JP4570226B2 - 軸筒の連結構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、筆記具の軸筒等、円筒状の軸筒の連結構造に関わる発明であり、特に連結部分に横からの応力(筆記時の手の保持力、筆記作用力)が加わる筆記具の軸筒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より軸の連結構造及び筆記具の軸連結には多くの出願が存在する。例えば、実公平2−23418号(以下(イ)とする。)、実開平2−58982号(以下(ロ)とする。)、実開平3−93186号(以下(ハ)とする。)、特開2000−127668号(以下(ニ)とする。)がある。
【0003】
まず、(イ)は、筆記具における軸筒の連結構造の考案であり、構成は、螺子構成をとっており食付き部を設けて螺子の緩みを防止している。(イ)の構成は、本発明と構成が異なり螺子構成によるものである為、その緩み防止に主題が置かれており、螺子構成自体のガタツキや結合力にたいして課題としていない。
【0004】
(ロ)は、本発明の構成としている軸筒をほぼ中央近くで2分割しており、この2分割部分に手の保持力と、筆記時の筆記作用力が働くものと図から判断する。しかし、本発明の意図するような目的、構成を有しておらず、本発明とは構成を異にしている。
【0005】
(ハ)は、塗布具等の接合軸であり、突条を3条設けており、この突条には、前方に位置する突条ほど多くの切通溝を設けたものである。しかし、本発明の構成とは明らかに異なるものである。即ち、前記切通溝の部分は円筒上の軸周面の一部であり、周面当接であるので横向きの力(手の保持力、筆記時の筆記作用力等)により、撓みが生じやすいものとなっている。
【0006】
(ニ)は、本発明と目的を同一にしている。即ち、前軸と後軸を強固に固定して、筆記使用時に前軸と後軸とが軸方向にがたついたり、径方向に撓んだり(ぐらついたり)しない構成とした筆記具である。しかしながら、本発明とは構成を異にしている。(ニ)の構成は、後軸と嵌合する前軸の嵌合位置に外向突起を同一円周上に4個設けたものを、3条設けている。またその間を前軸の外周面としており、後軸内周面とは当接状態となっていない。従って、強い径方向の力には対応できず、前軸と後軸の嵌合部分で撓みが生じ、筆記時に確実な筆記が得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上の様に手の保持する軸筒の位置で軸筒を2分割にしている筆記具は、手の保持力(握り力)と筆記時の筆記作用力により径方向に撓んだり(ぐらついたり)する。またこの撓みにより軸方向の係止力が弱くなったりする。従って、手の保持する軸筒の位置で軸筒を2分割している筆記具において、手の保持力と筆記時の筆記作用力により径方向に撓んだりせずに強固に嵌合固定可能な軸筒の嵌合構造を提供し、更に、金型作成上も容易でコスト的にも安く、組み立て安い軸筒の嵌合構造を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
円筒状の主軸筒と円筒状の副軸筒であり、主軸筒もしくは副軸筒のどちらか一方の端部に円筒状嵌合用小径部と、前記嵌合用小径部が挿入嵌合される嵌合用内径部を有する軸筒の連結構造において、嵌合用小径部表面に切取面と円周面を3ヶ所でそれぞれ角度120度又は5ヶ所でそれぞれ角度72度ずつ均等に交互に設け、前記嵌合用小径部に対応する様に嵌合用内径部内面にも切取面と円周面とが同数で対応して設けられたことを特徴とする軸筒の連結構造。更に、前記嵌合用小径部表面にはリング状の係止部を設け、前記嵌合用内径部には前記係止部と嵌合固定する係止爪が設けられてなる前記記載の軸筒の連結構造。
【0009】
【実施例】
本発明の第1の実施例を図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8より詳細に説明する。1は、筆記具であり、軸筒を主軸筒2と副軸筒3の2部品からなっており、これらの内部には、内部筆記構造物4としてボールペンやシャープペンシル等を設けている。本実施例では内部筆記構造物4としてボールペンを配設している。また、主軸筒2と副軸筒3は、主軸筒1の方はクリップを設けた上部軸筒であり、副軸筒3は筆記具先端が出没する下部軸筒である。ここで主軸筒2と副軸筒3と区別しているが、軸筒が2分割していることを意図するだけであり、主従の関係は無い。軸筒の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑製合成樹脂や熱硬化性合成樹脂の使用が可能である。
【0010】
2は、前記したように円筒状の主軸筒であり、開口端の一方には嵌合用内径部5が設けられており、前記嵌合用内径部5内面には、開口端近傍に係止爪6を円周上に3ヶ所設けている。更に、中心から前記係止爪6より短い距離で切取面7が、角度120度ずつ均等に3ヶ所設けられている。
【0011】
3は、前記したように円筒状の副軸筒であり、一方端を前記主軸筒2の嵌合用内径部5と嵌合する嵌合用小径部8を有している。嵌合用小径部8の表面には、係止部9がリング上(円周状)に前記係止爪6に対応する様に設けられており、前記係止爪6と嵌合固定される。更に、嵌合用小径部8の開口端から嵌合用小径部8の根本まで切取面7Aが、軸線に並行に設けられている。前記切取面7Aは、切取面7に対応する様に設けられているので、3ヶ所でそれぞれ角度120度を均等に設けられている。
【0012】
7及び7Aは、切取面であり、嵌合用小径部8の外形円から中心までの半径をRとし、前記嵌合用小径部8の外形円に対して中心よりSの距離で半径Rに対して垂直に設けた線で切取った面を前記切取面としている。ここで、半径Rと距離Sの関係は、R>Sである。そして、嵌合用小径部8の表面に設けられた係止リングをも切取ってリングから係止部9(略リング)の形状としている。切取面7の3面それぞれの間には、円周面12が残っている。これは切取面7Aの場合でも同様である。以上の様に、切取面7、7Aを3ヶ所ずつ設けて例示しているがこれは、単なる1例にすぎない。
【0013】
次に本実施例の筆記具1をボールペンとした場合の、詳細を説明する。副軸筒2の内面には、従来より良く使用されている鋸刃状の誘導溝が設けられており、ボールペンを出し入れする回転ノック機構(上下移動部材と回転体)をボールペンのカートリッジの周囲に配設している。更に副軸筒3の側面には、回転ノック機構を作動させる為のスライド片10が設けられている。前記副軸筒3の先端側には先端ホルダー11が、螺子嵌合により設けられており、内部筆記構造物4を常に上方に押圧支持しているコイルバネが設けられている。
【0014】
また、ここでボールペンとした場合、内部筆記構造物4とは、ボールペンカートリッジ、回転ノック機構(上下移動部材と回転体)とからなるものである。前記内部筆記構造物4は、スライド片10に嵌合固定し、且つ先端ホルダー11の内径に接触保持しており、前記内部筆記構造物4を固定している。前記コイルバネに抗してスライド片10を前方にスライドさせると内部筆記構造物4全体を前方に押しやり筆記先端を先端ホルダー11から露呈することになる。こうして筆記可能となる。
【0015】
組み付けられた状態で特に副軸筒3と主軸筒2の状態は、主軸筒2の切取面7と副軸筒3の切取面7Aとが当接し、主軸筒2の係止爪6と副軸筒3の係止部9とが、それぞれ乗り越えて嵌合固定する。こうして面と面、周面と周面の当接でより強固に嵌合固定される。こうした副軸筒3に設けたスライド片10に相対する様に嵌合用小径部8の表面に第1の切取面7Aが設けられ、軸中心からこの面への垂線から角度120度を設けて、第2、第3の切取面7Aを設けている。同様に主軸筒2へも切取面7を設けている。こうして3つの切取面7、7Aにより特に軸線に対して横方向の力に効力を発揮する。
【0016】
次に横方向の力(f)が加わった時の力のかかり方を、従来の円筒状の軸嵌合だけと比較しながら説明する。(反発力F)
筆記具1を手で握ったり、前記コイルバネに抗してスライド片10を前方にスライドさせる(G)と内部筆記構造物4全体を前方に押しやり筆記先端を先端ホルダー11から露呈して筆記可能となるような場合には、円筒(円周面のみ)と円筒(円周面のみ)の当接嵌合で軸線に対して横方向から力が加わると、作用反作用から円周状の2点(P)に作用されガタツキ、緩み、撓みのもとになる。これは、円周面のみで力を支持する場合は、軸線に対して並行線(L)のみで支持されることになるからである。
【0017】
しかし本発明の例の様に切取面を3ヶ所設けた場合は、相対する面が円周面12・12Aと切取面7・7Aとなり力を受ける部分が、円周面12・12Aで受ける部分は軸線方向の直線(V)で力が掛り、切取面では軸線に対して直角に切取面上で力が掛り、抉る動きが同一ではなく、支持が広くなりより強固なものとなる。また更に軸線(中心)に対して相対する面が面同士であればどこに軸線に対して横方向の力が作用してもより強固になるように考えられるが、こうすると全て切取面のような面にしなければならず、成形時ヒケが生じる他、成形精度を求め難いものとなる。(図7、図10である。)
【0018】
本発明の第2の実施例について、切取面7・7Aが、略5角形の場合であり、この場合まず、5辺の内、1辺を決める。1辺は、軸筒(主軸筒と副軸筒)の中心から半径に対して垂直に中心からの距離S1で切取面7、7Aにより嵌合用小径部8及び嵌合用内径部5の周面を切取る。この1辺の面から中心への垂線を基準として角度72度ずつ残りの4辺を設けて、略5角形としている。この時も切取面7、7Aの隣接には嵌合用小径部8及び嵌合用内径部5の円周面を残して交互になっている。(図9である。)このような構成であるので、軸同士が確実に嵌合固定され、軸線に対して横方向の力には強いものとなる。
【0019】
【効果】
以上の様に、切取面7Aと嵌合用小径部8の円周面12Aを交互に設け、更に前記嵌合用小径部8に対応して、切取面7と嵌合用内径部5の円周面12を交互に設けている。前記切取面7、7Aの長さは同一であり、その長さは嵌合用小径部8の開口端から前記嵌合用小径部8の根元(外観の大径部)まで軸線に並行に設けられた構成である。このような構成であるので 手の保持する軸筒の位置で軸筒を2分割にした筆記具でも、手の保持力(握り力)と筆記時の筆記作用力により径方向に撓んだり(ぐらついたり)せず強固な嵌合固定が得られる。更に、金型作成上も容易でコスト的にも安く、組み立て安い軸筒の嵌合構造を提供出来るものである。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の正面断面図。
【図2】本発明の実施例の副軸筒の正面図(3面の切取面7を有する)。
【図3】本発明の実施例の主軸筒の正面半断面図(3面の切取面7を有する)。
【図4】本発明の実施例の副軸筒の右側面図。
【図5】本発明の実施例の主軸筒の左側面図。
【図6】本発明の実施例の筆記具に対する力の作用説明図
【図7】本発明の実施例の筆記具に対する軸筒の嵌合構造作用説明図。
【図8】本発明の実施例の拡大軸筒接合AA断面図
【図9】本発明の別の実施例の拡大軸筒接合AA断面図
【図10】従来の筆記具に対する軸筒の嵌合構造作用説明図
【符号の説明】
1 :筆記具
2 :主軸筒
3 :副軸筒
4 :内部筆記構造物
5 :嵌合用内径部
6 :係止爪
7 :切取面
7A:切取面
8 :嵌合用小径部
9 :係止部
10 :スライド片
11 :先端ホルダー
12 :円周面
Claims (2)
- 円筒状の主軸筒と円筒状の副軸筒であり、主軸筒もしくは副軸筒のどちらか一方の端部に円筒状嵌合用小径部と、前記嵌合用小径部が挿入嵌合される嵌合用内径部を有する軸筒の連結構造において、嵌合用小径部表面に切取面と円周面を3ヶ所でそれぞれ角度120度又は5ヶ所でそれぞれ角度72度ずつ均等に交互に設け、前記嵌合用小径部に対応する様に嵌合用内径部内面にも切取面と円周面とが同数で対応して設けられたことを特徴とする軸筒の連結構造。
- 前記嵌合用小径部表面にはリング状の係止部を設け、前記嵌合用内径部には前記係止部と嵌合固定する係止爪が設けられてなる請求項1に記載した軸筒の連結構造。
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