JP4573390B2 - ワーク位置決め方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンチプレス,レーザ加工機等のワーク加工機における加工部にワークを位置決めするワーク位置決め方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のワーク位置決め装置について簡単に説明すると、以下のようになる。
【0003】
即ち、ワーク加工機におけるフレームにはキャレッジベースがY軸方向へ移動可能に設けてあり、このキャレッジベースはX軸方向へ延伸している。このキャレッジベースにはキャレッジがX軸方向へ移動可能に設けてあり、このキャレッジベースには板状のワークをクランプ(保持の一例)する複数のクランパ(保持具の一例)が設けてある。ワーク加工機における本体フレームの適宜位置にはキャレッジをキャレッジベースと一体的にY軸方向へ移動させるY軸サーボモータが設けてあり、キャレッジベースの適宜位置にはキャレッジをキャレッジベースに対してX軸方向へ移動させるΧ軸サーボモータが設けてある。
【0004】
従って、複数のクランパによりワークをクランプした状態の下で、Y軸サーボモータの駆動によりキャレッジをキャレッジベースと一体的にY軸方向へ移動させると共に、Χ軸サーボモータの駆動によりキャレッジをキャレッジベースに対してX軸方向へ移動させる。これによって、ワークを加工部に対して接近離反するY軸方向,X軸方向へ移動させて、加工部に対して位置決めすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ワークの位置決め終了時において、キャレッジの移動の急停止によって、キャレッジに振動が生じる。そのため、ワーク位置決め終了後直ちにワークを加工(打ち抜き加工或いは成形加工等)すると、キャレッジの振動によってワークの加工精度が悪化するという問題が生じる。一方、キャレッジの振動が停止してからワークに対して加工したり、またはサーボモータの応答時定数を大きくしたり、サーボモータのゲインを下げたりすると、キャレッジの振動を押さえて加工精度の悪化を抑制することができるものの、加工時間が長くなって作業能率が悪化するという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明においては、上記の問題を解決することができるワーク位置決め方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明にあっては、ワークを保持する保持具を備えたキャレッジを加工部に対して接近離反する方向へ移動可能に設け、このキャレッジを上記加工部に対して接近離反する方向へ移動させる制御モータを設け、上記制御モータを制御する制御手段を設けてなるワーク位置決め装置を用いて、ワーク加工機における加工部に対してワークを位置決めするワーク位置決め方法であって、
前記キャレッジの移動停止試験におけるキャレッジの移動の減衰現象において、前記キャレッジの移動速度が正の移動速度から移動速度0になって前記キャレッジが停止する場合には、前記キャレッジの指令速度を、前記キャレッジの移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさの負の移動速度まで一旦減速させてから、加速して前記キャレッジの移動を停止せしめるように前記制御手段によって前記制御モータを制御すると共に、
前記キャレッジの移動停止試験におけるキャレッジの移動の減衰現象において、前記キャレッジの移動速度が負の移動速度から移動速度0になって前記キャレッジが停止する場合には、前記キャレッジの指令速度を、前記キャレッジの移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさの正の移動速度まで一旦減速させてから、再度減速して前記キャレッジの移動を停止せしめるように前記制御手段によって前記制御モータを制御することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図4及び図5を参照するに、本発明の実施の形態に係わるパンチプレス1は、ブリッジ型の本体フレーム3をベースとして備えており、この本体フレーム3は上部フレーム5と下部フレーム7を上下(図4において紙面に向かって表裏、図5において上下)に対向して備えてなる。この下部フレーム7には板状のワークWを支持する固定テーブル9が設けてあり、下部フレーム7における固定テーブル9の左右(図4において下上、図5において左右)両側にはワークWを支持する可動テーブル11が前後方向(換言すればY軸方向、図4において右左方向、図5において紙面に向かって表裏方向)に移動可能に設けてある。
【0009】
上記本体フレーム3にはワークWに対して打ち抜き加工または成形加工等を行う加工部13が設けてある。
【0010】
即ち、上部フレーム5には複数のパンチ15を備えた上部タレット17が回転可能に設けてあり、下部フレーム7には複数のダイ19を備えた下部タレット21が上部タレット17に上下に対向しかつ回転可能に設けてある。ここで上部タレット17及び下部タレット21は、本体フレーム3の適宜位置に設けたタレット用サーボモータ23の駆動により同期して回転するものであって、上部タレット17及び下部タレット21を回転させることにより、所定のパンチ15及びダイ19を加工領域に割り出しできるように構成してある。そして、上部タレット17の上方には加工領域に割り出した所定のパンチ15を上方向から押圧するストライカ25が設けてあり、このストライカ25は、上部フレーム5の適宜位置に設けた油圧シリンダ27の作動により昇降するものである。
【0011】
上記加工部13に対してワークWを位置決めするワーク位置決め装置29について詳細に説明する。
【0012】
即ち、上部フレーム5にはキャレッジベース31がY軸方向へ移動可能に設けてあり、このキャレッジベース31は左右方向(換言すればX軸方向)へ延伸してありかつ一対の可動テーブル11に一体的に設けてある。キャレッジベース31をY軸方向へ移動させるため、本体フレーム3の適宜位置にはY軸サーボモータ33が設けてあって、上部フレーム5にはY軸サーボモータ33に連動連結したY軸ボールネジ35がY軸方向へ延伸し設けてあり、キャレッジベース31にはこのY軸ボールネジ35に螺合したナット部材37が設けてある。
【0013】
上記キャレッジベース31にはワークWをクランプする複数のクランパ39を備えたキャレッジ41が設けてあり、このキャレッジ41はX軸方向へ移動可能である。このキャレッジ41をX軸方向を移動させるため、キャレッジベース31の適宜位置にはΧ軸サーボモータ43が設けてあり、キャレッジベース31にはΧ軸サーボモータ43に連動連結したΧ軸ボールネジ45がX軸方向へ延伸して設けてあり、キャレッジ41にはこのΧ軸ボールネジ45に螺合したナット部材47が設けてある。
【0014】
パンチプレス1は図3に示すようにNC制御部49を備えおり、このNC制御部49には、記憶部51の他、タレット用サーボモータ23を制御するタレット制御部53及び油圧シリンダ27を制御するプレス制御部55が接続されている。
【0015】
更に、NC制御部49には軸制御部57が接続してあり、この軸制御部57は、記憶部51に記憶されたX軸方向,Y軸方向の指令速度パターンに基づいてΧ軸サーボモータ43及びY軸サーボモータ33を制御するものである。
【0016】
特に、キャレッジ41の移動停止試験におけるキャレッジ41のX軸方向の移動の減衰現象において、図2(a)に示すようにキャレッジ41の移動速度が正の移動速度から移動速度0になってキャレッジ41が停止する場合には、図1(a)に示す指令速度パターンが選択され、軸制御部57により、ワークWの位置決めの終了直前にキャレッジ41のX軸方向の指令速度を、キャレッジ41の移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさの負の移動速度(−Vb)まで一旦減速させてから、加速してキャレッジ41の移動を停止せしめるようΧ軸サーボモータ43を制御するものである。キャレッジ41の移動停止試験におけるキャレッジ41のX軸方向の移動の減衰現象において、図2(b)に示すようにキャレッジ41の移動速度が負の移動速度から移動速度0になってキャレッジ41が停止する場合には、図1(b)に示す指令速度パターンが選択され、軸制御部57により、キャレッジ41のX軸方向の指令速度を、キャレッジ41の移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさの正の移動速度(Vb)まで一旦減速させてから、再度減速してキャレッジ41の移動を停止せしめるようΧ軸サーボモータ43を制御するものである。ここで、Vbは、キャレッジのX軸方向の移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさである。なお、Y軸サーボモータ33も、上述と同様に制御する。
【0017】
次に、本発明の実施の形態に係わる作用について説明する。
【0018】
複数のクランパ39によりワークWをクランプした状態の下で、Y軸サーボモータ33の駆動によりキャレッジ41をキャレッジベース31と一体的にY軸方向へ移動させると共に、Χ軸サーボモータ43の駆動によりキャレッジ41をキャレッジベース31に対してX軸方向へ移動させる。これによって、ワークWを加工部13に対して接近離反するY軸方向,X軸方向へ移動させて、加工部13に対して位置決めすることができる。ここで、軸制御部57により速度指令パターンに基づいてΧ軸サーボモータ43,Y軸サーボモータ33を制御することにより、ワークWの位置決めの終了直前にキャレッジ41の指令速度を一旦減速させてから、加速し或いは再度減速してキャレッジ41の移動を停止をさせる。
【0019】
また、タレット制御部53によりタレット用サーボモータ23を制御して上部タレット17及び下部タレット21を同期して回転させて、所定のパンチ15及び所定のダイ19を加工領域に割り出す。
【0020】
ワークWの位置決め、及びパンチ15,ダイ19の割り出しを行った後に、プレス制御部55により油圧シリンダ27を制御してストライカ23を下方向へ移動させる。これによって、ストライカ25により所定のパンチ15を上方向から押圧することができ、ワークWに対して打ち抜き加工または成形加工等を行う。
【0021】
上述の作用を繰り返すことにより、ワークWに対して一連の加工を行うことができる。
【0022】
以上のごとき本発明の実施の形態によれば、キャレッジ41の移動停止試験におけるキャレッジ41の移動の減衰現象において、キャレッジ41の移動速度が正の移動速度から移動速度0になってキャレッジ41が停止する場合には、キャレッジ41の指令速度を、キャレッジ41の移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさの負の移動速度(−Vb)まで一旦減速させてから、加速してキャレッジ41の移動を停止せしめると共に、キャレッジ41の移動停止試験におけるキャレッジ41の移動の減衰現象において、キャレッジ41の移動速度が負の移動速度から移動速度0になってキャレッジ41が停止する場合には、キャレッジ41の指令速度を、キャレッジ41の移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさの正の移動速度(Vb)まで一旦減速させてから、再度減速してキャレッジ41の移動を停止せしめるため、サーボモータ33、43の応答速度を大きくしたり、或いはサーボモータのゲインを下げたりすることなく、ワークWの位置決めの終了の際に、キャレッジ41の移動の急停止によって生じるキャレッジ41の振動を抑制することができる。そのため、ワークWの加工精度の悪化を回避しつつ、ワークWの位置決め終了後に直ちにワークWに対して加工を行うことができ、加工時間の短縮によって作業能率の向上を図ることができる。
【0023】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、前記キャレッジの移動停止試験におけるキャレッジの移動の減衰現象において、前記キャレッジの移動速度が正の移動速度から移動速度0になって前記キャレッジが停止する場合には、前記キャレッジの指令速度を、前記キャレッジの移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさの負の移動速度まで一旦減速させてから、加速して前記キャレッジの移動を停止せしめると共に、前記キャレッジの移動停止試験におけるキャレッジの移動の減衰現象において、前記キャレッジの移動速度が負の移動速度から移動速度0になって前記キャレッジが停止する場合には、前記キャレッジの指令速度を、前記キャレッジの移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさの正の移動速度まで一旦減速させてから、再度減速して前記キャレッジの移動を停止せしめるため、制御モータの応答速度を大きくしたり、或いは制御モータのゲインを下げたりすることなく、ワークの位置決めの終了の際に、キャレッジの移動の急停止によって生じるキャレッジの振動を抑制することができる。そのため、ワークの加工精度の悪化を回避しつつ、ワークの位置決め終了後に直ちにワークに対して加工を行うことができ、加工時間の短縮によって作業能率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 キャレッジの指令速度パターンを示す図である。
【図2】 キャレッジの移動停止試験におけるキャレッジの移動の減衰現象を示す図である。
【図3】 制御ブロック図である。
【図4】 パンチプレスの平面図である。
【図5】 図4におけるV−V線に沿った図である。
【符号の説明】
1 パンチプレス
13 加工部
29 ワーク位置決め装置
31 キャレッジベース
33 Y軸サーボモータ
39 クランパ
41 キャレッジ
43 Χ軸サーボモータ
57 軸制御部
Claims (1)
- ワークを保持する保持具を備えたキャレッジを加工部に対して接近離反する方向へ移動可能に設け、このキャレッジを上記加工部に対して接近離反する方向へ移動させる制御モータを設け、上記制御モータを制御する制御手段を設けてなるワーク位置決め装置を用いて、ワーク加工機における加工部に対してワークを位置決めするワーク位置決め方法であって、
前記キャレッジの移動停止試験におけるキャレッジの移動の減衰現象において、前記キャレッジの移動速度が正の移動速度から移動速度0になって前記キャレッジが停止する場合には、前記キャレッジの指令速度を、前記キャレッジの移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさの負の移動速度まで一旦減速させてから、加速して前記キャレッジの移動を停止せしめるように前記制御手段によって前記制御モータを制御すると共に、
前記キャレッジの移動停止試験におけるキャレッジの移動の減衰現象において、前記キャレッジの移動速度が負の移動速度から移動速度0になって前記キャレッジが停止する場合には、前記キャレッジの指令速度を、前記キャレッジの移動の減衰現象の最大振幅と同じ大きさの正の移動速度まで一旦減速させてから、再度減速して前記キャレッジの移動を停止せしめるように前記制御手段によって前記制御モータを制御することを特徴とするワーク位置決め方法。
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