JP4573341B2 - フォーカルプレーンシャッタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフォーカルプレーンシャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来におけるフォーカルプレーンシャッタには、回転羽根式のものと平行リンク式のものとがあり、図8に示すように平行リンク式のものでは、シャッタ基板1に開設してあるシャッタ開口1aを複数の羽根2で開閉可能である。羽根2はプラスチックで薄い板状に形成されたもので、スリット形成羽根2aを含む全ての羽根2a〜2dは、主アーム30,従アーム40及び50に支えられ、シャッタ開口1aの縁部1a1に対して実質的に平行に駆動されて、シャッタ開口1aの下方に退避する。アーム30,40,50は、シャッタ開口1aの側部のシャッタ駆動部1bに複数の軸7,8,9を立設して、この軸に揺動可能に軸支されている。即ち、主アーム30は軸7に、従アーム40は軸8に、従アーム50は軸9にそれぞれ軸支されている。
【0003】
さらに、シャッタ基板1の背面側にシャッタ駆動機構中の駆動レバーが揺動可能に軸支してあり、駆動レバーに立設した駆動ピン60は、シャッタ基板1に設けてある扇型の溝穴1cを貫通し、先端部が主アーム30に設けた嵌合穴に回転不能に嵌合し、駆動レバーの揺動を主アーム30に伝達する構成になっている。
【0004】
羽根2aは連結部30a,40aにより主アーム30及び従アーム40に連結され、羽根2bは連結部30b,40bにより主アーム30及び従アーム40に連結され、羽根2cは連結部30c,50cにより主アーム30及び従アーム50に連結され、羽根2dは連結部30d,50dにより主アーム30及び従アーム50に連結されている。この複数の羽根によりシャッタ開口1aを十分な遮光性をもって覆うために、開口を覆っている状態で羽根は相互に隣り合う辺で一部重なるように構成してある。
【0005】
他方、シャッタの小型化のためには、羽根毎の連結部の間隔はできるだけ小さいのが望ましいので、例えば、羽根2bの連結部30b,40bと羽根2aの連結部30a,40aとの間隔を小さくするために、羽根2aの一部を連結部40bから逃げるように後退させて凹部を形成し、この凹部に連結部40bが位置するように形成し、アームによる羽根の開閉動作の際に連結部40bの走行が妨げられることのないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術では、羽根の一部を連結部の走行軌跡から逃げるように後退させて凹部を形成しているので、この凹部で走行中に隣接する羽根との間に開口ができてしまい、遮光が不十分になるという重大な問題を生じる。そこで、遮光性が十分に得られるように羽根の一部に凹部を設けない形状にするためには、羽根毎の連結部の間隔を十分に大きくしなければならず、長いアームを用いる必要があり、このためにシャッタ駆動部1bを広幅Aにしなければならず、シャッタの小型化を達成することができないという問題点があった。
そこで本発明は、シャッタの小型化及び軽量化を達成し、かつ十分な遮光性が得られるようにする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のフォーカルプレーンシャッタは、シャッタ開口を有するシャッタ基板と、シャッタ開口を開閉可能な複数の羽根と、複数の羽根のうちスリット形成羽根と他の少なくとも1枚の覆い羽根を支え、スリット形成羽根と1枚の覆い羽根とをシャッタ開口の縁部に対して実質的に平行に駆動する複数のアームとを有している。複数のアームは、シャッタ駆動機構により駆動される主アームと、従アームと、補助アームとからなり、補助アームは、1枚の覆い羽根に揺動可能に軸支されると共にその両端部は前記主アーム及び前記従アームに対向して位置し、一端部は前記主アームまたは前記従アームのいずれか一方に連結され、他端部は他方のアームと共に前記スリット形成羽根または前記覆い羽根のいずれか一方に連結されていることを特徴としている。
【0009】
このように補助アームを用いることによって、各羽根とアームとを連結する連結部を接近して設けることができ、シャッタの小型化及び軽量化が達成できる。更に、凹部を設けないので十分な遮光性を確保することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図面に基づいて説明する。
図1及び図2に平行リンク式のフォーカルプレーンシャッタの開放羽根ユニットを示している。閉鎖羽根ユニットについては開放羽根ユニットと実質的に同一であるので、図示を省略している。また、図8の構成と実質的に同一の個所には同一の符号を付している。前記と同様に、シャッタ基板1にシャッタ開口1aが開設してあり、このシャッタ開口1aを開閉可能な開放羽根である複数の羽根2がシャッタ基板1に設けてある。複数の羽根2はプラスチックで薄い板状に形成された4枚の羽根からなるもので、アーム3〜6に連結され、シャッタ開口1aの縁部1a1に対して実質的に平行に駆動されて、図2に示すようにシャッタ開口1aの下方に退避する。
【0012】
即ち、スリット形成羽根2aは第1平行リンク部材である主アーム3と従アーム4とに連結部3aと4aで連結され、覆い羽根2bは補助アーム6を介して主アーム3と従アーム4に連結部6bと4bで連結されている。補助アーム6は、図3に拡大して示しているように、固定ピン6aで覆い羽根2bに回動可能に軸支されている。補助アーム6の両端部は主アーム3と従アーム4に対向してに位置し、一端部は連結部4bにより従アーム4に回動可能に連結され、他端部は連結部6bにより補助アーム6と主アーム3とが共に覆い羽根2bに回動可能に連結されている。図示の例では補助アーム6は、その両端部が主アーム3と従アーム4との上方に対向して位置しているので、連結部4bはスリット形成羽根2aを厚み方向に横切ることがなく、したがって羽根2aは連結部4bを逃げるように後退する凹部を設けることを要しない。凹部を設けないので、スリット形成羽根2aと覆い羽根2bとの間の辺における重なりが十分に得られ、開閉動作中に両羽根2aと2bとの間に開口が生じる等のことはない。図1のように、覆い羽根2cは主アーム3と従アーム4に連結部3cと4cで連結されている。
【0013】
覆い羽根2dは一方の連結部5dで第2平行リンク部材である従アーム5に連結されているとともに、図4に拡大して示すシャッタ駆動機構中の駆動レバー10の駆動ピンを介して主アーム3に連結されている。即ち、駆動レバー10は、そのパイプ部10aをシャッタ基板1の裏面側に突出する軸7に嵌合させることにより揺動可能に軸支している。駆動レバー10に立設した駆動ピン10bは、シャッタ基板1に設けられ軸7を中心とする扇型の溝穴1cを貫通している。駆動ピン10bの先端部には平面部10cが形成してあり、この平面部10cが主アーム3の係合孔内に相対的に回転不能に嵌合し、駆動レバー10の揺動を主アーム3に伝達している。平面部10cの下に円弧部10dが形成してあり、覆い羽根2dはこの円弧部10dが即ち他方の連結部10dとなって駆動レバー10と主アーム3とに連結されている。このために主アーム3に、駆動ピン10bを連結する個所以外に覆い羽根2dを連結する個所を別に設けることを要しない。
即ち、主アーム3の小型化が可能になる。
【0014】
このような構成であるので、羽根2a〜2cの平行リンクは主アーム3及び従アーム4を使用した第1平行リンク部材により移動し、覆い羽根2dは従アーム5及び駆動レバー10とを使用した第2平行リンク部材により移動する。つまり、スリット形成羽根2aは、軸7,8、連結部4a,3aからなる平行リンクにより平行移動し、覆い羽根2bは、軸7,8、連結部4b,6bからなる平行リンクにより平行移動し、覆い羽根2cは、軸7,8、連結部4c,3cからなる平行リンクにより平行移動する。そして、覆い羽根2dは、軸7,9、連結部5d,10dからなる平行リンクにより平行移動して、図2のようにシャッタ開口1aの下方に退避する。
【0015】
このように、スリット形成羽根2aの下に重なっている覆い羽根2bのための平行リンクを、主アーム3と従アーム4とに対向してその両端部が位置するように設けた補助アーム6を用いることによって、スリット形成羽根2aに連結部4bから逃げる凹部を設けることなく隣接する連結部3aとの間隔を最小にできる。したがってアーム3,4の長さを短くでき、シャッタ駆動部1bを狭幅Bに形成できる。
【0016】
なお、前記の例では全ての羽根2をシャッタ開口1aの縁部1a1に対して実質的に平行移動するように構成しているが、これに限られるものでなく、スリット形成羽根2aと他の少なくとも1枚の覆い羽根(前記の例では2b)を平行移動するようにし、他の覆い羽根を回転駆動する回転羽根式のものであってもよい。また前記の例では補助アーム6の一端部の連結部4bで従アーム4に連結し、他端部の連結部6bで主アーム3と共に覆い羽根2bに連結しているが、これに限られるものでなく、一端部を主アームに連結し、他端部を従アームと共にスリット形成羽根に連結するように構成してもよい。また補助アーム6を軸支する覆い羽根は覆い羽根2bに限られず他の覆い羽根であってもよい。
【0017】
図5は実施の他の形態を示している。これは前記の例における補助アーム6を用いないで、また前記の従アーム4に代えて、従アーム14を用いるようにしたものである。即ち、図7に拡大して示しているように、従アーム14には、スリット形成羽根2aとは対向せず、かつ覆い羽根2bとは対抗する位置に、ガイド部14bが形成してある。ガイド部14bは透孔でもよく凹部でもよい。覆い羽根2bには羽根ピン20が立設してあり、この羽根ピン20はガイド部14b内に摺動可能に嵌合している。ガイド部14bの形状は、第1平行リンク部材である主アーム3と従アーム14とが軸7及び8を中心に揺動することによって、ガイド部14b内を羽根ピン20が摺動し、これにより覆い羽根2bがシャッタ開口1aの縁部1a1に対して平行に移動するようにガイドするのに適した形状に設定されている。
【0018】
アーム14と覆い羽根2bとの連結における前記の構成以外は、実質的に前記の例における構成と同じであり、同一の符号を付している。即ち、スリット形成羽根2aは、軸7,8、連結部14a,3aからなる平行リンクにより平行移動し、覆い羽根2cは、軸7,8、連結部14c,3cからなる平行リンクにより平行移動し、覆い羽根2dは、軸7,9、連結部5d,10dからなる第2平行リンクにより平行移動して、図6のようにシャッタ開口1aの下方に退避する。そして前記の覆い羽根2bのみは、軸7に軸支されている主アーム3に,連結部3bにより連結され、アーム14のガイド部14bに羽根ピン20を嵌合させている。これにより軸7及び8を中心とする主アーム3と従アーム14の揺動により、羽根ピン20がガイド部14b内を摺動して、他の覆い羽根と同様に覆い羽根2bもシャッタ開口1aの縁部1a1に対して平行に移動して下方に退避する。
【0019】
なお、ガイド部を形成するアームは、従アーム14に限られず主アーム3でもよく、任意の1枚の覆い羽根に羽根ピンを立設してガイド部に嵌合摺動させればよく、またこの1枚の覆い羽根を除き、他の覆い羽根は回転駆動される回転駆動式のものであってもよい。
【0020】
なお、前述の二つの実施の形態では、主アーム3と従アーム4,14よりなる第1平行リンク部材と、駆動レバー10と従アーム5とよりなる第2平行リンク部材とによる複数の平行リンク部材により複数の羽根2をシャッタ開口1aの縁部1a1に対して略平行に駆動させているが、複数の平行リンク部材を用いることにより、主アーム3、従アーム4,14及び従アーム5の回転中心軸の位置を自由に設定できるため、小型化にしてもそれぞれの平行リンク部材に関わる羽根や連結部の軌跡を逃げてかつ羽根の動作中に羽根との間に開口ができない構成とすることができる。
【0021】
また、前述の二つの実施の形態では、補助アーム6または補助アーム6の代わりにガイド部14bが設けてある従アーム14を備える平行リンクと従アーム5を有する他の平行リンクとの組み合わせになっているが、この構成に限るものではなく、補助アーム6を用いる構成、ガイド部14bを用いる構成及び従アーム5を用いる構成のそれぞれの平行リンクを適宜組み合わせたものであってもよい。
【0022】
【発明の効果】
このように本発明のフォーカルプレーンシャッタは、補助アームを覆い羽根に揺動可能に軸支し、その両端部は主アーム及び従アームに対向して位置している。補助アームの一端部は主アームまたは従アームのいずれか一方に連結し、他端部は他方のアームと共にスリット形成羽根または覆い羽根のいずれか一方に連結している。したがって、スリット形成羽根に、覆い羽根と従アームとの連結部から逃げる凹部を設けることなく隣接する連結部との間隔を最小にできる。したがって、アームの小型化、ひいてはシャッタの小型軽量化を達成でき、シャッタ駆動部を狭幅に形成できる。スリット形成羽根には凹部を設けなくてよいので、覆い羽根との重なり量を十分に取ることができ、遮光性が確保できる。また、補助アームに代えて主アームと従アームのいずれか一方にガイド部を設けており、覆い羽根に立設した羽根ピンをガイド部に嵌合摺動させるようにしているので、前記と同様に、隣接する連結部との間隔を最小にでき、シャッタ駆動部を狭幅に形成でき、かつ遮光性が確保できる。
【0023】
また、複数の平行リンク部材により複数の羽根を駆動させているが、複数の平行リンク部材を用いることにより、主アーム、従アームの回転中心軸の位置を自由に設定できるため、小型化にしてもそれぞれの平行リンク部材に関わる羽根や連結部の軌跡を逃げてかつ羽根の動作中に羽根との間に開口ができない構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すもので、開放羽根群がシャッタ開口を覆っている状態を示す正面図である。
【図2】同、開放羽根群がシャッタ開口から退避した状態を示す正面図である。
【図3】図1の一部を拡大して示す正面図である。
【図4】図1の駆動レバーを示す拡大斜視図である。
【図5】本発明の実施の他の形態を示すもので、開放羽根群がシャッタ開口を覆っている状態を示す正面図である。
【図6】同、開放羽根群がシャッタ開口から退避した状態を示す正面図である。
【図7】図5の一部を拡大して示す正面図である。
【図8】従来の構成を示し、開放羽根群がシャッタ開口を覆っている状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 シャッタ基板
1a シャッタ開口
2 羽根
2a スリット形成羽根
2b〜2d 覆い羽根
3 主アーム
4 従アーム
6 補助アーム
14 従アーム
14b ガイド部
20 羽根ピン
Claims (1)
- シャッタ開口を有するシャッタ基板と、
前記シャッタ開口を開閉可能な複数の羽根と、
前記複数の羽根のうちスリット形成羽根と他の少なくとも1枚の覆い羽根を支え、前記スリット形成羽根と前記1枚の覆い羽根とを前記シャッタ開口の縁部に対して実質的に平行に駆動する複数のアームとを有し、
前記複数のアームは、シャッタ駆動機構により駆動される主アームと、従アームと、補助アームとからなり、
前記補助アームは、前記1枚の覆い羽根に揺動可能に軸支されると共にその両端部は前記主アーム及び前記従アームに対向して位置し、一端部は前記主アームまたは前記従アームのいずれか一方に回動可能に連結され、他端部は他方のアームと共に前記スリット形成羽根または覆い羽根のいずれか一方に回動可能に連結されている
ことを特徴とするフォーカルプレーンシャッタ。
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Patent Citations (3)
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