JP4588860B2 - 半導体ウエハのマーキング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハの同定等を適確に行うために当該半導体ウエハに対して適切にマーキングを行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウエハなどの半導体ウエハの製造を行うにあたって、当該ウエハにおいて何らかの不具合が生じていたことがその製造途中若しくは出荷後に判明した場合には、その不具合が生じた原因を確実に突き止めるために、そのことを製造現場に適確に伝えることは非常に重要なことである。
【0003】
そして、このようなフィードバックを適確に行えるようにするためには、製造される個々のウエハがそれぞれ識別できるようになっている必要があり、そのために、半導体ウエハの製造工程の初期の段階で、個々のウエハに対してマーキングを施すようにしている。
【0004】
このマーキングは、一般的には、半導体ウエハの所定の箇所に所定のマークを刻印することによって行われているが、そのためのマーキング装置としては、例えばレーザマーキング装置が使用される(特開昭59−23512号公報、特開平2−175154号公報等)。
【0005】
また、個々のウエハに付されるマークは、代表的なものは各ウエハのIDナンバーであるが、それまでの処理条件、加工履歴或いは電気的特性を知る手がかりとして、ウエハ表面にバーコードや文字、数字などのマークを付することもある。このようにすることにより、マーキングを、不具合発生ルートのトレースのためだけでなく、工程管理や生産管理のためにも使用することができるようになり、製造中においても出荷後においても、各ウエハの同定が確実に行えるようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マーキングという処理は、製造途中のウエハに対して何らかの物理作用を加えるものであるため、マーキング操作が原因でウエハにスリップ転位が走ってしまうような場合もある。このようなことから、ウエハに悪影響を及ぼしてしまうことを防止するためには、マーキングはなるべく微小な規模で行うようにするのが好ましい。
【0007】
ところがこの一方で、微小なマークを付するというのは、ウエハに悪影響を及ぼさないという観点からすれば好ましいが、微小なマークというものは半導体ウエハ製造の各工程で施される表面処理によって消え易いという難点がある。これに関し、半導体ウエハの製造は、当然の事ながら流れ作業で行われており、付け間違いをして紛れてしまった場合には、それを元通りに復帰させるのは著しく困難である。
【0008】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造途中のウエハに悪影響を及ぼさず、かつ、半導体ウエハ製造の各工程で施される表面処理による影響を受けにくいマーキング方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明に係るマーキング方法においては、微小IDマーク付きウエハにおいて、複数の微小IDマークを付することにより、それら複数の微小IDマークを相互にバックアップとして機能させることを特徴とする。
【0010】
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0011】
(1) 半導体ウエハの製造・加工工程において半導体ウエハに所定のマークを施すにあたって、予め付されたマークが半導体ウエハの製造・加工工程の進行に伴って実質的に消失していた場合には、当該実質的に消失したマークと本質的に同一のマークを、当該実質的に消失したマークの形成箇所とは別の場所に形成することを特徴とする半導体ウエハのマークの再現方法。
【0012】
(2) 半導体ウエハの製造・加工工程において半導体ウエハに所定のマークを形成することによって当該半導体ウエハにマーキングを施すにあたって、半導体ウエハの2箇所以上に本質的に同一のマークを形成するマーキングを施しておき、半導体ウエハの製造・加工工程の進行に伴っていずれか一つのマークが実質的に消失した場合には、実質的に残存している他のマークを参照して当該実質的に消失したマークと本質的に同一のマークを形成することにより、当該実質的に消失したマークの再現を行うことを特徴とする半導体ウエハのマークの再現方法。
【0013】
「半導体ウエハの製造・加工工程」という概念に関し、本明細書において「半導体ウエハの製造工程」には、半導体ウエハの製造に関連する工程の全てが含まれる。また、「半導体ウエハの加工工程」には、半導体ウエハの製造工程で製造された半導体ウエハを半導体デバイスに加工する過程等の、半導体ウエハ製造工程で製造された半導体ウエハの加工に関連する工程の全てが含まれる。
【0014】
「実質的に消失」というのは、マークが完全に消失してしまった場合はもちろんのこと、マークが完全に消失していなくても、マークの読み取り、検出を行うことが困難な状態となった場合をも含む概念である。
「本質的に同一のマーク」というのは、完全同一のマークは勿論のこと、半導体ウエハ相互を識別するのに必要な部分が同一であって、他の付記的部分が異なるようなものも含む概念である。このようなものとしては、半導体ウエハのロット番号及びシリアルナンバーを示す部分が同一であって、復元した回数を示す部分のみが異なるようなものを挙げることができる。
従って、「実質的に残存している他のマークを参照して当該実質的に消失したマークと本質的に同一のマークを形成する」というのは、実質的に残存している他のマークを他の場所に完全にコピーするか、或いは、実質的に残存している他のマークから半導体ウエハ相互を識別するのに必要な部分を抽出し、付記的部分を適宜変更したものをこれに付加して他の場所に刻印するというようなことを意味することになる。
【0015】
「所定のマーク」には、代表的には各ウエハのIDナンバーであるが、この他にも、ウエハの加工履歴等をバーコードや文字、数字等で現わしたようなものも含まれる。また、「所定のマーク」は登録商標である場合もある。
【0016】
(3) 前記実質的に消失したマークの再現は、当該実質的に消失したマークと本質的に同一のマークを、当該実質的に消失したマークの形成箇所とは別の場所に形成することにより行うことを特徴とする(2)記載の半導体ウエハのマークの再現方法。
【0017】
(4) 前記別の場所は、前記実質的に消失したマークの形成箇所の近傍であることを特徴とする(1)または(3)記載の半導体ウエハのマークの再現方法。
【0018】
(5) 前記所定のマークは、径が1μmから13μmの微小ドットからなるドットマークであることを特徴とする(4)記載の半導体ウエハのマークの再現方法。
【0019】
(6) 前記所定のマークは、半導体ウエハのIDマークであることを特徴とする(5)記載の半導体ウエハのマークの再現方法。
【0020】
(7) 前記所定のマークは、ノッチの内壁面に付されているマークであることを特徴とする(1)から(6)いずれか記載の半導体ウエハのマークの再現方法。
【0021】
なお、本発明はウエハの加工を行うものであって、この加工はウエハの構成成分とは無関係に行うことができるので、本発明の対象となる半導体ウエハは、シリコンウエハに限られない。本発明では、化合物半導体のウエハのような原材料がそもそも異なるウエハや、窒素ドープウエハのようなインゴットの製造工程が異なるウエハ、エピタキシャル成長が施されたエピウエハのようなスライスが行われた後の処理が特殊なウエハなど、あらゆる種類・形態のウエハを対象とすることができる。
また、上記の点をより一般化すれば、本発明は「ウエハ」というものに限られることなく、以下のように、例えば「液晶基板」等のような一般的な「基板」に対して適用することができる。
(8) 基板の製造・加工工程において当該基板に所定のマークを施すにあたって、予め付されたマークが前記基板の製造・加工工程の進行に伴って実質的に消失していた場合には、当該実質的に消失したマークと本質的に同一のマークを、当該実質的に消失したマークの形成箇所とは別の場所に形成することを特徴とする基板のマークの再現方法。
(9) 基板の製造・加工工程において当該基板に所定のマークを形成することによって当該基板にマーキングを施すにあたって、前記基板の2箇所以上に本質的に同一のマークを形成するマーキングを施しておき、前記基板の製造・加工工程の進行に伴っていずれか一つのマークが実質的に消失した場合には、実質的に残存している他のマークを参照して当該実質的に消失したマークと本質的に同一のマークを形成することにより、当該実質的に消失したマークの再現を行うことを特徴とする基板のマークの再現方法。
なお、上記(9)に係る基板のマークの再現方法においては、上記(3)〜(7)の限定事項を適宜加えることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
[マーキング装置]
本発明に係るマーキング方法を実行するにあたっては、現在使用されている全てのマーキング装置を使用することができるが、この実施の形態では、レーザマーキング装置を代表的な例としてあげる。
【0024】
レーザマーキング装置は、一般的には、図1に示されるように、レーザビームの導入光学系及びマスク形状を作るレンズからなる光学素子11、液晶マスク13、及び、レーザ光をウエハWへと導き、当該ウエハW上の所定の箇所に液晶マスク13の像を結像させる投影レンズ14を備えている。
【0025】
このようなレーザマーキング装置によれば、投影レンズ14の投影位置を調整し、付したいマークに対応した像を液晶マスク13に形成し、レーザ照射を行うことによって所望のマーキングを行うことができる。
【0026】
なお、特願平11−19737号に記載されたレーザマーキング装置は、極微小なマークを形成することができるという点で特に好適である。
【0027】
[読取装置]
上記のようなレーザマーキング装置によってウエハW上に形成されたマークは、読取装置によって読み取られる。
【0028】
一般的な読取装置は、図2に示されるように、光源21からレーザ光をウエハW上のマーク箇所に照射し、マークからの反射光を結像レンズ23で結像し、結像された像をカメラ24で検出することによってウエハW上のマークを読み取る。
【0029】
ここで、ウエハW上のマークは、例えば図3に示されるようなものであり、このようなマークが図2に示される読取装置によって読み取られることとなる。
【0030】
[マークの位置]
図4に示されるように、この実施の形態においては、ウエハWのノッチ31の内壁にマークを2箇所付するようにしている(図4(A)のA1及びA2、図4(B)のB1及びB2)。
【0031】
ここで、図5はウエハWの拡大断面図であり、この図5に示されるように、マークを付すことができる箇所の候補としては、例えば、オモテ面31a、オモテベベル面31b、エッジ部分31c、ウラベベル面31d、ウラ面31eを挙げることができるが、図4(A)中の2箇所のマークA1及びA2は、マークの周方向の位置が異なることに加え、マークA1はオモテベベル面の位置に形成され、マークA2はエッジ部分に形成されているというように、高さ方向の位置も異なるように設定されている。
【0032】
同様に、図4(B)においても、2箇所のマークB1及びB2は、マークB1はオモテベベル面の位置に形成されている一方で、マークB2はウラベベル面の位置に形成されている。
【0033】
ここで、後述の実施例にて立証をするが、ウエハを製造工程中の表面処理に供した場合には、オモテ面とウラ面は勿論のこと、ウラとオモテのベベル面の間でも、マークの消滅の程度が相違する。そして、このマークの消滅の程度というのは、ウエハが供される製造工程の種類によっても相違するものと認められる。
【0034】
このようなことから本発明では、マークを2ヶ所以上に形成し、それらを互いのバックアップとして機能させることにより、完全に消滅してしまったか、或いは完全に消滅してはいなくても読取装置で読めない程度にまで消滅が進んでしまったような場合には、残った他方のマークを参照しながら当該残った他方のマークと同一のマークを新たに付すことによって復帰を行うことになる。
【0035】
このように、本発明によれば、「2ヶ所以上のマーク」という状態を常に担保するようにすることによって、製造工程におけるマークの消滅による紛れなどのトラブルやトレースの不能を回避することができるようにしているのである。
【0036】
[マーキングされたウエハ]
上記の実施の形態では、マーキングされたウエハにつき、マークを2ヶ所に形成した例を示しているが、このマークは三箇所以上に形成するようにしてもよい。
【0037】
なお、複数個のマークの位置は、一台の読取装置で同時に読み取ることができる位置に集中させるようにすると、検出効率が上がるため、処理効率の向上という観点からして好ましい。同様の理由により、複数枚のウエハWを運搬するためにそれらをウエハキャリア41に格納するような場合には、複数個のウエハWのマークの位置を揃えるのが好ましい(図6(A)→(B))。
【0038】
また、消失してしまったマークを復活させるために、当該消失してしまったマークと同一の新たなマークを形成する場合には、特に消失マークが完全に消滅しきっていない場合には、それとの間の干渉を避けるために、新たなマークは、それ以前にマークがされてあった場所とは別の場所に形成するようにするのが好ましい。その際に、それ以前にマークがされてあった場所とは別の場所に形成するにしても、それ以前にマークがされてあった場所の近傍に形成するようにすれば、読取装置の視野を外れないようにすることができる。
【0039】
【実施例】
ウエハWのオモテ面、オモテベベル面、ノッチ内側のオモテベベル面、ウラベベル面、ノッチ内側のウラベベル面に、幅320μmの同一のマークをそれぞれ形成し、1μm銅薄膜を積層した後、0.75μmのCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行い、銅薄膜積層後とCMP処理後とで、マークの消滅の程度(残存の程度)を観察した。
【0040】
この結果を以下の表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
上記表1の結果より、CMP処理をした場合においては、ウラベベル面についてはノッチの内側・外側とは無関係にマークの残存性がよく、オモテ面のマークのバックアップとして機能することが判る。逆に、ウラ面の汚れなどで当該ウラ面のマークが消滅してしまったような場合には、オモテ面のマークがウラ面のマークのバックアップとして機能することになる。
【0043】
また、ノッチ内であると否とに拘らず、周方向での距離が十分に近ければ、オモテベベル面にあるマークとウラベベル面にあるマークとではカメラの同一視野に収めることが十分に可能であるため、複数個のマークがバックアップ機能を互いに発揮する位置に配置されている場合であっても、一台のカメラによる同時観測も行うことができるということが判る。
【0044】
【発明の効果】
以上のような本発明に係るマーキング方法によれば、複数のマークを形成して互いにバックアップとして機能させるようにしているので、例えば極微小なマークを付した場合でも、その消滅による混乱やトレースの不能を心配する必要が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なレーザマーキング装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】一般的な読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】マークの一例を示す図である。
【図4】マークの位置を説明するための図である。
【図5】マークの位置を説明するための拡大断面図である。
【図6】ウエハキャリアへのウエハの格納を説明するための図である。
【符号の説明】
11 光学素子
13 液晶マスク
14 投影レンズ
21 光源
23 結像レンズ
24 カメラ
31 ウエハWのノッチ
31a オモテ面
31b オモテベベル面
31c エッジ部分
31d ウラベベル面
31e ウラ面
41 ウエハキャリア
W ウエハ
A1、A2、B1及びB2 マーク
Claims (7)
- 半導体ウエハの製造・加工工程において半導体ウエハに所定のマークを形成することによって当該半導体ウエハにマーキングを施すにあたって、半導体ウエハの2箇所以上に同一のマークを形成するマーキングを施しておき、半導体ウエハの製造・加工工程の進行に伴っていずれか一つのマークが消失した場合には、残存している他のマークを参照して当該消失したマークと同一のマークを形成することにより、当該消失したマークの再現を行うことを特徴とする半導体ウエハのマークの再現方法。
- 前記消失したマークの再現は、当該消失したマークと同一のマークを、当該消失したマークの形成箇所とは別の場所に形成することにより行うことを特徴とする請求項1記載の半導体ウエハのマークの再現方法。
- 前記別の場所は、前記消失したマークの形成箇所の近傍であることを特徴とする請求項2記載の半導体ウエハのマークの再現方法。
- 前記所定のマークは、径が1μmから13μmの微小ドットからなるドットマークであることを特徴とする請求項3記載の半導体ウエハのマークの再現方法。
- 前記所定のマークは、半導体ウエハのIDマークであることを特徴とする請求項4記載の半導体ウエハのマークの再現方法。
- 前記所定のマークは、ノッチの内壁面に付されているマークであることを特徴とする請求項1から5いずれか記載の半導体ウエハのマークの再現方法。
- 基板の製造・加工工程において当該基板に所定のマークを形成することによって当該基板にマーキングを施すにあたって、前記基板の2箇所以上に同一のマークを形成するマーキングを施しておき、前記基板の製造・加工工程の進行に伴っていずれか一つのマークが消失した場合には、残存している他のマークを参照して当該消失したマークと同一のマークを形成することにより、当該消失したマークの再現を行うことを特徴とする基板のマークの再現方法。
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