JP4593025B2 - 熱収縮性ラベルおよびそれを用いた熱収縮性ラベル付き容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮性ラベルおよびそれを用いた熱収縮性ラベル付き容器に関し、更に詳しくは、容器の胴部外周面に装着して用いられる熱収縮性ラベルであって、容器に優れた意匠性、断熱性、緩衝性を付与することができると同時に、その製造工程において、大気汚染や二酸化炭素の排出を抑制することができ、また、例えば、PETボトル(ポリエステル系樹脂製のボトル)などのプラスチック容器に装着した場合でも、容器の使用後、熱収縮性ラベルと容器とを、液比重分離法により容易に分離することができ、容器のリサイクルを容易に行えるようにした熱収縮性ラベルと、それを用いて製造された意匠性、断熱性、緩衝性と共に、環境対策やリサイクル性にも優れた熱収縮性ラベル付き容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液体飲料、調味料、食用油など、液状食品の分野では、その包装容器として、プラスチック容器の採用が急激に拡大してきている。
特に、液体飲料の分野におけるPETボトルの使用増加には著しいものがあり、使用後の容器の廃棄処理の問題から、特に使用量の多いPETボトルでは、分別回収してリサイクルすることが義務付けられるようになっている。
このようなPETボトルには、内容物を説明する表示事項や意匠性を高めるための絵柄などを印刷したラベル、特に熱収縮性ラベルが装着されることが多く、このような熱収縮性ラベルを装着したPETボトルを、使用後リサイクルするためには、ラベルとPETボトルとを精度よく分離する必要があり、且つ、その分離もできるだけ能率よく、低コストで実施できることが好ましい。
そのためには、水に対する浮力差を利用した液比重分離法を用いることが簡便である。
【0003】
上記液比重分離法を用いて熱収縮性ラベルとPETボトルとを分離するためには、PETボトルの比重が1.3〜1.5で水に沈むため、熱収縮性ラベルの比重を少なくとも1.0未満として水に浮くようにすることが必要となる。
しかし、熱収縮性ラベルに用いる熱収縮性フィルムとしては、ポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂のほか、ポリエステル系樹脂を用いて作製された熱収縮性フィルムが比較的汎用されており、これらの比重はいずれも1.0よりも大きいため、液比重分離法で精度よく分離することは困難である。また、比重が1.0よりも小さいポリオレフィン系樹脂を用いた熱収縮性フィルムも開発されているが、熱収縮性ラベルとして使用する場合には、その剛性、低温収縮性、収縮率などの点で、容器の形状によっては未だ不十分という問題がある。
【0004】
一方、飲料などが充填される熱収縮性ラベル付きPETボトルなどの容器では、自販機や販売店のストッカーなどで、内容物に応じて容器ごと加熱され、或いは冷やされて販売されるケースが多く、その保温性、保冷性のための断熱性、特に加熱して販売される場合は、手に持った時、熱くないようにするための断熱性が要望されている。
しかし、前記熱収縮性フィルムに単に文字や絵柄を印刷しただけでは、このような断熱性を容器に付与することはできない。
【0005】
このため、容器に意匠性と共に、断熱性などを付与することのできる熱収縮性ラベルとして、▲1▼特開平10−337796号公報には、熱収縮性フィルムに絵柄などの印刷を施した後、予め発泡させた軟質の発泡シートを貼り合わせて作製した熱収縮性ラベルが開示されている。
また、▲2▼特開昭57−51154号公報には、ガラス容器の外壁の少なくとも一部に、発泡性被覆層Aを、更にその上に発泡性被覆層Aの発泡温度よりも低温度で熱収縮する熱収縮性フィルムB(文字、模様等を印刷してもよい)を施した後、先ず、熱収縮性フィルムBの熱収縮温度に加熱して熱収縮性フィルムBを熱収縮させ、次いで発泡性被覆層Aの発泡温度(90〜150℃)まで加熱して発泡性被覆層Aを発泡させてガラス容器にクッション性、防爆性、保温性、装飾性などを付与する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記▲1▼の熱収縮性ラベルは、熱収縮性フィルムに絵柄などの印刷を施した後、軟質の発泡シートを貼り合わせるため、印刷工程のほかにラミネート工程が必要となり、生産性が悪く、コスト高となる問題があった。
そして、前記▲2▼の方法の場合は、熱収縮性フィルムBを熱収縮させるための加熱と、発泡性被覆層Aを発泡させるための更に高い温度(90〜150℃)での加熱との2段階の加熱が必要であり、生産効率が劣る上、容器の耐熱性の点で、ガラス容器の場合はよくても、PETボトルなどプラスチック容器の場合は、容器に熱変形を生じてしまう問題があった。
更に、前述したように、熱収縮性ラベルを装着したPETボトルなどのプラスチック容器のリサイクルを容易にするため、熱収縮性ラベルの見掛比重を1.0未満に低下させる必要があった。
また、環境対策の面から、印刷など製造工程における大気汚染の防止や二酸化炭素の排出量の削減なども求められている。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、PETボトルなどのプラスチック容器、ガラス瓶、金属缶などの容器の胴部外周面に装着して用いられる熱収縮性ラベルであって、容器に優れた意匠性、断熱性、緩衝性などを付与することができ、且つ、その生産性がよく、製造コストも低減でき、更に、容器がPETボトルなどで容器をリサイクルする場合でも、装着された熱収縮性ラベルと容器とを、液比重分離法により、低コストで能率よく分離することができ、また、印刷など製造工程における有機溶剤の使用に起因する大気汚染の防止や、二酸化炭素などの排出量の削減も可能で、環境適性にも優れた熱収縮性ラベルと、それを用いて製造された意匠性、断熱性、緩衝性などに優れると共に、リサイクル性、および環境適性にも優れた熱収縮性ラベル付き容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、容器の胴部外周面に装着して用いられる熱収縮性ラベルであって、該熱収縮性ラベルが、熱収縮性フィルムの内側の面、即ち、容器側の面に、少なくとも水性7色プロセスカラーインキを用いた印刷層、低温加熱発泡性インキ層、滑り性保護層が順に設けられた積層体で形成され、該熱収縮性ラベルを容器の胴部外周面に嵌め込んで加熱収縮させることにより、同時に低温加熱発泡性インキ層が発泡され、該熱収縮性ラベルの見掛比重が1.0未満となるようにしたことを特徴とする熱収縮性ラベルからなる。
【0009】
上記水性7色プロセスカラーインキを用いた印刷層は、特公平7−75908号公報に開示された「高彩度の色再現性に優れた印刷法」を利用して印刷した印刷層であり、基本的には、紅インキ、橙インキ、黄インキ、緑インキ、藍インキ、紫インキの6色に墨インキを加えた7色のインキで高彩度色或いは高純度の色を印刷表現するものであり、必要な場合には、更に白インキを加えた8色のインキで印刷することができる。
この印刷法を採ることにより、印刷層による意匠性を一層向上できると共に、従来、特色インキを用いて印刷していた色も前記プロセスカラーインキで再現できるため、特色インキを使用する必要がなくなり、当然、その残インキの保存の必要もなく、インキの管理を大幅に合理化でき、印刷コストも低減させることができる。
【0010】
また、前記のような構成を採ることにより、多色の印刷層の印刷に水性インキを使用しているので、排気ガスの問題もなく、意匠性の向上と共に環境に対する安全性の点でも向上させることができる。
更に、低温加熱発泡性インキ層を印刷方式で形成できるので、例えば、9〜11色の多色グラビア輪転印刷機を用いることにより、熱収縮性フィルムに絵柄などの多色印刷とインラインで低温加熱発泡性インキ層をパターン状に設けることができ、生産性を向上できると共に、熱収縮性ラベルを筒状に接合する際の接合部に低温加熱発泡性インキ層を予め設けないようにすることが可能であり、それにより、筒貼り作業を一層容易に行えるようになる。
【0011】
また、低温加熱発泡性インキ層は、従来の加熱発泡性インキ層よりも低温の加熱条件で発泡させることができるので、従来のように熱収縮性ラベルを加熱収縮させた後、更に高い温度に加熱して加熱発泡性インキ層を発泡させる必要がなく、熱収縮性ラベルの熱収縮と同じ加熱条件で低温加熱発泡性インキ層を発泡させることができ、生産性を著しく向上させることができると共に、製造コストも低減させることができる。
【0012】
そして、低温加熱発泡性インキ層の発泡により、優れた断熱性、緩衝性を熱収縮性ラベルに付与できると共に、その見掛比重を1.0未満にすることができるので、この熱収縮性ラベルをPETボトルに装着した場合でも、液比重分離法により、粉砕された熱収縮性ラベルとPETボトルとを容易に精度よく分離することができる。
【0013】
また、熱収縮性ラベルの多色の印刷層と低温加熱発泡性インキ層は、熱収縮性フィルムの内側の面、即ち、容器に対向する側の面に設けられているので、外側からの摩擦やスクラッチ、例えば輸送中などの摩擦や衝撃に対して安全であり、更に、低温加熱発泡性インキ層の上、即ち、熱収縮性ラベルの最内層には、滑り性保護層が設けられているので、多色の印刷層と低温加熱発泡性インキ層を内側からも保護すると共に、熱収縮性ラベルを容器の外周面に嵌め込んで熱収縮させる際、容器の表面との滑り性が向上され、一層スムーズに熱収縮性ラベルを均一に熱収縮させて容器に装着することができる。
【0014】
請求項2に記載した発明は、前記低温加熱発泡性インキ層の発泡温度が、熱収縮性フィルムの熱収縮温度と同等乃至それ以下の温度であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性ラベルである。
【0015】
前記低温加熱発泡性インキ層の発泡温度を、熱収縮性フィルムの熱収縮温度と同等乃至それ以下の温度、具体的には、同じ温度乃至それよりも10〜30℃程度低い温度までの範囲とすることにより、熱収縮性ラベルを容器の外周面に嵌め込んで熱収縮させる際、熱収縮性ラベルの熱収縮と低温加熱発泡性インキ層の発泡とを、同じ加熱条件で一層確実に行えるようになる。
従って、このような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、一層容易に熱収縮性ラベルの熱収縮と低温加熱発泡性インキ層の発泡とを同時に行えるようになり、生産効率を一層確実に向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載した発明は、前記低温加熱発泡性インキ層に含有される発泡剤が、低沸点炭化水素を芯物質とし、ポリ塩化ビニリデン系共重合体、またはポリアクリロニトリル系共重合体を壁物質としてマイクロカプセル化した、粒径5〜40μmの球状粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱収縮性ラベルからなる。
【0017】
前記低温加熱発泡性インキ層に含有させる発泡剤としては、従来公知の熱分解気体発生型の有機、無機の発泡剤の中から、所望の発泡温度に合わせて適宜選択して使用することもできるが、特に、発泡温度を低い温度で、所望の発泡温度に調節するためには、上記のような、低沸点炭化水素を芯物質とし、ポリ塩化ビニリデン系共重合体、またはポリアクリロニトリル系共重合体を壁物質としてマイクロカプセル化した、粒径5〜40μmの球状粒子を用いることが好ましい。
【0018】
上記マイクロカプセルの粒径は、5〜40μmが好ましく、10〜30μmが更に好ましい。
マイクロカプセルの粒径が5μm未満の場合は、内包される芯物質の含有比率が少なくなり、低温加熱発泡性インキ層の発泡倍率が低下するため好ましくなく、また、粒径が40μmを超える場合は、グラビア印刷などによる低温加熱発泡性インキの印刷適性が損なわれるため好ましくない。
【0019】
従って、前記のような構成を採ることにより、前記請求項1または2に記載した発明の作用効果に加えて、低温加熱発泡性インキ層をグラビア印刷などにより一層容易に形成できるようになり、また、熱収縮性ラベルを容器の外周面に嵌め込んだ後の熱収縮性ラベルの熱収縮と同条件での低温加熱発泡性インキ層の発泡も一層確実に行えるようになる。
また、前記マイクロカプセルによる発泡剤は、最高膨張倍率として約70倍まで膨張させることができるので、熱収縮性ラベルの見掛比重を1.0未満に小さくすることも容易である。
【0020】
請求項4に記載した発明は、前記低温加熱発泡性インキ層が水性低温加熱発泡性インキで設けられ、前記滑り性保護層が水性樹脂組成物液で設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱収縮性ラベルからなる。
【0021】
このような構成を採ることにより、前記請求項1乃至3のいずれかに記載した発明の作用効果に加えて、多色の印刷層だけでなく、低温加熱発泡性インキ層と滑り性保護層も水性塗布液で形成できるので、これらの印刷の際、通常、グラビアインキに使用されるトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの有機溶剤を使用する必要がなくなり、排気ガスによる環境への悪影響が殆どなくなり、環境適性を一層向上させることができる。
【0022】
請求項5に記載した発明は、前記請求項1乃至4のいずれかに記載の熱収縮性ラベルが、筒状に接合され、容器の胴部外周面に嵌め込まれ、加熱されて、熱収縮性ラベルの熱収縮と低温加熱発泡性インキ層の発泡とが同時に行われて容器に装着されていることを特徴とする熱収縮性ラベル付き容器である。
本発明の熱収縮性ラベル付き容器に用いる容器としては、PETボトルなどのプラスチック容器のほか、ガラス瓶、金属缶など、熱収縮性ラベルを熱収縮させる際の加熱条件に耐える容器であれば何でも使用することができる。
【0023】
このような構成を採ることにより、前記請求項1乃至4のいずれかに記載した発明の熱収縮性ラベルの優れた意匠性、断熱性、緩衝性、そして、環境適性などの性能を熱収縮性ラベル付き容器に付与することができると共に、その製造の際、熱収縮性ラベルの熱収縮と、低温加熱発泡性インキ層の発泡とを同じ加熱条件で同時に行えるので生産性がよく、更に、低温加熱発泡性インキ層の発泡により、熱収縮性ラベルの見掛比重を1.0未満とすることも容易であるため、PETボトルなどの容器にこの熱収縮性ラベルを装着した場合も、液比重分離法による熱収縮性ラベルと容器の分離が容易であり、リサイクル性にも優れた熱収縮性ラベル付き容器を生産性よく提供することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の実施の形態について詳しく説明する。
図1、図2は、それぞれ本発明の熱収縮性ラベルの一実施例の構成を示す模式断面図である。
但し、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの図面に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明の熱収縮性ラベルの第1の実施例の構成を示す模式断面図であり、図1に示した熱収縮性ラベル10は、熱収縮性フィルム1の内側の面(容器側の面)に水性7色プロセスカラーインキを用いた印刷層2を設け、その上に低温加熱発泡性インキ層3を設け、更にその上に滑り性保護層4を設けて構成したものである。
【0026】
このような構成を採ることにより、熱収縮性ラベル10を筒状に接合して、容器の胴部外周面に嵌め込んでシュリンクトンネルなどで熱収縮させた際、熱収縮性ラベル10の熱収縮と同時に低温加熱発泡性インキ層3を発泡させることができる。この時、低温加熱発泡性インキ層3の上に、最内層として滑り性保護層4が設けられているので、発泡した低温加熱発泡性インキ層3が保護されると共に、容器表面と熱収縮性ラベル10の内面との滑り性が向上され、熱収縮性ラベル10全体を均一に熱収縮させて容器の外周面に装着することができる。
また、水性7色プロセスカラーインキを用いた印刷層2により、容器に優れた意匠性を付与することができ、発泡した低温加熱発泡性インキ層3により、容器に断熱性、緩衝性を付与できると共に、熱収縮性ラベル10の見掛比重を1.0未満にすることができる。
【0027】
容器に装着された熱収縮性ラベル10は、水性7色プロセスカラーインキを用いた印刷層2と低温加熱発泡性インキ層3の両方が熱収縮性フィルム1の内側の面(容器側の面)に設けられているので、外側からの摩擦や引っ掻きで簡単に損傷されるようなことがなく安全である。
このような熱収縮性ラベル10は、例えば、多色(9〜11色)のグラビア輪転印刷機を使用することにより、前記多色の印刷層2と共に、低温加熱発泡性インキ層3および滑り性保護層4をインラインで印刷することができるので生産性よく製造することができる。
【0028】
図2は、本発明の熱収縮性ラベルの別の一実施例の構成を示す模式断面図であり、図2に示した熱収縮性ラベル20は、前記図1に示した熱収縮性ラベル10の構成において、水性7色プロセスカラーインキを用いた印刷層2と低温加熱発泡性インキ層3の間に接着性向上層5を追加して設けて構成したものであり、熱収縮性フィルム1の内側の面(容器側の面)に、前記多色の印刷層2、接着性向上層5、低温加熱発泡性インキ層3、滑り性保護層4を順に設けて構成したものである。
【0029】
このような構成を採ることにより、前記図1に示した構成の熱収縮性ラベル10で説明した作用効果に加えて、接着性向上層5により、前記多色の印刷層2と低温加熱発泡性インキ層3との接着性を高めることができるので、両者のバインダー選定の自由度が広げられ、特に低温加熱発泡性インキのバインダーに関して、加熱発泡時の膨張適性と溶剤構成に重点を置いた選定が可能となり、熱収縮性ラベル20の性能を一層優れたものにすることができる。
【0030】
以上のような本発明の熱収縮性ラベルに用いる熱収縮性フィルム1は、特に限定はされず、熱収縮性を有し、且つ印刷などの加工が可能なフィルムであれば何でも使用することができる。
例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの延伸フィルムで、ラベル用の場合、通常、筒貼り作業を効率よく行うため、横一軸延伸フィルムが用いられるが、用途に合わせて、縦、横の収縮バランスを採った二軸延伸フィルムも使用することができる。
このような熱収縮性フィルムの厚さは、その材質によっても多少異なるが、通常、15〜120μmの範囲が適当である。
【0031】
水性7色プロセスカラーインキを用いた印刷層2は、先に説明したように、「高彩度の色再現性に優れた印刷法」を利用して印刷するものであり、プロセスカラー7色とデザインにより白色を加えた8色の水性インキで印刷することになるが、例えば、多色(9〜11色)グラビア輪転印刷機を用いて、インキには、ハイドリック(水性インキ)〔大日精化工業(株)製〕を使用して印刷することができる。
上記印刷法を採ることにより、高彩度の色再現性に優れた印刷層2を形成することができ、熱収縮性ラベルを意匠性に優れたものにすることができる。
また、本発明の熱収縮性ラベルでは、前記多色の印刷層2の上に、低温加熱発泡性インキ層3を設けているので、必要な場合には、低温加熱発泡性インキ層3に白色顔料を加えて、白色インキ層と低温加熱発泡性インキ層3を兼用させることもできる。
【0032】
次に、低温加熱発泡性インキ層3は、熱収縮性ラベルを熱収縮させる際の加熱条件で同時に発泡させるものであり、熱収縮性ラベルに使用する熱収縮性フィルムの材質により、その熱収縮温度が異なるため一律ではないが、低温加熱発泡性インキ層3の発泡温度は、50〜120℃の範囲が好ましく、70〜100℃の範囲が更に好ましい。
【0033】
低温加熱発泡性インキ層3に用いる発泡性インキは、バインダーの樹脂液に、例えば熱分解型発泡剤(発泡助剤を併用することができる)を分散させて作製することもできるが、本発明においては、先にも説明したように、特に低温加熱発泡性、即ち、熱収縮性ラベルを熱収縮させる際の加熱条件での発泡性を実現するため、発泡剤には低沸点炭化水素を芯物質とし、ポリ塩化ビニリデン系共重合体、またはポリアクリロニトリル系共重合体を壁物質としてマイクロカプセル化した球状粒子を用いることが好ましい。
【0034】
上記マイクロカプセルの球状粒子の粒径は、十分な発泡倍率を得、且つ、グラビア印刷適性を維持させるためには、5〜40μmが好ましく、10〜30μmが更に好ましい。
前記芯物質の低沸点炭化水素としては、例えば、n−ブタン、イソブタン、シクロペンタン、n−ペンタン、プロパンなどを使用することができる。
このようなマイクロカプセルによる発泡剤は、例えば粒径10〜30μmのもので最高膨張倍率を20〜70倍とすることができる。
【0035】
このようなマイクロカプセルによる発泡剤を用いて、例えばグラビア印刷用の低温加熱発泡性インキを作製する場合、バインダーを有機溶剤で溶解した溶剤系のインキでも、バインダーに水性エマルジョン樹脂を用いた水性インキでも、いずれのタイプでも作製することができる。
只、溶剤系のインキを作製する場合、溶剤に酢酸エチルやメチルエチルケトンなどを大量に使用するとマイクロカプセルが壊れる恐れがあるため、このようなエステル系およびケトン系溶剤は、できるだけ使用しないことが好ましい。
そのためには発泡性インキのバインダーに関しても、例えば、トルエンとイソプロピルアルコール(以下、IPAと略記する)の混合系などの溶剤で溶液化でき、且つ、比較的広範囲の樹脂フィルムに接着性のよいアクリル系樹脂などを用いて、その溶液に前記マイクロカプセルを分散させて、グラビア印刷用の低温加熱発泡性インキを作製することができる。
水性の低温加熱発泡性インキを作製する場合は、溶剤選定の必要はなく、バインダーには、例えば、アクリル系エマルジョン樹脂を用い、これに前記マイクロカプセルを分散させて、水性の低温加熱発泡性インキを作製することができる。
【0036】
このような低温加熱発泡性インキで形成する低温加熱発泡性インキ層3の塗布量は、加熱発泡後の熱収縮性ラベルの見掛比重を少なくとも1.0未満とする必要があり、そのためには、使用する熱収縮性フィルム1の比重と厚さ、および印刷層2の比重と厚さなど低温加熱発泡性インキ層3以外の部分の比重と厚さに応じて、適宜に決定する必要があるが、通常、乾燥時の塗布量で5〜15g/m2 とし、発泡剤粒子を膨張倍率15〜40倍程度に加熱発泡させることにより、独立気泡で良好な断熱性、緩衝性を有し、且つ、熱収縮性ラベルの見掛比重を1.0未満とすることが可能である。
【0037】
次に、図1、図2において、低温加熱発泡性インキ層3の上、即ち、熱収縮性ラベルの最内層に設けた滑り性保護層4は、その下層、この場合、低温加熱発泡性インキ層3を保護すると共に、筒状に貼り合わせた熱収縮性ラベルを、容器の外周面に嵌め込んで熱収縮させる際、容器の表面との滑り性をよくし、熱収縮性ラベル全体を均一に熱収縮させるために設けるものである。
このような滑り性保護層4は、下層の低温加熱発泡性インキ層3に接着性のよい樹脂に滑剤などを添加した樹脂溶液をグラビア印刷方式で塗布、乾燥して設けることができる。
この場合も、滑り性保護層4の塗布液は、溶剤系のほか、水系、即ち、水性エマルジョン樹脂でも作製することができる。
【0038】
滑り性保護層4の塗布液を溶剤系で作製する場合は、その樹脂として、通常、グラビアインキのバインダーに用いられているようなポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、硝化綿、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、塩素化ポリプロピレンなどの中から、適するものを適宜選択して使用することができる。
滑り性保護層4の塗布液を水系で作製する場合は、その樹脂として、アクリル系エマルジョン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系エマルジョン樹脂などを使用することができる。
また、樹脂に添加する滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどのワックス類や、高級脂肪酸、高級脂肪酸アマイドなど公知の滑剤のほか、シリコーンオイル、その他のシリコーン系樹脂、或いは、フッ素系樹脂などの微粉末なども使用することができる。
滑り性保護層4の塗布量は、特に限定はされないが、乾燥時の塗布量で1〜5g/m2 程度が適当である。
【0039】
次に、図2に示した熱収縮性ラベル20に用いた接着性向上層5は、低温加熱発泡性インキ層3の前記多色の印刷層2に対する接着性を高めるために必要に応じて設けるものであり、前記多色の印刷層2と低温加熱発泡性インキ層3の両方に接着性のよい樹脂等の材料であれば何でも使用することができる。
例えば、プライマー層として用いられているようなポリエステルウレタン化合物、ポリエーテルウレタン化合物、イソシアネート系化合物、ポリエチレンイミン、有機チタン化合物、ポリオレフィン系化合物、ポリブタジエン系化合物などのほか、インキのバインダーに用いられているような塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、硝化綿、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられ、これらの中から適するものを適宜選択して使用することができる。
【0040】
このような接着性向上剤は、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールなどの溶剤を適宜加えて塗布液を作製し、グラビア印刷方式により、前記多色の印刷層2の上に塗布、乾燥して接着性向上層5を設けることができる。
このような接着性向上層5の厚さは、薄くてよく、0.1〜3μm程度で十分である。
【0041】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
〔実施例1〕
(熱収縮性ラベルの製造)
図1に示した構成の熱収縮性ラベルを製造することとし、熱収縮性フィルム1として、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステルフィルム〔スペースクリーンS7553、東洋紡績(株)製〕を用い、また、印刷機にはグラビア輪転印刷機(10色機)を用いて、その一方の面(容器に対向する側の面)に、水性7色プロセスカラーインキを用いた印刷層2を、水性プロセスカラーインキ7色に水性白インキを加えた8色のインキ〔ハイドリック 大日精化工業(株)製〕を使用して絵柄および文字からなる印刷層を印刷し、その上に低温加熱発泡性インキ層3として、下記の組成の低温加熱発泡性インキを版深60μmで熱収縮性ラベルを筒状に接合する際の接合部のみを除いたパターンのベタ版を用いて、乾燥時の塗布量が印刷部において9g/m2 となるように印刷し、更にその上に滑り性保護層4として、ポリエチレンワックス(滑剤)を添加したアクリル系水性インキを、前記低温加熱発泡性インキ層に用いた版と同じパターンで版深25μmのベタ版を用いて、乾燥時の塗布量が1.5g/m2 となるように印刷して実施例1の熱収縮性ラベルを製造した。
(熱収縮性ラベルの構成)
(外側)熱収縮性ポリエステルフィルム(厚さ45μm)/印刷層(8色)/低温加熱発泡性インキ層(9g/m2 )/滑り性保護層(1.5g/m2 )
【0042】
【0043】
(熱収縮性ラベル付き容器の製造)
以上のように製造した熱収縮性ラベルを溶剤を用いて筒状に貼り合わせた後、容量500mlで飲料を充填済みのPETボトルの胴部外周面に嵌め込んで、蒸気加熱式のシュリンクトンネルを80〜102℃で10秒間の加熱条件で通して、熱収縮性ラベルの熱収縮および低温加熱発泡性インキ層の加熱発泡を行って、実施例1の熱収縮性ラベル付き容器を製造した。
【0044】
以上のように製造した実施例1の熱収縮性ラベル付き容器について、その性能を評価するため、下記(1)〜(3)の項目について測定、試験、評価を行い、併せて、その結果を示した。
【0045】
(1)熱収縮性ラベルの収縮適合性、外観、および意匠性
熱収縮性ラベルの容器への収縮適合性、全体としての外観、および印刷層による意匠性を目視により評価した。
(評価結果)
実施例1の熱収縮性ラベルは、全体が均一に熱収縮して印刷絵柄などの歪みもなく、容器の外周面にピッタリと密着しており、外観もよく、また、多色の印刷層による意匠性にも優れていた。
【0046】
(2)熱収縮性ラベルの断熱性
実施例1の熱収縮性ラベル付き容器に80℃に加熱した水を充填し、熱収縮性ラベル付き容器を手で持った時に感じる熱さの程度で断熱性を評価した。
(評価結果)
上記試験の結果は、温かさを感じる程度で熱くはなく、実施例1の熱収縮性ラベルは、断熱性に優れていた。
【0047】
(3)熱収縮性ラベルの熱収縮後の見掛比重の測定、および液比重分離法による分離適応性
実施例1の熱収縮性ラベル付き容器から、熱収縮性ラベルを切り取って、一辺が50mmの正方形にカットしたものを試料とし、自動比重計〔高精度D−H100型 東洋精機(株)製〕を用いて見掛比重を測定した。
また、液比重分離法による分離適応性としては、基本的には熱収縮性ラベルの見掛比重は1.0未満であればよいが、熱収縮性ラベルを粉砕した時の個々の粉砕片のバラツキを想定し、また、一層能率よく分離できるようにするため、敢えて見掛比重0.96未満を良好とした。
(見掛比重の測定結果、および液比重分離法による分離適応性)
見掛比重の測定結果は0.88〜0.94(サンプリング位置により、印刷層の違いからバラツキを生じる)であり、液比重分離法による分離適応性についても、1.0未満の基準は勿論、厳しく設定した0.96未満の基準にも合格しており良好であった。
【0048】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、PETボトルなどのプラスチック容器、ガラス瓶、金属缶などの容器の胴部外周面に装着して用いられる熱収縮性ラベルであって、容器に優れた意匠性と断熱性、緩衝性などを付与することができ、且つ、熱収縮性ラベルの印刷の際、有機溶剤の使用を大幅に低減することができ、排気ガスなどによる環境への悪影響も殆どなく、生産性に優れ、製造コストも低減でき、更に、容器がPETボトルなどで容器をリサイクルする場合でも、装着された熱収縮性ラベルと容器とを、液比重分離法により能率よく、且つ、精度よく分離することのできる熱収縮性ラベルと、それを用いて製造された意匠性、断熱性、緩衝性などに優れると共に、リサイクル性、および環境適性にも優れた熱収縮性ラベル付き容器を生産性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱収縮性ラベルの一実施例の構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明の熱収縮性ラベルの別の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 熱収縮性フィルム
2 水性7色プロセスカラーインキを用いた印刷層
3 低温加熱発泡性インキ層
4 滑り性保護層
5 接着性向上層
10、20 熱収縮性ラベル
Claims (5)
- 容器の胴部外周面に装着して用いられる熱収縮性ラベルであって、該熱収縮性ラベルが、熱収縮性フィルムの内側の面、即ち、容器側の面に、少なくとも水性7色プロセスカラーインキを用いた印刷層、低温加熱発泡性インキ層、滑り性保護層が順に設けられた積層体で形成され、該熱収縮性ラベルを容器の胴部外周面に嵌め込んで加熱収縮させることにより、同時に低温加熱発泡性インキ層が発泡され、該熱収縮性ラベルの見掛比重が1.0未満となるようにしたことを特徴とする熱収縮性ラベル。
- 前記低温加熱発泡性インキ層の発泡温度が、熱収縮性フィルムの熱収縮温度と同等乃至それ以下の温度であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性ラベル。
- 前記低温加熱発泡性インキ層に含有される発泡剤が、低沸点炭化水素を芯物質とし、ポリ塩化ビニリデン系共重合体、またはポリアクリロニトリル系共重合体を壁物質としてマイクロカプセル化した、粒径5〜40μmの球状粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱収縮性ラベル。
- 前記低温加熱発泡性インキ層が水性低温加熱発泡性インキで設けられ、前記滑り性保護層が水性樹脂組成物液で設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱収縮性ラベル。
- 前記請求項1乃至4のいずれかに記載の熱収縮性ラベルが、筒状に接合され、容器の胴部外周面に嵌め込まれ、加熱されて、熱収縮性ラベルの熱収縮と低温加熱発泡性インキ層の発泡とが同時に行われて容器に装着されていることを特徴とする熱収縮性ラベル付き容器。
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