JP4456244B2 - テニスラケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テニスラケットに関し、特に、打球時に生じるガットの振動を減衰し、かつ、振動減衰作用によりコントロール性が悪くならないようにするものである。
【0002】
【従来の技術】
硬式テニスラケットにおいては、近年、繊維強化樹脂製が主流となっており、繊維強化樹脂は比強度が高く設計の自由度が高く、強度が維持されたまま軽量化を図ることができ、かつ、量産化にも適している。
テニスラケットにおいては、高い振動減衰性を有することも要求されている。
プレーヤーがテニスラケットでボールを打撃すると、ラケットフレームおよびガットに振動が発生する。この振動はグリップを通してプレーヤーに伝わり不快感を与える。
【0003】
テニスラケットでは、ガット(ストリング)として通常、ナイロン11、6−6ナイロン、ナイロン12が使用されているが、これらのガットは振動減衰性が悪く、所謂、テニスエルボーの原因となっている。
【0004】
従来、打撃時に発生する振動を減衰する手段として、下記に列挙するものが提案されている。
▲1▼エポキシ樹脂をマトリクス樹脂とする繊維強化樹脂の積層体にアイオノマー樹脂フィルムを介在させ、アイオノマー樹脂を介在させることによりラケットフレームの振動減衰性を図っている。(特開平10−337812号)
▲2▼ガットと接するグロメット部材をエラストマー等の弾性体で形成し、かつ、ガット孔を通すグロメットの筒部先端側をガット孔と隙間をあけて、ガットの振動減衰と、スイートスポットを広げて飛び性能のアップを図っている。(特開平11−285549号)
▲3▼ガット孔に挿入するガット保護材(グロメット)をtanδ0.01〜1.0である合成樹脂材又はゴム材料で形成して、ガットの振動吸収性能を高めるようにすると記載されている。(特開昭62−5369号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記▲1▼の手段では、ラケットフレームの振動は減衰されるが、ガットに発生する振動は殆ど減衰されない。
上記▲2▼の手段では、グロメット部材を弾性体で形成すると、ガットの振動が消え過ぎてしまい打球感が悪くなると共に、弾性体の柔らかさにより打球時のガットの動きに反発する力が少なくなり、コントロールしにくいラケットとなる問題がある。
【0006】
上記▲3▼に記載の振動吸収部材となる合成樹脂材又はゴム材料のtanδ0.01〜1.0は、温度範囲0〜40℃で周波数10〜2000Hzの条件下で測定されたものである。しかしながら、上記の条件は、通常、テニスラケットが打球した時に発生する周波数の範囲と掛け離れた範囲を含めて測定されたものであるため、通常のテニスラケットの使用条件下での振動減衰性は十分ではない。
即ち、1000Hz以上の周波数の振動は人体が感じる振動ではなく、人体が感じる周波数は100〜1000Hz程度である。かつ、ボール打撃時にガット自体に発生する周波数のピークも1000Hz未満であり、500〜600Hz付近に打撃時に生じる振動モードが現れる。このようにボール打撃時に発生する周波数と大きく掛け離れた範囲を含む10〜2000Hzの条件下で測定されたものは、通常条件でのガットの振動減衰に的確に寄与するものではない。
【0007】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、ボール打球時に発生する通常の条件下でガットに発生する振動を有効に減衰し、かつ、振動減衰作用によりコントロール性が悪くならないようにすることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、ガットを張架するヘッド部の少なくとも一部のガット孔またはガットに接触する部分に、振動減衰材を装着しており、
上記振動減衰材は、ポリスチレンブロックとビニルポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共重合体とポリプロピレンの混合材より形成し、ガット接触部分の少なくとも一部の厚みを0.2mm以上5.0mm以下とし、
かつ、該振動減衰材は、温度−5℃、周波数10Hzの条件下での粘弾性測定における損失係数tanδが0.06以上0.30未満であると共に、複素弾性率が1.0×10 9 〜25×10 9 dyn/cm 2 であるテニスラケットを提供している。
【0009】
即ち、テニスラケットのヘッド部に、通常の張力(50ポンド程度)で張架されたガットは、常温(25℃)下でのガットの面外一次振動の周波数は500〜600Hz程度である。一方、周波数が10Hzであって温度がー5℃である粘弾性部材の損失係数tanδの測定条件は、温度−周波数変換法則によれば、常温(25℃)での周波数は500〜600Hzの条件に相当し、この周波数はガットの面外一次振動の周波数とほぼ一致する。よって、温度−5℃、周波数10Hzの条件下で測定した振動減衰材のtanδの振動減衰性が良いことは、通常の使用条件下でのガットの振動減衰性能が良いことと正確に対応する。
【0010】
本発明者による鋭意な実験結果によると、温度−5℃、周波数10Hzの条件下で測定した振動減衰材のtanδが0,06以上0,30未満であると、打球時に発生するガットの振動をプレーヤーに不快感を与えない程度に減衰でき、かつ、振動を減衰し過ぎてコントロール性を悪化させることもない、ことが判明した。
振動減衰材のtanδを0.06以上0.30未満に規定している理由は、0.06未満であると十分にガットの振動減衰性を確保できず、打球フィーリングを悪化させることに因る。
一方、tanδ0.30以上になると、ガットの撓みに振動減衰材が追従し過ぎてしまい、打球感と打球とのギャップによりコントロール性が悪くなる。また、打球フィーリングテストにおいても打球感が鈍く手応えがなく爽快感に欠けるものとなる結果が得られている。さらにまた、tanδ0.30以上になると振動減衰材が柔らかくなり過ぎてガット張架時にガットとの接触抵抗が発生し、ガット張架作業がスムーズにできない欠点がある。
なお、振動減衰材のtanδは、好ましくは0.07以上0.24未満、最も好ましくは0.10以上0.20未満である。
【0011】
また、上記振動減衰材は、周波数10Hz、温度ー5℃の条件下での粘弾性測定における複素弾性率が1.0×109〜25×109dyn/cm2 としている
打球時に発生するラケットフレームの振動を減衰するためには、ガットラケットフレームの動吸振器として作用させることが好ましく、上記振動減衰材が一種のバネとしての役割を果たし、ガットをラケットフレームの振動と共振させる必要がある。
その場合、振動減衰材の複素弾性率を上記した範囲とすると、本発明者の実験では、打球時におけるフレームの面内二次振動の減衰性能が高いことが確認され、上記範囲より小さいと面内二次振動の減衰が不十分となり、コントロール性が十分に得られず、一方、上記範囲より大きいと振動減衰性能が低下すると共に飛び性能も低下することが認められた。
なお、該振動減衰材の上記測定条件下における複素弾性率は、好ましくは、
14×109〜25×109dyn/cm2、最も好ましくは、16×109〜23×109dyn/cm2である。
【0012】
上記振動減衰材の損失係数tanδ、複素弾性率は、粘弾性測定装置(島津製作所社の粘弾性スペクトロメーター「DVA200改良型」)によって測定している。測定条件は下記の通りであり、温度分散法である。
試料:幅4mm×長さ30mm×厚み1.66mm
試料における変形部位の長さ:20mm
(長さ30mmのうち両端5mmを挟持)
初期歪:2mm
振幅:±12.5μm
周波数:10Hz
昇温速度:2℃/min
【0013】
上記振動減衰材は、ガット孔に内嵌する筒部材からなるグロメットとして形成し、該グロメットは少なくとも打球面のスイートスポットを通る1本のガットの両端が挿通するガット孔に取り付けてガットと接触させており、ガット接触部分の少なくとも一部の厚みを0.2mm以上5.0mm以下としている。
【0014】
ガットと接触する振動減衰材の厚みを上記範囲に設定している理由は、0.2mm未満であると、振動吸収性能が不十分となり、また、ガットの張力に耐えられず、破損しやすい。一方、5.0mmより厚いと、打球時の打撃によりガットが撓むと同時に振動減衰材も圧縮され、必要以上にガットが撓むためにコントロール性が低下する。
なお、上記厚みは、好ましくは0.8mm以上2.1mm以下、最も好ましくは0.9mm以上1.5mm以下である。また、振動減衰材はガット接触部分は、その厚さが上記範囲で均一であることが好ましい。
【0015】
また、振動減衰材は上記のように、ガット孔に内嵌する筒部材からなるグロメットとして形成し、該グロメットは少なくとも打球面のスイートスポットを通る1本のガットの両端が挿通するガット孔に取り付けて、ガットと接触させている。 よって、グロメットとして形成する振動減衰材は少なくとも一対の2本以上が必要であり、30本以下とされる。好ましくは、ヘッド部で囲まれるフェース面を時計面と見てトップを12時とすると、打球位置のスイートスポットを通る12時と6時の近傍、および3時と9時の近傍のガット孔に取り付けることが好ましく、グロメットの本数は好ましくは4〜18本、最も好ましくは8〜18本である。
【0016】
上記グロメットの形状は、長さ方向に同径の筒形状として、その内周面にガットが接触すると共に、外周面がガット孔の内周面に接触し、ガットとフレームの両方の振動減衰を図るようにしている。なお、ヘッド部の内周面側の近傍ではグロメットの外周面とガット孔の内周面との間に微小の隙間をあけてもよい。
また、各ガット孔に通すグロメットは、複数のグロメットの一端を同一材からなる支持帯で連結した構成としているが、必ずしも複数の筒部材を支持帯で連結する必要はなく、1つの筒部材からなるグロメットを1つのガット孔に取り付けてもよい。これらのグロメットは、単体でヘッド部に取り付けても良いし、バンパーの内面に予め取り付けて、バンパーと共にヘッド部に取り付けてもよい。
【0017】
上記振動減衰材をヘッド部に取り付け、該振動減衰材をヘッド部に張架したガットに接触させた状態で、ガットの振動減衰率が、0.25以上0.45未満となるように設定している。
振動減衰率を上記範囲に規定しているのは、0.25未満であると打撃時に振動が残り過ぎてしまいマイルド感に欠けるラケットとなる一方、0.45以上になると逆に振動減衰がされ過ぎて、打球感との間にギャップが生じて不快な打球フィーリングとなることによる。
【0018】
上記振動減衰材の重量は、ガットを張架していない状態でのラケットフレームの総重量に対して、0.3%以上12%以下とすることが好ましい。
上記範囲に規定しているのは、0.3%未満では、ガットの減衰およびフレームの面外二次振動の減衰効果が乏しく、打球フィーリングが悪くなることに因る。また、12%を越えると、ヘッド部分に重量が集中するため、振りにくいラケットになることによる。
なお、上記範囲は好ましくは、0.5%以上11%以下、最も好ましくは1%以上8%以下である。
【0019】
上記のように、本発明では、振動減衰材は、振動減衰性が比較的高いポリスチレンブロックとビニルポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共重合体(例えばクラレ社の「ハイブラー」)と、振動減衰性が比較的低いポリプロピレンの混合材より形成している。
即ち、ガットおよびフレームの振動を減衰させることと、振動を減衰させ過ぎて打球感やコントロール性を阻害させないために、比較的振動減衰性が高い素材と比較的振動減衰性が低い素材とを混合して用いている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照して説明する。
図1および図2は本発明の実施形態のテニスラケットフレーム1を示し、該ラケットフレーム1のフレーム本体2は繊維強化樹脂製の中空パイプよりなり、ガット3が張架されるフェース面Sを囲むヘッド部4、スロート部5、シャフト部6、グリップ部7を連続して構成している。よって、シャフト部6、グリップ部7はパイプが2本重ね合わせた構造となっている。上記ヘッド部4は、別部材からなるヨーク8をスロート側でフレーム本体2と連続してフェース面Sを囲む環状としている。
【0022】
上記ヘッド部4およびヨーク8にはガット孔10が間隔をあけて設けられている。かつ、フレーム外周面にはガット孔10を穿設した厚さ方向の中央部に、長さ方向に連続するグロメットおよびバンパー装着用の凹部15が設けられている。
【0023】
上記ガット孔10に装着する筒形状のグロメット11は、振動減衰材から形成しており、本実施形態では、複数のグロメット11の一端を支持帯12で連結し、該支持帯12も同一の振動減衰材により形成して、一体成形している。該支持帯12はヘッド部4およびヨーク8の上記凹部15に嵌合される。
上記グロメット11と支持帯12で一体化した保護部材13は、ヘッド部4のトップ側、最大横幅位置の3時および9時の近傍、およびトップと対向するヨークの位置に装着するようにしている。
【0024】
トップ側および3時および9時の位置では、上記保護部材13の支持帯12の外面に硬質樹脂製のバンパー14を組みつけ、該バンパー14によりフレームの厚み方向外面をカバーして保護している。なお、バンパー14は必ずしも取り付ける必要はないが、ヘッド部側にはフレーム保護の点より取り付けることが好ましい。また、上記バンパー14には、上記振動減衰材からなるグロメット11を取り付けないガット孔に挿入する筒部14aを一体的に設けている。
【0025】
上記グロメット11を構成する振動減衰材は、温度−5℃、周波数10Hzの条件下での粘弾性測定における損失係数tanδが0.06以上0.30未満で、かつ、複素弾性率Eが1.0×109〜25×109dyn/cm2の樹脂、ゴムあるいはエラストマーを用いている。本実施形態では、振動減衰性が比較的高いポリスチレンブロックとビニルポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共重合体と、振動減衰性が比較的低いポリプロピレンの混合材より形成している。
【0026】
また、ガット3と接触するグロメット11の肉厚は、0.2mm以上5.0mm以下としている。上記ヘッド部4およびヨーク8に取り付けるグロメット11と支持帯12とからなる保護部材13の総重量(本実施形態では4つの保護部材13を合計した重量)は、ガットを張架していない状態でのラケットフレーム1の総重量に対して、0.3%以上12%以下としている。
【0027】
上記した保護部材13をラケットフレーム1に取り付け、ガット3を張架した状態で、ガット3の振動減衰率が、0.25以上0.45未満となるように設定している。
【0028】
図3(A)(B)は変形例を示し、図3(A)は3時と9時の対向位置のガット孔10に各1本のグロメット11’を取り付けている。この場合、1本のガットの両端がグロメット11’と接触して、振動減衰が図られている。図3(B)は(A)の3時−9時と共に、ヘッド部の最上部とヨークの最低部に張架されるガットにグロメットを接触させるために、ヘッド部のトップのガット孔とヨーク最下端のガット孔にグロメット11’を取り付け、よって、4本のグロメット11’をラケットフレームに取り付けている。このように、グロメット11’を1本づつガット孔に取り付ける場合は、図3(C)に示すように、グロメット11’の一端両側にバンパー14に嵌合する短尺な支持帯12’を設け、該支持帯12’に形成した孔にバンパー14の突起を嵌合して組みつけている。
【0029】
本発明のテニスラケットフレームの物性等を評価するため、下記の実施例1〜6のグロメットを備えた保護部材および比較例のグロメットを備えた保護部材を作成して、ラケットフレームに装着し、評価試験を行った。
【0030】
装着するラケットフレームは同一であり、カーボン繊維を強化繊維とし、エポキシ樹脂をマトリクス樹脂とするカーボンプリプレグを積層して成形した繊維強化樹脂からなるテニスラケットフレームであり、該テニスラケットフレームに、下記の実施例1乃至実施例6および比較例1、2の保護部材を作成して装着した。 ラケットフレームの全長は28インチであり、フェイス面積は115平方インチ、ラケットフレームの総重量は230gとしている。
【0031】
(実施例1)
ハイブラー(クラレ社製)とポリプロピレンを重量比7:3に調整し、押し出し機にて溶融混合し、ペレット状錠剤を作成した。この錠剤を用いてインジェクションマシーンにより、金型へインジェクションして、図2に示す3時、9時の位置に装着する保護部材を成形した。該保護部材は9本の筒部材からなるグロメットと、これらグロメットを連続させる支持帯との一体成型品である。このガット孔に装着するグロメットを含む保護部材のtanδは0.23である。
上記2個の保護部材をラケットフレームのヘッド部の3時および9時の位置を中心として取り付けた。
上記グロメットの肉厚は0.8mmで、ラケットフレームの重量に対する保護部材の重量は1.0%である。
【0032】
(実施例2)
実施例1と同一の構成からなる4本のグロメットを支持帯で連結した保護部材を1つ設け、ラケットフレームのヨークに取り付けた。保護部材のtanδは0.23であり、かつラケットフレームの重量に対する保護部材の重量は0.5%である。
【0033】
(実施例3)
実施例1と同一の構成からなる8本のグロメットを支持帯で連結した保護部材を1つ設け、ラケットフレームのヘッド部のトップ(12時)に取り付けた。保護部材のtanδは0.23であり、ラケットフレームの重量に対する保護部材の重量は0.5%である。
【0034】
(実施例4)
ハイブラー(クラレ社製)とポリプロピレンを重量比3:7に調整し、かつ、グロメットの肉厚を2.0mmとした点以外は実施例1のグロメットと同一とし、実施例1と同様に9本のグロメットを支持帯で連続した保護部材を2つ設け、3時と9時の位置に取り付けた。保護部材のtanδは0.07であり、ラケットフレームの重量に対する保護部材の重量は5.0%である。
【0035】
(実施例5)
ハイブラー(クラレ社製)とポリプロピレンを重量比5:5に調整し、かつ、グロメットの肉厚を1.0mmとした点以外は実施例1のグロメットと同一とし、実施例1と同様に9本のグロメットを支持帯で連続した保護部材を2つ設け、3時と9時の位置に取り付けた。保護部材のtanδは0.13であり、ラケットフレームの重量に対する保護部材の重量は3.0%である。
【0036】
(実施例6)
グロメットの肉厚を8.0mmとした点以外は実施例1のグロメットと同一とし、実施例1と同様に9本のグロメットを支持帯で連続した保護部材を2つ設け、3時と9時の位置に取り付けた。保護部材のtanδは0.23であり、ラケットフレームの重量に対する保護部材の重量は10%である。
【0037】
(比較例1)
ハイブラー(クラレ社製)とポリプロピレンを重量比5:95に調整し、かつ、グロメットの肉厚を1.0mmとした点以外は実施例1のグロメットと同一とし、実施例1と同様に9本のグロメットを支持帯で連続した保護部材を2つ設け、3時と9時の位置に取り付けた。保護部材のtanδは0.04であり、ラケットフレームの重量に対する保護部材の重量は1.0%である。
【0038】
(比較例2)
ナイロン材料をインジェクション成形して、実施例1と同様に9本のグロメットを支持帯で連続した保護部材を2つ設け、3時と9時の位置に取り付けた。保護部材のtanδは0.05であり、ラケットフレームの重量に対する保護部材の重量は1.0%である。
【0039】
上記実施例1〜6、比較例1、2の複素弾性率E※は下記の表に示す通りである。実施例1〜6は本発明の請求項2の範囲にあるが、比較例1,2は範囲外となっている。グロメットの厚みは、実施例6のみが厚過ぎて本発明の請求項3の範囲を外れている。
【0040】
上記実施例1〜6、比較例1、2のラケットフレームにガットを縦60ポンド、横55ポンドの張力で張架し、ガットの振動減衰率、ラケットフレームの面外二次振動減衰率、反発係数、コントロール性能を評価した。これら評価結果も下記の表に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004456244
【0042】
(ガットの振動減衰率の測定)
各実施例及び比較例のラケットフレームを図4に示すように、垂直に立てて、下部のグリップを万力で固定した。フェース面に張架したガットの中央にピックアップ計として反射板40を張り付け、レーザー41を照射し、ヨークをインパクトハンマー41で加振して、レーザー41で波形を求めた。周波数応答関数より半値幅法を用いて、ガットの一次振動モードの減衰率を測定した。
【0043】
(面外二次振動減衰率の測定)
各実施例及び比較例のラケットフレームを図5(A)に示すようにヘッド部4の上端を紐51で吊り下げ、スロート部5とシャフト部6との連続点に加速度ピックアップ計53をフレーム面に垂直に固定した。
この状態で、図5(B)に示すように、加速度ピックアップ計53の裏側のフレームをインパクトハンマー55で加振した。インパクトハンマー55に取り付けられたフォースピックアップ計で計測した入力振動(F)と加速度ピックアップ計53で計測した応答振動(α)をアンプ56A、56Bを介して周波数解析装置57(ヒューレットパッカード社製、ダイナミックシングルアナライザーHP3562A)に入力して解析した。解析で得た周波数領域での伝達関数を求め、ラケットフレームの振動数を得た。振動減衰比(ζ)は下式より求め、面外二次振動減衰率とした。各実施例及び比較例の14個のラケットフレームについて測定された平均値を上記表1に示す。
【0044】
ζ=(1/2)×(Δω/ωn)
To=Tn/√2
【0045】
(反発係数の測定)
反発係数は、図6に示すように、ラケットフレームを垂直状態でフリーとなるようにグリップ部を柔らかく固定し、その打球面Fにボール打出機から一定速度V1(30m/s)でテニスボールを打球面に衝突させ、跳ね返ったボールの速度V2を測定した。反発係数は発射速度V1、反発速度V2の比(V2/V1)であり、反発係数が大きい程、ボールの飛びが良いことを示している。
【0046】
(コントロール性の評価方法)
実施例1〜6、比較例1、2のテニスラケットを使用して、男女合わせて20人のプレーヤー(週1回程度テニスをしているアマチュアプレーヤ)によりフィーリングテストでコントロール性を評価した。5点満点で評価し、平均値をとった。◎は3点以上、×は3点未満である。
【0047】
上記表1に示すように、実施例1〜6ではガットの振動減衰率が0.29以上となっているのに対して、比較例1、2に0.20、0.21と低く、実施例の保護部材を装着するとガットの振動減衰率を高めることができることが確認できた。
また、フレームの面外二次振動減衰率に関しては、実施例1〜5は0.70以上と振動減衰率が良いことが確認できた。これに対して、実施例6はグロメットの厚みを大としているため、フレームの振動減衰率は悪くなっていた。また、比較例1、2のフレームの振動減衰率も0.40,0.50と低く、フレームの振動減衰率も低いことが確認できた。
【0048】
反発性能に関しては、実施例および比較例とも略同等であり、グロメットに本発明の振動減衰部材を使用しても反発性能を低下させないことが確認できた。
また、コントロール性に関しては、実施例はいずれも◎であったが、比較例は×であり、本発明の振動減衰材からなる保護部材を取り付けた場合には、振動減衰性を適度に維持しているため、コントロール性が良いことが確認できた。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明に係わるテニスラケットに取り付ける振動減衰部材は、ガットと接触して打球時におけるガットの振動を減衰し、プレーヤの打球感を良くすると共に、振動を減衰し過ぎて打球感との間にギャップを発生させることはなく、かつ、コントロール性にも阻害を与えない。
このように、本発明に係わるグロメット等の振動減衰材は、振動減衰性、コントロール性の両方を満足させることができる利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のテニスラケットと、該テニスラケットに取り付ける保護部材とを示す図面である。
【図2】 (A)はグロメットを備えた保護部材の斜視図、(B)はグロメットとバンパーとの分解斜視図、(C)は保護部材をラケットフレームに取り付けた状態での断面図である。
【図3】 (A)(B)は変形例を示す該略図、(C)は保護部材の正面図である。
【図4】 ガットの振動減衰率の測定方法を示す図面である。
【図5】 フレームの振動減衰率の測定方法を示す図面である。
【図6】 テニスラケットの反発係数の測定方法を示す図面である。
【符号の説明】
1 ラケットフレーム
2 フレーム本体
3 ガット
4 ヘッド部
10 ガット孔
11 グロメット
12 支持帯
13 保護部材
14 バンパー

Claims (2)

  1. ガットを張架するヘッド部の少なくとも一部のガット孔またはガットに接触する部分に、振動減衰材を装着しており、
    上記振動減衰材は、ポリスチレンブロックとビニルポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共重合体とポリプロピレンの混合材より形成し、ガット接触部分の少なくとも一部の厚みを0.2mm以上5.0mm以下とし、
    かつ、該振動減衰材は、温度−5℃、周波数10Hzの条件下での粘弾性測定における損失係数tanδが0.06以上0.30未満であると共に、複素弾性率が1.0×10 9 〜25×10 9 dyn/cm 2 であるテニスラケット。
  2. 上記振動減衰材は、打球面のスイートスポットを通るガットの両端が挿通するガット孔に取り付けてガットと接触させており、ヘッド部に張架するガットと振動減衰材とを接触させた状態でのガットの振動減衰率を0.25以上0.45未満とし、かつ、
    上記振動減衰材の重量は、ガットを張架していない状態でのラケットフレームの総重量に対して、0.3%以上12%以下である請求項1に記載のテニスラケット。
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