JP4601216B2 - ラケットフレーム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポーツ用のラケットフレームに関し、詳しくは、繊維強化樹脂からなる軽量ラケットフレームのスイートエリアや反発性能を改良し、特に硬式用テニスラケットとして好適に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年,ラケットフレームは繊維強化樹脂が,その軽量性,高剛性,高強度,耐久性等の特徴を生かして主流となっている。それは、近年のカーボン繊維の高強度、高弾性率化の発展により、カーボン繊維を主体とした強化繊維が、軽量ラケット実現に大きく貢献しているためである。具体的には、カーボン繊維で強化された熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)から一体的に成形されるものである。この材料は弾性率が高く優れたものであり、樹脂と組み合わせたプリプレグを様々な角度や大きさで積層することで、剛性設計の自由度を高めることができる。
【0003】
しかし、軽量化により反発するボールへのエネルギーが低減するため、ボールの反発速度の低下という問題があった。このような、ラケットフレームを軽量化したことに伴う反発性能の低下を解消するものとして、種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、本出願人は、特公平5−33071号にて、高反発性能を有するテニスラケット等の打球具として、ボールとラケットのメカニカルインピーダンスを一致させることを提案している。ここでいうメカニカルインピーダンスや固有振動数は、ラケットの打球面と垂直に変形する振動モードを対象にしており、面外振動と呼ぶこととする。
【0005】
また、本出願人は、特開平11−57074号において、面外方向(ラケットフレームの厚み方向でボールが衝突する方向)の一次固有振動数と面内方向(面外方向と直交方向)の一次固有振動数の比を所定範囲とすることで、反発性能を改善したラケットフレームを提案している。
【0006】
さらに、日本機械学会論文集,65-638,C(1999),3890−3897(神田芳文)では、ラケットの重量の増加が効果的に反発性能を向上させるとした「有限要素法によるテニスラケットとボールの衝突解析」が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本出願人が先に提案した特公平5-33071号のテニスラケットのようにラケットフレームのメカニカルインピーダンスを一致させるだけでは、実際に、軽量で高反発化を実現するには、未だ改良の余地があることが判った。具体的には、面外方向のメカニカルインピーダンスは、面外方向の剛性が寄与すると考えられる。この面外方向の剛性を増加させるには、ラケットフレームの断面形状やカーボン繊維補強の配置を、面外方向の剛性が高くなるように調整する方法がある。しかし、軽量ラケットの場合、繊維強化樹脂層の厚みは小さくするため、ボール衝突による面内方向の歪が大きくなり、ラケットフレームのトップ〜1時(11時)、あるいは3時(9時)付近で破断が生じやすくなる場合がある。
【0008】
また、本出願人が先に提案した特開平11-57074号のラケットフレームにおいても、ラケットフレームの反発性能を高めることはできるものの、コントロール性能に関しては、改善の余地があることが判明した。具体的には、ストリング無しの面内固有振動数を188Hz〜248Hzに制御するというものであり、高反発を実現できるものの、面安定性やコントロール性、スイートエリアの大きさについて改善の余地がある。
【0009】
さらに、日本機械学会論文集,65-638,C(1999),3890−3897(神田芳文)では、重量/バランスを調整しているため、ラケットのグリップ端を軸とするスイング方向の慣性モーメントが変化することとなり、ラケットを使用するユーザーにとって「振り易さ」が変わり、使用時の重量感を変化させることとなる。このため、操作性を大きく低減することとなる。また、軽量ラケットにおいて、高反発を実現できるものではない。
【0010】
このように、ラケットの反発性能を改善するには、ラケットフレーム重量、ラケットの重心(バランス)まわりの慣性モーメント、重心と撃心点との距離等の改良が考えられるが、現状では、上記の改良のみでは、軽量で十分な高反発性能を有するラケットフレームは得られておらず、さらなる反発性能の向上が望まれている。
【0011】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、軽量性を保ちながら、面安定性の向上とスイートエリアの拡大を図り、反発性能に優れたラケットフレームを提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、繊維強化樹脂製の軽量ラケットフレームのストリングを張架していない状態での面内固有振動数を、従来に比べて高い値に設定することで、面安定性の向上とスイートエリアの拡大を実現し、ラケットフレームの反発性能を向上させている。
【0013】
即ち、本発明では、繊維強化樹脂製のラケットフレームであって、
ストリング無しの重量が180g以上270g以下であり、ストリングを張架していない状態において、ラケットフレームの厚み方向でボールが衝突する方向である面外方向と直交する方向である面内方向の固有振動数が340Hz以上460Hz以下であり、
上記ストリングを張架した状態における重心と撃心点との距離を145mm以下としさらに、ラケットフレームのトップ部の面内方向の座屈剛性が100kgf/cm以上180kgf/cm以下であり、
ラケットフレームのヘッド部において打球面を時計面と見てトップ位置を12時とすると、3時(9時)部の面内方向の座屈剛性が25kgf/cm以上60kgf/cm以下であるラケットフレームを提供している。
【0014】
従来、通常の繊維強化樹脂製の軽量ラケットフレームでは、主に、面外方向の固有振動数が着目されているため、面内方向の固有振動数(以下、面内固有振動数と略す)の値についての研究は行われておらず、面内固有振動数は270Hz〜320Hz程度の小さい値のものが一般的であった。
これに対して、本発明者は鋭意研究の結果、ラケットフレームのストリングを張架していない状態での面内固有振動数を増大させることにより、ラケットフレームの軽量性を維持しながら、面安定性を向上させ、スイートエリアの拡大が可能となることを見出した。具体的には、ストリングを張架していない状態での面内固有振動数を340Hz以上460Hz以下の範囲としている。
【0015】
即ち、打球面の剛性に関しては、ストリングの剛性と面内方向のラケットフレーム剛性とが影響すると考えられ、打球時にはストリング及び、ラケットフレームが共に変形する。よって、ストリング側には、ラケットフレームの反力が反映されるため、ラケットフレームが高剛性になるほど、打球面内におけるストリングテンションの変化が少なく、このためスイートエリアが拡大することを見出した。また、ストリングを支えるラケットフレームの面内方向の剛性が小さいと、ストリング機能を有効に引き出せないことを見出した。以上の観点より、面内方向の固有振動数を上記のように高い値に設定することが要求される。
【0016】
また、本発明者は実験を積み重ねた結果、ラケットフレームの面安定性、コントロール性には、面内固有振動数が影響を及ぼすことを見出した。打球時のラケットフレームの面内方向の変形には、縦方向や横方向、さらにはそれらが組合わさった変形挙動が考えられると共に、ストリングも縦、横の2方向がある。これらの複合された変形挙動はいずれもラケットフレームの面内方向の剛性に寄与するため、面内固有振動数を調整することにより、ラケットフレームの打球時の挙動を安定させることができる。
【0017】
さらに、面内固有振動数はストリングテンションの影響を大きく受けることが知られており、ストリングを張架した状態と、張架していない状態とでは値が異なる。しかし、ストリングテンションはユーザーの好みにより決定するものであり、ユーザーが好みのストリング種類、ストリングテンションを指定し、ラケットフレームに張架するものである。本発明は、ストリングテンションの値によらず、幅広い範囲のストリングテンションに対して面安定性の向上、スイートエリア拡大を実現する設計であるため、ストリングを張架していない状態でのラケットフレームの面内固有振動数の値で規定している。
【0018】
以上より本発明では、ストリングを張架していない状態でのラケットフレームの面内固有振動数を340Hz以上460Hz以下、好ましくは345Hz以上455Hz以下としている。
上記範囲としているのは、340Hzより小さいとスイートエリアが小さく反発性能が良くないという問題があるためである。一方、460Hzより大きいとラケットフレーム重量を増加させる必要がある上に、打球感が硬く感じられるという問題があるためである。
【0019】
ストリングを張架していない状態でのラケットフレーム重量は、180g以上270g以下、好ましくは200g以上260g以下としている。これは、ラケットフレーム重量が180gより小さいとラケット強度が不足し、270gより大きいとラケットの軽量化に反するためである。面内固有振動数を上記範囲とする点からもラケットフレーム重量は上記範囲とするのが良い。
ここで、ラケットフレーム重量とは、ストリング無しのラケットフレーム完成品(塗装、グリップ等有り)の重量を指す。
【0020】
また、ストリング張架後のラケットフレームの面内固有振動数は、710Hz以上850Hz以下、好ましくは720Hz以上840Hz以下であるのが良い。
上記範囲としているのは、710Hzより小さいとスイートエリアが小さく反発性能が良くないという問題があるためである。一方、850Hzより大きいとラケットフレーム重量を増加させる必要がある上に、打球感が硬く感じられるという問題があるためである。
【0021】
ストリングを張架した状態での面内固有振動数は、面内剛性、ストリングテンション及びストリングを張架していない状態での面内固有振動数に依存する。しかし、同一テンションでは、ストリングを張架していない状態での面内固有振動数との相関性があるため、上記範囲としていることが好ましい。
【0022】
また、面内固有振動数が低いために、フレーム面内剛性が小さい従来のラケットフレームでは、高いテンションでストリングを張架した場合、ボールを打球した際のフレーム変形が大きかった。さらに、ストリングとフレームの面内固有振動数が同期していないため、エネルギーロスとなり反発性能が低下していた。このため、フレーム面内剛性が小さい従来のラケットフレームでは、ストリングテンションが高い方が、ストリングとボールの固有振動数がマッチしやすいにも関わらず、実際にはストリングテンションが低い方が、高反発性能を有していた。しかし、テンションが低すぎると、打球時にストリングが簡単に移動してしまうことがある上にストリング振動が励起され、不快な振動や音が残るといった問題があった。
一方、フレームの面内剛性を高くし、ストリングを張架した状態での面内固有振動数を上記範囲とすると、ストリングテンションを高くした場合でも、ボール打球時のフレーム変形が少なくなる上に、高反発性能を得られることが判明した。
【0023】
ストリングテンションは、40lb以上60lb以下、好ましくは42lb以上58lb以下であるのが良い。これにより、ストリングとボールの振動数がマッチしやすくなり、打球面全体において、高反発性能を有することができる。
上記範囲としているのは、40lbより小さいとストリングとボールの固有振動数が一致しにくくなり、反発性能が低下し、ストリングが移動しやすくなり、ストリングの縦糸と横糸の可動範囲が大きく打球時にストリング振動が励起し、異音が発生しやすくなるためである。一方、60lbより大きいとストリングとボールの固有振動数が一致しにくくなり、反発性能が低下し、打球感が硬くなると共に、ラケットフレームも破損しやすくなるという問題があるためである。
【0024】
ストリングを張架した状態でのラケットフレームの重心と撃心点との距離は、145mm以下である。軽量ラケットフレームにおいて、高反発性能を得るには、重量分布が重要である。特にストリングパターンにより重量分布が変動するため、実際にストリングを張架した使用状態での重量分布が重要であり、上記のように、重心と撃心点間の距離を設定している。
【0025】
上記のように重心−撃心点間距離を145mm以下とすると、撃心点が重心に近づくため、打撃時のエネルギーロスが小さくなり、ボールの返送に与えられるエネルギーが大きくすることができる。従って、打球時において、高反発性能を得ることができる。上記観点より、理論上は、上記重心と撃心点との距離が近づくほど、反発性能には優れているものと考えられる。
【0026】
なお、上記重心とは、ラケットのグリップ端とヘッド部頂点を結ぶ中心軸線方向の重量分布の中心点を指す。
上記撃心点とは、打球面でボールを打撃し衝撃を加えた際、プレーヤーの手に強い反動やショックが発生しないような打球面上の点であり、テニスラケットの反発性能とは直接関わりがなく、グリップを握ってボール打撃しても、手に振動・衝撃が伝わってこない打球面上の点を指す。
【0027】
上記重心−撃心点間距離は下記の式(1)によって求めることができる。
h=Ig/(m・x)−−−(1)
ここで、
h:重心から撃心点までの距離[cm]
x:重心から衝撃回転の中心までの距離[cm]
Ig:重心回りの慣性モーメント[g・cm
m:ラケットフレーム重量[g]
なお、衝撃回転の中心は、グリップ端から4cmの位置である。
【0028】
また、面内固有振動数を上記範囲に設定したこによる効果をさらに高めるために、座屈剛性を従来の価に比べ高い値とし、以下の範囲に設定している。なお、従来はトップ部の座屈剛性が80kgf/cm〜100kgf/cm、3時部の座屈剛性が8kgf/cm〜25kgf/cmであった。
このように、従来に比べ高い値で設定することにより、ストリングを張架して、ボールを打球する際に、ラケットフレームの変形を抑えることができる。なお、上記座屈剛性は、ラケットフレームのトップ部、及び、ラケットフレームのヘッド部において打球面を時計面と見てトップ位置を12時とすると3時(9時)部の値を規定している。具体的には、上記トップ部とはトップ位置を中心としてラケットフレームを8〜13mm長さだけ切り出した部分、3時(9時)部とは3時(9時)位置を中心としてラケットフレームを8〜13mm長さだけ切り出した部分を指し、面内方向(打球面と平行な方向)の座屈剛性を測定している。なお、座屈とは圧縮応力を支えていたパイプが屈伏することであり、座屈剛性とは、中空のラケットフレームをパイプとして考え、短い距離でつぶれる方向(幅方向)の剛性値のことを指す。
【0029】
具体的には、ラケットフレームのトップ部の座屈剛性は、100kgf/cm以上180kgf/cm以下、好ましくは115kgf/cm以上175kgf/cm以下であるのが良い。
上記範囲としているのは、100kgf/cmより小さいと、みかけの面内剛性が大きくてもストリング後の変形は、座屈変形が寄与し、フレーム本体の剛性が寄与しないためである。一方、180kgf/cmより大きいとO型断面に近い楕円断面となり、フレーム本体を形成する繊維強化材にシワが発生しやすくなると共にラケットの軽量化を図ることが困難になるためである。
【0030】
ラケットフレームのヘッド部において、打球面を時計面と見てトップ位置を12時とすると、3時(9時)部の座屈剛性は、25kgf/cm以上60kgf/cm以下、好ましくは30kgf/cm以上58kgf/cm以下であるのが良い。
上記範囲としているのは、25kgf/cmより小さいと、みかけの面内剛性が大きくてもストリング後の変形は、座屈変形が寄与し、フレーム本体の剛性が寄与しないためである。一方、60kgf/cmより大きいとO型断面に近い楕円断面となり、フレーム本体を形成する繊維強化材にシワが発生しやすくなると共にラケットの軽量化を図ることが困難になるためである。
【0031】
本発明のラケットフレームにおいて、ラケットフレームの断面周長が増加することや肉厚が大きくなることは、軽量化と逆方向であるため、軽量性を維持しながら、面内方向の断面2次モーメントを増加することが重要であることが判明した。従って、上記のように軽量化と両立してラケットフレームの面内固有振動数を規定するために、ラケットフレームの断面形状を以下のように調整している。
【0032】
具体的には、少なくともラケットフレームのヘッド部のトップ位置から3時(9時)の範囲において、ラケットフレームの幅W(フレーム断面の面内方向の長さ)/ラケットフレームの厚みT(フレーム断面の面外方向の長さ)の比(W/T)が0.45以上0.85以下、好ましくは0.48以上0.78以下の範囲であるのが良い。これにより、強度を保持しながら、軽量ラケットフレームの反発性能を効率よく向上させることができる。
上記範囲としているのは、0.45より小さいと面内剛性が低く、面内方向の固有振動数も小さいため、面安定性が悪く、スイートエリアも小さくなるという問題があるためである。一方、0.85より大きいと成形品内にシワが発生しやすく面外方向の剛性も低下するため強度が低下する場合があるためである。
即ち、トップから3時(9時)の少なくとも一部において、上記比の値を満たしていれば良く、好ましくはトップから3時(9時)の全範囲において上記比の値を満たすのが良い。
【0033】
また、ラケットフレームの断面形状略楕円形状であるのが良い。このように、矩形断面ではなく、打球面と平行となるような面は存在しない楕円断面にすることで、フレーム断面周長に対する面内方向の断面2次モーメントを効果的に増加させることが可能となり、面内方向の固有振動数を340〜460Hzにすることができる。
し、○型断面に近づけすぎると、繊維強化樹脂体をフレーム形状に曲げた場合、外側と内側の曲率の差が大きくなるため、シワが発生しやすい問題が生じる。このシワが発生した場合、ストリング作業時にそのシワに沿ってペイントクラックが発生したり、シワが顕著な場合は、その部分から破損しやすくなる。
【0034】
また、メカニカルインピーダンスや固有振動数は、ラケット打球面と垂直に変形する振動モードを対象にしており、面外方向の剛性が重要となるため、面内方向の剛性(固有振動数)以外にも、面外方向の剛性も適度に増加させていることが好ましい。ラケットフレームはヘッド部を有しておりフレーム全体を面外方向に変形させる時、センター付近のフレームでは捻れ変形が発生するため、面外方向の剛性は、面外方向の断面2次モーメントばかりでなく、捻れ剛性も大きく寄与するものである。
【0035】
本発明のラケットフレームは繊維強化プリプレグの積層体を中空パイプ状としたものから形成することが好ましい。上記繊維強化プリプレグとしては、主として、強化繊維をカーボン繊維とし、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)で含浸した繊維強化プリプレグが好適に用いられる。
【0036】
ラケットフレームを構成する繊維強化樹脂は、強化繊維で補強した樹脂であるため、繊維角度の調整により、方向性を有する補強が可能となり、軽量を維持した設計の自由度が高い。座屈剛性を大きくするには、下記のように繊維角度(パイプ状の積層体の長さ方向(軸線方向)に対する強化繊維の角度)を調整するのが好ましい。
繊維角度0°のプリプレグと、繊維角度90°のプリプレグを合わせた重量は、ラケットフレームの部品やペイントを構成する前のフレーム重量(成形しバリ等を除去したローフレーム重量)の30%以上70%以下であるのが好ましい。
上記範囲としているのは、30%より小さいと、充分な面内剛性及び座屈剛性が得にくいためである。一方、70%より大きいとフレーム断面の捻れ剛性の低下となり、フレーム全体としては面外剛性が不充分となり、面外方向による耐久性も低下しやすいためである。
【0037】
また、繊維角度0°のプリプレグと繊維角度90°のプリプレグの合計重量に対して、繊維角度90°のプリプレグの重量は15%以上35%以下であることが好ましい。これにより、面内方向の固有振動数と、ラケットフレーム断面における面内方向の座屈剛性を両立することができる。
上記範囲としているのは、15%より小さいと充分な座屈剛性が得にくいためである。一方、35%より大きいと面外剛性が低下し、面外方向の耐久性も悪くなりやすいためである。
【0038】
本発明のラケットフレームは、ウェット法(ドラムワインディング法)あるいは無溶剤法(ホットメルト法)により一方向連続繊維プリプレグを使用し、一般的なシートラッピングによる積層で構成されることが好ましい。これにより、繊維角度0°、90°のプリプレグを用いた補強が容易となり、補強繊維角度の設計自由度を向上することができる。なお、これらに限定されるものではなく、スリーブ状の組み紐を積層し,パイプを成型した後,配合エポキシ樹脂等を含浸し,成形する方法でも良い。樹脂を含浸したロービングをフィラメントワインディング(FW)しても良い。 フレームの成形方法は金型内で,成形品内部を可とう性チューブで加圧する方法が一般的である。
【0039】
ラケットフレーム成形品の繊維含有率は、48vol%以上60vol%以下であることが好ましい。これにより、高剛性化、軽量化を実現しながら、衝撃強度も高めることができる。ラケットフレームのような中空成形品では、単純な曲げモードばかりではなく、捻れを含めた変形モードが重要となる。ラケットフレームの場合、面外方向の曲げでもその変形に追従するためには、中空フレームの捻りが発生するため、捻れが複合されたモードとなっている。この捻れの場合、繊維強化樹脂層間の剪断が大きく寄与する。軽量ラケットフレームの場合、肉厚も小さくなり、実打時の座屈変形に対する衝撃力が負荷することとなり、この場合も層間剪断強度が重要となる。従って、繊維含有率を上記のように規定している。
上記範囲としているのは、48vol%より小さいと成形品全体の肉厚は増加するものの、成形品の複合材としての弾性率が低下し、強化繊維の各層を積算する断面2次モーメントが低下し、ラケットにおいて高剛性化が困難で、強度も低く、軽量化が達成できないためである。一方60vol%より大きいと十分な衝撃強度が得にくくなるためである。
【0040】
スイートエリアを考慮すると、本発明のラケットフレームの打球面の面積は100平方インチ以上130平方インチ以下、好ましくは105平方インチ以上128平方インチ以下であるのが良い。
上記範囲としているのは、100平方インチより小さいと様々な設計を導入しても、スイートエリア拡大が困難となるためである。一方、130平方インチより大きいと、面内固有振動数を増加させることが困難となり、340〜460Hzに到達するには強化繊維量が増加することとなり、ラケットフレーム重量が増加し、軽量化を図りにくくなるためである。
【0041】
上記ラケットフレームのトップ位置とグリップエンドとを結ぶ中心線上に位置する複数の異なる各打点位置での反発係数を測定し、各打点位置のラケットフレームトップ位置からの距離をx、その点での反発係数をyとして、各測定点と反発係数の関係を2次関数(y=ax+bx+c)に近似したときの係数aの絶対値の逆数をスイートエリアINDEXとし、該スイートエリアINDEXの値が3.8以上7.0以下であるのが好ましい。
上記範囲としているのは、スイートエリアINDEXが3.8より小さいとスイートエリアが小さいという問題があるためである。一方、7.0より大きいラケットフレームにおいては、現実的には高反発係数の維持との両立が困難となるためである。
【0042】
また、上記打点位置の数は、5点以上10点以下が良いが、好ましくは7点としている。各打点位置間の距離は10mm以上20mm以下とするのが良い。各測定点と反発係数の関係を2次関数(y=ax+bx+c)に近似する方法としては、xとyの関係をプロットし、該プロット点を多項式近似(2次)にて近似し、近似曲線を描くことにより近似するのが好ましい。
【0043】
以下に、具体的な成形方法の一例を記載する。
予めラケット断面周長を考慮した、平板形状のマンドレルを用意する。この平板マンドレルは、外側に巻き付ける繊維強化樹脂材料(樹脂含浸カーボン繊維;いわゆるカーボンプリプレグ)を重ね合わせた周長が、フレーム断面周長と一致するように調整する。マンドレルには、66ナイロンチューブ(厚み約80ミクロン)を被覆し、カーボン繊維プリプレグ(一方向繊維補強プリプレグ)を積層する。最外層となるプリプレグまで積層し、マンドレルを引き抜き、鉛直状の積層体を成型する。ヨーク部分となる補強材(これも一方向プリプレグ)を取り付け、金型内に配置して成形する。ヨーク部分には発泡ポリスチレン及びウレタン発泡材をナイロンチューブにて被覆したものを芯材としている。ウレタン発泡材はすでに発泡した板材であり、芯材として形状を保持するためのものであり、発泡スチレンが成形時に発泡することで、ヨーク部分に内圧を加えるものである。成形時には150℃、20分間の加熱を行うと同時にフレーム本体部のナイロンチューブ内に圧力(空気)を封入する。この内圧は、9kgf/cmに調整することができる。成形後には内圧チューブである66ナイロンチューブを引き抜いている。「フレーコートHSC−4」を、ウエスにより薄く塗布した後に、50℃10分間にて硬化・乾燥した。そのように乾燥した後のナイロンチューブを使用し、成形後に抜き取るものである。ナイロンチューブがシワとなり、チューブ同志の接触により、不快な振動を発生する可能性がある。そのような不快振動を抑制するためにも、内圧用チューブを抜き取ることが好ましい。なお、フレームを成形する際に使用する内圧チューブを成形後除去することも好ましい。内圧チューブの表面に離型剤処理を行うなどの方法により、内圧チューブを抜き取ることが可能である。
【0044】
繊維強化樹脂に用いられる樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられるが、強度と剛性の点より、熱硬化性樹脂が好ましく、特にエポキシ系樹脂が好ましい。その他、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ケイ素樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0045】
上記エポキシ樹脂としては、アミン類、フェノール類、炭素−炭素間の二重結合を有する化合物を前駆体とするものが好ましい。さらには、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。
【0046】
具体的には、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体が挙げられる。
フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
炭素−炭素間の二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0047】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物であれば良く。アミン類、酸無水物類、イミダゾール類等が知られており、エポキシ樹脂に適宜、所定量添加する。
具体的には、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素錯体、ポリフェニール化合物などを使用することができる。また、これらの硬化剤に、イミダゾール類や尿素化合物などを硬化促進剤として併用することができる。
【0048】
エポキシ樹脂の硬化温度は,硬化剤の選択により,変更が可能であるが、140〜160℃であることが好ましい。
【0049】
強化繊維としては、一般に高性能強化繊維として用いられる繊維が使用できる。例えば、カーボン繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ガラス繊維が挙げられる。これらの強化繊維は、長繊維、短繊維の何れであっても構わないが、軽量化・高固有振動数のためには、連続繊維であることが好ましい。また、これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。強化繊維の形状や配列については限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物(クロス)状、組み紐状などいずれの形状・配列でも使用可能であるが、軽量化・高固有振動数のためには、単一方向の積層体が好ましい。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3は第1実施形態のラケットフレーム2を示し、ラケットフレーム2は、打球面Fを囲むヘッド部3、スロート部4、シャフト部5、グリップ部6を連続して構成している。ヘッド部3は、別部材からなるヨーク7をスロート側でラケットフレーム2と連続して打球面Fを囲む環状としている。
【0051】
ラケットフレーム2は、繊維強化樹脂製の中空パイプからなり、カーボン繊維をマトリクス樹脂のエポキシ樹脂で含浸している繊維強化プリプレグの積層体からなる。
【0052】
ストリングを張架していない状態でのラケットフレーム2の面内固有振動数を377Hzとしている。また、ストリングを50lbで張架し、ストリングを張架した状態での面内固有振動数を774Hzとしている。
【0053】
図3(A)(B)に示すように、ラケットフレーム2の断面形状は、打球面と平行となるような面は存在せず、全体として丸みを帯びた略楕円形状としている。図3(A)に示すように、ラケットフレーム2のヘッド部3のトップ位置(12時)において、ラケットフレーム2の幅Wは14mm、ラケットフレーム2の厚みTは27mm、比(W/T)は0.52とし、厚み方向の頂点2a、2bの曲率は5.5としている。また、図3(B)に示すように、ラケットフレーム2のヘッド部3の3時(9時)位置において、ラケットフレーム2の幅Wは13.5mm、ラケットフレーム2の厚みTは28mm、比(W/T)は0.48とし、厚み方向の頂点2a’、2b’の曲率は5.0としている。このような断面形状となるように繊維強化プリプレグを積層している。このように断面形状を調整することで、面内固有振動数及び、面内方向の剛性値を規定している。
【0054】
繊維角度0°のプリプレグと、繊維角度90°のプリプレグを合わせた重量は、ラケットフレームの部品やペイントを構成する前のフレーム重量(成形しバリ等を除去したローフレーム重量)の53.5%としている。また、繊維角度0°のプリプレグと繊維角度90°のプリプレグの合計重量に対して、繊維角度90°のプリプレグの重量は19.7%としている。なお、成形品の繊維含有率は、48vol%〜60vol%の範囲内としている。
【0055】
トップ部の面内方向の座屈剛性は143kgf/cm、打球面Fを時計面と見てトップ位置を12時とすると、3時部の座屈剛性は41kgf/cmとしている。
【0056】
ラケットフレーム重量は245g、バランス点はグリップ部6の先端より360mmの位置と、ストリングを張架した状態でのラケットフレームの重心と撃心点との距離は、118mmとしている。ラケットフレームの打球面の面積は115平方インチとしている。
【0057】
上記ラケットフレーム2は、カーボン繊維からなる繊維強化プリプレグのシートを内圧用チューブの表面に積層して強化繊維成形体(レイアップ)を予め成形し、このレイアップを成形用金型内に配置し、型締め後、150℃、20分間の条件で加熱し成形している。其の際、内圧用チューブへ付加する内圧は9kgf/cmとしている。
【0058】
上記のように、ラケットフレームの断面形状、繊維強化プリプレグの繊維角度とプリプレグの積層割合を規定し、面内方向の座屈剛性の値、面内固有振動数の値とすることで、スイートエリアが拡大され、反発性能が高く、面安定性にも優れる軽量なラケットフレームを得ることができる。ラケットフレーム2は、特に硬式用テニスラケットに好適に用いることができる。
【0059】
以下、本発明のラケットフレームの実施例1〜4、参考例5〜7及び比較例1〜3について詳述する。
【0060】
実施例、参考例、比較例ともにラケットフレームの全長は28インチ、打球面積は115平方インチとした。ストリングテンションは50lbとした。
それぞれの断面周長に合わせたマンドレルに、66ナイロンチューブを被覆し、CFプリプレグを積層し、鉛直状の積層体から従来の方法によりラケットフレームを成形した。カーボン繊維プリプレグは、樹脂重量割合が43wt%のものを使用した。
カーボン繊維は、東レのT700、M30、M40Jを組み合わせて使用した。プリプレグの繊維角度は、0゜,22゜,30゜,45゜,90゜とした。グリップ部分を除くフレームの長さは直線形状とした場合1640mmになるようにした。
成形後のローフレームは、バリとりを行い、ガット穴加工を施した。さらに、パテ塗り・ペイント塗装を行い、バンパー・グロメット・エンドキャップ・グリップレザー等の一般的部品を取り付け、ラケットフレームを完成させた。
【0061】
ラケットフレームの重量/バランス、面内固有振動数(ストリングあり、なし)、重心−撃心点の距離、座屈剛性、ラケットフレームの厚さ・幅(トップ、3時)、ラケットフレーム断面形状(断面ストリング垂直部曲面)、繊維強化プリプレグの0゜+90゜の割合、90゜/(0゜+90゜)の割合を、各々下記の表1及び表2の通り設定した。上記各項目値は後述する方法により測定した。
なお、成形品は、座屈剛性を測定した部分の繊維含有率を測定すると、実施例・比較例共に、50vol%〜58vol%の範囲内であった。
【0062】
【表1】
Figure 0004601216
【0063】
【表2】
Figure 0004601216
【0064】
(実施例1〜4、参考例5〜7)
各々、断面形状、繊維強化プリプレグの割合を調整し、上記表1に示すような設定とした。ストリングなしの面内固有振動数は、いずれも本発明の規定範囲内とした。なお、参考例7は、実施例1に対し、強化繊維の配置を変更した。
【0065】
(比較例1〜3)
各々、断面形状、繊維強化プリプレグの割合を調整し、上記表2に示すような設定とした。ストリングなしの面内固有振動数は、いずれも本発明の規定範囲外とした。なお、比較例2は、比較例1と同一レイアップとし、断面形状を変更した。比較例3は、実施例2の断面形状を変更した。
【0066】
上記実施例1〜4、参考例5〜7及び、比較例1〜3のラケットフレームに関し、それぞれ、後述する方法により面内固有振動数、重心−撃心点間の距離、座屈剛性、反発係数を測定した。またペイントクラックの発生率、耐久テストを行った。その結果を上記した表1及び表2の下欄に示す。
【0067】
(面内固有振動数の測定)
図4(A)に示すように、各実施例及び比較例のラケットフレームにおいて、ラケットを下向きとし、シャフト部5とスロート部4との合流点を紐51で吊り下げ、ヘッド部3の最大幅位置の一側に加速度ピックアップ計53をフレーム面(打球面)に平行となるように固定した。この状態で、図4()に矢印で示すようにスロート部4のヨークとの接合部をインパクトハンマー55で加振した。インパクトハンマー55に取り付けられたフォースピックアップ計で計測した入力振動(F)と加速度ピックアップ計53で計測した応答振動(α)をアンプ56A、56Bを介して周波数解析装置57(ヒューレットパッカード社製、ダイナミックシングルアナライザーHP3562A)に入力して解析した。解析で得た周波数領域での伝達関数を求め、図4()に示すような面内2次振動モードのラケットフレームの面内固有振動数を得た。
【0068】
(撃心点測定方法)
図5に示すように、ラケットフレーム1の重心Gから衝撃回転の中心Oまでの距離x[cm]と重心G回りの慣性モーメントIg[g・cm]とラケットフレーム重量m[g]とから、前述した式(1)h=Ig/(m・x)により、重心Gから撃心COPまでの距離h[cm]を求めた。上記距離hを求めることで、グリップ部6の端部6aから撃心COPまでの距離を算出した。なお、衝撃回転の中心Oは、グリップ部6の端部6aから4cmの位置とした。
【0069】
(座屈剛性の測定方法)
トップ位置を中心としてラケットフレームを10mm長さだけ切り出した部分、及び、3時(9時)位置を中心としてラケットフレームを10mm長さだけ切り出した部分を測定サンプルとした。サンプル長さを計測し、サンプル座屈方向(面内(幅)方向)に10mm/minの速度にて荷重を加え、バネ定数を測定した。圧縮子の大きさは、サンプル以上とした。サンプル長さに対して、単位長さ当たりのバネ定数を算出し、座屈剛性とした。
【0070】
(反発係数の測定)
反発係数は、図6に示すように、実施例及び比較例のラケットフレーム1にガット(ストリング)を縦糸55lb、横糸50lbの張力で張架した。各ラケットを垂直状態でフリーとなるようにし、その打球面Fのフェイスセンターに、ボール打出機から一定速度Vx(30m/s)でボールBを衝突させ、跳ね返ったボールBの速度Veを速度検出用光電管40により測定した。なお、速度検出用光電管40の長さは100mm、ラケットと速度検出用光電管40との距離は300mmとした。反発係数は発射速度Vx、反発速度Veの比(Ve/Vx)であり、反発係数が大きい程、ボールの飛びが良いことを示している。
【0071】
(スイートエリアIndexの測定)
図7に示すように、ラケットフレームのトップ位置とグリップエンドとを結ぶ中心線上に位置する複数の異なる打点位置での反発係数を測定し、各打点位置のラケットフレームトップ位置からの距離をx、その点での反発係数をyとして、各測定点と反発係数の関係を2次関数(y=ax+bx+c)に近似したときの係数aの絶対値の逆数をスイートエリアINDEXとした。打点位置は7点とし、各打点位置の間隔は10〜20mmとした。2次関数の近似は、測定点をプロットし近似曲線を描き、多項式近似(2次)にて行った。
【0072】
(ペイントクラック発生率)
ラケットフレーム成形品において、ペイントクラックの発生率(%)を測定した。
【0073】
(耐久テスト方法)
グリップ部を、ゴムホースを介在し、固定し、ボールを75m/secのスピードで、ヘッド部のトップ位置から10cmの箇所に衝突させ、破損した回数を測定した。実際のテニスを行う時のボール速度よりも非常に高速としているが、少ない回数で、破断するまでの耐久評価を行うための条件である。ガット張りテンションは縦糸65lb×横糸60lbとした。2,600回をクリアできないものはNGとした。
【0074】
表1及び表2に示すように、実施例1〜はいずれも耐久テストをクリアし、最大反発係数、スイートエリアINDEXも高い値を示し、反発性能に優れることが確認できた。比較例1は、耐久テストはクリアしたものの、最大反発係数、スイートエリアINDEXの値が実施例に比べて小さかった。
【0075】
一方、比較例2、3は、耐久テストにて2600回をクリアできず、耐久性に劣る結果となった。比較例2は、スイートエリアINDEXも小さい値であった。比較例3は、スイートエリアINDEXは大きい値を示すが、549回と少ない回数で破断している上に、ペイントクラック発生率も20%と非常に高く、特に耐久性が劣っていた。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、繊維強化樹脂製の軽量ラケットフレームのストリングを張架していない状態での面内固有振動数を、従来に比べて高い値に設定することで、面安定性の向上とスイートエリアの拡大を実現し、ラケットフレームの反発性能を向上させている。
【0077】
また、重心と撃心点との距離を設定することにより、反発性能をさらに向上することができる。さらに、面内方向のラケットフレームのヘッド部のトップ部と3時(9時)部の座屈剛性の値を規定することにより、さらなる強度と反発性能の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のラケットフレームの概略平面図である。
【図2】 第1実施形態のラケットフレームの側面図である。
【図3】 (A)はラケットフレームのトップ部(図1のA−A線)の断面図、(B)はラケットフレームの3時(9時)(図1のB−B線)の断面図である。
【図4】 (A)は面内固有振動数の測定方法を示し、()は面内2次振動モードを示す図である。
【図5】 撃心点の測定方法を示す概略図である。
【図6】 反発係数の測定方法を示す図である。
【図7】 スイートエリアINDEXの測定方法を示す図である。
【符号の説明】
2 ラケットフレーム
2a、2b 頂点
3 ヘッド部
4 スロート部
5 シャフト部
6 グリップ部
7 ヨーク
F 打球面

Claims (1)

  1. 繊維強化樹脂製のラケットフレームであって、
    ストリング無しの重量が180g以上270g以下であり、ストリングを張架していない状態において、ラケットフレームの厚み方向でボールが衝突する方向である面外方向と直交する方向である面内方向の固有振動数が340Hz以上460Hz以下であり、
    上記ストリングを張架した状態における重心と撃心点との距離を145mm以下としさらに、ラケットフレームのトップ部の面内方向の座屈剛性が100kgf/cm以上180kgf/cm以下であり、
    ラケットフレームのヘッド部において打球面を時計面と見てトップ位置を12時とすると、3時(9時)部の面内方向の座屈剛性が25kgf/cm以上60kgf/cm以下であるラケットフレーム。
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