JP2001204855A - ラケットフレーム - Google Patents

ラケットフレーム

Info

Publication number
JP2001204855A
JP2001204855A JP2000021943A JP2000021943A JP2001204855A JP 2001204855 A JP2001204855 A JP 2001204855A JP 2000021943 A JP2000021943 A JP 2000021943A JP 2000021943 A JP2000021943 A JP 2000021943A JP 2001204855 A JP2001204855 A JP 2001204855A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
handle member
grip
main body
racket frame
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000021943A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4573935B2 (ja
Inventor
Kunio Niwa
邦夫 丹羽
Tomio Kumamoto
十美男 熊本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2000021943A priority Critical patent/JP4573935B2/ja
Publication of JP2001204855A publication Critical patent/JP2001204855A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4573935B2 publication Critical patent/JP4573935B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Golf Clubs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 グリップの構造を改良し、軽量で、振動減衰
性に優れたラケットフレームとする。 【解決手段】 フェイス面を囲むヘッド部、スロート
部、シャフト部およびグリップ部を備えたラケットフレ
ームにおいて、上記グリップ部は、上記ヘッド部、スロ
ート部およびシャフト部を連続的に構成してシャフト部
より延在する本体11と、該本体に前部が嵌合固定され
る筒状のハンドル部材17とからなり、該ハンドル部材
の後端がグリップ端となると共に、該グリップ端から6
0mm以上180mm以下の範囲は、中空部20を有す
るハンドル部材を配置し、グリップ部自体を動吸振器と
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬式テニスや軟式
テニス等に用いられるラケットフレームに関し、詳しく
は、打球時に激しい振動が発生する硬式テニス用の繊維
強化樹脂からなるラケットフレームにおいて、グリップ
部の構造を改良して、振動減衰性や衝撃吸収性に優れる
と共に軽量化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】テニスプレーヤーがテニスラケットでボ
ールを打撃すると、テニスラケットに振動が発生する。
この振動はグリップを通じてプレーヤーの人体に伝わ
り、プレーヤーに不快感を与える。また、振動は、いわ
ゆるテニスエルボーの原因とも考えられている。特に、
打球面のうちスイートエリア以外の部分でボールが打撃
された場合、激しい振動が発生し、プレーヤーに大きな
ダメージを与えることとなる。
【0003】硬式テニス用のラケットには古くは竹、軽
金属等が用いられていたが、近年は繊維強化樹脂が主流
である。繊維強化樹脂は比強度が高いので、強度が維持
されたまま、テニスラケットの軽量化が図られる。ま
た、繊維強化樹脂のテニスラケットは量産にも適してお
り、さらに耐久性にも優れる。
【0004】この種の繊維強化樹脂からなるテニスラケ
ットフレームとして、マトリックスがエポキシ樹脂等の
熱硬化性樹脂である繊維強化樹脂からなるものが提供さ
れているが、このラケットフレームは振動減衰率が0.
6以下であり、プレーヤーに伝わる振動を十分には減衰
できない。
【0005】一方、マトリックスがポリアミド等の熱可
塑性樹脂である繊維強化樹脂からなるラケットフレーム
も提供されている。このラケットフレームでは、振動減
衰率は0.9以上であるので、前述の熱硬化性樹脂のエ
ポキシ樹脂が用いられたラケットフレームに比べ、プレ
ーヤーに伝わる振動がよりよく減衰される。しかし、こ
のラケットフレームでも振動減衰性は不十分であり、さ
らに振動減衰性や衝撃吸収性に優れたラケットフレーム
が望まれている。また、熱可塑性樹脂は環境依存性が高
く、吸水による強度を保持するために重量が大きくなり
やすく、操作性の点から軽量化を高める工夫が要請され
ている。
【0006】振動減衰性や衝撃吸収性を向上させるラケ
ットフレームとして、従来、特開平5−277209号
公報において、ヘッドを含む本体とグリップ部が別部材
から形成され、これらが連結されたラケットフレームが
提案されている。このラケットフレームでは、グリップ
部は藤、ポリウレタン等の可撓性振動吸収材量から構成
されており、これによって振動減衰性や衝撃吸収性の向
上が図られている。しかしながら、このラケットフレー
ムでは振動モードに関する配慮がなされておらず、振動
減衰性及び衝撃吸収性に関してさらなる改良の余地があ
る。また、このグリップ部は中実体であるので重量が大
きく、ラケットフレーム軽量化の要請には応えることが
できない。
【0007】この種の本体とグリップ部とが別部材から
形成されたラケットフレームとして、特開平11−47
315号公報も提案されている。このラケットフレーム
は主としてラケットの長さ及び重量調整を可能とするた
めにグリップを別部材としているもので、振動減衰性及
び衝撃吸収性に関しての配慮がなされていない。即ち、
本体と別部材のグリップは、天然ゴム、剛性ゴム、ポリ
ウレタンといった弾性率の低い材料が提示されている
が、本体とグリップとの連結部材はポリアミド、ポリア
セタール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂
からなるものが提示され、グリップの材質よりも弾性率
が高く、動的粘弾性率tanδが低いものが介在されて
いるため、振動減衰性を高めることができない。さら
に、グリップの剛性を保持するために中実とされてお
り、軽量化の要請も達成されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題に鑑
みてなされもので、軽量でありながら振動減衰性に優れ
たラケットフレームの提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、フェイス面を囲むヘッド部、スロート
部、シャフト部およびグリップ部を備えたラケットフレ
ームにおいて、上記グリップ部は、上記ヘッド部、スロ
ート部およびシャフト部を連続的に構成してシャフト部
より延在する本体と、該本体に前部が嵌合固定される筒
状のハンドル部材とからなり、上記ハンドル部材の後端
がグリップ端となると共に、該グリップ端から60mm
以上180mm以下の範囲に、中空部を有する上記ハン
ドル部材を配置していることを特徴とするラケットフレ
ームを提供している。
【0010】上記構成のラケットフレームでは、上記の
ように、ハンドル部材はグリップ端から60mm以上1
80mm以下の範囲では少なくとも中空部としている
が、ハンドル部材全体を中空として軽量化を図ることが
より好ましい。このように、本体に嵌合してグリップ部
を構成するハンドル部材を中空を有する筒状とし、グリ
ップ端から少なくとも60mm以上180mm以下の範
囲を中空としていることにより、この中空部を動吸振器
(共振ダンパー)として機能させ、ラケットフレームの
振動を大きく抑制させることができる。即ち、ラケット
フレームの面外一次振動モードの節位置は、グリップ端
から180mmから200mmの間にあり、面外二次振
動モードの節位置は、グリップ端から30mmから50
mmの間にある。よって、グリップ端から60mm以上
180mm以下の範囲が面外一次振動モード及び面外二
次振動モードの腹部分に相当する。よって、動吸振器と
して機能させる中空部をグリップ端から60mm以上1
80mm以下の範囲に設定すると、打球時に発生する面
外一次振動モード及び面外二次振動モードの振動減衰性
を効果的に高めることができる。なお、上記グリップ端
からの中空の範囲は70mm〜170mmがより好まし
い。また、本発明のラケットフレームでは、本体と別部
材のグリップ部材を設けた前記従来例と比較して、中空
のハンドル部材を用いて、グリップ部全体を中実として
いないため、ラケットフレームの軽量化を図ることがで
きる。
【0011】上記ハンドル部材の長さを90mm以上2
10mm以下とし、重量を15g以上45g以下とする
ことが好ましい。このハンドル部材の長さは、上記グリ
ップエンドからの中空の範囲を60mm以上180mm
以下に設定していることにより、本体との嵌合長さを考
慮して上記90mm以上210mm以下と設定してい
る。また、重量を15g以上45g以下とすることによ
り、ラケットフレームの振動減衰性と軽量化とを両立さ
せることができる。ハンドル部材の長さと重量との関係
は、ハンドル部材に鉛等のバランス調整部材を付設して
いる場合も除き、重量/長さを1.3g/cm〜2.8
/cmとすることが好ましい。この範囲よりも重量が大
きくなるとフレーム重量が増加し、重量が小さくなると
動吸振器としての重量効果が低減し、振動抑制効果が低
下する。さらに、グリップ部の剛性・強度が低下し、中
空であるため、人間の握力に対応できなくなる。
【0012】また、ハンドル部材には剛性を保持するた
めに部分的にリブを設けてよい。また、剛性調整のため
に肉厚を一定とせずに部分的に厚さを代えてもよい。
【0013】ハンドル部材と本体との嵌合は、ハンドル
部材の前部に本体の後端部を内嵌して、本体の後端とグ
リップエンドとの間にハンドル部材に囲まれた上記中空
部を設けている。其の際、ハンドル部材に挿入する本体
に、隣接するシャフト部(スロート接合部分)の本体よ
りも周長を短くした挿入用小径部を設け、ハンドル部材
に内嵌することが好ましい。しかしながら、この挿入用
小径部の周長が短く、シャフト部との周長差が大きくな
り過ぎると、応力集中が発生しやすくなるため、シャフ
ト部の最大周長部分に対して、ハンドル部材への挿入用
小径部の周長は58%以上とすることが好ましい。ま
た、シャフト部からグリップ部へとテーパ状に拡径する
部分を本体に設け、該拡径部分の端面中心から上記挿入
用小径部を突出し、拡径部分の端面外周部位にハンドル
部材の端面を接合されることが好ましい。なお、ハンド
ル部材の前部を小径化して、ハンドル部材の前部を本体
に内嵌する(言い換えれば、本体をハンドル部材に外嵌
する)構成としてもよい。
【0014】ハンドル部材と本体とが嵌合する部分は2
0〜150mm、好ましくは40〜120mmの範囲と
している。150mmよりも長いと重量が増加するばか
りでなく、ハンドル部材のみの長さが短くなるため、動
吸振器としての効果が減少する。一方、20mmよりも
短いと、接着面積が小さくなるため、接合部分の強度が
低下する問題が発生する。
【0015】上記本体を繊維強化樹脂から成形する一
方、上記ハンドル部材を繊維強化樹脂あるいは熱可塑性
樹脂から成形し、該ハンドル部材の樹脂は、周波数10
Hz、温度10℃の条件下で測定された動的粘弾性損失
係数tanδを、0.05以上0.3以下としているこ
とが好ましい。このように、ハンドル部材の損失係数を
設定しているのは、ハンドル部材は人間が握るグリップ
を構成し、該グリップ部分の衝撃吸収性に寄与するため
である。該ハンドル部材の樹脂は、曲げ弾性率が180
0〜4500kgf/cm2であることが好ましい。該
弾性率を有する材料でハンドル部材を形成することによ
り、ハンドル部材を動吸振器として有効に機能させるこ
とができ、ラケットフレーム振動減衰性が向上させるこ
とができる。加えて、上記動的粘弾性損失係数 tanδ
を、0.05以上0.3以下に設定することにより、前
述のハンドル部材そのものの衝撃吸収性が増加するばか
りでなく、動吸振器としても機能も向上することとな
る。tanδを上記範囲に設定しているのは、0.05
未満では動吸振器効果による振動吸収性への寄与が少な
くなり、0.3を越えるとハンドル部材の剛性を保持で
きないことによる。
【0016】なお、動的粘弾性損失係数を周波数10H
z、温度10℃の条件下で測定しているのは、通常条件
でラケットフレームが使用された場合の面外二次固有振
動数(すなわち温度が25℃で400〜500Hz)に
相当するためである。なお、上記tanδは、島津製作
所の粘弾性スペクトロメーターで測定される。測定用の
試料は、長さが30mmとされ、幅が4mmとされ、厚
みが2mmとされる。試料の両端は5mmずつチャック
されるので、変位部分の長さは20mmである。また、
測定における初期歪みは10%(2mm)であり、振幅
は0.25%(0.05mm)である。また、測定は1
分間当たりの昇温温度が2℃とされ、−100℃から+
100℃まで測定される。
【0017】また、同条件で測定されたハンドル部材の
樹脂の複素弾性率を、2.0×10 9dyn/cm2以上
400×109dyn/cm2以下としていることが好ま
しい。複素弾性率が上記範囲未満であると、ハンドル部
材の動吸振器としての機能が十分発揮させなくなり、逆
に、複素弾性率が上記を越えると、ハンドル部材の剛性
調整が困難となることによる。さらに、ラケットフレー
ムとしてのグリップ部分の曲げ弾性率を17640N/
cm2以上44100N/cm2以下が好ましい。なお、
曲げ弾性率は、温度25℃、相対湿度65%の雰囲気に
7日間保持された後に測定される。
【0018】ハンドル部材に用いる樹脂としては、熱可
塑性エラストマーであるポリエーテルブロックアミド
(例えばATOCHEM社の商品名「PEBAX6333」や
「PEBAX7033」)、可塑剤が添加されたナイロ
ン11(例えばATOCHEM社の商品名「リルサン BMN
O P20」)、可塑剤が添加されたナイロン12
(例えばATOCHEM社の商品名「リルサン AMN O
P20」)等が好適に用いられる。
【0019】また、本発明のラケットフレームは、上記
ハンドル部材と本体との嵌合部の隙間の少なくとも一部
に緩衝材を介在させ、該緩衝材は、周波数10Hzで温
度15℃の条件下で測定された動的粘弾性損失係数ta
nδが0.08以上2.3以下である粘弾性材から構成
してもよい。
【0020】上記緩衝材は嵌合されるハンドル本体の内
周面と本体の外周面の隙間、あるいは、ハンドル本体の
前端面と本体の拡径部の端面の間で且つ本体から突出さ
せた挿入用小径部に外嵌させると共に上記隙間に連続さ
せて介在させてもよい。ハンドル本体の内周面と本体外
周面に隙間に緩衝材を介在させる場合は、本体の挿入用
小径部の後端にハンドル本体内周面に密嵌する大径部を
設けておくことが好ましい。
【0021】緩衝材が振動の節にあれば、緩衝材の剪断
変形によっても振動を減衰されることができる。そのた
め、緩衝材は、グリップエンドから140mm〜200
mmの範囲内に設けることが好ましい。
【0022】緩衝材の重量は、2g以上18g以下が好
ましい。質量が上記範囲未満であると、本体及びハンド
ル部材との接触面積が少なくなり、振動減衰性及び衝撃
吸収性が不十分となってしまうことがある。逆に、質量
が上記範囲を超えると、ラケットフレームの軽量化が困
難となってしまうばかりか、ラケットフレームの剛性が
低くなってコントロール性が低下する。
【0023】緩衝材の動的粘弾性損失係数tanδは、
上記のように、周波数が10Hzであって温度が15℃
の条件で測定されるが、このtanδの測定条件は、通
常条件でラケットフレームが使用された場合の面外一次
固有振動数(すなわち温度が25℃で100〜200H
z)に相当する。tanδが上記0.08以上2.3以
下範囲内であれば、振動減衰性及び衝撃吸収性を向上さ
せることができる。なお、tanδの測定方法は、前述
のハンドル部材のtanδの測定方法と同様である。
【0024】また、同条件で測定された粘弾性材料の複
素弾性率は、2.0×107dyn/cm2以上1.0×
1010dyn/cm2以下が好ましい。複素弾性率が上
記範囲未満であると、ラケットフレームの剛性が低くな
ってコントロール性が低下してしまうことがある。逆
に、複素弾性率が上記範囲を超えると、緩衝材が本体及
びハンドル部材の変形に追従できなくなる。
【0025】上記緩衝材として好適に用いられる粘弾性
材料は、ポリエーテルブロックアミド(例えばATOCHEM
社の商品名「PEBAX4033」や「PEBAX55
53」)、可塑剤が添加されたナイロン11(例えばAT
OCHEM社の商品名「リルサンBMN O P40」)、
可塑剤が添加されたナイロン12(例えばATOCHEM社の
商品名「リルサン AMN O P40」)、ポリエス
テルエラストマー、熱可塑性ポリウレタン(例えばICI
ポリウレタン社の商品名「Avalon 90A
B」)、スチレン系エラストマー、アイオノマー樹脂
(例えば三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミ
ラン1605」や「ハイミラン1702」)、水素添加
イソプレン−スチレン共重合体(例えばクラレ社の商品
名「SEPTON2053」)、ポリブチレンテレフタ
レート−ポリエーテルグリコール(例えばデュポン社の
商品名「ハイトレル」)、ポリスチレンブロックとビニ
ル−ポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共
重合体(例えばクラレ社の商品名「ハイブラー」)、カ
シュー変性フェノール樹脂(例えば住友ヂュレズ社の商
品名「スミライトレジン PR−12687」)、エス
テル系ポリマーとハロゲン系ポリマーとを含むポリマー
アロイ型材料(例えば東ソー社の商品名「エラステー
ジ」)等が挙げられる。
【0026】また、 (1)ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレン
ブロックとを有するトリブロック共重合体(例えば前述
の「ハイブラー」) (2)熱可塑性樹脂(例えば住友ヂュレズ社の商品名
「スミライトレジン PR−12686」) (3)ノルボーネンを開環重合して得られる、主鎖に五
員環と二重結合とを持ったポリマーに多量の親展油を加
えたゴム状油展ポリマー等を、天然ゴム、ブチルゴム、
アクリロニトリルブタジエンゴム等のゴム100部に対
して5〜80部添加した組成物も、緩衝材として好適に
用いられる。
【0027】さらに、改質されたゴムや熱可塑性樹脂
も、緩衝材に好適に用いられ得る。例えば、ポリ塩化ビ
ニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化
ビニリデン、ポリイソプレン、ポリスチレン、スチレン
−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−
アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブ
タジエン、天然ゴム等のポリマーの1種又は2種以上
に、マイカ、ガラス片、グラスファイバー、カーボンフ
ァイバー、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、バー
ライト等の充填剤を添加し、必要に応じ腐食防止剤、染
料、酸化防止剤、安定剤、湿潤剤等を添加した組成物が
好適である。
【0028】さらに、上記のポリマーに活性成分が添加
された組成物も、緩衝材に好適に用いられ得る。活性成
分とは、それ自体の双極子モーメント量が大きい物質、
又はそれ自体の双極子モーメント量は小さいが添加され
ることによって母材の双極子モーメント量を増大する物
質を意味する。好適な活性成分としてはシクロヘキサ
ン、ベンゾチアゾール、ジシクロヘキシルアミン、シク
ロヘキシルアニリン、高級脂肪酸等が挙げられ、これら
は単独で用いられてもよく、また、2種以上が併用され
てもよい。活性成分が添加されたポリマーの具体例とし
ては、塩素化ポリエチレン変性物資等が挙げられる。
【0029】本体とハンドル部材とからなるグリップ部
の剛性は、スパンが120mmの条件で測定された曲げ
剛性値が、1568N/cm以上19600N/cmと
していることが好ましい。曲げ剛性値が上記範囲未満で
あると、ラケットフレームの強度及びコントロール性が
低下してしまう一方、曲げ剛性値が上記範囲を超える
と、打撃時の衝撃力が大きくなる。また、曲げ剛性値が
上記範囲内とされることにより、ハンドル部材を動吸振
器として有効に機能させることができる。曲げ剛性値の
測定は、エンドキャップやグリップレザーを未装着の状
態とし、この状態において、グリップエンドから40m
m隔てた点と160mm隔てた点とを支持点とし、水平
配置し、その中間位置(グリップエンドから100mm
隔てた点)に上方より縦荷重を負荷して測定したもので
ある。
【0030】本発明は、通常では振動減衰性の向上が困
難である軽量のラケットフレームに特に好適である。但
し、あまりに軽量すぎた場合は、振動減衰性の向上にも
限界がある。具体的には、重量(ストリングを除いた質
量)が180g以上305g以下のラケットフレームに
好適に適用できる。また、本発明は、ラケットフレーム
全体としての固有振動数とハンドル部材の固有振動数の
調整が容易であるとの観点から、その全長が660mm
から737mmのラケットフレームに好適も用いられ
る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるラケットフ
レームの実施形態を図面を参照して説明する。
【0032】図1に示すように、ラケットフレームは、
ヘッド部1、スロート部3、シャフト部5及びグリップ
部7およびヨーク部9を備えている。ヘッド部1、スロ
ート部3、シャフト部5は繊維強化樹脂製の中空パイプ
からなる本体10で連続的に構成していると共に、グリ
ップ部7の一部も上記本体10に一体的に連続する本体
11で構成している。
【0033】図2は第1実施形態を示し、グリップ部7
は、シャフト部5の本体10から連続する本体11、該
本体11に嵌合固定する中空状のハンドル部材17と、
本体11とハンドル部材17の間に介在する緩衝材15
とで構成している。ハンドル部材17の後端がグリップ
端P1となり、肉厚tが約2mmのエンドキャップ19
を取り付けている。なお、図2乃至図9のグリップ部分
を示す図面において、図中右側のグリップエンド側を後
側、左側のシャフト側を前側として説明する。
【0034】上記グリップ部7の本体11は、シャフト
部本体10の後端面より円錐形状の拡径部分11a、該
拡径部分11aに連続する大径部分11b、大径部分1
1bの後端面中央より突出する挿入用の小径部11c、
該小径部11cの後端に連続する中径部11dとからな
る。本体11の中径部11dと小径部11cとは筒形状
のハンドル部材17の前部に挿入し、後端の中径部11
dの外周面をハンドル部材17の内周面に密嵌してい
る。この中径部11bの後端面、即ち、本体11の後端
P2と、グリップ端P1となるハンドル部材17の後端
との間に60mm以上180mm以下の範囲L2で中空
部20を設けている。
【0035】上記ハンドル部材17と本体の小径部11
cとの間の間隙C1からハンドル部材17の前端面と大
径部11bの隙間C2にかけて断面T形状の円筒からな
る緩衝部材15を介在させている。上記本体11、ハン
ドル部材17、緩衝部材15は、接着剤で接着固定して
いる。
【0036】上記のように、本体11の後端P2とグリ
ップ端P1との距離は、60mm以上180mm以下と
し、面外一次振動モード及び面外二次振動モードの腹部
分に中空部20を設け、ハンドル部材17を動吸振器と
して機能させ、振動減衰性を向上させている。
【0037】グリップ部7の本体11の中径部11dと
ハンドル部材17とが密嵌する領域の距離L3は20m
m以上150mm以下としている。ハンドル部材17の
全長L1は90mm以上210mm以下としている。該
ハンドル部材17はグリップ部7の全体を占める必要は
なく、従ってハンドル部材17の全長L1がグリップ部
7の全長よりも小さく設定される場合もある。また、グ
リップ部7の長さは、エンドキャップ19を取り付けた
状態で、エンドキャップ19の端面からグリップ部本体
の拡径部11aの前端面までの寸法αを175mm以上
220mm以下、エンドキャップ19の端面から拡径部
11aの後端面のまでの寸法βを145mm以上210
mm以下としている。この寸法αとβが上記範囲未満で
あるとグリップ部7が手で把持しにくくなり、両手打ち
がしにくくなる。また、上記範囲を越えるとヘッド部や
ヨーク部の設計に制限が生じる。
【0038】ハンドル部材17の重量は、15g以上4
5g以下としている。また、ハンドル部材17の重量と
長さL1との比は、1.3g/cm以上2.8g/cm
以下としている。なお、ハンドル部材17の重量は、鉛
等からなるバランス調整用のウエイトを除いて測定され
る。また、ハンドル部材17にバランス調整用のウエイ
ト(図示せず)が取り付けられる場合でも、その重量は
30g以下が好ましい。重量がこの範囲を超えると、ラ
ケットフレームの軽量化が困難となり、また、ハンドル
部材17の振幅が大きくなって動吸振器としての機能が
低下する。
【0039】ハンドル部材17の樹脂は、その周波数が
10Hzであって温度が10℃の条件で測定された動的
粘弾性損失係数tanδは、0.05以上0.3以下と
している。また、同条件で測定された複素弾性率E*
を、2.0×109dyn/cm2以上400×109
yn/cm2以下としている。さらに、ハンドル部材1
7の樹脂の曲げ弾性率(ASTM−D790に準拠して
測定された曲げ弾性率)は緩衝材15の曲げ弾性率より
も大きくしており、具体的には17640N/cm2
上44100N/cm2以下が好ましい。なお、曲げ弾
性率は、温度25℃、相対湿度65%の雰囲気に7日間
保持された後に測定される。
【0040】ハンドル部材17は、前述した熱可塑性エ
ラストマーであるポリエーテルブロックアミド、可塑剤
が添加されたナイロン11、12等から成形している。
【0041】緩衝材15は、周波数が10Hzであって
温度が15℃の条件で測定された動的粘弾性損失係数t
anδが0.08以上2.3以下である粘弾性材料が用
いられている。また、同条件で測定された粘弾性材料の
複素弾性率E*は、2.0×107dyn/cm2以上
1.0×1010dyn/cm2以下としている。
【0042】緩衝材15は、前述した熱可塑性ポリウレ
タン、ポリエーテルブロックアミド、可塑剤が添加され
たナイロン11、ナイロン12等から成形している。ま
た、重量は2g以上18g以下としている。
【0043】緩衝材15の上記配置位置は、ラケットエ
ンドからの距離が140mm〜200mmの範囲とし、
振動の節に相当させ、緩衝材15の剪断変形によっても
振動を減衰させるようにしている。
【0044】上記本体11、緩衝材15及びハンドル部
材17からなるグリップ部7の曲げ剛性値を1568N
/cm以上19600N/cm以下としている(スパン
が120mmの条件で測定された場合)。
【0045】図3は第1実施形態の変形例を示し、断面
T字筒形状の緩衝材15の円筒部15aを本体11の小
径部11cの外周面とハンドル部材17の内周面に対向
して形成した溝11c−1と17cの間に充填してい
る。図2と比較して緩衝材15の介在量を少なくしてい
る。
【0046】さらに、グリップ部7の構造は図4乃至図
7に示す実施形態としてもよい。以下、これらのグリッ
プ構造について、第1実施形態との相違点のみを説明
し、同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0047】図4(A)は第2実施形態、(B)は第2
実施形態の変形例を示し、グリップ部7の本体11は、
シャフト部の本体10から突出した小径部11cと、そ
の後端に中径部11dとからなる。緩衝材15の前部外
周面に円錐筒形状の傾斜部15aを設け、シャフト部本
体110の後端面とハンドル部材11の前端面に介在さ
せている。また、緩衝材15の円筒部15bは、図4
(A)の第2実施形態では、小径部11cとハンドル部
材17の隙間に完全に充填し、図4(B)の変形例では
隙間C1を残して充填している。
【0048】図5(A)は筒形状の緩衝材15’を取り
付ける第3実施形態を示し、グリップ部7の本体11
は、シャフト部本体10から突出した拡径部11aと小
径部11cと中径部11dを設け、ハンドル部材17と
連続する大径部を設けていない。小径部11cとハンド
ル部材17との間の隙間の前部に緩衝材15’を介在さ
せている。図5(B)の変形例では隙間全体に緩衝材1
5’を充填している。図5(C)の変形例では、グリッ
プ部7の本体11には、拡径部11a、大径部11b、
小径部11c、中径部11dを設け、小径部11cとハ
ンドル部材17との小さな隙間全体に緩衝材15’を充
填している。
【0049】図6(A)は緩衝材を用いずに、グリップ
部7を本体11とハンドル部材17とで構成している第
4実施形態を示す。グリップ部の本体11はシャフト部
本体10から突出する拡径部11aと小径部11cとか
らなる。この小径部11cは第1乃至第3実施形態のよ
うにハンドル部材17との間に緩衝材を介在させないた
めに、これら実施形態の小径部よりも大きくしており、
ハンドル部材17の内周面に小径部11cの外周面を密
着させている。図6(B)は第4実施形態の変形例を示
し、小径部11cを本体10の径と略同一径として大き
くし、その分、ハンドル部材17の厚さを薄くしてい
る。
【0050】図6(C)の変形例はグリップ部7の本体
11は小径部11cのみからなり、ハンドル部材17の
前部に縮径部17dを設けている。小径部11cをハン
ドル部材17に密嵌し、ハンドル部材の縮径部17dの
前端をシャフト部本体10の後端面に当接固着してい
る。図6(D)の変形例はハンドル部材17の前部に縮
径部を設けずに、シャフト部本体10の後端面にハンド
ル部材17の前端面を段差を設けて当接固着している。
図6(E)の変形例は、グリップ部の本体11の拡径部
11a、大径部11b、小径部11cを設け、大径部1
1bをグリップ部7の前部外周に露出させると共に、小
径部11cをハンドル部材17の内周面に密嵌させてい
る。
【0051】図7は第5実施形態を示し、グリップ部7
の本体11に拡径部11a、大径部11bを設け、該大
径部11bに後部面よりに凹部11eを形成している。
一方、ハンドル部材17には、前部に小径部17dを設
け、該小径部17dを凹部11eに内嵌して、接着固定
している。即ち、第1〜第4実施形態では、グリップ本
体11をハンドル部材17に内嵌して嵌合していたが、
第5実施形態では、グリップ本体11をハンドル部材1
7に外嵌している。該構成とすると、グリップエンドか
らの中空部20の領域を長くとることができる。
【0052】以下、本発明のラケットフレームの実施例
1乃至12を詳述する。
【0053】(実施例1)66ナイロン製チューブに直
径14mmのマンドレルを通し、ナイロンチューブの上
からエポキシ樹脂含浸カーボン繊維プリプレグ(東レ社
の商品名「T800、P2053−12」、レジンコン
テンツ30%)を積層して積層体を得た。この際、プリ
プレグの繊維角度を0゜、22゜、30゜及び90゜と
し、またその総質量を180gとした。この積層体を、
ラケットフレーム形状のキャビティを備えた金型に配置
し、ナイロンチューブの内圧を69N/cm2としつつ、
150℃で40分間加熱して、成形体を得た。この成形
用金型では、ハンドル部材と嵌合する部分(シャフト部
の後部)に前記した大径部、中径部、小径部等を設ける
ために、金型の型面を対応した形状とし、それにより所
要形状に成形しているなお、ヨーク部は、エポキシ樹
脂含浸カーボン繊維プリプレグをポリスチレン樹脂に巻
き付けて、同時に成形した。ヘッド部の厚みは24m
m、幅は12mm、フェイス面積は632cm2とした。
このように成形したローフレームを、 全長599mm
に切断した。 その際のローフレームの重量は155gで
あった。
【0054】一方、長さ170mmで、重量29gで、
ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社の商品名「P
EBAX7233」)製のハンドル部材を成形した。こ
のハンドル部材に、 図2に示す緩衝材を介して本体の
後端を嵌合した。緩衝材の重量6.8gで、変性塩素化
ポリエチレン(シーシーアイ社の商品名「ダイポルギー
フィルム」)で成形した。緩衝材の長さは38mmで、
このうち、本体11とハンドル部材17との間隙に配置
される部分(図2中、L4で示される部分)が20m
m、傾斜部の長さ(図2中、L5で示される部分)が2
3mmであった。本体、ハンドル部材及び緩衝材は、ウ
レタン系接着剤(東立化成工業社の商品名「エスプレン
H25」)で接着した。また、本体とハンドル部材と
は、ガンタックスを用いて4箇所固定した。さらに、ハ
ンドル部材の後端に厚みが2mmのエンドキャップを取
り付けた。
【0055】上記のようにして、グリップ構造が図2に
示す構造の実施例1のラケットフレームを得た。このラ
ケットフレームの重量(ストリングを除く)は262g
であった。また、エンドキャップを除く全長は、699
mmであった。また、グリップ部7のグリップエンドか
ら設ける中空部20の長さL2を100mmとした。
【0056】(実施例2、3、6、7、8、9、10及
び11)ハンドル部材及び緩衝材の材質を下記の通りと
し、また各部の寸法を下記の表1及び表2に示すように
変更した他は実施例1と同様の構造として、実施例2、
3、6、7、8、9、10及び11のラケットフレーム
を作成した。
【0057】(実施例4及び5並びに比較例1及び2)
図6に示す緩衝材を設けていない第4実施形態のグリッ
プ構造とした。ハンドル部材の材質を下記の通りとし、
また各部の寸法を下記の表1及び表2に示すように変更
した他は実施例1と同様にして、実施例4及び5並びに
比較例1及び2のラケットフレームを作成した。
【0058】(実施例12)図7に示す第5実施形態の
構造とした。即ち、緩衝材を設けず、ハンドル部材17
の前部を本体11に内嵌した。ハンドル部材の材質を下
記の通りとし、また各部の寸法を下記の表2に示すよう
に変更した他は実施例1と同様にして、実施例12のラ
ケットフレームを作成した。
【0059】[比較例3及び4]実施例1と同一方法で
作成したフレーム本体で図8に示すグリップ部を備えた
比較例3、4のラケットフレームを作成した。各部の寸
法を下記の表2に示す。なお、実施例および比較例にお
いて、ラケットエンドからグリップの拡径部の前端まで
の寸法αと、拡径部後端までの寸法β、拡径部11aの
寸法L5は下記の通りとした。
【0060】実施例1、2、4、6、7、9、10、1
1、12および比較例1、3、4は、α=195mm、
β=172mm、L5=23mmとした。実施例3、
5、6、8は、α=218mm、β=202mm、L5
=16mmとした。比較例2は、α=233mm、β=
217mm、L5=16mmとした。
【0061】なお、各ラケットフレームのハンドル部材
の材質(比較例3及び4においては、本体と一体となっ
たグリップ部の材質)は、下記の通りとした。 実施例2:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「P
EBAX6033」) 実施例3:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「P
EBAX7233」) 実施例4:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「P
EBAX6333」) 実施例5:ナイロン11(AT0CHEM社「BMN O P
20」) 実施例6:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「P
EBAX7233」) 実施例7:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「P
EBAX7233」) 実施例8:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「P
EBAX7233」) 実施例9:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「P
EBAX7233」) 実施例10:カーボン繊維強化エポキシ樹脂 実施例11:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社
「PEBAX7233」) 実施例12:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社
「PEBAX7233」) 比較例1:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「P
EBAX7233」) 比較例2:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「P
EBAX6333」) 比較例3:カーボン繊維強化エポキシ樹脂 比較例4:カーボン繊維強化エポキシ樹脂
【0062】また、各ラケットフレームの緩衝材の材質
は、下記の通りであった。 実施例2:アイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン17
02」) 実施例3:IIR100部及びポリスチレンブロックと
ビニル−ポリイソプレンブロックとを有するトリブロッ
ク共重合体(前述の「ハイブラー」)30部とを主ポリ
マーとする組成物 実施例6:ポリブチレンテレフタレート−ポリエーテル
グリコール(前述の商品名「ハイトレル」) 実施例7:ポリエステル系ポリウレタン 実施例8:シリコーンゴム 実施例9:ナイロン12(前述の商品名「リルサン A
MN O P40」) 実施例10:変性塩素化ポリエチレン(前述の商品名
「ダイポルギーフィルム」) 実施例11:変性塩素化ポリエチレン(前述の商品名
「ダイポルギーフィルム」)
【0063】[面外一次振動減衰率の測定]各ラケット
フレームに、ストリング(バボラ社の商品名「VFイン
ターナショナルツアー」)を縦244N、横213Nの
張力で張設した。このラケットフレームを図8(a)に
示すように紐51で吊り下げ、ヘッド部1とスロート部
5との合流地点に加速度ピックアップ計53を取り付け
た。そして、ヨーク部9の中央部をインパクトハンマー
(図示されず)で加振した。インパクトハンマーに取り
付けられたフォースピックアップ計で計測した入力振動
と加速度ピックアップ計53で計測した応答振動とから
伝達関数を求め、さらに減衰率を算出し、面外一次振動
減衰率とした。5個のラケットフレームについて測定さ
れた平均値を、下記の表1及び表2に示す。
【0064】[面外二次振動減衰率の測定]上記のよう
にストリングが張設された各ラケットフレームを図8
(b)に示すように紐51で吊り下げ、シャフト部5に
加速度ピックアップ計53を取り付けた。そして、シャ
フト部5の加速度ピックアップ計53の裏側の地点をイ
ンパクトハンマー(図示されず)で加振した。そして、
面外一次振動減衰率と同等の方法で減衰率を算出し、面
外二次振動減衰率とした。5個のラケットフレームにつ
いて測定された平均値を、下記の表1及び表2に示す。
【0065】[衝撃加速度の測定]面外二次振動減衰率
の測定と同じ位置に加速度ピックアップ計を取り付け
た。そして、フェイスの中央部に30m/secの速度
でテニスボールをぶつけ、加速度の最大値を読みとっ
た。5個のラケットフレームについて測定された平均値
そ、下記の表1及び表2に示す。
【0066】[コントロール性の評価]テニスコーチ及
び上級の学生プレーヤー16名(うち女性5名)に各ラ
ケットフレームを試打させ、コントロール性を5段階で
評価させた。コントロール性が良好なものを「5」と
し、不良なものを「1」とした。全プレーヤーの平均値
を、下記の表1及び表2に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】表1及び表2に示すように、距離L2が6
0mm未満である比較例1のラケットフレームは、面外
一次振動減衰率及び面外二次振動減衰率が低く、衝撃加
速度が大きかった。また、距離L2が180mmを越え
ている比較例2のラケットフレームは、衝撃加速度が大
きく、コントロール性にも劣っていた。さらに、グリッ
プ全体を本体で成形した比較例3及び比較例4のラケッ
トフレームは、面外一次振動減衰率及び面外二次振動減
衰率が低く、衝撃加速度が大きく、コントロール性にも
劣っていた。これに対し、本発明の各実施例のラケット
フレームは、全ての評価項目にてほぼ良好な値を示して
いた。これらの評価結果より、本発明の優位性が確認さ
れた。
【0070】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
のラケットフレームは、グリップ部の構造を、他のヘッ
ド部、スロート部およびシャフト部を構成する本体の一
部と、該本体に嵌合する中空を有する筒状のハンドル部
材とを組み合わせて構成し、グリップエンドから所定範
囲(60mm〜180mm)に中空部を形成しているた
め、グリップ部自体を動吸振器(共振ダンパー)として
機能させることができ、振動減衰性を高めることができ
る。特に、この中空部を形成している領域が面外一次振
動モードおよび面外二次振動モードの腹に当たる部分と
しているため、振動減衰性を高めることができる。ま
た、グリップ部の主要部分を中空としているため、軽量
化を促進することもできる。
【0071】さらに、上記動吸振器のケースとなるハン
ドル部材自体も振動を減衰できる材料、即ち、周波数1
0Hz、温度10℃の条件下で測定された動的粘弾性損
失係数tanδを0.05以上0.3以下のものを用い
ると、さらに、振動減衰率を高めることが出来る。
【0072】さらに、ハンドル部材の長さを90mm以
上210mm以下、重量を15g以上45g以下、ハン
ドル部材と本体との嵌合部分の長さを20mm以上15
0mm以下の範囲内で、ハンドル部材の長さ、重さおよ
び本体との嵌合形態を代えることにより、ラケットフレ
ームの形状、重量等が相違しても、ハンドル部材を付け
替えるだけで、長さ、重さ、バランス等の調整変更も容
易にでき、かつ、所要の振動減衰性を容易に得られる。
【0073】さらにまた、ハンドル部材と本体との嵌合
部の隙間に緩衝材を介在させると、振動減衰性およびボ
ール打球時の衝撃力(衝撃加速度)を低減させることが
できる。また、この緩衝材を振動モードの節となる位置
に配置することにより、せん断変形を吸収させることが
できる利点もある。
【0074】このように、本発明のラケットフレーム
は、グリップ部の構造を改良することにより、軽量化と
振動減衰性、衝撃吸収性に優れたラケットフレームとす
ることができ、硬式テニス、軟式テニス用のラケットフ
レームとして好適に用いられる。特に、打球時に激しい
振動が発生する硬式テニス用としては最適なものとなる
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラケットフレームが示す概略図である。
【図2】 第1実施形態を示し、(A)はラケットフレ
ームを水平配置した状態でのグリップ部の拡大垂直断面
図、(B)は拡大水平断面図である。
【図3】 第1実施形態の変形例を示す断面図である。
【図4】 (A)が第2実施形態の断面図、(B)は第
2実施形態の変形例の断面図である。
【図5】 (A)は第3実施形態の断面図、(B)
(C)はそれぞれ第3実施形態の変形例の断面図であ
る。
【図6】 (A)は第4実施形態の断面図、(B)乃至
(E)は第4実施形態の変形例の断面図である。
【図7】 第5実施形態の断面図である。
【図8】 比較例3、4の断面図である。
【図9】 (a)は面外一次減衰率の測定の様子が示さ
れた正面図、(b)は面外二次減衰率の測定の様子が示
された正面図である。
【符号の説明】
1 ヘッド部 3 スロート部 5 シャフト部 7 グリップ部 9 ヨーク部 10 シャフト部の本体 11 グリップ部の本体 11a 拡径部 11b 大径部 11c 小径部 11d 中径部 15 緩衝材 17 ハンドル部材 19 エンドキャップ 20 中空部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェイス面を囲むヘッド部、スロート
    部、シャフト部およびグリップ部を備えたラケットフレ
    ームにおいて、 上記グリップ部は、上記ヘッド部、スロート部およびシ
    ャフト部を連続的に構成してシャフト部より延在する本
    体と、該本体に前部が嵌合固定される筒状のハンドル部
    材とからなり、 上記ハンドル部材の後端がグリップ端となると共に、該
    グリップ端から60mm以上180mm以下の範囲に、
    中空部を有する上記ハンドル部材を配置していることを
    特徴とするラケットフレーム。
  2. 【請求項2】 上記本体を繊維強化樹脂から成形する一
    方、 上記ハンドル部材を繊維強化樹脂あるいは熱可塑性樹脂
    から成形し、該ハンドル部材の樹脂は、周波数10H
    z、温度10℃の条件下で測定された動的粘弾性損失係
    数tanδを0.05以上0.3以下としている請求項
    1に記載のラケットフレーム。
  3. 【請求項3】 上記ハンドル部材の長さが90mm以上
    210mm以下であり、重量が15g以上45g以下、
    ハンドル部材と本体との嵌合部分の長さを20mm以上
    150mm以下としている請求項1または請求項2に記
    載のラケットフレーム。
  4. 【請求項4】 上記ハンドル部材と本体との嵌合部の隙
    間の少なくとも一部に緩衝材を介在させており、該緩衝
    材は、周波数10Hzで温度15℃の条件下で測定され
    た動的粘弾性損失係数tanδが0.08以上2.3以
    下である粘弾性材からなる請求項1乃至請求項3のいず
    れか1項に記載のラケットフレーム。
  5. 【請求項5】 上記本体とハンドル部材とからなるグリ
    ップ部の剛性は、スパンが120mmの条件で測定され
    た曲げ剛性値が、1568N/cm以上19600N/
    cmである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載
    のラケットフレーム。
JP2000021943A 2000-01-31 2000-01-31 ラケットフレーム Expired - Fee Related JP4573935B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000021943A JP4573935B2 (ja) 2000-01-31 2000-01-31 ラケットフレーム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000021943A JP4573935B2 (ja) 2000-01-31 2000-01-31 ラケットフレーム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001204855A true JP2001204855A (ja) 2001-07-31
JP4573935B2 JP4573935B2 (ja) 2010-11-04

Family

ID=18548293

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000021943A Expired - Fee Related JP4573935B2 (ja) 2000-01-31 2000-01-31 ラケットフレーム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4573935B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003070944A (ja) * 2001-08-31 2003-03-11 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴルフクラブシャフト
JP2007325862A (ja) * 2006-06-09 2007-12-20 Sri Sports Ltd テニスラケット
JP2008188155A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Bridgestone Sports Co Ltd ラケット

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6188762U (ja) * 1984-11-16 1986-06-10
JPH01166780A (ja) * 1987-12-23 1989-06-30 Bridgestone Corp ラケットフレーム
JPH0595559U (ja) * 1992-05-22 1993-12-27 ジャン ジュー−リュー ラケットのショック吸収構造
JPH06170016A (ja) * 1992-03-13 1994-06-21 Dunlop Ltd 中空の競技用ラケットフレーム及びその成形方法
JPH07303715A (ja) * 1994-05-11 1995-11-21 Yamaha Corp ラケットフレームのグリップ構造
JPH09206408A (ja) * 1996-02-06 1997-08-12 Bridgestone Corp スポーツ用部材
JPH09313651A (ja) * 1996-05-31 1997-12-09 Bridgestone Sports Co Ltd ストリング保護材及びラケット
JPH11178950A (ja) * 1997-12-22 1999-07-06 Sumitomo Rubber Ind Ltd ラケット

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6188762U (ja) * 1984-11-16 1986-06-10
JPH01166780A (ja) * 1987-12-23 1989-06-30 Bridgestone Corp ラケットフレーム
JPH06170016A (ja) * 1992-03-13 1994-06-21 Dunlop Ltd 中空の競技用ラケットフレーム及びその成形方法
JPH0595559U (ja) * 1992-05-22 1993-12-27 ジャン ジュー−リュー ラケットのショック吸収構造
JPH07303715A (ja) * 1994-05-11 1995-11-21 Yamaha Corp ラケットフレームのグリップ構造
JPH09206408A (ja) * 1996-02-06 1997-08-12 Bridgestone Corp スポーツ用部材
JPH09313651A (ja) * 1996-05-31 1997-12-09 Bridgestone Sports Co Ltd ストリング保護材及びラケット
JPH11178950A (ja) * 1997-12-22 1999-07-06 Sumitomo Rubber Ind Ltd ラケット

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003070944A (ja) * 2001-08-31 2003-03-11 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴルフクラブシャフト
JP4630503B2 (ja) * 2001-08-31 2011-02-09 Sriスポーツ株式会社 ゴルフクラブシャフト
JP2007325862A (ja) * 2006-06-09 2007-12-20 Sri Sports Ltd テニスラケット
JP4712618B2 (ja) * 2006-06-09 2011-06-29 Sriスポーツ株式会社 テニスラケット
JP2008188155A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Bridgestone Sports Co Ltd ラケット

Also Published As

Publication number Publication date
JP4573935B2 (ja) 2010-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9005056B2 (en) Baseball bat
TWI515031B (zh) 輕量化高爾夫球桿握把
JP2001095968A (ja) バット用インサート
US20060063618A1 (en) Grip end bottom weight and grip end bottom weighting structure
JP2009125379A (ja) ゴルフクラブヘッド
JP4630503B2 (ja) ゴルフクラブシャフト
US20110195808A1 (en) Ball bat having a segmented barrel
JP5241350B2 (ja) ゴルフクラブ
JPH1071218A (ja) ゴルフクラブ用の振動減衰インサート
US9457247B2 (en) Bat with bifurcated internal cavities
JP2005237877A (ja) テニスラケット
JP2001204855A (ja) ラケットフレーム
JP3742905B2 (ja) ラケットフレーム
JP3734008B2 (ja) ラケットフレーム
JP2002126144A (ja) 野球用又はソフトボール用バット
US20220331674A1 (en) Bat Having a Vibration Isolation Handle
JP2001204854A (ja) エンドキャップおよび該エンドキャップを取り付けたラケットフレーム
JP2001286581A (ja) ラケットフレーム及びその製造方法
JP4218871B2 (ja) ストリング保護材および該ストリング保護材を備えたテニスラケット
JP2001120698A (ja) 卓球用ラケット
JP4805030B2 (ja) ゴルフクラブ
JP2004041768A (ja) エンドキャップおよび該エンドキャップを取り付けたラケットフレーム
JP2002065903A (ja) テニスラケット
JP2532737Y2 (ja) 金属バット
JP4737360B2 (ja) ラケットフレーム

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050519

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050603

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061026

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091006

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100309

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100507

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100817

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100818

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130827

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees