JP4058150B2 - ラケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテニスラケット等のスポーツ用のラケットに関し、特に、ラケットの軽量化を図りながら、打球する際に反発係数の増加およびボールのコントロール性能を向上させ、さらに、振動減衰性を高めるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のラケットは、プレーヤーから操作性を良くするために軽量化の要望が強い。該要望に応えるため、従来のラケットフレームのグリップ部分は、フレーム本体を構成する繊維強化樹脂に発泡ウレタン等の軽量発泡体を被覆して形成していたが、上記発泡体を除去して、繊維強化樹脂のみでグリップ部分を構成したラケットが提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記グリップ部分の発泡体を除去することにより、15g〜20gの重量低減を図ることができたが、下記に列挙する問題が発生している。
【0004】
▲1▼グリップ部分の外形を従来と同様とすると、発泡体を除去した代わりに、繊維強化樹脂の外形を大きしたため、断面二次モーメントが増加する。その結果、グリップの剛性が高くなり、フレームの面外二次固有振動が大きくなる。
本出願人の先行出願(特開平7−100231)に記載したように、フレームの面外二次固有振動数をボールの固有振動数と一致させると、ボールの反発性能が大きくなる。そのため、フレームの面外二次固有振動数を低減してボールの固有振動数を一致させるようにしているが、実際には、ボールは使用時に温度上昇により内圧が低減し、ボールの固有振動数の低減が発生している。よって、フレームの面外二次固有振動数をさらに低減することが必要となるが、上記のように面外二次固有振動数が大きくなると、ボールの固有振動数と一致しなくなり、ボールの反発性能が低下する。
【0005】
▲2▼上記のように、グリップの剛性が高くなるため、打球時のフレームの変形は打球面を囲むフェイス部分での変形が大きくなり、打球面の安定性が悪くなる。よって、打球時のコントロール性が低下する。
【0006】
▲3▼グリップ部分では、打球方向の剛性が高くなって、変形しにくくなる。そのため、グリップ部分には、打球と垂直方向の変形が励起されて、ラケットフレームが振れやすくなり、コントロール性が低下する。このように、グリップ部分で打球方向の剛性が高くなるのは、図11に示すように、ラケットフレームの成形時に、1本のスリーブを金型のキャビティに沿って充填し、グリップ部分では2本のスリーブS1,S2を並列に接合した状態となる。この2本のスリーブS1、S2が並列に接合して、その中心部にリブRが位置し、該リブRが打球方向に設置されるためである。
【0007】
▲4▼発泡体を除去したため、プレーヤーの手に直接的に打球の衝撃が伝わり、不快な振動が残るため、打球感が悪くなる。加えて、テニスエルボー等の人体に与える影響も大きくなる。
【0008】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、ラケットの操作性を良くするために、グリップ部分の軽量化を図りながら、反発性能およびコントロール性能を低下させず、しかも、振動吸収性にすぐれたラケットを提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、請求項1で、打球面を囲むヘッド部位およびスロート部位からなるフレーム本体と、グリップ部とは、それぞれ中空状の繊維強化樹脂で別体として成形され、
上記グリップ部の前端が、ラケットフレームの全長に対してグリップ端から25±10%の長さの位置でフレーム本体の後端と接合され、該グリップ部の中空部全長の少なくとも一部に打球方向のリブを配置せず、該グリップ部における打球方向の剛性が405kgf/cm 以上882kgf/cm以下、(打球方向の剛性/打球方向に垂直な剛性)が0.84〜2.10の範囲とされているラケットを提供している。なお、グリップ部分の全長にわたって打球方向のリブを配置していないラケットを当然含むものである。
【0010】
上記のように、グリップ部の中空部において、打球方向と同一方向(言い換えれば、打球面に対して垂直方向)のリブを設けると、グリップ部の打球方向の剛性が高まるため、本発明では、グリップ部の少なくとも一部には打球方向のリブを配置しないようにして、グリップの剛性、特に打球方向の剛性が大きくなり過ぎないようにしている。このように、グリップの剛性、特に打球方向の剛性を低下すると、面外二次固有振動数が小さくなり、ボールの固有振動数と一致させて反発性能を高めることができる。
【0011】
上記打球方向のリブを除去する部分は、上記したように、グリップ端から25±10%の範囲であって、かつ、リブ除去部分の長さは20mm以上であることが好ましい。上記グリップ端から25±10%の範囲は図12に示すように、面外方向の振動二次モードの腹に相当する部分であり、振幅の大きくなる部分である。よって、この振動二次モードの腹Hに相当する部分で打球方向のリブを除去して打球方向の剛性を低くすると、振幅の大きさを抑制して、プレーヤーの手に伝わる衝撃を抑制することができる。
【0012】
また、本発明は、請求項2で、打球面を囲むヘッド部位およびスロート部位からなるフレーム本体と、グリップ部とは、それぞれ中空状の繊維強化樹脂で別体として成形され、
上記グリップ部の前端が、ラケットフレームの全長に対してグリップ端から25±10%の長さの位置でフレーム本体の後端と接合され、該グリップ部の中空部全長の少なくとも一部に打球方向と垂直の打球面方向のリブを配置し、該グリップ部における打球方向の剛性が405kgf/cm 以上882kgf/cm以下、(打球方向の剛性/打球方向に垂直な剛性)が0.84〜2.10の範囲とされているラケットを提供している。なお、グリップ部分の全長にわたって打球方向と垂直な打球面方向のリブを配置しているラケットを当然含むものである。
【0013】
上記のように、グリップ部の中空部に、打球方向のリブを設ける代わりに、打球方向と垂直な打球面方向のリブを配置すると、打球方向の剛性が低下して、面外二次固有振動数を減少し、ボールの反発性能を高めることができると共に、打球方向と直交方向の剛性を高めて、グリップ部の打球方向と垂直方向の変形を抑制しコントルール性を高めることができる。
【0014】
上記請求項1および請求項2のラケットは、グリップ部における打球方向の剛性を404kgf/cm 以上882kgf/cm以下としている。即ち、打球方向の剛性を882kgf/cmより大きくすると、面外二次固有振動数が大きくなり、ボールの固有振動数との差が大きくなり、反発性能が低下する。
【0015】
上記請求項1および請求項2に記載のラケットは、そのグリップ部において、(打球方向の剛性/打球方向に垂直な剛性)が、0.8〜2.10の範囲としている。即ち、0.8より小さいとボール打球時にグリップの正面部分の歪量が励起され、大きくなるため破損しやすくなる。また、2.10より大きいと、打球方向の剛性が増加し、面外二次固有振動数が増加し、反発性能が低下し、かつ、打球方向の垂直な剛性が小さくなりすぎ、打球と垂直方向の変形が大きくなるため、コントロール性が低下する。
【0016】
上記した本発明に係わるラケットのフレームは、グリップ部の強化繊維成形体(レイアップ)をフレーム本体(打球面を囲むヘッド部およびスロート部)の強化繊維成形体(レイアップ)と別に成形しておき、上記グリップ部の強化繊維成形体では、そのスリーブ状の内部にリブを設けず、あるいは、打球方向と垂直方向のリブを設けている。このグリップ部の強化繊維成形体の前端とフレーム本体の強化繊維成形体の後端とを重ねあわせる(好ましくは、グリップ部の強化繊維成形体内に他の部分の強化成形成形体を挿入して重ね合わせる)。この状態で金型のキャビティに充填し、反応射出成形により、あるいは、プリプレグより強化繊維成形体を成形した場合には加熱溶融してラケットフレームを成形している。
【0017】
なお、グリップ部のマトリクス樹脂としては、ナイロン等の熱可塑性樹脂を用いた方が振動減衰性が優れているため好ましい。この場合、特に、プレーヤーに接触するグリップ部で、少ない熱可塑性樹脂の使用量で効果的な振動減衰性を得ることができる。よって、金型のキャビティに上記強化繊維成形体を配置し、ナイロンモノマーを注入し、金型内で重合反応させるRIMナイロンによる反応射出成形で6ナイロンをマトリクス樹脂とするラケットフレームを製造することが好ましい。
【0018】
なお、6ナイロンあるいは66ナイロン等の繊維と強化繊維のコミングルドヤーンをブレイド状に成形し、該ブレイドより成形した成形体を金型のキャビティ内に充填し、上記6ナイロンあるいは66ナイロンを加熱溶融してラケットフレームを製造してもよい。また、成形体はナイロンロービングと強化繊維ロービングをそれぞれブレイドにして積層して形成してもよく、さらに、これらナイロンロービングと強化繊維ロービングとをフィラメントワインディングで成形してもよい。
【0019】
上記のように、スリーブ状のグリップ部の成形体と、フレーム本体部の成形体とを別に設け、これら成形体の接合端部を重ねた状態で金型のキャビティ内に充填して一体成形する方法にかえて、上記接合端部を機械的に接合してもよい。即ち、グリップ部の成形体の接合端部にほぞ穴をあけておくと共に、フレーム本体の成形体の接合端部にほぞを設けて、上記ほぞ穴に嵌合し、かつ、ほぞ穴とほぞの接合箇所に軸ピンを貫挿して両者を連結すると共に、その接合箇所に接着剤を被覆貼着して硬化させ、接合部分が十分な強度を保つようにしてもよい。上記接着剤は動植物質系接着剤、合成接着剤等が任意に用いられる。
【0020】
上記一体成形する場合および機械的に接続する場合のいずれも、グリップ部とフレーム本体部との重なり長さは、打球方向の剛性を405kgf/cm以上882kgf/cm以下に保持するために、全長の15%以下、好ましくは10%以下としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
第1実施形態は、図1(A)(B)(C)に示すように、打球面1を囲むヘッド部2、スロート部3、シャフト部4およびグリップ部5からなる中空状の繊維強化樹脂からなるテニスラケットフレームにおいて、上記グリップ部5は図1(C)に示すように、中空状とし、内部に打球面1と垂直な打球方向Xのリブを設けていない。なお、打球方向と垂直な打球面方向Yのリブも設けていない。上記グリップ部5はグリップ端5aからフレーム全長に対して25±10%の位置で、フレーム本体6のシャフト部4と接合しており、該接合長さを50mmとしている。
【0022】
上記第1実施形態のテニスラケットはグリップ部を別にRIM成形しで形成し、この予め成形したグリップ部を、フレーム本体部のスリーブ状の繊維成形体の端部と重ね合わせて金型のキャビティ内に配置し、一体的に成形している。
【0023】
即ち、まず、マンドレルに被せた66ナイロンチューブにカーボン繊維ブレイド(東邦レーヨン製BC7396−24(20)を積層し、積層後に上記チューブよりマンドレルを引き抜き、樹脂を含浸していない繊維積層体からなる成形体を作成した。この成形体を図2に示すように、金型7のキャビティ7a内に配置し、金型の型締めを行った。金型を150℃に昇温し、キャビティ内に溶融したナイロンモノマー(宇部興産製UX−75)を注入した。この溶融温度は90℃で、触媒を含むA液と開始剤を含むB液を1:1で混合して注入した。注入圧は3kgf/cm2に制御すると共に上記66ナイロンチューブ内に3kgf/cm2の空気圧を加えた。3分間の保持後、離型し、グリップサイズ#2に相当するグリップ部分5’を成形した。
【0024】
一方、グリップ部5を除くフレーム本体部6は、エポキシ樹脂をマトリクス樹脂としたカーボン繊維強化のプリプレグをナイロンチューブの外周に巻き付けて長尺なスリーブからなる強化繊維成形体8を作成した。この成形体8の両端を図2(B)に示すように上記グリップ部分5’の一端に挿入して重ね合わせ、接合長さを50mmとした。この状態で図2(C)に示すように金型9のキャビティ9a内に配置し、145℃で加熱して、ヘッド部2、スロート部3、シャフト部4からなるフレーム本体6を成形すると同時にグリップ部5を一体的に接合した。
【0025】
上記方法で製造したテニスラケットは図1に示す形状で、グリップ部5は完全な中空状で内部にリブは存在していない。該テニスラケットフレームは全長710mm、重量278g、バランス点はグリップ端から341mm、グリップ部5の長さは205mmであった。
【0026】
図3は第2実施形態を示し、グリップ部5には打球面方向Yのリブ10を設けている。該第2実施形態のテニスラケットフレームも第1実施形態と同様で、中空状の繊維強化樹脂から成形しており、グリップ部5を、ラケットフレームの全長に対してグリップ端から25±10%の長さの位置でフレーム本体部6と接合し、該グリップ部5の中空部全長の少なくとも一部に上記打球方向Xと垂直の打球面方向Yのリブ10を設けている。
【0027】
上記第2実施形態のテニスラケットもグリップ部を成形し、この予め成形したグリップ部を、第1実施形態と同様に、フレーム本体部のスリーブ状の繊維成形体の端部と重ね合わせて金型のキャビティ内に配置し、一体的に成形している。
【0028】
即ち、まず、マンドレルに被せた66ナイロンチューブに6Kのカーボン繊維ロービングと6ナイロン繊維ロービングとをフィラメントワインディング装置により巻き付けた。其のとき、巻き付ける繊維角度を鉛直方向に対して20゜および38゜になるように積層して巻き付けた。このようにして作成した2本のスリーブ11A、11Bを図4(A)に示すように、金型7’のキャビティ7a’内に並列に配置して、金型7’の型締めを行った。金型を270℃に加熱して20分保持し、かつ、各スリーブ11A、11Bに夫々15kgf/cm2の内圧をかけた。その後、冷却して離型し、図4(B)に示すグリップ部5’を成形した。該グリップ部5’には図中上下に積層したスリーブ11Aと11Bとの中央重なり部分がリブ10となっている。
【0029】
一方、グリップ部5’を除くフレーム本体部6は、第1実施形態と同様に、エポキシ樹脂をマトリクス樹脂としたカーボン繊維強化のプリプレグをナイロンチューブの外周に巻き付けて長尺なスリーブからなる成形体8を作成した。この成形体8の両端を図4(C)に示すように上記グリップ部5’の一端に挿入して重ね合わせ、接合長さを50mmとした。其の際、グリップ部5’の接合端ではリブ10を切除して中空状とし、該中空部に上記成形体8の両端を挿入した。この状態で図4(D)に示すように金型9のキャビティ9a内に配置し、145℃で加熱して、ヘッド部2、スロート部3、シャフト部4からなるフレーム本体部6を成形すると同時にグリップ部5を一体的に接合した。
【0030】
上記方法で製造したテニスラケットは図3に示す形状で、グリップ部5の中空状内部には打球面方向Yのリブ10が存在している。該テニスラケットフレームは全長710mm、重量281g、バランス点はグリップ端から339mm、グリップ部5の長さは205mmであった。
【0031】
図5は第3実施形態のテニスラケットを示し、グリップ部5の中空部の中心には打球方向Xにナイロンチューブ・シート20を配置している。該ナイロンチューブ・シート20は、繊維強化樹脂からなるリブではなく、単にプリプレグを巻き付けつ時に芯材となるものである。
【0032】
上記グリップ部5は、図6に示すように、接合させて並列した2つのチューブ13A、13Bの外周面にプリプレグを積層した配置して成形しており、該グリップ部5をフレーム本体部6と接合する構成は第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0033】
即ち、該第3実施形態では、エポキシマトリクスからなるカーボン繊維強化プリプレグを上記2つのチューブ13Aと13Bの外周面に積層し、これを金型のキャビティ内に配置して、金型の型締めを行う。この状態で、金型を145℃に加熱して20分保持し、かつ、各チューブ13A、13Bに夫々7kgf/cm2の内圧をかけた。その後、冷却して離型し、グリップ部を成形した。該グリップ部の中空部の中央には図中上下方向のチューブ13Aと13Bとの接合体からなるナイロンチューブ・シート20が位置している。
【0034】
一方、グリップ部5を除くフレーム本体部6の成形方法および該フレーム本体部6と上記グリップ部5との接合方法は、第1実施形態および第2実施形態と同様であり、よって、説明を省略する。
【0035】
上記方法で製造したテニスラケットは図5に示す形状で、グリップ部5の中空状内部には打球方向Xの薄膜からなるナイロンチューブ・シート20が存在している。該テニスラケットフレームは全長710mm、重量282g、バランス点はグリップ端から343mm、グリップ部5の長さは205mmであり、上記ナイロンチューブ・シート20が存在する範囲はグリップエンドから110mm〜210mmとなっていた。
【0036】
上記本発明の第1〜第3実施形態と比較するために、グリップ部に打球方向のリブを配置したテニスラケットを作成した。該比較例は、前記図11に示す従来例と同様の形状としたものである。該比較例のテニスラケットは、第3実施形態のチューブ13A、13Bに夫々エポキシマトリクスからなるカーボン繊維強化プリプレグを積層しており、よって、グリップ部の中央部にプリプレグからなる打球方向のリブRが配置された構成となる。他は第3実施形態と同様としている。この比較例のラケットフレームは長さ710mm、グリップ長さ205mm、重量293g、バランス点がグリップ端より339mmであった。
【0037】
上記本発明の第1実施形態〜第3実施形態および上記比較例のテニスラケットについて、それぞれ同一条件でガットを張ると共に所要の部品をつけて通常の使用形態とした後、グリップ剛性、面外二次固有振動数、反発係数、グリップの衝撃加速度を夫々測定装置を用いて測定した。また、コントロール性能については官能試験を実施した。その結果を下記の表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004058150
【0039】
上記グリップ剛性は、打球方向のグリップ剛性と、打球と垂直方向のグリップ剛性とを測定した。打球方向のグリップ剛性は、図7(A)に示すように、グリップエンドから45mm、145mmを位置で下方より支持して打球面を水平に配置し、グリップエンドから95mmの位置のグリップに上方から30kgf/minで荷重をかけて3点曲げ試験を実施して測定した。
また、打球と垂直方向のグリップ剛性は、図7(B)に示すように、グリップエンドから45mm、145mmを位置で下方より支持して打球面を水平に配置し、グリップエンドから95mmの位置のグリップに対して、水平方向の側方から30kgf/minで荷重をかけて3点曲げ試験を実施して測定した。
なお、第1〜第3実施形態および比較例のいずれのラケットもグリップレザーおよびエンドキャップは取り外した。
【0040】
上記打球方向のグリップ剛性試験の結果は表1に示すように、第1〜第3実施形態では405kgf/cm 以上882kgf/cm以下であるのに対して、比較例は1240kgf/cmとなっていた。このように、第1〜第3実施形態のラケットではグリップの打球方向の剛性を低下できることが確認できた。
【0041】
また、打球と垂直方向のグリップ剛性は、打球と垂直方向のリブを備えている第2実施形態が618kgf/cmと最も大きく、比較例の打球方向のリブを備えた比較例よりもグリップ剛性を高めることができた。
【0042】
表1に示すように、第1〜第3実施形態では、
(打球方向の剛性)/(打球方向に対して垂直方向の剛性)の比が、0.8〜2.10の範囲であり、比較例では2.5となっていた。
上記比が0.8より小さいとボール打球時にグリップの正面部分の歪量が励起され、大きくなるため破損しやすくなる。また、2.10より大きいと、打球方向の剛性が増加し、面外二次固有振動数が増加し、反発性能が低下し、かつ、打球方向の垂直な剛性が小さくなりすぎ、打球と垂直方向の変形が大きくなるため、コントロール性が低下する。よって、0.8〜2.10の範囲に設定することが好ましい。
【0043】
面外二次固有振動数の測定は、図8に示すように、グリップの上端を固定部材40で支持してラケットを下向きに吊り下げ、その下端部をインパクトハンマー41で加振し、このインパクトハンマー41に取り付けフォースピックアップ42で入力振動を計測すると共に、インパクトハンマー41で打撃する面と反対面に固定した加速度ピックアップ43により応答振動を測定し、その測定値をアンプを介して接続した周波数解析装置(図示せず)に入力して解析し、面外二次固有振動数(Hz)を測定した。
【0044】
その結果は、表1に示すように、面外二次固有振動数は第1〜第3実施形態では328〜345Hzであったが、比較例では439であり、第1〜第3実施形態のラケットでは面外二次固有振動数が比較例より小さくなっていることが確認できた。
【0045】
反発係数の測定は、図9に示すように、ラケットのグリップを保持した状態で、打球面の中央に30m/secの速度(Vo)でボールを衝突させて、跳ね返ったボール速度(Vr)と、入射した速度の比(Vr/Vo)を反発係数として測定した。
【0046】
その結果は、表1に示すように、第1〜第3実施形態では0.427〜0.443であり、比較例の0.411より大きいことが確認できた。このように、
グリップの中空部に打球方向のリブを設けない構成とすると、面外二次固有振動数が小さくなり、ボールの固有振動数と一致して、その結果、反発係数を増大していることが確認できた。
【0047】
グリップの衝突加速度は、グリップのレザーを10mm×10mmの範囲で取り除き、その部分(グリップ本体)に加速度計を取り付けた。反発係数と同様の方法で、グリップの支持した状態で、打球面の中央部に40m/secでボールを衝突させ、 打球時のグリップに加わる加速度を測定した。
【0048】
その結果は表1に示すように、第1〜第3実施形態では175〜219Gで、比較例の260Gよりも大幅に減少していた。この衝突加速度が大きいとプレーヤの手に伝わる衝撃力が大きくなるため、第1〜第3実施形態のラケットではプレーヤの手に伝わる衝撃力を小さくできることが確認できた。
【0049】
振動減衰率の測定は、図10に示すように、ラケットのグリップ部の上部にアルミ板50を介在させて加速度計51を取り付け、グリップを両手でしっかりと握り、35m/secの速度で打球面の中央にボールを衝突させ、このボールを衝突させた時の振動減衰波形を加速度計51で受信し、振動減衰波形から振動減衰率を計算して求めた。
【0050】
その結果は表1に示すように、第1〜第3実施形態は0.73〜1.04と、比較例の0.31よりも大きくなっていた。このように、振動減衰率が大きくなると、プレーヤに伝わる振動が小さくでき、上記衝撃力が小さくなることと併せて、テニスエルボー等の人体に与える影響を減少でき、かつ、打球感を良くすることができる。
【0051】
コントロール性の官能試験は、25名のプレーヤーが夫々10分間実打して判定した。コントロール性は5点満点で評価して、25名の平均点とした。実打プレー内容はストロークの他、サーブ、ボレーも実施した。
【0052】
その結果は、表1に示すように、第2実施形態が最も得点が高く、ついで、第1実施形態、第3実施形態でいずれも3点以上の評価を得た。これに対して比較例では2.64の評価しか得られなかった。
【0053】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明に係わる請求項1のラケットでは、グリップ部の中空部全長の少なくとも一部(好ましくは全長)に、打球方向のリブを設けていないため、グリップ部の剛性、特に、打球方向の剛性を低下できる。その結果、フレームの面外二次振動数を小さくしてボールの固有振動数を一致させることができ、ボールの反発性能を高めることができる。また、グリップ部の剛性を低下させるため、プレー時において、打球面の変形を抑制して、打球面を安定化でき、コントロール性能を向上させることができる。さらに、プレー時においてプレーヤーの手に伝わる衝撃力及び振動を緩和できるため、人体に与える影響を少なくして、テニスエルボーになりにくくすることができる。
【0054】
また、請求項2のラケットでは、グリップ部の中空部に打球方向のリブに代えて、打球方向と垂直方向のリブを設けているため、グリップ部において打球方向と垂直方向の変形を抑制でき、その結果、コントロール性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のラケットを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は(A)のI−I線断面図である。
【図2】 (A)(B)(C)は第1実施形態のラケットの製造工程を示す概略図である。
【図3】 第2実施形態のラケットの要部断面斜視図である。
【図4】 (A)(B)(C)(D)は第2実施形態のラケットの製造工程を示す概略図である。
【図5】 第3実施形態のラケットの要部断面斜視図である。
【図6】 第3実施形態のラケットの製造工程の1つの示す概略図である。
【図7】 (A)はグリップの打球方向の剛性試験方法を示す正面図、(B)はグリップの打球と垂直方向の剛性試験方法を示す平面図である。
【図8】 面外二次固有振動数の測定試験方法を示す概略図である。
【図9】 反発係数の測定方法を示す概略図である。
【図10】 振動減衰率の測定方法を示す概略図である。
【図11】 従来例を示す概略図である。
【図12】 振動モードを示す概略図である。
【符号の説明】
1 打球面
2 ヘッド部
3 スロート部
4 シャフト部
5 グリップ部
6 フレーム本体部
10 リブ
X 打球方向
Y 打球方向と垂直な方向

Claims (3)

  1. 打球面を囲むヘッド部位およびスロート部位からなるフレーム本体と、グリップ部とは、それぞれ中空状の繊維強化樹脂で別体として成形され、
    上記グリップ部の前端が、ラケットフレームの全長に対してグリップ端から25±10%の長さの位置でフレーム本体の後端と接合され、該グリップ部の中空部全長の少なくとも一部に打球方向のリブを配置せず、該グリップ部における打球方向の剛性が405kgf/cm 以上882kgf/cm以下、(打球方向の剛性/打球方向に垂直な剛性)が0.84〜2.10の範囲とされているラケット。
  2. 打球面を囲むヘッド部位およびスロート部位からなるフレーム本体と、グリップ部とは、それぞれ中空状の繊維強化樹脂で別体として成形され、
    上記グリップ部の前端が、ラケットフレームの全長に対してグリップ端から25±10%の長さの位置でフレーム本体の後端と接合され、該グリップ部の中空部全長の少なくとも一部に打球方向と垂直の打球面方向のリブを配置し、該グリップ部における打球方向の剛性が405kgf/cm 以上882kgf/cm以下、(打球方向の剛性/打球方向に垂直な剛性)が0.84〜2.10の範囲とされているラケット。
  3. 前記フレーム本体はマトリクス樹脂をエポキシ樹脂とし、グリップ部はマトリクス樹脂をナイロン樹脂としている請求項1または請求項2に記載のラケット。
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