JP4602674B2 - マルターゼ阻害剤 - Google Patents

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本発明は、植物繊維成分を含有する培地を用いて担子菌の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分からなるマルターゼ阻害剤に関する。
生活習慣病の代表とも言われる糖尿病は年々増加し、慢性疾患の中では第一位で過去40年間に50倍に増加した。1997年に行った厚生労働省の調査では患者が690万人、予備軍が680万人となっている。
今日の日本では、美味しい食べ物は幾らでも手に入れる事が出来、これらの食品は脂肪、糖質に富み、かつ食物繊維の少ない食べ物で、こうした食べ物が溢れている状態では容易に過食状態に墜ちやすい。その結果として血糖値の急激な上昇が繰り返され、膵臓が酷使される。同時に文明の利器の発達で少ない労力で生活する事が可能となり、自ずと運動不足の状態となっていて、ここに糖尿病の起こる原因がある。
糖尿病は血液中のブドウ糖がある水準を越えて高い状態が続くことを言う。即ち、膵臓から出るインスリンホルモンの分泌量が不足したり作用が低下することによって慢性的に高血糖をきたす代謝疾患を指す。インスリンの作用不足は、インスリン分泌の低下によっても、また、筋肉、肝臓、脂肪などにおけるインスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)によっても生じる。高血糖が続くと目や腎臓、神経に深刻な合併症を来たす。
糖尿病は「沈黙の病」とも言われ、血糖値が高くてもすぐには自覚症状が出にくい為、気がついたときには人工透析となる糖尿病性腎症、糖尿性網膜症、神経障害などの合併症に進行している事が多い疾患である。ひとたび発症した場合は治療が困難となるため、発症予防に努めなければならない。
糖尿病予防の基本は食事療法と運動であるが、美味しい食べ物が満ち溢れている環境の中で日常的に食事を制限することは大きなストレスとなる。また、時間に追われる多忙な現代人の日常生活の中で強制的に運動を行うことはそう簡単ではない。
そこで、糖質の消化酵素を阻害することにより、消化吸収をよりマイルドにする方法が注目されており、実際に糖尿病患者の治療薬としてα-グルコシダーゼ阻害剤が使用されている。
また、消化管内において栄養素の拡散を抑え消化を遅らせる方法も知られており、ある種の食物繊維が実用化されている。
一方、担子菌の子実体や菌糸体、あるいはそれらの抽出エキスが、各種の生理活性機能を有することが知られており、糖尿病の予防治療剤あるいは血糖値上昇抑制剤としての提案もなされている。
例えば、下記特許文献1には、アラゲキクラゲの子実体の水抽出物を配合した抗糖尿病剤が開示されている。
また、下記特許文献2には、アガリクス・ブラゼイの子実体及び/又は菌糸体の抽出エキスを有効成分として含有する血糖降下剤が開示されている。
更に、下記特許文献3には、金耳の子実体若しくは菌糸体を水で抽出処理した抽出液、その濃縮液、その乾燥物又はその乾燥粉砕物を有効成分とする血糖上昇抑制剤が開示されている。
更にまた、下記特許文献4には、マイタケの菌糸体若しくは子実体を熱水処理して得られる可溶性物質等を有効成分とするI型及びII型糖尿病に対して改善効果を有する物質が開示されている。
一方、下記特許文献5には、バガスを基材とする固体培地上に、椎茸菌を接種し、次いで菌糸体を増殖して得られる菌糸体を含む固体培地を解束し、この解束された固体培地に、水及びセルラーゼ、グルコシダーゼ又はプロテアーゼから選ばれる酵素の1種又はそれ以上を、前記固体培地を30〜50℃に保ちながら添加し、次いで95℃までの温度に加熱することにより酵素を失活させ、かつ滅菌してなる椎茸菌糸体抽出物を含む抗酸化剤が開示されている。そして、該抗酸化剤は、酸化的細胞障害が関与する疾患、例えば消化器官系疾患、呼吸器系疾患、糖尿病の合併症、皮膚疾患、癌、老化からなる群より選択される疾患の治療用又は予防用に用いられることが記載されている。
特開2002−275087号公報 特開平11−80014号公報 特開平9−67268号公報 特開平6−312936号公報 特開2003−12538号公報
糖尿病の予防の観点からは、予防効果のある食品を日常的に摂取するのがよいが、食物繊維の場合は食品自体の味あるいは質を変えるまでに添加しないと効果は発揮され難いという問題があった。
また、上記特許文献1〜4に記載された従来の糖尿病の予防治療剤あるいは血糖値上昇抑制剤は、いずれも担子菌の子実体及び/又は菌糸体から抽出された成分を有効成分としており、培地原料に起因する成分については着眼がなされていなかった。
上記特許文献5には、椎茸菌の菌糸体を含む固体培地から抽出された成分を抗酸化剤として用いることが記載され、該抗酸化剤は、糖尿病の合併症の治療、予防用に用いられることが記載されているが、糖尿病自体に対する治療効果や、血糖値上昇抑制作用等については何ら示唆されていない。
従って、本発明の目的は、日常的に摂取することにより手軽にかつ安全に血液中の血糖値の上昇を抑制する事が出来るマルターゼ阻害剤を提供することにある。
本発明者らは、長年に亙り椎茸等の担子菌類について種々研究を重ねた結果、担子菌の菌糸体培養物中の物質が、血糖値の上昇を抑制する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のマルターゼ阻害剤は、
植物繊維質原料を含有する培地を用いて担子菌であるマンネン茸又は椎茸の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分であって、糖質を30〜50%、蛋白質を8〜15%、及び水溶性リグニンを20〜40%含有する成分を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明においては、前記培養物は、前記菌糸体の培養終了後、菌糸体に内在する酵素を利用して菌糸体を自己消化させて得られたものであることが好ましい。
また、前記植物繊維質原料が、禾本科植物を含むことが好ましい。
また、前記植物繊維原料が、バガス、熊笹の茎葉、とうもろこしの茎から選ばれた少なくとも1種と、米糠とを含むことが好ましい。
本発明のマルターゼ阻害剤は、植物組織中に含まれるセルロース、ヘミセルロース、リグニンなどが、培養期間中に担子菌の菌糸体細胞が産生するセルラーゼ、フェノールオキシダーゼ、ラッカーゼ、パーオキシターゼ、プロテアーゼなどの酵素により消化、分解、及び縮合を起して生成したペントース主体のプロテオグリカンに、酵素により変性して水溶性化した変性水溶性リグニンが複雑に結合した物質からなる。そして、この物質は、後述する実施例に示されるように、ラットの腸管から調製したα−グルコシダーゼ活性を濃度依存的に阻害し、ブドウ糖の生成を抑制する。更に、動物の糖負荷試験において、糖を投与する前に本剤を投与することにより、血糖値の上昇を有意に抑制する。
上記のように、本発明のマルターゼ阻害剤を摂取することにより、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)の上昇を抑制し、糖尿病の予防や、肥満を抑制することが期待される。また、本発明のマルターゼ阻害剤は、天然物から得られた物であり、化学薬品などにみられる副作用などの心配はなく、日常生活の中で手軽に摂取することができる。
本発明に用いる担子菌としては、椎又はマンネン茸いる


本発明では、これらの担子菌の菌糸体を培養して、その培養物から有効成分を抽出する。この場合、培地としては、固体培地、液体培地の何れも使用できるが、植物繊維成分を含有する培地、好ましくはリグニンを含有する植物から調製された培地が用いられる。リグニンを含有する植物としては、禾本科植物、例えばバガス(さとうきびの搾り粕)、トウモロコシの茎葉、小麦ふすま、米糠、稲藁、茅などが好ましく用いられる。この他に、熊笹、竹なども使用できる。また、必要に応じて他の栄養成分として、酵母エキス、乾燥酵母、クロレラ、スピルリナ、コーンミールなどを添加混合してもよい。
担子菌の菌糸体の培養は、上記のような植物を主原料とした培地に、胞子から発芽して生育した菌糸を接種して行う。固体培地の場合は、水分が60〜80質量%となるように調整し、常法に従い高圧蒸気滅菌した後、菌糸を接種し、例えば温度が18〜25℃に空調された培養室で3〜6ケ月間培養する。こうして菌糸体が蔓延した培地は、温度処理室に移して変温処理を行うことが好ましい。変温処理は、例えば最初に30〜34℃で24〜48時間加温し、次に低温室に移して3〜5日間処理する。その後培養室に移すと子実体の発生が始まるが、この時点で培養を終了し、培養物を破砕機で破砕する。
一方、液体培地の場合は、植物原料を細かく破砕し、必要に応じて米糠等の他の栄養成分を加え、原料が5〜20質量%となるように培地を調製した後、通気攪拌培養もしくは振とう培養により、好ましくは20〜28℃の温度で2週間〜2ケ月間程度培養を行う。培養は培地のpHが3.0〜3.5に低下し、培地中に菌糸体が蔓延した状態で終了する。
培養終了後、菌糸体に内在する酵素を利用して菌糸体を自己消化させると共に培養物を抽出する。その好ましい方法として、固体培地の場合は培養が終了した培養物を破砕し、必要に応じて少量の水を加え、30〜60℃で3〜6時間処理し菌糸体の酵素反応を進め自己消化させる。次いで、この破砕物を50℃以上の温水又は熱水に浸潤させ、有効成分を抽出する。抽出は、例えば1.2 kg/cm2の蒸気圧下で120 ℃というような加圧高温下で行うこともできる。こうして得られた抽出懸濁液を、好ましくは濾過又は遠心分離して濾液又は上清を採取し、菌糸体の代謝産物及び菌糸体細胞中に含有される有効成分を得る。
一方、液体培養の場合は、培養物全体を30〜60℃で3〜6時間処理し、菌糸体を自己消化させ、液状の懸濁培養物を得る。次いで、必要に応じて少量の水を加え、50℃以上、場合によっては高圧条件下(例えば1.2kg/cm2 の蒸気圧下)に加熱し、抽出物を得る。抽出物は、必要に応じて濾過又は遠心分離して濾液又は上清を採取し、有効成分を得る。
本発明のマルターゼ阻害剤は、上記の方法で得られた抽出液を、そのまま又は濃縮して、液体のまま製品化することもできるが、上記抽出液を凍結乾燥又は噴霧乾燥することにより粉末化することもできる。この抽出液から得られた粉末は、後述する実施例に示すように、糖質、蛋白質、及び水溶性リグニンを主成分とするものであり、血糖値上昇抑制作用を有することが確認された。
こうして得られた抽出物は、糖質を主体とした物質であるが、次のような物理化学的性質を有していることが確認された。
(i)分子量:2万〜100 万
(ii)化学組成
糖質:30〜50%
蛋白質:8〜15%
水溶性リグニン:20〜40%
なお、椎茸菌を用いて得られた上記培養抽出物(粉末)について安全性を試験した結果は次の通りである。
(A)急性毒性(LD50mg/kg)
(i) 経口7日間投与
マウス 雄:19600 雌:17700
ラット 雄:16400 雌:15600
(ii)腹腔内投与
マウス 雄:5500 雌:4920
ラット 雄:2490 雌:2270
(B)亜急性毒性(mg/kg)、最大無作用量
マウス 雄:6740 雌9100
ラット 雄:3840 雌7910
また、本発明のマルターゼ阻害剤の有効投与量は、経口摂取において成人1日当り1〜10gである。投与量がこれよりも少ないと、生体内における血糖値の上昇抑制効果が十分に得られず、投与量がこれよりも多いと、軟便又は腹部膨満感が生じることがある。ただし、投与量が上記より多くても安全性には問題ない。
本発明のマルターゼ阻害剤は、常法によって、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤として製品化することができる。また、抽出液を添加して液状又はゼリー状の飲料として製品化することもできる。更に、本発明のマルターゼ阻害剤を、各種飲食品に添加して血糖値上昇抑制効果が期待できる飲食品として製品化することもできる。
実施例1
(1)マンネンタケ菌の固体培養
バガス90%、脱脂米糠10%を配合し水分を70%となるように調整して固形培地を作り、常法通り高圧蒸気滅菌した。これにマンネンタケの菌糸を接種し、25℃に温度調節した培養室内で3ヶ月培養し、培地中に菌糸体が蔓延した後、温度処理室に移して35℃で24時間加温し、次いで10℃の低温室で3日間処理した。その後、培養室で3日間培養した後、培地を破砕機で親指程度の大きさに破砕した。破砕した培地を40℃で6時間処理し、自己消化を促進させた後、抽出タンクに詰め、60℃の温水を循環させながら16時間抽出した。得られた抽出液をカートリッジフィルターで濾過し、更にメンブランフィルターで濾過除菌後、濃縮し、凍結乾燥により褐色の粉末を得た。以下、この粉末を「本粉末」とする。
本粉末の成分を分析した結果以下の通りであった。
糖質 :40%(フェノール硫酸法)
蛋白質 :12%(セミミクロケルダール法)
水溶性リグニン:30%(アセチルブロマイド法)
無機質 :13%(直接灰化法)
(2)血糖値上昇抑制活性
本粉末にいついてα−グルコシダーゼの阻害活性を測定した。α−グルコシダーゼは別名マルターゼとも呼ばれ、α−グルコシド結合を加水分解する酵素である。澱粉の構成物であるマルトース(ブドウ糖が2分子結合した物)、アミロース等に作用してブドウ糖を生成する。
(i)酵素液の調製
マルターゼは、市販の酵素標品(Sigma:I1630)を使用した。酵素粉末に9倍量の56mMマレイン酸緩衝液(pH6.0)を加え、氷中で ガラスホモジナイザーを用いて均質化し、遠心分離(4℃、3000rpm、10min)した上清を酵素液とした。不活性化酵素標品は、上記の酵素溶液を100℃、20分間加熱したものを使用した。
(ii)酵素阻害活性の測定方法
2%のマルトース溶液(基質)20μLに、各種濃度に調製した本粉末(0.15mg/ml〜300mg/ml)及び56mMマレイン酸緩衝液(pH6.0)を等量加え、37℃で5分間保温後、上記酵素液を20μL加え、37℃で30分間保温した。反応後、沸騰水中で10分間加熱し酵素を失活させ反応を停止した。反応停止後、遠心分離(3000rpm、10min)し、上清中のグルコース量を「グルコースCII−テストワコー」(商品名、和光純薬製)を用いて測定した。マルトース、本粉末は上記マレイン酸緩衝液に溶解した。各試料について緩衝液を加えたものを対照とし、ブランクには不活化酵素溶液を用いた。阻害活性(%)は、対照生成グルコース量を100%とし、それに対して本粉末添加、無添加溶液で生成したグルコース量より算出した。全ての結果は、ブランクを差し引いた値で示した。
(iii)酵素阻害活性の測定結果
図1は、本粉末の濃度とマルターゼ阻害活性との関係を測定した図表である。同図に示されるように、本粉末は、10mg/mlから100mg/mlの濃度において、用量依存的にマルターゼ活性を阻害した。100mg/mlでは対照を100とした時の活性の65%を阻害した。
図2は、本粉末の濃度を、図1においてマルターゼを50%阻害したときの濃度である50mg/mlとし、グルコースの生成量を経時的に測定した結果を示す図表である。この場合、対照群に比べて15分後から阻害活性が認められ、2時間後まで持続的に阻害活性が認められ、本粉末はブドウ糖の生成を持続的に阻害することが認められた。
(iv)動物における血糖値上昇抑制効果
次に、本粉末の動物における血糖上昇抑制効果について調べた。すなわち、7週齢の雄ICRマウスに本粉末を1g/kg経口投与し、30分後に2g/kgのマルトースを負荷し、30分おきに血糖値を測定した。この結果を図3に示す。
図3に示されるように、本粉末を投与したマウスにおいては、マルトース負荷後30分及び60分の血糖値上昇が、対照群(蒸留水)に比べて有意に抑制された。本試験では本粉末投与群の血糖値曲線下面積は対照群に比較して20%程減少した。また、この場合においてマルトース負荷無しでの投与では血糖値の上昇はみられなかったことから、本粉末は糖の存在でのみ作用し、生体への影響はないことが認められた。
(3)活性成分の精製
本粉末のマルターゼ阻害活性成分の精製分画を試みた。すなわち、本粉末を水に溶解し、エタノール濃度が80%となるようにエタノールを加え、生成した沈殿を回収して凍結乾燥し、得られた粉末を水に溶解し、SephadexG-200を用いてカラムゲル濾過を行った。溶出は水で行い、280nmの吸光度を指標にしてボイド画分を集めてMP−1,続いて溶出される画分を集めてMP−2とし、減圧濃縮後水で透析し凍結乾燥した(図4参照)。
次いで、MP−1,MP−2についてin vitroでマルターゼの阻害活性をみた。その結果、MP−1は25、50、100mg/mlの何れの濃度においてもマルターゼの阻害活性はみられなかった。一方、MP−2は、図5に示すように、50mg/mlでは11%、100mg/mlでは60%の阻害活性が認められ、本粉末の主な活性成分は、低分子側に存在した。MP−2は、糖質45%、蛋白質25%、水溶性リグニン25%であった。
実施例2
椎茸菌を実施例1と同様な培地に接種して固体培養を行い、実施例1と同様な処理を行って抽出液を得た。この抽出液の凍結乾燥品の成分は以下の通りであった。
糖質 :35%
蛋白質 :11%
水溶性リグニン:35%
無機質 :12%
この抽出物のin vitroにおけるマルターゼの阻害活性を測定した結果、図6に示すように、本物質は25mg/mlでは65%、50mg/mlでは75%、100mg/mlでは100%の阻害活性を示した。
実施例3
熊笹の葉、茎をよく洗い乾燥して破砕し、米糠を重量比2割に混ぜて固形培地を作り、これに椎茸の菌糸を培養し、実施例1と同様の方法で抽出液を得た。この抽出液は実施例1と同様にin vitroでマルターゼの阻害活性が得られた。
実施例4
トウモロコシの茎を水洗、乾燥後破砕し米糠を重量比で2割加え水分を70%となるように調製して固形培地を作り、マンネンタケの菌糸を培養して実施例1と同様の方法で抽出した液は、マルターゼ活性を実施例1と同様阻害した。
実施例5
水1lに対し、ミキサーで細かく破砕したバガス100g、米糠20g、イーストエキス5gの割合で加えた液体培地を調製し、常法通り高圧蒸気滅菌を行い、椎茸の菌糸を接種した。23℃で2週間、通気(通気量:5L/min)、攪拌(50rpm)培養したのち、培養物を40℃で3時間加温し菌糸の酵素による自己消化反応を進行させた。その後80℃で1時間加熱殺菌し代謝物を抽出させた。抽出物は3000rpmで30分間遠心分離し沈殿物を除き、更に10000rpmで遠心し、褐色の液を得た。この抽出液を凍結乾燥したものは以下の組成であった。
糖質 :38%
水溶性リグニン:35%
蛋白質 :16%
その他 :11%
本品はin vitroで実施例2と同様にマルターゼを阻害した。
実施例6
55歳の男性の例:
30歳から糖尿で尿素剤を朝晩服用し、10数年前から毎日カロリー計算をし、血糖チェッカーで血糖値を測定していた。実施例1で得られた粉末を1日3g飲用して2週間後に、空腹時の血糖値が10年以上110〜140であったものが、70〜80に低下した。
実施例7
65歳の女性の例:
福岡県K病院へ糖尿で入院。入院時の空腹血糖値が263mg/dl、食後2時間の血糖値が465mg/dlであった。インシュリンを嫌い食事療法のみで、実施例2で得られた抽出物乾燥品を2g/日飲用。2か月で空腹時139、食後2時間が194に低下した。その後退院し、服用は続け6か月後で空腹時120前後に落ち着いている。この間、薬害等の副作用的なものは認められなかった。
本発明のマルターゼ阻害剤は、糖尿病患者や、糖尿病の虞れのある人に対して、日常的に摂取させることにより、血糖値の上昇を抑制して、糖尿病の予防、治療を図るための医薬品、健康食品等として利用することができる。
実施例1で得られた粉末の濃度とマルターゼ阻害活性との関係を測定した結果を示す図表である。 実施例1で得られた粉末の濃度を50mg/mlとして、グルコースの生成量を経時的に測定した結果を示す図表である。 実施例1で得られた粉末をマウスに経口投与し、30分後に所定量のマルトースを負荷して、30分おきに血糖値を測定した結果を示す図表である。 実施例1で得られた粉末を水に溶解し、SephadexG-200を用いてカラムゲル濾過を行った結果を示す図表である。 上記カラムゲル濾過で得られたMP−2の画分についてin vitroでマルターゼの阻害活性をみた結果を示す図表である。 実施例2で得られた抽出物の濃度とマルターゼ阻害活性との関係を測定した結果を示す図表である。

Claims (4)

  1. 植物繊維質原料を含有する培地を用いて担子菌であるマンネン茸又は椎茸の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分であって、糖質を30〜50%、蛋白質を8〜15%、及び水溶性リグニンを20〜40%含有する成分を有効成分として含有することを特徴とするマルターゼ阻害剤。
  2. 前記培養物は、前記菌糸体の培養終了後、菌糸体に内在する酵素を利用して菌糸体を自己消化させて得られたものである請求項1記載のマルターゼ阻害剤。
  3. 前記植物繊維質原料が、禾本科植物を含む請求項1又は2記載のマルターゼ阻害剤。
  4. 前記植物繊維原料が、バガス、熊笹の茎葉、とうもろこしの茎から選ばれた少なくとも1種と、米糠とを含む請求項2記載のマルターゼ阻害剤。
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