JPH0647075A - 仲介台車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、ストレッチャと診療装置寝台天板と
を仲介し、診療装置の寝台天板への患者の載置作業を簡
易化する仲介台車を提供することを目的とする。 【構成】本発明による仲介台車は、被検体を載置する天
板１１と、この天板１１を長手方向に平行な軸を中心に
水平位置から所定角度だけ回動自在に支持する傾斜機構
と、この傾斜機構を支持するフレーム３および架台１
と、この架台１に装着されたキャスタ２とを具備したこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ストレッチャと磁気共
鳴イメージング装置等の画像収集装置やハイパーサーミ
ア等の治療装置の寝台天板との間の患者の載せ換えを仲
介する新規な仲介台車に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在使用されている磁気共鳴イメージン
グ装置やハイパーサーミア等の各種診療装置は患者を寝
台天板上に臥位の状態で動作するものが多い。この天板
の高さは、乗り降りが容易なように、比較的低く設定さ
れている。しかし、患者は自力で診療装置の寝台天板上
に臥位できる程度の比較的軽度の患者ばかりではなく、
中には肢体が不自由な重病患者や、自力で起き上がるこ
とさえできない重症患者もいる。このような患者の場
合、ストレッチャと呼ばれる病院内移送用の台車付き担
架が用いられ、病室のベッドから診療装置の寝台のわき
まで搬送される。そして、ストレッチャから診療装置の
寝台天板に患者を載せ換えるのであるが、このとき当該
患者を抱え上げて載せ換えなければならない。これは非
常に重労働な作業であり、ときには診療担当者だけでは
抱え上げることができなくて、看護婦等の介助要員が必
要になることがある。

【０００３】さらに、診療装置が、放射線装置や磁気共
鳴イメージング装置である場合他の問題も生じる。すな
わち、これら装置の設置室への入室は、安全管理上の問
題から、放射線室への入室であれば遮蔽エプロンの装
着、また磁気共鳴イメージング装置の設置室への入室で
あれば磁化性物一切の取り外し等の面倒な条件が課せら
れていることが多い。当然、上記介助要員も磁気共鳴イ
メージング装置の設置室へ入室する際には、診療担当者
と同様、ヘアーピンや磁気カード等を一切取り外さなけ
ればならず、非常に面倒であった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に対処すべくなされたもので、その目的は、ストレッ
チャと診療装置寝台天板とを仲介し、診療装置の寝台天
板への患者の載置作業を簡易化する仲介台車を提供する
ことである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明による仲介台車
は、被検体を載置する天板と、この天板を長手方向に平
行な軸を中心に水平位置から所定角度だけ回動自在に支
持する傾斜機構と、この傾斜機構を支持する支持機構
と、この支持機構に装着された車輪とを具備したことを
特徴とする。

【０００６】

【作用】本発明に係る仲介台車によれば、天板がその長
手方向に平行な軸を中心に水平位置から所定角度だけ傾
斜することにより、ストレッチャや診療装置の寝台天板
上の患者を当該天板に患者を持ち上げることなく移すこ
とができる。

【０００７】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例につ
いて説明する。

【０００８】図１は一実施例の仲介台車の外観を示す斜
視図であり、まずこの図１を参照して、本実施例の仲介
台車の概略構造について説明する。

【０００９】２つのキャスタ２が離間して装着されてい
る逆Ｌ字型の架台１が、一対対峙して配置されていて、
この架台１にＨ型のフレーム３が垂直方向に摺動可能に
支持されている。このフレーム３の両上端部には、それ
ぞれアームボックス４，５が設けられていて、アームボ
ックス４からアーム６，７が、またアームボックス５か
らアーム８，９が吊り下げられている。このアーム６〜
９の各先端部には、カギ状のフック１０が形成されてい
て、天板１１を支持している。

【００１０】天板１１は、例えば磁気共鳴イメージング
装置の寝台の天板（以下単に「ＭＲ天板」という）上に
積載できるように、ＭＲ天板の表面形状と同じ曲率で湾
曲に形成されている。天板１１の四隅には結合部１２が
装着されていて、天板１１はこの結合部１２においてア
ーム６〜９のフック１０と係合し、吊下げられる。

【００１１】図２は、アーム６，７の各フック１０と結
合部１２との結合部分の構造を示す拡大図である。結合
部１２は、フック１０に係合する受け軸１３と、その受
け軸１３を天板１１に保持する軸保持部１４とからな
る。軸保持部１４は、受け軸１３を天板１１の側端より
外側に保持していて、これにより天板１１が矢印方向に
押し上げられることにより受け軸１３がフック１０から
外れるようになっていて、天板１１がアーム６，７から
離脱できるようになっている。なお、アームボックス４
のアーム６，７の先端部には天板１１外側に向かって裾
部１５がフック１０と共に形成されている。この裾部１
５は天板１１の離脱を確実に行うためのものであるが、
この作用については後述する。アーム８，９は、アーム
６，７のような裾部１５がない以外は、アーム６，７と
同様に形成されている。

【００１２】次に、アームボックスの内部構造について
説明する。図３はアームボックスの側壁を取り除いてそ
の内部構造を示した側面図であり、図４は２つのアーム
ボックス内のリンク機構の連動機構を示す透視図であ
る。水平リンク２３，２４はその各略中央部において軸
ピン２５，２６によりアームボックス４の側壁（以下
「アームベース」という）２０に枢支されていて、垂直
リンク２１，２２はその水平リンク２３，２４にピン２
８〜３１で変形自在の平行四辺形を形成するように軸着
されいる。このようなリンク機構により両垂直リンク２
１，２２は、水平リンク２３，２４の回動に従動して、
平行状態を維持したまま上下にずれるようになってい
る。水平リンク２４は他方の水平リンク２３より長尺で
あり、その一端部がガイド３６を介してアームベース２
０から突出していて、この突出部分にレバー２７が形成
されている。さらに、アームベース２０の水平リンク２
４の回転軌道に対応した所定の位置にストッパ３７が装
着されていて、水平リンク２４が水平位置から最大例え
ば２０°〜３０°程度の範囲で回動するようになってい
る。また、ガイド３６の下端部には、水平リンク２４の
水平位置でのロックおよびその解除の可能な図５に示す
ようなロック機構３８が設けられている。図５におい
て、ロックピン３９はそのツメ４０がコイルバネ４１と
接触しコイルバネ４１の伸長力によりアームベース２０
側に常時押圧されている。ロックピン３９が水平リンク
２４に形成された貫通穴４４を通過してアームベース２
０のピン受け穴４３に到達した状態で、水平リンク２４
は水平位置でロックされ、ロックピン３９が貫通穴４４
から挿出されたときにそのロックが解除される。なお、
４２はコイルガイド、２０´は他方のアームベース、４
５はアームベース２０´の貫通穴である。

【００１３】垂直リンク２１，２２の下端部には、アー
ム６，７がピン３０，３１により懸吊されている。な
お、アーム６，７は、垂直リンク２１，２２の下端に設
けられたガイド３２，３３によって振り角が制限される
ようになっている。各アーム６，７と水平リンク２４と
に短絡してバネ３４，３５が接続されていて、アーム
６，７は常時バネ３４，３５に引っ張られて垂直に保た
れるようになっている。

【００１４】他方のアームボックス５内部のリンク機構
は、図４に示すように、上述したアームボックス４内部
のリンク機構とほぼ同様の構造であるが、アーム７，８
が垂直リンクに兼用された構造であり、アーム７，８は
水平リンク４６，４７が回動したときでも常時垂直に設
定されるようになっている。このアームボックス５内部
の水平リンク４６は、アームボックス４内部の水平リン
ク２４と連動機構により連結されていて、水平リンク２
４の回動に従って回動するようになっている。この連動
機構はフレーム３の内部に収容されていて、例えば図４
に示すように、水平リンク２４の回転運動を上下運動に
変換するためのロッド４３が水平リンク２４に軸支され
ていて、このロッド４３の下端部にはロッド４３の上下
運動を回転運動に変換するためのクランク腕４２が接続
されている。さらに、フレーム３の横架柱内部に軸支さ
れた連結ロッド４３がこのクランク腕４２に接続されて
いて、この連結ロッド４３の他端側には、同様にクラン
ク腕４４およびロッド４５が構成されていて、水平リン
ク２４の回動に従動してアームボックス５側の水平リン
ク４６が回動するようになっている。

【００１５】次にこのように構成された本実施例による
仲介台車の作用について図面を参照して説明する。図６
（ａ）〜（ｆ）は患者をストレッチャからＭＲ天板へ載
せ換える際の本仲介台車の作用を順に示す図である。仲
介台車は、図６（ａ）に示すように、水平リンク２３，
２４が水平位置でロックされた初期状態にあるものとす
る。仲介台車は、例えば磁気共鳴イメージング装置の設
置室に隣接する撮影準備室までストレッチャ６０で移送
されてきた患者Ｐを受け取る。ロック機構３８による水
平リンク２４のロックが解除され、図６（ｂ）に示すよ
うに、レバー２７が矢印方向に操作される。それに応じ
て水平リンク２３，２４が軸ピン２５，２６を中心に回
動し、各垂直リンク２１，２２がアーム６，７を伴って
それぞれ上方向と下方向にずれる。このとき他方の水平
リンク４６，４７も同様に、連動機構を介してこの水平
リンク２３，２４の回動にしたがって回動し、アーム
８，９が垂直リンク２１，２２と同様にそれぞれ上方向
と下方向にずれる。この結果、天板１１はその長手方向
に平行な軸を中心に傾斜する。このように天板１１が傾
斜した状態で、患者Ｐを台６１から天板１１に移動させ
ることによって、従来のように患者Ｐを持ち上げること
なく、ストレッチャ６０から天板１１に載せ換えること
ができる。なお、図６（ｃ）に示すように、患者Ｐを横
向きの側臥位に寝かせ、天板１１足側面をこの患者Ｐの
背中に接するまで仲介台車を移動した後、患者Ｐの姿勢
を仰向けに戻せば、より簡単に天板１１に載せ換えるこ
とができる。このように従来のように患者Ｐを持ち上げ
る必要がないことから、従来より少ない人数でストレッ
チャ６０から仲介台車の天板１１への載せ換えを達成す
ることができる。

【００１６】そして、図６（ｄ）に示すように、レバー
２７が矢印方向に操作され、天板１１が水平位置に戻さ
れ、ロック機構３８によりその水平位置でロックされ
る。仲介台車は、図６（ｅ）に示すように、その天板１
１が磁気共鳴イメージング装置の寝台６２の天板６４に
対峙する位置まで移動され、図６（ｆ）に示すように、
寝台６２の昇降ユニット６５が起動され、フレーム６３
と共に天板６４が上昇し、この天板６４が仲介台車の天
板１１を積載する。フレーム６３および天板６４がさら
に上昇すると、天板１１の受け軸１３がアーム６〜９の
各フック１０から外れて、天板１１がアーム６〜９から
離脱する。このとき、図７（ａ），（ｂ）に示すよう
に、アーム６，７の裾部１５がフレーム６３の上面部分
を滑走することにより、矢印方向に開脚する。これによ
り、アーム６，７のフック１０と、天板１１の受け軸１
３との係合状態を完全に解除することができる。最後
に、この天板１１が寝台６２の天板６４上に積載したま
ま、仲介寝台を取り除くことにより、ストレッチャ６０
から磁気共鳴イメージング装置の寝台６２への患者の載
せ換えが完了する。すなわち、患者Ｐの撮影は、仲介台
車の天板１１ごと行われることになる。撮影が終了する
と、上述とは逆順をたどり、磁気共鳴イメージング装置
の寝台６２からストレッチャ６０に患者Ｐが載せ換えら
れる。

【００１７】以上のように、この実施例による仲介台車
によれば、天板が傾斜することにより患者を持ち上げる
ことなくストレッチャから当該天板に移すことができ、
また、当該天板が離脱可能であるので、当該天板を診療
装置寝台の天板上に積載することにより簡単に患者を診
療装置寝台の天板に載置することができる。この結果、
従来、患者を持ち上げる等の作業があるため比較的多人
数を必要とした患者の診療装置寝台天板に載せ換える作
業を、少ない人数、例えば撮影専任者だけでも十分行う
ことができる。また、磁気共鳴イメージング装置の撮影
ではその天板にターゲットコイル等の部品を装着する場
合があるが、この場合、本仲介台車の天板はそのまま撮
影に利用されることから、磁気共鳴イメージング装置の
天板に患者を載置する前に撮影準備室で予め本仲介台車
の天板に上記部品を装着しておけば、効率よく撮影作業
を進めることができる。

【００１８】本発明は上述した実施例に限定されること
なく、種々変形して実施例可能である。例えば、上述の
説明では、一方のアームボックスから懸吊されたアーム
を開脚可能に、また他方のアームボックスから懸吊され
たアームを開脚しない構成であるが、すべてのアームを
開脚可能に、あるいはすべてのアームを開脚しないよう
に構成してもよい。また、上記実施例では、天板を吊り
下げて支持しているが、図８に示すように、天板を下方
から支持するような構造であってもよい。ただし、この
場合には、左右の架台１の間隔を診療装置の寝台の全長
より長く設定する必要がある。また、上記実施例では、
天板はアームから離脱可能であるが、天板をアームから
離脱できないようにしてもよい。この場合、当該天板を
診療装置の天板に積載してそのまま撮影することはでき
ず、診療装置の天板に患者を載置するときには、ストレ
ッチャと当該天板との載せ換えのときと同様に当該天板
を傾斜して当該天板から診療装置の天板へ患者を載せ換
える必要があるが、これでも従来のように患者を持ち上
げるような負担が軽減され、十分な効果を得ることがで
きる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明による仲介台
車は、患者を載置する天板と、この天板を長手方向に平
行な軸を中心に水平位置から所定角度だけ回動自在に支
持する傾斜機構と、この傾斜機構を支持する支持機構
と、この支持機構を装着された車輪とを具備したことを
特徴としたことによって、天板がその長手方向に平行な
軸を中心に水平位置から所定角度だけ傾斜することによ
り、ストレッチャや診療装置の寝台天板上の患者を当該
天板に患者を持ち上げることなく移すことができ、従来
のように患者を持ち上げるという重労働から解放され
る。また、この重労働から解放されることの波及的効果
として、看護婦等の介助要員がいなくても診療担当者だ
けで患者を診療装置の寝台天板上に設定することができ
るようになり、従来のように介助要員が診療装置の設置
室に入室する必要がなくなり、この介助要員がこの設置
室に入室に際して留意していた安全管理上の問題も根絶
的に解決することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による仲介台車の外観を示す
斜視図。

【図２】図１に示すフックと結合部との結合部分の構造
を示す拡大図。

【図３】アームボックスの側壁を取り除いてその内部構
造を示した側面図。

【図４】２つのアームボックス内のリンク機構の連動機
構を示す透視図。

【図５】ロック機構の構造を示す断面図。

【図６】本実施例の仲介台車の作用を説明する図。

【図７】アームの裾部の作用を説明する図。

【図８】他の実施例の仲介台車の構造を示す外観図。

【符号の説明】

１…架台、２…キャスタ、３…フレーム、４，５…アー
ムボックス、６〜９…アーム、１０…フック、１１…天
板、１２…結合部、１３…受け軸、１４…軸保持部、１
５…裾部、２０…アームベース、２１，２２…垂直リン
ク、２３，２４…水平リンク、２５，２６…軸ピン、２
７…レバー、２８，３１…ピン。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】被検体を載置する天板と、 前記天板を、その長手方向に平行な軸を中心に、水平位
   置から所定角度だけ回動自在に支持する傾斜機構と、 前記傾斜機構を支持する支持機構と、 前記支持機構に装着された車輪とを具備したことを特徴
   とする仲介台車。
2. 【請求項２】前記傾斜機構と前記天板とは離脱自在であ
   ることを特徴とする請求項１に記載の仲介台車。