JP4261729B2 - 絞り装置 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、カメラの絞り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、カメラの絞り装置は開口面積の小さいものを大きな数値で示し、開口面積の大きいものを小さな数値で示しており、最大開口面積(開放絞り)と最小開口面積(最小絞り)との間を段階的に分けて、所望の絞り開口を選択可能としてある。
【0003】
通常のカメラではこの絞り値は8〜10段階に設定してあるが、最近の低価格カメラや電子式カメラ(デジタルカメラ)では、絞り機構を簡単化するために絞り値を3段階程度に限定した絞り装置が採用されている。
【0004】
このように絞り値の段階を少なくした絞り装置の従来例を、図4により説明する。レンズ開口41は、図示しない基板に形成され最大絞り開口を構成する。第1絞り羽根43及び第2絞り羽根44は、レンズ開口41の外周で軸43a及び44aに回動自在に取り付けられ、それぞれ中間絞り開口43b及び最小絞り開口44bを備えている。駆動レバー42は、駆動軸42aにより中立位置から左右方向に回動自在に取り付けられており、先端に固定された駆動ピン42bにより第1絞り羽根43及び第2絞り羽根44を作動する。
【0005】
第1絞り羽根43はレンズ開口41から退避した状態では、レンズ開口41から完全に退避しており、また、中間絞り開口43bを使用する状態では、レンズ開口41を制限し、レンズ開口41の全域を覆う形状に構成されている。第2絞り羽根44も上記の第1絞り羽根43の構成と同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術では、絞り装置を3段階に限定するようにしたものであるが、第1及び第2の絞り羽根43および44がレンズ開口41から退避するためのスペースが必要であり、レンズ開口41の外周部分のスペースが大きくなり、絞り装置全体が大型化するという問題点がある。そのためカメラに応用した場合にコンパクト化の障害となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために本発明の絞り装置は、レンズ開口を備えている基板と、基板に沿って中立位置から所定の角度で変位可能に設けてある駆動部材と、レンズ開口よりも小径の中間絞り開口を有し、駆動部材によってレンズ開口を覆う位置と退避する位置とに変位可能に設けてある第1の絞り羽根と、中間絞り開口よりも小径の最小絞り開口を有し、駆動部材によってレンズ開口を覆う位置と退避する位置とに変位可能に設けてある第2の絞り羽根とを備えている。そして、駆動部材が中立位置になっているときには、第1の絞り羽根及び第2の絞り羽根はいずれもレンズ開口に対して無遮蔽状態となり、第1の絞り羽根及び第2の絞り羽根は、いずれか一方がレンズ開口の一部を覆うときは、他方がレンズ開口の他部を覆うように構成してあることを特徴としている。この構成により、両絞り羽根を、単独ではレンズ開口の全域を覆えないが両絞り羽根の協働によってレンズ開口の全域を覆える程度に小形にでき、レンズ開口が無遮蔽状態のときにも、レンズ開口の外周部分のスペースが少なくてすみ、コンパクト化を達成できる。
【0008】
また、第1の絞り羽根及び第2の絞り羽根には、各絞り羽根の回転中心と同軸に、一方の絞り羽根の回動に連動して他方の絞り羽根を対向方向に回動させる連動部材が設けてある。この構成により、他方の絞り羽根を連動駆動するための特別な駆動手段が不要で、構成を簡単にできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1は絞り装置が原位置に静止している状態を示すものであるが、要部以外の他の要素は省略して示してある。なお、ここでは図面の上下左右で位置関係を示すものとする。
【0010】
図示されていないシャッタ基板に設けてあるレンズ開口1の下方には、図示しない絞り羽根用のモータによって駆動される駆動軸2aが設けてある。この駆動軸2aに、シャッタ基板面に沿って、中立位置から左右方向に所定の角度範囲で回動可能な駆動部材としての駆動レバー2の一端部が固定されている。駆動レバー2はレンズ開口1に向って延伸しており、その先端部に後述の絞り羽根3及び4を回動させる駆動ピン2bが設けてある。
【0011】
シャッタ基板には、第1の絞り羽根軸3aが立設させてあり、この軸にレンズ開口1を規制するための、レンズ開口1より小径の中間絞り開口3bを有する第1の絞り羽根3が、回動自在に取り付けてある。またシャッタ基板には、第2の絞り羽根軸4aが立設させてあり、この軸にレンズ開口1を規制するための、中間絞り開口3bよりさらに小径の最小絞り開口4bを有する第2の絞り羽根4が、回動自在に取り付けてある。第1の絞り羽根3及び第2の絞り羽根4は、薄板で構成されるものである。
【0012】
シャッタ基板の上面側に位置する第1の絞り羽根3は、第1突起部3cが駆動ピン2bの外周部に係合するように形成されていると共に、連動部材を構成する第2突起部3dと第3突起部3eが設けてある。下面側に位置する第2の絞り羽根4は、第1突起部4cが駆動ピン2bの外周部に係合するように形成されていると共に、連動部材を構成する第2突起部4dと第3突起部4eが設けてある。前記の第1及び第3突起部は、いずれも羽根の部分よりも肉厚に形成されている。第2突起部4dは、第1及び第3突起部よりも薄肉に形成されている。このため、図2に示すように絞り羽根3,4が回動したとき第2突起部4dの下に絞り羽根3が入り込むことができるようになっている。
【0013】
第1の絞り羽根3の羽根の部分の形状は、レンズ開口1から遠い側の外周部3fでは、レンズ開口1を覆うように円弧状の形状であるが、レンズ開口1に近い外周部では、一部が切除された切欠部3gに形成されている。このために、第1の絞り羽根3のみではレンズ開口1の全域を覆うことができないが、レンズ開口1から退避した位置では、全体としてレンズ開口1に接近した位置にあるので、レンズ開口1の左側の外周部分のスペースは小さくてすむ。第2の絞り羽根4の羽根の部分の形状は、レンズ開口1から遠い側の外周部4fでは、レンズ開口1を覆うように円弧状の形状であるが、レンズ開口1に近い外周部では、一部が凹円弧状に切除された切欠部4gに形成されている。このために、第2の絞り羽根4のみではレンズ開口1の全域を覆うことができないが、レンズ開口1から退避した位置では、全体としてレンズ開口1に接近した位置にあるので、レンズ開口1の右側の外周部分のスペースは小さくてすむ。
【0014】
両絞り羽根3及び4の外側には、駆動モータの無通電時にそれぞれの絞り羽根を原位置へ復帰させる復帰ばね5及び6が掛け止めてあり、シャッタ基板に立設したピン7及び8によりそれ以上の回動を阻止されている。この位置が原位置で駆動軸2aは駆動モータから駆動力を受けない中立位置にあり、第1の絞り羽根3及び第2の絞り羽根4はいずれもレンズ開口1に対して無遮蔽状態となっている。このときがレンズ開口1による最大絞りの状態である。
【0015】
次に動作について説明する。
図1は初期位置を示しており、駆動レバー2が中立位置になっており、レンズ開口1は各絞り羽根3及び4による無遮蔽状態となっている。従って最大絞り開口(開放絞り)を選択するときには、駆動レバー2を不作動とし、そのままの状態の初期位置で、レンズ開口を閉じている公知のシャッタ羽根(図示しない)を、設定されたシャッタ速度で開閉させることにより、レンズ開口1による露出が行われる。
【0016】
次に中間絞り開口3bを選択するときには、図2に示すように、駆動レバー2を反時計方向に回動させると、駆動ピン2bにより第1突起部3cを押して第1の絞り羽根3を時計方向に回動させる。駆動レバー2の回動角は、中間絞り開口3bがレンズ開口1の中央部と重なる位置で停止するように設定してあるので、レンズ開口1と中間絞り開口3bとが重なった図示の状態で停止する。このとき、第2突起部3dが第2の絞り羽根4の第3突起部4eに係合して第2の絞り羽根4を反時計方向に回動させる。前記のように第1絞り羽根3のレンズ開口1に近い外周は切欠部3gであるので、第1の絞り羽根3のみではレンズ開口1の全域を覆うことができないが、第2の絞り羽根4が反時計方向に回動することでレンズ開口1へ向って前進し、これによって第1の絞り羽根3では覆えないレンズ開口1の右端部を覆い、両絞り羽根の協働によりレンズ開口1の全域を覆って中間絞り開口3bに規制する。この状態で公知のシャッタ羽根を、設定されたシャッタ速度で開閉させることにより、中間絞り開口3bにより絞り込まれた状態で露出が行われる。駆動レバー2を元の中立位置へ戻せば、第1及び第2の絞り羽根3及び4はそれぞれの復帰ばね5及び6により元の図1の位置に復帰する。
【0017】
次に最小絞り開口7dを選択する場合には、図3に示すように、駆動レバー2を時計方向に回動させると、中間絞り開口の場合と同様に、駆動ピン2bにより第1突起部4cを押して第2の絞り羽根4を反時計方向に回動させる。駆動レバー2の回動角は、最小絞り開口4bがレンズ開口1の中央部と重なる位置で停止するように設定してあるので、レンズ開口1と最小絞り開口4bとが重なった図示の状態で停止する。このとき、第2突起部4dが第1の絞り羽根3の第3突起部3eに係合して第1の絞り羽根3を時計方向に回動させる。前記のように第2の絞り羽根4のレンズ開口1に近い外周は切欠部4gであるので、第2の絞り羽根4のみではレンズ開口1の全域を覆うことができないが、第1の絞り羽根3が時計方向に回動することでレンズ開口1へ向って前進し、これによって第2の絞り羽根4では覆えないレンズ開口1の左端部を覆い、両絞り羽根の協働によりレンズ開口1の全域を覆って最小絞り開口4bに規制する。この状態で公知のシャッタ羽根を設定されたシャッタ速度で開閉させることにより、最小絞り開口4bにより絞り込まれた状態で露出が行われる。駆動レバー2を元の中立位置へ戻せば、第1及び第2の絞り羽根3及び4はそれぞれの復帰ばね5及び6により元の図1の位置に復帰する。
【0018】
上述したように、絞り開口を選択する際の作動は開放絞りの場合には、駆動レバー2を中立状態にしておくだけでよいので、絞りのための作動は不要である。また、中間絞り開口3bまたは最小絞り開口4bを選択する場合には、最小の面積に形成してある両絞り羽根3及び4を、従来に比べて少ない角度だけ回動させてレンズ開口1を遮蔽可能であれば十分であるので、これを動かすためのエネルギーは少なくなり、さらに、各絞り羽根3、4の面積が小さいものですむので、絞り装置の外形サイズを小さくすることができる。
【0019】
なお、上記の施例では、各絞り羽根3及び4の絞り開口周辺の羽根部と、第1〜第3突起部を一体にそれぞれ薄板と肉厚部で構成しているが、第2及び第3突起部のみを連動部材として別途構成し、各絞り羽根の回転中心と同軸に支持するように構成してもよい。また、中間絞り開口3bの時のみ両方の絞り羽根3及び4の協働によりレンズ開口1の全域を覆うようにし、最小絞り開口4bの時には第2の絞り羽根4のみでレンズ開口1の全域を覆うようにしてもよい。またはこの逆に、中間絞り開口3bの時は絞り羽根3のみにより、最小絞り開口4bの時には第1及び第2の絞り羽根3及び4の協働によりレンズ開口1の全域を覆うようにしてもよい。いずれの場合にも従来に比して外形サイズの小型化は達成できる。さらに、第2及び第3突起部からなる連動部材に代えて、中間部材を別に配置し、または駆動レバー2により直接的または間接的に他方の絞り羽根を駆動してレンズ開口を覆う位置へ変位させるように構成することも可能である。
【0020】
なお、初期位置において、シャッタ羽根がレンズ開口を閉じており、絞り開口が選択された後にシャッタ羽根が開閉動作を行うものとして説明しているが、本発明はこのようなフィルムに露光する形式のカメラの絞り装置の他に、通常はレンズ開口が開放になっており、絞り開口が選択された後で閉成する形式の電子式カメラの絞り装置等にも適用可能である。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、両絞り羽根を、単独ではレンズ開口の全域を覆えないが両絞り羽根の協働によってレンズ開口の全域を覆える程度に小形にしているので、レンズ開口を無遮蔽状態のときに、レンズ開口の外周部分のスペースが少なくてすみ、コンパクト化が達成できる。
また、一方の絞り羽根の回動に連動して他方の絞り羽根を対向方向に回動させる連動部材が設けてあるので、他方の絞り羽根を連動駆動するための特別な駆動手段が不要で、構成を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】駆動レバーが中立位置になっている状態を示す正面図である。
【図2】第1の絞り羽根が回動して中間絞り開口がレンズ開口と重なった状態を示す正面図である。
【図3】第2の絞り羽根が回動して最小絞り開口がレンズ開口と重なった状態を示す正面図である。
【図4】従来例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 レンズ開口
2 駆動部材(駆動レバー)
3 第1の絞り羽根
3b 中間絞り開口
4 第2の絞り羽根
4b 最小絞り開口
Claims (1)
- レンズ開口を備えている基板と、上記基板に沿って中立位置から所定の角度で変位可能に設けてある駆動部材と、
上記レンズ開口よりも小径の中間絞り開口を有し、上記駆動部材によって上記レンズ開口を覆う位置と退避する位置とに変位可能に設けてある第1の絞り羽根と、
上記中間絞り開口よりも小径の最小絞り開口を有し、上記駆動部材によって上記レンズ開口を覆う位置と退避する位置とに変位可能に設けてある第2の絞り羽根とを備え、
上記駆動部材が中立位置になっているときには、上記第1の絞り羽根及び上記第2の絞り羽根はいずれも上記レンズ開口に対して無遮蔽状態となり、
上記第1の絞り羽根及び上記第2の絞り羽根は、いずれか一方が上記レンズ開口の一部を覆うときは、他方が上記レンズ開口の他部を覆うように構成しており、
上記第1の絞り羽根及び上記第2の絞り羽根には、一方の絞り羽根の絞り開口が上記レンズ開口の中央部と重なる位置で上記一方の絞り羽根の回動が停止する時に連動して、他方の絞り羽根を対向方向に回動させる連動部材が、上記各絞り羽根の回転中心と同軸に設けてある
ことを特徴とする絞り装置。
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