JP4224182B2 - 絞り装置 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、カメラの絞り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、カメラの絞り装置は開口面積の小さいものを大きな数値で示し、開口面積の大きいものを小さな数値で示しており、最大開口面積(開放絞り)と小開口面積(最小絞り)との間を段階的に分けて、所望の絞り開口を選択可能としてある。
【0003】
通常のカメラではこの絞り値は8〜10段階に設定してあるが、最近の低価格カメラや電子式カメラ(デジタルカメラ)では、絞り機構を簡単化するために絞り値を3〜4段階程度に限定した絞り装置が採用されている。
【0004】
このように絞り値の段階を少なくした絞り装置の例として、露光開口部を中心として対向位置にモータを配置し、露光開口部とモータの中心との間隔のほぼ中間位置に軸を設け、この軸に3つの絞り部材とNDフィルタ部材とをそれぞれ2つずつ揺動可能に設けている。3つの絞り部材のそれぞれに大中小の絞り用の開口部が設けてあり、NDフィルタ部材は遮蔽面が設けてある。これら4つの部材には、揺動中心軸から外方へ向かって被押動部が延伸させてあり、この被押動部をモータの出力ピンが押すことにより、大中小の絞り用の開口部と遮蔽面とを選択的に露光開口部と一致させることにより絞り値を選択可能とするカメラ絞り機構が提案されている(特開平11−160752号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術では、絞り装置を4段階に限定するようにしたもので,絞り装置の機構を簡単にしたものであることが認められる。しかしながら4つの部材の揺動中心軸から外方へ延伸する被押動部にモータの出力ピンが作用するので、作用点がそれだけ露光開口部から遠くなり、近来求められている小型化に十分に応えることができないという問題点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の絞り装置は、レンズ開口を備えているシャッタ基板と、モータの駆動軸により上記シャッタ基板に沿って所定の角度範囲で回動可能に設けてある駆動レバーと、上記レンズ開口よりも小径の中間絞り開口を有し、上記駆動レバーが中立になっている原位置において、上記駆動レバーによって該原位置から一方の方向へ回動可能であり、上記中間絞り開口は上記駆動レバーに対して上記一方の方向とは逆の方向の位置に設けてある第1の絞り羽根と、上記中間絞り開口よりも小径の最小絞り開口を有し、上記原位置において、上記駆動レバーによって該原位置から他方の方向へ回動可能であり、上記最小絞り開口は上記駆動レバーに対して上記他方の方向とは逆の方向の位置に設けてある第2の絞り羽根とを備えており、上記原位置において、上記駆動レバーは上記レンズ開口に向かって延伸し、上記第1の絞り羽根及び上記第2の絞り羽根を駆動する駆動部が設けてあり、上記駆動部の揺動範囲は、上記第1の絞り羽根及び上記第2の絞り羽根の回転中心よりも上記レンズ開口に近い位置に設けてあり、上記原位置において、上記第1の絞り羽根および上記第2の絞り羽根はいずれも上記レンズ開口に対して無遮蔽状態となっていることを特徴としている。このために駆動部の揺動範囲を両絞り羽根の回転中心よりもレンズ開口に近い位置にしているので、両絞り羽根と駆動部との作用点はレンズ開口に近い位置となり、装置を小型化することができる。また絞り、開口の選択を極めて小さな電力消費によって行うことができる。更に、絞り羽根の構成をシンプルなものにでき、コンパクトにできて安価に提供できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記の問題点を解決するために本発明の絞り装置は、レンズ開口を備えているシャッタ基板と、モータの駆動軸によりシャッタ基板に沿って所定の角度範囲で回動可能に設けてある駆動レバーと、レンズ開口よりも小径の中間絞り開口を有し、駆動レバーによって原位置から一方の方向へ回動可能であり、中間絞り開口は駆動レバーに対して一方の方向とは逆の方向の位置に設けてある第1の絞り羽根と、中間絞り開口よりも小径の最小絞り開口を有し、駆動レバーによって原位置から他方の方向へ回動可能であり、最小絞り開口は駆動レバーに対して他方の方向とは逆の方向の位置に設けてある第2の絞り羽根とを備えている。駆動レバーは、レンズ開口に向かって延伸し、第1の絞り羽根及び第2の絞り羽根を駆動する駆動部が設けてあり、駆動部の揺動範囲は、第1の絞り羽根及び第2の絞り羽根の回転中心よりもレンズ開口に近い位置に設けてある。そして、駆動レバーが中立になっているときには第1の絞り羽根および第2の絞り羽根はいずれもレンズ開口に対して無遮蔽状態となることを特徴としている。このことにより、レンズ開口に中間絞り開口が対向することで中間の絞りが選択でき、レンズ開口に最小絞り開口が対向することで最小の絞りが選択でき、両絞り羽根がレンズ開口に対向しない無遮蔽状態のときはレンズ開口による最大の絞りが選択できる。中間及び最小の絞り開口をそれぞれ別の質量の小さい部材に設けるので、絞り開口選択に置けるエネルギー消費を節減可能である。駆動部の揺動範囲を両絞り羽根の回転中心よりもレンズ開口に近い位置にして、両絞り羽根と駆動部との作用点をレンズ開口に近い位置とすることができ、装置を小型化するのに有効である。また、駆動レバー、第1の絞り羽根及び第2の絞り羽根の回転中心が、モータの駆動軸に一致している構成により、シンプルな構成にでき、コンパクトなものにできる。
【0008】
【実施例】
本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1は絞り装置及びシャッタ羽根が原位置に静止している状態を示すものであるが、要部以外の他の要素は省略して示してある。なお、ここでは図面の上下左右で位置関係を示すものとする。
【0009】
図示されていないシャッタ基板にレンズ開口1が設けてあり、レンズ開口1の上方に、図示しないシャッタ羽根用のモータによって回動される駆動軸2が設けてある。駆動軸2に撮影時にレンズ開口1を開閉するためのシャッタ羽根3が固定してある。シャッタ羽根3は駆動軸2の周囲の部分を駆動軸よりも大きな半径の円弧部で囲み、レンズ開口1を囲む部分をこのレンズ開口よりも大きな半径の円弧部で囲み、両円弧部を直線で結んで扇状に形成したものである。従って、駆動軸2がモータにより所定の角度範囲で回動されると、シャッタ羽根3が揺動し、レンズ開口1を開閉可能である。図1の状態ではモータが駆動されておらず、シャッタ羽根3は原位置にあり、レンズ開口1はシャッタ羽根3によって閉成されている。
【0010】
絞り装置は、レンズ開口1に対して駆動軸2と反対の側に構成されている。即ち、レンズ開口1を挟んで駆動軸2と反対の側(レンズ開口の下方)に、図示しない絞り羽根用のモータによって駆動される駆動軸4が設けてある。この駆動軸4にシャッタ基板に沿って所定の角度範囲で回動可能に駆動レバー5の一端部が固定されている。駆動レバー5はレンズ開口1に向かって延伸しており、その先端に後述の1対の絞り羽根を駆動するための駆動部である駆動ピン5aが設けてある。そして、駆動ピン5aが揺動しても、駆動ピン5aは常に駆動軸4よりレンズ開口1に近い位置となるように配置されている。このため、駆動軸4を従来よりもレンズ開口1に近づけ易くなり、装置の小型化が可能となる。
【0011】
絞り羽根用の駆動軸4には、外周の形状が対称をなす1対の絞り羽根6、7が回動自在に取り付けてある。1対の絞り羽根6、7には、駆動軸4を中心として駆動ピン5aの揺動半径よりも小径のほぼ円形板状の支持部6a、7aが設けてあり、この支持部6a、7aが重なり合うように駆動軸4に回転可能に取り付けられるものである。即ち、最上面側に第1の絞り羽根6が位置し、その下に第2の絞り羽根7が位置し、第2の絞り羽根7とシャッタ基板との間にシャッタ羽根3が位置するように重ね合わされている。
【0012】
1対の絞り羽根6、7は、それぞれの支持部6a、7aから駆動ピン5aの外周を相互に反対側から回り込んで、それぞれの支持部の外周と平行に戻る湾曲したガイド溝部6e、7eが形成されている。ガイド溝部6eは左側で開口しており、ガイド溝部7eは右側で開口している。駆動ピン5aはこのガイド溝部に沿って移動可能である。絞り羽根6、7の羽根部6c、7cは、駆動ピン5aをそれぞれ回り込むための湾曲した連通部6b、7bを介してそれぞれのガイド溝部6e、7e側に片寄った位置に形成されている。羽根部6c、7cは、レンズ開口1を十分に覆うことが可能な大きさに設定されており、原位置において2つの駆動軸2、4を結ぶ中心線からそれぞれ左右にレンズ開口1からはずれた位置にある。即ち、羽根部6cは中心線の左側にレンズ開口1からはずれて位置し、羽根部7cは中心線の右側にレンズ開口1からはずれて位置している。羽根部6c、7cの中央部にはレンズ開口1に対向可能でレンズ開口1よりも小径の円形の中間絞り開口6dと最小絞り開口7dがそれぞれ設けてある。
【0013】
このように第1絞り羽根6と第2絞り羽根7とは中心線に対して対称形状をしているので、第1絞り羽根6は駆動レバー5によって原位置から右方向へ回動可能であり、中間絞り開口6dは第1絞り羽根6の回動方向とは逆の左方向の位置に設けられている。また第2絞り羽根7は駆動レバー5によって原位置から左方向へ回動可能であり、最小絞り開口7dは第2絞り羽根7の回動方向とは逆の右方向の位置に設けられている。
【0014】
各絞り羽根の羽根部6c、7cの外側部には、駆動モータの無通電時にそれぞれの絞り羽根を原位置へ復帰させる復帰ばね8、8が設けてある。また、各絞り羽根6、7は羽根部6c、7cがシャッタ基板に突設してある度決めピン9、9に当接することにより原位置に停止可能であり、この位置が原位置である。原位置で駆動レバー5は駆動力を受けない中立位置にあり、第1の絞り羽根6及び第2の絞り羽根7はいずれもレンズ開口1に対して無遮蔽状態となっており、このときがレンズ開口による最大絞りの状態である。
【0015】
次に動作について説明する。
図1の原位置においてシャッタ羽根用のモータに通電されて駆動されると、駆動軸2が回動し、シャッタ羽根3が揺動駆動されてレンズ開口1による露出が行われる。これにより最大絞り開口であるレンズ開口1による開放絞りが選択されたことになる。シャッタ羽根3は、設定されているシャッタ速度で開閉動作するため、直ちに原位置へ復帰する。
【0016】
次に中間絞り開口6dを選択するときには、絞り羽根用のモータに一方方向回転の通電を行い、図2に示すように、駆動レバー5を時計方向に回動させると、駆動ピン5aを介して第1の絞り羽根6が同じ時計方向に回動する。この時、駆動ピン5aは第2の絞り羽根7のガイド溝部7e内を移動するので、第2の絞り羽根7は停止状態を維持している。この時のモータへの通電は、中間絞り開口6dをレンズ開口1の中央部まで移動させるのに必要な駆動軸4の回動を与えるように設定してあるので、レンズ開口1と中間絞り開口6dとが重なった図示の状態で停止する。
【0017】
この図2の状態でシャッタ羽根駆動用のモータに通電すると、図3に示すように、駆動軸2によりシャッタ羽根3が反時計方向に回動し、レンズ開口1が中間絞り開口6dにより絞り込まれた状態で露出されることになる。シャッタ羽根3が開閉して図2の位置に復帰したら、絞り羽根用のモータを無通電状態にすると、第1の絞り羽根6は復帰ばね8により原位置すなわち図1の状態に戻る。
【0018】
次に最小絞り開口7dを選択する場合には、絞り羽根用のモータに他方方向回転の通電を行い、図4に示すように、駆動レバー5を反時計方向に回動させると、中間絞り開口の場合と同様に、駆動ピン5aを介して第2の絞り羽根7が同じ反時計方向に回動する。この時は、駆動ピン5aは第1の絞り羽根6のガイド溝部6e内を移動するので、第1の絞り羽根6は停止状態を維持している。この時のモータへの通電は、最小絞り開口7dをレンズ開口1の中央部まで移動させるのに必要な駆動軸4の回動を与えるように設定してあるので、レンズ開口1と最小絞り開口7dとが重なった図示の状態で停止する。シャッタ羽根3の動作及び第2の絞り羽根7の復帰動作は、第1の絞り羽根6の場合と同様であり、シャッタ羽根3は図5の状態に揺動して最小絞り開口7dによる露出を行った後で図4の状態に戻り、次いで第2絞り羽根7が、復帰ばね8により図1の原位置に復帰する。
【0019】
上述したように、駆動ピン5aをどの位置に揺動させても両絞り羽根の回転中心よりもレンズ開口1に近い位置にしているので、装置の小型化が可能となる。また、絞り開口を選択する際の通電は開放絞りの場合には、絞り羽根用のモータを無通電にして駆動レバー5を中立状態にしておくだけでよいので、絞りのための電力消費は0である。また、中間絞り開口6dまたは最小絞り開口7dを選択する場合には、絞り羽根用のモータを駆動するのであるが、各絞り羽根6、7の羽根部6c、7cの面積はレンズ開口1を遮蔽可能な大きさがあれば十分であるので、これを動かすためのエネルギーは少なくてすみ、さらに各絞り羽根6、7のいずれか一方を僅かな角度だけ回動させればよいので、電力消費が極めて小さいものですむことになる。
【0020】
なお、上記実施例では初期状態において、シャッタ羽根が閉じており、絞り開口が選択された後にシャッタ羽根が開閉動作を行うものとして説明しているが、本発明はこのようなフィルムに露光する形式のカメラ用絞りの他に、通常はレンズ開口が開放になっており、絞り開口が選択された後で閉成する形式の電子式カメラの絞り装置等にも適用可能である。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動部の揺動範囲を両絞り羽根の回転中心よりもレンズ開口に近い位置にしているので、当然のことながら両絞り羽根と駆動部との作用点はレンズ開口に近い位置となり、装置を小型化することが可能である。また絞り、開口の選択を極めて小さな電力消費によって行うことができる。更に、絞り羽根の構成をシンプルなものにでき、コンパクトにできて安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】駆動レバーが中立になっている状態を示す正面図である。
【図2】第1の絞り羽根が回動して中間絞り開口がレンズ開口と重なった状態を示す正面図である。
【図3】図2の状態からシャッタ羽根が開いた状態に移っていることを示す正面図である。
【図4】第2の絞り羽根が回動して最小絞り開口がレンズ開口と重なった状態を示す正面図である。
【図5】図4の状態からシャッタ羽根が開いた状態に移っていることを示す正面図である。
【符号の説明】
1 レンズ開口
4 駆動軸
5 駆動レバー
5a 駆動部(駆動ピン)
6 第1の絞り羽根
6d 中間絞り開口
7 第2の絞り開口
7d 最小絞り開口
Claims (2)
- レンズ開口を備えているシャッタ基板と、
モータの駆動軸により上記シャッタ基板に沿って所定の角度範囲で回動可能に設けてある駆動レバーと、
上記レンズ開口よりも小径の中間絞り開口を有し、上記駆動レバーが中立になっている原位置において、上記駆動レバーによって該原位置から一方の方向へ回動可能であり、上記中間絞り開口は上記駆動レバーに対して上記一方の方向とは逆の方向の位置に設けてある第1の絞り羽根と、
上記中間絞り開口よりも小径の最小絞り開口を有し、上記原位置において、上記駆動レバーによって該原位置から他方の方向へ回動可能であり、上記最小絞り開口は上記駆動レバーに対して上記他方の方向とは逆の方向の位置に設けてある第2の絞り羽根とを備えており、
上記原位置において、上記駆動レバーは上記レンズ開口に向かって延伸し、上記第1の絞り羽根及び上記第2の絞り羽根を駆動する駆動部が設けてあり、
上記駆動部の揺動範囲は、上記第1の絞り羽根及び上記第2の絞り羽根の回転中心よりも上記レンズ開口に近い位置に設けてあり、
上記原位置において、上記第1の絞り羽根および上記第2の絞り羽根はいずれも上記レンズ開口に対して無遮蔽状態となる
ことを特徴とする絞り装置。 - 請求項1において、上記駆動レバー、上記第1の絞り羽根及び上記第2の絞り羽根の回転中心は、上記モータの駆動軸に一致していることを特徴とする絞り装置。
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