JP4572385B2 - 水素精製分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水素脆性を受け難い構造の水素分離膜を用いて水素含有混合ガスから水素を選択的に分離する方法に関するものである。
クリーンなエネルギー源としての水素の確保は、来るべき“水素社会”への対応の観点から極めて重要な課題である。水素の分離技術の中で膜分離技術は、エネルギー消費の少ない優れた方法として期待されている。この膜分離技術においては水素の高効率分離を目指してさまざまな水素選択透過膜が開発されてきた。これらはシリカや炭素などから成る超微細多孔膜とパラジウム等の水素透過性緻密膜に大別されるが、超微細多孔膜は、超微細な細孔の分子ふるい効果により、サイズの最も小さい水素を他のガス分子に優先して透過させるものであるが、必ずしも水素選択性と透過速度をともに満足させるのが可能なものではない。
一方、水素透過性緻密膜は、緻密な膜を水素分子のみが原子状に解離して透過するのが可能である独特の機構により、単位面積あたりの高い水素透過速度と優れた水素選択性を示すので有望視され、透過性能の向上と、低コストの観点から、薄膜化が検討され、多孔質材料の表面に緻密なパラジウム系薄膜を形成させた水素分離膜が提案されている。
しかし、このような水素分離膜は優れた透過性能を持つ反面、臨界温度.臨界圧力以下において水素脆性による欠陥やピンホールを生じやすいため、水素分離における使用温度と水素圧の範囲は限定されていた(例えば非特許文献1参照).
S.N.Pagliieri,J.D.Way,Separation and Purification Methods、31巻、19〜20頁、2002年
本発明の課題は、このような事情の下、水素選択性と耐久性に優れ、温度.圧力等の操作条件を広げるのが可能な水素分離膜材料を用いて水素含有混合ガスから水素を効率よく分離する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記した好ましい水素分離方法を開発するために種々研究を重ねた結果、水素分離膜として、微細粒子を成層してなる多孔質体の微細孔隙に水素透過性金属又は合金を充填してなるものや、さらにこのものを中間材とし、多孔質基材及び多孔質保護材をその両側にそれぞれ成層させた複合膜を用いて、水素含有混合ガスから水素を分離する方法が課題解決に資することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
(1)平均粒子径1〜50nmの微細粒子を成層してなる多孔質体の微細孔隙に水素透過性金属又は合金を無電解メッキにより充填してなる水素分離膜に、水素含有混合ガスから水素を選択的に透過させることを特徴とする水素分離方法。
(2)(A)多孔質基材、(B)平均粒子径1〜50nmの微細粒子を成層してなる多孔質体の微細孔隙に水素透過性金属又は合金を無電解メッキにより充填してなる水素透過性中間材及び(C)多孔質保護材が順に成層された複合膜からなる水素分離膜に、水素含有混合ガスから水素を選択的に透過させることを特徴とする水素分離方法。
(3)微細粒子がセラミックスからなる前記(1)又は(2)記載の水素分離方法。
(4)多孔質基材がセラミックス又は金属からなる前記(2)記載の水素分離方法。
(5)セラミックスが酸化物、窒化物及び炭化物の中から選ばれた少なくとも1種である前記(3)又は(4)記載の水素分離方法。
(6)微細粒子がアルミナ、ジルコニア、チタニア、ニオビア、セリア、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化モリブデンの中から選ばれた少なくとも1種からなる前記(3)又は(4)記載の水素分離方法。
(7)多孔質基材がステンレス鋼、α−アルミナ、コージェライト、ムライト、窒化ケイ素及び炭化ケイ素の中から選ばれた少なくとも1種からなる管又は基板である前記(2)記載の水素分離方法。
(8)多孔質基材が、平均細孔径0.05〜20μmのものである前記(2)記載の水素分離方法。
(9)多孔質保護材が、多孔質基材よりも小さい平均細孔径を有するものである前記(2)記載の水素分離方法。
(10)水素透過性金属又は合金が、無電解メッキの可能なものの中から選ばれた少なくとも1種である前記(1)ないし(9)のいずれかに記載の水素分離方法。
(11)無電解メッキの可能な水素透過性金属又は合金が、Pd、Pd−Ag合金、Pd−Au合金である前記(10)記載の水素分離方法。
(12)水素分離膜における、水素透過側のガス圧と水素含有混合ガス供給側のガス圧との差圧が0.01〜100気圧である前記(1)ないし(11)のいずれかに記載の水素分離方法。
(13)差圧が0.1〜10気圧である前記(12)記載の水素分離方法。
(14)水素を選択的に透過させるのを、0℃〜800℃の温度範囲で行う前記(1)ないし(13)のいずれかに記載の水素分離方法。
(15)温度範囲が20℃〜650℃である前記(14)記載の水素分離方法。
本発明方法において用いられる水素分離膜は、簡便には、微細粒子を成層してなる多孔質体の微細孔隙に水素透過性金属又は合金を充填してなり、また、水素分離膜は、好ましくは、このように微細粒子を成層してなる多孔質体の微細孔隙に水素透過性金属又は合金を充填してなるものを中間材とし、多孔質基材、該中間材及び多孔質保護材が順に成層された複合膜からなるものである。
微細粒子は、その材料としてセラミックス、中でも酸化物、窒化物及び炭化物の中から選ばれた少なくとも1種、例えばアルミナ、ジルコニア、チタニア、ニオビア、セリア、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化モリブデン等が好ましく、そのサイズは、好ましくはナノサイズオーダーのものであり、平均粒子径は1〜100nm、中でも5〜50nmの範囲で選ぶのがよい。
多孔質体は微細粒子を成層してなり、例えば微細粒子を層状に混成し加圧加熱して成膜するなどして調製され、その厚さは0.5〜1000μm、中でも1〜100μmの範囲で選ぶのがよい。
多孔質体は、微細孔隙を有するが、その平均細孔径は0.2〜50nm、中でも1〜25nmの範囲で選ぶのがよい。
水素透過性金属又は合金は、水素含有混合ガスから水素を選択的に透過させることが可能なものであれば特に制限されないが、好ましくは無電解メッキの可能なものの中から選ばれた少なくとも1種、中でもPd、Pd−Ag合金、Pd−Au合金が用いられる。
上記複合膜における多孔質基材については、多孔体であれば特に制限はないが、耐熱性の観点から好ましくはセラミックスや金属が挙げられる。セラミックスとしては、好ましくは酸化物、窒化物及び炭化物の中から選ばれた少なくとも1種、中でもアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、多孔質ガラス、ゼオライト、コージェライト、ムライト等が挙げられる。金属としては好ましくはステンレス鋼や耐熱合金が挙げられる。また、多孔質基材の形態としてはチューブ状、板状のものが挙げられる。
上記複合膜における多孔質保護材については、多孔質基材よりも小さい平均細孔径を有する保護材であれば特に制限はないが、その材料としては多孔質基材と同様のものが好ましい。
上記複合膜における多孔質基材及び多孔質保護材において、平均細孔径については、通常、多孔質基材では0.05〜20μm、多孔質保護材では0.5〜100nmの範囲、好ましくは、多孔質基材では0.1〜5μm、多孔質保護材では1〜50nmの範囲とするのがよく、また、多孔度については、好ましくは、多孔質基材では20〜100cm3/g、多孔質保護材では30〜150cm3/gの範囲、中でも、多孔質基材では20〜70cm3/g、多孔質保護材では40〜100cm3/gの範囲とするのがよい。
このような複合膜からなる水素分離膜の一例及びその縦断面構造の模式図を図1に示す。
上記複合膜を作製するには、先ず、多孔質基材の表面に、微細粒子層を被膜させるが、その際には微細粒子を水に分散させたゾルを用いるのが好ましい。中間材に優先的に水素透過性金属又は合金をメッキして充填するためには、微細粒子に水素透過性金属又は合金、例えばパラジウム等の種核を付与するのが好ましい。この方法には、(1)微細粒子を水に分散させたゾルに水素透過性金属又は合金の化合物、例えばパラジウム化合物等を加え、粒子表面に水素透過性金属又は合金、例えばパラジウム等を吸着させ、これを基材に被覆する方法や、(2)基材に微細粒子を水に分散させたゾルを被覆させ、焼成後、ディップコーティングにより水素透過性金属又は合金、例えばパラジウム等の種核を付与する方法等が用いられる。
また、基材に均一に微細粒子層を被覆させる方法として、チューブ状の基材の場合は、微細粒子の分散ゾルに浸して垂直に引き上げるディップコーティング法、板状の基材では、回転した基材にゾルを垂らして被覆させるスピンコート法が用いられる。いずれもゾル被覆後、恒温恒湿の雰囲気で乾燥し、焼成するのがよい。焼成は400〜700℃、好ましくは500〜600℃の範囲の高温で行うのがよい。
このような多孔質基材の被覆は、好ましくはチューブ状や板状の多孔質基材の一方の面、例えば外面或いは内面や、片面等に施すのがよい。
無電解メッキでは、微細な種核を均一に析出、分布させることが重要であり、例えば、パラジウム種核の場合には、多孔質基材の表面にパラジウム錯体を均一に保持させたのち、塩化スズないしヒドラジンを用いて還元する公知の方法(例えばGlenn Mallory,Juan Hajdu編集 Electroless Plating,アメリカ表面処理協会)により達成される。パラジウム錯体の例としては、好ましくは[PdCl42-、[Pd(acac)2](acac=アセチルアセトナートイオン)、酢酸パラジウムが挙げられる。また、溶媒としては、パラジウム錯体を溶解しやすいものであれば特に制限はないが、[PdCl42-のように電荷を持つ錯イオンの場合には水などの極性溶媒が、[Pd(acac)2]、酢酸パラジウム等の中性錯体では、アセトニトリル、ベンゼン、クロロホルムなどの有機溶媒が挙げられる。
次いで、このようにして粒子表面に微細な種核を均一に分布させた層の上に、さらに微細粒子層を保護膜として被覆させる。被覆方法としては、前記したようなディップコーティング法やスピンコート法が用いられ、被覆後乾燥し、焼成するのがよい。
さらに、このようにして得られた層被覆多孔質材を、錯形成剤と水素透過性金属又は合金に対応する金属イオンを含むメッキ液で無電解メッキし、種核のある中間層に選択的に水素透過性金属又は合金が充填される。このメッキ液には水素透過性金属又は合金、例えばパラジウム等の単独もしくは混合物の化合物、中でも金属塩と、これを安定に溶存させる錯形成剤、還元剤を含有する水溶液が用いられる。金属塩の例としては、酢酸塩、塩化物、硝酸塩、硫酸塩等が挙げられる。また、錯形成剤の例としては、好ましくはアンモニアとキレート剤との組合せ、特にアンモニアとEDTAとの組合せが挙げられる。キレート剤としては、EDTAの他、NTA(ニトリロトリ酢酸)や、クエン酸、酒石酸等の脂肪族オキシ酸などが挙げられる。還元剤としては、ヒドラジン、塩化第1スズ、グルコース等が用いられる。また、メッキ液を中間層の微細孔隙内に充分に浸入させるために、減圧下、中でも真空下に吸引を施すのが好ましい。例えば、真空吸引の際の真空度は10mmHg以下が望ましい。メッキ液の金属濃度は、0.001〜0.02Mの範囲で選ぶのが好ましく、錯形成剤は、アンモニアとEDTAとの組合せを用いた場合で、EDTAの濃度は0.01〜0.5M、アンモニアの濃度は5〜10Mの範囲で選ぶのが好ましい。
無電解メッキの際のメッキ液の温度は、通常室温から90℃の範囲であるが、一定以上の反応速度を維持し、しかもアンモニアの蒸散や薬剤の分解を少なくする観点から40〜70℃、中でも50〜60℃の範囲が好ましい。メッキ時間はメッキ液温度や膜厚にもよるが、1〜6時間の範囲で選ばれる。
このような複合膜の一連の作製プロセスの一例の模式図を図2に示す。
水素分離に用いる膜の形状は、平板状、チューブ状のものが用いられる。平板状の膜では、隔膜として気体の供給槽と水素を取り出す槽を分ける装置として組み込まれ、ガス供給槽のガス圧は、水素取り出し槽よりも大きくする。また、平板膜を積層してガス供給槽、水素取り出し槽としたモジュール装置によりスケールアップが可能である。チューブ状の膜では、ガス供給側と水素透過側がチューブ部の内側でも外側でも良い。この場合もガス供給側の圧を透過側よりも大きくすることで透過が達成される。チューブ膜もこれを何本か束ねたモジュールを用いることで、スケールアップを計ることができる。
供給ガスは、水素を含むものであれば特に問題はないが、通常、メタンや天然ガス、炭化水素を高温で水蒸気と反応させた水蒸気改質ガス、製鉄工程から副生するガス、バイオマスから微生物や化学反応により生成する水素、水の電気分解により生成するガスなどが用いられる。また、半導体製造工程で用いる高純度ガスを得るために、膜を通して水素を精製するため、あるいは燃料電池に供給するための水素の高純度化工程に本水素分離法が用いられる。このようなガスは、コンプレッサーにより加圧して膜に供給される.
水素分離における水素を含む気体の圧力は、水素分離膜の内圧と外圧の差で規定される。本発明における分離方法では、膜の厚さにもよるが、通常その差圧は、0.1気圧以上、10気圧以下、好ましくは1気圧〜5気圧の差圧が用いられる。差圧が0.1気圧以下では、有効な水素透過が起こらず、また差圧が10気圧以上では、負荷により膜が破損される恐れがある。
水素の分離における温度は、常温から800℃が用いられるが、好ましくは、20℃以上、650℃以下が用いられる。低温での水素脆性が著しいパラジウムでも、250℃以下の温度条件でも使用が可能である。一方、高温では650℃を越えると多孔質体や多孔質基材にセラミックスを用いた場合、このセラミックスと水素透過性金属又は合金との熱膨張係数の違いが著しくなり、剥離によるガスの漏れが起こりやすくなる。このような膜ならびにガスの温度を一定に保つため、水素分離膜は恒温炉の中に設置して使用するのがよい。
本発明方法によれば、水素分離膜における水素透過性金属又は合金は、微細粒子を成層してなる多孔質体の微細孔隙に充填され、保護され、しかもこの微細孔隙のサイズはナノサイズオーダーと極めて小さいので、水素透過性金属又は合金に水素脆性による欠陥が生じたとしても欠陥のサイズが極めて小さく、脆性による重大な影響を受けることなく広範囲の温度及び圧力条件下で操作することが可能になる。
さらに、水素分離膜として、上記多孔質体の微細孔隙に水素透過性金属又は合金を充填してなる水素透過性中間材を中間層とし、この両側に多孔質基材及び多孔質保護材を被覆させて成層してなる複合膜を用いることで、従来表面に露出していた水素透過性金属又は合金の膜が保護され、水素の分離に際して、表面からのはがれや損傷を受け難く、また、薄膜化しても、性能に影響する程の機械的な欠陥やピンホールを生じることのなく、無電解メッキの可能な水素透過性金属又は合金の使用量が節減されるという利点がある。
本発明方法に用いる水素分離膜は、前記した複合膜、中でも、α−アルミナ等のセラミックスからなる多孔質基材、該セラミックスより粒子径の小さい、γ−アルミナ等のセラミックスからなる微細粒子に無電解メッキの可能な金属を担持してなる金属担持微細粒子を成層してなる多孔質体の微細孔隙に水素透過性金属又は合金を充填してなる水素透過性中間材及び(C)多孔質保護材が順に成層された複合膜からなるのがよく、無電解メッキの可能な水素透過性金属又は合金は、Pd、Pd−Ag合金、Pd−Au合金がよい。
本発明方法においては、水素分離膜における、水素透過側のガス圧と水素含有混合ガス供給側のガス圧との差圧を0.1〜10気圧とし、20℃〜650℃で水素を選択的に透過させるようにするのがよい。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、%は質量基準による。
製造例1
膜基材としてαアルミナ製多孔質チューブ(内径1.6mm、外径2.0mm、多孔質部分10cmを残して両端をガラスエナメルで被覆)を用い、水の侵入を防ぐため両端をキャップした。この多孔質チューブを、4%のγ−アルミナ微粒子(粒子サイズ:2−20nm)を1.5%のPVAと0.4%のポリエチレングリコールを含む水に分散したゾル20mlが入ったガラス管に入れ、該ゾルに12秒間浸漬したのち、毎秒1cmの速さで引き上げ、40℃、湿度60%に調整した恒温恒湿チャンバー内で乾燥し、その後、600℃で3時間焼成した。
得られた、γ−アルミナ微粒子を被覆した多孔質チューブを、内部を真空吸引しながら酢酸パラジウムの0.6%クロロホルム溶液30mlに15分間浸し、風乾した後、2Mヒドラジンを含む0.2Mアンモニア水溶液に15秒間浸し、パラジウム種核を多孔質チューブの表面に析出させ、表面が微細なパラジウム微粒子の析出により黒色に変化した管とし、このチューブを水で洗浄し110℃で乾燥した。
この一連の操作を5回繰り返し、γ−アルミナ表面層にパラジウムの種核を析出させた多孔質チューブを得た。その断面の電子顕微鏡写真を図3に示す。
この多孔質チューブを、ガラスチューブに入れた、γ−アルミナ微粒子を4%濃度で水に分散させた30mlのゾルに、該多孔質チューブ内部を真空吸引しながら10秒浸漬し、毎秒1cmの速さで引き上げ、乾燥後、600℃で3時間焼成した。室温に戻す際に水素を毎分20ml流し還元雰囲気とした。この水素雰囲気下での処理により、パラジウム種核は金属パラジウムに還元された。
このようにして得た多孔質チューブを、10mMの酢酸パラジウム、15mMのEDTA、4Mのアンモニア、10mMのヒドラジンを含む水溶液30mlに浸漬し、チューブ内部を真空吸引しながら60℃で20分間無電解メッキを施したのち、水洗し、110℃で一夜乾燥した。この操作により、種核の存在する中間層に優先的にパラジウムのメッキが施された。このようにして中間層にパラジウムが無電解メッキされたチューブ状膜を得た。
以上のようにして作製されたチューブ状の膜を切断し、その管壁断面の電子顕微鏡写真を撮影するともに、撮影断面の元素分布をエネルギー分散型X線法により分析した結果、金属成分としてパラジウムとアルミニウムが検出された。
この電子顕微鏡写真を図4に示す。また、パラジウムとアルミニウムの元素分布状態を図5に示す。図5より明らかなようにパラジウムがγ―アルミナ微粒子の中間層に分布することが確認された。
製造例1で作製したチューブ状膜による水素透過試験を図6に示すような水素分離試験装置を用いて行った。すなわち、一端を閉じたチューブ状膜をガス導入口と排出口を持つシリンダーに固定し、100℃に保った環状電気炉内に設置し、チューブ状膜の外側より水素と窒素の等モル混合ガスを加圧下で送り、該混合ガスの圧力を変えて、膜を透過した気体の流量を石けん膜流量計により測定した。ガス透過速度と膜内外のガス圧の差すなわち差圧との関係を図7にグラフで示す。
電気炉の温度を300℃、200℃、150℃、50℃に変えた以外は実施例1と同様にして水素透過実験を行った。水素透過速度と差圧との関係を図8にグラフで示す。
電気炉の温度を50℃に変え、混合ガス(2気圧)を連続的に供給し、供給開始から3,4,5,6,18,24時間経過した時点における水素透過速度を測定した以外は実施例1と同様にして水素透過試験を行った。水素透過速度と水素供給経過時間との関係を図9にグラフで示す。
製造例1で作製したチューブ状の膜を用い、該膜の内外の差圧を4気圧に保ち、電気炉の温度を50℃、100℃、150℃,200℃,300℃と変化させた以外は実施例1と同様にして水素透過試験を行った。水素透過速度と温度との関係を図10にグラフで示す。
水素分離膜の一例及びその縦断面構造を示す模式図。 水素分離膜の製造法における一連の作製プロセスの一例を示す模式図。 γ−アルミナ表面層にパラジウムの種核を析出させた多孔質チューブ断面の電子顕微鏡写真。 中間層にパラジウムを無電解メッキした管の断面の電子顕微鏡写真。 パラジウム、アルミナの元素分布状態を示す分析図。 水素分離試験装置の一例を示す模式図。(実施例1)。 ガス透過速度と差圧との関係を示すグラフ。(実施例1) 水素透過速度と差圧との関係を示すグラフ。(実施例2) 水素透過速度と水素供給経過時間との関係を示すグラフ。(実施例3) 水素透過速度と温度との関係を示すグラフ。(実施例4)

Claims (15)

  1. 平均粒子径1〜50nmの微細粒子を成層してなる多孔質体の微細孔隙に水素透過性金属又は合金を無電解メッキにより充填してなる水素分離膜に、水素含有混合ガスから水素を選択的に透過させることを特徴とする水素分離方法。
  2. (A)多孔質基材、(B)平均粒子径1〜50nmの微細粒子を成層してなる多孔質体の微細孔隙に水素透過性金属又は合金を無電解メッキにより充填してなる水素透過性中間材及び(C)多孔質保護材が順に成層された複合膜からなる水素分離膜に、水素含有混合ガスから水素を選択的に透過させることを特徴とする水素分離方法。
  3. 微細粒子がセラミックスからなる請求項1又は2記載の水素分離方法。
  4. 多孔質基材がセラミックス又は金属からなる請求項記載の水素分離方法。
  5. セラミックスが酸化物、窒化物及び炭化物の中から選ばれた少なくとも1種である請求項3又は4記載の水素分離方法。
  6. 微細粒子がアルミナ、ジルコニア、チタニア、ニオビア、セリア、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化モリブデンの中から選ばれた少なくとも1種からなる請求項3又は4記載の水素分離方法。
  7. 多孔質基材がステンレス鋼、α−アルミナ、コージェライト、ムライト、窒化ケイ素及び炭化ケイ素の中から選ばれた少なくとも1種からなる管又は基板である請求項記載の水素分離方法。
  8. 多孔質基材が、平均細孔径0.05〜20μmのものである請求項記載の水素分離方法。
  9. 多孔質保護材が、多孔質基材よりも小さい平均細孔径を有するものである請求項記載の水素分離方法。
  10. 水素透過性金属又は合金が、無電解メッキの可能なものの中から選ばれた少なくとも1種である請求項1ないし9のいずれかに記載の水素分離方法。
  11. 無電解メッキの可能な水素透過性金属又は合金が、Pd、Pd−Ag合金、Pd−Au合金である請求項10記載の水素分離方法。
  12. 水素分離膜における、水素透過側のガス圧と水素含有混合ガス供給側のガス圧との差圧が0.01〜100気圧である請求項1ないし11のいずれかに記載の水素分離方法。
  13. 差圧が0.1〜10気圧である請求項12記載の水素分離方法。
  14. 水素を選択的に透過させるのを、0℃〜800℃の温度範囲で行う請求項1ないし13のいずれかに記載の水素分離方法。
  15. 温度範囲が20℃〜650℃である請求項14記載の水素分離方法。
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