JP5273496B2 - 水素分離用金属細管及びその製造方法 - Google Patents
水素分離用金属細管及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5273496B2 JP5273496B2 JP2006354227A JP2006354227A JP5273496B2 JP 5273496 B2 JP5273496 B2 JP 5273496B2 JP 2006354227 A JP2006354227 A JP 2006354227A JP 2006354227 A JP2006354227 A JP 2006354227A JP 5273496 B2 JP5273496 B2 JP 5273496B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- metal
- hydrogen
- hydrogen separation
- layer
- tubular
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
- Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
Description
パラジウム系膜を形成する製法としていろいろな製法が報告されているが、多孔性セラミクスや多孔質ガラス、多孔性陶器または金属製フィルタなどの無機多孔体を用い、その無機多孔体表面にパラジウム系膜を形成させる製法に関する報告が多い(例えば、特許文献1)。
その点、特許文献3には、外径3mmのフッ素樹脂チュ−ブを基体とし、その表面をサウンドペ−パで粗面化した後、水素分離膜を形成し、次いでフッ素樹脂チュ−ブを熱収縮させて除去し、パラジウム金属細管を得る技術が報告されており(とくに特許文献3の実施例)、前記問題点がかなり解消されているということができる。すなわち、この特許文献3に報告されているパラジウム金属細管は前記中空糸における多孔体に相当するものがないという点で意味のあるパラジウム金属細管であり、製造コストの点でも改善された。しかし、このパラジウム金属細管の外径(3mm程度以上)はかなり細くなっているものの、満足することが出来るほどの細さではない。また、水素透過性を上げるためには管厚を出来るだけ薄くする必要があり、機械的強度の理論から、細管の外径を細くするほど同じ圧力差に耐えうる管厚をより薄くできることが知られているにも関わらず、管の外径が1mm以下で、管厚が80μm未満である水素分離用金属細管は無かった。この大きな原因の一つとして、本来の水素選択透過特性を有する、無欠陥の水素分離用細管を効率よく製造する技術がこれまでは無かったことが挙げられる。
そのうえ、実用的な水素分離膜を形成させるためにフッ素樹脂チュ−ブ表面をサウンドペ−パで粗面化しまた、熱収縮後とはいえども水素分離膜層と部分的に接着しているフッ素樹脂チュ−ブを引き抜いて使い捨てにするという、操作上および資源上における問題が多く、水素分離層への物理的・化学的ダメージも大きい工程を必要とするという不都合さもある。そして、形成されたパラジウム分離膜がどの程度の水素透過能と水素選択能を有しているか記載されていないので、水素分離能は不明である。
請求項3の発明は、焼失性管状基材表面に焼失性材料と水素分離機能を有する金属層を構成する金属の金属核前駆体を含む混合物の層を形成する工程D、工程Dの層の表面に水素分離機能を有する金属層を形成させて管状物を得る工程E、及び工程Eの管状物から前記管状基材及び焼失性材料を焼失させる工程Fを少なくとも有することを特徴とする水素分離用金属細管の製造方法である。
請求項4の発明は、溶出性管状基材表面に溶出性材料と水素分離機能を有する金属層を構成する金属の金属核前駆体を含む混合物の層を形成する工程D、工程Dの層の表面に水素分離機能を有する金属層を形成させて管状物を得る工程E、及び工程Eの管状物から前記管状基材及び溶出性材料を溶出させる工程Fを少なくとも有することを特徴とする水素分離用金属細管の製造方法である。
請求項5の発明は、金属核前駆体含有層の形成後、表面に水素分離機能を有する金属層を形成させる前に、金属核前駆体含有層が形成された管状基材に対し熱処理及び/又は還元処理を施すことを特徴とする請求項3又は4に記載の水素分離用金属細管の製造方法である。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により製造された水素分離用金属細管であって、管の外径が1mm以下で、管厚が80μm未満であることを特徴とする水素分離用金属細管である。
請求項7の発明は、水素のヘリウムに対する分離係数αが1000以上であることを特徴とする請求項6に記載の水素分離用金属細管である。
(1)水素分離機能を有する金属層を構成する金属の金属核前駆体を含む管状基材を形成させ、金属からなる水素分離層の下地となる金属核を基材表面に形成させる点、
(2)その表面に、水素分離機能を有する金属あるいは合金からなる層を形成させる点、及び
(3)管状基材を除去する点
からなる方法に特徴がある。例えば、管状とすることができる焼失性材料を選び、その焼失性材料と金属核前駆体とを含む混合物から、金属核前駆体を含む焼失性管状基材を形成するので、金属核前駆体が均一に分散され、しかも操作上の簡便さの点でも有利である。そのうえ、水素分離層の製造に必要な時間も短く、コストも低減化されることになる。しかも、その分離層は水素分離性を損なわない範囲内で薄く、欠陥の無い緻密な層となるので、水素透過能や水素分離能が優れた層が形成できる点、などで特徴付けられる。
また、次のような金属細管の製法がある。
(1)管状基材表面に金属核前駆体を含有する層を形成させ、金属からなる水素分離層の下地となる金属核を基材表面に形成させる点、
(2)その層の表面に、水素分離機能を有する金属あるいは合金からなる層を形成させる点、及び
(3)管状基材を除去する点
からなる方法に特徴がある。例えば、焼失性管状基材を選び、その管状基材に焼失性材料、金属核前駆体、および溶媒から少なくとも構成される溶液を被覆操作することによって、管状基材表面に比較的多量の金属核前駆体が均一に分散され、均一な厚みの層を形成させることができるので、金属からなる水素分離層の下地となる金属核の分散が均一で量も多く、そのうえ、水素分離層の製造に必要な時間も短く、コストも低減化されることになる。しかも、その分離層は水素分離性を損なわない範囲内で薄く、欠陥の無い緻密な層となるので、水素透過能や水素分離能が優れた層が形成できる点、などで特徴付けられる。
また、溶出性管状基材を選び、その管状基材に溶出性材料、金属核前駆体、および溶媒から少なくとも構成される溶液を用い、上記焼失性材料を用いた場合と同様な操作を施し、上記焼失性材料を用いた場合と同様な特徴のある優れた水素分離用金属細管を得ることができる。なお(1)において、管状基材には中空管状基材が好ましいが、中実管状基材でも使用可能である。
本発明の金属細管は、その管の外径が1mm以下で、管厚が80μm未満である。管の外径が0.9mm以下で、管厚が80μm以下である金属細管でも、高い水素透過能及び高い水素分離能を有する。さらに、管の外径が0.7mm以下で、管厚が50μm以下である金属細管でも、高い水素透過能及び高い水素分離能を有する。本発明では、管の外径が0.7mm以下で、管厚が30μm以下である金属細管でも、高い水素透過能及び高い水素分離能を有する。
金属細管の長さは特に制限されないのであり、本発明の金属細管の出発原料である中空糸あるいは中実糸の長さに依存することになる。本発明は、数cmから数m程度の金属細管とすることができる。
その溶出性無機セラミックス、溶出性無機高分子あるいは溶出性有機高分子としては、具体的には、シリカ、多成分ガラス、ポリカルボシラン、ポリメチルシラン、ポリ(ビニールアルコール)、ポリ(ビニールブチラール)、ポリ(ビニールピロリドン) 、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(2,6−ジメチル−4−フェニレンオキサイド) 、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(エーテルスルホン) 、ポリオレフィン、およびポリスチレン からなる群から選ばれた一種または二種以上を使用することが好ましいが、これら無機セラミックス、無機高分子あるいは有機高分子に限定されない。
また、金属核前駆体および焼失性材料を含有する溶液あるいは分散液の代わりに、金属核前駆体および溶出性材料を含有する溶液あるいは分散液を用いてもよい。その溶出性材料の具体例は前記例示されたものの中から選択すればよい。
金属核前駆体としては、たとえばパラジウムの化合物としては、酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、パラジウム塩化アンモニウム、臭化パラジウム、塩化パラジウム、パラジウム硝酸ジアミン、硝酸パラジウム、水酸化パラジウム、パラジウムエチレンジアミン硝酸塩、硝酸パラジウム水和物、パラジウムオキサレート、硫酸パラジウム水和物、およびパラジウムテトラアミン二硝酸塩からなる群から選ばれた一種または二種以上を使用することが好ましいが、これら化合物に限定されない。
白金の化合物としては、白金アセチルアセトナートまたは塩化白金のいずれか一つ、あるいは両方が好ましいが、これら化合物に限定されない。
銅の化合物としては、酢酸銅、酢酸銅水和物、銅アセチルアセトナート、臭化銅、炭酸銅、塩化銅、塩化銅水和物、クエン酸銅、酪酸銅、塩化2アンモニウム銅水和物、燐酸銅水和物、フッ化銅、グルコン酸銅、ヨウ化銅、ナフテン酸銅、硝酸銅水和物、オレイン酸銅、フタル酸銅、硫酸銅、テレフタル酸銅水和物、およびチオシアン酸銅からなる群から選ばれた一種または二種以上を使用することが好ましいが、これら化合物に限定されない。
銀の化合物としては、酢酸銀、銀アセチルアセトナート、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、およびチオシアン酸銀からなる群から選ばれた一種または二種以上を使用することが好ましいが、これら化合物に限定されない。
バナジウムの化合物としては、無水バナジン酸、塩化バナジウム、ナフテン酸バナジウム、酸化硫酸バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、酸化バナジウムアセチルアセトナート、およびシュウ酸バナジル水和物からなる群から選ばれた一種または二種以上を使用することが好ましいが、これら化合物に限定されない。
上記溶液あるいは分散液の組成は、用いる金属核前駆体および焼失性材料又は溶出性材料等の種類やその量により変動するので一概に規定できないが、好ましい溶液組成としては、0.001-5wt%の金属核前駆体、0.5-20wt%の焼失性材料又は溶出性材料、75-99wt%の有機溶媒から構成されるのであるが、本発明ではこの組成範囲に限定されない。ここで、焼失性材料が焼失性高分子の前駆体あるいは出発原料でもよい。
上記溶液としては、とくに粘度が1〜20センチポアズの溶液を用いると、表面が滑らかで均一厚さの塗布層を剥離することなく得ることができるので好ましい。さらに2〜10センチポアズの溶液を用いることが好ましい。
上記記載の塗布・含侵法は公知の方法であり、それらの方法を実際に適用するときには、とくに制限されない。具体的には、たとえば、管状基材を上記溶液に1-600秒間ディップした後、定速(0.1〜10cm/秒)で引き上げることが望ましい。
引き続いて、その管状基材を加熱処理し、管状基材表面に金属核前駆体含層が形成される。加熱処理も管状基材表面に金属核前駆体含層が形成される限り、とくに限定されない。
本発明では、熱処理した後にさらに還元処理を施すことが好ましい。しかし、前記熱処理を施さずに前記還元処理を施しても有利な結果が得られる。前記還元処理は金属核前駆体に由来する金属核を還元する条件であれば、その手段や条件は制限されない。具体的には、水蒸気流中での還元処理が好ましい。
前記管状基材に水素分離機能を有する金属あるいは合金からなる層を積層する方法は、所期の目的を達成できる範囲内である限りとくに制限されない。具体的には、CVD法やスパッタリング法、電解メッキ法、無電解メッキ法等によって積層することができる。それらの方法の中では無電解メッキ法が好ましい。
これらの方法を用いて水素分離機能を有する金属あるいは合金からなる層を積層する方法は公知の方法を適用すればよく、とくに制限されない。
実質的に金属核前駆体化合物を含有する層は、均一な厚さの層であり、しかも操作性も改善された。また、水素分離機能を有する金属あるいは合金からなる層も均一な厚さの層である。
該管状基材表面のパラジウム含有高分子薄膜層上にパラジウム又はパラジウム合金の薄膜層を形成するために採用する前無電解メッキ方法については、特に制限されないのであり、この分野で使用される方法を適宜利用することができる。使用する管状基材の種類、形状、希望する性能等に応じて適宜選択すればよい。また、無電解メッキ法に他の方法、たとえば電気メッキ法と組み合わせて適用してもよい。
具体的なメッキ条件についても、特に制限されないのであり、目的とするパラジウム又はパラジウム合金の薄膜層を形成可能な公知のメッキ浴を使用して、公知の条件に従ってメッキを行えばよい。非導電性の管状基材を用いる場合には、例えば、公知の方法に従って無電解メッキ用の触媒を付与した後、無電解メッキ法によってパラジウム又はパラジウム合金の薄膜層を形成すればよい。
形成されるメッキ膜層の密着性を向上させるよう、メッキ膜層を形成する際に、メッキ液を多孔質体の片方の面から細孔に圧入する方法等を採用することができる。
具体的には、メッキ温度20-80℃、メッキ時間0.05-3時間の条件下において、pHが3-12の市販パラジウムメッキ浴(パラトップ、(株)奥野工業)を用いる方法を例示できる。
前無電解メッキ法によって形成される水素分離機能を有する金属あるいは合金からなる層の厚さについては、10〜80μm程度であることが好ましく、10〜30μm程度であることがより好ましい。該薄膜の膜厚が薄すぎると水素の選択分離性能が不十分となり、自立性の点でも不安が残る。一方、膜厚が厚すぎると水素透過性が低くそれだけ膜面積が必要になり、原料コストなどの面で経済性が失われるので好ましくない。
さらに、前記均一に分散された金属核前駆体を含有する溶出性管状基材、その表面に水素分離層を構成する金属層を形成させた管状物を溶出処理することも、本発明特徴のひとつである。また、前記溶出性材料からなる管状基材、金属核前駆体を含有する溶出性材料からなる層、その層表面に水素分離層を構成する金属層を形成させた管状の積層体を、溶出処理することも、本発明特徴のひとつである。この溶出処理により、前記積層体から溶出性材料は溶出し、除去され、水素分離複合体が製造できる。
この水素分離複合体の形状は、用いる管状基材、前無電解メッキ法により形成されたメッキ膜層の厚さなどにより変動するが、パラジウムあるいはパラジウム合金を含む層はピンホールが存在するという構造的な欠陥がなく、優れた水素分離機能を有する。
α=PH2/PHe
式中、PH2は水素の透過流束を示し、PHeはヘリウムの透過流束を示す。なお、最も分子サイズの小さなヘリウムの透過流束は、通常、窒素の数倍程度大きいため、水素の窒素に対する分離係数は、ここに示した水素のヘリウムに対する分離係数の数倍程度になる。前記水素の透過流束は金属細管の一方の面から、所定温度、所定差圧の水素を供給し、他方の面から透過してくる水素の透過流束を測定する。続いて、水素を完全に系内から排除した後に水素以外のガス例えば、上述のヘリウムや窒素を導入し、同様の条件下で測定する。
ここで、水素分離機能を有する金属あるいは合金からなる層を形成する方法は、上記のとおり公知の方法を利用できるのであるが、その中でも無電解メッキ法が好ましい。無電解メッキ処理を施す条件は前記と同様の方法を適用できる。
水素分離機能を有する金属あるいは合金からなる層、とくに無電解メッキ法によって形成されるパラジウム又はパラジウム合金の管厚については、10〜80μm程度であることが好ましく、10〜50μm程度であることがより好ましく、10〜30μm程度であることがさらに好ましい。
具体的な条件は、メッキ温度20-80℃、メッキ時間0.1-20時間の条件下において、pHが3-12の市販パラジウムメッキ浴(パラトップ、(株)奥野工業)にディップし、次いで、得られたパラジウム細管を50-300℃で0.5-20時間、静止空気中で乾燥する条件を例示できる。
このようにして製造された水素分離用金属細管の水素透過特性を、測定温度200−900℃、より好ましくは300−600℃、差圧0−1000kPa、より好ましくは0−300KPaの条件下で測定した。
この水素分離体は、水素混合ガスからの水素分離、水素製造反応、シフト反応、水素化反応、脱水素化反応、燃料電池への応用に適している。
ところが、本発明ではそれらの問題点が解消され、均一な厚みを有する水素分離用金属細管が得られる。
酢酸パラジウム、ポリ(2,6−ジメチル−4−フェニレンオキサイド)(PPO)及びクロロホルムのそれぞれを所定量秤量し、一部のクロロホルム中に酢酸パラジウム及びPPOを加え、攪拌・混合し、次いで残部のクロロホルムを加え、0.5wt%の酢酸パラジウム、15wt%のPPO、74.5wt%のクロロホルムから構成されるパラジウム含有高分子溶液を調製した。
(実施例1a)水素分離用金属細管の製造原料の調製
外径0.6mm、膜厚80μmのポリイミド中空糸を蒸留水で洗浄・乾燥後、この中空糸を参考例1の活性化用溶液に5秒間ディップした後、急速に引き上げた。その表面に薄膜が付着した中空糸を、室温下2時間、静止空気中で乾燥させた後、昇温速度毎分5℃で300℃まで昇温し、その温度で0.5時間保持することによって、熱安定化処理を施した。その処理を施した中空糸を、メッキ温度60℃、メッキ時間6時間の条件下において、pHが約7の市販パラジウムメッキ浴(パラトップ、(株)奥野工業)を用いて前無電解メッキ処理し、水素分離用金属細管の製造原料を得た。
実施例1aで得た前無電解メッキ処理を施された水素分離用金属細管の製造原料を、水素透過測定用の治具にガラスからなるシール材とともに取り付け、静止空気中において、昇温速度毎分5℃で800℃まで昇温し、その温度で0.5時間保持することによって熱焼失処理を施した。次いで、降温速度毎分5℃で室温まで降温し、金属細管を得た。
(実施例1c)水素分離用金属細管の調製
実施例1bで得た金属細管を、再度、メッキ温度60℃において、pHが約7の市販パラジウムメッキ浴(パラトップ、(株)奥野工業)にディップし、10分メッキ処理した後、引き上げ、金属細管を得た。得られたパラジウム金属細管を80℃で3時間、静止空気中で乾燥させ、水素分離用金属細管(パラジウム金属細管)を得た。
パラジウム金属細管の形態を図1、図2(断面SEM写真)で示す。 明らかに、外径約0.7mm、約23μmの均質厚みのピンホールの無いパラジウム自立細管が調製されたことがわかる。なお、この図1、及び図2の断面SEM写真を取るためには、作製した金属細管をカッターで切り取り標本を作製する。その際、金属細管に応力が作用し、金属細管の実際の形を変形させることがある(例えば、図1の管断面部分、図2の管厚表面の左側の部分など)(以下、同様)。
パラジウム金属細管の水素選択透過特性を測定温度600℃、水素圧力差100kPaで評価した。その結果、例えば、測定温度600℃、水素圧力差100kPaにおいて、水素透過流束は0.108mol/(m2 s)で、水素以外のガス、例えば、ヘリウムは測定限界以下であり、水素のヘリウムに対する分離係数αは少なくとも5000以上で、非常に高い水素選択透過性を有していることがわかった。
外径0.4mm、膜厚80μmのポリイミド中空糸を外径5mmのチューブ上に巻き付けた他は実施例1aと同様な操作を行い、コイル状水素分離用金属細管の製造原料を得た。
実施例2aで得た前無電解メッキ処理を施された水素分離用コイル状金属細管の製造原料を、水素透過測定用の治具にガラスからなるシール材とともに取り付け、静止空気中において、昇温速度毎分5℃で800℃まで昇温し、その温度で0.5時間保持することによって熱焼失処理を施した。次いで、降温速度毎分5℃で室温まで降温し、コイル状金属細管を得た。
(実施例2c)水素分離用コイル状金属細管の調製
実施例2bで得た金属細管を、再度、メッキ温度60℃において、pHが約7の市販パラジウムメッキ浴(パラトップ、(株)奥野工業)にディップし、10分メッキ処理した後、引き上げ、金属細管を得た。得られたパラジウム金属細管を80℃で3時間、静止空気中で乾燥させ、水素分離用コイル状金属細管(パラジウム金属細管)を得た。
コイル状パラジウム金属細管の形態を図3(外観写真)と図4、図5(断面SEM写真)で示す。 明らかに、外径約0.5mm、約26μmの均質厚みのピンホールの無いコイル状パラジウム自立細管が調製されたことがわかる。
コイル状パラジウム金属細管の水素選択透過特性を測定温度400−600℃、水素圧力差0−300kPaで評価した。その結果、例えば、測定温度600℃、水素圧力差100kPaにおいて、水素透過流束は0.095mol/(m2 s)で、水素以外のガス、例えば、ヘリウムは測定限界以下であり、水素のヘリウムに対する分離係数αは少なくとも5000以上で、非常に高い水素選択透過性を有していることがわかった。
(比較例1a)水素分離用金属細管の製造原料の調製
外径1.8mmの熱収縮性テフロンチューブを基材として用いて、実施例1aと同様な操作を行ったに、昇温速度毎分5℃で350℃まで昇温し、その温度で0.5時間保持することによってテフロンチューブ基材を熱収縮させ、引き抜くことによって水素分離用金属細管の製造原料を得た。
比較例1aで得た前無電解メッキ処理を施された水素分離用金属細管の製造原料を、水素透過測定用の治具にガラスからなるシール材とともに取り付け、静止空気中において、昇温速度毎分5℃で800℃まで昇温し、その温度で0.5時間保持することによって熱処理を施した。次いで、降温速度毎分5℃で室温まで降温し、金属細管を得た。
(比較例1c)水素分離用金属細管の調製
比較例1bで得た金属細管を、再度、メッキ温度60℃において、pHが約7の市販パラジウムメッキ浴(パラトップ、(株)奥野工業)にディップし、10分メッキ処理した後、引き上げ、金属細管を得た。得られたパラジウム金属細管を80℃で3時間、静止空気中で乾燥させ、水素分離用金属細管(パラジウム金属細管)を得た。その管は外径約1.8mm、約37μm厚みであり、断面構造の疎なパラジウム自立細管であった
パラジウム金属細管の水素選択透過特性を測定温度600℃、水素圧力差100kPaで評価した。その結果、水素透過流束は0.032mol/(m2 s)であったが、水素のヘリウムに対する分離係数αは91と、水素選択透過性は低いことがわかった。なお、熱収縮性テフロンチューブを用いて同様な操作を行うことによって水素分離用金属細管を多数作製したが、いずれも、水素のヘリウムに対する分離係数αが100以下と水素選択透過性は低かった。
パラジウム金属細管の形態を図6(外観写真)と図7(断面SEM写真)で示す。 外径約1.8mm、約37μm厚みであり、断面構造内に多数の空洞が存在し、引き抜いた際のダメージと考えられる内表面構造の疎なパラジウム自立細管が調製されており、このために水素選択透過性を高めることが困難であったと考えられた。
(1)管の外径が1mm以下で、管厚が80μm未満であることを特徴とする金属細管。
(2)管の外径が1mm以下で、管厚が80μm未満であることを特徴とするパラジウム基金属細管。
(3)管の外径が0.7mm以下で、管厚が80μm未満であることを特徴とする水素分離用金属細管。
(4)均一に分散された金属核前駆体を含む焼失性管状基材表面に水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を焼失させて得ることを特徴とする上記(1)記載の金属細管。
(5)均一に分散された金属核前駆体を含む焼失性管状基材表面に水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を焼失させて得ることを特徴とする上記(2)記載のパラジウム基金属細管。
(6)均一に分散された金属核前駆体を含む焼失性管状基材表面に水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を焼失させて得ることを特徴とする上記(3)記載の水素分離用金属細管。
(7)均一に分散された金属核前駆体を含む溶出性管状基材表面に水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を溶出させて得ることを特徴とする上記(1)記載の金属細管。
(8)均一に分散された金属核前駆体を含む溶出性管状基材表面に水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を溶出させて得ることを特徴とする上記(2)記載のパラジウム基金属細管。
(9)均一に分散された金属核前駆体を含む溶出性管状基材表面に水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を溶出させて得ることを特徴とする上記(3)記載の水素分離用金属細管。
(10)金属核前駆体を含む層を表面に形成した焼失性管状基材表面に、水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を焼失させて得ることを特徴とする上記(1)記載の金属細管。
(11)金属核前駆体を含む層を表面に形成した焼失性管状基材表面に、水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を焼失させて得ることを特徴とする上記(2)記載のパラジウム基金属細管。
(12)金属核前駆体を含む層を表面に形成した焼失性管状基材表面に、水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を焼失させて得ることを特徴とする上記(3)記載の水素分離用金属細管。
(13)金属核前駆体を含む層を表面に形成した溶出性管状基材表面に、水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を溶出させて得ることを特徴とする上記(1)記載の金属細管。
(14)金属核前駆体を含む層を表面に形成した溶出性管状基材表面に、水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を溶出させて得ることを特徴とする上記(2)記載のパラジウム基金属細管。
(15)金属核前駆体を含む層を表面に形成した溶出性管状基材表面に、水素分離機能を有する金属層を形成させ、次いで管状基材を溶出させて得ることを特徴とする上記(3)記載の水素分離用金属細管。
Claims (7)
- 水素分離機能を有する金属層を構成する金属の金属核前駆体を含む混合物から焼失性管状基材を形成する工程A、工程Aの基材表面に水素分離機能を有す金属層を形成させる工程B、及び工程Bの管状物から前記焼失性材料を焼失させる工程Cを少なくとも有することを特徴とする水素分離用金属細管の製造方法。
- 水素分離機能を有する金属層を構成する金属の金属核前駆体を含む混合物から溶出性管状基材を形成する工程A、工程Aの基材表面に水素分離機能を有す金属層を形成させる工程B、及び工程Bの管状物から前記溶出性材料を溶出させる工程Cを少なくとも有することを特徴とする水素分離用金属細管の製造方法。
- 焼失性管状基材表面に焼失性材料と水素分離機能を有する金属層を構成する金属の金属核前駆体を含む混合物の層を形成する工程D、工程Dの層の表面に水素分離機能を有する金属層を形成させて管状物を得る工程E、及び工程Eの管状物から前記管状基材及び焼失性材料を焼失させる工程Fを少なくとも有することを特徴とする水素分離用金属細管の製造方法。
- 溶出性管状基材表面に溶出性材料と水素分離機能を有する金属層を構成する金属の金属核前駆体を含む混合物の層を形成する工程D、工程Dの層の表面に水素分離機能を有する金属層を形成させて管状物を得る工程E、及び工程Eの管状物から前記管状基材及び溶出性材料を溶出させる工程Fを少なくとも有することを特徴とする水素分離用金属細管の製造方法。
- 金属核前駆体含有層の形成後、表面に水素分離機能を有する金属層を形成させる前に、金属核前駆体含有層が形成された管状基材に対し熱処理及び/又は還元処理を施すことを特徴とする請求項3又は4に記載の水素分離用金属細管の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により製造された水素分離用金属細管であって、管の外径が1mm以下で、管厚が80μm未満であることを特徴とする水素分離用金属細管。
- 水素のヘリウムに対する分離係数αが1000以上であることを特徴とする請求項6に記載の水素分離用金属細管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006354227A JP5273496B2 (ja) | 2006-12-28 | 2006-12-28 | 水素分離用金属細管及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006354227A JP5273496B2 (ja) | 2006-12-28 | 2006-12-28 | 水素分離用金属細管及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008161805A JP2008161805A (ja) | 2008-07-17 |
JP5273496B2 true JP5273496B2 (ja) | 2013-08-28 |
Family
ID=39691982
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006354227A Expired - Fee Related JP5273496B2 (ja) | 2006-12-28 | 2006-12-28 | 水素分離用金属細管及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5273496B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10882278B2 (en) | 2016-08-15 | 2021-01-05 | Ali Akbar Babalou | Palladium composite membrane |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6161054B2 (ja) * | 2012-10-11 | 2017-07-12 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 触媒反応管の製造方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5852449B2 (ja) * | 1977-03-07 | 1983-11-22 | ドネツキイ・ポリテクニチエスキイ・インステイチユ−ト | パラジウム基合金から真空耐漏性,薄肉継目なし毛管を製造する方法 |
JPH0621001B2 (ja) * | 1985-11-27 | 1994-03-23 | 忠弘 大見 | 超高純度水素透過セル |
JP2001145825A (ja) * | 1999-11-24 | 2001-05-29 | Mitsubishi Kakoki Kaisha Ltd | 水素分離膜の製造方法 |
JP4729755B2 (ja) * | 2004-09-06 | 2011-07-20 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 複合膜、その製造方法及び水素分離膜 |
JP4572385B2 (ja) * | 2005-03-25 | 2010-11-04 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 水素精製分離方法 |
JP4759664B2 (ja) * | 2005-06-17 | 2011-08-31 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 水素分離膜及び水素分離方法 |
-
2006
- 2006-12-28 JP JP2006354227A patent/JP5273496B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10882278B2 (en) | 2016-08-15 | 2021-01-05 | Ali Akbar Babalou | Palladium composite membrane |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008161805A (ja) | 2008-07-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1499452B1 (en) | Process for preparing palladium alloy composite membranes for use in hydrogen separation | |
CN102015082B (zh) | 源自纤维素酯的炭中空纤维膜 | |
Ma et al. | Thin composite palladium and palladium/alloy membranes for hydrogen separation | |
Sun et al. | Ultra thin Pd membrane on α-Al2O3 hollow fiber by electroless plating: high permeance and selectivity | |
US8366805B2 (en) | Composite structures with porous anodic oxide layers and methods of fabrication | |
JP5464422B2 (ja) | 水素分離用フィルム状自立金属薄膜およびその製造方法 | |
US8778058B2 (en) | Multilayer sulfur-resistant composite metal membranes and methods of making and repairing the same | |
US8048199B2 (en) | Method of making a leak stable gas separation membrane system | |
JP4559009B2 (ja) | 熱的機械的安定金属/多孔質基体複合膜の形成方法 | |
CN107376661B (zh) | 一种钯基复合膜的制备方法 | |
JP4893992B2 (ja) | 水素分離複合体及びその製造方法 | |
de Moura Silva et al. | Improved hydrogen permeation through thin Pd/Al2O3 composite membranes with graphene oxide as intermediate layer | |
JP5273496B2 (ja) | 水素分離用金属細管及びその製造方法 | |
US9272269B2 (en) | Catalytic hollow fibers | |
EP2554247A1 (en) | Defectless hydrogen separation membrane, production method for defectless hydrogen separation membrane and hydrogen separation method | |
JP2007229616A (ja) | 水素分離複合体及びその製造方法 | |
JP2012152701A (ja) | 水素分離膜、その製造方法及び水素分離方法 | |
JP3174668B2 (ja) | 水素分離膜 | |
JP2013094741A (ja) | 中空糸炭素膜およびその製造方法 | |
JP2009189934A (ja) | 複合体およびその製造方法 | |
JP2016175016A (ja) | 水素分離膜、その製造方法及び水素分離方法 | |
CN111111463B (zh) | 一种具有间隙结构的指型钯基复合膜及制备和应用 | |
CN112334585A (zh) | 用于回收和循环利用组成负载型钯膜的材料的方法 | |
CN117205765A (zh) | 一种制备高通量聚酰胺复合膜的方法 | |
JP2008279329A (ja) | Pd系水素透過膜の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090212 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101216 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110111 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110322 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120104 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120305 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130108 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130404 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20130411 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130430 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130502 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |