以下、本発明の実施形態に係るプリンタ装置について図面を参照して説明する。
(印刷ユニットの構成)
図1及び図2には本発明に第1の実施形態に係るプリンタ装置が示され、図3及び図4には本実施形態に係るプリンタ装置に適用される印刷ユニットが示されている。
図3に示されるように、印刷ユニット10は外殻部としてケーシング12を備えており、このケーシング12は、装置の高さ方向(矢印H方向)に沿って扁平な直方体状に形成されている。ケーシング12には、その底板部13における幅方向(矢印W方向)に沿った一端側(図3では右側、便宜上、この一端側を「先端側」、他端側を「後端側」と呼称する。)にスリット状の給排紙搬入口16が穿設される共に、底板部13における後端側にスリット状の排紙搬入口18が穿設されている。またケーシング12には、その頂板部14における先端側に給排紙搬入口16に正対するようにスリット状の給排紙搬出口17が穿設されると共に、頂板部14における後端側に排紙搬入口18に正対するようにスリット状の排紙搬出口19が穿設されている。
図3に示されるように、ケーシング12内には、底板部13上に上面側が開口した筐体状の給排紙ホッパ20が配置されている。給排紙ホッパ20内には、1枚の記録紙P又は複数枚の記録紙Pが積層された記録紙の束(以下、これを、特に「記録紙P」と区別する必要がある場合には、「紙束B」という。)が収納可能とされている。
また給排紙ホッパ20内には、その底板部21上における先端側に積載板22が配置されており、この積載板22は、後端側の基端部が底板部21に揺動可能に連結されている。これにより、給排紙ホッパ20内に収納された記録紙P(紙束B)は、その先端側の部分が積載板22上に載置される。積載板22は、コイルスプリング等の付勢部材24により揺動端側が上方へ付勢されている。
給排紙ホッパ20は、ケーシング12により奥行方向(図4に示される矢印D方向)に沿って装着位置と補給位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、給排紙ホッパ20は、ケーシング12内の装着位置からケーシング12の側方へ突出する補給位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して給排紙ホッパに対して記録紙Pを補給し、又は取り出すことが可能になる。なお、本実施形態の印刷ユニット10では、装着位置にある給排紙ホッパ20が奥行方向に沿って前方(図4の紙面下方)及び後方(図4の紙面上方)の何れの方向へもスライド可能とされており、給排紙ホッパ20を装着位置から後方及び前方何れの方向へ移動させた場合でも、上面側の開口部が開放される補給位置へ移動可能となっている。
給排紙ホッパ20には、付勢部材24に抗して積載板22を揺動方向に沿って底板部に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ(図示省略)が配置されており、このアクチュエータは、給排紙ホッパ20の装着位置から補給位置への移動に連動して積載板22を下限位置へ移動させ、また給排紙ホッパ20の補給位置から装着位置への復帰に連動して積載板22を下限位置から解放する。またアクチュエータは、後述する印字部34により画像が記録された記録紙Pを受け入れ収納する際にも、積載板22を下限位置へ拘束し、この記録紙Pの収納完了後に積載板22を下限位置から解放する。
図3に示されるように、給排紙ホッパ20は、幅方向における後端部から先端部へ向って下方へ傾くように支持されている。これにより、積載板22が下限位置に拘束された状態で給排紙ホッパ20内へ格納された記録紙Pは、給排紙ホッパ20における底板部及び下限位置に拘束された積載板22に沿って給紙ホッパ内の先端側へ移動し、その先端部が給排紙ホッパ20内における先端側の側板部に突き当たって所定の格納位置に位置決めされる。
印刷ユニット10には、給排紙ホッパ20の先端部の上方に円柱状の分離給紙ローラ26が配置されている。この分離給紙ローラ26は、給排紙ホッパ20内に収納され積載板22により上方へ付勢された記録紙P(紙束B)上面の先端側に圧接する。また印刷ユニット10には、分離給紙ローラ26の記録紙Pとの圧接部付近からケーシング12の先端側へ延出すると共に、斜め上方へ向って湾曲したスリット状の第1接続ガイド路28が設けられている。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、第1接続ガイド路28の上方に印字部34が配置されている。この印字部34には、奥行方向と平行な主走査方向(図4に示される矢印S方向)にそれぞれ延在する2本のガイドロッド36,37が設けられると共に、これらのガイドロッド36,37により主走査方向に沿って移動可能に支持されたブロック状のインクジェットヘッド38が設けられている。また印字部34には、記録紙Pに対する画像記録時にインクジェットヘッド38を所定の主走査速度で往復移動させるヘッド駆動機構(図示省略)が設けられている。
図3に示されるように、印字部34には、副走査方向(図4に示される矢印F方向)に沿ってインクジェットヘッド38の上流側及び下流側にそれぞれニップローラ対40及び搬出ローラ対42が配置されると共に、インクジェットヘッド38の下面に対向するように印字ガイド板44が配置されている。この印字ガイド板44は、インクジェットヘッド38の下面との間にスリット状の隙間を形成している。
ニップローラ対40は、記録紙Pに対する画像記録時に、インクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間に挿入された記録紙Pを、2個の弾性ローラ46,47により加圧状態で挟持しつつ、所定の副走査速度で下流側へ向かって搬送する。ここで、弾性ローラ46,47は、その外周層がゴム等の弾性材料により形成されている。
また搬出ローラ対42は、インクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間から送り出されてきた記録紙Pを挟持し、この記録紙Pを後述するゲート機構54へ向かって送り出す。ここで、搬出ローラ対42には、そのニップ部を介して下側及び上側にそれぞれ軸支される弾性ローラ50及び拍車ローラ52が設けられている。弾性ローラ50は、その外周層がゴム等の弾性材料により形成されている。また拍車ローラ52には、その外周面に軸方向へ延在する山形の突起部が周方向に沿って連続的に形成されると共に、突起部の表面に撥液性を有するコーティング層が成膜されている。これにより、拍車ローラ52の記録紙Pとの接触面積が極めて小さいものになり、記録紙Pから拍車ローラ52へのインク転移が防止されるので、拍車ローラ52との接触により記録紙Pの画像記録面にインクにじみが発生することが防止される。
ここで、インクジェットヘッド38には、その下面部分に主走査方向に沿って記録すべき画像の画素密度に対応するピッチで配列された複数のノズル(図示省略)が設けられており、インクジェットヘッド38は、ヘッド駆動機構により主走査方向へ移動しつつ、デジタル化された画像情報に基づいて各ノズルからインクを噴射及び噴射停止することで、ニップローラ対40により副走査方向へ搬送される記録紙P上に画像情報に対応する画像を形成する。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、副走査方向に沿って印字部34の下流側にゲート機構54が配置されると共に、このゲート機構54の下流側に記録紙Pを一時保持するための排紙バッファ60が配置されている。ゲート機構54には、搬出ローラ対42と排紙バッファ60との間に延在するように支持されたゲート板56が設けられている。ゲート板56は、その先端部を搬出ローラ対42のニップ部へ対向させると共に、後端部に設けられた揺動軸57を中心として実線で示されるバッファ搬出位置と2点鎖線で示されるトレイ搬出位置との間で揺動可能とされている。
またゲート機構54には、揺動軸57を介してゲート板56に連結されたロータリアクチュエータ(図示省略)が設けられており、このロータリアクチュエータは、後述する制御部98から制御によりゲート板56をバッファ搬出位置及びトレイ搬出位置の何れかに揺動させる。またゲート機構54には、ゲート板56の先端部に吊下げられるように取り付けられた拍車ローラ58が設けられている。この拍車ローラ58は、搬出ローラ対42における拍車ローラ52と略同一の構造を有している。
ここで、図3に示されるように、ゲート板56がバッファ搬出位置にある場合には、搬出ローラ対42から送り出されてきた記録紙Pは、ゲート板56の上面部に接しつつ、この上面部に沿って排紙バッファ60へ案内される。またゲート板56がトレイ搬出位置にある場合には、搬出ローラ対42から送り出されてきた記録紙Pは、図6(B)〜(C)に示されるように、拍車ローラ58におけるローラ面の下端付近に接しつつ、このローラ面により給排紙ホッパ20内へ案内され、搬出ローラ対42から離脱すると共に給排紙ホッパ20内へ収納される。
図3に示されるように、排紙バッファ60は、ゲート機構54における揺動軸57からケーシング12の後端側へ延出する平板状のバッファ板62と、このバッファ板62に沿って配設された第1搬送ローラ対64及び第2搬送ローラ対66とを備えている。これらの搬送ローラ対64,66には、印字部34の搬出ローラ対42と同様に、そのニップ部を介して下側及び上側にそれぞれ軸支される弾性ローラ68及び拍車ローラ70が設けられている。弾性ローラ68は、その外周層がゴム等の弾性材料により形成されている。また拍車ローラ70は、その外周面に軸方向へ延在する山形の突起部が周方向に沿って連続的に形成されると共に、突起部の表面に撥液性を有するコーティング層が成膜されている。これにより、印字部34の搬出ローラ対42による記録紙Pの搬送時と同様に、拍車ローラ70との接触により記録紙Pの画像記録面にインクにじみが発生することが防止される。
印刷ユニット10には、排紙バッファ60の下流側に搬出ローラ対71が配置されると共に、この搬出ローラ対71のニップ部付近からケーシング12の後端側へ延出するスリット状の第2接続ガイド路72が設けられている。
排紙バッファ60は、バッファ搬出位置にあるゲート板56上からバッファ板62上に記録紙Pが搬送されてくると、先ず、この記録紙Pを第1搬送ローラ対64により挟持しつつ、バッファ板62の上面部に沿ってケーシング12の後端側へ搬送し、記録紙Pの先端側を第2搬送ローラ対66のニップ部へ送り込む。このとき、排紙バッファ60は、記録紙Pの画像記録面(図3では上面)に画像を形成したインクが十分に乾燥した後に、記録紙Pがバッファ板62上から搬出ローラ対71へ達するように、必要に応じて搬送ローラ対64,66により記録紙Pをバッファ板62上で搬送停止して保持する。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、その先端部に高さ方向に沿って延在する一対の給排紙ガイド板74,76が配置されており、この給排紙ガイド板74,76の間には、印刷ユニット10を高さ方向に沿って貫通して、ケーシング12の給排紙搬入口16と給排紙搬出口17とを繋げたスリット状の給排紙ガイド路78が形成されている。この給排紙ガイド路78には、少なくとも下端部及び上端部にそれぞれ搬送ローラ対80が配置されている。また給排紙ガイド路78の中間部には、第1接続ガイド路28の先端部が接続されており、第1接続ガイド路28から給排紙ガイド路78へ送り込まれてきた記録紙Pは、給排紙ガイド路78に沿って給排紙搬出口17側(上側)へ案内される。
印刷ユニット10には、第1接続ガイド路28の上側で給排紙ガイド路78から印字部34側へ分岐する分岐ガイド路84が設けられている。この分岐ガイド路84は、先端部が印字部34のニップローラ対40に面して開口している。また分岐ガイド路84の先端部には、記録紙Pを印字部34へ供給するための給紙ローラ対86が配置されており、この給紙ローラ対86は、分岐ガイド路84内へ送り込まれてきた記録紙Pを印字部34側へ搬出し、記録紙Pのニップローラ対40へ供給する。
図3に示されるように、印刷ユニット10には、給排紙ガイド路78と分岐ガイド路84との分岐部の上側に楔状のガイドレバー88が配置されている。このガイドレバー88には、基端部に回動中心となる支軸部89が設けられており、この支軸部89は、給排紙ガイド板74の内側に配置された軸受部(図示省略)により軸支されている。ガイドレバー88は、実線で示される搬送位置と2点鎖線で示される給紙位置との間で回動可能とされている。またガイドレバー88の支軸部89には、ロータリアクチュエータ(図示省略)が連結されており、このロータリアクチュエータは、後述する印刷ユニット10の制御部98からの制御によりガイドレバー88を搬送位置及び給紙位置の何れかの位置に回動し、保持する。
ここで、給排紙ガイド路78に沿って下方からガイドレバー88に搬送されてきた記録紙Pは、ガイドレバー88が給紙位置にある場合には、ガイドレバー88により給排紙ガイド路78から分岐ガイド路84内へ案内され、またガイドレバー88が搬送位置にある場合には、給排紙ガイド路78に沿って上方へ案内される。
印刷ユニット10では、給排紙ホッパ20内から印字部34に記録紙Pを供給する際には、ガイドレバー88を給紙位置に保持した後、給排紙ホッパ20内の記録紙P(紙束B)に圧接した分離給紙ローラ26を所定量回転させる。これにより、給排紙ホッパ20内からは1枚の記録紙Pが分離され、第1接続ガイド路28内へ送り込まれる。この記録紙Pは、分離給紙ローラ26からの搬送力により第1接続ガイド路28から給排紙ガイド路78内へ送り込まれ、その先端部がガイドレバー88に達すると、図6(A)に示されるように、ガイドレバー88により分岐ガイド路84内へ案内され、分岐ガイド路84を通って給紙ローラ対86に達し、給紙ローラ対86により印字部34のニップローラ対40へ供給される。
図3に示されるように、印刷ユニット10内には、その後端部に高さ方向へ延在する一対の排紙ガイド板90,92が配置されており、一対の排紙ガイド板90,92は一定の間隔を空けて互いに対向するように支持されている。この一対の排紙ガイド板90,92の間には、1枚の記録紙Pを後述する排紙ユニット110へ案内するための排紙ガイド路94が形成されている。この排紙ガイド路94は、高さ方向に沿って印刷ユニット10を貫通し、ケーシング12に穿設された排紙搬入口18と排紙搬出口19とを繋げている。また排紙ガイド路94には、その上端部及び下端部に記録紙Pを搬送するための搬送ローラ対96が設けられている。
(プリンタ装置の構成)
図1に示されるように、本実施形態に係るプリンタ装置100は、高さ方向に沿って下側から順に、2台の給紙ユニット160、2台の印刷ユニット10及び1台の排紙ユニット110が積み重ねられて構成されている。ここで、排紙ユニット110は、印刷ユニット10により画像が記録された記録紙Pを受け入れて一時保管するためのものであり、また給紙ユニット160は、記録紙P(紙束B)を収納し、この記録紙Pを各印刷ユニット10における印字部34へ供給するためのものである。
排紙ユニット110は、図3に示されるように、外殻部としてケーシング112を備えており、このケーシング112の幅方向及び奥行方向に沿ったサイズは、印刷ユニット10のケーシング12と略一致している。図2に示されるように、ケーシング112には、その下面部における先端部及び後端部にそれぞれスリット状の第1受入口114及び第2受入口116がそれぞれ開口している。第1受入口114及び第2受入口116は、排紙ユニット110の下段側に隣接する印刷ユニット10の排紙搬出口19及び給排紙搬出口17にそれぞれ接続される。
ケーシング112の上面部には、複数枚の記録紙Pが積載可能とされた排紙トレイ部118が設けられている。排紙トレイ部118には、幅方向に沿った中央部に略水平に延在する載置面120が設けられると共に、この載置面120の幅方向両端部からそれぞれ略垂直に立ちあがる位置決め面122,124が設けられている。これらの位置決め面122,124の上端側には、スリット状の第1排紙口126及び第2排紙口128がそれぞれ開口しており、ケーシング112内には、第1排紙口126と第1受入口116とを繋ぐ第1受入ガイド路130と、第2排紙口128と第2受入口114とを繋ぐ第2受入ガイド路132とがそれぞれ設けられている。
排紙ユニット110には、第1受入ガイド路130における第1受入口116側の端部に受入ローラ対134が配置されると共に、第1排紙口126側の端部に排紙ローラ対136が配置されている。また排紙ユニット110には、第2受入ガイド路132における第2受入口114側の端部に受入ローラ対138が配置されると共に、第2排紙口128側の端部に排紙ローラ対140が配置されている。
図1に示されるように、排紙トレイ部118の載置面120は、幅方向に沿って両端部から中央部へ向ってなだらかに盛り上がった曲面状とされており、載置面120には、幅方向に沿った中心部と両端部との中央部付近にそれぞれ奥行方向へ延在する2本の逃げ溝142が形成されている。これらの逃げ溝142は、それぞれ奥行方向に沿って載置面120を横断しており、記録紙Pが載置面120上に載置された状態で、記録紙Pと載置面120との間に隙間を形成している。これにより、オペレータが載置面120上から記録紙P(紙束B)を回収する際に、逃げ溝142により形成された隙間内へオペレータが指先を挿入し、指先により記録紙Pを挟持しつつ持ち上げることが可能になる。
また排紙トレイ部118の載置面120は、幅方向に沿った寸法が印刷ユニット10により画像が記録可能な記録紙Pのうち、最大サイズ(例えば、A3サイズ)記録紙Pの全長(長辺寸法)よりも長くされている。具体的には、載置面120の寸法は、最大サイズの記録紙Pの全長に対して1.2〜1.8倍程度に設定されている。
ここで、図5の2点鎖線で示されるように、載置面120には、排紙口126,128を通して排紙トレイ部118へ排出された記録紙Pが載置される領域として一対の載置領域120A及び載置領域120Bが設置されている。一対の載置領域120A,120Bは、載置面120における最も高位となる幅方向の中央位置付近を中心とし、幅方向に沿って互いに対称的となるように配置されている。一方の載置領域120Aは、幅方向に沿った一端(図5では右端)が位置決め面124に近接し、また他方の載置領域120Bは、幅方向に沿った他端(図5では左端)が位置決め面122に近接している。
図3に示されるように、排紙ユニット110には、排紙ローラ対136及び排紙ローラ対140をそれぞれ駆動するための第1排紙モータ146及び第2排紙モータ148が配置されている。第1排紙モータ146は、減速比が2段階に切り替え可能な変速機付きの第1トルク伝達機構150を介して排紙ローラ対136に連結されており、減速比の切り替えにより排紙ローラ対136を高速及び低速の何れかの速度で選択的に回転可能とされている。また第2排紙モータ148も、減速比が2段階に切り替え可能な変速機付きの第2トルク伝達機構152を介して排紙ローラ対140に連結されており、減速比の切り替えにより排紙ローラ対140を高速回転及び速度低速回転の何れかの速度で選択的に回転可能とされている。更に、2個の排紙モータ146,148は、それぞれ減速比が固定されたトルク伝達機構(図示省略)を介して受入ローラ対134,138にもそれぞれ連結されており、受入ローラ対134,136を高速でのみ回転可能とされている。
ここで、高速回転する受入ローラ対134及び排紙ローラ対136による記録紙Pの搬送速度は、印刷ユニット10の排紙ガイド路94に配置された搬送ローラ対96による記録紙Pの搬送速度と等しく設定され、また高速回転する受入ローラ対138及び排紙ローラ対140による記録紙Pの搬送速度は、印刷ユニット10の給排紙ガイド路78に配置された搬送ローラ対80による記録紙Pの搬送速度と等しく設定されている。
図1に示されるように、排紙ユニット110は制御部154を内蔵しており、この制御部154は、記録紙Pを排紙トレイ部118へ排紙する際には、プリンタ装置100全体を制御するためのパーソナルコンピュータ、サーバ等の外部の情報処理装置(図示省略)からの制御信号に従って、トルク伝達機構150,152の減速比を切り替えることにより、排紙ローラ対136,140の回転速度を高速及び低速の何れかに切り替える。
図2に示されるように、給紙ユニット160は、外殻部としてケーシング162を備えており、このケーシング162の幅方向及び奥行方向に沿ったサイズは、印刷ユニット10のケーシング12と略一致している。ケーシング162には、その頂板部における先端部及び後端部にそれぞれスリット状の第1搬出口164及び第2搬出口166が開口すると共に、その底板部における先端部及び後端部に第1搬出口164及び第2搬出口166にそれぞれ正対するようにスリット状の第1搬入口168及び第2搬入口170が開口している。
ケーシング162内には、その先端部に高さ方向に沿って延在し、第1搬出口164と第1搬入口168とを繋いだスリット状の第1搬送ガイド路172が設けられると共に、後端部に高さ方向に沿って延在し、第2搬出口166と第2搬入口170とを繋いだスリット状の第2搬送ガイド路174が設けられている。また給紙ユニット160には、第1搬送ガイド路172の上端部及び下端部にそれぞれ搬送ローラ対176が配置されると共に、第2搬送ガイド路174の上端部及び下端部にそれぞれ搬送ローラ対178が配置されている。
給紙ユニット160には、ケーシング162内に複数枚の記録紙Pが積載された紙束Bが収納可能とされたメイン給紙ホッパ180が配置されている。メイン給紙ホッパ180は、上面側が開口した筐体状に形成されており、ケーシング162により奥行方向に沿って装着位置と補給位置との間でスライド可能に支持されている。ここで、メイン給紙ホッパ180は、ケーシング162内の装着位置からケーシング162の側方へ突出する補給位置へスライドすると、上面側の開口部が開放された状態となり、この開口部を通して記録紙P(紙束B)を補給し、又は取り出すことが可能になる。
なお、本実施形態の給紙ユニット160では、装着位置にあるメイン給紙ホッパ180が奥行方向に沿って前方及び後方の何れの方向へもスライド可能とされており、メイン給紙ホッパ180を装着位置から後方及び前方何れの方向へ移動させた場合でも、上面側の開口部が開放される補給位置へ移動可能となっている。
図1に示されるように、メイン給紙ホッパ180内には、外部から格納された記録紙P(紙束B)が積載される積載トレイ182及び、この積載トレイ182を高さ方向に沿って上方へ付勢する付勢部材184が配置されている。またメイン給紙ホッパ180には、付勢部材184に抗して積載トレイ182を高さ方向に沿って底板部に近接した下限位置に移動させ、拘束するためのアクチュエータ(図示省略)が配置されており、このアクチュエータは、メイン給紙ホッパ180の装着位置から補給位置への移動に連動して積載トレイ182を下限位置へ移動させ、またメイン給紙ホッパ180の補給位置から装着位置への復帰に連動して積載トレイ182を下限位置から解放する。
またケーシング162内には、メイン給紙ホッパ180の上方に分離給紙ローラ186が配置されており、この分離給紙ローラ186は、そのローラ面が積載トレイ182上に積載された紙束B上面の先端部に対向するように支持されている。これにより、給紙ユニット160では、メイン給紙ホッパ180が補給位置から装着位置へスライドし、アクチュエータにより積載トレイ182が下限位置から解放されると、付勢部材184により上方に付勢された積載トレイ182上の紙束Bが所定の圧接力で分離給紙ローラ186に圧接する。
ケーシング162内には、分離給紙ローラ186の紙束Bとの圧接部付近から第1搬送ガイド路172側へ延出する接続ガイド路188が設けられており、この接続ガイド路188の先端部は、第1搬送ガイド路172の上端部に接続されている。これにより、分離給紙ローラ186が所定量回転すると、分離給紙ローラ186により積載トレイ182上の紙束Bから1枚の記録紙Pが分離され、この記録紙Pの先端側が接続ガイド路188内へ送り込まれ、接続ガイド路188を通って第1搬送ガイド路172内へ挿入される。
なお、メイン給紙ホッパ180内に配置される積載トレイ182は1個に限定されず、複数個の積載トレイ182をメイン給紙ホッパ180内にそれぞれ配置し、複数個の積載トレイ182にそれぞれ異なる種類の記録紙Pを積載するようにしても良い。この場合には、例えば、複数の積載トレイ182を上下方向に加えて、前後方向(幅方向)に移動させる機構を設け、複数の積載トレイ182の何れかに積載された紙束Bを選択的に分離給紙ローラ186に圧接させることで、複数種類の記録紙Pから選択された1種類の記録紙Pを接続ガイド路188内へ送り込むことが可能になる。
また、本実施形態に係る印刷ユニット10のケーシング12には、その頂板部14に上方へ突出するガイド突起(図示省略)が設けられると共に、底板部13にガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられている。また排紙ユニット110の下面部には、ガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられている。給紙ユニット160のケーシング162にも、印刷ユニット10のケーシング12と同様に、その頂板部に上方へ突出するガイド突起(図示省略)が設けられると共に、底板部にガイド突起に対応する凹状のガイド受部(図示省略)が設けられている。
ここで、ガイド突起は、1台の印刷ユニット10及び給紙ユニット160にそれぞれ少なくとも2個ずつ設けられ、ガイド受部は、ガイド突起に対応するように1台の印刷ユニット10、給紙ユニット160及び排紙ユニット110にそれぞれ少なくとも2個ずつ設けられている。
図1に示されるように、給紙ユニット160、印刷ユニット10及び排紙ユニット110が積み重ねられてプリンタ装置100が構成されている状態では、印刷ユニット10及び給紙ユニット160にそれぞれ設けられたガイド突起は、上段側の給紙ユニット160、印刷ユニット10又は排紙ユニット110のガイド受部に嵌挿される。これにより、給紙ユニット160、印刷ユニット10及び排紙ユニット110は、幅方向及び奥行方向に沿って互いに一致するように位置決めされると共に、ユニット10,110,160間での移動が拘束されて一体化される。
なお、プリンタ装置100を構成する印刷ユニット10及び給紙ユニット160は、それぞれ制御部98及び制御部194を備え、また排紙ユニット110も、前述したように制御部154を備えている。プリンタ装置100では、各印刷ユニット10の制御部98の間は相互にデータ通信が可能になるように電気的に接続される。また給紙ユニット160及び排紙ユニット110の制御部154,194は、それぞれ少なくとも1台の印刷ユニット10における制御部98に電気的に接続される。
印刷ユニット10、給紙ユニット160及び排紙ユニット110の制御部98,154,194間を電気的に接続するためには、例えば、各印刷ユニット10、給紙ユニット160及び排紙ユニット110にそれぞれケーブル及びソケットを設けて、ケーブル先端に配置されたプラグを他の印刷ユニット10、給紙ユニット160又は排紙ユニット110のソケットに差し込むことにより電気的に接続しても良く、またガイド突起及びガイド受部の少なくとも1個ずつをそれぞれ互いに適合するプラグ及びソケットとして構成し、給紙ユニット160、印刷ユニット10及び排紙ユニット110を所定の順番で積み重ねることにより、プラグとしてのガイド突起をソケットとしてのガイド受部に差し込むことにより制御部98,154,194間を電気的に接続しても良い。
図1に示されるように、プリンタ装置100では、上段側に配置された印刷ユニット10が下段側の印刷ユニット10に対し幅方向に沿って反対の方向を向いている。すなわち、上段側の印刷ユニット10(これを下段側の印刷ユニット10と区別する必要がある場合には、「印刷ユニット10U」という。)は、下段側の印刷ユニット10(これを上段側の印刷ユニット10と区別する必要がある場合には、「印刷ユニット10L」という。)に対して幅方向に沿って180°反転(回転)した状態で、下段側の印刷ユニット10L上に積み重ねられている。
このとき、印刷ユニット10Uは、そのケーシング12の幅方向及び奥行方向に沿った幾何学的な中心線である反転軸R(図4参照)を中心とし、印刷ユニット10Lに対して180°反転している。また、印刷ユニット10では、反転軸Rに対して給排紙ガイド路78と排紙ガイド路94とが互いに対称的な配置及び形状とされている。
従って、図1に示されるように、印刷ユニット10Uを印刷ユニット10Lに対して反転軸Rを中心として180°反転させ、印刷ユニット10L上に積み重ねれば、印刷ユニット10Uの給排紙ガイド路78及び排紙ガイド路94は、印刷ユニット10Lの排紙ガイド路94及び給排紙ガイド路78にそれぞれ接続される。また印刷ユニット10U上に排紙ユニット110を積み重ねれば、排紙ユニット110の第1受入ガイド路130及び第2受入ガイド路132は、印刷ユニット10Uの給排紙ガイド路78及び排紙ガイド路94にそれぞれ接続される。
プリンタ装置100では、2台の印刷ユニット10と同様に、上段側に配置された給紙ユニット160が下段側の給紙ユニット160に対し幅方向に沿って反対の方向を向いている。すなわち、上段側の給紙ユニット160(これを下段側の給紙ユニット160と区別する必要がある場合には、「給紙ユニット160U」という。)は、下段側の給紙ユニット160(これを上段側の給紙ユニット160と区別する必要がある場合には、「給紙ユニット160L」という。)に対して幅方向に沿って180°反転(回転)した状態で、下段側の給紙ユニット160L上に積み重ねられている。
このとき、給紙ユニット160Uは、印刷ユニット10と共通の反転軸R(図4参照)を中心とし、給紙ユニット160Lに対して180°反転している。また、給紙ユニット160では、反転軸Rに対して第1搬送ガイド路172と第2搬送ガイド路174とが互いに対称的な配置及び形状とされている。
従って、図1に示されるように、給紙ユニット160Uを給紙ユニット160Lに対して反転軸Rを中心として180°反転させ、給紙ユニット160L上に積み重ねれば、給紙ユニット160Uの第1搬送ガイド路172及び第2搬送ガイド路174は、給紙ユニット160Lの第2搬送ガイド路174及び第1搬送ガイド路172にそれぞれ接続される。また給紙ユニット160U上に印刷ユニット10Lを積み重ねれば、給紙ユニット160Uの第1搬送ガイド路172及び第2搬送ガイド路174は、印刷ユニット10Lの排紙ガイド路94及び給排紙ガイド路78にそれぞれ接続される。
上記したように、給紙ユニット160、印刷ユニット10及び排紙ユニット110が積み重ねられることにより、図1に示されるように、プリンタ装置100には、幅方向に沿った一端部(図1の左側端部)に略高さ方向に沿って装置を貫通する第1通紙経路190が構成されると共に、他端部(図1の右側端部)に略高さ方向に沿って装置を貫通する第2通紙経路192が構成される。
本実施形態に係るプリンタ装置100は、以上説明したように、2台の給紙ユニット160上に、複数台(本実施形態では、2台)の印刷ユニット10と、1台の排紙ユニット110が積み重ねられて構成されている。これにより、プリンタ装置100を構成する印刷ユニット10及び排紙ユニット110は、図2に示されるように、上段側の印刷ユニット10又は排紙ユニット110を上方へ持ち上げるだけで、簡単に下段側の印刷ユニット10又は給紙ユニット160から分離できる。従って、プリンタ装置100では、印刷ユニット10又は排紙ユニット110を下段側の印刷ユニット10又は給紙ユニット160から分離した状態とすれば、装置を構成する印刷ユニット10を簡単に3台以上に増設でき、あるいは装置を構成する複数台(本実施形態では、2台)の印刷ユニット10を1台まで減少できる。この結果、プリンタ装置100では、装置を構成する印刷ユニット10の台数を簡単に増減でき、印刷ユニット10の台数を増減することにより、装置全体としての印刷速度を含む印刷能力を広い範囲で調整できるようになる。
なお、本実施形態のプリンタ装置100では、印刷ユニット10を3台以上に増設した場合、2台の給紙ユニット160L,160Uからそれぞれ1台以上の印刷ユニット10に記録紙Pを給紙可能とするためには、少なくとも1台の印刷ユニット10を残りの印刷ユニット10に対して反転させておく必要がある。また、印刷ユニット10を1台とした場合、2台の給紙ユニット160L,160Uから異なる種類の記録紙Pを給紙することも可能であるが、この場合2台の給紙ユニット160L,160Uの第1搬送ガイド路172を両方とも印刷ユニット10の給排紙ガイド路78側に接続するよう向きをそろえておく必要がある。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る印刷ユニット10及びプリンタ装置100による記録紙Pに対する記録動作について説明する。
なお、プリンタ装置100では、印刷ユニット10の制御部98がパーソナルコンピュータ、サーバ等の外部の情報処理装置(図示省略)と接続されており、この情報処理装置からプリント命令及び画像情報を含む印刷ジョブが入力すると、この印刷ジョブに従って少なくとも1台の印刷ユニット10が記録紙Pに対する画像の記録動作を開始する。
ここで、複数台の印刷ユニット10における制御部98を並列的に情報報処理装置に接続しても良く、また複数の制御部98の何れか1個をメインの制御部98として構成し、このメインの制御部98のみを情報処理装置に接続し、このメインの制御部98を通して他の印刷ユニット10の制御部98等へ各種情報を出力するようにしても良い。またメインの制御部98については、他の制御部98とは情報の処理速度、記憶容量等の性能及び機能が異なるものとしても良い。
なお、本実施形態のプリンタ装置100では、印字命令及び画像情報を含む印刷ジョブが時間を空けて複数回に亘って入力すると、2台の印刷ユニット10による記録紙Pに対する記録回数が可能なかぎり平準化するように、各印刷ユニット10を所定の順番で巡回的に作動させる。またプリンタ装置100では、複数の印刷ジョブが一時期に入力した場合等には、可能な限り複数台の印刷ユニット10を同時に作動させ、複数台の印刷ユニット10により複数枚の記録紙Pに並列的に画像を形成させる。このとき、複数台の印刷ユニット10により記録紙Pに記録する画像は、印刷ユニット10毎に異なったものでも、同一のものでも良い。
プリンタ装置100では、情報処理装置からの印刷ジョブが入力すると、少なくとも1台の印刷ユニット10が作動して記録紙Pに対する画像形成を開始する。このとき、作動状態となる印刷ユニット10の印字部34へは、給紙ユニット160から記録紙Pを供給する場合と、印刷ユニット10の給排紙ホッパ20から記録紙Pを供給する場合とがあるが、先ず、給排紙ホッパ20から印字部34へ記録紙Pを供給する場合について説明する。
作動状態となる印刷ユニット10では、印刷ジョブの入力に同期して、先ず、分離給紙ローラ26が回転すると共に、ガイドレバー88が給紙位置に回動する。これにより、分離給紙ローラ26により給排紙ホッパ20内に収納された紙束Bから1枚の記録紙Pが分離され、この記録紙Pは、分離給紙ローラ26からの搬送力により第1接続ガイド路28、給排紙ガイド路78及び分岐ガイド路84を通って給紙ローラ対86へ搬送される。給紙ローラ対86は、給排紙ホッパ20から送られてきた記録紙Pを印字部34のニップローラ対40へ搬送する。
ニップローラ対40は、記録紙Pを挟持しつつ所定の回転速度で回転して、記録紙Pを印字部34におけるインクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間に挿入する。印字ガイド板44に沿って搬送される記録紙Pは、ニップローラ対40によりインクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間を所定の副走査速度で搬送される。
インクジェットヘッド38は、記録紙Pの副走査方向への移動に連動し、主走査方向へ移動しつつ複数のノズルから画像情報に基づいて選択的にインクを噴射又は噴射停止し、記録紙P上にインク液滴を噴射してインクにより画像を形成する。この記録紙Pは、その先端側の部分がインクジェットヘッド38と印字ガイド板44との間から抜け出ると、搬出ローラ対42により挟持され、搬出ローラ対42によりゲート機構54へ送り出される。このとき、ゲート機構54におけるゲート板56は、バッファ搬出位置(図3の実線で示される位置)に保持されており、このゲート板56により記録紙Pは排紙バッファ60のバッファ板62上へ案内される。バッファ板62上へ搬送された記録紙Pは、第1搬送ローラ対64及び第2搬送ローラ対66により順次、挟持され、搬送ローラ対64,66によりバッファ板62の上面部に沿って搬出ローラ対71側へ搬送される。
このとき、排紙バッファ60では、記録紙Pに画像を形成したインクの乾燥時間に応じて、搬出ローラ対71の手前で記録紙Pをバッファ板62上に保持する時間を調整する。具体的には、搬送ローラ対64,66により記録紙Pを停止することなく所定の搬送速度で搬送したならば、画像記録の完了から記録紙Pが搬出ローラ対71に達するまでの時間がインクの乾燥時間よりも不足する場合には、この不足する時間以上の停止時間に亘って記録紙Pをバッファ板62上で一旦停止させた後、記録紙Pをバッファ板62上から搬出ローラ対71へ送り出す。これにより、搬出ローラ対71との接触により記録紙Pにインクの滲みが発生することが防止されると共に、搬出ローラ対71を介して先行する記録紙Pから後続する記録紙Pへインクが転写されることが防止される。
搬出ローラ対71は、図3に示されるように、記録紙Pを第2接続ガイド路72を通して排紙ガイド路94内へ送り出し、記録紙Pの先端側を排紙ガイド路94に沿って上方へ搬送する。このとき、上段側の印刷ユニット10Uにより記録紙Pに画像が記録された場合には、この記録紙Pは、搬送ローラ対96により排紙ユニット110の第1受入ガイド路130内へ送り出される。この記録紙Pは、受入ローラ対134により第1排紙口126側へ搬送され、その先端部が排紙ローラ対136に達すると、排紙ローラ対136により第1排紙口126を通して排紙トレイ部118へ排出される。このとき、排紙ユニット110は、記録紙Pが受入ローラ対134及び排紙ローラ対136の双方に挟持されている状態では、排紙ローラ対136を高速で回転させる。
排紙ユニット110の制御部154は、記録紙Pの後端部が受入ローラ対134から離脱すると、記録紙Pを載置すべき載置領域120A,120Bに応じて、排紙ローラ対136の回転速度を高速又は低速の何れかに選択的に制御する。具体的には、制御部154は、記録紙Pを載置領域120Aに載置する場合には、記録紙Pの受入ローラ対134からの離脱後も、排紙ローラ対136の回転速度を高速に維持する。これにより、記録紙Pは、図3の2点鎖線で示されるように、排紙ローラ対136から離脱するまでは、載置面120の上方を片持ち状態で移動し、排紙ローラ対136からの離脱後も、排出方向へ移動して先端部が位置決め面124に当接する。位置決め面124に当接した記録紙Pは、位置決め面124に沿って略真下に落下し、載置面120の載置領域120A(図5参照)上に載置される。
また制御部154は、記録紙Pを載置領域120Bに載置する場合には、記録紙Pの受入ローラ対134からの離脱後に、排紙ローラ対136の回転速度を高速から低速に変化させる。これにより、記録紙Pは、図3の実線で示されるように、排紙ローラ対136から離脱した直後に、位置決め面122に沿って略真下に向って落下し、載置面120の載置領域120B(図5参照)上に載置される。
また、下段側の印刷ユニット10Lにより記録紙Pに画像が記録された場合には、この記録紙Pは、印刷ユニット10Lの排紙ガイド路94及び印刷ユニット10Uの給排紙ガイド路78を通って排紙ユニット110の第2受入ガイド路132内へ送り出される。この記録紙Pは、受入ローラ対138により第2排紙口128側へ搬送され、その先端部が排紙ローラ対140に達すると、排紙ローラ対140により第2排紙口128を通して排紙トレイ部118へ排出される。このとき、排紙ユニット110の制御部154は、記録紙Pを載置領域120Bに載置する場合には、記録紙Pの受入ローラ対138からの離脱後も、排紙ローラ対140の回転速度を高速に維持し、また記録紙Pを載置領域120Aに載置する場合には、記録紙Pの受入ローラ対138からの離脱後に、排紙ローラ対140の回転速度を高速から低速に変化させる。
次に、給紙ユニット160から印刷ユニット10の印字部34へ記録紙Pを供給する場合について説明する。
プリンタ装置100では、上段側の給紙ユニット160Uが上段側の印刷ユニット10Uに対応して設けられ、下段側の給紙ユニット160Lが下段側の印刷ユニット10Lに対応して設けられている。先ず、上段側の給紙ユニット160Uから上段側の印刷ユニット10Uの印字部34へ記録紙Pを供給する場合について説明する。
印刷ユニット10の制御部98は、情報処理装置からの印字命令の内容、給排紙ホッパ20内の記録紙Pの残量、種類等に応じて、給紙ユニット160からの記録紙Pの給紙が必要と判断し、かつ給紙ユニット160から給紙が可能と判断した場合に、給紙ユニット160の制御部194に対して記録紙Pの給紙を要求する。これと共に、制御部98は、印刷ユニット10Uの給排紙ガイド路78に配置されたガイドレバー88を搬送位置から給紙位置(図1の2点鎖線で示される位置)へ回動させる。
次いで、制御部98は、第2通紙経路192に配置された各搬送ローラ対80,96,176をそれぞれ所定の搬送方向へ回転開始させると共に、給紙ユニット160の制御部194に給紙信号を出力する。この給紙信号を受けた給紙ユニット160の制御部194は、分離給紙ローラ186を所定量回転させる。これにより、メイン給紙ホッパ180の第1積載トレイ182上に積載された紙束Bから1枚の記録紙Pが分離され、接続ガイド路188内へ送り込まれる。この記録紙Pは、その先端側が接続ガイド路188を通って第2通紙経路192の下部側を構成する第1搬送ガイド路172内へ送り込まれ、第2通紙経路192に沿って搬送ローラ対80,96,176により印刷ユニット10Uへ搬送される。この記録紙Pは、その先端部が第2通紙経路192の一部を構成する給排紙ガイド路78まで搬送されると、ガイドレバー88により給排紙ガイド路78内から分岐ガイド路84内へ案内される。
ガイドレバー88により分岐ガイド路84内へ案内された記録紙Pは、搬送ローラ対80からの搬送力により分岐ガイド路84を通って給紙ローラ対86へ達する。給紙ローラ対86は、給紙ユニット160から送られてきた記録紙Pを印字部34のニップローラ対40へ搬送する。この記録紙Pは、給排紙ホッパ20から送られてきた記録紙Pと同様に、印字部34のインクジェットヘッド38により画像が記録された後、搬出ローラ対42によりゲート機構54へ送り出される。
このとき、印刷ユニット10の制御部98は、印刷ユニット10L等の状態に応じて、画像が記録された記録紙Pを排紙バッファ60及び給排紙ホッパ20の何れかに送り出すかを判断する。例えば、印刷ユニット10Lにより画像が記録された記録紙Pにより第1通紙経路190が使用されていない場合には、ゲート機構54におけるゲート板56をバッファ搬出位置(図3の実線で示される位置)へ保持する。これにより、バッファ板62上へ送り出された記録紙Pは、インク乾燥時間を確保するため、必要に応じてバッファ板62上に一時停止した後、搬送ローラ対64,66により搬出ローラ対71へ送り出される。この記録紙Pは、給排紙ホッパ20から印字部34へ供給された記録紙Pの場合と同様に、排紙ガイド路94及び排紙ユニット110の第1受入ガイド路130を通して排紙トレイ部118へ排出され、この排出時に、排紙ローラ対136による排出速度が制御されることより、載置面120における載置領域120A,120Bの一方に選択的に載置される。
また印刷ユニット10の制御部98は、例えば、印刷ユニット10Lにより画像が記録された記録紙Pが第1通紙経路190を通して排紙トレイ部118へ搬送されている場合には、ゲート機構54におけるゲート板56をトレイ搬出位置(図3の2点鎖線で示される位置)へ回動すると共に、給排紙ホッパ20の積載板22を下限位置へ揺動させる。これにより、搬出ローラ対42から送り出されてきた記録紙Pは、図6(B)〜(C)に示されるように、拍車ローラ58におけるローラ面の下端付近に接しつつ、このローラ面により給排紙ホッパ20内へ案内され、搬出ローラ対42から離脱すると、図6(D)に示されるように、給排紙ホッパ20内へ収納される。
印刷ユニット10の制御部98は、インク乾燥時間を確保するため、記録紙Pを必要に応じて給排紙ホッパ20内に一時保持した後、積載板22を下限位置から解放すると共に分離給紙ローラ26を所定量だけ回転させ、これに連動し、制御部98は、給排紙ガイド路78に配置されたガイドレバー88を給紙位置から搬送位置に復帰させる。これにより、給排紙ホッパ20内に収納された記録紙Pは、第1接続ガイド路28を通して第2通紙経路192の一部を構成する給排紙ガイド路78へ送り出される。この記録紙Pは、給排紙ガイド路78及び排紙ユニット110の第2受入ガイド路132を通して排紙トレイ部118へ排出され、この排出時に、排紙ローラ対140による排出速度が制御されることより、載置面120における載置領域120A,120Bの一方に選択的に載置される。
なお、印刷ジョブに複数枚の記録紙Pに対する印字命令が含まれる場合には、この印字ジョブに従って画像記録された複数枚の記録紙Pを全て給排紙ホッパ20内に一旦収納した後、この複数枚の記録紙Pを分離給紙ローラ26により連続的に給排紙ホッパ20内から第2通紙経路192へ送り出すようにしても良い。これにより、印字部34へ給紙される記録紙Pと給排紙ホッパ20から排出される記録紙Pが第2通紙経路192内で互いに干渉することがなくなるので、1本の第2通紙経路192を用いて印字部34への記録紙Pの給紙と排紙トレイ部118への記録紙Pの排出とを円滑に行える。
次いで、下段側の給紙ユニット160Lから下段側の印刷ユニット10Lの印字部34へ記録紙Pを供給する場合について簡単に説明する。
この場合に、給紙ユニット160Uから印刷ユニット10Uへ記録紙Pを供給した場合と異なる点は、下段側の給紙ユニット160Lのメイン給紙ホッパ180内から送り出された記録紙Pが第1通紙経路190を通って下段側の印刷ユニット10Lの印字部34へ供給される点、印字部34により画像が記録された記録紙Pが排紙バッファ60へ送り出されたときに、この記録紙Pが第2通紙経路192を通して排紙トレイ部118へ排紙される点、及び印字部34により画像が記録された記録紙Pが給排紙ホッパ20内へ収納されたときに、この記録紙Pが第1通紙経路190を通して排紙トレイ部118へ排紙される点のみであり、印刷ユニット10Lによる記録紙Pに対する画像の記録動作自体は、印刷ユニット10Uによる記録紙Pに対する画像の記録動作と基本的に共通である。
また、この場合にも、記録紙Pは、排紙トレイ部118への排出時に、排紙ローラ対136,140による排出速度が制御されることより、載置面120における載置領域120,120Bの一方に選択的に載置される。
また、本実施形態に係る印刷ユニット10の制御部98には、排紙トレイ部118へ排出される記録紙Pを印刷ジョブ単位で仕分けるための仕分モードが設定可能とされおり、この仕分モードが設定された場合に、制御部98は、同一の印刷ジョブに従って画像が記録された記録紙Pが同一の載置領域120A,120B上に載置され、かつ時系列的に先行する一つの印刷ジョブに従って画像が記録された記録紙Pと、これに後続する一つの印刷ジョブに従って画像が記録された記録紙Pとが必ず異なる載置領域120A,120B上に載置されるように排紙ローラ対136,140の排出速度を制御する。これにより、排紙トレイ部へ排出された記録紙P(原稿束D)は、図1に示されるように、印刷ジョブ単位で載置面120における異なる載置領域120A,120B上に互い違いの状態で積み重ねられる。
なお、本実施形態のプリンタ装置100では、記録紙Pの長手方向が印字部34における副走査方向と一致するような向きで記録紙Pを印刷ユニット10の給排紙ホッパ20及び給紙ユニット160のメイン給紙ホッパ180内へ収納しているが、例えば、上段側の印刷ユニット10U及び給紙ユニット160Uについては、記録紙Pの長手方向が印字部34における副走査方向と一致するような向きで記録紙Pを給排紙ホッパ20及びメイン給紙ホッパ180内へ収納し、かつ下段側の印刷ユニット10L及び給紙ユニット160Lについては、記録紙Pの短手方向が印字部34における副走査方向と一致するような向きで記録紙Pを給排紙ホッパ20及びメイン給紙ホッパ180内へ収納するようにしても良い。このように記録紙Pを収納する向きを変えることで、印刷ユニット10U及び給紙ユニット160Uから排出された記録紙Pが載置面120における載置領域120A,120Bの何れかに載置可能となると共に、印刷ユニット10L及び給紙ユニット160Lから排出された記録紙Pが載置面120における載置領域120A,120Bとは異なる一対の載置領域の何れかに載置可能となるので、載置面120に実質的に4個の載置領域を設け、この4個の載置領域に印刷ジョブ単位で記録紙P(原稿束D)を仕分した状態で載置することが可能になる。
次に、以上説明した本実施形態に係るプリンタ装置100の作用について説明する。
本実施形態に係るプリンタ装置100では、排紙ユニット110における載置面120の幅方向に沿った長さを、印字部34により画像が記録される記録紙Pの全長よりも長くすると共に、この載置面120に幅方向の中央位置付近を中心とし、幅方向に沿って互いに対称的に位置するように一対の載置領域120A,120Bを設け、制御部98が、排紙ローラ対136,140により排紙トレイ部118へ排出される記録紙Pを載置領域120A,120Bの何れかに載置するかに応じて、この記録紙Pの排紙ローラ対136,140による排出速度を高速又は低速に制御することにより、排紙口126,128から排出された記録紙Pが載置面120に達するまでの排出方向への移動距離を増減し、この記録紙Pをその排出速度に対応する何れかの載置領域120A,120B上に載置できるので、例えば、画像が記録された記録紙Pを印刷ジョブ単位で複数の束(原稿束D)に仕分ける必要がある場合には、印刷ジョブ単位に従って画像が記録された記録紙P毎に排出速度を変更すれば、複数枚の記録紙Pを印刷ジョブ単位毎にそれぞれ載置面120における異なる載置領域120A,120B上に載置し、記録紙Pを印刷ジョブ単位に仕分けた状態で載置面120上に集積できる。
またプリンタ装置100では、排紙トレイ部118の載置面120を幅方向の中央位置付近が両端側に対して高くなった形状とすると共に、この載置面120に幅方向の中央位置付近を中心とし、幅方向に沿って互いに対称的に位置するように一対の載置領域120A,120Bを設けたことにより、上記のようにして一対の載置領域120A,120Bの何れかに載置された記録紙Pが、載置面120上でその中央位置付近を越えて一方の載置領域120A,120Bから他方の載置領域120A,120B側へ移動することを防止できるので、印刷ジョブ単位毎に仕分けた状態で一方の載置領域120A,120B上に載置(集積)された記録紙Pが他方の載置領域120A,120B側へ移動して、記録紙Pの集積状態が乱れることを抑制できる。
またプリンタ装置100では、排紙トレイ部118に、載置面120の幅方向に沿った両端部からそれぞれ上方へ延出する位置決め面122,124を設けたことにより、排紙ローラ対136,140により排紙トレイ部118へ排出された記録紙Pが位置決め面122,124の何れかに当接しつつ、又は位置決め面122,124の何れかにより幅方向に沿った記録紙Pの移動が制限されつつ、載置面120上に載置されるので、記録紙Pを位置決め面122,124の何れかに対応する一方の載置領域120A,120B上の一定の位置へ精度良く載置し、一方の載置領域120A,120B上に載置された複数枚の記録紙P間での位置ずれを少なくできる。
またプリンタ装置100では、印刷ユニット10の印字部34により画像が記録された記録紙Pを2本の通紙経路190,192の何れかに選択的に送り出し、この通紙経路190,192に沿って記録紙Pを排紙トレイ部118へ搬送可能としたことにより、印字部34により画像が記録された記録紙Pを2本の通紙経路190,192の何れかを選択的に用いて排紙トレイ部118へ搬送できるので、例えば、2台の印刷ユニット10の印字部34によって複数の記録紙Pに並列的に画像が記録されている場合、一の印刷ユニット10の印字部34により画像が記録された記録紙Pが一方の通紙経路190,192を用いて排紙トレイ部118へ搬送されている時でも、この記録紙Pの排紙トレイ部118への排出完了を待つことなく、他の印刷ユニット10の印字部34により画像が記録された記録紙Pを他方の通紙経路190,192を用いて媒体集積部へ搬送開始できる。
この結果、複数の印字部34により複数の記録紙Pに並列的に画像を記録する際に、画像記録が完了した記録紙Pの排紙トレイ部118への搬送時間が遅延し、プリンタ装置100の印刷速度が実質的に低下することを効果的に抑制できる。
またプリンタ装置100では、印刷ユニット10にそれぞれ設けられた複数の印字部34により複数枚の記録紙Pに対して並列的に画像を記録可能としたことにより、ユーザにより要求される印刷速度等の印刷能力に応じて装置を構成する印刷ユニット10の台数を増減すれば、印刷ユニット10の台数に応じて印刷速度を含む印刷能力を広い範囲で調整できるようになる。
従って、以上説明した本実施形態に係るプリンタ装置100によれば、記録紙Pの排紙トレイ部118への排出時に排紙ローラ対136,140の回転速度を低速及び高速に変えるだけで、画像が記録された記録紙Pを印刷ジョブ単位に仕分けた状態で載置面120上に集積できるので、部品点数の増加及び構造の複雑化を殆ど生じさせることなく、画像が記録された複数枚の記録紙Pを必要に応じて排紙トレイ部118の載置面120上に仕分けた状態で集積できる。
なお、本実施形態では、印刷ジョブ単位で記録紙Pを仕分ける場合のみを説明したが、印刷ジョブ以外にも、例えば、予め設定された枚数毎、印刷ジョブを入力したユーザ単位、画像記録を行った印刷ユニット10単位等の単位(仕分単位)で記録紙Pを載置面120上で仕分けるようにしても良い。
また本発明の実施形態に係る印刷ユニット10の印字部34では、インクジェットヘッド38を記録紙Pに対する画像記録時に主走査方向へ駆動しつつ、インクジェットヘッド38のノズルからインクを噴射して記録紙Pに画像を形成していたが、印字部34については、駆動式のインクジェットヘッド38以外にも、記録紙Pよりも主走査方向へ広い幅を有するフルサイズの固定式インクジェットヘッドにより記録紙Pを記録するものでも、また電子写真感光体上にトナー像を形成し、このトナーを記録紙Pに転写する、所謂電子写真方式により記録紙Pに画像を形成するものでも良く、無論、これ以外の方法で記録紙Pに画像を形成するものであっても良い。