JP3820215B2 - テニスラケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テニスラケットに関し、特に、軽量な硬式テニスラケットに用いられるもので、反発性能とコントロール性能の向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ラケットフレームの打球面の面外方向に厚みを持たせた所謂「厚ラケ」が提供されている。該厚ラケを必要とするユーザーは、女性やシニア層といった少ない力で飛び性能を要求する層であり、軽量で飛び性能の良いテニスラケットが求められている。さらに、女性やシニア層の中でも、競技思考の強いプレーヤーにおいてはコントロール性能にも優れたテニスラケットが求められる。
【0003】
しかしながら、ラケットフレームとボールとの二物体が衝突する観点からみると、エネルギー保存則からはラケットフレームが軽くなると、ボールの反発係数が低下する。よって、ラケットフレームの軽量化は反発性能の低下を招くこととなる。
【0004】
従来280g以下の軽量テニスラケットにおいて、ラケットフレームの反発性能を維持するには、グリップエンドからラケットフレームの重心位置までの距離であるバランスの値を大きくし、スイング方向の慣性モーメントを維持することが一般的に行われている。
【0005】
また、ラケットフレームを軽量化したことに伴う反発性能の低下を解消するものとして、本出願人は、特開平11−57074号において、面外方向(ラケットフレームの厚み方向でボールが衝突する方向)の一次固有振動数と面内方向(面外方向と直交方向)の一次固有振動数の比を所定範囲とすることで、反発性能を改善したラケットフレームを提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したようにバランスの値を大きくしスイング方向の慣性モーメントを維持する場合には、反発性能は維持できても、振り抜きが悪く、非力な女性やシニア層にとって操作性の悪いラケットフレームとなる。また、打球面の剛性(面内方向、面外方向)も低くなり、打球面が変形しやすくなるため、面安定性が悪く、コントロール性能の低下につながるという問題がある。
【0007】
また、本出願人が先に提案した上記ラケットフレームにおいても、ラケットフレームの反発性能を高めることはできるものの、コントロール性能に関しては、改善の余地があることが判明した。
即ち、上記ラケットフレームは面外方向と面内方向の一次固有振動数に着目して反発性能の改善がなされたものであるが、本発明者が実験を重ねた結果、実打において、面外方向の一次振動が励起されるのはスイートスポットを外してボールを打った時であることが判明した。しかし、プレーヤーは、通常スイートスポット付近でボールを打つため、効率よく反発性能を改善するにはスイートスポット付近でボールを打った時に励起される面外方向の二次振動に着目して研究した方が有効であることを見い出した。
【0008】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、軽量ラケット(重量280g以下100g以上)において、ボールを打球する際に反発性能の向上を図ると共に、打球面の安定化を図ることによりコントロール性能を向上させることを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、第1に、繊維強化樹脂製のラケットフレームからなるテニスラケットであって、
上記ラケットフレームの重量を100g以上280g以下、
打球面の面外方向の剛性値(G1)を1568N/cm以上2156N/cm以下、
打球面の面内方向の剛性値(G2)を784N/cm以上1274N/cm以下、
上記(G1)と(G2)の比(G1/G2)を1.5以上2.4以下、
上記ラケットフレームのスイング方向の慣性モーメント(Is)を471000g・cm以上490000g・cm下、
センター方向の慣性モーメント(Ic)を1300g・cm以上16600g・cm下、
上記スイング方向の慣性モーメント(Is)とセンター方向の慣性モーメント(Ic)の比(Is/Ic)を28.8以上35.3以下、
上記ラケットフレームの重量と、グリップ端から重心位置までの距離(バランス)とを掛け合わせた数値MIが85920g・mm以上89835g・mm以
としているテニスラケットを提供している。
【0017】
本発明は、第2に、繊維強化樹脂製のラケットフレームからなるテニスラケットであって、
上記ラケットフレームの重量を100g以上280g以下、
打球面の面外方向の二次固有振動数(F1)を480Hz以上600Hz以下、
打球面の面外方向の剛性値(G1)を1568N/cm以上2156N/cm以下、
上記ラケットフレームのスイング方向の慣性モーメント(Is)を471000g・cm以上490000g・cm下、
センター方向の慣性モーメント(Ic)を1300g・cm以上16600g・cm下、
上記スイング方向の慣性モーメント(Is)とセンター方向の慣性モーメント(Ic)の比(Is/Ic)を28.8以上35.3以下、
上記ラケットフレームの重量と、グリップ端から重心位置までの距離(バランス)とを掛け合わせた数値MIが85920g・mm以上89835g・mm以
としているテニスラケットを提供している。
【0018】
上記した第1、第2のテニスラケットは、本発明者の鋭意研究及び試打テストを含む実験の結果に基づいてなされたものであり、軽量のテニスラケットのコントロール性を向上させるには、打球面(面外方向、面内方向)の剛性値、特に面内方向の剛性(側圧剛性)値を向上させると、面安定性を増大させるに有効であるという結果を見いだしたことに基づく。
上記テニスラケットは、その打球面の面外方向の二次固有振動数(F1)とストリングの固有振動数(F2)の差の絶対値|F1−F2|を0Hz以上100Hz以下に設定していることが好ましい。
【0019】
上記した第1と第2のテニスラケットの構成を備え、かつ、打球面に張架するストリングの固有振動数(F2)と上記(F1)の差の絶対値|F1−F2|を0Hz以上100Hz以下に設定していることが好ましい。
即ち、打球面の面外方向の剛性値(G1)を1568N/cm以上2156N/cm以下、
面外方向の二次固有振動数(F1)を480Hz以上600Hz以下、
打球面の面内方向の剛性値(G2)を784N/cm以上1274N/cm以下、
上記(G1)と(G2)の比(G1/G2)を1.5以上2.4以下の範囲とし、さらに、
打球面に張架するストリングの固有振動数(F2)と上記(F1)の差の絶対値|F1−F2|を0Hz以上100Hz以下に設定している。
【0020】
反発性能の向上に影響を及ぼす面外方向の二次固有振動数については、打球面(面内方向、面外方向)およびシャフト部の剛性が大きく関与し、さらにラケットフレーム重量も関与する。従って、面外方向の二次固有振動数とストリングの固有振動数を合わせるよう、上記剛性やラケットフレーム重量を調節する必要がある。
一方、コントロール性能に寄与する面安定性は、フレーム全体の剛性、特に打球面(面内方向、面外方向)の剛性を高めることにより向上し、中でも面内方向の剛性(側圧剛性)を高めることが重要である。よって、反発性能・コントロール性能を両立するテニスラケットを得るには、特に、打球面剛性(打球面の面外方向)・側圧剛性(打球面の面内方向)を適宜設定することが必要である。 本発明では打球面剛性および側圧剛性とを上記設定とすることで、反発性能の向上とコントロール性能の向上とを両立させている。
【0021】
打球面剛性(打球面の面外方向の剛性)値(G1)は、上記のように、1568N/cm以上2156N/cm以下としている。好ましくは1666N/cm以上2058N/cm以下である。
これは、(G1)が1568N/cmより小さいと、マッチングしないため反発性能が悪くなるという問題があり、(G1)が2156N/cmより大きいと、マッチングしないため反発性能が悪くなると共に、高弾性糸を多く使用することになり、強度が低下するという問題があることに因る。
【0022】
また、側圧剛性(打球面の面内方向の剛性)値(G2)は、上記のように、784N/cm以上1274N/cm以下としている。好ましくは882N/cm以上1176N/cm以下である。(G2)は大きいほど面安定性が良く、コントロール性能に優れるが、以下の理由により上記範囲としている。
(G2)が784N/cmより小さいと面安定性が悪く、コントロール性能が低下するためであり、(G2)が1274N/cmより大きいとラケット重量が重くなると共に強度が不足するためである。
【0023】
上記打球面剛性値(G1)と側圧剛性値(G2)の比(G1/G2)は、1.5以上2.4以下、好ましくは1.7以上2.2以下、さらに好ましくは1.8以上2.1以下としている。
これは、G1/G2の値が1.5より小さいと、反発性能が低下するという問題があり、G1/G2の値が2.4より大きいと、コントロール性が低下するという問題があるためである。
【0024】
従来は、打球面剛性値(G1)を大きくすることに比べて側圧剛性値(G2)を大きくすることは困難であったため、上記G1/G2は比較的大きな値となっていた。しかし、本発明では、後述するように、ラケットフレームを繊維強化樹脂製とし、繊維角度が0度以上10度以下の部分を比較的多用して、かつ引張弾性率が35t以上45t以下と高い繊維種を用いることにより上記剛性値実現している。
【0025】
本発明のテニスラケットは、100g以上280g以下の軽量ラケットフレームにおいて、上記した物性値を付与するため、上記ラケットフレームの打球面を囲むヘッド部及びスロート部の一部分で、強化繊維の引張弾性率を35t以上45t以下、強化繊維の繊維角度をラケットフレームの長さ方向(軸線方向)に対して0度以上10度以下、あるいは/およびヘッド部の最大厚みを26mm〜30mm、最大幅を13mm〜16mmとしている。
【0026】
ラケットフレーム重量は、上記のように、100g以上280g以下としている。好ましくは、200g以上260g以下である。これは、ラケットフレーム重量が100gより小さいとラケット強度が不足し、280gより大きいとラケットの軽量化に反するためである。
【0027】
ラケットフレームは繊維強化プリプレグの積層体を中空パイプ状としたものから形成することが好ましい。この構成のラケットフレームにおいて、上記打球面剛性値、側圧剛性値、面外方向の二次固有振動数を得るために、ラケットフレームの断面形状や強化繊維の繊維種(引張弾性率)・強化繊維の繊維角度・積層構造等を上記設定している。
【0028】
具体的には、上記ラケットフレームの打球面を囲むヘッド部及びスロート部の一部分で、強化繊維の引張弾性率を35t以上45t以下としている。通常、引張弾性率が24t〜30t程度の繊維種を強化繊維として使用することが多いが、引張弾性率を比較的大きくすることで剛性値を高めることができる。上記範囲としているのは、引張弾性率が35t未満では充分な剛性が得られないためであり、引張弾性率が45tより大きくなると繊維自身の強度が低下すると共に、開繊性が悪くなることによりプリプレグにした場合目付量が増大し軽量化を維持できないためである。
【0029】
強化繊維の引張弾性率を35t以上45t以下とした繊維強化プリプレグは、ラケットフレームのヘッド部を時計面と見てトップ位置を12時とすると、2時〜4時、8時〜10時の範囲内に配置することが好ましい。
【0030】
上記ラケットフレームの打球面を囲むヘッド部及びスロート部の一部分で、強化繊維の繊維角度をラケットフレームの長さ方向(軸線方向)に対して0度以上10度以下としている。強化繊維の繊維角度(配向角度)は、ラケットフレームの長さ方向(軸線方向)に対して、0度以上10度以下にすると面内方向の剛性が効率よく向上し、40度以上50度以下にすると面外方向の剛性が効率よく向上する。両方の剛性を維持するには20度以上30度以下が好適である。本発明では、面内方向の剛性を向上させコントロール性能を高めるため繊維角度が0度以上10度以下の繊維強化プリプレグを多用している。
【0031】
強化繊維の繊維角度を0度以上10度以下とした繊維強化プリプレグは、ラケットフレームのヘッド部を時計面と見てトップ位置を12時とすると、2時〜4時、8時〜10時の範囲内に配置することが好ましい。
【0032】
繊維強化プリプレグの積層構造についてはラケットフレーム断面の面外方向の頂点に、高弾性糸等のプリプレグを集中的に配置することが好ましい。これにより、打球面剛性値、側圧剛性値を共に向上させることが出来る。
【0033】
ラケットフレームの断面形状については、面外方向および面内方向における厚み・幅が大きいほど上記各剛性値が大きくなる。ラケットフレームの厚みについては、上記のように、最大厚みが26mm以上30mm以下が好ましい。これは、最大厚みが上記範囲未満では充分な剛性が得られないためであり、最大厚みが上記範囲より大きくなると強度が低下し、それに対し強度を維持しようとすると重量増加の要因となり操作性の悪いものとなるためである。また、上記同様の理由により、ラケットフレームの最大幅については13mm以上16mm以下が好ましい。
【0034】
ラケットフレームの重量と、グリップ端から重心位置までの距離(バランス)とを掛け合わせた数値MIを859200g・mm以上89835g・mm以下としている。これは、MIが85920g・mmより小さいと、ラケットフレームが軽すぎるため、打球時にボールが飛ばないという問題があり、MIが89835g・mmより大きいと、ラケットフレームが重くて、振り抜きが悪くなるという問題があるためである。
【0035】
前記したように、本発明のテニスラケットでは、ラケットフレームのスイング方向の慣性モーメント(グリップ端を支点とする打球面外へのスイング方向の慣性モーメント)(Is)を471000g・cm以上490000g・cm以下に設定している。これは、Isが471000g・cmより小さいと、ラケットフレームが軽すぎて、ボールが飛ばないという問題があり、Isが490000g・cmより大きいと、ラケットフレームが重くて振り抜きにくくなるという問題があるためである。
【0036】
ラケットフレームのセンター方向の慣性モーメント(グリップ部の中心軸回りの慣性モーメント)(Ic)を1300g・cm以上16600g・cm下としている。これは、Icが1300g・cmより小さいと、ラケットフレームが軽すぎて、ボールが飛ばないという問題があり、Icが16600g・cmより大きいと、ラケットフレームが重くて振り抜きにくくなるという問題があるためである。
【0037】
上記スイング方向の慣性モーメント(Is)とセンター方向の慣性モーメント(Ic)の比(Is/Ic)を28.8以上35.3下とている。飛び性能においては慣性モーメントの影響を受けることが判っており、特にセンター方向の慣性モーメントに影響を受ける。センター方向の慣性モーメントが大きいほど飛び性能は良くなるが、その一方でスイング方向の慣性モーメントとの比Is/Icが小さくなると、繊維強化プリプレグの積層構造がアンバランスになり強度的に弱いものとなる。逆にIs/Icが大きくなるとラケットフレーム重量が重いものとなることが判っている。従って、Is/Icを上記範囲としている。
【0038】
上記繊維強化プリプレグとしては、主として、強化繊維をカーボン繊維とし、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)で含浸した繊維強化プリプレグが好適に用いられる。なお、強化繊維はカーボン繊維の他、アラミド繊維、ボロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、超高分子ポリエチレン繊維が用いられる。
【0039】
また、本発明は、繊維強化プリプレグの積層体からなるラケットフレームに限定されず、マンドレルにフィラメントワインデイングで強化繊維を巻き付けてレイアップを形成しておき、これを金型内に配置してリムナイロン等の熱可塑性樹脂を充填して形成したラケットフレームにも適用できる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳述する。
図1乃至図3は第1実施形態のテニスラケット1を示し、ラケットフレーム2は、打球面Fを囲むヘッド部3、スロート部4、シャフト部5、グリップ部6を連続して構成している。上記ヘッド部3は、別部材からなるヨーク7をスロート側でラケットフレーム2と連続して打球面Fを囲む環状としている。
【0041】
ラケットフレーム2は、繊維強化樹脂製の中空パイプからなり、カーボン繊維をマトリクス樹脂のエポキシ樹脂で含浸している繊維強化プリプレグの積層体からなる。
【0042】
ヘッド部3のトップからグリップ部6の先端までの全長Lは700mmであり、ラケットフレーム重量は265g、バランス点はグリップ部6の先端より339mmの位置である。ラケットフレーム2のヘッド部3(ヨーク7を除く)およびスロート部4の断面において、厚みt及び幅wを設定し、下記の剛性値としている。最大厚みは28mm、最大幅は16mmとしている。
【0043】
上記ラケットフレーム2は、カーボン繊維からなる繊維強化プリプレグのシートを内圧用チューブの表面に積層して強化繊維成形体(レイアップ)を予め成形し、このレイアップを成形用金型内に配置し、型締め後、160℃、15分間の条件で加熱し成形している。其の際、内圧用チューブへ付加する内圧は88.2N/cmとしている。
【0044】
ラケットフレーム2の打球面を囲むヘッド部3及びスロート部4の一部分で、強化繊維の引張弾性率を35t以上45t以下とした繊維強化プリプレグを他の繊維強化プリプレグと共に積層している。また、強化繊維の繊維角度をラケットフレーム2の長さ方向(軸線方向)に対して0度以上10度以下の方向となる繊維強化プリプレグを他の繊維強化プリプレグと共に積層している。
【0045】
このように、プリプレグを積層して形成したラケットフレーム2は、打球面剛性(打球面の面外方向の剛性)値(G1)を1607.2N/cm、面外方向の二次固有振動数(F1)を520Hz、側圧剛性(打球面の面内方向の剛性)値(G2)を793.8N/cm、上記打球面剛性値(G1)と側圧剛性値(G2)の比(G1/G2)を2.02としている。
【0046】
また、ストリングを50lbsで張架し、ストリングの固有振動数(F2)を540Hzとし、面外方向の二次固有振動数(F1)との差の絶対値|F1−F2|を20Hzとしている。
【0047】
ラケットフレームの重量と、グリップ端から重心位置までの距離(バランス)とを掛け合わせた数値MIは89835g・mmとしている。また、ラケットフレームのスイング方向の慣性モーメント(Is)を490000g・cm、センター方向の慣性モーメント(Ic)を13900g・cm、上記スイング方向の慣性モーメント(Is)とセンター方向の慣性モーメント(Ic)の比(Is/Ic)を35.3としている。上記のように、各剛性値、固有振動数等を設定することで、反発性能が高く、コントロール性能にも優れる軽量テニスラケットを得ている。
【0048】
以下、本発明のテニスラケットの実施例1〜12及び比較例1、2について詳述する。
【0049】
実施例、比較例ともに全て、図1に示すフレーム形状であり、全長を700mm、フレーム最大厚みを28mm、フレーム最大幅を16mmとした。打球面剛性、側圧剛性、面外二次固有振動数、ストリング固有振動数、ラケットフレーム重量、バランス、慣性モーメント(スイング方向、センター方向)を表1の通り設定した。上記各項目値は後述する方法により測定した。
【0050】
カーボン繊維は、(三菱レーヨン(株)製:HR40、TR50,東邦レーヨン(株)製:IM600,東レ(株)製:T−700、T−800、M40M、M30G)(繊維角度0°、10°、22°、30°、45°、90°,引張弾性率200GPa〜500GPa)を用い、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂を用いた。カーボン繊維/エポキシ樹脂からなる繊維強化プリプレグをナイロンチューブを被覆したマンドレル上に積層し、マンドレルを抜き取って金型にセットした後、加熱加圧成形によりラケットフレームを作製した。各実施例、比較例において、それぞれ表1の設定値となるように、繊維強化プリプレグを積層した。
【0051】
【表1】
Figure 0003820215
【0052】
(実施例1〜実施例12)
ラケットフレーム重量を280g以下とし、打球面剛性値(G1)、側圧剛性値(G2)、剛性比(G1/G2)、面外二次固有振動数(F1)を上記規定範囲内に設定した。その他の項目値についても上記表1の通り設定した。ストリングテンションは35lbs〜55lbsにて張架した。
【0053】
(比較例1、比較例2)
打球面剛性値(G1)、側圧剛性値(G2)、剛性比(G1/G2)、面外二次固有振動数(F1)を全て規定範囲外に設定した。その他の項目値についても上記表1の通り設定した。ストリングテンションは50lbsで張架した。比較例1のラケットフレーム重量は285gとした。
【0054】
上記実施例1〜12及び、比較例1、2のテニスラケットについて、それぞれ、反発係数を測定し、かつ、実打評価(飛び、コントロール、面安定性、操作性)を行った。各測定、評価結果を上記表1に示す。
【0055】
(打球面剛性の測定)
打球面剛性(面外方向の剛性)測定は、図4に示すように、テニスラケット1を水平に配置し、そのヘッド部3のトップ3aを受け治具61(R15)で支持すると共に、トップ3aから340mm離れた位置で、スロート部4の両側からヨーク7にかけた位置を受け治具62(R15)で支持した。この状態で、受け治具61より受け治具62の方向へ170mm離れた位置に対して、加圧具63(R10)により上方より784Nの荷重を加えて、荷重時の変位から、バネ定数を算出し、打球面剛性を測定した。
【0056】
(側圧剛性の測定)
側圧剛性の測定は、図5に示すように、テニスラケット1を横向きで打球面Fを垂直方向として、テニスラケット1を保持している。この状態で上方のヘッド部3のサイド3bに対して、平板Pにより、784Nの荷重を加えて、荷重時の変位から、バネ定数を算出し、側圧剛性を測定した。
【0057】
(面外二次固有振動数の測定)
ラケットフレームに、所要の付属部品のみを取り付けた各実施例及び比較例のテニスラケットを図6(A)に示すようにヘッド部3上端を紐51で吊り下げ、スロート部4とシャフト部5との連続点に加速度ピックアップ計53をフレーム面に垂直に固定した。この状態で、図6(B)に示すように、加速度ピックアップ計53の裏側のフレームをインパクトハンマー55で加振した。インパクトハンマー55に取り付けられたフォースピックアップ計で計測した入力振動(F)と加速度ピックアップ計53で計測した応答振動(α)をアンプ56A、56Bを介して周波数解析装置57(ヒューレットパッカード社製、ダイナミックシングルアナライザーHP3562A)に入力して解析した。解析で得た周波数領域での伝達関数を求め、テニスラケットの面外二次固有振動数を得た。各実施例及び比較例のテニスラケットについて測定された値を上記表1に示す。
【0058】
(ストリング固有振動数の測定)
テニスラケットを図6(C)に示すように、ストリングを張架した状態でヘッド部3上端を紐51で吊り下げ、スロート部4とシャフト部5との連続点に加速度ピックアップ計53をフレーム面に垂直に固定した。この状態で、ヘッド部3の中央部においてストリングをインパクトハンマー55で加振した。そして、上記面外二次固有振動数と同等の方法でストリング固有振動数を得た。各実施例及び比較例のテニスラケットについて測定された値を上記表1に示す。
【0059】
(慣性モーメント測定)
図7(A)に示すように、上記ラケットフレームに所要の付属部品を取り付ける。該テニスラケット1を慣性モーメント測定器で、テニスラケットのグリップを上端として吊り下げ、スイング周期Tsを測定し、下記の数式により、スイング方向の慣性モーメント(グリップ端を支点とする打球面外へのスイング方向の慣性モーメント)を計算した。
図7(B)に示すように、慣性モーメント測定器で、テニスラケット1のグリップを上端として吊り下げ、センター周期Tcを測定し、下記の数式により、センター方向の慣性モーメント(グリップ部の中心軸回りの慣性モーメント)を計算した。
【0060】
(慣性モーメントの計算)
スイング方向:Is[g・cm
Is=M×g×h(Ts/2/π)−Ic
センター方向:Ic[g・cm
Ic=254458×(Tc/π)−8357
重心回り:Ig
Ig=Is−m(1+2.6)
ここで、M=m+mc、h=(m×l−mc×lc)/m+2.6であり、m:ラケット重量、l:ラケットバランスポイント、mc:チャック重量、lc:チャックバランスポイントである。
【0061】
(反発係数の測定)
反発係数は、図8に示すように、実施例及び比較例のテニスラケット1に、ガットを縦60ポンド、横55ポンドの張力で張架し、各テニスラケットを垂直状態でフリーとなるようにグリップ部を柔らかく固定し、その打球面にボール打出機から一定速度V1(30m/sec)でテニスボールを打球面に衝突させ、跳ね返ったボールの速度V2を測定した。反発係数は発射速度V1、反発速度V2の比(V2/V1)であり、反発係数が大きい程、ボールの飛びが良いことを示している。このような方法で、反発係数を測定した。
【0062】
(実打評価)
ラケットの飛び・コントロール・面安定性、操作性についてアンケート調査を行った。5点満点(多い程良い)で採点し、中・上級者(テニス歴10年以上、現在も週3日以上プレーする条件を満たす女性)66名の採点結果の平均値をとった。
【0063】
表1に示すように、実施例1〜12は比較例1、2に比べ、いずれも反発係数が高い値となっており、かつ実打評価における飛び性能評価も良好な結果を示しており、反発性能が向上していることが確認できた。これらは面外方向の二次固有振動数がストリングの固有振動数に近接しているため、エネルギーロスが最小限に抑えられているためであると考えられる(インピーダンスマッチング)。比較例1、2は上記両固有振動数が離れているため反発性能が低下している。
【0064】
また、実施例1〜12は打球面の剛性(面外方向、面内方向)が高いためコントロール性能に寄与する面安定性の評価が良く、剛性の高いものほど評価結果が良いことが確認できた。これに対し比較例2は剛性が低いため面安定性の評価が悪かった。
【0065】
さらに、実施例1〜12は重量とバランスポイントを掛け合わせた値であるMIが82000g・mm〜92000g・mmの範囲に設定されており、コントロール性能に寄与する操作性の評価も良好であり、MIが小さいほど評価結果が良いことが確認できた。比較例1はこのMI値が大きいため、操作性が低い評価となっている。面安定性、操作性を総合したコントロール性能の評価においても、実施例1〜12の評価が良好であることが確認できた。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、打球面の剛性値(面外方向、面内方向)、特に面内方向の剛性(側圧剛性)値を向上させ、面安定性を増大させることにより、コントロール性能を向上させることができる。
【0067】
反発性能が高く、面安定性、操作性等のコントロール性能にも優れ、かつ軽量化を実現しているため、女性やシニア層でも少ない力で飛び性能を得られると共に、良好なコントロール性能を有するテニスラケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一実施形態のテニスラケットの正面図である。
【図2】 本発明の第一実施形態のテニスラケットの側面図である。
【図3】 図1のラケットフレームのヘッド部のA−A線断面図である。
【図4】 ラケットフレームの打球面剛性の測定方法を示す概略図である。
【図5】 ラケットフレームの側圧剛性の測定方法を示す概略図である。
【図6】 (A)(B)(C)は面外方向の二次固有振動数とストリングの固有振動数の測定方法を示す概略図である。
【図7】 (A)(B)はラケットフレームの慣性モーメントの測定方法を示す概略図である。
【図8】 ラケットフレームの反発係数の測定方法を示す概略図である。
【符号の説明】
1 テニスラケット
2 ラケットフレーム
3 ヘッド部
4 スロート部
5 シャフト部
6 グリップ部
7 ヨーク
F 打球面

Claims (3)

  1. 繊維強化樹脂製のラケットフレームからなるテニスラケットであって、
    上記ラケットフレームの重量を100g以上280g以下、
    打球面の面外方向の剛性値(G1)を1568N/cm以上2156N/cm以下、
    打球面の面内方向の剛性値(G2)を784N/cm以上1274N/cm以下、
    上記(G1)と(G2)の比(G1/G2)を1.5以上2.4以下、
    上記ラケットフレームのスイング方向の慣性モーメント(Is)を471000g・cm以上490000g・cm下、
    センター方向の慣性モーメント(Ic)を1300g・cm以上16600g・cm下、
    上記スイング方向の慣性モーメント(Is)とセンター方向の慣性モーメント(Ic)の比(Is/Ic)を28.8以上35.3下、
    上記ラケットフレームの重量と、グリップ端から重心位置までの距離(バランス)とを掛け合わせた数値MIが85920g・mm以上89835g・mm以
    としているテニスラケット。
  2. 繊維強化樹脂製のラケットフレームからなるテニスラケットであって、
    上記ラケットフレームの重量を100g以上280g以下、
    打球面の面外方向の二次固有振動数(F1)を480Hz以上600Hz以下、
    打球面の面外方向の剛性値(G1)を1568N/cm以上2156N/cm以下、
    上記ラケットフレームのスイング方向の慣性モーメント(Is)を471000g・cm以上490000g・cm下、
    センター方向の慣性モーメント(Ic)を1300g・cm以上16600g・cm下、
    上記スイング方向の慣性モーメント(Is)とセンター方向の慣性モーメント(Ic)の比(Is/Ic)を28.8以上35.3下、
    上記ラケットフレームの重量と、グリップ端から重心位置までの距離(バランス)とを掛け合わせた数値MIが85920g・mm以上89835g・mm以
    としているテニスラケット。
  3. 上記ラケットフレームの打球面を囲むヘッド部及びスロート部の一部分で、強化繊維の引張弾性率を35t以上45t以下、強化繊維の繊維角度をラケットフレームの長さ方向(軸線方向)に対して0度以上10度以下、あるいは/およびヘッド部の最大厚みを26mm〜30mm、最大幅を13mm〜16mmとしている請求項1または請求項2に記載のテニスラケット。
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