JP4573935B2 - ラケットフレーム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬式テニスや軟式テニス等に用いられるラケットフレームに関し、詳しくは、打球時に激しい振動が発生する硬式テニス用の繊維強化樹脂からなるラケットフレームにおいて、グリップ部の構造を改良して、振動減衰性や衝撃吸収性に優れると共に軽量化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
テニスプレーヤーがテニスラケットでボールを打撃すると、テニスラケットに振動が発生する。この振動はグリップを通じてプレーヤーの人体に伝わり、プレーヤーに不快感を与える。また、振動は、いわゆるテニスエルボーの原因とも考えられている。特に、打球面のうちスイートエリア以外の部分でボールが打撃された場合、激しい振動が発生し、プレーヤーに大きなダメージを与えることとなる。
【0003】
硬式テニス用のラケットには古くは竹、軽金属等が用いられていたが、近年は繊維強化樹脂が主流である。繊維強化樹脂は比強度が高いので、強度が維持されたまま、テニスラケットの軽量化が図られる。また、繊維強化樹脂のテニスラケットは量産にも適しており、さらに耐久性にも優れる。
【0004】
この種の繊維強化樹脂からなるテニスラケットフレームとして、マトリックスがエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である繊維強化樹脂からなるものが提供されているが、このラケットフレームは振動減衰率が0.6以下であり、プレーヤーに伝わる振動を十分には減衰できない。
【0005】
一方、マトリックスがポリアミド等の熱可塑性樹脂である繊維強化樹脂からなるラケットフレームも提供されている。このラケットフレームでは、振動減衰率は0.9以上であるので、前述の熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂が用いられたラケットフレームに比べ、プレーヤーに伝わる振動がよりよく減衰される。しかし、このラケットフレームでも振動減衰性は不十分であり、さらに振動減衰性や衝撃吸収性に優れたラケットフレームが望まれている。また、熱可塑性樹脂は環境依存性が高く、吸水による強度を保持するために重量が大きくなりやすく、操作性の点から軽量化を高める工夫が要請されている。
【0006】
振動減衰性や衝撃吸収性を向上させるラケットフレームとして、従来、特開平5−277209号公報において、ヘッドを含む本体とグリップ部が別部材から形成され、これらが連結されたラケットフレームが提案されている。このラケットフレームでは、グリップ部は藤、ポリウレタン等の可撓性振動吸収材量から構成されており、これによって振動減衰性や衝撃吸収性の向上が図られている。しかしながら、このラケットフレームでは振動モードに関する配慮がなされておらず、振動減衰性及び衝撃吸収性に関してさらなる改良の余地がある。また、このグリップ部は中実体であるので重量が大きく、ラケットフレーム軽量化の要請には応えることができない。
【0007】
この種の本体とグリップ部とが別部材から形成されたラケットフレームとして、特開平11−47315号公報も提案されている。このラケットフレームは主としてラケットの長さ及び重量調整を可能とするためにグリップを別部材としているもので、振動減衰性及び衝撃吸収性に関しての配慮がなされていない。即ち、本体と別部材のグリップは、天然ゴム、剛性ゴム、ポリウレタンといった弾性率の低い材料が提示されているが、本体とグリップとの連結部材はポリアミド、ポリアセタール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂からなるものが提示され、グリップの材質よりも弾性率が高く、動的粘弾性率tanδが低いものが介在されているため、振動減衰性を高めることができない。さらに、グリップの剛性を保持するために中実とされており、軽量化の要請も達成されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題に鑑みてなされもので、軽量でありながら振動減衰性に優れたラケットフレームの提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、フェイス面を囲むヘッド部、スロート部、シャフト部およびグリップ部を備えたラケットフレームにおいて、
上記グリップ部は、上記ヘッド部、スロート部およびシャフト部を連続的に構成してシャフト部より延在する本体と、該本体に前部が嵌合固定される筒状のハンドル部材とからなり、
上記ハンドル部材は、周波数10Hz、温度10℃の条件下で測定された動的粘弾性損失係数tanδが0.05以上0.3以下であるポリエーテルブロックアミドで成形しており、
上記ハンドル部材の長さが90mm以上210mm以下であり、該ハンドル部材の後端がグリップ端となると共に、該ハンドル部材は少なくともグリップ端から60mm以上180mm以下の範囲は中空部としており、かつ、
上記ハンドル部材と本体との嵌合部分の隙間の少なくとも一部に緩衝材を介在させており、該緩衝材は、周波数10Hzで温度15℃の条件下で測定された動的粘弾性損失係数tanδが0.08以上2.3以下であり、該緩衝材は、アイオノマー樹脂、IIR100部及びポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリエーテルグリコール、ポリエステル系ポリウレタン、シリコーンゴム、ナイロン12、変性塩素化ポリエチレンから選択される1種であることを特徴とするラケットフレームを提供している。
【0010】
上記構成のラケットフレームでは、上記のように、ハンドル部材はグリップ端から60mm以上180mm以下の範囲では少なくとも中空部としているが、ハンドル部材全体を中空として軽量化を図ることがより好ましい。このように、本体に嵌合してグリップ部を構成するハンドル部材を中空を有する筒状とし、グリップ端から少なくとも60mm以上180mm以下の範囲を中空としていることにより、この中空部を動吸振器(共振ダンパー)として機能させ、ラケットフレームの振動を大きく抑制させることができる。即ち、ラケットフレームの面外一次振動モードの節位置は、グリップ端から180mmから200mmの間にあり、面外二次振動モードの節位置は、グリップ端から30mmから50mmの間にある。よって、グリップ端から60mm以上180mm以下の範囲が面外一次振動モード及び面外二次振動モードの腹部分に相当する。よって、動吸振器として機能させる中空部をグリップ端から60mm以上180mm以下の範囲に設定すると、打球時に発生する面外一次振動モード及び面外二次振動モードの振動減衰性を効果的に高めることができる。なお、上記グリップ端からの中空の範囲は70mm〜170mmがより好ましい。また、本発明のラケットフレームでは、本体と別部材のグリップ部材を設けた前記従来例と比較して、中空のハンドル部材を用いて、グリップ部全体を中実としていないため、ラケットフレームの軽量化を図ることができる。
【0011】
上記ハンドル部材の長さを90mm以上210mm以下としている。重量を15g以上45g以下とすることが好ましい。このハンドル部材の長さは、上記グリップエンドからの中空の範囲を60mm以上180mm以下に設定していることにより、本体との嵌合長さを考慮して上記90mm以上210mm以下と設定している。また、重量を15g以上45g以下とすることにより、ラケットフレームの振動減衰性と軽量化とを両立させることができる。
ハンドル部材の長さと重量との関係は、ハンドル部材に鉛等のバランス調整部材を付設している場合も除き、重量/長さを1.3g/cm〜2.8/cmとすることが好ましい。この範囲よりも重量が大きくなるとフレーム重量が増加し、重量が小さくなると動吸振器としての重量効果が低減し、振動抑制効果が低下する。さらに、グリップ部の剛性・強度が低下し、中空であるため、人間の握力に対応できなくなる。
【0012】
また、ハンドル部材には剛性を保持するために部分的にリブを設けてよい。また、剛性調整のために肉厚を一定とせずに部分的に厚さを代えてもよい。
【0013】
ハンドル部材と本体との嵌合は、ハンドル部材の前部に本体の後端部を内嵌して、本体の後端とグリップエンドとの間にハンドル部材に囲まれた上記中空部を設けている。其の際、ハンドル部材に挿入する本体に、隣接するシャフト部(スロート接合部分)の本体よりも周長を短くした挿入用小径部を設け、ハンドル部材に内嵌することが好ましい。しかしながら、この挿入用小径部の周長が短く、シャフト部との周長差が大きくなり過ぎると、応力集中が発生しやすくなるため、シャフト部の最大周長部分に対して、ハンドル部材への挿入用小径部の周長は58%以上とすることが好ましい。また、シャフト部からグリップ部へとテーパ状に拡径する部分を本体に設け、該拡径部分の端面中心から上記挿入用小径部を突出し、拡径部分の端面外周部位にハンドル部材の端面を接合されることが好ましい。なお、ハンドル部材の前部を小径化して、ハンドル部材の前部を本体に内嵌する(言い換えれば、本体をハンドル部材に外嵌する)構成としてもよい。
【0014】
ハンドル部材と本体とが嵌合する部分は20〜150mm、好ましくは40〜120mmの範囲としている。150mmよりも長いと重量が増加するばかりでなく、ハンドル部材のみの長さが短くなるため、動吸振器としての効果が減少する。一方、20mmよりも短いと、接着面積が小さくなるため、接合部分の強度が低下する問題が発生する。
【0015】
上記本体を繊維強化樹脂から成形する一方、上記ハンドル部材を繊維強化樹脂あるいは熱可塑性樹脂から成形し、該ハンドル部材の樹脂は、周波数10Hz、温度10℃の条件下で測定された動的粘弾性損失係数tanδ、0.05以上0.3以下であるポリエーテルブロックアミドで成形している。このように、ハンドル部材の損失係数を設定しているのは、ハンドル部材は人間が握るグリップを構成し、該グリップ部分の衝撃吸収性に寄与するためである。
該ハンドル部材の樹脂は、曲げ弾性率が1800〜4500kgf/cm2であることが好ましい。該弾性率を有する材料でハンドル部材を形成することにより、ハンドル部材を動吸振器として有効に機能させることができ、ラケットフレーム振動減衰性向上させることができる。加えて、上記動的粘弾性損失係数tanδを、0.05以上0.3以下に設定することにより、前述のハンドル部材そのものの衝撃吸収性が増加するばかりでなく、動吸振器としても機能も向上することとなる。tanδを上記範囲に設定しているのは、0.05未満では動吸振器効果による振動吸収性への寄与が少なくなり、0.3を越えるとハンドル部材の剛性を保持できないことによる。
【0016】
なお、動的粘弾性損失係数を周波数10Hz、温度10℃の条件下で測定しているのは、通常条件でラケットフレームが使用された場合の面外二次固有振動数(すなわち温度が25℃で400〜500Hz)に相当するためである。
なお、上記tanδは、島津製作所の粘弾性スペクトロメーターで測定される。測定用の試料は、長さが30mmとされ、幅が4mmとされ、厚みが2mmとされる。試料の両端は5mmずつチャックされるので、変位部分の長さは20mmである。また、測定における初期歪みは10%(2mm)であり、振幅は0.25%(0.05mm)である。また、測定は1分間当たりの昇温温度が2℃とされ、−100℃から+100℃まで測定される。
【0017】
また、同条件で測定されたハンドル部材の樹脂の複素弾性率を、2.0×109dyn/cm2以上400×109dyn/cm2以下としていることが好ましい。複素弾性率が上記範囲未満であると、ハンドル部材の動吸振器としての機能が十分発揮させなくなり、逆に、複素弾性率が上記を越えると、ハンドル部材の剛性調整が困難となることによる。
さらに、ラケットフレームとしてのグリップ部分の曲げ弾性率を17640N/cm2以上44100N/cm2以下が好ましい。なお、曲げ弾性率は、温度25℃、相対湿度65%の雰囲気に7日間保持された後に測定される。
【0018】
ハンドル部材に用いる樹脂としては、上記のように、熱可塑性エラストマーであるポリエーテルブロックアミド(例えばATOCHEM社の商品名「PEBAX6333」)を用いている。
【0019】
また、上記のように、本発明のラケットフレームは、上記ハンドル部材と本体との嵌合部の隙間の少なくとも一部に緩衝材を介在させ、該緩衝材は、周波数10Hzで温度15℃の条件下で測定された動的粘弾性損失係数tanδが0.08以上2.3以下である粘弾性材から構成している。
【0020】
上記緩衝材は嵌合されるハンドル本体の内周面と本体の外周面の隙間、あるいは、ハンドル本体の前端面と本体の拡径部の端面の間で且つ本体から突出させた挿入用小径部に外嵌させると共に上記隙間に連続させて介在させてもよい。ハンドル本体の内周面と本体外周面に隙間に緩衝材を介在させる場合は、本体の挿入用小径部の後端にハンドル本体内周面に密嵌する大径部を設けておくことが好ましい。
【0021】
緩衝材が振動の節にあれば、緩衝材の剪断変形によっても振動を減衰されることができる。そのため、緩衝材は、グリップエンドから140mm〜200mmの範囲内に設けることが好ましい。
【0022】
緩衝材の重量は、2g以上18g以下が好ましい。質量が上記範囲未満であると、本体及びハンドル部材との接触面積が少なくなり、振動減衰性及び衝撃吸収性が不十分となってしまうことがある。逆に、質量が上記範囲を超えると、ラケットフレームの軽量化が困難となってしまうばかりか、ラケットフレームの剛性が低くなってコントロール性が低下する。
【0023】
緩衝材の動的粘弾性損失係数tanδは、上記のように、周波数が10Hzであって温度が15℃の条件で測定されるが、このtanδの測定条件は、通常条件でラケットフレームが使用された場合の面外一次固有振動数(すなわち温度が25℃で100〜200Hz)に相当する。tanδが上記0.08以上2.3以下範囲内であれば、振動減衰性及び衝撃吸収性を向上させることができる。なお、tanδの測定方法は、前述のハンドル部材のtanδの測定方法と同様である。
【0024】
また、同条件で測定された粘弾性材料の複素弾性率は、2.0×107dyn/cm2以上1.0×1010dyn/cm2以下が好ましい。複素弾性率が上記範囲未満であると、ラケットフレームの剛性が低くなってコントロール性が低下してしまうことがある。逆に、複素弾性率が上記範囲を超えると、緩衝材が本体及びハンドル部材の変形に追従できなくなる。
【0025】
上記緩衝材として用いられる粘弾性材料は、アイオノマー樹脂、IIR100部及びポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリエーテルグリコール、ポリエステル系ポリウレタン、シリコーンゴム、ナイロン12、変性塩素化ポリエチレンから選択される1種である
なお、該緩衝材として、例えば、ポリエーテルブロックアミド(例えばATOCHEM社の商品名「PEBAX4033」や「PEBAX5553」)、可塑剤が添加されたナイロン11(例えばATOCHEM社の商品名「リルサン BMN O P40」)、可塑剤が添加されたナイロン12(例えばATOCHEM社の商品名「リルサン AMN O P40」)、ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタン(例えばICIポリウレタン社の商品名「Avalon 90AB」)、スチレン系エラストマー、アイオノマー樹脂(例えば三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1605」や「ハイミラン1702」)、水素添加イソプレン−スチレン共重合体(例えばクラレ社の商品名「SEPTON2053」)、ポリブチレンテレフタレート−ポリエーテルグリコール(例えばデュポン社の商品名「ハイトレル」)、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共重合体(例えばクラレ社の商品名「ハイブラー」)、カシュー変性フェノール樹脂(例えば住友ヂュレズ社の商品名「スミライトレジン PR−12687」)、エステル系ポリマーとハロゲン系ポリマーとを含むポリマーアロイ型材料(例えば東ソー社の商品名「エラステージ」)等が挙げられる。
【0026】
また、
(1)ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共重合体(例えば前述の「ハイブラー」)
(2)熱可塑性樹脂(例えば住友ヂュレズ社の商品名「スミライトレジン PR−12686」)
(3)ノルボーネンを開環重合して得られる、主鎖に五員環と二重結合とを持ったポリマーに多量の親展油を加えたゴム状油展ポリマー
等を、天然ゴム、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等のゴム100部に対して5〜80部添加した組成物も、緩衝材として好適に用いられる。
【0027】
さらに、改質されたゴムや熱可塑性樹脂も、緩衝材に好適に用いられ得る。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイソプレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、天然ゴム等のポリマーの1種又は2種以上に、マイカ、ガラス片、グラスファイバー、カーボンファイバー、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、バーライト等の充填剤を添加し、必要に応じ腐食防止剤、染料、酸化防止剤、安定剤、湿潤剤等を添加した組成物が好適である。
【0028】
さらに、上記のポリマーに活性成分が添加された組成物も、緩衝材に好適に用いられ得る。活性成分とは、それ自体の双極子モーメント量が大きい物質、又はそれ自体の双極子モーメント量は小さいが添加されることによって母材の双極子モーメント量を増大する物質を意味する。好適な活性成分としてはシクロヘキサン、ベンゾチアゾール、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアニリン、高級脂肪酸等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、また、2種以上が併用されてもよい。活性成分が添加されたポリマーの具体例としては、塩素化ポリエチレン変性物資等が挙げられる。
【0029】
本体とハンドル部材とからなるグリップ部の剛性は、スパンが120mmの条件で測定された曲げ剛性値が、1568N/cm以上19600N/cmとしていることが好ましい。曲げ剛性値が上記範囲未満であると、ラケットフレームの強度及びコントロール性が低下してしまう一方、曲げ剛性値が上記範囲を超えると、打撃時の衝撃力が大きくなる。また、曲げ剛性値が上記範囲内とされることにより、ハンドル部材を動吸振器として有効に機能させることができる。
曲げ剛性値の測定は、エンドキャップやグリップレザーを未装着の状態とし、この状態において、グリップエンドから40mm隔てた点と160mm隔てた点とを支持点とし、水平配置し、その中間位置(グリップエンドから100mm隔てた点)に上方より縦荷重を負荷して測定したものである。
【0030】
本発明は、通常では振動減衰性の向上が困難である軽量のラケットフレームに特に好適である。但し、あまりに軽量すぎた場合は、振動減衰性の向上にも限界がある。具体的には、重量(ストリングを除いた質量)が180g以上305g以下のラケットフレームに好適に適用できる。また、本発明は、ラケットフレーム全体としての固有振動数とハンドル部材の固有振動数の調整が容易であるとの観点から、その全長が660mmから737mmのラケットフレームに好適も用いられる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるラケットフレームの実施形態を図面を参照して説明する。
【0032】
図1に示すように、ラケットフレームは、ヘッド部1、スロート部3、シャフト部5及びグリップ部7およびヨーク部9を備えている。ヘッド部1、スロート部3、シャフト部5は繊維強化樹脂製の中空パイプからなる本体10で連続的に構成していると共に、グリップ部7の一部も上記本体10に一体的に連続する本体11で構成している。
【0033】
図2は第1実施形態を示し、グリップ部7は、シャフト部5の本体10から連続する本体11、該本体11に嵌合固定する中空状のハンドル部材17と、本体11とハンドル部材17の間に介在する緩衝材15とで構成している。ハンドル部材17の後端がグリップ端P1となり、肉厚tが約2mmのエンドキャップ19を取り付けている。
なお、図2乃至図9のグリップ部分を示す図面において、図中右側のグリップエンド側を後側、左側のシャフト側を前側として説明する。
【0034】
上記グリップ部7の本体11は、シャフト部本体10の後端面より円錐形状の拡径部分11a、該拡径部分11aに連続する大径部分11b、大径部分11bの後端面中央より突出する挿入用の小径部11c、該小径部11cの後端に連続する中径部11dとからなる。本体11の中径部11dと小径部11cとは筒形状のハンドル部材17の前部に挿入し、後端の中径部11dの外周面をハンドル部材17の内周面に密嵌している。この中径部11bの後端面、即ち、本体11の後端P2と、グリップ端P1となるハンドル部材17の後端との間に60mm以上180mm以下の範囲L2で中空部20を設けている。
【0035】
上記ハンドル部材17と本体の小径部11cとの間の間隙C1からハンドル部材17の前端面と大径部11bの隙間C2にかけて断面T形状の円筒からなる緩衝部材15を介在させている。上記本体11、ハンドル部材17、緩衝部材15は、接着剤で接着固定している。
【0036】
上記のように、本体11の後端P2とグリップ端P1との距離は、60mm以上180mm以下とし、面外一次振動モード及び面外二次振動モードの腹部分に中空部20を設け、ハンドル部材17を動吸振器として機能させ、振動減衰性を向上させている。
【0037】
グリップ部7の本体11の中径部11dとハンドル部材17とが密嵌する領域の距離L3は20mm以上150mm以下としている。
ハンドル部材17の全長L1は90mm以上210mm以下としている。該ハンドル部材17はグリップ部7の全体を占める必要はなく、従ってハンドル部材17の全長L1がグリップ部7の全長よりも小さく設定される場合もある。
また、グリップ部7の長さは、エンドキャップ19を取り付けた状態で、エンドキャップ19の端面からグリップ部本体の拡径部11aの前端面までの寸法αを175mm以上220mm以下、エンドキャップ19の端面から拡径部11aの後端面のまでの寸法βを145mm以上210mm以下としている。この寸法αとβが上記範囲未満であるとグリップ部7が手で把持しにくくなり、両手打ちがしにくくなる。また、上記範囲を越えるとヘッド部やヨーク部の設計に制限が生じる。
【0038】
ハンドル部材17の重量は、15g以上45g以下としている。また、ハンドル部材17の重量と長さL1との比は、1.3g/cm以上2.8g/cm以下としている。なお、ハンドル部材17の重量は、鉛等からなるバランス調整用のウエイトを除いて測定される。また、ハンドル部材17にバランス調整用のウエイト(図示せず)が取り付けられる場合でも、その重量は30g以下が好ましい。重量がこの範囲を超えると、ラケットフレームの軽量化が困難となり、また、ハンドル部材17の振幅が大きくなって動吸振器としての機能が低下する。
【0039】
ハンドル部材17の樹脂は、その周波数が10Hzであって温度が10℃の条件で測定された動的粘弾性損失係数tanδは、0.05以上0.3以下としている。また、同条件で測定された複素弾性率E*を、2.0×109dyn/cm2以上400×109dyn/cm2以下としている。さらに、ハンドル部材17の樹脂の曲げ弾性率(ASTM−D790に準拠して測定された曲げ弾性率)は緩衝材15の曲げ弾性率よりも大きくしており、具体的には17640N/cm2以上44100N/cm2以下が好ましい。なお、曲げ弾性率は、温度25℃、相対湿度65%の雰囲気に7日間保持された後に測定される。
【0040】
ハンドル部材17は、前述した熱可塑性エラストマーであるポリエーテルブロックアミド、可塑剤が添加されたナイロン11、12等から成形している。
【0041】
緩衝材15は、周波数が10Hzであって温度が15℃の条件で測定された動的粘弾性損失係数tanδが0.08以上2.3以下である粘弾性材料が用いられている。また、同条件で測定された粘弾性材料の複素弾性率E*は、2.0×107dyn/cm2以上1.0×1010dyn/cm2以下としている。
【0042】
緩衝材15は、前述した熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、可塑剤が添加されたナイロン11、ナイロン12等から成形している。また、重量は2g以上18g以下としている。
【0043】
緩衝材15の上記配置位置は、ラケットエンドからの距離が140mm〜200mmの範囲とし、振動の節に相当させ、緩衝材15の剪断変形によっても振動を減衰させるようにしている。
【0044】
上記本体11、緩衝材15及びハンドル部材17からなるグリップ部7の曲げ剛性値を1568N/cm以上19600N/cm以下としている(スパンが120mmの条件で測定された場合)。
【0045】
図3は第1実施形態の変形例を示し、断面T字筒形状の緩衝材15の円筒部15aを本体11の小径部11cの外周面とハンドル部材17の内周面に対向して形成した溝11c−1と17cの間に充填している。図2と比較して緩衝材15の介在量を少なくしている。
【0046】
さらに、グリップ部7の構造は図4乃至図7に示す実施形態としてもよい。以下、これらのグリップ構造について、第1実施形態との相違点のみを説明し、同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図4(A)は第2実施形態、(B)は第2実施形態の変形例を示し、グリップ部7の本体11は、シャフト部の本体10から突出した小径部11cと、その後端に中径部11dとからなる。緩衝材15の前部外周面に円錐筒形状の傾斜部15aを設け、シャフト部本体110の後端面とハンドル部材11の前端面に介在させている。また、緩衝材15の円筒部15bは、図4(A)の第2実施形態では、小径部11cとハンドル部材17の隙間に完全に充填し、図4(B)の変形例では隙間C1を残して充填している。
【0048】
図5(A)は筒形状の緩衝材15’を取り付ける第3実施形態を示し、グリップ部7の本体11は、シャフト部本体10から突出した拡径部11aと小径部11cと中径部11dを設け、ハンドル部材17と連続する大径部を設けていない。小径部11cとハンドル部材17との間の隙間の前部に緩衝材15’を介在させている。図5(B)の変形例では隙間全体に緩衝材15’を充填している。図5(C)の変形例では、グリップ部7の本体11には、拡径部11a、大径部11b、小径部11c、中径部11dを設け、小径部11cとハンドル部材17との小さな隙間全体に緩衝材15’を充填している。
【0049】
図6(A)は緩衝材を用いずに、グリップ部7を本体11とハンドル部材17とで構成している第4実施形態を示す。グリップ部の本体11はシャフト部本体10から突出する拡径部11aと小径部11cとからなる。この小径部11cは第1乃至第3実施形態のようにハンドル部材17との間に緩衝材を介在させないために、これら実施形態の小径部よりも大きくしており、ハンドル部材17の内周面に小径部11cの外周面を密着させている。
図6(B)は第4実施形態の変形例を示し、小径部11cを本体10の径と略同一径として大きくし、その分、ハンドル部材17の厚さを薄くしている。
【0050】
図6(C)の変形例はグリップ部7の本体11は小径部11cのみからなり、ハンドル部材17の前部に縮径部17dを設けている。小径部11cをハンドル部材17に密嵌し、ハンドル部材の縮径部17dの前端をシャフト部本体10の後端面に当接固着している。
図6(D)の変形例はハンドル部材17の前部に縮径部を設けずに、シャフト部本体10の後端面にハンドル部材17の前端面を段差を設けて当接固着している。
図6(E)の変形例は、グリップ部の本体11の拡径部11a、大径部11b、小径部11cを設け、大径部11bをグリップ部7の前部外周に露出させると共に、小径部11cをハンドル部材17の内周面に密嵌させている。
【0051】
図7は第5実施形態を示し、グリップ部7の本体11に拡径部11a、大径部11bを設け、該大径部11bに後部面よりに凹部11eを形成している。一方、ハンドル部材17には、前部に小径部17dを設け、該小径部17dを凹部11eに内嵌して、接着固定している。即ち、第1〜第4実施形態では、グリップ本体11をハンドル部材17に内嵌して嵌合していたが、第5実施形態では、グリップ本体11をハンドル部材17に外嵌している。該構成とすると、グリップエンドからの中空部20の領域を長くとることができる。
【0052】
以下、本発明のラケットフレームの実施例、比較例および参考例を詳述する。
【0053】
(実施例1)
66ナイロン製チューブに直径14mmのマンドレルを通し、ナイロンチューブの上からエポキシ樹脂含浸カーボン繊維プリプレグ(東レ社の商品名「T800、P2053−12」、レジンコンテンツ30%)を積層して積層体を得た。
この際、プリプレグの繊維角度を0゜、22゜、30゜及び90゜とし、またその総質量を180gとした。この積層体を、ラケットフレーム形状のキャビティを備えた金型に配置し、ナイロンチューブの内圧を69N/cm2としつつ、150℃で40分間加熱して、成形体を得た。この成形用金型では、ハンドル部材と嵌合する部分(シャフト部の後部)に前記した大径部、中径部、小径部等を設けるために、金型の型面を対応した形状とし、それにより所要形状に成形しているなお、ヨーク部は、エポキシ樹脂含浸カーボン繊維プリプレグをポリスチレン樹脂に巻き付けて、同時に成形した。ヘッド部の厚みは24mm、幅は12mm、フェイス面積は632cm2とした。 このように成形したローフレームを、 全長599mmに切断した。 その際のローフレームの重量は155gであった。
【0054】
一方、長さ170mmで、重量29gで、ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社の商品名「PEBAX7233」)製のハンドル部材を成形した。このハンドル部材に、 図2に示す緩衝材を介して本体の後端を嵌合した。緩衝材の重量6.8gで、変性塩素化ポリエチレン(シーシーアイ社の商品名「ダイポルギーフィルム」)で成形した。緩衝材の長さは38mmで、このうち、本体11とハンドル部材17との間隙に配置される部分(図2中、L4で示される部分)が20mm、傾斜部の長さ(図2中、L5で示される部分)が23mmであった。本体、ハンドル部材及び緩衝材は、ウレタン系接着剤(東立化成工業社の商品名「エスプレンH25」)で接着した。また、本体とハンドル部材とは、ガンタックスを用いて4箇所固定した。さらに、ハンドル部材の後端に厚みが2mmのエンドキャップを取り付けた。
【0055】
上記のようにして、グリップ構造が図2に示す構造の実施例1のラケットフレームを得た。このラケットフレームの重量(ストリングを除く)は262gであった。また、エンドキャップを除く全長は、699mmであった。また、グリップ部7のグリップエンドから設ける中空部20の長さL2を100mmとした。
【0056】
(実施例2、3、6、7、8、9、1および参考例10
ハンドル部材及び緩衝材の材質を下記の通りとし、また各部の寸法を下記の表1及び表2に示すように変更した他は実施例1と同様の構造として、実施例2、3、6、7、8、9、11および参考例10のラケットフレームを作成した。
【0057】
(実施例4及び参考例5並びに比較例1及び2)
図6に示す緩衝材を設けていない第4実施形態のグリップ構造とした。ハンドル部材の材質を下記の通りとし、また各部の寸法を下記の表1及び表2に示すように変更した他は実施例1と同様にして、実施例4及び参考例5並びに比較例1及び2のラケットフレームを作成した。
【0058】
(実施例12)
図7に示す第5実施形態の構造とした。即ち、緩衝材を設けず、ハンドル部材17の前部を本体11に内嵌した。ハンドル部材の材質を下記の通りとし、また各部の寸法を下記の表2に示すように変更した他は実施例1と同様にして、実施例12のラケットフレームを作成した。
【0059】
[比較例3及び4]
実施例1と同一方法で作成したフレーム本体で図8に示すグリップ部を備えた比較例3、4のラケットフレームを作成した。各部の寸法を下記の表2に示す。
なお、実施例および比較例において、ラケットエンドからグリップの拡径部の前端までの寸法αと、拡径部後端までの寸法β、拡径部11aの寸法L5は下記の通りとした。
【0060】
実施例1、2、4、6、7、9、11、12、参考例10および比較例1、3、4は、α=195mm、β=172mm、L5=23mmとした。
実施例3、8、参考例5は、α=218mm、β=202mm、L5=16mmとした。
比較例2は、α=233mm、β=217mm、L5=16mmとした。
【0061】
なお、各ラケットフレームのハンドル部材の材質(比較例3及び4においては、本体と一体となったグリップ部の材質)は、下記の通りとした。
実施例2:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX6033」)
実施例3:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX7233」)
実施例4:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX6333」)
参考例5:ナイロン11(AT0CHEM社「BMN O P20」)
実施例6:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX7233」)
実施例7:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX7233」)
実施例8:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX7233」)
実施例9:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX7233」)
参考例10:カーボン繊維強化エポキシ樹脂
実施例11:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX7233」)
実施例12:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX7233」)
比較例1:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX7233」)
比較例2:ポリエーテルブロックアミド(AT0CHEM社「PEBAX6333」)
比較例3:カーボン繊維強化エポキシ樹脂
比較例4:カーボン繊維強化エポキシ樹脂
【0062】
また、各ラケットフレームの緩衝材の材質は、下記の通りであった。
実施例2:アイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1702」)
実施例3:IIR100部及びポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共重合体(前述の「ハイブラー」)30部とを主ポリマーとする組成物
実施例6:ポリブチレンテレフタレート−ポリエーテルグリコール(前述の商品名「ハイトレル」)
実施例7:ポリエステル系ポリウレタン
実施例8:シリコーンゴム
実施例9:ナイロン12(前述の商品名「リルサン AMN O P40」)
参考例10:変性塩素化ポリエチレン(前述の商品名「ダイポルギーフィルム」)
実施例11:変性塩素化ポリエチレン(前述の商品名「ダイポルギーフィルム」)
【0063】
[面外一次振動減衰率の測定]
各ラケットフレームに、ストリング(バボラ社の商品名「VFインターナショナルツアー」)を縦244N、横213Nの張力で張設した。このラケットフレームを図8(a)に示すように紐51で吊り下げ、ヘッド部1とスロート部5との合流地点に加速度ピックアップ計53を取り付けた。そして、ヨーク部9の中央部をインパクトハンマー(図示されず)で加振した。インパクトハンマーに取り付けられたフォースピックアップ計で計測した入力振動と加速度ピックアップ計53で計測した応答振動とから伝達関数を求め、さらに減衰率を算出し、面外一次振動減衰率とした。5個のラケットフレームについて測定された平均値を、下記の表1及び表2に示す。
【0064】
[面外二次振動減衰率の測定]
上記のようにストリングが張設された各ラケットフレームを図8(b)に示すように紐51で吊り下げ、シャフト部5に加速度ピックアップ計53を取り付けた。そして、シャフト部5の加速度ピックアップ計53の裏側の地点をインパクトハンマー(図示されず)で加振した。そして、面外一次振動減衰率と同等の方法で減衰率を算出し、面外二次振動減衰率とした。5個のラケットフレームについて測定された平均値を、下記の表1及び表2に示す。
【0065】
[衝撃加速度の測定]
面外二次振動減衰率の測定と同じ位置に加速度ピックアップ計を取り付けた。
そして、フェイスの中央部に30m/secの速度でテニスボールをぶつけ、加速度の最大値を読みとった。5個のラケットフレームについて測定された平均値そ、下記の表1及び表2に示す。
【0066】
[コントロール性の評価]
テニスコーチ及び上級の学生プレーヤー16名(うち女性5名)に各ラケットフレームを試打させ、コントロール性を5段階で評価させた。コントロール性が良好なものを「5」とし、不良なものを「1」とした。全プレーヤーの平均値を、下記の表1及び表2に示す。
【0067】
【表1】
Figure 0004573935
【0068】
【表2】
Figure 0004573935
【0069】
表1及び表2に示すように、距離L2が60mm未満である比較例1のラケットフレームは、面外一次振動減衰率及び面外二次振動減衰率が低く、衝撃加速度が大きかった。また、距離L2が180mmを越えている比較例2のラケットフレームは、衝撃加速度が大きく、コントロール性にも劣っていた。さらに、グリップ全体を本体で成形した比較例3及び比較例4のラケットフレームは、面外一次振動減衰率及び面外二次振動減衰率が低く、衝撃加速度が大きく、コントロール性にも劣っていた。これに対し、本発明の各実施例のラケットフレームは、全ての評価項目にてほぼ良好な値を示していた。これらの評価結果より、本発明の優位性が確認された。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明のラケットフレームは、グリップ部の構造を、他のヘッド部、スロート部およびシャフト部を構成する本体の一部と、該本体に嵌合する中空を有する筒状のハンドル部材とを組み合わせて構成し、グリップエンドから所定範囲(60mm〜180mm)に中空部を形成しているため、グリップ部自体を動吸振器(共振ダンパー)として機能させることができ、振動減衰性を高めることができる。特に、この中空部を形成している領域が面外一次振動モードおよび面外二次振動モードの腹に当たる部分としているため、振動減衰性を高めることができる。また、グリップ部の主要部分を中空としているため、軽量化を促進することもできる。
【0071】
さらに、上記動吸振器のケースとなるハンドル部材自体も振動を減衰できる材料、即ち、周波数10Hz、温度10℃の条件下で測定された動的粘弾性損失係数tanδを0.05以上0.3以下のものを用いると、さらに、振動減衰率を高めることが出来る。
【0072】
さらに、ハンドル部材の長さを90mm以上210mm以下、重量を15g以上45g以下、ハンドル部材と本体との嵌合部分の長さを20mm以上150mm以下の範囲内で、ハンドル部材の長さ、重さおよび本体との嵌合形態を代えることにより、ラケットフレームの形状、重量等が相違しても、ハンドル部材を付け替えるだけで、長さ、重さ、バランス等の調整変更も容易にでき、かつ、所要の振動減衰性を容易に得られる。
【0073】
さらにまた、ハンドル部材と本体との嵌合部の隙間に緩衝材を介在させると、振動減衰性およびボール打球時の衝撃力(衝撃加速度)を低減させることができる。また、この緩衝材を振動モードの節となる位置に配置することにより、せん断変形を吸収させることができる利点もある。
【0074】
このように、本発明のラケットフレームは、グリップ部の構造を改良することにより、軽量化と振動減衰性、衝撃吸収性に優れたラケットフレームとすることができ、硬式テニス、軟式テニス用のラケットフレームとして好適に用いられる。特に、打球時に激しい振動が発生する硬式テニス用としては最適なものとなる
【図面の簡単な説明】
【図1】ラケットフレームが示す概略図である。
【図2】第1実施形態を示し、(A)はラケットフレームを水平配置した状態でのグリップ部の拡大垂直断面図、(B)は拡大水平断面図である。
【図3】第1実施形態の変形例を示す断面図である。
【図4】(A)が第2実施形態の断面図、(B)は第2実施形態の変形例の断面図である。
【図5】(A)は第3実施形態の断面図、(B)(C)はそれぞれ第3実施形態の変形例の断面図である。
【図6】(A)は第4実施形態の断面図、(B)乃至(E)は第4実施形態の変形例の断面図である。
【図7】第5実施形態の断面図である。
【図8】比較例3、4の断面図である。
【図9】(a)は面外一次減衰率の測定の様子が示された正面図、(b)は面外二次減衰率の測定の様子が示された正面図である。
【符号の説明】
1 ヘッド部
3 スロート部
5 シャフト部
7 グリップ部
9 ヨーク部
10 シャフト部の本体
11 グリップ部の本体
11a 拡径部
11b 大径部
11c 小径部
11d 中径部
15 緩衝材
17 ハンドル部材
19 エンドキャップ
20 中空部

Claims (3)

  1. フェイス面を囲むヘッド部、スロート部、シャフト部およびグリップ部を備えたラケットフレームにおいて、
    上記グリップ部は、上記ヘッド部、スロート部およびシャフト部を連続的に構成してシャフト部より延在する本体と、該本体に前部が嵌合固定される筒状のハンドル部材とからなり、
    上記ハンドル部材は、周波数10Hz、温度10℃の条件下で測定された動的粘弾性損失係数tanδが0.05以上0.3以下であるポリエーテルブロックアミドで成形しており、
    上記ハンドル部材の長さが90mm以上210mm以下であり、該ハンドル部材の後端がグリップ端となると共に、該ハンドル部材は少なくともグリップ端から60mm以上180mm以下の範囲は中空部としており、かつ、
    上記ハンドル部材と本体との嵌合部分の隙間の少なくとも一部に緩衝材を介在させており、該緩衝材は、周波数10Hzで温度15℃の条件下で測定された動的粘弾性損失係数tanδが0.08以上2.3以下であり、該緩衝材は、アイオノマー樹脂、IIR100部及びポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックとを有するトリブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリエーテルグリコール、ポリエステル系ポリウレタン、シリコーンゴム、ナイロン12、変性塩素化ポリエチレンから選択される1種であることを特徴とするラケットフレーム。
  2. 上記ハンドル部材の重量は15g以上45g以下、ハンドル部材と本体との嵌合部分の長さを20mm以上150mm以下としている請求項1に記載のラケットフレーム。
  3. 上記本体とハンドル部材とからなるグリップ部の剛性は、スパンが120mmの条件で測定された曲げ剛性値が、1568N/cm以上19600N/cm以下である請求項1または請求項2に記載のラケットフレーム。
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