JP4586405B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置に関するものである。
近年、電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体の高集積化が年々進み、又半導体パッケージの表面実装化が促進されてきている。更に地球環境へ配慮した企業活動が重要視され、有害物質である鉛を2006年までに特定用途以外で全廃するようにEU(欧州連合)による廃電子電気機器(WEEE)に示された。鉛フリー半田の融点は従来の鉛/スズ半田に比べて高く、赤外線リフロー、半田浸漬等の半田実装時の温度も従来の220〜240℃が、今後240℃〜260℃と高くなる。このような実装温度の上昇により、実装時に樹脂部にクラックが入り、信頼性が保証できないという問題が生じている。更にリードフレームについても、脱鉛の観点から、外装半田メッキの代わりに事前にニッケル・パラジウムメッキを施したリードフレームの適用が進められている。ニッケル・パラジウムメッキは封止材料との密着性が低く、実装時に界面において剥離が生じ、樹脂部にクラックも入りやすい。
このような課題に対し、半田耐熱性の向上に対して低吸水性のエポキシ樹脂や硬化剤を適用することにより(例えば、特許文献1、2、3参照。)、実装温度の上昇に対して対応が取れるようになってきた。その半面、このような低吸水・低弾性率を示すエポキシ樹脂組成物は架橋密度が低く、硬化直後の成形物は軟らかく、連続生産では金型への樹脂トラレ等の成形性での不具合が生じ、生産性を低下させる問題があった。
更に、生産性向上への取り組みとしては酸化ポリエチレンを添加する方法(例えば、特許文献4、5参照。)が提案されているが、酸化ポリエチレンのみでは十分な離型性を得られず、十分な離型性を得る為には配合量を多くする必要があり、その場合、密着性の低下を引き起こす。また、酸化ポリエチレンの分散を向上させる目的でジメチルシロキサンを主鎖とするエポキシポリエーテルシリコーンを併用する方法が提案されている(例えば、特許文献6参照。)が、ポリエーテル鎖を有するシリコーンオイルは生産面では非常に良好であるが、ポリエーテル鎖が吸湿性を高め半田耐熱性を低下させる問題があった。このように半田耐熱性に優れ、かつ離型性、連続成形性、成形品外観、金型汚れ等生産に関する課題に対応した半導体封止用エポキシ樹脂組成物が要求されている。
特開平9−3161号公報(第2〜5頁) 特開平9−235353号公報(第2〜7頁) 特開平11−140277号公報(第2〜11頁) 特開平8−258077号公報(第2〜9頁) 特開平11−152393号公報(第2〜5頁) 特開平5−315472号公報(第2〜7頁)
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは半田耐熱性が良好でかつ生産性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供するものである。
本発明は、
[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン、(D)酸化ポリエチレン及び無機充填剤を必須成分とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、(A)エポキシ樹脂が、一般式(2)で表されるエポキシ樹脂であり、(B)フェノール樹脂が、一般式(3)で表されるフェノール樹脂であり、(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンが一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンであり、(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンと(D)酸化ポリエチレンとの重量比(C)/(D)が5/1〜1/5であり、(D)酸化ポリエチレンの最大粒子径が150μm以下であり、かつ平均粒子径が0.1〜100μmであり、前記無機充填剤の含有量が85〜93重量%である半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
Figure 0004586405
(式中、Rは少なくとも1つ以上がカルボキシル基を有する炭素数1〜40の一価の有機基であり、残余の基は水素、フェニル基、又はメチル基から選ばれる一価の基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。nは平均値で、1〜50の正数である。)
[2]前記(D)酸化ポリエチレンが高密度ポリエチレンを酸化することで得られるものである第[1]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
]前記(D)酸化ポリエチレンの滴点が100〜130℃である第[1]又は[]項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
]前記(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンとして、あらかじめエポキシ樹脂と硬化促進剤によって反応させたカルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンを含む第[1]ないし[]項のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
Figure 0004586405
(式中、nは平均値で、1〜10の正数)
Figure 0004586405
(式中、nは平均値で、1〜10の正数)
]第[1]ないし[]項のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置、
である。
本発明に従うと、半導体装置実装時において優れた半田耐熱性を示すとともに、半導体素子の封止成形時における従来の欠陥である離型性、連続成形性、成形品外観、金型汚れ等の課題を解決することができる半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られるものである。
本発明は、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン及び酸化ポリエチレンを必須成分として配合することにより、半導体素子の封止成形時において離型性、連続成形性、成形品外観が良好で金型汚れも発生し難いという優れた生産性を示すとともに、半導体装置実装時の半田耐熱性にすぐれた半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を言い、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有する)、ナフトール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。耐半田クラック性の向上という点からは、一般式(2)に示されるエポキシ樹脂が好ましい。
Figure 0004586405
(式中、nは平均値で、1〜10の正数)
本発明に用いるフェノール樹脂としては、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を言い、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有する)、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。耐半田クラック性の向上という点からは、一般式(3)に示されるフェノール樹脂が好ましい。またフェノール樹脂の配合量としては、全エポキシ樹脂のエポキシ基数と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基数の比が0.8〜1.3であることが好ましい。
Figure 0004586405
(式中、nは平均値で、1〜10の正数)
本発明に用いるカルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンは、1分子中に1個以上のカルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンであり、酸化ポリエチレンと併用する必要がある。カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンを単独で使用した場合、離型性が不十分となり、連続成形性が低下する。酸化ポリエチレンを単独使用した場合は離型性が不十分で、十分な離型性を得る為には配合量を多くする必要性があり、その場合、密着性の低下により半田耐熱性が低下し、かつ成形品の外観も悪い。カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンと酸化ポリエチレンと併用することにより、酸化ポリエチレンを相溶化させることができ、酸化ポリエチレンの配合量が少なくとも離型性が向上し、外観と離型性を両立でき、連続成形が良好で半田耐熱性の低下も引き起こさない。尚、その併合配合割合は重量比で5/1〜1/5が望ましく、この範囲が最も効果が高い。
カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンが望ましい。一般式(1)の式中のRは一価の有機基であり、全有機基の内、少なくとも1個以上がカルボキシル基を有する炭素数1〜40の一価の有機基であり、残余の有機基は水素、フェニル基、又はメチル基から選ばれる一価の基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。カルボキシル基を有する一価の有機基の炭素数が上限を超えるとレジンとの相溶性が悪化し、成形品の外観が悪化する恐れがある。また、一般式(1)中のnは平均値で、1〜50の整数である。nの値が上限値を超えるとオイル単体の粘度が高くなり流動性が悪化する恐れがある。一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンを使用すると、流動性の低下を引き起こさず、成形品の外観が特に良好になる。更にエポキシ樹脂と硬化促進剤により予め溶融・反応させることで連続成形後の型汚れが発生し難く、連続成形性が極めて良好になる。ここで言う硬化促進剤とは、カルボキシル基とエポキシ基との樹脂との硬化反応を促進させるものであればよく、後述するエポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させる硬化促進剤と同じものを用いることができる。尚、一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンのカルボキシル基を有する一価の有機基の炭素数とは、一価の有機基中の炭化水素基とカルボキシル基の炭素数を合計したものを指す。
Figure 0004586405
(式中、Rは少なくとも1つ以上がカルボキシル基を有する炭素数1〜40の一価の有機基であり、残余の基は水素、フェニル基、又はメチル基から選ばれる一価の基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。nは平均値で、1〜50の正数である。)
カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンの配合量は、全エポキシ樹脂組成物中0.01〜3重量%が好ましい。下限を下回ると効果が不十分で離型剤による成形品外観汚れを抑えることができない恐れがあり、上限を超えるとオルガノポリシロキサン自体により、成形品の外観が汚れる恐れがある。
また、本発明に用いられるカルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンを添加する効果を損なわない範囲で他のオルガノポリシロキサンを併用することができる。
本発明で用いられる酸化ポリエチレンは、カルボン酸等からなる極性基と長い炭素鎖からなる非極性基を有しているものである。本発明で用いられる酸化ポリエチレンの製法については、特に限定するものではないが、例えば、高密度ポリエチレンを酸化することで得られるものなどが好ましい。本発明で用いられる酸化ポリエチレンワックスの滴点は60〜140℃好ましく、より好ましくは100〜130℃である。滴点が下限値未満だと熱安定性が十分でないため、連続成形時に酸化ポリエチレンワックスの焼き付きが発生し、離型性が悪化し、連続成形性を損なう恐れがある。上限値を越えるとエポキシ樹脂組成物の硬化の際、酸化ポリエチレンワックスが十分に溶融しないことにより、酸化ポリエチレンワックスの分散性が低下し、酸化ポリエチレンワックスの硬化物表面への偏析による金型汚れや樹脂硬化物外観の悪化を引き起こす恐れがある。平均粒径は0.1〜100μmが好ましく、下限値未満だと酸化ポリエチレンワックスとエポキシ樹脂マトリックスとの相溶性がよすぎるため、硬化物表面に染み出すことが出来ず、十分な離型付与効果が得られない恐れがある。上限値を越えると酸化ポリエチレンワックスが偏析し、金型汚れや樹脂硬化物外観の悪化を引き起こす恐れがある。酸化ポリエチレンワックスの含有量はエポキシ樹脂組成物中に0.01〜1重量%であることが好ましい。下限値未満だと離型性不足となる恐れがあり、上限値を越えるとリードフレーム部材との密着性が損なわれ、半田処理時に部材との剥離が発生する恐れがある。また、金型汚れや樹脂硬化物外観の悪化を引き起こす恐れがある。
本発明に用いられる酸化ポリエチレンを添加する効果を損なわない範囲であれば、それ以外にも他の離型剤を併用することもできる。例えば、カルナバワックス等の天然ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩類、脂肪酸エステル類等が挙げられる。
また、酸化ポリエチレンの配合量としては、全エポキシ樹脂組成物中に0.02〜1重量%が好ましい。下限を下回ると十分な離型性が得られない恐れがあり、上限を超えると密着性の低下を引き起こす恐れがある。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン、及び酸化ポリエチレンを必須成分とするが、その他の主要構成成分として硬化促進剤、無機充填材等を配合することができる。
本発明に用いる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に使用するものを用いることができる。例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
本発明に用いる無機充填材としては、一般に半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用されているものを用いることができる。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、窒化珪素等が挙げられ、最も好適に使用されるものとしては、球状の溶融シリカである。これらの無機充填剤は、単独でも混合して用いても差し支えない。またこれらがカップリング剤により表面処理されていてもかまわない。無機充填材の形状としては、流動性改善のために、できるだけ真球状であり、かつ粒度分布がブロードであることが好ましい。無機充填材の配合量は、全エポキシ樹脂組成物中78〜93重量%が好ましい。下限値を下回ると十分な耐半田性が得られない恐れがあり、上限値を超えると十分な流動性が得られない恐れがある。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン、酸化ポリエチレン、硬化促進剤、及び無機充填材から構成されるが、更にこれ以外に必要に応じて、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシランカップリング剤や、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、及び、シリコーンオイル、ゴム等の低応力添加剤、臭素化エポキシ樹脂や三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ほう酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼン等の難燃剤等の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、ミキサー等を用いて原料を充分に均一に混合した後、更に熱ロール又はニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の各種の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
実施例1
エポキシ樹脂1:式(2)で表されるエポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC3000P、軟化点58℃、エポキシ当量274、以下E−1という)
8.13重量部
Figure 0004586405
フェノール樹脂1:式(3)で表されるエポキシ樹脂(明和化成(株)製、MEH−7851SS、軟化点107℃、水酸基当量203、以下H−1という)
5.47重量部
Figure 0004586405
式(4)で示されるオルガノポリシロキサン:オルガノポリシロキサン1
0.20重量部
Figure 0004586405
酸化ポリエチレンワックス1(滴点120℃、平均粒径50μm) 0.20重量部
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUという)
0.20重量部
溶融球状シリカ(平均粒径25μm) 85.0重量部
カップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン) 0.40重量部
カーボンブラック 0.40重量部
を混合し、熱ロールを用いて、95℃で8分間混練して冷却後粉砕し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
評価方法
スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で測定した。単位はcm。判定基準は70cm未満を不合格(×)、70cm以上を合格(○)とした。
連続成形性:低圧トランスファー自動成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.6MPa、硬化時間70秒で80pQFP(CuL/F、パッケージ外寸:14mm×20mm×2mm厚、パッドサイズ:6.5mm×6.5mm、チップサイズ6.0mm×6.0mm)を連続で700ショットまで成形した。判定基準は未充填等全く問題なく700ショットまで連続成形できたものを◎、未充填等全く問題なく500ショットまで連続成形できたものを○、それ以外を×とした。
成形品外観及び金型汚れ:上記連続成形において500及び700ショット経過後のパッケージ及び金型について、目視で汚れを評価した。パッケージ外観判断及び金型汚れ基準は、汚れているものを×、700ショットまで汚れていないものを◎で、500ショットまで汚れていないものを○で表す。
半田耐熱性:上記連続成形により成形したパッケージを175℃、8時間で後硬化し、得られたパッケージを85℃、相対湿度85%で168時間加湿処理後、別々に240℃と260℃の半田槽に各10個のパッケージを10秒間浸漬した。顕微鏡でパッケージを観察し、クラック発生率[(クラック発生率)=(外部クラック発生パッケージ数)/(全パッケージ数)×100]を算出した。単位は%。評価したパッケージの数は20個。また、半導体素子とエポキシ樹脂組成物界面の密着状態を超音波探傷装置により観察した。評価したパッケージの数は20個。耐半田クラック性判断基準は、240℃及び260℃でのクラック発生率が0%で、かつ剥離なし:◎、240℃でのクラック発生率が0%で、かつ剥離なし:○、クラックもしくは剥離が発生したものは×とした。
実施例2〜10、参考例11、12、比較例1〜5
表1、表2の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得て、実施例1と同様にして評価した。結果を表1、表2に示す。
実施例1以外で用いた原材料を以下に示す。
エポキシ樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX−4000、エポキシ当量190g/eq、融点105℃、以下、E−2という)
エポキシ樹脂3:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−1020 62、エポキシ当量200g/eq、軟化点62℃、以下、E−3という)
フェノール樹脂2:パラキシリレン変性ノボラック型フェノール樹脂(三井化学(株)製、XLC−4L、水酸基当量168g/eq、軟化点62℃、以下H−2という)
オルガノポリシロキサン2:式(5)で示されるオルガノポリシロキサン
Figure 0004586405
オルガノポリシロキサン3:式(6)で示されるオルガノポリシロキサン
Figure 0004586405
オルガノポリシロキサン4:式(7)で示されるオルガノポリシロキサン
Figure 0004586405
溶融反応物A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、YL−6810、エポキシ当量170g/eq、融点47℃)66.1重量部を140℃で加温溶融し、オルガノポリシロキサン3(式(6)で示されるオルガノポリシロキサン)33.1重量部及びトリフェニルホスフィン0.8重量部を添加して、30分間溶融混合して溶融反応物Aを得た。
酸化ポリエチレンワックス2(滴点110℃、平均粒径80μm)
酸化ポリエチレンワックス3(滴点125℃、平均粒径5μm)
カルナバワックス
Figure 0004586405
Figure 0004586405
本発明に従うと、半導体装置実装時において優れた半田耐熱性を示すとともに、半導体素子の封止成形時における従来の欠陥である離型性、連続成形性、成形品外観、金型汚れ等の課題を解決することができるため、工業的な樹脂封止型半導体装置、特に表面実装用の樹脂封止型半導体装置の製造に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン、(D)酸化ポリエチレン及び無機充填剤を必須成分とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、(A)エポキシ樹脂が、一般式(2)で表されるエポキシ樹脂であり、(B)フェノール樹脂が、一般式(3)で表されるフェノール樹脂であり、(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンが一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンであり、(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンと(D)酸化ポリエチレンとの重量比(C)/(D)が5/1〜1/5であり、(D)酸化ポリエチレンの最大粒子径が150μm以下であり、かつ平均粒子径が0.1〜100μmであり、前記無機充填剤の含有量が85〜93重量%である半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004586405
    (式中、Rは少なくとも1つ以上がカルボキシル基を有する炭素数1〜40の一価の有機基であり、残余の基は水素、フェニル基、又はメチル基から選ばれる一価の基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。nは平均値で、1〜50の正数である。)
    Figure 0004586405
    (式中、nは平均値で、1〜10の正数)
    Figure 0004586405
    (式中、nは平均値で、1〜10の正数)
  2. 前記(D)酸化ポリエチレンが高密度ポリエチレンを酸化することで得られるものである請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記(D)酸化ポリエチレンの滴点が100〜130℃である請求項1又は2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンとして、あらかじめエポキシ樹脂と硬化促進剤によって反応させたカルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンを含む請求項1ないしのいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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