以下、本発明の実施形態に係るプリンタ装置について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
(印刷ユニットの構成)
図1及び図2には本発明の第1の実施形態に係るプリンタ装置が示され、図3及び図4には本実施形態に係るプリンタ装置に適用される印刷ユニットが示されている。
図3に示されるように、印刷ユニット10は外殻部としてケーシング12を備えており、このケーシング12は、装置の高さ方向(矢印H方向)に沿って扁平な直方体状に形成されている。ケーシング12には、その底板部13における幅方向(矢印W方向)に沿った一端側(図3では右側、便宜上、この一端側を「先端側」、他端側を「後端側」と呼称する。)にスリット状の給紙搬入口16が穿設される共に、底板部13における後端側にスリット状の排紙搬入口18が穿設されている。またケーシング12には、その頂板部14における先端側に給紙搬入口16に正対するようにスリット状の給紙搬出口17が穿設されると共に、頂板部14における後端側に排紙搬入口18に正対するようにスリット状の排紙搬出口19が穿設されている。
図3に示されるように、ケーシング12内には、底板部13上に上面側が開口した筐体状の給紙ホッパ20が配置されている。給紙ホッパ20内には、1枚の記録紙P又は複数枚の記録紙Pが積層された記録紙の束(以下、これを、特に「記録紙P」と区別する必要がある場合には、「紙束B」という。)が収納可能とされている。
また給紙ホッパ20内には、その底板部上における先端側に積載板が配置されており、この積載板22は、後端側の基端部が底板に揺動可能に連結されている。これにより、給紙ホッパ20内に収納された記録紙P(紙束B)は、その先端側の部分が積載板22上に載置される。積載板22は、コイルスプリング等の付勢部材24により揺動端側が上方へ付勢されている。
給紙ホッパ20は、ケーシング12により奥行方向(図4に示される矢印D方向)に沿って装着位置と補給位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、給紙ホッパ20は、ケーシング12内の装着位置からケーシング12の側方へ突出する補給位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して給紙ホッパ20に対して記録紙Pを補給することが可能になる。
給紙ホッパ20には、付勢部材24に抗して積載板22を揺動方向に沿って底板部に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ(図示省略)が配置されており、このアクチュエータは、給紙ホッパ20の装着位置から補給位置への移動に連動して積載板22を下限位置へ移動させ、また給紙ホッパ20の補給位置から装着位置への復帰に連動して積載板22を下限位置から解放する。
印刷ユニット10には、給紙ホッパ20の先端部の上方に円柱状の分離給紙ローラ26が配置されている。この分離給紙ローラ26は、給紙ホッパ20内に収納され積載板22により上方へ付勢された記録紙P(紙束B)上面の先端側に圧接する。また印刷ユニット10には、分離給紙ローラ26の記録紙Pとの圧接部付近からケーシング12の先端側へ延出すると共に、斜め上方へ向って湾曲したスリット状の第1接続ガイド路28が設けられている。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、分離給紙ローラ26の上方に印字部34が配置されている。この印字部34には、図4に示されるように、奥行方向と平行な主走査方向(図4に示される矢印S方向)にそれぞれ延在するガイドロッド36が設けられると共に、このガイドロッド36により主走査方向に沿って移動可能に支持されたブロック状のインクジェットヘッド38が設けられている。また印字部34には、記録紙Pに対する画像記録時にインクジェットヘッド38を所定の主走査速度で往復移動させるヘッド駆動機構(図示省略)が設けられている。
印字部34には、副走査方向(図4に示される矢印F方向)に沿ってインクジェットヘッド38の上流側及び下流側にそれぞれニップローラ対40及び搬出ローラ対42が配置されると共に、インクジェットヘッド38の下面に対向するように印字ガイド板44が配置されている。この印字ガイド板44は、インクジェットヘッド38の下面との間にスリット状の隙間を形成している。
ニップローラ対40は、記録紙Pに対する画像記録時に、インクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間に挿入された記録紙Pを、2個の弾性ローラ46,47により加圧状態で挟持しつつ、所定の副走査速度で下流側へ向かって搬送する。ここで、弾性ローラ46,47は、その外周層がゴム等の弾性材料により形成されている。
また搬出ローラ対42は、インクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間から送り出されてきた記録紙Pを挟持し、この記録紙Pを後述する排紙バッファ52へ向かって送り出す。ここで、搬出ローラ対42には、そのニップ部を介して下側及び上側にそれぞれ弾性ローラ48及び拍車ローラ50が設けられている。弾性ローラ48は、その外周層がゴム等の弾性材料により形成されている。また拍車ローラ50には、そのローラ面に軸方向へ延在する山形の突起部が周方向に沿って連続的に形成されると共に、突起部の表面に撥液性を有するコーティング層が成膜されている。これにより、拍車ローラ50の記録紙Pとの接触面積が極めて小さいものになり、かつ記録紙Pから拍車ローラ50へのインク転移が防止されるので、拍車ローラ50との接触により記録紙Pの画像記録面にインクにじみが発生することが防止される。
ここで、インクジェットヘッド38には、その下面部分に主走査方向に沿って記録すべき画像の画素密度に対応するピッチで配列された複数のノズル(図示省略)が設けられており、インクジェットヘッド38は、ヘッド駆動機構により主走査方向へ移動しつつ、デジタル化された画像情報に基づいて各ノズルからインクを噴射及び噴射停止することで、ニップローラ対40により副走査方向へ搬送される記録紙P上に画像情報に対応する画像を形成する。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、副走査方向に沿って印字部34の下流側に記録紙Pを一時的に保持するための排紙バッファ52が配置されている。これにより、搬出ローラ対42から副走査方向の下流側へ送り出される記録紙Pは排紙バッファ52へ搬出される。
図3に示されるように、排紙バッファ52には、べルトコンベア54が幅方向(副走査方向)に沿って延在するように設けられている。べルトコンベア54には、無端状に形成されたゴム製の搬送ベルト56が設けられると共に、この搬送ベルト56を張設する従動ローラ58及び駆動ローラ60が両端部にそれぞれ設けられている。また後端側に配置された駆動ローラ60には、駆動モータ(図示省略)がトルク伝達可能となるように連結されており、この駆動モータは、駆動ローラ60を介して搬送ベルト56に駆動力を伝達して搬送ベルト56を循環移動させる。ここで、べルトコンベア54の幅方向に沿った寸法は、印字部34により画像が記録可能な最大サイズ(例えば、A3サイズ)の記録紙Pの長さ(長辺寸法)よりも長尺とされており、1枚の記録紙Pが幅方向に沿ってはみ出すことなく載置可能とされている。
印刷ユニット10では、図3に示されるように、搬出ローラ対42により記録紙Pが排紙バッファ52側へ送り出されると、この記録紙Pがべルトコンベア54の上面側へ載置される。べルトコンベア54は、搬出ローラ対42により記録紙Pが排紙バッファ52側へ送り出されると、これに連動して搬送ベルト56をベルト搬出方向(矢印B方向)へ循環移動させる。このとき、搬送ベルト56の幅方向に沿った移動速度は、搬出ローラ対42の線速度と等しくなる。これにより、搬出ローラ対42から送り出される記録紙Pは、搬送抵抗を受けることなく、その先端側から後端側へ向って搬送ベルト56上に載置されると共に、搬送ベルト56と一体となってベルト搬出方向へ移動する。
図3及び図5に示されるように、印刷ユニット10には、べルトコンベア54の下流側にゲートローラ対78が配置されると共に、これらのゲートローラ対78のニップ部付近からケーシング12の後端側へ延出するスリット状の第2接続ガイド路80が設けられている。ゲートローラ対78には、べルトコンベア54の駆動モータ(図示省略)が連結されており、この駆動モータからのトルクによりべルトコンベア54の作動時に回転し、べルトコンベア54の停止時に回転停止する。このとき、ゲートローラ対78の線速度は、搬送ベルト56の幅方向に沿った移動速度と等しくなる。これにより、搬送ベルト56上に載置された記録紙Pは、搬送ベルト56上から下流側へ送り出されると、ゲートローラ対78により挟持され、搬送ベルト56上から第2接続ガイド路80内へ送り出される。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、その先端部に高さ方向に沿って延在する一対の給紙ガイド板82,84が配置されており、この給紙ガイド板82,84の間には、印刷ユニット10を高さ方向に沿って貫通して、ケーシング12の給紙搬入口16と給紙搬出口17とを繋げたスリット状の給紙ガイド路86が形成されている。この給紙ガイド路86には、少なくとも上端部に搬送ローラ対87が配置されている。また給紙ガイド路86の中間部には、第1接続ガイド路28の先端部が接続されており、第1接続ガイド路28から給紙ガイド路86へ送り込まれてきた記録紙Pは、給紙ガイド路86に沿って給紙搬出口17側(上側)へ案内される。
印刷ユニット10には、第1接続ガイド路28の上側に給紙ガイド路86から印字部34側へ分岐する第1分岐ガイド路88が設けられている。この第1分岐ガイド路88は、先端部が印字部34のニップローラ対40に面して開口している。また印刷ユニット10には、第1接続ガイド路28の下側に給紙ガイド路86から給紙ホッパ20側へ分岐する第2分岐ガイド路92が設けられている。この第2分岐ガイド路92は、その先端部が給紙ホッパ20の前板部に開口した補給口23に接続され、給紙ホッパ20内へ連通している。
図3に示されるように、印刷ユニット10には、給紙ガイド路86と第1分岐ガイド路88との分岐部の上側に楔状の第1ガイドレバー90が配置されている。この第1ガイドレバー90には、その基端部に回動中心となる支軸部91が設けられており、この支軸部91は、給紙ガイド路86の内側に配置された軸受部(図示省略)により軸支されている。第1ガイドレバー90は、実線で示される搬送位置と2点鎖線で示される給紙位置との間で回動可能とされている。また第1ガイドレバー90の支軸部91には、ロータリアクチュエータ(図示省略)が連結されており、このロータリアクチュエータは、後述する制御部180からの制御に従って第1ガイドレバー90を搬送位置及び給紙位置の何れかの位置に回動し、保持する。
ここで、給紙ガイド路86に沿って下方から第1ガイドレバー90に搬送されてきた記録紙Pは、第1ガイドレバー90が給紙位置にある場合には、第1ガイドレバー90により給紙ガイド路86から第1分岐ガイド路88内へ案内され、また第1ガイドレバー90が搬送位置にある場合には、給紙ガイド路86に沿って上方へ案内され、搬送ローラ対87により挟持される。
印刷ユニット10では、給紙ホッパ20内に収納された記録紙Pを印字部34に供給する際には、第1ガイドレバー90を給紙位置に保持した後、給紙ホッパ20内の記録紙P(紙束B)に圧接した分離給紙ローラ26を所定量回転させる。これにより、給紙ホッパ20内からは1枚の記録紙Pが分離され、第1接続ガイド路28内へ送り込まれる。この記録紙Pは、分離給紙ローラ26からの搬送力により第1接続ガイド路28から給紙ガイド路86内へ送り込まれ、その先端部が第1ガイドレバー90に達すると、第1ガイドレバー90により第1分岐ガイド路88内へ案内され、第1分岐ガイド路88を通って印字部34に達し、ニップローラ対40により挟持されインクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間へ送り込まれる。
図3に示されるように、印刷ユニット10には、給紙ガイド路86と第2分岐ガイド路92との分岐部の上側に楔状の第2ガイドレバー94が配置されている。この第2ガイドレバー94には、その基端部に回動中心となる支軸部95が設けられており、この支軸部95は、給紙ガイド路86の内側に配置された軸受部(図示省略)により軸支されている。第2ガイドレバー94は、実線で示される搬送位置と2点鎖線で示される給紙位置との間で回動可能とされている。また第2ガイドレバー94の支軸部95には、ロータリアクチュエータ(図示省略)が連結されており、このロータリアクチュエータは、後述する制御部180からの制御に従って第2ガイドレバー94を搬送位置及び給紙位置の何れかの位置に回動し、保持する。
ここで、後述する給紙ユニット160(図1参照)から印刷ユニット10における給紙ガイド路86に沿って第2ガイドレバー94に搬送されてきた記録紙Pは、第2ガイドレバー94が給紙位置にある場合には、第2ガイドレバー94により給紙ガイド路86から第2分岐ガイド路92内へ案内され、また第2ガイドレバー94が搬送位置にある場合には、給紙ガイド路86に沿って上方へ案内され、搬送ローラ対87により挟持される。
プリンタ装置100には、複数台の印刷ユニット10の下側に多量の記録紙Pを収納した給紙ユニット160が設けられており、この給紙ユニット160から印刷ユニット10における給紙ホッパ20内へ記録紙Pを補給可能とされている。印刷ユニット10では、給紙ユニット160から供給される記録紙Pを給紙ホッパ20内へ受け入れる際には、給紙ユニット160による記録紙Pの供給動作の開始に連動し、第2ガイドレバー94を給紙位置に保持すると共に、給紙ホッパ20に配置された積載板22をアクチュエータにより下限位置に拘束する。これにより、下段側の給紙ユニット160から送り出され給紙ガイド路86に沿って搬送されてきた記録紙Pは、その先端部が第2ガイドレバー94に達すると、第2ガイドレバー94により第2分岐ガイド路92内へ案内され、第2分岐ガイド路92及び補給口23を通って給紙ホッパ20内へ送り込まれ、積載板22上に載置される。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、その後端部に高さ方向へ延在する一対の排紙ガイド板96,97が配置されており、一対の排紙ガイド板96,97は一定の間隔を空けて互いに対向するように支持されている。この一対の排紙ガイド板96,97の間には、記録紙Pを後述する排紙ユニット110へ案内するための排紙ガイド路98が形成されている。排紙ガイド路98は、高さ方向に沿って印刷ユニット10を貫通し、ケーシング12に穿設された排紙搬入口18と排紙搬出口19とを繋げている。また排紙ガイド路98には、その上端部及び下端部にそれぞれ記録紙Pを搬送するための搬送ローラ対99が設けられている。
(プリンタ装置の構成)
図1に示されるように、本発明の第1の実施形態に係るプリンタ装置100は、高さ方向に沿って下側から順に、1台の給紙ユニット160、3台の印刷ユニット10及び1台の排紙ユニット110が積み重ねられて構成されている。ここで、排紙ユニット110は、各印刷ユニット10により画像が記録された記録紙Pを受け入れ、ユーザにより回収されるまで記録紙Pを一時保管するためのものであり、また給紙ユニット160は、給紙ホッパ20よりも多量の記録紙P(紙束B)を収納可能とされ、この記録紙Pを必要に応じて各印刷ユニット10における印字部34又は給紙ホッパ20へ供給するためのものである。
図2に示されるように、排紙ユニット110は、外殻部としてケーシング112を備えており、このケーシング112の幅方向及び奥行方向に沿ったサイズは、印刷ユニット10のケーシング12と略一致している。ケーシング112には、その下面部における後端部(図2では左側の端部)にスリット状の受入口114が開口している。受入口114は、排紙ユニット110が印刷ユニット10上に積み重ねられると、その印刷ユニット10の排紙搬出口19に接続される。
ケーシング112の上面部には、複数枚の記録紙Pが積載可能とされた排紙トレイ部118が設けられている。排紙トレイ部118には、幅方向に沿った中央部に載置面120が設けられると共に、この載置面120の幅方向に沿った後端部から略垂直に立ちあがる位置決め面122が設けられている。位置決め面122の上端側には、スリット状の排紙口126が開口しており、ケーシング112内には、排紙口126と受入口114とを繋ぐ受入ガイド路130が設けられている。また排紙ユニット110には、受入ガイド路130における受入口114側の端部に受入ローラ対134が配置されると共に、排紙口126側の端部に排紙ローラ対136が配置されている。
図1に示されるように、排紙トレイ部118の載置面120は、幅方向に沿って位置決め面122から先端側へ向って上方へ傾斜したスロープ状に形成されている。これにより、排紙口126から排紙され載置面120上に載置された記録紙Pは、載置面120に沿って位置決め面122に当接する集積位置へ位置決めされ、集積される。また受入ガイド路130に配置された受入ローラ対134及び排紙ローラ対136は、印刷ユニット10における搬送ローラ対99と同期して回転し、受入ローラ対134及び排紙ローラ対136による記録紙Pの搬送速度は、搬送ローラ対99による記録紙Pの搬送速度と等しくなる。
図2に示されるように、給紙ユニット160も外殻部としてケーシング162を備えており、このケーシング162の幅方向及び奥行方向に沿ったサイズは、印刷ユニット10のケーシング12と略一致している。ケーシング162には、その頂板部における先端部(図2では右側の端部)にスリット状の給紙搬出口174が開口している。
給紙ユニット160には、ケーシング162内に複数枚の記録紙Pが収納可能とされたメイン給紙ホッパ172が配置されている。メイン給紙ホッパ172は、上面側が開口した筐体状に形成されており、ケーシング162により奥行方向に沿って装着位置と補給位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、メイン給紙ホッパ172は、ケーシング162内の装着位置からケーシング162の側方へ突出する補給位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して記録紙P(紙束B)を補給し、又は取り出すことが可能になる。
図1に示されるように、メイン給紙ホッパ172内には、外部から格納された記録紙P(紙束B)が積載される積載トレイ164及び、この積載トレイ164を高さ方向に沿って上方へ付勢する付勢部材(図示省略)が配置されている。またメイン給紙ホッパ172には、付勢部材に抗して積載トレイ164を高さ方向に沿って底板部に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ(図示省略)が配置されており、このアクチュエータは、メイン給紙ホッパ172の装着位置から補給位置への移動に連動して積載トレイ164を下限位置へ移動させ、またメイン給紙ホッパ172の補給位置から装着位置への復帰に連動して積載トレイ164を下限位置から解放する。
またケーシング162内には、メイン給紙ホッパ172の上方に分離給紙ローラ168が配置されており、この分離給紙ローラ168は、そのローラ面が積載トレイ164の先端部に対向するように支持されている。これにより、給紙ユニット160では、メイン給紙ホッパ172が補給位置から装着位置へスライドし、アクチュエータにより積載トレイ164が下限位置から解放されると、付勢部材により上方に付勢された積載トレイ164上の紙束Bが所定の圧接力で分離給紙ローラ168に圧接する。
ケーシング162内には、給紙搬出口174からメイン給紙ホッパ172側へ延出し、その先端部が分離給紙ローラ168の紙束Bとの圧接部付近に正対するように開口した送出ガイド路170が設けられると共に、この送出ガイド路170の上端部に送出ローラ対176が設けられている。これにより、積載トレイ164上の紙束Bに圧接した分離給紙ローラ168が所定量回転すると、分離給紙ローラ168により紙束Bから1枚の記録紙Pが分離され、この記録紙Pは、分離給紙ローラ168からの搬送力により送出ガイド路170内へ送り込まれ、送出ローラ対176により送出ガイド路170から上段側に隣接する印刷ユニット10の給紙ガイド路86内へ搬送される。
なお、メイン給紙ホッパ172内に配置される積載トレイ164は1個に限定されず、複数個の積載トレイ164をメイン給紙ホッパ172内にそれぞれ配置し、複数個の積載トレイ164にそれぞれ異なる種類の記録紙Pを積載するようにしても良い。この場合には、例えば、複数の積載トレイ164を上下方向に加えて、前後方向(幅方向)に移動させる機構を設け、複数の積載トレイ164の何れかに積載された紙束Bを選択的に分離給紙ローラ168に圧接させることで、複数種類の記録紙Pから選択された1種類の記録紙Pを送出ガイド路170内へ送り込むことが可能になる。
また、本実施形態に係る印刷ユニット10のケーシング12には、その頂板部14に上方へ突出するガイド突起(図示省略)が設けられると共に、底板部13にガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられている。また排紙ユニット110のケーシング112には、その底板部に印刷ユニット10のガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられ、給紙ユニット160のケーシング162には、その頂板部に印刷ユニット10のガイド受け部に対応するガイド突起(図示省略)が設けられている。ここで、ガイド突起は、1台の印刷ユニット10及び給紙ユニット160にそれぞれ少なくとも2個ずつ設けられ、ガイド受部は、ガイド突起に対応するように1台の印刷ユニット10、給紙ユニット160及び排紙ユニット110にそれぞれ少なくとも2個ずつ設けられている。
図1に示されるように、給紙ユニット160、印刷ユニット10及び排紙ユニット110が積み重ねられてプリンタ装置100が構成されている状態では、印刷ユニット10及び給紙ユニット160にそれぞれ設けられたガイド突起は、上段側に隣接する印刷ユニット10又は排紙ユニット110のガイド受部に嵌挿される。これにより、給紙ユニット160、印刷ユニット10及び排紙ユニット110は、幅方向及び奥行方向に沿って互いに一致するように位置決めされると共に、各ユニット10,110,160間での移動が拘束されて一体化される。
なお、プリンタ装置100を構成する印刷ユニット10及び給紙ユニット160は、それぞれ制御部180及び制御部182を備えている。プリンタ装置100では、各印刷ユニット10の制御部180の間は相互にデータ通信が可能になるように電気的に接続される。また給紙ユニット160の制御部182は、少なくとも1台の印刷ユニット10における制御部180に電気的に接続される。
印刷ユニット10及び給紙ユニット160の制御部180,182間を電気的に接続するためには、例えば、各印刷ユニット10及び給紙ユニット160にそれぞれケーブル及びソケットを設けて、ケーブル先端に配置されたプラグを他の印刷ユニット10又は給紙ユニット160のソケットに差し込むことにより電気的に接続しても良く、またガイド突起及びガイド受部の少なくと1個ずつをそれぞれ互いに適合するプラグ及びソケットとして構成し、給紙ユニット160及び印刷ユニット10を所定の順番で積み重ね、プラグとしてのガイド突起をソケットとしてのガイド受部に差し込むことにより制御部180,182間を電気的に接続しても良い。
図1に示されるように、プリンタ装置100では、3台の印刷ユニット10の給紙ガイド路86が互いに接続されると共に、最下段の印刷ユニット10の給紙ガイド路86に給紙ユニット160の送出ガイド路170が接続されて1本の給紙経路188が構成され、また3台の印刷ユニット10の排紙ガイド路98が互いに接続されると共に、最上段の印刷ユニット10の排紙ガイド路98に排紙ユニット110の受入ガイド路130が接続されて1本の排紙経路186が構成されている。
本実施形態に係るプリンタ装置100は、以上説明したように、1台の給紙ユニット160上に、複数台(本実施形態では、3台)の印刷ユニット10と、1台の排紙ユニット110とが積み重ねられて構成されている。これにより、プリンタ装置100を構成する印刷ユニット10及び排紙ユニット110は、図2に示されるように、上段側の印刷ユニット10又は排紙ユニット110を上方へ持ち上げるだけで、簡単に下段側の印刷ユニット10又は給紙ユニット160から分離できる。従って、プリンタ装置100では、印刷ユニット10又は排紙ユニット110を下段側の印刷ユニット10又は給紙ユニット160から分離した状態とすれば、装置を構成する印刷ユニット10を簡単に3台以上にも増設でき、あるいは装置を構成する印刷ユニット10を1台まで減少できる。この結果、プリンタ装置100では、装置を構成する印刷ユニット10の台数を簡単に増減でき、印刷ユニット10の台数を増減することにより、装置全体としての印刷速度を含む印刷能力を広い範囲で調整できるようになる。
次に、上記のように構成された本実施形態に係るプリンタ装置100による記録紙Pに対する記録動作について説明する。
なお、プリンタ装置100では、印刷ユニット10の制御部180がパーソナルコンピュータ、サーバ等の外部の情報処理装置(図示省略)と接続されており、この情報処理装置からプリント命令及び画像情報を含む印刷ジョブが入力すると、この印刷ジョブに従って少なくとも1台の印刷ユニット10が記録紙Pに対する画像の記録動作を開始する。
ここで、複数台の印刷ユニット10における制御部180を並列的に情報報処理装置に接続しても良く、また複数の制御部180の何れか1個をメインの制御部180として構成し、このメインの制御部180のみを情報処理装置に接続し、このメインの制御部180を通して他の印刷ユニット10の制御部180等へ各種情報を出力するようにしても良い。またメインの制御部180については、他の制御部180とは情報の処理速度、記憶容量等の性能及び機能が異なるものとしても良い。
なお、本実施形態のプリンタ装置100では、印字命令及び画像情報を含む印刷ジョブが時間を空けて複数回に亘って入力すると、2台の印刷ユニット10による記録紙Pに対する記録回数が可能なかぎり平準化するように、各印刷ユニット10を所定の順番で巡回的に作動させる。またプリンタ装置100では、複数の印刷ジョブが一時期に入力した場合等には、可能な限り複数台の印刷ユニット10を同時に作動させ、複数台の印刷ユニット10により複数枚の記録紙Pに並列的に画像を形成させる。このとき、複数台の印刷ユニット10により記録紙Pに記録する画像は、印刷ユニット10毎に異なったものでも、同一のものでも良い。
プリンタ装置100では、情報処理装置からの印刷ジョブが入力すると、少なくとも1台の印刷ユニット10が作動して記録紙Pに対する画像形成を開始する。このとき、作動状態となる印刷ユニット10の印字部34へは、給紙ユニット160から記録紙Pを供給する場合と、印刷ユニット10の給排紙ホッパ20から記録紙Pを供給する場合とがあるが、先ず、給排紙ホッパ20から印字部34へ記録紙Pを供給する場合について説明する。
作動状態となる印刷ユニット10では、印刷ジョブの入力に同期して、先ず、分離給紙ローラ26が回転すると共に、第1ガイドレバー90が給紙位置に回動する。これにより、分離給紙ローラ26により給紙ホッパ20内に収納された紙束Bから1枚の記録紙Pが分離され、この記録紙Pは、分離給紙ローラ26からの搬送力により第1接続ガイド路28、給紙ガイド路86及び第1分岐ガイド路88を通って印字部34のニップローラ対40へ搬送される。ニップローラ対40は、記録紙Pを挟持しつつ所定の回転速度で回転して、記録紙Pを印字部34におけるインクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間に送り込む。この記録紙Pは、ニップローラ対40によりインクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間を所定の副走査速度で搬送される。
インクジェットヘッド38は、記録紙Pの副走査方向への移動に連動し、主走査方向へ移動しつつ複数のノズルから画像情報に基づいて選択的にインクを噴射又は噴射停止し、記録紙P上にインク液滴を噴射してインクにより画像を形成する。この記録紙Pは、その先端側の部分がインクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間から抜け出ると、搬出ローラ対42により挟持され、搬出ローラ対42により排紙バッファ52のべルトコンベア上へ送り出される。このとき、べルトコンベア54は、記録紙Pの先端部が搬送ベルト56に達するまでには作動開始しており、記録紙Pの先端部は、副走査速度と略等しい速度で循環移動する搬送ベルト56上に載置される。搬送ベルト56上に載置された記録紙Pは、搬送ベルト56と一体となってベルト搬出方向へ移動し、インクジェットヘッド38による画像記録の完了後に搬出ローラ対42から離脱する。
印刷ユニット10の制御部180には、記録紙Pの種類、記録紙Pに画像を形成したインクの種類、記録紙Pに形成された画像濃度(デューティ)の高低等に応じて決まるインク乾燥のために必要な時間(保持時間)が設定されており、制御部180は、記録紙Pが画像記録の完了した時点からゲートローラ対78に給紙されるまでの時間が必ず保持時間以上となるようにべルトコンベア54を制御する。
具体的には、べルトコンベア54を停止することなく所定の搬送速度で記録紙Pを搬送したならば、画像記録の完了から記録紙Pがゲートローラ対78に達するまでの時間が保持時間よりも短くなる場合には、記録紙Pがゲートローラ対78に達する前に、べルトコンベア54を一旦停止させて記録紙Pを搬送ベルト56上に停止した状態に保持し、前記保持時間以上の時間が経過した後、べルトコンベア54を再起動して記録紙Pをゲートローラ対78に給紙する。これにより、ゲートローラ対78との接触により記録紙Pにインクの滲みが発生することが防止されると共に、ゲートローラ対78を介して先行する記録紙Pから後続する記録紙Pへのインク転写も防止される。なお、画像記録の完了から記録紙Pがゲートローラ対78に達するまでの時間が保持時間よりも短くなる場合に、べルトコンベア54を一旦停止させることなく、べルトコンベア54による記録紙Pの搬送速度を低下させることにより、前記保持時間を確保するようにしても良い。
ゲートローラ対78は、べルトコンベア54から給紙された記録紙Pを、第2接続ガイド路80を通して排紙ガイド路98内へ送り出し、記録紙Pの先端側を排紙ガイド路98に沿って上方へ搬送する。この記録紙Pは、各印刷ユニット10における搬送ローラ対99より排紙ユニット110の受入ガイド路130内へ送り出され、排紙ローラ対136へ達する。排紙ローラ対136は、排紙口126を通して記録紙Pを排紙トレイ部118へ排出する。これにより、記録紙Pは、排紙トレイ部118の載置面120上に載置されると共に、位置決め面122により所定の集積位置へ位置決めされる。
次に、給紙ユニット160から印刷ユニット10の印字部34へ記録紙Pを供給する場合について説明する。
印刷ユニット10の制御部180は、情報処理装置からの印刷ジョブの内容、給紙ホッパ20内の記録紙Pの残量、種類等に応じて、給紙ユニット160からの記録紙Pの給紙が必要と判断し、かつ給紙ユニット160から給紙が可能と判断した場合に、給紙ユニット160の制御部182へ給紙信号を出力する。
給紙信号を受けた給紙ユニット160の制御部182は、給紙ユニット160のメイン給紙ホッパ172から給紙対象となる印刷ユニット10の印字部34へ記録紙Pを供給開始する。このとき、制御部182は、先ず、給紙対象となる一の印刷ユニット10における第1ガイドレバー90を給紙位置へ回動させると共に、一の印刷ユニット10よりも下段側の印刷ユニット10における第1ガイドレバー90及び第2ガイドレバー94をそれぞれ搬送位置に回動させる。なお、給紙ユニット160の制御部182は、各印刷ユニット10の制御部180を通して各印刷ユニット10を制御可能とされている。
次いで、制御部182は、給紙経路188を構成する給紙ガイド路86及び送出ガイド路170にそれぞれ配置された搬送ローラ対87及び送出ローラ対176をそれぞれ所定の搬送方向へ回転開始させると共に、給紙ユニット160における分離給紙ローラ168を所定量回転させる。これにより、メイン給紙ホッパ172の積載トレイ164上に積載された紙束Bから1枚の記録紙Pが分離され、送出ガイド路170内へ送り込まれる。この記録紙Pは、送出ガイド路170を通って印刷ユニット10の給紙ガイド路86へ送り込まれ、給紙ガイド路86に沿って搬送ローラ対87により給紙対象となる印刷ユニット10まで搬送される。この記録紙Pは、その先端部が給紙対象となる印刷ユニット10の第1ガイドレバー90まで搬送されると、第1ガイドレバー90により給紙ガイド路86内から分岐ガイド路88内へ案内される。
ガイドレバー90により分岐ガイド路88内へ案内された記録紙Pは、搬送ローラ対87からの搬送力により分岐ガイド路88を通って印字部34のニップローラ対40へ達する。これにより、この記録紙Pは、給紙ホッパ20から送られてきた記録紙Pと同様に、印字部34のインクジェットヘッド38により画像が記録された後、搬出ローラ対42により排紙バッファ52へ送り出され、給紙ホッパ20から給紙された記録紙Pと同様に、排紙バッファ52のべルトコンベア54によりゲートローラ対78へ給紙され、ゲートローラ対78により第2接続ガイド路80を通して排紙経路188へ送り出され、排紙経路188から排紙トレイ部118へ排出される。
(プリンタ装置の作用)
次に、以上説明した本発明の第1の実施形態に係るプリンタ装置100の作用について説明する。
本実施形態に係るプリンタ装置100では、排紙バッファ52に印字部34の搬出ローラ対42により送り出された記録紙Pが載置され、この記録紙Pをゲートローラ対78側へ搬送しつつ保持するべルトコンベア54を設けたことにより、印字部34により画像が記録された記録紙Pを搬出ローラ対42により排紙バッファ52へ送り出す際には、この記録紙Pが一部でもべルトコンベア54上に載置されると、記録紙Pを搬出ローラ対42によってべルトコンベア54側へ送り出すと同時に、べルトコンベア54により引張り方向の力を作用させてゲートローラ対78側へ搬送できるので、記録紙Pの紙質、重量、厚さ等が変化するような場合や、記録紙Pの搬送ベルト56との摩擦係数が大きい場合でも、搬送抵抗を殆ど受けることなく、記録紙Pを搬出ローラ対42により円滑にべルトコンベア54上に送り出し、この記録紙Pをべルトコンベア54によりゲートローラ対78まで確実に搬送できる。
この結果、搬出ローラ対42により印字部34から排紙バッファ52へ送り出される記録紙Pに搬送抵抗等の影響により皺等の損傷が生じたり、ゲートローラ対78により記録紙Pをべルトコンベア54上から排紙経路188内へ搬出できなくなることを防止できるので、記録紙Pを印字部34から排紙バッファ52へ送り出し、この記録紙Pを排紙バッファ52から排紙経路188内へ搬出する際の搬出動作の信頼性を向上できる。
またプリンタ装置100では、複数台の印刷ユニット10が高さ方向に沿って重ね合わせられて接続されることにより、各印刷ユニット10に設けられた複数の印字部34により複数枚の記録紙Pに対して並列的に画像が記録可能になることにより、複数台の印刷ユニット10を重ね合わせ、又は重ね合わされた複数台の印刷ユニット10から1台以上の印刷ユニットを分離するだけで、装置を構成する印刷ユニット10の台数を簡単に増減し、印字部34の設置数を増減できるので、印刷速度を含む印刷能力を広い範囲で簡単に調整できるようになる。
[第2の実施形態]
(印刷ユニットの構成)
図5には本発明の第2の実施形態に係るプリンタ装置の構成が示され、図6には本発明の第2の実施形態に係るプリンタ装置に適用される印刷ユニットの構成が示されている。なお、第2の実施形態に係るプリンタ装置200では、第1の実施形態に係るプリンタ装置100と共通な部分について同一符合を付して説明を省略する。
第2の実施形態に係る印刷ユニット202が、第1の実施形態に係る印刷ユニット10と異なる点は、排紙バッファ204に2台のべルトコンベア54が設けられると共に、印字部34の搬出ローラ対42と排紙バッファ204との間に記録紙Pを2台のべルトコンベア54の何れかに選択的に案内するためのガイド機構206が設けられている点である。
図6に示されるように、ガイド機構206には、搬出ローラ対42と排紙バッファ204との間に延在するように支持された平板状のガイドプレート208が設けられている。ガイドプレート208には、搬出ローラ対42側の基端部に奥行方向を軸方向とする支軸部210が設けられており、この支軸部210を中心としてケーシング12により揺動可能に支持されている。またガイド機構206には、支軸部210を介してガイドプレート208に連結されたロータリアクチュエータ(図示省略)が設けられており、このロータリアクチュエータは、制御部180からの制御に従ってガイドプレート208を2箇所のガイド位置SU(図6の2点鎖線で示す位置)及びガイド位置SL(図6の実線で示す位置)の何れかへ揺動させ、保持する。
排紙バッファ204には、高さ方向(矢印H方向)に沿って2台のべルトコンベア54が配置されている。2台のべルトコンベア54は、それぞれ搬送ベルト56が幅方向(矢印W方向)と平行に延在するように配置されており、上段のべルトコンベア54(これを特に区別する必要がある場合には、「べルトコンベア54U」という。)は、搬出ローラ対42のニップ部に対して斜め上方に支持され、また下段のべルトコンベア54(これを特に区別する必要がある場合には、「べルトコンベア54L」という。)は、搬出ローラ対42のニップ部に対して斜め下方に支持されている。
また印刷ユニット202には、べルトコンベア54U,54Lの下流側にそれぞれゲートローラ対78が配置されると共に、これら2個のゲートローラ対78のニップ部付近からケーシング12の後端側へ延出し、その先端部が排紙ガイド路98に接続されたスリット状の第2接続ガイド路80が設けられている。
印刷ユニット202では、ガイド機構206のガイドプレート208がガイド位置SUに保持されていると、搬出ローラ対42から送り出されてくる記録紙Pがガイドプレート208の上面部を摺動しつつ排紙バッファ204へ移動することにより、図6の2点鎖線で示されるように、記録紙Pがべルトコンベア54U上へ案内される。また印刷ユニット202では、ガイド機構206のガイドプレート208がガイド位置SLに保持されていると、搬出ローラ対42から送り出されてくる記録紙Pがガイドプレート208の上面部を摺動しつつ排紙バッファ204へ移動することにより、図6の実線で示されるように、記録紙Pがべルトコンベア54L上へ案内される
(プリンタ装置の構成)
図5に示されるように、本発明の第2の実施形態に係るプリンタ装置200は、高さ方向に沿って下側から順に、1台の給紙ユニット160、3台の印刷ユニット202及び1台の排紙ユニット110が積み重ねられて構成されている。
本実施形態に係る印刷ユニット202のケーシング12にも、第1の実施形態に係る印刷ユニット10と同様に、その頂板部14に上方へ突出するガイド突起(図示省略)が設けられると共に、底板部13にガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられている。これにより、給紙ユニット160、印刷ユニット202及び排紙ユニット110が積み重ねられてプリンタ装置200が構成されている状態では、印刷ユニット202及び給紙ユニット160にそれぞれ設けられたガイド突起は、上段側に隣接する印刷ユニット202又は排紙ユニット110のガイド受部に嵌挿される。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る印刷ユニット202における記録紙Pに対する画像の記録動作、排紙バッファ204前後における記録紙Pの排紙動作等にについて説明する。
本実施形態のプリンタ装置200でも、各印刷ユニット202の印字部34に対して記録紙Pを給紙し、この記録紙Pに画像を記録するまでは、第1の実施形態に係るプリンタ装置100と同様の工程を経て行われる。各印刷ユニット202では、記録紙Pに対する画像の記録完了後に、この記録紙Pを排紙バッファ204でインク乾燥のために停止状態とする必要がない場合には、ガイド機構206のガイドプレート208をガイド位置SUに保持することにより、搬出ローラ対42により記録紙Pを上段のべルトコンベア54U上へ送り出す。このとき、べルトコンベア54Uは搬送ベルト56を停止させることなく、搬送ベルト56により記録紙Pをゲートローラ対78へ給紙する。これにより、記録紙Pは、ゲートローラ対78により第2接続ガイド路80を通して排紙経路188へ送り出され、排紙経路188を通って排紙トレイ部118へ排紙される。
一方、各印刷ユニット202では、記録紙Pに対する画像の記録完了後に、この記録紙Pをインク乾燥のために排紙バッファ204で停止状態とする必要がある場合には、印字部34により画像が記録された記録紙Pをガイド機構206により2台のべルトコンベア54U,54L上へ交互に案内する。すなわち、例えば、べルトコンベア54U上には、奇数頁の記録紙P(原稿)を順次載置し、これら奇数頁の記録紙Pをべルトコンベア54Uによりゲートローラ対78へ搬送し、またべルトコンベア54L上には、偶数頁の記録紙Pを順次載置し、これら偶数頁の記録紙Pをべルトコンベア54Lによりゲートローラ対78へ搬送する。
図7を参照してプリンタ装置202により〔表1]に示される条件(ケース1)で3枚の記録紙Pに連続的に画像を記録した場合の動作例について説明する。この動作例では、印刷ユニット202により2頁目の記録紙Pに1頁目及び3頁目の記録紙Pよりも高デューティの画像を記録する。
ここで、高デューティとは、例えば、画像濃度が濃いため低デューティの画像よりも長い乾燥時間を必要とすることを言い、本動作例では、低デューティの画像が記録されて記録紙Pについては、べルトコンベア54上で停止させる必要がないが、高デューティの画像が記録されている記録紙Pについては、べルトコンベア54を一旦停止させ、記録紙Pをべルトコンベア54上で少なくとも6秒保持する必要がある。
図7(B)に示されるように、プリンタ装置200では、印字部34により1頁目の記録紙Pに画像を記録しつつ、この記録紙Pをガイド機構206によりべルトコンベア54Lへ送り出し、べルトコンベア54Lにより一定速度でゲートローラ対78へ搬送する(期間(I))。このとき、ゲートローラ対78は、記録紙P全体をべルトコンベア54L上から排紙経路188内へ送り出すまでに1秒要する。
プリンタ装置200では、印字部34による1頁目の画像の記録完了後、直ちに印字部34により2頁目の記録紙Pに画像を記録開始すると共に、この記録紙Pをガイド機構206によりべルトコンベア54Lへ送り出す(期間(II))。2頁目の記録紙Pは高デューティであることから、制御部180は、記録紙Pがべルトコンベア54Lよりゲートローラ対78の直前まで搬送されると、べルトコンベア54Lを一旦停止させ、所定の停止時間に亘って停止状態とした後、記録紙Pの搬送を再開させる。このとき、べルトコンベア54Lの停止時間は、記録紙Pのべルトコンベア54L上での保持時間が6秒間になるように設定される。
プリンタ装置200では、印字部34による2頁目の画像の記録完了後、直ちに印字部34により3頁目の記録紙Pに画像を記録開始すると共に、この記録紙Pをガイド機構206によりべルトコンベア54Uへ送り出す(期間(III))。この時、下段のべルトコンベア54L上には2頁目の記録紙Pが載置されているが、記録紙Pを上段のべルトコンベア54Uへ送り出すことにより、印字部34による記録紙Pに対する記録動作を中断する必要がない。べルトコンベア54Uへ送り出された3頁目の記録紙Pは低デューティであるが、2頁目の記録紙Pがべルトコンベア54Lから排紙経路188内へ搬出されていないので、制御部180は、記録紙Pがべルトコンベア54Lよりゲートローラ対78の直前まで搬送されると、2頁目の記録紙Pが排紙経路188内へ搬出完了するまでの間(3秒間)、べルトコンベア54Lを停止させた後、記録紙Pの搬送を再開させる。
なお、図7(B)にて、期間(IV)は2頁目の記録紙P及び3頁目の記録紙Pが排紙バッファ204(べルトコンベア54U,56L)により保持されている期間、期間(V)は3頁目の記録紙Pのみが排紙バッファ204(べルトコンベア54U)により保持されている期間であり、期間(VI)は3頁目の記録紙Pがゲートローラ対78により排紙経路188へ搬出完了した以後の期間である。
図7(B)から明らかなように、(ケース1)の場合には、2頁目の記録紙P及び3頁目の記録紙Pが排紙バッファ204(べルトコンベア54U,54L)が保持されている時間と2頁目の記録紙Pの排紙経路188へ搬出時間との和(重複時間)は3秒となっている。すなわち、これは、第1の実施形態に係る印刷ユニット10のように、排紙バッファ204に1台のべルトコンベア54のみが設けられている場合には、2台のべルトコンベア54が設けられている場合と比較し、1〜3頁目の記録紙Pにそれぞれ画像を記録するための処理時間が3秒間遅延することを意味する。
また、〔表2]には、(ケース1)の場合において、2頁目の記録紙Pのべルトコンベア54U上での停止時間を0秒〜10秒まで段階的に変化させた場合と、1〜3頁目の記録紙Pを1台のべルトコンベア54のみが設けられた排紙バッファ(第1の実施形態)へ送り出した場合との処理時間と、それらの時間差が示されている。
〔表2]に示されるように、2頁目の記録紙Pに対する停止時間が常に4秒以上であれば、停止時間に影響されることなく、処理時間の差は常に一定(3秒)となり増加しなくなる。しかし、このケース1では、2頁目の記録紙Pの(停止時間)と(排紙時間)との和が所定の時間TS(ケース1では、TS=8秒)を越える場合には、べルトコンベア54が2台であっても、3頁目の記録紙Pに対する印字部34による画像記録を一時中断する必要がある。このような場合でも、排紙バッファ204に設けるべルトコンベア54を3台に増設すれば、3頁目の記録紙Pに対する印字部34による画像記録を中断する必要がなくなり、べルトコンベア54が1台しかない場合との処理時間差を更に拡大できる。ここで、時間TSは、(印字時間)×(べルトコンベアの台数)により算出される。
次に、図8を参照してプリンタ装置200により〔表3]に示される条件(ケース2)で4枚の記録紙Pに連続的に画像を記録した場合の動作例について説明する。この動作例では、印刷ユニット202により2頁目及び3頁目の記録紙Pに1頁目及び4頁目の記録紙Pよりも高デューティの画像を記録する。
図8(B)に示されるように、プリンタ装置200では、印字部34により1頁目の記録紙Pに画像を記録しつつ、この記録紙Pをガイド機構206によりべルトコンベア54Lへ送り出し、べルトコンベア54により一定速度でゲートローラ対78へ搬送する(期間(I))。このとき、ゲートローラ対78は、記録紙P全体をべルトコンベア54上から排紙経路188内へ送り出すまでに1秒要する。
プリンタ装置200では、印字部34による1頁目の画像の記録完了後、直ちに印字部34により2頁目の記録紙Pに画像を記録開始すると共に、この記録紙Pをガイド機構206によりべルトコンベア54Lへ送り出す(期間(II))。2頁目の記録紙Pは高デューティであることから、制御部180は、記録紙Pがべルトコンベア54Lよりゲートローラ対78の直前まで搬送されると、べルトコンベア54Lを一旦停止させ、所定の停止時間に亘って停止状態とした後、記録紙Pの搬送を再開させる。このとき、べルトコンベア54Lの停止時間は、記録紙Pのべルトコンベア54L上での保持時間が6秒間になるように設定される。
プリンタ装置200では、印字部34による2頁目の画像の記録完了後、直ちに印字部34により3頁目の記録紙Pに画像を記録開始すると共に、この記録紙Pをガイド機構206によりべルトコンベア54Uへ送り出す(期間(III))。この時、下段のべルトコンベア54L上には2頁目の記録紙Pが載置されているが、記録紙Pを上段のべルトコンベア54Uへ送り出すことにより、印字部34による記録紙Pに対する記録動作を中断する必要がない。べルトコンベア54Uへ送り出された3頁目の記録紙Pは高デューティであることから、制御部180は、記録紙Pがべルトコンベア54Uよりゲートローラ対78の直前まで搬送されると、べルトコンベア54Uを一旦停止させ、所定の停止時間に亘って停止状態とした後、記録紙Pの搬送を再開させる。このとき、べルトコンベア54Uの停止時間は、記録紙Pのべルトコンベア54U上での保持時間が6秒間になるように設定される。
プリンタ装置200では、印字部34による3頁目の画像の記録完了後、直ちに印字部34により4頁目の記録紙Pに画像を記録開始すると共に、この記録紙Pをガイド機構206によりべルトコンベア54Lへ送り出す(期間(IV))。この時、下段のべルトコンベア54L上からは2頁目の記録紙Pが搬出完了していることから印字部34による4頁目の記録紙Pに対する記録動作を中断する必要がない。べルトコンベア54Lへ送り出された4頁目の記録紙Pは低デューティであるが、3頁目の記録紙Pがべルトコンベア54Uから排紙経路188内へ搬出されていないので、制御部180は、記録紙Pがべルトコンベア54Lよりゲートローラ対78の直前まで搬送されると、3頁目の記録紙Pが排紙経路188内へ搬出完了するまでの間(3秒間)、べルトコンベア54Lを停止させた後、記録紙Pの搬送を再開させる。
なお、図8(B)にて、期間(V)は3頁目の記録紙P及び4頁目の記録紙Pが排紙バッファ204(べルトコンベア54U,54L)により保持されている期間、期間(VI)は4頁目の記録紙Pのみが排紙バッファ204(べルトコンベア54L)により保持されている期間であり、期間(VII)は4頁目の記録紙Pがゲートローラ対78により排紙経路188へ搬出完了した以後の期間である。
図8(B)から明らかなように、(ケース2)の場合には、排紙バッファ204における2頁目の記録紙Pと3頁目の記録紙Pとの重複時間が3秒、3頁目の記録紙Pと4頁目の記録紙Pとの重複時間が4秒となっている。すなわち、これは、第1の実施形態に係る印刷ユニット10のように、排紙バッファ204に1台のべルトコンベア54のみが設けられている場合には、2台のべルトコンベア54が設けられている場合と比較し、1〜4頁目の記録紙Pにそれぞれ画像を記録するための処理時間が7秒間遅延することを意味する。
また、〔表4]には、(ケース1)の場合において、2頁目及び3頁目の記録紙Pのべルトコンベア54U,54L上での停止時間を0秒〜10秒まで段階的に変化させた場合と、1〜4頁目の記録紙Pを1台のべルトコンベア54のみを有する排紙バッファ(第1の実施形態)へ送り出した場合との処理時間と、それらの時間差が示されている。
〔表4]に示されるように、この場合も(ケース1)と同様に、2頁目及び3頁目の記録紙Pに対する停止時間が4秒以上であれば、停止時間に影響されることなく、処理時間差は常に一定(7秒)となり増加しなくなる。しかし、このケース2でも、ケース1の場合と同様に、2頁目の記録紙Pの(停止時間)と(排紙時間)との和が所定の時間TS(ケース2でも、TS=8秒)を越える場合には、べルトコンベア54が2台であっても、3頁目の記録紙Pに対する印字部34による画像記録を一時中断する必要がある。このような場合でも、排紙バッファ204に設けるべルトコンベア54を3台に増設すれば、3頁目の記録紙Pに対する印字部34による画像記録を中断する必要がなくなり、べルトコンベア54が1台しかない場合との処理時間差を更に拡大できる。ここでも、時間TSは、(印字時間)×(べルトコンベアの台数)により算出される。すなわち、記録紙Pの停止時間及び排紙時間の最長値に応じて、この最長値を越えるように時間TSを適宜設定すれば、すなわち、べルトコンベア54の台数を適宜設定すれば、記録紙Pに対する印字部34による画像記録を中断する必要がなくなる。
(プリンタ装置の作用)
次に、以上説明した本発明の第2の実施形態に係るプリンタ装置200の作用について説明する。
本実施形態に係るプリンタ装置200では、排紙バッファ204に設けられた複数台のべルトコンベア54が、搬出ローラ対42によりべルトコンベア54上に載置された記録紙Pをゲートローラ対78の手前で一旦搬送停止させ、この記録紙Pを停止状態で保持可能とされたことにより、ゲートローラ対78によりべルトコンベア54上に載置された記録紙Pを、ゲートローラ対78によりべルトコンベア54から排紙経路188内へ搬出する前に、任意の時間(停止時間)に亘ってべルトコンベア54上に停止した状態で保持できるので、例えば、記録紙Pを一定の搬送速度でべルトコンベア54により搬送したならば、べルトコンベア54上での保持時間が記録紙Pに画像を形成したインクの乾燥時間よりも短くなるような場合でも、記録紙Pを十分な時間に亘ってべルトコンベア54上に保持してインク乾燥を完全に行える。
この結果、本実施形態に係るプリンタ装置200によれば、第1の実施形態に係るプリンタ装置100と共通の効果を実現できると共に、インク乾燥が不完全のまま記録紙Pがゲートローラ対78と接して、記録画像に滲みが生じたり、ゲートローラ対78を介してインクが後続する他の記録紙Pへ転写することを防止できる。
また、本実施形態に係るプリンタ装置200では、排紙バッファ204に、べルトコンベア54を複数設けると共に、搬出ローラ対42により印字部から送り出される記録紙Pを、複数台のべルトコンベア54の何れかに選択的に案内するガイド機構206を設けたことにより、印字部34により画像が記録された記録紙Pを搬出ローラ対42により排紙バッファ204へ送り出す際には、この記録紙Pをガイド機構206により排紙バッファ204における複数のべルトコンベア54から選択された一のべルトコンベア54へ案内し、この一のべルトコンベア54により保持させることができる。
従って、排紙バッファ204に印字部34による画像の記録速度及びべルトコンベア54における記録紙Pの所要の保持時間に対応する個数のべルトコンベア54を設けておけば、印字部34により先行して画像が記録された記録紙Pが一のべルトコンベア54により保持されており、この記録紙Pが一のべルトコンベア54上で所要の保持時間が経過していない時でも、印字部34により後続する記録紙Pに対する画像記録を行い、この記録紙Pについても排紙バッファ204における他のべルトコンベア54により保持させ、この他のべルトコンベア54により十分な時間に亘って保持できる。
また本実施形態に係るプリンタ装置200では、印字部34を複数設け、この複数の印字部34により複数枚の記録紙Pに対して並列的に画像を記録可能とすると共に、排紙バッファ204を、それぞれ複数の印字部34に1対1で対応するように複数設けたことにより、複数の印字部34により複数枚の記録紙Pに対して並列的に画像を記録する場合に、一の印字部34により画像が記録された先行する記録紙Pを、その一の印字部34に対応する排紙バッファ204における一のべルトコンベア54により保持させれば、他の印字部34により記録紙Pに画像記録が行われている時でも、一の印字部34により画像が記録される後続する記録紙Pについては、その一の印字部34に対応する排紙バッファ204における他のべルトコンベア54により保持させることができる。
この結果、例えば、各印字部34により記録媒体に画像を記録する際に必要となる時間(記録時間)に大きな隔たりがあり、かつ複数枚の記録紙Pを排紙トレイ部118上で頁順に揃える必要がある場合でも、各排紙バッファ204に、複数の印字部34間における記録紙Pに対する画像の記録時間の隔たり(偏差)及び印字部34の設置数に対応する個数のべルトコンベア54を設けておけば、他の印字部34による画像記録の完了後まで遅らせることなく、すなわち、一の印字部34による画像記録を中断することなく、一の印字部34により後続する記録紙Pに対する画像記録を開始できるようになる。
(印刷ユニットの変形例)
図9には、本発明の第2の実施形態に係るプリンタ装置に適用される印刷ユニットの変形例が示されている。
図9に示される印刷ユニット220が、図6に示される印刷ユニット202と異なる点は、記録紙Pを2台のべルトコンベア54U,54Lの何れかに選択的に案内するためのガイド機構206が省略され、このガイド機構206の代わりに、排紙バッファ224に2台のべルトコンベア54U,54Lを高さ方向に沿って一体的に昇降させるコンベア昇降機構222が設けられている点である。このコンベア昇降機構222は、制御部180からの制御に従って、2台のべルトコンベア54U,54Lを図9(A)に示される上受入位置及び図9(B)に示される下受入位置の何れかに移動させ、保持する。
ここで、コンベア昇降機構222により2台のべルトコンベア54U,54Lが上受入位置に保持されると、図9(A)に示されるように、下段のべルトコンベア54Lが搬出ローラ対42により印字部34から送り出される記録紙Pを受け入れる受入位置に保持されると共に、上段のべルトコンベア54Uが搬出ローラ対42により印字部34から送り出される記録紙Pから離間する待機位置に保持される。これにより、搬出ローラ対42により印字部34から送り出される記録紙Pは、下段のべルトコンベア54Lの搬送ベルト56上に載置され、このべルトコンベア54Lによりゲートローラ対78側へ搬送される。また上受入位置では、下段のべルトコンベア54により搬送される記録紙Pが上段のゲートローラ対78へ給紙され、この記録紙Pが上段のゲートローラ対78により第2接続ガイド路80を通して排紙経路188へ送り出される。
また、コンベア昇降機構222により2台のべルトコンベア54U,54Lが下受入位置に保持されると、図9(A)に示されるように、上段のべルトコンベア54Uが搬出ローラ対42により印字部34から送り出される記録紙Pを受け入れる受入位置に保持されると共に、下段のべルトコンベア54Lが搬出ローラ対42により印字部34から送り出される記録紙Pから離間する待機位置に保持される。これにより、搬出ローラ対42により印字部34から送り出される記録紙Pは、上段のべルトコンベア54Uの搬送ベルト56上に載置され、このべルトコンベア54Uによりゲートローラ対78側へ搬送される。また下受入位置では、上段のべルトコンベア54Uにより搬送される記録紙Pが上段のゲートローラ対78へ給紙され、この記録紙Pが上段のゲートローラ対78により第2接続ガイド路80を通して排紙経路188へ送り出され、さらに下段のべルトコンベア54L上に記録紙Pが既に載置(保持)されている場合には、この記録紙Pを下段のべルトコンベア54Lにより下段のゲートローラ対78へ給紙することにより、この記録紙Pも下段のゲートローラ対78により第2接続ガイド路80を通して排紙経路188へ送り出すことができる。
以上説明した、変形例に係る印刷ユニット220をプリンタ装置200へ適用した場合も、図6に示される印刷ユニットをプリンタ装置200へ適用した場合と基本的に共通の作用及び効果を得られると共に、この共通の作用及び効果に加え、プレート状の排紙スタッカ上を滑らせて記録紙Pを案内する場合と比較し、搬出ローラ対42により送り出される記録紙Pには排紙スタッカとの摩擦が作用しなくなり、かつ排紙スタッカに沿って記録紙Pが湾曲することもなくなるので、記録紙Pを一方のべルトコンベア54U,54L上へ案内する際に、記録紙Pの搬送抵抗を減少し、記録紙Pを更に円滑にべルトコンベア54U,54L上へ送り出すことができるようになる。
なお、以上説明した本発明の第1及び第2の実施形態に係るプリンタ装置100,200における排紙バッファ52,204,224には、記録紙Pを搬送しつつ保持する搬送コンベアとしてべルトコンベア54U,54Lを設けたが、このような搬送コンベアは、べルトコンベア54U,54Lに限定されず、搬出ローラ対42から送り出される記録紙Pが載置されると、この記録紙Pに引張り力を作用させつつゲートローラ対78側へ搬送できるのものであれば良く、例えば、円柱状に形成された複数本の搬送ローラが幅方向に沿って一定ピッチで配列され、これらの搬送ローラをそれぞれ回転させて記録紙Pを搬送するローラコンベアや、搬送プレート上に載置された記録紙Pを振動(進行波)によりゲートローラ対78側へ搬送するものでも良い。また排紙バッファ204,224に設置されるベルトコンベア54の台数も2台に限定されるものではなく、印字部34による記録紙Pに対する画像の記録速度、記録紙Pに画像を形成したインクの乾燥時間等に応じて3台以上に増加するようしても良い。
また本実施形態に係るべルトコンベア54では、ゴム製の搬送ベルト56を用いて記録紙Pを搬送していたが、このようなべルトコンベア54を傾斜して配置する必要がある場合には、搬送ベルト56を帯電性材料により形成すると共に、この搬送ベルト56を帯電する帯電器を設け、帯電された搬送ベルト56により記録紙Pを静電吸着しつつ、ゲートローラ対78側へ搬送するようにしても良い。これにより、傾斜したべルトコンベア54上で記録紙Pが摺動して傾いた落下することを効果的に防止できる。
また本実施形態に係る印刷ユニット10,202,220における印字部34では、インクジェットヘッド38を記録紙Pに対する画像記録時に主走査方向へ駆動しつつ、インクジェットヘッド38のノズルからインクを噴射して記録紙Pに画像を形成していたが、印字部34については、駆動式のインクジェットヘッド38以外にも、記録紙Pよりも主走査方向へ広い幅を有するフルサイズの固定式インクジェットヘッドにより記録紙Pを記録するものであっても良い。