐを給紙ホッパ２０内に収納すると、積載板２２，２３をそれぞれ下限位置から解放した後、給紙ローラ４４を所定量回転させる。これにより、表面に画像が記録された記録紙Ｐは、図９に示されるように、給紙ホッパ２０内の他の記録紙Ｐから分離され、印字ガイド路５２を通って印字部３４へ送り込まれる。プリンタ装置２３０は、記録紙Ｐの先端が印字部３４に達すると、ニップローラ対４０により記録紙Ｐをインクジェットヘッド３８とガイド板４４との間に送り込み、ガイド板４４に沿って記録紙Ｐを搬送し、記録紙Ｐの先端部をローラ対４２の間に挿入する。これにより、印刷ユニット１０Ｔでは、記録紙Ｐをニップローラ対４０及びローラ対４２により副走査方向へ所定の副走査速度で搬送しつつ、下段側の印刷ユニット１０により表面に画像を記録する場合と同様に、インクジェットヘッド３８により記録紙Ｐの裏面にインクにより画像を形成する。この記録紙Ｐは、排紙バッファ２６内へ一旦収納され、少なくとも画像を形成したインクが十分に乾燥するまで排紙バッファ２６内に保持された後、分離排紙ローラ７８により接続ガイド路８４を通して第１排紙ガイド路９０（第１通紙経路１３４）内へ送り込まれる。
【０１５５】
第１通紙経路１３４内へ送り込まれた記録紙Ｐは、印刷ユニット１０Ｔの搬送ローラ対により排紙ユニット１０４の第１受入ガイド路１２６内へ送り込まれ、搬出ローラ対１３０により第１排紙口１２２を通して排紙トレー部１１２上へ排出される。このとき、排紙トレー部１１２の積載面１１４上に落下した記録紙Ｐは、その先端部が第１排紙口１２２とは反対側の位置決め面１２０へ当接し、積載面１１４上で第２積載位置とは異なる所定の第１積載位置に位置決めされる。
【０１５６】
なお、本実施形態では、下段側の印刷ユニット１０から印刷ユニット１０Ｔにおける給紙ホッパ２０内へ表面に画像が記録された１枚の記録紙Ｐが送り込まれた後、直ちに、印刷ユニット１０Ｔにより記録紙Ｐの裏面に画像を記録する場合について説明したが、下段側の印刷ユニット１０から表面に画像が記録された複数枚の記録紙Ｐを印刷ユニット１０Ｔにおける給紙ホッパ２０内へ送り込んだ後、印刷ユニット１０Ｔにより複数枚の記録紙Ｐの裏面にそれぞれ連続的に画像を記録するようにしても良い。
【０１５７】
従って、本実施形態に係るプリンタ装置２３０によれば、記録紙Ｐの両面にそれぞれ画像を記録する場合でも、下段側の印刷ユニット１０が印刷ユニット１０Ｔによる記録紙Ｐの裏面への画像記録の完了を待つことなく、給紙ホッパ２０内に収納された他の記録紙Ｐの表面に画像を記録できるようになる。
【０１５８】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る印刷ユニットによれば、複数台が積み重ねられることで、記録媒体の両面にそれぞれ画像を記録可能なプリンタ装置を構成でき、しかも積み重ねられる台数に応じてプリンタ装置による印刷能力を簡単に増減できる。
【０１５９】
また本発明に係るプリンタ装置によれば、記録媒体の両面にそれぞれ画像を記録でき、しかも印刷ユニットの台数を簡単に増減して印刷能力を広い範囲で調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施形態に係るプリンタ装置の構成を示す側面図である。
【図２】図１に示されるプリンタ装置をユニット単位で分解した状態を示す側面図である。
【図３】（Ａ）は本発明の第１の実施形態に係るプリンタ装置における印刷ユニットの構成を示す側面断面図、（Ｂ）は印刷ユニットにおける第１ガイドレバーを示す側面図である。
【図４】図３に示される印刷ユニットの構成を示す平面面図である。
【図５】図３に示される印刷ユニットにおける給紙ホッパの構成を示す側面図であり、（Ａ）は積載板が下限位置に拘束されている状態を示し、（Ｂ）は積載板が下限位置から解放されている状態を示している。
【図６】本発明の第２の実施形態に係るプリンタ装置の構成を示す側面図である。
【図７】図６に示されるプリンタ装置における印刷ユニットの構成を示す側面断面図である。
【図８】本発明の第３の実施形態に係るプリンタ装置の構成を示す側面図であある。
【図９】図８に示されるプリンタ装置における裏面印字用の印刷ユニットへ記録紙を供給している状態を示す側面図である。
【図１０】（Ａ）は本発明の第３の実施形態に係るプリンタ装置における印刷ユニットの構成を示す側面断面図、（Ｂ）、（Ｃ）及び（Ｄ）は印刷ユニットにおける第１ガイドレバーを示す側面図である。
【符号の説明】
１０ 印刷ユニット
１０Ｔ 印刷ユニット
１６ 給紙搬入口（第１の搬入口）
１８ 排紙搬入口（第２の搬入口）
２０ 給紙ホッパ（個別供給手段、収納トレイ）
２６ 排紙バッファ（バッファ手段、収納手段）
３４ 印字部（印刷部）
３８ インクジェットヘッド
４０ ニップローラ対（主搬送手段）
４２ ローラ対（主搬送手段）
４６ 分離給紙ローラ（個別供給手段、分離供給手段)
５８ 給紙ガイド路（第１の搬送手段、第１の搬送ガイド路）
６０ 搬送ローラ対（第１の搬送手段、第１の搬送ロール）
７２ 第１ガイドレバー（主搬送手段、選択手段）
７６ 第２ガイドレバー
７８ 分離排紙ローラ（バッファ手段、分離排出手段）
９０ 排紙ガイド路（第２の搬送手段、第２の搬送ガイド路）
９２ 搬送ローラ対（第２の搬送手段、第２の搬送ロール）
１００ プリンタ装置
１０４ 排紙ユニット（排出ユニット）
１１２ 排紙トレー部
１３４ 第１通紙経路
１３６ 第２通紙経路
１４０ 給紙ユニット（共通供給手段）
１４８ 第１メイン給紙ホッパ
１５０ 第２メイン給紙ホッパ
１７０ 制御部
１７２ 制御部
１７８ 印刷ユニット
１７８Ｔ 印刷ユニット
１８０ プリンタ装置
１８２ 第３通紙経路
１８４ 第４通紙経路
１９８ 第２給紙ガイド路（第１の搬送手段）
２００ 第２排紙ガイド路（第２の搬送手段）
２３０ プリンタ装置
Ｐ 記録紙（記録媒体）
Ｒ 反転軸
Claims (28)
- シート状の記録媒体における少なくとも片側の面に画像を記録する印刷部を含み、少なくとも２台が幅方向に対して互いに反対の方向を向くように反転された状態で、所定の重ね合わせ方向に沿って重ね合わされることにより、記録媒体の両側の面に画像記録を行うことが可能となるプリンタ装置を構成する印刷ユニットであって、
前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第１の搬送手段と、
前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第２の搬送手段と、
前記第１の搬送手段から前記印刷部に記録媒体を送り込み、該印刷部により画像が記録された記録媒体を前記第２の搬送手段へ送り出す主搬送手段と、を有し、
前記第１の搬送手段と前記第２の搬送手段とを、前記幅方向に沿って延在する他のユニットとの重ね合わせ面において、ユニット同士を前記幅方向に沿って反転させる際の中心に対して互いに点対称となるように配置したことを特徴とする印刷ユニット。 - 前記第１の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第１の搬送ガイド路を含み、
前記第２の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第２の搬送ガイド路を含むことを特徴とする請求項１に記載の印刷ユニット。 - 前記第１の搬送ガイド路は、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端面の一方に沿って設けられ、
前記第２の搬送ガイド路は、前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端面の他方に沿って設けられることを特徴とする請求項２に記載の印刷ユニット。 - 前記第１の搬送手段は、前記第１の搬送ガイド路に沿って記録媒体を搬送する第１の搬送ロールを含み、
前記第２の搬送手段は、前記第２の搬送ガイド路に沿って記録媒体を搬送する第２の搬送ロールを含むことを特徴とする請求項２又は３に記載の印刷ユニット。 - 前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路は、それぞれ前記重ね合わせ方向に沿って隣接する他の印刷ユニットにおける前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路の一方に接続されて、記録媒体をユニット外部から受け入れると共に、記録媒体をユニット外部へ排出するための第１の通紙経路の一部及び第２の通紙経路の一部を構成することを特徴とする請求項２乃至４の何れか１項に記載の印刷ユニット。
- 前記重ね合せ方向が鉛直方向と略一致することを特徴とする請求項１乃至５の何れか１項に記載の印刷ユニット。
- 前記主搬送手段は、前記第２の搬送手段と前記印刷部との間に設けられ、該印刷部により画像が記録された記録媒体を一時保持するバッファ手段を含むことを特徴とする請求項１乃至６の何れか１項に記載の印刷ユニット。
- 前記バッファ手段は、前記印刷部により画像が記録された記録媒体を１枚以上収納可能とされた収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記第２の搬送手段へ送り出す分離排出手段と、を含むことを特徴とする請求項７に記載の印刷ユニット。
- 前記収納手段は、ユニット本体部に対して挿抜自在に設けられたトレイであることを特徴とする請求項８に記載の印刷ユニット。
- 前記トレイは、ユニット本体部内の装着位置から奥行方向に沿って前方及び後方の双方向へ抜脱可能とされたことを特徴とする請求項９に記載の印刷ユニット。
- 前記印刷部に対して記録媒体を供給する個別供給手段を含むことを特徴とする請求項１乃至１０の何れか１項に記載の印刷ユニット。
- 前記個別供給手段は、１枚以上の記録媒体を収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ供給する分離供給手段と、を含むことを特徴とする請求項１１に記載の印刷ユニット。
- 前記収納手段は、ユニット本体部に対して挿抜自在に設けられたトレイであることを特徴とする請求項１２に記載の印刷ユニット。
- 前記トレイは、ユニット本体部内の装着位置から奥行方向に沿って前方及び後方の双方向へ抜脱可能とされたことを特徴とする請求項１３に記載の印刷ユニット。
- 前記主搬送手段は、前記第１の搬送手段により搬送されている記録媒体を選択的に該第１の搬送手段から離脱させて前記印刷部へ送り込む選択手段を含むことを特徴とする請求項１乃至１４の何れか１項に記載の印刷ユニット。
- シート状の記録媒体における少なくとも片側の面に画像を記録する印刷部を含む印刷ユニットを含み、少なくとも２台の前記印刷ユニットが幅方向に対して互いに反対の方向を向くように反転された状態で、所定の重ね合わせ方向に沿って重ね合わされることにより、記録媒体の両側の面に画像記録を行うことが可能となるプリンタ装置であって、
前記印刷ユニットは、
前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第１の搬送手段と、
前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置されると共に、前記重ね合わせ方向に沿って延在し、記録媒体を搬送するための第２の搬送手段と、
前記第１の搬送手段から前記印刷部に記録媒体を送り込み、該印刷部により画像が記録された記録媒体を前記第２の搬送手段へ送り出す主搬送手段と、を有し、
前記第１の搬送手段と前記第２の搬送手段とを、前記幅方向に沿って延在する他のユニットとの重ね合わせ面において、ユニット同士を前記幅方向に沿って反転させる際の中心に対して互いに点対称となるように配置したことを特徴とするプリンタ装置。 - 前記第１の搬送手段及び前記第２の搬送手段によりそれぞれ前記印刷ユニット内から排出された記録媒体を１枚以上保持する排出ユニットを有することを特徴とする請求項１６に記載のプリンタ装置。
- 前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置され、前記第１の搬送手段に記録媒体を供給するための第１の搬入口と、
前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置され、前記第２の搬送手段に記録媒体を供給するための第２の搬入口と、
を有することを特徴とする請求項１６又は１７に記載のプリンタ装置。 - 前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の一方に配置され、前記第１の搬送手段から装置外部へ記録媒体を排出するための第１の排出口と、
前記幅方向に沿って前記印刷部を挟む両端部の他方に配置され、前記第２の搬送手段から装置外部へ記録媒体を排出するための第２の排出口と、
を有することを特徴とする請求項１６乃至１８の何れか１項に記載のプリンタ装置。 - 前記第１の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第１の搬送ガイド路を含み、
前記第２の搬送手段は、前記重ね合わせ方向に沿って延在するスリット状の第２の搬送ガイド路を含むことを特徴とする請求項１６乃至１９の何れか１項に記載のプリンタ装置。 - 前記第１の搬送手段は、前記幅方向に沿って隣接する２本の前記第１の搬送ガイド路を含み、
前記第２の搬送手段は、前記幅方向に沿って隣接する２本の前記第２の搬送ガイド路を含むことを特徴とする請求項２０に記載のプリンタ装置。 - 前記第１の搬送手段及び前記第２の搬送手段は、前記印刷部により画像が記録された記録媒体を前記幅方向に沿って外側の前記第２の搬送ガイド路へ送り出すことを特徴とする請求項２１に記載のプリンタ装置。
- 前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路は、それぞれ前記重ね合わせ方向に沿って隣接する他の印刷ユニットにおける前記第１の搬送ガイド路及び前記第２の搬送ガイド路の一方に接続されて、記録媒体をユニット外部から受け入れると共に、記録媒体をユニット外部へ排出するための第１の通紙経路の一部及び第２の通紙経路の一部を構成することを特徴とする請求項２０乃至２２の何れか１項に記載のプリンタ装置。
- １枚以上の記録媒体を収納すると共に、収納した記録媒体を前記印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段の何れかに供給する共通供給手段を有することを特徴とする請求項１６乃至２３の何れか１項に記載のプリンタ装置。
- 前記印刷ユニットは、前記印刷部に対して記録媒体を供給する個別供給手段を有することを特徴とする請求項１６乃至２４の何れか１項に記載のプリンタ装置。
- 前記個別供給手段は、記録媒体を１枚以上収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ送り出す分離供給手段と、を含むことを特徴とする請求項２５に記載のプリンタ装置。
- １枚以上の記録媒体を収納すると共に、収納した記録媒体を前記印刷ユニットにおける第１の搬送手段及び第２の搬送手段の何れかに供給する共通供給手段と、
前記印刷ユニットに備えられ、記録媒体を１枚以上収納する収納手段と、前記収納手段に収納された記録媒体を１枚ずつ分離して前記印刷部へ送り出す分離供給手段と、を含む個別供給手段と、
を有し、
前記共通供給手段は、記録媒体を前記第１の通紙経路及び前記第２の通紙経路の一方を通して前記収納手段内へ供給することを特徴とする請求項２３に記載のプリンタ装置。 - 一の前記印刷ユニットにおける前記主搬送手段は、前記第２の搬送手段と前記印刷部との間に設けられ、該印刷部により画像が記録された記録媒体を一時保持するバッファ手段と、該バッファ手段により一時保持された記録媒体を、前記幅方向に沿って反転状態とされた他の前記印刷ユニットにおける前記収納手段内に表裏を反転した状態で送り込む反転供給手段と、を有することを特徴とする請求項２６又は２７に記載のプリンタ装置。
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