JP4546035B2 - 患者の救急医療及び救急監視用システム - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は患者の医療救急及び救急監視のためのシステムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
重傷患者やいわゆる多機能障害患者の診断及び治療に際して、臨床処置をできるだけ短時間で済ませ、患者の障害の程度を少なくし、ひいては治療の追加費用及びそれに伴う保健機関のコストを低く抑えることが望まれている。
【０００３】
従来のやり方によれば、患者は救急隊員によって救急医療室に運ばれ、そこでまず生命維持処置によって生理的に安定にされる。その場合多くの病院では超音波装置によって患者の内部に発生している恐れのある損傷に関する最初の情報が収集される。この処置の後、患者は放射線科に運ばれ、そこで例えば頭蓋や頸椎部、胸部、腹部、骨盤の前後左右からの透視写真等が撮られる。病院の設備いかんによって、これらの写真は従来型のＸ線装置によって、かつ部分的にコンピュータ断層撮影装置（ＣＴ装置）によって作成されるか、又はＣＴ装置のみによって写真が作成される。従来型のＸ線装置を用いる場合でもＣＴ装置を用いる場合でも、患者は通常、別のベッドに移され、他の検査室に運ばれなければならない。放射線科で撮影後患者は再び最初の救急医療室に戻され、そこで必要な安定化処置を施された後、最終的に手術室又は集中治療室に移される。病院の異なる室間、又は医局間の移動、及び各室において必要な患者のベッドの移し替えは、多くの時間を必要とする点でも、重症患者の健康状態に対する点でも、好ましくない。さらに、継続的に最良のやり方で患者の生命維持機能を監視し、かつ患者に十分な治療を施すことは、検査の間及び移動中は必ずしも可能であるとは限らない。
【０００４】
画像を作成する種々の装置を一つの共通のシステムに集約又は組合せた種々の医療システムが知られている。
【０００５】
例えば、ＣＴ装置及びＸ線装置を有し、共通の横臥装置を備えたＸ線診断装置が知られている（例えば、特許文献１参照）。この横臥装置は、ＣＴ装置に従属する第１位置からＸ線装置に従属する第２位置へとガイドレールに沿って位置替えをすることができる。
【０００６】
多数の画像作成システムを備えた多重検査装置も種々知られている（例えば、特許文献２参照）。そこでは、画像作成システムは一つの共通の支持体上に配置され、患者の横臥テーブルに対して相対的に支持体を移動することによって画像作成システムの一つが順次患者横臥テーブルに対応させられる。
【０００７】
Ｃアーム装置を備えた診断治療装置も知られている（例えば、特許文献３参照）。これに設けられているテーブル甲板は９０゜の回動が可能であり、モバイル型の「リングアームＣＴ装置」に対応している。しかしこの診断治療装置では患者の全身スキャンを行うことはできない。
【０００８】
ＣＴ装置が従来型のＸ線診断装置としても作動可能なＸ線診断装置も知られている（例えば、特許文献４参照）。そこでは、断層撮影用のＸ線放射器がＣＴ装置用の走査線検出器にも他の放射線受信器にも従属して用いられる。
【０００９】
さらに、ＣＴ装置及び血管造影用のＸ線装置からなるシステムも知られている（非特許文献１参照）。ここでは、患者横臥装置は柱脚上に側方へ張出しているテーブル甲板を備えている。張出し部分は床のガイドレールに沿って動くＣＴ装置の移動によって患者用開口の中へ挿入され、それにより、ＣＴ写真撮影が可能になる。さらに張出し部分の領域には、血管造影撮影を行うために、血管造影装置を配置することができる。
【００１０】
【特許文献１】
独国特許出願公開第１９７１１４９９号明細書
【特許文献２】
独国特許出願公開第１９８５３４６３号明細書
【特許文献３】
米国特許第５８２２８１４号明細書
【特許文献４】
独国特許第１９９２１２８０号明細書
【非特許文献１】
シーメンス（Siemens）社パンフレットＡ９１００１−Ｍ２１２０−Ｇ１５１−０１−７６００「SOMATOM Emotion, Balance, Esprit − Sliding Gantry」
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
これら公知のシステムは患者の検査を簡単化することのみを目的としており、同時処置、特に多機能障害患者の処置には適当でなく、また患者の全身スキャンをすることはできない。
【００１２】
本発明の課題は、検査のためにも重症患者の監視及び治療のためにも、患者の必要なベッドの移し替えの回数及び移動距離を少なくし、かつ全身スキャンを可能とするのに適した、患者の救急医療及救急監視用のシステムを提供することにある。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
この課題は本発明によれば、
ａ）固定配置の柱脚及びその柱脚上に取付けられたテーブル甲板を有し、前記テーブル甲板は頭部側でＸ線を透過させ少なくとも０．９ｍの長さを持っている第１領域が、足部側でＸ線を透過させ少なくとも１．８ｍの長さを持っている第２領域がそれぞれ前記柱脚より突出している患者横臥装置と、
ｂ）患者用開口を有し、前記テーブル甲板の前記第２領域が前記患者用開口内に挿入されるように、床のガイドレールに沿って移動され得るコンピュータ断層撮影装置と、
ｃ）Ｘ線写真の撮影のために前記テーブル甲板の前記第１領域内に設けられたＸ線装置と、
ｄ）前記テーブル甲板上を長手方向に滑動して案内されかつ前記テーブル甲板から取外し可能である患者横臥台と
を備えた、患者の救急医療及び救急監視用システムによって解決される。
【００１４】
本発明の基本にある考え方は、患者の治療や検査、監視における機能的な可能性を改善するために、患者横臥装置の柱脚の両側に検査領域や処置領域を作り出すことから出発している。例えば頭部側に突出する第１領域は、主としてＸ線写真を撮影するために用いられるが、患者の安定化を生命維持手段によって図るためにも使用される。その場合患者には三方から近づくことができるようにされている。そこで行われる治療の間にＣＴ写真が必要になるや否や、患者を患者横臥台に載せた状態でテーブル甲板に沿って足部側に突出する第２領域に動かすことができる。第２領域は可動ＣＴ装置のガイドによってその患者用開口の中へ導入され、対応するＣＴ写真が作成される。その場合、患者は通常のやり方とは反対に足部の方からＣＴ装置の患者用開口の中へ導入される。ＣＴ装置のガイド装置により、患者の全身スキャンを実施することができる。
【００１５】
この過程は迅速に実施することができる。患者に往々にして損傷を与える恐れのあるベッドの移し替えは不要である。また、患者を、ＣＴ装置内での検査の実施後、例えば生命維持処置を施したり、Ｘ線装置によって例えば頭部の写真を撮ったりするために、患者横臥台の滑動によってテーブル甲板の第１領域に再び搬送することができる。
【００１６】
患者横臥台はテーブル甲板の上に滑動可能に設けられる。またＣＴ装置の患者用開口の中に患者横臥台を導入する際に画像アーチファクトを生ずる恐れのある金属構造部分の使用はなるべく避けるべきである。
【００１７】
好ましくは、ＣＴ装置のガイドレール及びテーブル甲板は互いに平行に、特に直線状に配置される。
【００１８】
好ましい実施態様によれば、本システムは、テーブル甲板の第１領域に設けられかつ少なくとも酸素吸入装置及び患者の生命機能を表示する監視装置を含む生命維持装置を備える。このような生命維持装置は例えば搬送台車（「生命維持搬送台車」）として構成される。生命維持装置を備えることによって、このシステムにより患者の生理的安定性も重傷患者の診断及び治療の作業も、患者の移動をせずに人間工学的に融通性のある方法で実施できるという利点を達成することができる。
【００１９】
患者の治療に必要な時間（処置延べ時間）を一層短縮するために、患者横臥装置、ＣＴ装置、Ｘ線装置、及びオプションで備えられる生命維持装置は一室に共通に配置するのがよい。このような救急医療室、例えば比較的大きな病院の救急医療室が本発明の対象である。
【００２０】
好ましくは、テーブル甲板の第２領域は少なくとも成人患者の身長に相当する長さ、特に少なくとも１．８ｍの長さを持っている。そうすることによって、ＣＴ装置により患者を全身にわたって検査することが容易に可能になる。その場合、ＣＴ装置のガイドレールの長さも全身スキャンに合わせて設計される。
【００２１】
テーブル甲板の第１領域は、少なくとも成人患者の身長の半分に相当する長さ、特に少なくとも０．９ｍの長さを持っている。そのような長さは、例えば、Ｘ線装置によって頭部からほぼ骨盤までの範囲で患者の写真を撮るのに適している。
【００２２】
さらに好ましい構成によれば、システムの構成要素として、患者横臥台を載置できるようにまた患者横臥装置に形状的に嵌合又は結合可能に構成された患者搬送台車が設けられる。そうすることによって、患者を救急医療や救急監視のために本発明のシステムに搬送したりそこから移動させるような状況下で、患者を患者横臥台に載せた状態で動かしたり、横臥台と一緒に患者搬送台車に患者を優しく移し替えたりすることが可能になる。
【００２３】
患者搬送台車は、患者搬送台車に載置された患者横臥台をテーブル甲板の上に移し替えるために患者横臥装置のテーブル甲板の下に入り込むことができるように、側方が開放した患者横臥台支持部材を備えているのがよい。そうすることにより、患者を患者搬送台車から患者横臥装置に移したり、その逆の移し替えをしたりすることが、患者や操作者にとって負担となる側方への搬送や持上げを必要とすることもなく、筋力や電動機によるわずかな垂直方向動作によって可能になる。
【００２４】
そのため患者搬送台車の支持部材は高さ調節できるようにするのがよい。人手による操作を軽減するために、特に電動機によって高さ調節を可能にするのがよい。
【００２５】
テーブル甲板及び患者横臥台は少なくとも一方がカーボン繊維強化プラスチック（ＣＦＫ）で作るのがよい。また、本システムのＸ線装置は、これを用いない場合にテーブル甲板の第１領域、特に第１領域の周囲の床領域を治療担当者が自由に利用できるようにするために、天井に取付けるのがよい。そうすることによって、４人ないし５人までの治療担当者（麻酔専門医、看護士、放射線専門医、外科医、記録係等）が同時に、場合によっては移動式の生命維持装置とともに、当該領域に居合せることが可能になる。Ｘ線装置は、天井から、例えばレールシステムを介して取付けることができ、長手方向や横方向に移動できるようにするのがよい。垂直方向の位置調節のために、レールシステムに望遠鏡状の台架を取付け、その両端部にＸ線放射器やＸ線検出器を支持させるようにすることができる。
【００２６】
Ｘ線装置のＸ線放射器やＸ線検出器はＵ字形アームの両脚部の終端部に取付ければよい。これによりテーブルの上部及び下部からの撮影が可能となる。
【００２７】
本発明の枠内には、特に本発明のシステムによって実施し得る作動方式も含まれる。その作動方式には次のようなステップが含まれる。すなわち、
１）病院の患者運搬車用車寄せから患者搬送台車に載せて救急医療室へ患者を搬送すること。患者搬送台車は着脱自在の患者横臥台を備え、その患者横臥台は側方が開放した支持部材を有するキャスタ付き台架に取付けられる。
２）患者搬送台車がテーブル甲板の下側に嵌め込まれることにより、固定配置された患者横臥装置のテーブル甲板上に患者横臥台を位置決めすること。
３）患者横臥台をテーブル甲板の上におろすこと。
４） 患者搬送台車を引離すこと。
５） 患者横臥台を患者とともにテーブル甲板に沿ってテーブル甲板のＸ線を透過する第１領域に必要に応じて滑動させること。
６） 第１領域で生命維持処置の実施を開始すること。
７） 第１領域に従属するＸ線装置によってオプションのＸ線検査をすること。
８） 患者横臥台を患者とともにテーブル甲板に沿ってテーブル甲板のＸ線を透過する第２領域に、好ましくは患者の足部を先にして滑動させること。
９） 第２領域でＣＴ検査を実施すること。
１０）患者横臥台を患者とともにテーブル甲板に沿って第２領域から第１領域に、又はオプションでテーブル甲板の第３領域に滑動させること。
【００２８】
テーブル甲板の第３領域においては、別のステップとしてオプションでその他の生命維持処置を実施することができる。第３領域は、好ましくはＸ線を透過しないが機械的に安定な領域であり、患者横臥装置の柱脚によって間接に又は直接に支持される
【００２９】
第１領域及び第２領域は特に第３領域を挟んで互いに反対側に設けられる。
【００３０】
患者横臥装置、特にその第１領域、第２領域、第３領域、並びにＸ線装置、ＣＴ装置、又は患者搬送台車の他の好ましい構成として、本システムと関連して作られる実施形態を挙げることができる。さらに、動作方法において、生命維持装置を上述のように用いることができるが、この維持装置は例えば患者の搬送の際に患者搬送台車に特に頭部側でドッキングさせ、常時作動させながら搬送台車とは無関係に患者横臥装置に沿って動かすようにすることもできる。
【００３１】
患者を救急医療室から搬出するには、上記とは逆の手順で再び患者搬送台車によって行えばよい。
【００３２】
【発明の実施の形態】
次に図１ないし図４を参照して本発明によるシステムの実施の形態を詳細に説明する。この実施の形態は本発明のシステムの作動方式の説明にも役立つものである。
【００３３】
図１に、患者３の救急医療及び救急監視用システム１が示されている。このシステム１においては、以下の構成要素が病院の一つの室４の中に共通に配置されている。
【００３４】
室４内での治療、監視及び検査の間、患者３を横臥させておくために、室４の床６に揺動しないように固定された柱脚７を有する固定配置の患者横臥装置５が用いられる。柱脚７はその上端に金属製の支持台８を載置し、その上に、カーボン繊維強化プラスチック（ＣＦＫ）で作られたＸ線を透過するテーブル甲板９が保持されている。テーブル甲板９は患者の頭側にＸ線を透過する第１領域１１が、及び患者の足側にＸ線を透過する第２領域１３がそれぞれ柱脚７の側方に張出している。テーブル甲板９の全長は約４ｍであり、第２領域１３の長さＡは約２．４ｍ、第１領域１１の長さＢは約０．８ｍである。
【００３５】
矢印１７で示すようにテーブル甲板９は支持台８に長手方向に移動可能に保持される。両領域１１，１３の長さＡ，Ｂは上記の基準値に対して±０．６ｍだけ変化可能である。矢印１８はテーブル甲板９の垂直方向の移動可能性を示すものである。これらの移動は柱脚７内のモータを含む適当な機械構造部によって実現される。
【００３６】
システム１の他の構成要素として、Ｘ線を透過し同様にカーボン繊維で強化されたプラスチックからなる患者横臥台１９が設けられている。その下部の側縁は、図示していないが縦長の盆状の凹みを備えたテーブル甲板９の上を長手方向２０に滑動できるように構成されている。かくして患者３は患者横臥台１９の上に載せられた状態で領域１１，１３間を長手方向に搬送することができる。従って患者横臥台１９は、患者３を移し替えることなく種々の処置位置、例えば第１領域１１のＸ線撮影位置、第２領域１３のコンピュータ断層（ＣＴ）撮影位置、挿管位置、蘇生位置、さらには治療位置に持っていくために、スライダ（スライドボード）として用いられる。後者の挿管、蘇生、治療位置は、例えば患者３への集中的処置を容易にするために、中央の第３領域２１にあり、この領域はＸ線を透過せずに機械的に安定であり、柱脚７又は支持台８によって支持されている。
【００３７】
患者横臥台１９の形状はは詳細には図示してないが、アーチファクトを生じない写真がＸ線装置及びコンピュータ断層撮影装置によって得られるように構成されている。テーブル甲板９の枠縁部には、図示してないが患者横臥台１９を種々の位置に固定できるようにＸ線を透過する材料からなる押釦式ブレーキが取付けられる。
【００３８】
システム１の別の構成要素はコンピュータ断層撮影（ＣＴ）装置２３である。
ＣＴ装置２３の患者用開口２５にはテーブル甲板９の第２領域１３が導入される。この導入は、ＣＴ装置２３を床６に配設されているガイドレール２７に沿って患者横臥装置５の長手方向に駆動することによって行われる。
【００３９】
更に別のの構成要素としてシステム１は、室４の天井３５に取付けられた従来型のＸ線装置３３を備えている。この取付けはレールシステム３７を介して行われる。レールシステム３７を用いることにより、治療担当者の作業がＸ線装置３３によって妨害されないように、Ｘ線装置３３をテーブル甲板９の第１領域１１から遠ざけることができる。図示のＸ線装置３３は、Ｘ線を透過させる第１領域１１で患者３の頭部撮影が行われる位置にある。
【００４０】
レールシステム３７には、望遠鏡状の電動式のカメラ取付け部３９が吊下げられており、その下端部にＵ字形のアーム４１が揺動かつ回動可能に支持されている。アーム４１は、図示の動作位置では、テーブルの上からの撮影が実施できるように揺動かつ回動されており、Ｘ線放射器４３が患者３にテーブル甲板９の上方からＸ線を照射し、テーブル甲板９の下方でＸ線検出器４５によって透視写真が撮影される。Ｘ線検出器４５は例えば従来型のフィルム／シート方式のものでよい。
【００４１】
次に図２ないし図４を参照して、システム１の別の構成要素及びシステム１の可能な作動方式について説明する。
【００４２】
図２は、患者３が病院の救急入口から直接運ばれ、患者搬送台車５３に載せられて、救急医療室としての室４に搬送されてきた状態を示すものである。患者搬送台車５３は、４つのキャスタを備え、側方が開放したＵ字形状を持つ基礎部材５５を含んでいる。この基礎部材５５から垂直方向及び横方向にそれぞれ支持部材５７，５９が延びている。これらの支持部材５７，５９の横桁に患者横臥台１９が載置される。基礎部材５５も支持部材５７，５９も全体として側方が開放されているので、患者搬送台車５３は患者横臥装置５の第１領域１１及び第２領域１３において、並びに患者横臥装置５の柱脚７を基礎部材５５が囲むようにして、テーブル甲板９の下側に搬送できるようになっており、かつ患者３を患者横臥台１９に載せた状態でテーブル甲板９の上に移し替えることができるようになっている。この位置において、患者搬送台車５３の高さ位置を調整できる支持部材５７，５９により、患者横臥台１９がテーブル甲板９の上にちょうど位置するように調整される。患者搬送台車５３は、図示の実施形態では、システム１の一構成要素であり、互換性、機能、さらには寸法等に関しては他の構成要素に適合するように構成されている。患者横臥台１９は、患者搬送台車５３に固定できるとともに、テーブル甲板９に沿って滑動させることもできる。
【００４３】
図３において、システム１で実施される処置段階が示されている。ここでは、患者横臥台１９が患者３とともに患者搬送台車５３からすでに降ろされ、テーブル甲板９上に載せられている。室４内におけるシステム１の所要空間節減のために、図２及び図３に示されているように、患者横臥装置５のテーブル甲板９は柱脚７にその垂直軸を中心に図１の位置から回動可能に支持されている。
【００４４】
図３には、さらに、第１領域１１において患者３の医療処置が治療担当者６３、特に麻酔専門医によって開始され、同時にＸ線撮影が行われる状態が示されている。
【００４５】
図４の処置段階では、テーブル甲板９が図３の位置から９０゜回動し、ＣＴ装置２３のガイドレール２７に平行に向けられている。治療担当者６３及び図示していない看護士を支援するために、移動可能な台車として構成された生命維持装置７３が設けられている。生命維持装置７３も本実施形態によるシステム１の構成要素であり、図示していない酸素ボンベを有する酸素吸入装置７５を備えている。さらにまた、患者３の生命機能を表示する監視装置７７、特に心電図検査装置（ＥＫＧ）が収納されている。生命維持装置７３にはさらに点滴、輸血及び吸入用補助手段のホルダが収納されている。
【００４６】
図４に示された状況では、治療担当者６３はＣＴ装置２３による検査の必要性を事前に認識している。そのため患者３は患者横臥台１９に載ったまま第２領域１３に滑動して運ばれる。その際生命維持装置７３は、必要に応じて、側方に一緒に移動させることができる。ＣＴ装置２３によるスキャン検査を行うために、ＣＴ装置２３は続いて床６のガイドレール２７に沿って長手方向７９に患者３の所へ２ｍほど動かされる。続いてＣＴ装置２３はその待機位置に戻され、必要に応じて他のスキャン操作をさらに実施することができる。
【００４７】
ＣＴ装置２３による検査の後、例えば生命維持処置を継続したりＸ線装置３３を利用したりするために、患者３はスライドボードとして構成された患者横臥台１９によってテーブル甲板９の頭部端まで移動させられる。
【００４８】
室４内の処置が終了した後、患者搬送台車５３のＵ字形支持部材５７，５９が側方から導かれ、患者横臥台１９が患者３と一緒に患者搬送台車５３に移される。患者搬送台車５３は、生命維持装置７３を好ましくは頭部側にドッキングされ、継続して治療を施しかつ監視すべき患者３を載せた状態で外に出される。
【００４９】
【発明の効果】
システム１によれば、患者３に対する診断や治療の処置を唯一の患者横臥装置５で完全に実施することができる。したがって、不必要な患者の位置替えや、場合によっては遠く離れた検査場所への搬送が不要となる。また、システム１においては、画像作成に適した装置、特にＣＴ装置２３や従来型のＸ線装置３３をその待機位置から患者横臥装置５の所に持ってきたり、撮影終了後再び元の待機場所まで持っていくだけでよい。このようにして、検査場所までの今日一般に必要とされている搬送時間、及び患者のために必要な位置替えを省略することができる。このような時間の節約は、多機能障害の重症患者の治療にとって重要な意味を持つ。
【図面の簡単な説明】
【図１】患者の救急医療及び救急監視に用いる本発明によるシステムの概略図。
【図２】図１のシステムにおける第１の作動状態を示す分解斜視図。
【図３】図１のシステムにおける第２の作動状態を示す分解斜視図。
【図４】図１のシステムにおける第３の作動状態を示す分解斜視図。
【符号の説明】
１ システム
３ 患者
４ 室
５ 患者横臥装置
６ 床
７ 柱脚
８ 支持台
９ テーブル甲板
１１ 第１領域
１３ 第２領域
１９ 患者横臥台
２１ 第３領域
２３ コンピュータ断層撮影装置（ＣＴ装置）
２５ 患者用開口
２７ ガイドレール
３３ Ｘ線装置
３５ 天井
３７ レールシステム
３９ カメラ取付け部
４１ Ｕ字形アーム
４３ Ｘ線放射器
４５ Ｘ線検出器
５３ 患者搬送台車
５５ 基礎部材
５７ 支持部材
５９ 支持部材
６３ 治療担当者
７３ 生命維持装置
７５ 酸素吸入装置
７７ 監視装置

Claims (9)

1. ａ）固定配置の柱脚（７）及びその柱脚上に取付けられたテーブル甲板（９）を有し、前記テーブル甲板（９）は、頭部側でＸ線を透過させ少なくとも０．９ｍの長さ（Ｂ）を持っている第１領域（１１）が、足部側でＸ線を透過させ少なくとも１．８ｍの長さ（Ａ）を持っている第２領域（１３）がそれぞれ前記柱脚（７）より突出している患者横臥装置（５）と、
   ｂ）患者用開口（２５）を有し、前記テーブル甲板（９）の前記第２領域（１３）が前記患者用開口（２５）内に挿入されるように、床（６）のガイドレール（２７）に沿って移動され得るコンピュータ断層撮影装置（２３）と、
   ｃ）Ｘ線写真の撮影のために前記テーブル甲板（９）の前記第１領域（１１）内に設けられたＸ線装置（３３）と、
   ｄ）前記テーブル甲板（９）上を長手方向（２０）に滑動して案内されかつ前記テーブル甲板（９）から取外し可能である患者横臥台（１９）と
   を備えた、患者の救急医療及び救急監視用システム。
2. 前記コンピュータ断層撮影装置（２３）の前記ガイドレール（２７）及び前記テーブル甲板（９）は互いに平行に、かつ直線状に配置されている請求項１記載のシステム。
3. 前記テーブル甲板（９）の前記第１領域（１１）に設けられ、少なくとも酸素吸入装置（７５）及び患者（３）の生命機能を表示する監視装置（７７）を含む生命維持装置（７３）を備えた請求項１又は２記載のシステム。
4. 前記患者横臥装置（５）、前記コンピュータ断層撮影装置（２３）、前記Ｘ線装置（３３）、及び前記生命維持装置（７３）は一つの室（４）内に共通に配置されている請求項３に記載のシステム。
5. 前記患者横臥台（１９）を載置できるように構成された患者搬送台車（５３）を備えた請求項１ないし４のいずれか１項に記載のシステム。
6. 前記患者搬送台車（５３）に載置された患者横臥台（１９）を前記テーブル甲板（９）の上に移し替えるために前記患者横臥装置（５）のテーブル甲板（９）の下に入り込むことができるように、前記患者搬送台車（５３）は前記患者横臥台（１９）に対し側方に開放した支持部材（５７，５９）を備えている請求項５記載のシステム。
7. 前記患者搬送台車（５３）の支持部材（５７，５９）は高さ調節が可能である請求項６記載のシステム。
8. 前記テーブル甲板（９）及び前記患者横臥台（１９）は少なくとも一方がカーボン繊維強化プラスチック（ＣＦＫ）で作られている請求項１ないし７のいずれか１項に記載のシステム。
9. 前記Ｘ線装置（３３）は天井に取付けられている請求項１ないし８のいずれか１項に記載のシステム。

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