以下、本発明の実施形態に係る画像記録装置について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
(印刷ユニットの構成)
図1及び図2には本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置が示され、図3及び図4には本実施形態に係る画像記録装置に適用される印刷ユニットが示されている。
図3に示されるように、印刷ユニット10は外殻部としてケーシング12を備えており、このケーシング12は、装置の高さ方向(矢印H方向)に沿って扁平な直方体状に形成されている。ケーシング12には、その底板部13における幅方向(矢印W方向)に沿った一端側(図3では右側、便宜上、この一端側を「先端側」、他端側を「後端側」と呼称する。)にスリット状の給紙搬入口16が穿設される共に、底板部13における後端側にスリット状の排紙搬入口18が穿設されている。またケーシング12には、その頂板部14における先端側に給紙搬入口16に正対するようにスリット状の給紙搬出口17が穿設されると共に、頂板部14における後端側に排紙搬入口18に正対するようにスリット状の排紙搬出口19が穿設されている。
図3に示されるように、ケーシング12内には、底板部13上に上面側が開口した筐体状の給紙ホッパ20が配置されている。給紙ホッパ20内には、1枚の記録紙P又は複数枚の記録紙Pが積層された記録紙の束(以下、これを、特に「記録紙P」と区別する必要がある場合には、「紙束B」という。)が収納可能とされている。
また給紙ホッパ20内には、その底板部21上における先端側に積載板22が配置されており、この積載板22は、後端側の基端部が底板部21に揺動可能に連結されている。これにより、給紙ホッパ20内に収納された記録紙P(紙束B)は、その先端側の部分が積載板22上に載置される。積載板22は、コイルスプリング等の付勢部材24により揺動端側が上方へ付勢されている。
給紙ホッパ20は、ケーシング12により奥行方向(図4に示される矢印D方向)に沿って装着位置と補給位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、給紙ホッパ20は、ケーシング12内の装着位置からケーシング12の側方へ突出する補給位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して給紙ホッパ20に対して記録紙Pを補給することが可能になる。
給紙ホッパ20には、付勢部材24に抗して積載板22を揺動方向に沿って底板部に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ(図示省略)が配置されており、このアクチュエータは、給紙ホッパ20の装着位置から補給位置への移動に連動して積載板22を下限位置へ移動させ、また給紙ホッパ20の補給位置から装着位置への復帰に連動して積載板22を下限位置から解放する。
印刷ユニット10には、給紙ホッパ20の先端部の上方に円柱状の分離給紙ローラ26が配置されている。この分離給紙ローラ26は、給紙ホッパ20内に収納され積載板22により上方へ付勢された記録紙P(紙束B)上面の先端側に圧接する。また印刷ユニット10には、分離給紙ローラ26の記録紙Pとの圧接部付近からケーシング12の先端側へ延出すると共に、斜め上方へ向って湾曲したスリット状の第1接続ガイド路28が設けられている。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、分離給紙ローラ26の上方に印刷部34が配置されている。この印刷部34には、図4に示されるように、奥行方向と平行な主走査方向(図4に示される矢印S方向)にそれぞれ延在するガイドロッド36が設けられると共に、このガイドロッド36により主走査方向に沿って移動可能に支持されたブロック状のインクジェットヘッド38が設けられている。また印刷部34には、記録紙Pに対する画像記録時にインクジェットヘッド38を所定の主走査速度で往復移動させる主走査駆動機構(図示省略)が設けられている。
印刷部34には、副走査方向(図4に示される矢印F方向)に沿ってインクジェットヘッド38の上流側及び下流側にそれぞれニップローラ対40及び搬出ローラ対42が配置されると共に、インクジェットヘッド38の下面に対向するように印刷ガイド板44が配置されている。この印刷ガイド板44は、インクジェットヘッド38の下面との間にスリット状の隙間を形成している。
ニップローラ対40は、記録紙Pに対する画像記録時に、インクジェットヘッド38と印刷ガイド板44との間に挿入された記録紙Pを、2個のローラ46,47により加圧状態で挟持しつつ、所定の副走査速度で下流側へ向かって搬送する。
また搬出ローラ対42は、インクジェットヘッド38と印刷ガイド板44との間から送り出されてきた記録紙Pを挟持し、この記録紙Pを後述するガイド機構52へ向かって送り出す。ここで、搬出ローラ対42には、そのニップ部を介して下側及び上側にそれぞれ軸支される弾性ローラ48及び拍車ローラ50が設けられている。弾性ローラ48は、その外周層がゴム等の弾性材料により形成されている。また拍車ローラ50には、そのローラ面に軸方向へ延在する山形の突起部が周方向に沿って連続的に形成されると共に、突起部の表面に撥液性を有するコーティング層が成膜されている。これにより、拍車ローラ50の記録紙Pとの接触面積が極めて小さいものになり、かつ記録紙Pから拍車ローラ50へのインク転移が防止されるので、拍車ローラ50との接触により記録紙Pの画像記録面にインクにじみが発生することが防止される。
インクジェットヘッド38には、その下面部分に主走査方向に沿って記録すべき画像の画素密度に対応するピッチで配列された複数のノズル(図示省略)が設けられており、インクジェットヘッド38は、ヘッド駆動機構により主走査方向へ移動しつつ、デジタル化された画像情報に基づいて各ノズルからインクを噴射及び噴射停止することで、ニップローラ対40により副走査方向へ搬送される記録紙P上に画像情報に対応する画像を形成する。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、副走査方向に沿って印刷部34の下流側にガイド機構52が配置されると共に、このガイド機構52の下流側に記録紙Pを一時的に保持するための排紙バッファ60が配置されている。
ガイド機構52には、搬出ローラ対42と排紙バッファ60との間に搬出ローラ対42による記録紙Pの搬出方向へ延在するように支持されたガイド部材53が設けられている。ガイド部材53は、前記搬出方向に沿った両端部がそれぞれ開口した筒状に形成されており、その内部に搬出方向へ延在するスリット状の通紙ガイド路58が形成されている。
図3に示されるように、ガイド部材53は、その搬出ローラ対42側の端部である先端部に奥行方向を軸方向とする支軸部64が設けられており、この64を中心としてケーシング12に揺動可能に支持されている。またガイド機構52には、支軸部64を介してガイド部材53に連結されたロータリアクチュエータ(図示省略)が設けられており、このロータリアクチュエータは、後述するメイン制御部180からの制御に従ってガイド部材53を4箇所のガイド位置PA,PB,PC,PD(図5(A)〜(D)参照)の何れかの位置へ揺動させる。
ガイド部材53には、その先端部に通紙ガイド路58の搬入口が開口し、後端部に通紙ガイド路58の搬出口が開口している。搬入口は、通紙ガイド路58の揺動中心である支軸部64と近接していることから、ガイド部材53がガイド位置PA〜PDの何れの位置に揺動しても、高さ方向での位置変化が小さくなって、常に搬出ローラ対42のニップ部に正対する。これにより、搬出ローラ対42から送り出される記録紙Pは、搬入口から通紙ガイド路58内へ挿入され、通紙ガイド路58を通って搬出口から排紙バッファ60側へ搬出される。
ガイド部材53には、通紙ガイド路58の上部側であって、搬出方向に沿った中央部に拍車ローラ72が取り付けられている。拍車ローラ72は、ガイド部材53により回転可能に支持されており、そのローラ面の下端部が通紙ガイド路58内へ突出している。この拍車ローラ72は、搬出ローラ対42における拍車ローラ50と略同一の構造及び形状を有しており、通紙ガイド路58内を通過する記録紙Pと接触すると、記録紙Pとの摩擦力により従動回転する従動ローラとして構成されている。
図3に示されるように、排紙バッファ60には、それぞれ平板状に形成された4枚の排紙プレート76A,76B,76C,76Dがガイド機構52からケーシング12の後端側へ延在するように設けられている。これらの排紙プレート76A,76B,76C,76Dは、高さ方向に沿って上側から下側へ向って順に配置されている。また4枚の排紙プレート76A,76B,76C,76Dは、それぞれ先端部から後端部へ向って下方へ傾斜するように支持され、下方にあるもの程、その傾斜角が僅かづつ大きくなっている。これにより、4枚の排紙プレート76A,76B,76C,76Dは、ガイド機構52に対しては支軸部64付近を中心として略放射状に延出するような位置関係とされている。
ここで、図5(A)に示されるように、ガイド部材53がガイド位置PAにある場合には、搬出ローラ対42から送り出されてきた記録紙Pは、ガイド部材53の通紙ガイド路58を通って最上段の排紙プレート76A上へ載置されるように案内され、排紙プレート76Aの上面部に沿ってケーシング12の後端側へ搬送され、搬出ローラ対42から離脱すると、自重により排紙プレート76Aの上面部に沿って後端側へスライドする。またガイド部材53がガイド位置PB、ガイド位置PC及びガイド位置PDにある場合には、搬出ローラ対42から送り出されてきた記録紙Pは、それぞれガイド部材53の通紙ガイド路58を通って排紙プレート76B上、排紙プレート76C上及び排紙プレート76D上へ載置されるように案内され、排紙プレート76Aの場合と同様に、搬出ローラ対42から離脱すると、自重により排紙プレート76B,76C,76Dの上面部に沿って後端側へスライドする。
また記録紙Pが通紙ガイド路58を通過する際には、記録された記録紙Pは、拍車ローラ72により上側への移動が制限され、印刷部34により画像が形成された記録紙Pの上面部がガイド部材58に直接接触することが防止される。一方、拍車ローラ72については、そのローラ面に山形の突起部が形成されると共に、この突起部の表面に撥液性を有するコーティング層が成膜されている。これにより、記録紙Pには、通紙ガイド路58を通過する際に、画像を形成したインクの擦れによる汚れや、他の記録紙Pからのインク転移が発生することが防止される。
図3及び図5に示されるように、印刷ユニット10には、4枚の排紙プレート76A,76B,76C,76Dの後端側にそれぞれゲートローラ対78A,78B,78C,78Dが配置されると共に、これらのゲートローラ対78A,78B,78C,78Dのニップ部付近からそれぞれケーシング12の後端側へ延出するスリット状の第2接続ガイド路80A,80B,80C,80Dが設けられている。また、各ゲートローラ対78A,78B,78C,78Dには、駆動モータ(図示省略)からのトルクが選択的に伝達可能とされており、この駆動モータは、ガイド機構52により記録紙Pが排紙プレート76A,76B,76C,76Dの何れかに案内される際には、その排紙プレート76A,76B,76C,76Dに対応するゲートローラ対78A,78B,78C,78Dを、メイン制御部180(図1参照)からの制御に従って回転させ、又は回転停止させる。
排紙プレート76A,76B,76C,76Dの何れかに案内され、排紙プレート76A,76B,76C,76Dに沿って後端側へスライドする記録紙Pは、ゲートローラ対78A,78B,78C,78Dが回転している場合には、そのゲートローラ対78A,78B,78C,78Dにより挟持され、第2接続ガイド路80A,80B,80C,80Dへ送り出され、またゲートローラ対78A,78B,78C,78Dが回転停止している場合には、そのゲートローラ対78A,78B,78C,78Dへ当接し、排紙プレート76A,76B,76C,76D上における所定の待機位置に停止する。このとき、メイン制御部180は、排紙プレート76A,76B,76C,76D上に記録紙Pが載置されると、その記録紙Pに画像を形成したインクが十分に乾燥するまでは、記録紙Pが必ず排紙プレート76A,76B,76C,76D上に保持されるように、ゲートローラ対78A,78B,78C,78Dの回転及び回転停止を制御する。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、その先端部に高さ方向に沿って延在する一対の給紙ガイド板82,84が配置されており、この給紙ガイド板82,84の間には、印刷ユニット10を高さ方向に沿って貫通して、ケーシング12の給紙搬入口16と給紙搬出口17とを繋げたスリット状の給紙ガイド路86が形成されている。この給紙ガイド路86には、少なくとも上端部に搬送ローラ対87が配置されている。また給紙ガイド路86の中間部には、第1接続ガイド路28の先端部が接続されており、第1接続ガイド路28から給紙ガイド路86へ送り込まれてきた記録紙Pは、給紙ガイド路86に沿って給紙搬出口17側(上側)へ案内される。また印刷ユニット10には、第1接続ガイド路28の上側で給紙ガイド路86から印刷部34側へ分岐する分岐ガイド路88が設けられている。この分岐ガイド路88は、先端部が印刷部34のニップローラ対40に面して開口している。
図3に示されるように、印刷ユニット10には、給紙ガイド路86と分岐ガイド路88との分岐部の上側に楔状のガイドレバー90が配置されている。このガイドレバー90には、基端部に回動中心となる支軸部91が設けられており、この支軸部91は、給紙ガイド板82の内側に配置された軸受部(図示省略)により軸支されている。ガイドレバー90は、実線で示される搬送位置と2点鎖線で示される給紙位置との間で回動可能とされている。またガイドレバー90の支軸部91には、ロータリアクチュエータ(図示省略)が連結されており、このロータリアクチュエータは、メイン制御部180からの制御に従ってガイドレバー90を搬送位置及び給紙位置の何れかの位置に回動し、保持する。
ここで、給紙ガイド路86に沿って下方からガイドレバー90に搬送されてきた記録紙Pは、ガイドレバー90が給紙位置にある場合には、ガイドレバー90により給紙ガイド路86から分岐ガイド路88内へ案内され、またガイドレバー90が搬送位置にある場合には、給紙ガイド路86に沿って上方へ案内され、搬送ローラ対87により挟持される。
印刷ユニット10では、給紙ホッパ20内に収納された記録紙Pを印刷部34に供給する際には、ガイドレバー90を給紙位置に保持した後、給紙ホッパ20内の記録紙P(紙束B)に圧接した分離給紙ローラ26を所定量回転させる。これにより、給紙ホッパ20内からは1枚の記録紙Pが分離され、第1接続ガイド路28内へ送り込まれる。この記録紙Pは、分離給紙ローラ26からの搬送力により第1接続ガイド路28から給紙ガイド路86内へ送り込まれ、その先端部がガイドレバー90に達すると、ガイドレバー90により分岐ガイド路88内へ案内され、分岐ガイド路88を通って印刷部34に達し、ニップローラ対40により挟持されインクジェットヘッド38と印刷ガイド板44との間へ送り込まれる。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、その後端部に高さ方向へ延在する一対の排紙ガイド板92,94が配置されており、一対の排紙ガイド板92,94は一定の間隔を空けて互いに対向するように支持されている。この一対の排紙ガイド板92,94の間には、記録紙Pを後述する排紙ユニット110へ案内するための排紙ガイド路96が形成されている。排紙ガイド路96は、高さ方向に沿って印刷ユニット10を貫通し、ケーシング12に穿設された排紙搬入口18と排紙搬出口19とを繋げている。また排紙ガイド路96には、その上端部及び下端部にそれぞれ記録紙Pを搬送するための搬送ローラ対98が設けられている。
(画像記録装置の構成)
図1に示されるように、本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置100は、高さ方向に沿って下側から順に、1台のベースユニット160、3台の印刷ユニット10及び1台の排紙ユニット110が積み重ねられて構成されている。ここで、排紙ユニット110は、印刷ユニット10により画像が記録された記録紙Pを受け入れ、ユーザにより回収されるまで記録紙Pを一時保管するためのものであり、またベースユニット160は、給紙ホッパ20よりも大量の記録紙P(紙束B)を収納可能とされ、この記録紙Pを必要に応じて各印刷ユニット10における印刷部34へ供給するためのものである。
図2に示されるように、排紙ユニット110は、外殻部としてケーシング112を備えており、このケーシング112の幅方向及び奥行方向に沿ったサイズは、印刷ユニット10のケーシング12と略一致している。ケーシング112には、その下面部における後端部(図2では左側の端部)にスリット状の受入口114が開口している。受入口114は、排紙ユニット110が印刷ユニット10上に積み重ねられると、その印刷ユニット10の排紙搬出口19に接続される。
ケーシング112の上面部には、複数枚の記録紙Pが積載可能とされた排紙トレイ部118が設けられている。排紙トレイ部118には、幅方向に沿った中央部に略水平に延在する載置面120が設けられると共に、この載置面120の幅方向に沿った後端部から略垂直に立ちあがる位置決め面122が設けられている。位置決め面122の上端側にはスリット状の排紙口126が開口しており、ケーシング112内には、排紙口126と受入口114とを繋ぐ受入ガイド路130が設けられている。また排紙ユニット110には、受入ガイド路130における受入口114側の端部に受入ローラ対134が配置されると共に、排紙口126側の端部に排紙ローラ対136が配置されている。
図1に示されるように、排紙トレイ部118の載置面120は、幅方向に沿って後端部から先端部へ向って上方へ傾斜したスロープ状に形成されている。これにより、排紙口126から排紙され載置面120上に載置された記録紙Pは、載置面120に沿って位置決め面122に当接する集積位置へ位置決めされ、集積される。また受入ガイド路130に配置された受入ローラ対134及び排紙ローラ対136は、印刷ユニット10における搬送ローラ対98と同一時期に回転し、受入ローラ対134及び排紙ローラ対136による記録紙Pの搬送速度は、搬送ローラ対98による記録紙Pの搬送速度と等しくなる。
図2に示されるように、ベースユニット160も外殻部としてケーシング162を備えており、このケーシング162の幅方向及び奥行方向に沿ったサイズは、印刷ユニット10のケーシング12と略一致している。ケーシング162には、その頂板部における先端部(図2では右側の端部)にスリット状の給紙搬出口174が開口している。
ベースユニット160には、ケーシング162内に複数枚の記録紙Pが収納可能とされたメイン給紙ホッパ172が配置されている。メイン給紙ホッパ172は、上面側が開口した筐体状に形成されており、ケーシング162により奥行方向に沿って装着位置と補給位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、メイン給紙ホッパ172は、ケーシング162内の装着位置からケーシング162の側方へ突出する補給位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して記録紙P(紙束B)を補給し、又は取り出すことが可能になる。
図1に示されるように、メイン給紙ホッパ172内には、外部から格納された記録紙P(紙束B)が積載される積載トレイ164及び、この積載トレイ164を高さ方向に沿って上方へ付勢する付勢部材(図示省略)が配置されている。またメイン給紙ホッパ172には、付勢部材(図示省略)に抗して積載トレイ164を高さ方向に沿って底板部に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ(図示省略)が配置されており、このアクチュエータは、メイン給紙ホッパ172の装着位置から補給位置への移動に連動して積載トレイ164を下限位置へ移動させ、またメイン給紙ホッパ172の補給位置から装着位置への復帰に連動して積載トレイ164を下限位置から解放する。
またケーシング162内には、メイン給紙ホッパ172の上方に分離給紙ローラ168が配置されており、この分離給紙ローラ168は、そのローラ面が積載トレイ164の先端部に対向するように支持されている。これにより、ベースユニット160では、メイン給紙ホッパ172が補給位置から装着位置へスライドし、アクチュエータにより積載トレイ164が下限位置から解放されると、付勢部材により上方に付勢された積載トレイ164上の紙束Bが所定の圧接力で分離給紙ローラ168に圧接する。
ケーシング162内には、給紙搬出口174からメイン給紙ホッパ172側へ延出し、その先端部が分離給紙ローラ168の紙束Bとの圧接部付近に正対するように開口した送出ガイド路170が設けられると共に、この送出ガイド路170の上端部に送出ローラ対176が設けられている。これにより、積載トレイ164上の紙束Bに圧接した分離給紙ローラ168が所定量回転すると、分離給紙ローラ168により紙束Bから1枚の記録紙Pが分離され、この記録紙Pは、分離給紙ローラ168からの搬送力により送出ガイド路170内へ送り込まれ、送出ローラ対176により送出ガイド路170から上段側に隣接する印刷ユニット10の給紙ガイド路86内へ搬送される。
なお、メイン給紙ホッパ172内に配置される積載トレイ164は1個に限定されず、複数個の積載トレイ164をメイン給紙ホッパ172内にそれぞれ配置し、複数個の積載トレイ164にそれぞれ異なる種類の記録紙Pを積載するようにしても良い。この場合には、例えば、複数の積載トレイ164を上下方向に加えて、前後方向(幅方向)に移動させる機構を設け、複数の積載トレイ164の何れかに積載された紙束Bを選択的に分離給紙ローラ168に圧接させることで、複数種類の記録紙Pから選択された1種類の記録紙Pを送出ガイド路170内へ送り込むことが可能になる。
また、本実施形態に係る印刷ユニット10のケーシング12には、その頂板部14に上方へ突出するガイド突起(図示省略)が設けられると共に、底板部13にガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられている。また排紙ユニット110のケーシング112には、その底板部に印刷ユニット10のガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられ、ベースユニット160のケーシング162には、その頂板部に印刷ユニット10のガイド受け部に対応するガイド突起(図示省略)が設けられている。ここで、ガイド突起は、1台の印刷ユニット10及びベースユニット160にそれぞれ少なくとも2個ずつ設けられ、ガイド受部は、ガイド突起に対応するように1台の印刷ユニット10、ベースユニット160及び排紙ユニット110にそれぞれ少なくとも2個ずつ設けられている。
図1に示されるように、ベースユニット160、印刷ユニット10及び排紙ユニット110が積み重ねられて画像記録装置100が構成されている状態では、印刷ユニット10及びベースユニット160にそれぞれ設けられたガイド突起は、上段側に隣接する印刷ユニット10又は排紙ユニット110のガイド受部に嵌挿される。これにより、ベースユニット160、印刷ユニット10及び排紙ユニット110は、幅方向及び奥行方向に沿って互いに一致するように位置決めされると共に、各ユニット10,110,160間での移動が拘束されて一体化される。
なお、画像記録装置100では、前述したようにベースユニット160にメイン制御部180が配置されている。一方、印刷ユニット10及び排紙ユニット110には、それぞれメイン制御部180からの制御信号に従って印刷ユニット10及び排紙ユニット110の動作を制御するコントローラ182及びコントローラ184が配置されている。画像記録装置100では、コントローラ182及びコントローラ184がメイン制御部180と相互にデータ通信が可能になるように電気的に接続される。またメイン制御部180は、パーソナルコンピュータ、サーバ等の外部の情報処理装置(図示省略)と接続されており、この情報処理装置からプリント命令及び画像情報を含む印刷ジョブが入力すると、この印刷ジョブに従って少なくとも1台の印刷ユニット10を作動させ、この印刷ユニット10により記録紙Pに対する画像記録を開始させる。
印刷ユニット10のコントローラ182及び排紙ユニット110のコントローラ184をベースユニット160のメイン制御部180へ電気的に接続するためには、例えば、各印刷ユニット10、ベースユニット160及び排紙ユニット110にそれぞれケーブル及びソケットを設けて、ケーブル先端に配置されたプラグを他の印刷ユニット10、排紙ユニット110又はベースユニット160のソケットに差し込むことにより電気的に接続しても良く、またガイド突起及びガイド受部の少なくとも1個ずつをそれぞれ互いに適合するプラグ及びソケットとして構成し、ベースユニット160、印刷ユニット10及び排紙ユニット110を所定の順番で積み重ねることにより、プラグとしてのガイド突起をソケットとしてのガイド受部に差し込むことによりメイン制御部180にコントローラ182,184を電気的に接続しても良い。
図1に示されるように、画像記録装置100では、最上段の印刷ユニット10(これを他の印刷ユニット10と区別する必要がある場合には、「印刷ユニット10U」という。)、中段の印刷ユニット10(これを他の印刷ユニット10と区別する必要がある場合には、「印刷ユニット10M」という。)及び最下段の印刷ユニット10(これを他の印刷ユニット10と区別する必要がある場合には、「印刷ユニット10L」という。)が幅方向に沿って同一の方向を向いた状態で重ね合わされている。
これにより、画像記録装置100では、図1に示されるように、3台の印刷ユニット10の給紙ガイド路86とベースユニット160の送出ガイド路170とが接続され、1本の給紙経路186が構成されると共に、3台の印刷ユニット10の排紙ガイド路96と排紙ユニット110の受入ガイド路130に接続されて1本の排紙経路188が構成される。
本実施形態に係る画像記録装置100は、以上説明したように、1台のベースユニット160上に、複数台(本実施形態では、3台)の印刷ユニット10と、1台の排紙ユニット110とが積み重ねられて構成されている。これにより、画像記録装置100を構成する印刷ユニット10及び排紙ユニット110は、図2に示されるように、上段側の印刷ユニット10又は排紙ユニット110を上方へ持ち上げるだけで、簡単に下段側の印刷ユニット10又はベースユニット160から分離できる。従って、画像記録装置100では、印刷ユニット10又は排紙ユニット110を下段側の印刷ユニット10又はベースユニット160から分離した状態とすれば、装置を構成する印刷ユニット10を簡単に3台以上に増設でき、あるいは装置を構成する印刷ユニット10を1台まで減少できる。この結果、画像記録装置100では、装置を構成する印刷ユニット10の台数を簡単に増減でき、印刷ユニット10の台数を増減することにより、装置全体としての印刷速度を含む印刷能力を広い範囲で調整できるようになる。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る画像記録装置100による記録紙Pに対する記録動作について説明する。
なお、本実施形態の画像記録装置100では、外部の情報処理装置からメイン制御部180に印刷ジョブがそれぞれ異なる時期に複数回に亘って入力すると、複数台の印刷ユニット10による記録紙Pに対する画像記録の回数が可能なかぎり平準化するように、各印刷ユニット10を所定の順番で巡回的に作動させる。また画像記録装置100では、複数の印刷ジョブが同一時期に入力した場合等には、可能な限り多数台の印刷ユニット10を同時に作動させ、複数台の印刷ユニット10により複数枚の記録紙Pに並列的に画像を記録させる。このとき、複数台の印刷ユニット10により記録紙Pに記録する画像は、印刷ユニット10毎に異なったものでも、同一のものでも良い。
画像記録装置100では、情報処理装置からの印刷ジョブが入力すると、少なくとも1台の印刷ユニット10が作動して記録紙Pに対する画像形成を開始する。このとき、作動状態となる印刷ユニット10の印刷部34へは、ベースユニット160から記録紙Pを供給する場合と、印刷ユニット10の給紙ホッパ20から記録紙Pを供給する場合とがあるが、先ず、給紙ホッパ20から印刷部34へ記録紙Pを供給する場合について説明する。
作動状態となる印刷ユニット10では、印刷ジョブの入力に同期して、先ず、分離給紙ローラ26が回転すると共に、ガイドレバー90が給紙位置に回動する。これにより、分離給紙ローラ26により給紙ホッパ20内に収納された紙束Bから1枚の記録紙Pが分離され、この記録紙Pは、分離給紙ローラ26からの搬送力により第1接続ガイド路28、給紙ガイド路86及び分岐ガイド路88を通って印刷部34のニップローラ対40へ搬送される。
ニップローラ対40は、記録紙Pを挟持しつつ所定の回転速度で回転して、記録紙Pを印刷部34におけるインクジェットヘッド38と印刷ガイド板44との間に挿入する。印刷ガイド板44に沿って搬送される記録紙Pは、ニップローラ対40によりインクジェットヘッド38と印刷ガイド板44との間を所定の副走査速度で搬送される。
インクジェットヘッド38は、記録紙Pの副走査方向への移動に連動し、主走査方向へ移動しつつ複数のノズルから画像情報に基づいて選択的にインクを噴射又は噴射停止し、記録紙P上にインク液滴を噴射してインクにより画像を形成する。この記録紙Pは、その先端側の部分がインクジェットヘッド38と印刷ガイド板44との間から抜け出ると、搬出ローラ対42により挟持され、搬出ローラ対42によりガイド機構52へ送り出される。このとき、ガイド機構52は、ガイド部材53を何れかのガイド位置PA〜PDに保持されており、搬出ローラ対42から送り出されてきた記録紙Pは、ガイド部材53により何れかのガイド位置PA〜PDに対応する排紙プレート76A,76B,76C,76D上へ案内される。
なお、印刷ユニット10では、最上段の排紙プレート76Aが記録紙Pをゲートローラ対78Aにより一旦停止させることなく、直ちに、第2接続ガイド路80Aへ送り出すために用いられ、他の排紙プレート76B,76C,76Dが記録紙Pをゲートローラ対78B,78C,78Dにより待機位置に一旦停止させた後に、第2接続ガイド路80B,80C,80Dへ送り出すために用いられる。
具体的には、一の印刷ユニット10の排紙プレート76Aは、ゲートローラ対78Aの手前で、画像を形成したインクを乾燥するために、記録紙Pを一旦停止させる必要がない場合や、他の印刷ユニット10により画像が記録された記録紙Pとの関係で排紙経路188への排紙タイミングを調整する必要がない場合等に用いられる。また他の排紙プレート76B,76C,76Dは、ゲートローラ対78B,78C,78Dの手前で、画像を形成したインクを乾燥するために、記録紙Pを一旦停止させる必要がある場合や、他の印刷ユニット10により画像が記録された記録紙Pとの関係で排紙経路188への排紙タイミングを調整する必要がある場合等に用いられる。
ゲートローラ対78A,78B,78C,78Dは、排紙プレート76A,76B,76C,76D上の記録紙Pを所定のタイミングで、第2接続ガイド路80A,80B,80C,80Dを通して排紙経路188の一部を構成する排紙ガイド路96内へ送り出し、記録紙Pの先端側を排紙ガイド路96に沿って上方へ搬送する。この記録紙Pは、各印刷ユニット10における搬送ローラ対98より排紙ユニット110の受入ガイド路130内へ送り出され、排紙ローラ対136へ達する。排紙ローラ対136は、排紙口126を通して記録紙Pを排紙トレイ部118へ排出する。これにより、記録紙Pは、排紙トレイ部118の載置面120上に載置されると共に、位置決め面122により集積位置へ位置決めされる。
次に、ベースユニット160から印刷ユニット10の印刷部34へ記録紙Pを供給する場合について説明する。
ベースユニット160のメイン制御部180は、情報処理装置からの印刷ジョブの内容、給紙ホッパ20内の記録紙Pの残量、種類等に応じて、ベースユニット160からの記録紙Pの給紙が必要と判断し、かつベースユニット160から給紙が可能と判断した場合に、ベースユニット160のメイン給紙ホッパ172から給紙対象となる印刷ユニット10の印刷部へ記録紙Pを供給開始する。このとき、メイン制御部180は、先ず、給紙対象となる一の印刷ユニット10におけるガイドレバー90のみを給紙位置へ保持すると共に、他の印刷ユニット10におけるガイドレバー90を搬送位置に回動させる。
次いで、メイン制御部180は、給紙経路186を構成する各給紙ガイド路86に配置された搬送ローラ対87をそれぞれ所定の搬送方向へ回転開始させると共に、ベースユニット160における分離給紙ローラ168を所定量回転させる。これにより、メイン給紙ホッパ172の積載トレイ164上に積載された紙束Bから1枚の記録紙Pが分離され、送出ガイド路170内へ送り込まれる。この記録紙Pは、その先端側が送出ガイド路170を通って印刷ユニット10の給紙ガイド路86へ送り込まれ、給紙ガイド路86に沿って搬送ローラ対87により給紙対象となる印刷ユニット10へ搬送される。この記録紙Pは、その先端部が給紙対象となる印刷ユニット10の給紙ガイド路86まで搬送されると、ガイドレバー90により給紙ガイド路86内から分岐ガイド路88内へ案内される。
ガイドレバー90により分岐ガイド路88内へ案内された記録紙Pは、搬送ローラ対87からの搬送力により分岐ガイド路88を通って印刷部34のニップローラ対40へ達する。これにより、この記録紙Pは、給紙ホッパ20から送られてきた記録紙Pと同様に、印刷部34のインクジェットヘッド38により画像が記録された後、搬出ローラ対42によりガイド機構52へ送り出され、ガイド機構52により何れかの排紙プレート76A,76B,76C,76D上へ案内される。この記録紙Pは、所定のタイミングでゲートローラ対78A,78B,78C,78Dにより排紙プレート76A,76B,76C,76D上から第2接続ガイド路80A,80B,80C,80Dを通して排紙経路188へ送り出され、排紙トレイ部118へ排出される。
次に、図6に基づいて記録紙Pを4枚の排紙プレート76A,76B,76C,76Dへ振り分ける際の画像記録装置100の具体的な動作例について説明する。この動作例では、印刷ユニット10Uによりカラー画像、写真画像等を含む画像が記録され、画像記録に相対的に長い時間が必要となる原稿を1頁目として作成する場合について説明する。
ここで、図6(A)には、各印刷ユニット10U,10M,10Lにおける排紙プレート76A,76B,76C,76Dへ排紙される記録紙P(原稿)の頁数が示されており、また図6(B)には、各印刷ユニット10U,10M,10Lにおける1頁目〜15頁目の原稿に対する画像記録時期及び画像記録時間の長さが示されている。
先ず、図6(B)に示されるように、画像記録装置100では、印刷ユニット10Uにおける印刷部34により1頁目の記録紙Pに画像を記録している間(図6(B)の(0)〜(I)の期間)に、印刷ユニット10Mにおける印刷部34により2頁目、5頁目、8
頁目の記録紙Pに画像を順次記録し、画像が記録された記録紙P(原稿)を排紙プレート76B,76C,76Dへそれぞれ排紙し、排紙プレート76B,76C,76D上に停止状態で保持する。これと併行し、印刷ユニット10Lにおける印刷部34により3頁目、6頁目、9頁目の記録紙Pに画像を順次記録し、画像が記録された記録紙P(原稿)を排紙プレート76B,76C,76Dへそれぞれ排紙し、排紙プレート76B,76C,76D上に停止状態で保持する。一方、画像記録装置100では、印刷ユニット10Uにより画像記録が完了した1頁目の記録紙Pを排紙プレート76Bへ排紙し、この記録紙Pが排紙プレート76B上でインク乾燥等のために必要となる所定の保持時間が経過すると、各印刷ユニット10U,10M,10Lにおける排紙プレート76B上の1から3頁目の記録紙Pを頁順に排紙トレイ部118へ搬出する。
次いで、画像記録装置100では、印刷ユニット10Uにより4頁目の記録紙Pに画像を記録している間(図6(B)の(I)〜(II)の期間)に、印刷ユニット10Mにより11頁目の記録紙Pに画像を記録し、画像が記録された記録紙P(原稿)を2頁目の記録紙Pが搬出済みの排紙プレート76Bへ排紙し、排紙プレート76B上に停止状態で保持する。これと併行し、印刷ユニット10Lにより12頁目の記録紙Pに画像を記録し、画像が記録された記録紙P(原稿)を、3頁目の記録紙Pが搬出完了済みの排紙プレート76B上に停止状態で保持する。一方、画像記録装置100では、印刷ユニット10Uにより画像記録が完了した4頁目の記録紙Pを排紙プレート76Cへ排紙し、この記録紙Pが排紙プレート76C上で所定の保持時間が経過すると、各印刷ユニット10U,10M,10Lにおける排紙プレート76C上の4〜6頁目の記録紙Pを頁順に排紙トレイ部118へ搬出する。
次いで、画像記録装置100では、印刷ユニット10Uにより7頁目の記録紙Pに画像を記録している間(図6(B)の(II)〜(III)の期間)に、印刷ユニット10Mにより14頁目の記録紙Pに画像を記録し、画像が記録された記録紙P(原稿)を5頁目の記録紙Pが搬出済みの排紙プレート76Cへ排紙し、排紙プレート76C上に停止状態で保持する。これと併行し、印刷ユニット10Lにおける印刷部34により15頁目の記録紙Pに画像を記録し、画像が記録された記録紙P(原稿)を、6頁目の記録紙Pが搬出完了済みの排紙プレート76C上に停止状態で保持する。一方、画像記録装置100では、印刷ユニット10Uにより画像記録が完了した7頁目の記録紙Pを排紙プレート76Dへ排紙し、この記録紙Pが排紙プレート76D上で所定の保持時間が経過すると、各印刷ユニット10U,10M,10Lにおける排紙プレート76D上の7〜9頁目の記録紙Pを頁順に排紙トレイ部118へ搬出する。
次いで、画像記録装置100では、印刷ユニット10Uにより10頁目の記録紙Pに画像を記録した後、この記録紙Pを排紙プレート76Bへ排紙し、この記録紙Pが排紙プレート76B上で所定の保持時間が経過すると、各印刷ユニット10U,10M,10Lにおける排紙プレート76B上の10〜12頁目の記録紙Pを頁順に排紙トレイ部118へ搬出する。
最後に、画像記録装置100では、印刷ユニット10Uにより13頁目の記録紙Pに画像を記録した後、この記録紙Pを排紙プレート76Cへ排紙し、この記録紙Pが排紙プレート76C上で所定の保持時間が経過すると、各印刷ユニット10U,10M,10Lにおける排紙プレート76C上の13〜15頁目の記録紙Pを頁順に排紙トレイ部118へ搬出する。
画像記録装置100では、上記のように各印刷ユニット10U,10M,10L間での記録紙Pに対する画像の記録時間の隔たりが大きい場合でも、一の印刷ユニット10U,10M,10Lが1枚の記録紙Pに対して長時間に亘って画像記録を行っている間に、他の印刷ユニット10U,10M,10Lにおける印刷部34により複数枚の記録紙Pに画像記録を行って、これらの記録紙P(原稿)を複数の排紙プレート76B,76C,76Dへ排紙し、保持できるので、一の印刷ユニット10U,10M,10Lによる原稿の作成完了を待つために、他の印刷ユニット10U,10M,10Lを停止させる必要がなくなり、また画像が記録された多数枚の記録紙P(原稿)を頁順に揃えた状態(コレート状態)で、排紙トレイ部118へ排紙して載置面120上へ集積できる。
また画像記録装置100では、図6(B)に示されると同様の手順で、16頁目以降の記録紙Pに対しても画像記録を継続することが可能であり、また画像記録に長い時間を要する原稿が16頁目以降に存在しても、そのような原稿を作成する印刷ユニットが3台の印刷ユニット10U,10M,10Lに略均等に分散するならば、一の印刷ユニット10U,10M,10Lによる原稿の作成完了を待つために、他の印刷ユニット10U,10M,10Lを停止させる必要が殆どなくなる。
(画像記録装置の作用)
次に、以上説明した本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置100の作用について説明する。
本実施形態に係る画像記録装置100では、排紙バッファ60に、それぞれ独立して記録紙Pを保持可能とされた複数の排紙プレート76A,76B,76C,76Dを設けると共に、印刷部34から排紙バッファ60へ送り出される記録紙Pを排紙プレート76A,76B,76C,76Dの何れかに選択的に案内するガイド機構52を設けたことにより、印刷部34により画像が記録された記録紙Pを搬出ローラ対42により排紙バッファ60へ送り出す際には、この記録紙Pをガイド機構52のガイド部材53により排紙バッファ60における複数の排紙プレート76A,76B,76C,76Dから選択された一の排紙プレート76A,76B,76C,76Dに案内し、この一の排紙プレート76A,76B,76C,76Dにより保持させることができるので、排紙バッファ60に印刷部34による画像の記録速度及び排紙プレート76A,76B,76C,76Dにおける記録紙Pの所定の保持時間に対応する個数の排紙プレート76A,76B,76C,76Dを設けておけば、印刷部34により先行して画像が記録された記録紙Pが一の排紙プレート76A,76B,76C,76Dにより保持されており、この記録紙Pが排紙プレート76A,76B,76C,76Dにて所定の保持時間が経過していない時でも、印刷部34による後続する記録紙Pに対する画像記録を行い、この記録紙Pについては他の排紙プレート76A,76B,76C,76Dにより保持させ、この他の排紙プレート76A,76B,76C,76Dにより十分な時間に亘って保持できる。
また画像記録装置100では、装置を構成する複数台の印刷ユニット10U,10M,10Lにそれぞれ印刷部34を設け、この複数の印刷部34により複数枚の記録紙Pに対して並列的に画像を記録可能とすると共に、排紙バッファ60を、それぞれ複数の印刷部34に1対1で対応するように複数設けたことにより、複数の印刷部34により複数枚の記録紙Pに対して並列的に画像を記録する場合に、一の印刷部34により画像が記録された先行する記録紙Pを一の排紙プレート76A,76B,76C,76Dにより保持させれば、他の印刷部34により記録紙Pに画像記録が行われている時でも、一の印刷部34により画像が記録される後続する記録紙Pについては他の排紙プレート76A,76B,76C,76Dにより保持させることができるので、例えば、各印刷部34により記録紙Pに画像を記録する際に必要となる時間(記録時間)に大きな隔たりがあり、かつ排紙トレイ部118に集積される複数枚の記録紙Pの頁順を揃える必要がある場合でも、排紙バッファ60に、複数の印刷部34間における記録媒体に対する画像の記録時間の隔たり(偏差)及び印刷部34の設置数に対応する個数の排紙プレート76A,76B,76C,76Dを設けておけば、他の印刷部34による画像記録の完了後まで遅らせることなく、一の印刷手段により後続する記録紙Pに対する画像記録を開始できるようになる。
この結果、本実施形態に係る画像記録装置100によれば、印刷部34による記録紙Pに対する画像記録が高速化され、又は複数の印刷部34による複数の記録紙Pに対する画像記録時間の隔たりが大きい場合でも、印刷部34により画像が記録された記録紙Pの排紙バッファ60における保持時間を十分に確保できると共に、印刷部34による記録紙Pに対する画像記録の中断が生じなくなる。
また画像記録装置100では、複数台の印刷ユニット10が高さ方向に沿って重ね合わせられて接続されることにより、各印刷ユニット10に設けられた複数の印刷部34により複数枚の記録紙Pに対して並列的に画像が記録可能になることにより、複数台の印刷ユニット10を重ね合わせ、又は重ね合わされた複数台の印刷ユニット10から1台以上の印刷ユニットを分離するだけで、装置を構成する印刷ユニット10の台数を簡単に増減し、印刷部34を増減できるので、印刷速度を含む印刷能力を広い範囲で簡単に調整できるようになる。
なお、本実施形態に係る印刷ユニット10には、記録紙Pがそれぞれ積載可能とされた排紙プレート76A,76B,76C,76Dが4枚設けられていたが、この排紙トレーは4枚に限定されるものではなく、記録紙Pの排紙バッファ60での保持時間、印刷部34の画像記録速度、記録画像の内容に応じて変化する印刷部34による画像記録時間の隔たりの大きさ等に応じ、印刷ユニット10への設置数を適宜変更することが好ましい。
[第2の実施形態]
(印刷ユニットの構成)
図7には本発明の第2の実施形態に係る画像記録装置の構成が示され、図8には本発明の第2の実施形態に係る画像記録装置に適用される印刷ユニットの構成が示されている。なお、第2の実施形態に係る画像記録装置200では、第1の実施形態に係る画像記録装置100と共通な部分について同一符合を付して説明を省略する。
第2の実施形態に係る印刷ユニット202が、第1の実施形態に係る印刷ユニット10と異なる点は、排紙バッファ203に、3枚の排紙プレート76B,76C,76Dに代えて2台の排紙ホッパ204U,204Lが配設されると共に、排紙プレート76B,76C,76Dにそれぞれ対応するゲートローラ対78B,78C,78Dに代えて、2台の排紙ホッパ204U,204Lにそれぞれ対応する分離給紙ローラ208U,208Lが配設されている点である。
図8に示されるように、排紙ホッパ204U,204Lは、それぞれ上面部及び後端部(図8では右側の端部)が開口した筐体状とされ、ガイド機構52からケーシング12の後端側へ延在するように支持されている。これらの排紙ホッパ204U,204Lには、その内部にそれぞれ1枚の記録紙P又は複数枚の記録紙Pからなる紙束Bが収納可能とされている。また排紙ホッパ204U,204Lは、その先端部(図8では右側の端部)から後端部へ向って下方へ傾斜するように支持されており、これにより、ガイド機構52を通して排紙ホッパ204U,204L内へ排紙された記録紙Pは、その先端部が排紙ホッパ204U,204Lの先端部に配置された前板部へ当接し、所定の収納位置へ位置決めされる。
排紙ホッパ204U,204L内には、その底板部上における先端側に積載板212が配置されており、この積載板212は、後端側の基端部が排紙ホッパ204U,204Lの底板部に揺動可能に連結されている。これにより、排紙ホッパ204U,204L内に収納された記録紙P(紙束B)は、その先端側の部分が積載板212上に載置される。積載板212は、コイルスプリング等の付勢部材214により揺動端側が上方へ付勢されている。
排紙ホッパ204U,204Lは、ケーシング12により奥行方向(図4に示される矢印D方向)に沿って装着位置と取出位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、排紙ホッパ204U,204Lは、ケーシング12内の装着位置からケーシング12の側方へ突出する取出位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して排紙ホッパ204U,204L内から画像が記録された記録紙Pを直接取り出すことが可能になる。
排紙ホッパ204U,204Lには、それぞれ付勢部材214に抗して積載板212を揺動方向に沿って底板部に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ(図示省略)が配置されており、このアクチュエータは、排紙ホッパ204Uの装着位置から補給位置への移動に連動して積載板212を下限位置へ移動させ、またメイン給紙ホッパ172の補給位置から装着位置への復帰に連動して積載板212を下限位置から解放する。またアクチュエータは、印刷部34により画像が記録された記録紙Pが排紙ホッパ204U,204L内へ排紙される際にも、積載板212を下限位置へ拘束し、排紙ホッパ204U,204L内への記録紙Pの排紙完了後に積載板212を下限位置から解放する。
図8に示されるように、印刷ユニット202には、排紙ホッパ204U,204Lの先端部の上方にそれぞれ円柱状の分離給紙ローラ208U,208Lが配置されている。この分離給紙ローラ208U,208Lは、排紙ホッパ204U,204L内に収納され積載板212により上方へ付勢された画像が記録された記録紙P(紙束B)上面の先端側に圧接する。また印刷ユニット202には、印刷ユニット10における第2接続ガイド路80B,80C,80Dに代えて、一端部が分離給紙ローラ208U,208Lの記録紙Pとの圧接部付近からケーシング12の後端側へ延出し、他端部が排紙ガイド路96に接続されたスリット状の第2接続ガイド路216U,216Lが設けられている。
従って、印刷ユニット202では、排紙ホッパ204U,204L内に記録紙Pが収納された状態で、排紙ホッパ204U,204L内の画像が記録された記録紙P(紙束B)に圧接した分離給紙ローラ208U,208Lを所定量回転させと、排紙ホッパ204U,204L内からは1枚の記録紙Pが分離され、第2接続ガイド路216U,216L内へ送り込まれる。この記録紙Pは、分離給紙ローラ208U,208Lからの搬送力により第2接続ガイド路216U,216Lから排紙ガイド路96内へ送り込まれ、その先端部が搬送ローラ対98に達すると、搬送ローラ対98により排紙ガイド路96に沿って排紙ユニット110へ搬送され、排紙トレイ部118へ排紙される。
図8に示されるように、ガイド機構52は、支軸部64を中心としてガイド部材53を排紙プレート76Aに対応するガイド位置PA及び排紙ホッパ204U,204Lにそれぞれ対応するガイド位置PU,PLの何れかの位置へ揺動させ、保持する。ここで、ガイド部材53がガイド位置PAにあると、印刷部34の搬出ローラ対42により送り出されてきた記録紙Pは、ガイド部材53により排紙プレート76A上へ案内され、搬出ローラ対42から離脱すると共に、排紙プレート76A上へ載置される。
またガイド部材53がガイド位置PU,PLにあると、印刷部34の搬出ローラ対42により送り出されてきた記録紙Pは、ガイド部材53により排紙ホッパ204U,204L内へ案内され、搬出ローラ対42から離脱すると共に、排紙ホッパ204U,204L内へ収納される。このとき、この排紙ホッパ204U,204Lは、引き続き記録紙Pが送り込まれてくる場合には、アクチュエータにより積載板212を下限位置に拘束し続け、また収納した記録紙Pを排紙経路188へ送り出す場合には、積載板212を下限位置から解放し、積載板212上の記録紙Pを分離給紙ローラ208U,208Lへ圧接させる。
(画像記録装置の構成)
図7に示されるように、本発明の第2の実施形態に係る画像記録装置200は、高さ方向に沿って下側から順に、1台のベースユニット160、3台の印刷ユニット202及び1台の排紙ユニット110が積み重ねられて構成されている。
本実施形態に係る印刷ユニット202のケーシング12にも、第1の実施形態に係る印刷ユニット10と同様に、その頂板部14に上方へ突出するガイド突起(図示省略)が設けられると共に、底板部13にガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられている。これにより、ベースユニット160、印刷ユニット202及び排紙ユニット110が積み重ねられて画像記録装置200が構成されている状態では、印刷ユニット202及びベースユニット160にそれぞれ設けられたガイド突起は、上段側に隣接する印刷ユニット202又は排紙ユニット110のガイド受部に嵌挿される。
本実施形態の印刷ユニット202にも、第1の実施形態に係る画像記録装置100の場合と同様に、それぞれメイン制御部180からの制御信号に従って印刷ユニット202の動作を制御するコントローラ220が配置されており、画像記録装置200では、コントローラ220がメイン制御部180と相互にデータ通信が可能になるように電気的に接続されている。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る印刷ユニット202における記録紙Pに対する画像の記録動作、記録紙Pの排紙バッファ203への排紙動作等にについて説明する。
本実施形態の画像記録装置200でも、各印刷ユニット202の印刷部34に対して記録紙Pを給紙し、この記録紙Pに画像を記録するまでは、第1の実施形態に係る画像記録装置100と同様の工程を経て行われる。各印刷ユニット202では、記録紙Pに対する画像の記録完了後に、この記録紙Pを排紙バッファ203で停止状態とする必要がない場合には、この記録紙Pを最上段の排紙プレート76A上へ排紙し、排紙プレート76A上から直ちに排紙経路188へ送り出し、排紙トレイ部118へ排紙する。
一方、各印刷ユニット202では、記録紙Pに対する画像の記録完了後に、この記録紙Pを排紙バッファ203で停止状態とする必要がある場合、所定の数枚(例えば、100枚以上)以上の記録紙Pに対して連続的に画像を記録する場合等には、印字部34により画像が記録された記録紙Pをガイド機構52により排紙ホッパ204U及び排紙ホッパ204L内へ交互にガイドし、複数枚の記録紙Pを排紙ホッパ204U,204L内に分散して収納する。すなわち、例えば、排紙ホッパ204U内には、奇数頁の記録紙P(原稿)を順次収納し、これら奇数頁の記録紙Pを排紙ホッパ204U内に集積し、また排紙ホッパ204L内には、偶数頁の記録紙Pを順次収納し、これら偶数頁の記録紙Pを排紙ホッパ204L内に集積する。印刷ユニット202では、複数枚の記録紙Pを全て排紙ホッパ204U,204L内へ収納すると、積載板212を下限位置から解放すると共に、2個の分離給紙ローラ208U,208Lを所定の回転量だけ交互に回転させることより、排紙ホッパ204U,204L内にそれぞれ収納された記録紙Pを交互に排紙経路188へ送り出し、複数枚の記録紙Pを、排紙バッファ60への排出順とは反対の順番で、排紙経路188を通して排紙トレイ部118へ搬出する。
本実施形態の印刷ユニット10では、上記のよう複数枚の記録紙Pを2個の排紙ホッパ204U,204Lへ交互に排紙することにより、何れか一方の排紙ホッパ204U,204Lに全ての記録紙Pを連続的に収納する場合と比較し、1枚の記録紙Pを一方の排紙ホッパ204U,204L内へ収納してから、次の1枚の記録紙Pを一方の排紙ホッパ204U,204L内へ収納するまでの時間を遅延できるので、各排紙ホッパ204U,204L内で最上部の記録紙P上に、次の記録紙Pが積載されるまでの時間(保持時間)を十分に長くできる。
この結果、排紙バッファ203へ先に排紙された記録紙Pのインク乾燥時間が比較的長い場合でも、この記録紙Pのインク乾燥時間を確保するため、印刷部34による後続する記録紙Pに対する画像記録を中断する必要がなくなり、かつ排紙ホッパ204U,204L内に収納された記録紙P間でのインク転写や、記録紙P同士が擦れあいインク滲みが発生することを効果的に防止できる。
また印刷ユニット202では、各給紙ホッパ204U,204Lが装着位置と取出位置との間で移動可能とされていることにより、印刷ジョブ単位で画像記録された記録紙Pを2個の排紙ホッパ204U,204L内へ仕分けされるように排紙した後、排紙ホッパ204U,204Lを装着位置から取出位置へ移動させれば、これらの排紙ホッパ204U,204L内へ収納された記録紙Pを、ユーザが直接取り出すこともできる。
また、本実施形態に係る画像記録装置200では、一の印刷ユニット202における印刷部34により画像記録された記録紙Pを排紙ホッパ204U,204Lへ排紙している間に、他の印刷ユニット202における印刷部34により画像が記録された記録紙Pを排紙プレート76A上へ排紙し、排紙プレート76A上から排紙経路188を通して排紙トレイ部118へ搬出できるので、例えば、多数枚の記録紙Pに対する画像記録を指示する印刷ジョブの処理中に、数枚程度の割り込み印刷を指示する印刷ジョブがメイン制御部180へ入力した場合でも、一の印刷ユニット202により多数枚の記録紙Pに対する画像記録を継続しつつ、他の印刷ユニット202により記録紙Pに対して割り込み印刷に対応する画像記録を行い、この記録紙Pを画像記録完了後、直ちに排紙トレイ部118へ搬出できる。
なお、以上説明した本発明の第1及び第2の実施形態に係る画像記録装置100,200における印刷部34では、インクジェットヘッド38を記録紙Pに対する画像記録時に主走査方向へ駆動しつつ、インクジェットヘッド38のノズルからインクを噴射して記録紙Pに画像を形成していたが、印刷部34については、走査型の所謂シリアルプリンタ型のインクジェットヘッド38以外にも、記録紙Pよりも主走査方向へ広い幅を有するフルサイズの固定式インクジェットヘッドにより記録紙Pを記録するものでも、また電子写真感光体上にトナー像を形成し、このトナーを記録紙Pに転写する、所謂電子写真方式により記録紙Pに画像を形成するものでも良く、無論、これ以外の方法で記録紙Pに画像を形成するものであっても良い。