JPH11178950A - ラケット - Google Patents

ラケット

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JPH11178950A
JPH11178950A JP9353820A JP35382097A JPH11178950A JP H11178950 A JPH11178950 A JP H11178950A JP 9353820 A JP9353820 A JP 9353820A JP 35382097 A JP35382097 A JP 35382097A JP H11178950 A JPH11178950 A JP H11178950A
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grip
racket
ball
hitting
grip portion
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Kunio Niwa
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 グリップ部の剛性を低下させて、ボールの反
発性能を高めると共に、コントロール性をよくする。 【解決手段】 中空状の繊維強化樹脂から成形したグリ
ップ部を、ラケットフレームの全長に対してグリップ端
から25±10%の長さの位置でフレーム本体部と接合
し、該グリップ部の中空部全長の少なくとも一部に打球
方向のリブを配置していない。あるいは、グリップ部の
中空部全長の少なくとも一部に打球方向と垂直の打球面
方向のリブを配置している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はテニスラケット等の
スポーツ用のラケットに関し、特に、ラケットの軽量化
を図りながら、打球する際に反発係数の増加およびボー
ルのコントロール性能を向上させ、さらに、振動減衰性
を高めるものである。
【0002】
【従来の技術】近年のラケットは、プレーヤーから操作
性を良くするために軽量化の要望が強い。該要望に応え
るため、従来のラケットフレームのグリップ部分は、フ
レーム本体を構成する繊維強化樹脂に発泡ウレタン等の
軽量発泡体を被覆して形成していたが、上記発泡体を除
去して、繊維強化樹脂のみでグリップ部分を構成したラ
ケットが提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記グリップ部分の発
泡体を除去することにより、15g〜20gの重量低減
を図ることができたが、下記に列挙する問題が発生して
いる。
【0004】グリップ部分の外形を従来と同様とする
と、発泡体を除去した代わりに、繊維強化樹脂の外形を
大きしたため、断面二次モーメントが増加する。その結
果、グリップの剛性が高くなり、フレームの面外二次固
有振動が大きくなる。本出願人の先行出願(特開平7−
100231)に記載したように、フレームの面外二次
固有振動数をボールの固有振動数と一致させると、ボー
ルの反発性能が大きくなる。そのため、フレームの面外
二次固有振動数を低減してボールの固有振動数を一致さ
せるようにしているが、実際には、ボールは使用時に温
度上昇により内圧が低減し、ボールの固有振動数の低減
が発生している。よって、フレームの面外二次固有振動
数をさらに低減することが必要となるが、上記のように
面外二次固有振動数が大きくなると、ボールの固有振動
数と一致しなくなり、ボールの反発性能が低下する。
【0005】上記のように、グリップの剛性が高くな
るため、打球時のフレームの変形は打球面を囲むフェイ
ス部分での変形が大きくなり、打球面の安定性が悪くな
る。よって、打球時のコントロール性が低下する。
【0006】グリップ部分では、打球方向の剛性が高
くなって、変形しにくくなる。そのため、グリップ部分
には、打球と垂直方向の変形が励起されて、ラケットフ
レームが振れやすくなり、コントロール性が低下する。
このように、グリップ部分で打球方向の剛性が高くなる
のは、図11に示すように、ラケットフレームの成形時
に、1本のスリーブを金型のキャビティに沿って充填
し、グリップ部分では2本のスリーブS1,S2を並列
に接合した状態となる。この2本のスリーブS1、S2
が並列に接合して、その中心部にリブRが位置し、該リ
ブRが打球方向に設置されるためである。
【0007】発泡体を除去したため、プレーヤーの手
に直接的に打球の衝撃が伝わり、不快な振動が残るた
め、打球感が悪くなる。加えて、テニスエルボー等の人
体に与える影響も大きくなる。
【0008】本発明は上記した問題に鑑みてなされたも
ので、ラケットの操作性を良くするために、グリップ部
分の軽量化を図りながら、反発性能およびコントロール
性能を低下させず、しかも、振動吸収性にすぐれたラケ
ットを提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、請求項1で、中空状の繊維強化樹脂から
成形したグリップ部を、ラケットフレームの全長に対し
てグリップ端から25±10%の長さの位置でフレーム
本体部と接合し、該グリップ部の中空部全長の少なくと
も一部に打球方向のリブを配置していないラケットを提
供している。なお、グリップ部分の全長にわたって打球
方向のリブを配置していないラケットを当然含むもので
ある。
【0010】上記のように、グリップ部の中空部におい
て、打球方向と同一方向(言い換えれば、打球面に対し
て垂直方向)のリブを設けると、グリップ部の打球方向
の剛性が高まるため、本発明では、グリップ部の少なく
とも一部には打球方向のリブを配置しないようにして、
グリップの剛性、特に打球方向の剛性が大きくなり過ぎ
ないようにしている。このように、グリップの剛性、特
に打球方向の剛性を低下すると、面外二次固有振動数が
小さくなり、ボールの固有振動数と一致させて反発性能
を高めることができる。
【0011】上記打球方向のリブを除去する部分は、上
記したように、グリップ端から25±10%の範囲であ
って、かつ、リブ除去部分の長さは20mm以上である
ことが好ましい。上記グリップ端から25±10%の範
囲は図12に示すように、面外方向の振動二次モードの
腹に相当する部分であり、振幅の大きくなる部分であ
る。よって、この振動二次モードの腹Hに相当する部分
で打球方向のリブを除去して打球方向の剛性を低くする
と、振幅の大きさを抑制して、プレーヤーの手に伝わる
衝撃を抑制することができる。
【0012】また、本発明は、請求項2で、中空状の繊
維強化樹脂から成形したグリップ部を、ラケットフレー
ムの全長に対してグリップ端から25±10%の長さの
位置でフレーム本体部と接合し、該グリップ部の中空部
全長の少なくとも一部に打球方向と垂直な打球面方向の
リブを配置しているラケットを提供している。なお、グ
リップ部分の全長にわたって上記打球方向と垂直な打球
面方向のリブを配置しているラケットを当然含むもので
ある。
【0013】上記のように、グリップ部の中空部に、打
球方向のリブを設ける代わりに、打球方向と垂直な打球
面方向のリブを配置すると、打球方向の剛性が低下し
て、面外二次固有振動数を減少し、ボールの反発性能を
高めることができると共に、打球方向と直交方向の剛性
を高めて、グリップ部の打球方向と垂直方向の変形を抑
制しコントルール性を高めることができる。
【0014】上記請求項1または請求項2のラケット
は、グリップ部における打球方向の剛性を1000kgf/
cm以下としていることが好ましい(請求項3)。即ち、
打球方向の剛性を1000kgf/cmより大きくすると、面
外二次固有振動数が大きくなり、ボールの固有振動数と
の差が大きくなり、反発性能が低下する。
【0015】上記請求項1乃至請求項3のいずれか1項
に記載のラケットは、そのグリップ部において、(打球
方向の剛性/打球方向に垂直な剛性)が、0.5〜2.
2の範囲としていることが好ましい(請求項4)。即
ち、0.5より小さいとボール打球時にグリップの正面
部分の歪量が励起され、大きくなるため破損しやすくな
る。また、2.2より大きいと、打球方向の剛性が増加
し、面外二次固有振動数が増加し、反発性能が低下し、
かつ、打球方向の垂直な剛性が小さくなりすぎ、打球と
垂直方向の変形が大きくなるため、コントロール性が低
下する。
【0016】上記した本発明に係わるラケットのフレー
ムは、グリップ部の強化繊維成形体(レイアップ)をフ
レーム本体(打球面を囲むヘッド部およびスロート部)
の強化繊維成形体(レイアップ)と別に成形しておき、
上記グリップ部の強化繊維成形体では、そのスリーブ状
の内部にリブを設けず、あるいは、打球方向と垂直方向
のリブを設けている。このグリップ部の強化繊維成形体
の前端とフレーム本体の強化繊維成形体の後端とを重ね
あわせる(好ましくは、グリップ部の強化繊維成形体内
に他の部分の強化成形成形体を挿入して重ね合わせ
る)。この状態で金型のキャビティに充填し、反応射出
成形により、あるいは、プリプレグより強化繊維成形体
を成形した場合には加熱溶融してラケットフレームを成
形している。
【0017】なお、グリップ部のマトリクス樹脂として
は、ナイロン等の熱可塑性樹脂を用いた方が振動減衰性
が優れているため好ましい。この場合、特に、プレーヤ
ーに接触するグリップ部で、少ない熱可塑性樹脂の使用
量で効果的な振動減衰性を得ることができる。よって、
金型のキャビティに上記強化繊維成形体を配置し、ナイ
ロンモノマーを注入し、金型内で重合反応させるRIM
ナイロンによる反応射出成形で6ナイロンをマトリクス
樹脂とするラケットフレームを製造することが好まし
い。
【0018】なお、6ナイロンあるいは66ナイロン等
の繊維と強化繊維のコミングルドヤーンをブレイド状に
成形し、該ブレイドより成形した成形体を金型のキャビ
ティ内に充填し、上記6ナイロンあるいは66ナイロン
を加熱溶融してラケットフレームを製造してもよい。ま
た、成形体はナイロンロービングと強化繊維ロービング
をそれぞれブレイドにして積層して形成してもよく、さ
らに、これらナイロンロービングと強化繊維ロービング
とをフィラメントワインディングで成形してもよい。
【0019】上記のように、スリーブ状のグリップ部の
成形体と、フレーム本体部の成形体とを別に設け、これ
ら成形体の接合端部を重ねた状態で金型のキャビティ内
に充填して一体成形する方法にかえて、上記接合端部を
機械的に接合してもよい。即ち、グリップ部の成形体の
接合端部にほぞ穴をあけておくと共に、フレーム本体の
成形体の接合端部にほぞを設けて、上記ほぞ穴に嵌合
し、かつ、ほぞ穴とほぞの接合箇所に軸ピンを貫挿して
両者を連結すると共に、その接合箇所に接着剤を被覆貼
着して硬化させ、接合部分が十分な強度を保つようにし
てもよい。上記接着剤は動植物質系接着剤、合成接着剤
等が任意に用いられる。
【0020】上記一体成形する場合および機械的に接続
する場合のいずれも、グリップ部とフレーム本体部との
重なり長さは、打球方向の剛性を1000kgf/cm
以下に保持するために、全長の15%以下、好ましくは
10%以下としている。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を説明す
る。第1実施形態は、図1(A)(B)(C)に示すよ
うに、打球面1を囲むヘッド部2、スロート部3、シャ
フト部4およびグリップ部5からなる中空状の繊維強化
樹脂からなるテニスラケットフレームにおいて、上記グ
リップ部5は図1(C)に示すように、中空状とし、内
部に打球面1と垂直な打球方向Xのリブを設けていな
い。なお、打球方向と垂直な打球面方向Yのリブも設け
ていない。上記グリップ部5はグリップ端5aからフレ
ーム全長に対して25±10%の位置で、フレーム本体
6のシャフト部4と接合しており、該接合長さを50m
mとしている。
【0022】上記第1実施形態のテニスラケットはグリ
ップ部を別にRIM成形しで形成し、この予め成形した
グリップ部を、フレーム本体部のスリーブ状の繊維成形
体の端部と重ね合わせて金型のキャビティ内に配置し、
一体的に成形している。
【0023】即ち、まず、マンドレルに被せた66ナイ
ロンチューブにカーボン繊維ブレイド(東邦レーヨン製
BC7396−24(20)を積層し、積層後に上記チ
ューブよりマンドレルを引き抜き、樹脂を含浸していな
い繊維積層体からなる成形体を作成した。この成形体を
図2に示すように、金型7のキャビティ7a内に配置
し、金型の型締めを行った。金型を150℃に昇温し、
キャビティ内に溶融したナイロンモノマー(宇部興産製
UX−75)を注入した。この溶融温度は90℃で、触
媒を含むA液と開始剤を含むB液を1:1で混合して注
入した。注入圧は3kgf/cm2に制御すると共に上
記66ナイロンチューブ内に3kgf/cm2の空気圧
を加えた。3分間の保持後、離型し、グリップサイズ#
2に相当するグリップ部分5’を成形した。
【0024】一方、グリップ部5を除くフレーム本体部
6は、エポキシ樹脂をマトリクス樹脂としたカーボン繊
維強化のプリプレグをナイロンチューブの外周に巻き付
けて長尺なスリーブからなる強化繊維成形体8を作成し
た。この成形体8の両端を図2(B)に示すように上記
グリップ部分5’の一端に挿入して重ね合わせ、接合長
さを50mmとした。この状態で図2(C)に示すよう
に金型9のキャビティ9a内に配置し、145℃で加熱
して、ヘッド部2、スロート部3、シャフト部4からな
るフレーム本体6を成形すると同時にグリップ部5を一
体的に接合した。
【0025】上記方法で製造したテニスラケットは図1
に示す形状で、グリップ部5は完全な中空状で内部にリ
ブは存在していない。該テニスラケットフレームは全長
710mm、重量278g、バランス点はグリップ端か
ら341mm、グリップ部5の長さは205mmであっ
た。
【0026】図3は第2実施形態を示し、グリップ部5
には打球面方向Yのリブ10を設けている。該第2実施
形態のテニスラケットフレームも第1実施形態と同様
で、中空状の繊維強化樹脂から成形しており、グリップ
部5を、ラケットフレームの全長に対してグリップ端か
ら25±10%の長さの位置でフレーム本体部6と接合
し、該グリップ部5の中空部全長の少なくとも一部に上
記打球方向Xと垂直の打球面方向Yのリブ10を設けて
いる。
【0027】上記第2実施形態のテニスラケットもグリ
ップ部を成形し、この予め成形したグリップ部を、第1
実施形態と同様に、フレーム本体部のスリーブ状の繊維
成形体の端部と重ね合わせて金型のキャビティ内に配置
し、一体的に成形している。
【0028】即ち、まず、マンドレルに被せた66ナイ
ロンチューブに6Kのカーボン繊維ロービングと6ナイ
ロン繊維ロービングとをフィラメントワインディング装
置により巻き付けた。其のとき、巻き付ける繊維角度を
鉛直方向に対して20゜および38゜になるように積層
して巻き付けた。このようにして作成した2本のスリー
ブ11A、11Bを図4(A)に示すように、金型7’
のキャビティ7a’内に並列に配置して、金型7’の型
締めを行った。金型を270℃に加熱して20分保持
し、かつ、各スリーブ11A、11Bに夫々15kgf
/cm2の内圧をかけた。その後、冷却して離型し、図
4(B)に示すグリップ部5’を成形した。該グリップ
部5’には図中上下に積層したスリーブ11Aと11B
との中央重なり部分がリブ10となっている。
【0029】一方、グリップ部5’を除くフレーム本体
部6は、第1実施形態と同様に、エポキシ樹脂をマトリ
クス樹脂としたカーボン繊維強化のプリプレグをナイロ
ンチューブの外周に巻き付けて長尺なスリーブからなる
成形体8を作成した。この成形体8の両端を図4(C)
に示すように上記グリップ部5’の一端に挿入して重ね
合わせ、接合長さを50mmとした。其の際、グリップ
部5’の接合端ではリブ10を切除して中空状とし、該
中空部に上記成形体8の両端を挿入した。この状態で図
4(D)に示すように金型9のキャビティ9a内に配置
し、145℃で加熱して、ヘッド部2、スロート部3、
シャフト部4からなるフレーム本体部6を成形すると同
時にグリップ部5を一体的に接合した。
【0030】上記方法で製造したテニスラケットは図3
に示す形状で、グリップ部5の中空状内部には打球面方
向Yのリブ10が存在している。該テニスラケットフレ
ームは全長710mm、重量281g、バランス点はグ
リップ端から339mm、グリップ部5の長さは205
mmであった。
【0031】図5は第3実施形態のテニスラケットを示
し、グリップ部5の中空部の中心には打球方向Xにナイ
ロンチューブ・シート20を配置している。該ナイロン
チューブ・シート20は、繊維強化樹脂からなるリブで
はなく、単にプリプレグを巻き付けつ時に芯材となるも
のである。
【0032】上記グリップ部5は、図6に示すように、
接合させて並列した2つのチューブ13A、13Bの外
周面にプリプレグを積層した配置して成形しており、該
グリップ部5をフレーム本体部6と接合する構成は第1
実施形態および第2実施形態と同様である。
【0033】即ち、該第3実施形態では、エポキシマト
リクスからなるカーボン繊維強化プリプレグを上記2つ
のチューブ13Aと13Bの外周面に積層し、これを金
型のキャビティ内に配置して、金型の型締めを行う。こ
の状態で、金型を145℃に加熱して20分保持し、か
つ、各チューブ13A、13Bに夫々7kgf/cm2
の内圧をかけた。その後、冷却して離型し、グリップ部
を成形した。該グリップ部の中空部の中央には図中上下
方向のチューブ13Aと13Bとの接合体からなるナイ
ロンチューブ・シート20が位置している。
【0034】一方、グリップ部5を除くフレーム本体部
6の成形方法および該フレーム本体部6と上記グリップ
部5との接合方法は、第1実施形態および第2実施形態
と同様であり、よって、説明を省略する。
【0035】上記方法で製造したテニスラケットは図5
に示す形状で、グリップ部5の中空状内部には打球方向
Xの薄膜からなるナイロンチューブ・シート20が存在
している。該テニスラケットフレームは全長710m
m、重量282g、バランス点はグリップ端から343
mm、グリップ部5の長さは205mmであり、上記ナ
イロンチューブ・シート20が存在する範囲はグリップ
エンドから110mm〜210mmとなっていた。
【0036】上記本発明の第1〜第3実施形態と比較す
るために、グリップ部に打球方向のリブを配置したテニ
スラケットを作成した。該比較例は、前記図11に示す
従来例と同様の形状としたものである。該比較例のテニ
スラケットは、第3実施形態のチューブ13A、13B
に夫々エポキシマトリクスからなるカーボン繊維強化プ
リプレグを積層しており、よって、グリップ部の中央部
にプリプレグからなる打球方向のリブRが配置された構
成となる。他は第3実施形態と同様としている。この比
較例のラケットフレームは長さ710mm、グリップ長
さ205mm、重量293g、バランス点がグリップ端
より339mmであった。
【0037】上記本発明の第1実施形態〜第3実施形態
および上記比較例のテニスラケットについて、それぞれ
同一条件でガットを張ると共に所要の部品をつけて通常
の使用形態とした後、グリップ剛性、面外二次固有振動
数、反発係数、グリップの衝撃加速度を夫々測定装置を
用いて測定した。また、コントロール性能については官
能試験を実施した。その結果を下記の表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】上記グリップ剛性は、打球方向のグリップ
剛性と、打球と垂直方向のグリップ剛性とを測定した。
打球方向のグリップ剛性は、図7(A)に示すように、
グリップエンドから45mm、145mmを位置で下方
より支持して打球面を水平に配置し、グリップエンドか
ら95mmの位置のグリップに上方から30kgf/m
inで荷重をかけて3点曲げ試験を実施して測定した。
また、打球と垂直方向のグリップ剛性は、図7(B)に
示すように、グリップエンドから45mm、145mm
を位置で下方より支持して打球面を水平に配置し、グリ
ップエンドから95mmの位置のグリップに対して、水
平方向の側方から30kgf/minで荷重をかけて3
点曲げ試験を実施して測定した。なお、第1〜第3実施
形態および比較例のいずれのラケットもグリップレザー
およびエンドキャップは取り外した。
【0040】上記打球方向のグリップ剛性試験の結果は
表1に示すように、第1〜第3実施形態では405〜8
82kgf/cmで1000kgf/cm以下あるのに対して、比較
例は1240kgf/cmであり、1000kgf/cm以上となっ
ていた。 このように、 第1〜第3実施形態のラケット
ではグリップの打球方向の剛性を1000kgf/cm以下に
低下できることが確認できた。
【0041】また、打球と垂直方向のグリップ剛性は、
打球と垂直方向のリブを備えている第2実施形態が61
8kgf/cmと最も大きく、比較例の打球方向のリブを備え
た比較例よりもグリップ剛性を高めることができた。
【0042】表1に示すように、第1〜第3実施形態で
は、(打球方向の剛性)/(打球方向に対して垂直方向
の剛性)の比が、0.5〜2.2の範囲であり、比較例
では2.5となっていた。上記比が0.5より小さいと
ボール打球時にグリップの正面部分の歪量が励起され、
大きくなるため破損しやすくなる。また、2.2より大
きいと、打球方向の剛性が増加し、面外二次固有振動数
が増加し、反発性能が低下し、かつ、打球方向の垂直な
剛性が小さくなりすぎ、打球と垂直方向の変形が大きく
なるため、コントロール性が低下する。よって、0.5
〜2.2の範囲に設定することが好ましい。
【0043】面外二次固有振動数の測定は、図8に示す
ように、グリップの上端を固定部材40で支持してラケ
ットを下向きに吊り下げ、その下端部をインパクトハン
マー41で加振し、このインパクトハンマー41に取り
付けフォースピックアップ42で入力振動を計測すると
共に、インパクトハンマー41で打撃する面と反対面に
固定した加速度ピックアップ43により応答振動を測定
し、その測定値をアンプを介して接続した周波数解析装
置(図示せず)に入力して解析し、面外二次固有振動数
(Hz)を測定した。
【0044】その結果は、表1に示すように、面外二次
固有振動数は第1〜第3実施形態では328〜345H
zであったが、比較例では439であり、第1〜第3実
施形態のラケットでは面外二次固有振動数が比較例より
小さくなっていることが確認できた。
【0045】反発係数の測定は、図9に示すように、ラ
ケットのグリップを保持した状態で、打球面の中央に3
0m/secの速度(Vo)でボールを衝突させて、跳ね返
ったボール速度(Vr)と、入射した速度の比(Vr/
Vo)を反発係数として測定した。
【0046】その結果は、表1に示すように、第1〜第
3実施形態では0.427〜0.443であり、比較例
の0.411より大きいことが確認できた。このよう
に、グリップの中空部に打球方向のリブを設けない構成
とすると、面外二次固有振動数が小さくなり、ボールの
固有振動数と一致して、その結果、反発係数を増大して
いることが確認できた。
【0047】グリップの衝突加速度は、グリップのレザ
ーを10mm×10mmの範囲で取り除き、その部分(グリ
ップ本体)に加速度計を取り付けた。反発係数と同様の
方法で、グリップの支持した状態で、打球面の中央部に
40m/secでボールを衝突させ、 打球時のグリップに加
わる加速度を測定した。
【0048】その結果は表1に示すように、第1〜第3
実施形態では175〜219Gで、比較例の260Gよ
りも大幅に減少していた。この衝突加速度が大きいとプ
レーヤの手に伝わる衝撃力が大きくなるため、第1〜第
3実施形態のラケットではプレーヤの手に伝わる衝撃力
を小さくできることが確認できた。
【0049】振動減衰率の測定は、図10に示すよう
に、ラケットのグリップ部の上部にアルミ板50を介在
させて加速度計51を取り付け、グリップを両手でしっ
かりと握り、35m/secの速度で打球面の中央にボール
を衝突させ、このボールを衝突させた時の振動減衰波形
を加速度計51で受信し、振動減衰波形から振動減衰率
を計算して求めた。
【0050】その結果は表1に示すように、第1〜第3
実施形態は0.73〜1.04と、比較例の0.31よ
りも大きくなっていた。このように、振動減衰率が大き
くなると、プレーヤに伝わる振動が小さくでき、上記衝
撃力が小さくなることと併せて、テニスエルボー等の人
体に与える影響を減少でき、かつ、打球感を良くするこ
とができる。
【0051】コントロール性の官能試験は、25名のプ
レーヤーが夫々10分間実打して判定した。コントロー
ル性は5点満点で評価して、25名の平均点とした。実
打プレー内容はストロークの他、サーブ、ボレーも実施
した。
【0052】その結果は、表1に示すように、第2実施
形態が最も得点が高く、ついで、第1実施形態、第3実
施形態でいずれも3点以上の評価を得た。これに対して
比較例では2.64の評価しか得られなかった。
【0053】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
に係わる請求項1のラケットでは、グリップ部の中空部
全長の少なくとも一部(好ましくは全長)に、打球方向
のリブを設けていないため、グリップ部の剛性、特に、
打球方向の剛性を低下できる。その結果、フレームの面
外二次振動数を小さくしてボールの固有振動数を一致さ
せることができ、ボールの反発性能を高めることができ
る。また、グリップ部の剛性を低下させるため、プレー
時において、打球面の変形を抑制して、打球面を安定化
でき、コントロール性能を向上させることができる。さ
らに、プレー時においてプレーヤーの手に伝わる衝撃力
及び振動を緩和できるため、人体に与える影響を少なく
して、テニスエルボーになりにくくすることができる。
【0054】また、請求項2のラケットでは、グリップ
部の中空部に打球方向のリブに代えて、打球方向と垂直
方向のリブを設けているため、グリップ部において打球
方向と垂直方向の変形を抑制でき、その結果、コントロ
ール性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のラケットを示し、(A)は平
面図、(B)は正面図、(C)は(A)のI−I線断面
図である。
【図2】 (A)(B)(C)は第1実施形態のラケッ
トの製造工程を示す概略図である。
【図3】 第2実施形態のラケットの要部断面斜視図で
ある。
【図4】 (A)(B)(C)(D)は第2実施形態の
ラケットの製造工程を示す概略図である。
【図5】 第3実施形態のラケットの要部断面斜視図で
ある。
【図6】 第3実施形態のラケットの製造工程の1つの
示す概略図である。
【図7】 (A)はグリップの打球方向の剛性試験方法
を示す正面図、(B)はグリップの打球と垂直方向の剛
性試験方法を示す平面図である。
【図8】 面外二次固有振動数の測定試験方法を示す概
略図である。
【図9】 反発係数の測定方法を示す概略図である。
【図10】 振動減衰率の測定方法を示す概略図であ
る。
【図11】 従来例を示す概略図である。
【図12】 振動モードを示す概略図である。
【符号の説明】 1 打球面 2 ヘッド部 3 スロート部 4 シャフト部 5 グリップ部 6 フレーム本体部 10 リブ X 打球方向 Y 打球方向と垂直な方向

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空状の繊維強化樹脂から成形したグリ
    ップ部を、ラケットフレームの全長に対してグリップ端
    から25±10%の長さの位置でフレーム本体部と接合
    し、該グリップ部の中空部全長の少なくとも一部に打球
    方向のリブを配置していないラケット。
  2. 【請求項2】 中空状の繊維強化樹脂から成形したグリ
    ップ部を、ラケットフレームの全長に対してグリップ端
    から25±10%の長さの位置でフレーム本体部と接合
    し、該グリップ部の中空部全長の少なくとも一部に打球
    方向と垂直の打球面方向のリブを配置しているラケッ
    ト。
  3. 【請求項3】 グリップ部における打球方向の剛性を1
    000kgf/cm以下としている請求項1または請求項2に
    記載のラケット。
  4. 【請求項4】 グリップ部におけて、(打球方向の剛性
    /打球方向に垂直な剛性)を、0.5〜2.2の範囲と
    している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の
    ラケット。
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